経済産業省
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コト消費空間づくり研究会(第3回)-議事要旨

日時:平成27年5月13日(水曜日)13時30分~15時30分
場所:シエロ イ リオ 5階

出席者

委員
梅川 智也 (公財)日本交通公社 理事、筑波大学大学院サービス工学専攻 客員教授
小磯 修二 北海道大学 公共政策大学院 特任教授
根本 祐二 東洋大学大学院経済学研究科 教授
松本 大地 (株)商い創造研究所 代表取締役
御手洗 潤 京都大学経営管理大学院 特定教授
オブザーバー
天河 宏文 国土交通省 都市局 まちづくり推進課長
大岡 秀哉 観光庁 観光地域振興部 観光資源課 ニューツーリズム推進官
山北 和徳 経済産業省 商務流通保安グループ 中心市街地活性化室長補佐

議題

費用負担と合意形成に関する具体的検討(1)

議事概要

1.事例報告

(1)「ファイナンスの観点からみたコト消費」(資料2)

東洋大学大学院経済学研究科 教授 根本 祐二 氏
  • コト消費の概念
    (1)資産の取得をできるだけ伴わないこと、(2)公共が関与していることの2点が重要であり、従来型の公共事業・補助金によって誘発されていたハコ消費を、できるだけ資産に依存しないコト消費に切り替える必要がある。
  • コト消費への示唆
    明らかに官の負担能力に限界がある以上、民が負わなくてはならない。民には、単なる官の補完ではなく、民間ファイナンスとしての知恵が求められる。一方、官は、民に丸投げするのではなく、民の知恵が発揮できるような仕組み作りで応援することが重要である。
  • 事例(1):USJ
  • 事例(2):オガールプラザ
  • 事例(3):プラットフォームサービス(新株予約権)
  • 事例(4):豊後高田昭和の町(優先株)
<質疑等>
  • 紫波町での取り組みは、町として全体的に消費を域内で循環させながら強いチーム作りをしていくという理念の下に始まったのではない。この取り組みは町の財政規模からいうと過大投資であって広域・全国に目を向けないと経済的に成立せず、さらに、外部の商圏を相手にするなら失敗できないといったプレッシャーが成功の原動力にある。
  • 優先株や新株予約といったプロジェクトファイナンスは、まちづくりの分野ではまだ浸透していないが、リスクとリターンがはっきりするようなファイナンスでやっていかないと持続していかないという意識は民間に共通するものである。日本の場合は、もう少しリスク・リターンの関係をはっきりしたミドルリスク・ミドルリターンのものが欲しいので、民が「儲かるからリスクをとってもらえる」ように支援していくべきである。

(2)「生活文化を体験するコト消費」(資料3)

株式会社 商い創造研究所 代表取締役 松本 大地 氏
  • 会場の蔵前エリア
    周辺にホテルやカフェ、メーカーのアンテナショップ、古いビルにインテリアや生活雑貨のお店が集まってきた。川辺をランニングや散歩する人が増え、隅田川を愛でる人々と共に、新しい蔵前のライフスタイルが作られつつある。
  • アメリカ合衆国オレゴン州ポートランド市
    エリアマネジメント組織のPortland Development Commission(PDC)とPortland Business Alliance(PBA)が上手く機能し、環境と経済の両方が持続可能な開発の方向に動き、理想的な都市成長を続けている。市民は「自分たちのまちは自分たちでつくる」という強い当事者意識を持っており、ここでのまちづくりの主役はあくまで住民である。行政は住民のサポート役として、ポートランド市の進むべき方向を長期的に見据えながら、住民の合意を創り上げていく。
  • ライフスタイルと社会的価値観づくり
    中心市街地で住む、働く、交わることで魅力的なライフスタイルがつくられ、シビックプライドが生まれ、ソーシャルキャピタルが醸成される。そこに地域環境保全やコミュニティー、交流、安心安全などが備わり、社会的価値観が向上する街ができる。
  • 持続可能な計画、仕組みによる地域経済循環
    地域社会が繁栄するには、持続可能な地域経済の活性化は不可欠である。コト消費によるヒト・モノ・カネの流れを大切にする。
  • 自然環境と生活文化の融合
    かけがえのない自然環境と生活文化体験を融合させることで、自然を愛でる生活文化が育まれる。地域の定住人口、交流人口増には欠かせない。
<質疑等>
  • サスティナブルなものをサスティナブルに足らしめている所以となるものは、自分たちの町は自分たちで作ろうという意志である。ポートランドでは行政と住民が一緒にビジョンを作っていったため、民も官も当事者意識を持ち、ボトムアップでまちづくりが行われている。そのため、BIDは資金的にも上手く回っている。
  • ポートランド市においては、色々な組織がある中で、PDCとPBAが主にエリアマネジメントの役割を果たしている。PBAはどちらかというと日本の商工会議所のような役割で美化と治安維持をしている。PDCは半官半民の都市計画を主導している組織で、運営資金を生み出していく方策を練っている。

