経済産業省
文字サイズ変更

コト消費空間づくり研究会(第6回)-議事要旨

日時:平成27年7月1日(水曜日)14時00分~16時00分
場所:経済産業省別館1階114各省庁共用会議室

出席者

委員
梅川 智也 (公財)日本交通公社 理事、筑波大学大学院サービス工学専攻 客員教授
占部 裕典 同志社大学司法研究科 教授
小磯 修二 北海道大学 公共政策大学院 特任教授
御手洗 潤 京都大学経営管理大学院 特定教授
オブザーバー
天河 宏文 国土交通省 都市局 まちづくり推進課長
大岡 秀哉 観光庁 観光地域振興部 観光資源課 ニューツーリズム推進官
熊川 康弘 経済産業省 商務流通保安グループ 中心市街地活性化室長

議題

研究会取りまとめ

議事概要

1.事務局説明(資料2)

(1)コト消費の意義

  • 従来のまちづくりや商店街振興では、まちにひとを呼び込むのは公共投資に頼っていて、自分たちの資本で自立的にひとを呼び込む構造になっていなかったため、ガバナンスが効きにくい状態になっていた。
  • 個々の店舗だけでなくBIDのように地域レベルで取り組むことで魅力的な空間づくりができていく。公共インフラ、公共施設、集客イベント等、商工業者間の互助、住民コミュニティといったものをまちづくりにおいて俯瞰的にデザインしていく取組が重要である。
  • こうした、従来のモノを買う、あるいはハードウェアの公共投資といったモノ消費から、サービスや経験といったものにお金を払うコト消費への転換はマクロ経済的にも重要である。

(2)コト消費空間づくりの進め方

  • コト消費空間となるための要件としては、(1)個店が集積してコト消費が生まれていること、(2)エリアとして人が楽しめるようなまちができていること、(3)それらが融合して一体的な空間(景観)形成が行われてることが挙げられる。

(3)コト消費空間づくりの効果的な推進体制

  • 効果的なコト消費空間づくりの要件としては、(1)公物と私物を一体的に管理していくこと、(2)個店レベルで取り組むのではなく、連携して複数の事業を戦略的・統一的に展開すること、(3)マネジメント人材の存在と育成が挙げられる。
  • 安定的な財源確保のための自主財源の要素には、(1)網羅性、(2)自立性、(3)持続性の3つがあり、実施例としてアメリカでは1,000を超えるBIDなどがある。こうした仕組みを日本に導入していく場合、(1)人材確保、(2)財源の確保、(3)公的な位置付けと権限の付与が必要である。

(4)地域の協同システムの構築

  • 様々な地域性や取り組み方があることから、法定外税と分担金において受益者と負担者を単純に結びつけた関係性は示せず、一般論としてモデル化していくには限界があるため、個々の具体的な事例で検討し、積み上げていく必要がある。
  • 分担金の合意形成は、全員合意が事実上の要件であるが、「全員」が誰を指すのかはっきりしていない現状があり、どういう場合にどれくらいの同意者が必要なのかといったことを明示していく必要がある。
  • コト消費空間づくりに係る事業について何らかの評価をしていく必要性があり、実際にアメリカでのBIDでも評価制度がある。

(5)人材確保のための環境整備

  • エリアマネジメントの中での人材確保のイメージは、公物管理業務やBtoBやBtoCの事業、協働事業の収益の中から、人件費を計上する。事業費に対する人件費の割合は概ね30%程度と想定される。

(6)横断的取組を阻害する諸規制へのアプローチ

  • マネジメント組織が活動する中で公物管理は難しいと一般的には言われているが、実際には法律等に規定されていることは緩和されてきている。ただし、法律に条例の上乗せがかかっていて規制が強化されていたり、法律上、規制が緩和されていることを自治体が十分に理解していなかったりすることもあるため、地元の規制機関とのコミュニケーションが必要である。このように、課題解決のために法律の改正が必要な場面は実際には少なく、現場での運用が課題であるケースが多い。

(7)コト消費空間づくり促進のための政策の方向性

  • 一般的なモデルとして示すのは難しいので、それぞれの地域での課題・問題に対応していく必要がある。
  • 既存の制度を活用しながらイニシャル・コストを国が措置し、ランニング・コストを地域が設計していく必要がある。
  • 既存の法律の枠組みでコト消費空間づくりをする中で、現状では共通解を見出すことは難しいものの、個別解の集積から研究していく必要がある。

