経済産業省
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コト消費空間づくり研究会(第4回)-議事要旨

日時:平成27年5月26日(火曜日)13時30分~15時30分
場所:虎ノ門貸会議室・中会議室A

出席者

委員
梅川 智也 (公財)日本交通公社 理事、筑波大学大学院サービス工学専攻 客員教授
占部 裕典 同志社大学司法研究科 教授
小磯 修二 北海道大学 公共政策大学院 特任教授
根本 祐二 東洋大学大学院経済学研究科 教授
松本 大地 (株)商い創造研究所 代表取締役
御手洗 潤 京都大学経営管理大学院 特定教授
保井 美樹 法政大学 現代福祉学部・人間社会研究科 教授
オブザーバー
大井 裕子 国土交通省 都市局 まちづくり推進課 まちづくり企画調整官
大岡 秀哉 観光庁 観光地域振興部 観光資源課 ニューツーリズム推進官

議題

費用負担と合意形成に関する具体的検討(2)

議事概要

事務局からの発表内容及び「コト消費空間づくり研究会取りまとめに向けた論点」(資料2)に基づき、意見交換が行われた。主な議論は以下のとおり。

1.論点1

「従来に無い横断的なコト消費空間作りの取り組みとして海外事例等を参考に、どんなことが考えられるか。」

  • コト消費空間づくりによるビジネスとしてのメリットを具体的にわかりやすく伝えていくことが重要。(1)自治体、事業者等への上手な伝え方、(2)コト消費空間づくりの全体像を描いてリードしていく人材の確保、の二つが特に重要である。コト消費の対象地域は、大都市部、地方都市の中心市街地に限定できると考えられる。都市観光をテーマとし、“生活文化”をキーワードにコト消費と関連させ、地域経済とのリンケージをつくっていくことが重要となる。欧米に比べるとパブリックアメニティが不足しているので、コト消費で充実できるとよい。
  • 研究会で取り扱うコト消費空間とは、複数の主体が集まり、あまり広くない受益の範囲(町の一部)を対象とすることが想定される。具体的には商店街やタウンマネジメントなどで、町全体ではなく、一部の地域が対象となり得る。また、誰のためのコト消費空間づくりなのかを考えていくべき。
  • 長浜の中心地は2区画程度であるが、そこが集客拠点となることで、周辺地域も活性化している。コト消費空間は限定的であっても、周辺に波及効果がある。倶知安や阿寒湖などは行政区としては離れた場所に位置するが、コト消費空間としては中心的な役割を果たしている。
  • 制度作りの留意点として、細かく作りこむことで逆に使いにくくなることも懸念される。海外のBIDでは、制度導入前はファンドレイジングで時間が費やされていたが、徴収制度ができたことで、事業に打ち込めるようになっている。日本で導入すると、交付金や補助金事業では、使途が限定されるようになり、事業を行いづらくなってしまう。コト消費空間づくりのモデル事業では、自治体が伴走しながら、サポートしていくことが望まれる。
  • 観光地の現場ではコト消費の議論は進んでおらず、研究会とのギャップを感じている。従来の消費に比べて、消費の単価が上がる、観光客や従業員の満足度が上がる、ビジネスを展開できるなどのメリットを示すことが望ましい。