2.事務局説明(資料4)

  • マネジメント組織の機能と公的な位置づけについて、既存の組織を抽出し(商業地域、観光地域)、組織の権限、事業類型、財源について整理した。組織と調達する財源の関係、組織の提案権など、コト消費空間づくりの組織のあり方の検討材料となればと考える。資金の使い道で、補助金は持続的に使えるようにし、民間財源などを組み合わせることが望ましい。
  • マネジメント組織(権限、責任)、財源、人材の関係について、4つの項目が循環していくような仕組みを作り上げていくことが重要と考える。釧路市の事例では、入湯税を財源に基金を設け、出し方(事業内容)を検討し、観光地整備のための駐車場整備、空き店舗活用、おもてなし事業などに使っている。大阪市の例では、分担金方式で徴収し、都市利便増進施設の整備などを行っている。
  • コト消費空間づくりを実現するための公的資金の自主財源として、法定外税、入湯税、分担金、補助金、交付金、委託費等がある。入り口としての入湯税、法定外税、分担金を比較すると、受益と負担の関係に違いがある。法定外税は目的を課し、入湯税も観光振興という特定の目標があるが、分担金の場合は、受益と負担の関係が明確であることが必要となり、定量的に示していく必要がある。法定外税は、納税義務者の所在する地域で限定した事例はなく、これが可能かどうかを確認していく必要がある。分担金は地区を限定して徴収することができる。
  • 英米の事例では、BIDの設置に地権者等からの合意を求めることが制度上決められている。日本も開発事業に一定の規定があるが、訴訟リスクをどう押さえるのかという点に慎重である。
  • マネジメント組織に対する資金の出し方について、委託費は行政の事業のアウトソースであり、補助金と交付金は、マネジメント組織や民間組織のやりたいことを支援する制度であるが、補助金は収益納付となる。
  • 資金の徴収と受け渡しについて、入湯税や法定外税は幅広い使い方が可能となり、補助金や交付金としての受け渡し方法も広がる。分担金は定量的なところがあり、委託費に合致している。
<討議>
  • BIDとそれ以外の組織(観光協会、都市再生特別措置法や中心市街地活性化法の組織)には違いがある。BIDは責任が明確で、直接的な提案などを行う組織であり、研究会として追及する価値がある。
  • BIDはビジネスであり、オフィスワーカーやディベロッパーにもメリットが必要。街がきれい、楽しいという場所に、これからはオフィスも集まってくると思われる。
  • 受益に関する例として、ゴミの自動収集装置が老朽化したが、住民の賛同をほとんど得られず、再整備されないという所があった。税制のようにサスティナブルな仕組みがなかったことが原因。
  • サスティナビリティについて、日本では税制が一番よいと思うが、各地域が財源を確保していくための知恵を出しいくという姿勢が重要である。また、公益性が担保できるかが課題である。新たな組織をつくるのではなく、既存の組織を活用し、そこにサスティナブルな資金が入り、マネジメントしていく必要がある。
  • 補助金と交付金の違いはどこか。プロモーションなどにどこまで公益性が出せるのか。
    (回答)補助金と交付金は収益方法が異なるが本質的な違いはない。委託費は補助金より自由度が高い位置づけ。補助金と委託費は、いったん行政の財源に入ることになる。
  • 受益について、受益者から直接地域に結びついてこなくても、例えば、事業利益が土地に帰着し、土地の価値が上がるという循環もある。どちらを受益者と考えるかによる。
  • 海外のBIDの訴訟の事例はあるか。
    (回答)アメリカで、地権者不在であったが、BIDが成立した途端にクレームが付くという事例はあった。ポートランド市では、BIDにより公共空間の整備で街がよくなり、住民との協議もスムーズで訴訟は聞いたことがない。
  • 地域のリソースを最大限に活用し、地域が満足する仕組みを整えていく必要がある。地域のリソースを使うという観点において、公益性の説明も可能になると考えられる。
  • 研究会の進め方について、各地域が置かれている状況、事業の進展に応じて、どのようなスキームが役立つのか、どのような参考事例があるのか、といった観点で整理していくのも大事である。
  • 自主財源の3要素(網羅性、自立性、持続性)について、重要なのは、3つの要素の関係性である。釧路市の入湯税は、徴収された税収は釧路市の財源となり持続性は担保できるが、自立性とは相反する関係となる。加えて、本日の議論で、安定性という概念が出てきた。訴訟リスクを抑えることも同時に必要である。
  • 税制や制度論だけでなく、地域のストーリー作りも含めて、コト消費のハード面、空間作りも考え、それに必要な制度や財源を組み合わせるという考え方を持つべきである。基本的には、新たな制度を作るのではなく、今ある分担金や法定外税の制度を活用していく。
以上

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最終更新日:2015年6月22日
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