<質疑等>

(1)事務局提出資料(資料2)について
  • 実際に地域にコト消費の枠組みをおろした時に、コト消費へのビジョンがなければ動かない。既存の主体や制度で取り組んでいくことには限界があり、これを打破しようとする新しい空間設計・制度設計への挑戦であるということをアピールしないと、地域のやる気が起こらない。マネジメント主体が誰なのかにもよるが、市町村のリーダーシップも大事なので、市町村へのメッセージがあってもいい。コト消費というキーワードそのものの是非も含めて、心に刺さるような言葉がないかを今後検討したい。
  • 新たな財源の導入は、安易な視点に立ちがちなので、正しく誘導できるようにブレーキをかけなければならないが、分担金や法定外税が安定財源であることはアピールすべきである。安定財源であるということが担保できれば、それをレバレッジとして新たな金融も可能である。
  • 釧路市のようにある程度、観光をイメージして法定外税を作ったケースは本当の意味で先進的な例である。法定外税は、既存税を使った上で考えるものであり、釧路市はその意味で良い例である。阿寒湖の独自財源はまだ様々な課題に対応している段階であり決して万全の成功例ではないので、一連の流れを見る必要はある。地方自治体の条例の枠内で何ができるかを考えていくこと自体に意義がある。
  • 事業者が分担金や法定外税を活用する際には、お金の出入りに関して公益性が求められるが、そもそもコト消費空間づくり自体の公共性を明確にしなければならない。お金の流し方(補助金、交付金など)によって公物・私物と一つにまとめた整理は可能かもしれない。
  • お金の流し方は業務委託や指定管理者制度といった方法になるので、補助金から収益が上がることは基本的に想定していないが、もし上がった場合は返金になるのが原則である。地方自治体の補助金も同様に対処していくのか整理する必要がある。
  • 海外BID(特にアメリカ)は国と地方の課税権の関係が日本とは全く別で、連邦税と州税の関係は状況が違うので参考程度にしかならない。固定資産税の不均一課税は、条文としてあっても原理的には使えないため触れていない。
  • 例えば宿泊税が作れない場合に、現実にコト消費としてどのような分担金がつくれるのか。入湯税と宿泊税、地方消費税はそれぞれの課税客体が被らないようにしなければならない。ハワイの例では、地域の人がお金を出したBIDの予算で案内所の設置や歩道の緑化の管理などを行っている。一方で、日帰りの観光客が多いところでお金を取るのは難しい。ニセコではスキー場のリフトの売上から、河口湖での遊魚税では釣り客からお金を取っており、このような日帰り型の所でも象徴的な活動があるのであれば可能である。そもそも観光客が集まらない場所では、法定外税よりもある程度の分担金のベースを増やさなければならない。このようにそれぞれの場所で考えていかなければならない。
(2)今後の方向性(資料3)について
  • 個々の地域へのメッセージ(国がどういう支援をしていくのか、自治体はどういう支援が受けられるのか)の情報サービスの提供が必要になってくる。そして、地域へのサポートに当たってどういう需要があるのか。国の政策としてその取組がどういう意味があるのかを示していかなければならない。
  • バリエーションが様々で、コト消費空間づくりの可能性レベルがばらばらである。今回のコト消費空間づくりは情報発信をしていく際にも、この可能性レベルについて、ある程度ターゲットを絞っていかなければならない。それに応ずるモデルケースも提示していくと良い。
  • 自治体や民間事業者のやる気を出させる仕掛けづくりが必要である。ソーシャルキャピタルもエリアマネジメントの重要な要素であることを意識すべきである。
  • 投資をいかに呼び込むかが大事である。海外では外部資本をいかに呼び込むかの研究が進んでいるので、参考になるものがある。倶知安町のように外部資本に対する対応の問題もあるが、外部資本はエリアマネジメントに参画していないのが現状の課題である。うまく外部資本が入ってこられるようなモデルを構築しなければならない。
  • エリアマネジメントにおける法人の立ち位置やそもそもの主体について、また法定外税や分担金はお金の出入りの公共性の強弱度合いの判別についてまだ整理するべき部分がある。条例でどこまでできるかがはっきりしないため、個別の事例を当てはめていく演繹的なアプローチよりも、個別の事例を積み上げていく帰納的なアプローチで分担金の概念ができていく。実際に制度化していくならば様々なケースに関して、分類・整理して発信できるものを目指さなければならない。
以上

関連リンク

お問合せ先

経済産業政策局 地域経済産業グループ 地域新産業戦略室
電話:03-3501-8794
FAX:03-3501-7917

 
 
最終更新日:2015年8月11日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.