2.論点2

「コト消費空間作りの取組と成果の関係をどう考えるべきか。(ROI、BbyC等の観点から)」

  • ROIは、プロジェクト毎に考えていくべきである。何のためにコト消費空間を作り出すのかという原点に遡り、地域の人がKPIを考えていく。例えば、地域に役立つ図書館の整備にかかる指標は、蔵書の貸出し数ではなく、子供の地元歴史検定の合格者数になるだろう。コト消費を何のためにやるのか、求めるべき成果は何なのか、公共サービスの原点を公務員が考えていくべきである。
  • 制度と連動すると、達成が見込まれる成果しか設定しないという状況もあるのではないか。表面的な成果とならないようにきちんとした議論が必要。ニューヨークのBIDでは、四半期とか半年といったタームで、地価などのかなり細かいデータを収集し、公開している。状況の変化を関係者に見せることが重要である。
  • コト消費空間の指標は、地域の雇用や消費、売り上げに繋がっていくという視点であろう。結局は、お金が儲かるか否かを、経済の活性化の枠組みの中で整理すべきではないか。
  • その場合、範囲をどこまで取るかが論点となる。利益が関係者の中に留まるのか、将来的に税収として返ってくることまで想定するのか、あるいはその手前の範囲で、事業者の利益に限定していくのか。お金だけでなく、アウトカムの見せ方が重要であると考える。

3.論点3

「成果を踏まえた取組を実施できる人材確保はどう考えるべきか。」

  • コト消費空間づくりをリードする人材は、民間で体験をしてきた人、業績を積んだ人、様々な物を結びつけるネットワークがある人材が望ましく、プランニングから事業実施まで関わり、プロデュースできる人がよい。
  • マネジメント組織は、どのような機能を持つべきなのか、認定の基準も必要。また、地域内に複数のマネジメント組織がある場合はどうするのか、どのような権限を与えるのか、課題はたくさんある。優秀な人材を確保するには財源も必要である。人材確保について、公募で外から集めるなど努力はみられるが、実際は、地域で生まれ育った人材が携わることが望ましく、それを育てる教育のシステムが求められる。外部人材は定住するか分からず、不安定である。
  • マネジメント人材の要件は、企画力があり事業を実施できる、多くの人をまとめるコミュニケーション力がある、コト消費空間づくりの主旨を理解している、などが考えられる。具体的には、地元のまちづくり関連の会社から人材を連れてくる、ある程度の人間関係のある若い人材を連れてくる、などの方法があるのではないか。
  • まちづくり団体(600団体)へのアンケート調査を行ったことがあるが、専属の人材を雇用している団体は半分程度であった。専属人材がいる方が、組織のパフォーマンスが高い傾向がみられる。求められる人材は、主体的に行動でき、新しい事業を展開できる人材。地域内では、大学生でまちづくりに興味を持つ若手人材、リタイアしたシニア世代、子育てを行う女性などを活用していくことも考えられる。加えて、中心市街地活性化、観光、まちづくり、ソーシャルビジネスなどの専門的なノウハウを持ち、全国各地の事業に助言できる人材も求められる。このような、(1)地元人材、(2)プロフェッショナル人材の2層構造でコト消費空間づくりを行う仕組みが大事であり、その人材のマーケット構築も期待される。
  • ある程度適性を持った人材が確保されても、地域側で受け入れる環境がないとうまくいかない。財源も含めて、人材を育成していく環境づくりが必要である。
  • 地域の金融機関では人材育成や環境づくりのサポートは困難。金融機関は、信頼性を担保にお金を貸し、気合いや情緒などでは、お金は貸せない。一方、マイクロファイナンスのように、地域相互の信頼関係を担保にする金融システムもある。
  • マネジメント人材について、アメリカでは、シティマネージャーという人材がおり、市長の10倍の給料をもらう。極めて高度な専門知識を持ち、利害関係を持たずに地域に関与できる外部人材がなる。利害関係のしがらみがないためマネジメントができ、地域に入り込み過ぎない独立性を持つことで、客観性のある業務を行う。・アメリカでは、人材を育成する必要は必ずしもなく、民間が育てた人材をうまく引き抜くことが現実的である。一方で人材を再生産していく仕組みも必要で、自治体単位では難しいので国で考えていかなければならない。

4.論点4

「安定財源としての法定外税・分担金の導入をどう考えるか。特に、地域を限定する考え方(課税客体の考え方)と、財源の時系列的な展開(基金orファンディング)について」

