経済産業省
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高速炉開発会議(第1回会合)‐議事要旨

日時:平成28年10月7日(金曜日)15時10分~15時55分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

世耕 経済産業大臣(議長)、松野 文部科学大臣、児玉 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 理事長、勝野 電気事業連合会会長、宮永 三菱重工業株式会社代表取締役社長

議題

  1. 高速炉開発の意義と国際動向について
  2. 高速炉開発のこれまでの経緯と教訓について

議事概要

議長である世耕大臣の司会により、議事が進行された。冒頭、各出席者からの発言の後、2つの議題毎に議論が進められた。

議題1:高速炉開発の意義と国際動向について

事務方(資源エネルギー庁)から資料を説明。メンバーから、冒頭発言も含めて、以下のような発言があった。

  • 資源に乏しい我が国として、エネルギーの安定的かつ低廉な供給と気候変動問題への対応を同時に実現していくためには、安全最優先で取り組むことを大前提に、原子力は、どうしても欠かすことができない。
  • 原子力の利用を続ける以上、核燃料サイクルとも正面から向き合わなければならない。高レベル放射性廃棄物の問題、資源の有効利用、技術・人材の向上や世界の安全への貢献といった点に思いを致せば、核燃料サイクルとその実現のための高速炉開発もまた不可欠。
  • 高速炉開発に関するこれまでの様々な議論を踏まえれば、「責任の自覚」と「連携の強化」という2つが重要なキーワード。国、研究者、メーカー、電力が、それぞれが果たすべき責任を自覚し、全うする覚悟が求められる。相互に連携して大きな方針を共有し、高速炉開発の今後の道筋を描かなければならない。
  • 我が国が、今後も引き続き、核燃料サイクル政策を継続し、高速炉の実用化を確実に推進していく上で、どのような道筋がより合理的なものであるのか、この高速炉開発会議において御議論いただき、特に、実証炉の実現に向けた道筋について、しっかりと具体化していただきたい。また、その中で、「もんじゅ」や「常陽」、その他の研究施設、設備がどのような貢献ができるのかなどについても、あわせて御議論いただきたい。
  • 資源の少ない我が国にとって、将来のエネルギー供給を考えれば、資源の有効活用及び高レベル放射性廃棄物減容の観点から、高速炉の開発は、電力の安定供給を担う立場としても、大変に意義のあるもの。
  • 高速炉開発や原子燃料サイクルの実現は、数十年先を見据えた中長期の確かな戦略をもって、官民が意識を揃えて取り組んでいくべき政策課題であり、その重要性は従来から変わっていない。
  • 「高速炉開発会議」が設置され、国としても、今後の高速炉開発を着実に進めていくため、「一歩前に出る」という姿勢を示していただいていると感じている。
  • 高速炉が商用化された段階で、運転者としての役割を担うのは、時の電力会社に他ならない。
  • 議長でもある世耕大臣から、大変に力強い御挨拶をいただいた。国としても、高速炉開発の「ギア」を一段上げ、リーダーシップを取っていくという決意表明と受け止めた。
  • 高速炉は重要な国家基幹技術であり、国際競争も激しくなる中で、我が国として必ず保持し続けるべき技術体系。
  • 我が国における高速実証炉研究開発の中核メーカーとして、これまでの実績と蓄積した技術を踏まえ、この高速炉開発会議における今後の方針の検討に当たって、積極的に参画してまいりたい。関係各者とも認識をしっかりと共有して、ともに力を合わせて、高速炉サイクルを可能とする技術開発の実現を図ってまいりたい。
  • 高速炉は、長期に亘るエネルギーの確保の観点から、資源制約を解消しうる将来の有力な選択肢の一つであり、我が国の高速炉の実現に向け、開発を継続する必要がある。
  • 将来の日本のエネルギーセキュリティ問題、及び放射性廃棄物の減容に関して、高速炉及び高速炉サイクル技術は非常に有効で必要不可欠なもの。
  • 実験炉「常陽」や燃料供給施設の運営、実証炉向けの研究開発、ASTRIDにも取り組んでいる。今後とも、我が国の高速炉サイクル技術の開発を担う主体として、研究開発に取り組んでいく。
  • 我が国は資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から核燃料サイクルを推進しており、その効果を最大化する観点からは、プルサーマルによる当面の軽水炉サイクルのみならず、高速炉サイクルの実現が不可欠。
  • 原子力関連の人材確保が課題になっていると聞く。この会議が高速炉開発の道筋を明確に示すことは、高速炉をシンボルとして、それのみならず原子力に関わる研究の魅力を高め、学生や若手技術者のモチベーションの向上にも繋がるのではないか。国際的にもバイ、マルチで進んでおり、その中で我が国が貢献できる分野もあると確認できた。
  • 我が国として技術・人材基盤を維持していくことの重要性は増していくのではないか。
  • プルトニウム・バランスについては、保有するプルトニウムを長期的に消費できる解決策として高速炉開発を国際社会に示すことは重要。余剰なプルトニウムを持たないという国際方針に従い、対処していくべき。
  • 国内高速炉開発ができる能力を確保していくことが重要であり、技術・人材の面で日本の高速炉開発の有効な手段として国際協力の場も活用していきたい。
  • 諸外国においても、高速炉開発が着実に進展している。フランスのASTRID計画は言うまでもないが、ロシアは昨年12月、BN-800という実証炉の発電を開始した。また、中国、インドといった国々も、着実にプラントの建設を進めている。
  • 世界各国の高速炉開発の動向について、国際社会の中で日本の実力を示す一つの例として、安全設計要件の国際標準化が挙げられる。原子力機構は「常陽」を用いた自然循環試験など高い実績と知見を背景として、第4世代原子炉国際フォーラムの場など、日本がタスクフォースの議長を務めるなど、海外機関の専門家との協力関係において主導的な立場を確保しており、その具体化を図った安全設計指針の策定が国際的に進んでいる。我が国は、米国と仏国との協調を図るとともに、IAEAやOECD/NEAの各国規制機関からなる委員会とも議論を進めている。さらに、ロシアやインドとの関係も含めて、各国からの期待も大きくなっている。
  • 近年、「もんじゅ」の保守管理の問題があった。また、福島第一原子力発電所事故を踏まえた新規制基準への対応、国際協力の進展など、高速炉研究開発をとりまく情勢には大きな変化がある。
  • 福島事故後、自由化も相まって事業環境は大きく変わり、現状は大変に厳しい経営環境に直面している中ではあるが、そうした中でもなお、将来を見据えて、関係者の皆さんと意識をきっちり揃えて、この場での検討に主体的に参加してまいりたい。
  • 中核メーカーとして、国家基幹技術の開発を担っていることを強く認識し、これまで蓄積してきた技術を踏まえ、当該開発会議にて策定された開発方針に従い、国内に高速炉サイクルを実現できるような技術を確立すべく、しっかり取り組んでまいりたい。
  • 開発については、途切れることなく一貫性を持って進めることが大事であり、開発に携わる人や技術を維持しながら進めていくことも重要。原子燃料サイクルについては、エネルギー基本計画にもあるとおり、地元をはじめとする皆様の御理解を得ながら推進していくものと認識しており、プルサーマルをはじめとした取組について、最大限努力してまいりたい。