  • 誰のためにやるのかが出発点である。コト消費の3要件が揃うことが前提であり、その上で安定財源を確保するための議論が始まる。法定外税、分担金などが財源として想定されるが、(1)誰が税又は分担金の負担者であるのか、(2)受益者は誰か、(3)特別徴収義務者は誰か、の3点を明確にし、受益との関係で整理する必要がある。
  • 応益的か、応能的なかけ方をするのかによって、安定財源としての法定外税の作り方が異なる。入湯税は応能的な税で、遊漁税は応能的で消費税に近い。応能的なかけ方をすると法定外税もいろいろ考えられるため、コト消費の3要件に沿って、ある程度具体的な税が提案できないかと考える。
  • 地域に限定的に課税する考え方は、地方税法第7条の条文上は可能なようにみえる。ただ実際には、地域外の人との公平性などの問題があり、現実的には難しいのではないか。課税客体や納税義務者の絞りによって、結果的に地域限定になって、コト消費の3要件を満たす地域に対して課税していくというのが望ましいのではないか。
  • 安定財源でいうと、都市再生推進法人などを活用するのか、基金や条例などを作るのかという論点もある。海外のBIDでは組織そのものに課税権や強制徴収権を与えているが、日本の法体系の中では難しいのではないか。最初は、法定外税からスタートし、実績を積んだ段階で、受益者に対する分担金に移行していく手順が考えられる。

5.論点5

「新しい仕組みとなるため、構築にあたっては、地元行政(特に首長)の覚悟も重要になると思われるが、その対策はどう考えるべきか。(国がどのようにフォローしていくべきか)」

  • 地方創生において、地域が主体的になり、それを支える国の制度ができるのか、期待と不安がある。釧路市阿寒湖の入湯税では、地域限定にかかる説明責任がポイントとなった。議論を重ね、結果として地域限定になった。地元行政にかなりの覚悟がないとできない。財源について、基金条例は制定されたが、運用はこれからである。基金の使途の決定は、検討会のシステムを導入してこれから行っていくところであるが、検討会メンバーの属人的な判断に左右されないよう、評価のシステムを作っていく必要がある。釧路市で入湯税を導入するにあたって、河口湖の遊漁税の事例を研究した。遊漁税では、富士河口湖町だけではなく、隣町など複数の自治体を制度化した。コト消費においても複数の地域に課税することも想定して制度設計する方がよい。
  • 法定外税は、行政区域をまたぐ場合、広域的に同時に導入する必要があり、自治体の連携も必要。自治体は訴訟リスクを考えると安全なところに落ち着く傾向がある。
  • 強制徴収は、合意形成の観点からいうと、あまり良いところがない。会費としてしっかり徴収できる、といった点が基本である。法定外税による強制徴収は、地域の合意が取られていることを前提に、ステップアップの後に行う方が良い。
  • 強制徴収については、合意形成がないと導入できない。会費制の不安定さもあるので、それを法定外税や分担金で制度化していくことも必要だろう。来訪者から協力金というかたちで徴収する方法もある。
  • 新たな経済振興の施策は、経済団体、観光協会、民間でもしっかりと検討してもらい、制度に反映するのがよいのではないか。大阪は、関西経済連合会が制度化に関わっている。イギリスでは、広域での官民連携の仕組みがある。

6.その他

  • 地方創生では、地域間の競争、地域内の地区間競争を促そうとしているのではないか。地方創生では全ての地域を救うことはできない。メリハリを利かせるもので、そこには公平性ではなく、えこひいきを認めるという考えを法的な裏づけのもとで出していかないといけない。金融では、頑張る人の担保価値が上がり、公平性はない。地方創生でも金融のメカニズムの応用が利くと考えられる。地区の中で、必要な資金を地域内で集めて、それを担保にしてレバレッジを利かせ、お金を調達する手法もある。初期投資の資金をBIDで集めても良い。制度が無くてもやっているところもあるし、制度があればもっと良いものができると考えられる。
以上

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最終更新日:2015年6月22日
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