議題2:高速炉開発のこれまでの経緯と教訓について

事務方(資源エネルギー庁、文部科学省)から資料を説明。各メンバーから以下のような発言があった。

  • これまで、基礎研究から高速実験炉「常陽」、プルトニウム燃料製造、さらに高速増殖原型炉「もんじゅ」による、高速炉プラント技術、MOX燃料関連技術、ナトリウム取扱い技術などの技術開発を通じて、将来の高速炉の実用化に不可欠な様々な知的、人的資源を創出、育成してきた。
  • 高速炉については、実用化のため、安全最優先で、国際協力をしつつ、「もんじゅ」を用いた研究開発と、革新技術の研究開発を車の両輪として進めてきた。
  • 「もんじゅ研究計画」に示された残されたミッションを遂行することは機構職員は使命であると信じ、高速炉開発の実用化に必須なものであるとの思いを抱いて、真摯に業務にあたってきた。
  • 常陽、もんじゅのエンジニアリングや主要機器の設計・製作・現地工事を分担させていただき、また、その後の実用化研究などにより、将来の高速炉実用化に向けて、ナトリウム冷却高速炉特有の技術やプラント全般に亘る技術を蓄積してきた。
  • 我が国では、高速実験炉「常陽」及び高速増殖原型炉「もんじゅ」の建設・運転を行い、実証炉の実現に向けて、技術的知見の蓄積を図るとともに、燃料製造や再処理技術に係る研究開発など、様々な取組を行い、世界の中でも高速炉開発の先進国としての地位を築いてきた。
  • 「もんじゅ」は、これまでの設計、建設、プラント運転・保守管理において、高速炉サイクルを確立するための研究開発として一定の成果を上げてきており、その投資に見合う価値がある。
  • 運転開始までに8年、その後8年間運転する場合、「もんじゅ」の運転終了までに係るコストは、5400億円+αと試算した。
  • 我が国も、技術立国として、競争力のある自主技術の蓄積を進めながら、これらの国々と協力、そして競争し、高速炉の実用化に向けた取組を推進していくことが重要。
  • 軽水炉をはじめとした大型プロジェクトについては、まず電力が基本的な仕様を決めたのち、元請会社が竣工・引渡しまでの期間の全体管理を行い、電力はその節目ごとにチェックするようにしている。また、電力各社は、マイプラント意識を持って、品質・安全の向上と、効率化の両立を図り、運営に当たっている。
  • 今後は、国、研究機関、メーカー及び電力の役割や責任といった点をしっかりと議論していく必要があると考えている。体制の検討にあたっては、それぞれが持つ知見・経験を活かしていくことが重要。研究機関には、研究開発を進めてきた実績・知見があり、メーカーにはモノづくり、すなわち、原子力施設の設計・建設のノウハウ・経験があり、これらを最大限に活用できる開発体制としていくことが重要。軽水炉の事業者の立場から軽水炉の運転及び保守の経験を活かし、これまで実用化研究開発(FaCT)においても高速炉開発へ協力してきた実績があり、今後の開発についても、このような経験を活かしながら、開発に協力してまいりたい。
  • 後の我が国の高速炉開発方針の議論にあたっては、「地元のこと、長期的な原子力の将来、国際的な状況をよく考えて、国としてしっかりとした対応を強く求めたい」、「全体の整合性を持って原子力政策の方向性を示していただく必要がある」等の、立地自治体の御意見も十分に配慮して議論を進めていく必要がある。また、政府全体として、今後の議論の内容を含め、地元との間でコミュニケーションを密にしていくべき。
  • 機構の人材やノウハウの活用や、今まで共に歩いてきた地元の期待に応えるという観点も含めて、御議論いただきたい。
  • 今後の議論では、実証炉の実現・高速炉の実用化に向けた道筋について、運営主体の具体化など、「責任体制の明確化」を図っていただけるようお願いしたい。
  • 次の段階に進むためには、これまでの経緯を振り返り、教訓を導き出すことが必要。これからの開発体制のあり方を考える上では、関係者の役割分担や責任の明確化や一元化と、相互の連携強化の双方が重要だと思う。

議論の後に、世耕大臣から以下のような発言があった。

  • 第一に、高速炉開発は、我が国が現在置かれた状況の下でも、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減、資源の有効利用、技術・人材・国際貢献といった面で、引き続き大きな意義が認められる、という点の認識が共有できた。
  • 第二に、核燃料サイクルでのプルトニウム・バランスは、当面はプルサーマルによって確保することが基本であり、国内外へ丁寧に説明していくべきである点も確認できた。
  • 第三に、今後の高速炉開発を検討していく上で、すべての関係者が責任を自覚して、連携を強化していくことの重要性についても認識の一致を見ることができ、大いに意を強くしたところである。
  • 第四に、各国での高速炉の開発が進展する中で、バイやマルチで知見共有を図ろうとする国際協力のネットワークが広がっていることも確認できた。

最後に、次回会合について、世耕大臣から以下の発言があった。

  • 今後の開発をやり遂げていく上で、「実験炉」「原型炉」「実証炉」といった段階毎に、これまで得た知見の回収、新たな知見の獲得をどのような段取りで進めていくべきか、より具体的な議論に入りたい。
  • 「もんじゅ」については、「もんじゅ」の費用についての見積もりをベースに、この費用に対して、得られる効果の議論を詰めていく。

以上

関連リンク

お問合せ先

資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 原子力政策課

最終更新日:2016年10月12日
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