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高速炉開発会議(第2回会合)‐議事要旨

日時:平成28年10月27日(木曜日)17時15分~18時00分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

世耕 経済産業大臣(議長)、松野 文部科学大臣、児玉 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構理事長、勝野 電気事業連合会会長、宮永 三菱重工業株式会社代表取締役社長 等

議事概要

冒頭、世耕大臣、松野大臣から冒頭発言。その後、議長である世耕大臣の司会で議事が進行。

議題1:「高速炉開発の段階毎に得るべき知見」

事務方(資源エネルギー庁、文部科学省)、説明者(日本原子力研究開発機構)から資料を説明。各メンバーから、冒頭発言を含めて以下のような発言があった。

(高速炉開発の段階毎に得るべき知見)

  • 「これまで」の経緯を中心に振り返った前回の議論を踏まえて、本日は、「これから」の我が国の高速炉開発方針案の策定に向けた議論を進める。実験炉、原型炉、実証炉と続く高速炉開発の段階毎に、「これまでどのような知見が得られたのか」を整理するとともに、「今後の知見収集をどのような視点に立って進めていくべきか」といった点に踏み込んで、議論を前に進めていきたい。
  • 我が国では、常陽、もんじゅ、その後の実証炉開発に向けた検討により技術開発を進めてきた。これにより、高速炉に関する人材の蓄積がある。今後の高速炉開発の道筋を描くことは、こうした「知的資産の蓄積」を活用して、将来に向けて「人を活かす」ことに他ならない。
  • 足下の環境変化の潮流をしっかりと踏まえ、拡大する国際協力のネットワークの活用もしっかりと意識しながら、どのように「人を活かして」いけるか。これまで多大なる貢献をしていただいてきた福井県はじめ地元の期待にも十分に応えていけるよう、じっくりと議論いただきたい。
  • 長年、核燃料サイクル政策にご協力いただいている地元からは、国内における高速炉開発とASTRIDとの関係を問う意見や、「もんじゅ」を今後どのように活用するのか、「もんじゅ」抜きで本当に核燃料サイクルが可能なのか、専門家の意見をよく聞いて議論すべき等のご意見をいただいているため、これらを踏まえた議論が必要。
  • 一昨日、「もんじゅ研究計画作業部会」を開催し、これまでに「もんじゅ」で獲得した成果及びこれから獲得が期待される成果について、専門家の立場で、所見をとりまとめた。本日は、これらの内容についてご説明し、検討の土台としていただきたい。
  • 安全や品質を高めていくためには、軽水炉の建設や、運転・保守の経験から、日々の着実な活動の積み重ねが重要。
  • 発電所の現場では、設備の状態を日々観察し、いつもとは違う兆候をとらえ、異常に発展する前に防止措置を図るもの。こうした地道な活動を通じて、安全・安定運転を達成している。原子力関連の事業の推進には、高速炉開発にあっても、地道な活動の積み重ねが必要であり、研究開発で得た技術・経験を着実に蓄積し、さらに高みを目指すという、いわゆるPDCAを回すことが大切。
  • 原子力事業を進めるにあたっては、地元の皆様のご理解・ご協力が必要不可欠。その事業を進める意義や事業者の取組について、地元住民にご説明を行い、ご理解を頂きながら一歩ずつ進めてきている。これからの高速炉の研究開発についても、地元にご理解いただきながら進めていくことが重要。
  • 高速炉開発は、我が国の重要な基幹技術として、実験炉「常陽」、原型炉「もんじゅ」、その後の実用化研究など国家プロジェクトとして進められている。メーカーとしても、説明があった通り、既に我が国は将来の実用化に向けて、これまでの研究成果を実証炉の設計に反映できる段階に来ていると認識している。
  • これまでの高速炉開発において、メーカーは、「常陽」「もんじゅ」の炉心設計や安全評価等のエンジニアリングや、主要機器の設計、製作、現地工事、保守などを分担して、その各段階における技術や人材を蓄積してきた。その後の実用化研究にも参画し、中核メーカーとして、技術の拡充と人材の涵養に努めてきている。
  • 引き続き、これまで得られたものを有効活用し、我が国として高速炉開発を一歩先、つまり実証炉の実現に向けた知見の獲得を図っていくことが重要と考えている。今後とも昨今の環境の変化も踏まえ、安全性や信頼性、経済性等をバランス良く備えた実証炉の開発に向けて中核メーカーとして取組んでいきたい。
  • 高速炉の開発は、実験炉、原型炉、実証炉、実用炉へと、段階的に技術を蓄積・展開してゆくことが重要。この中で実験炉「常陽」については、その成果を原型炉「もんじゅ」に反映させたが、その後も照射炉として、新型燃料や新材料の開発等、様々な基盤データを取得してきた。今後も国内外からの高い期待に応えて、高速炉及び廃棄物低減に関する開発、及び人材育成の観点から、積極的に活用していきたい。
  • 「もんじゅ」については、40%出力運転までを実施したが、これまでの設計、建設、運転・保守管理の各段階において獲得した多くの成果は、実証炉以降の開発に重要な位置を占めるものであり、その投資に見合う価値がある。「もんじゅ」再稼働により、実証炉の安定稼働、経済性などに直結する、有用なデータや知見を取得可能となり、実証炉・実用炉へとつながる開発の近道。原子力機構の人材やノウハウの活用を含めて、「もんじゅ」を活用して頂きたい。
  • これまでの「常陽」および「もんじゅ」の設計、建設、運転等を通して、実証炉以降に向けた、多くの技術的な成果が得られている。「常陽」については、実験炉としての役割を終えた後も、照射試験のための重要なインフラとしての活用が期待されている。また、「もんじゅ」については、運転期間は短いものの、高速増殖炉の発電プラントとしての技術的な成立性を実証しており、高速炉の実用化に向けて、重要な成果と考える。「もんじゅ」が再開できれば、高速炉の実用化に向けて、特に運転・保守に関して有益な知見を獲得することが期待されるが、新規制基準対応等のために、再開までの時間やコストが大きく増加することが見込まれており、これを踏まえた検討が必要。
  • 文部科学省からは、実証炉以降に向けて必要となると考えられる技術開発の全体像について説明したが、これらを材料に今後の高速炉開発の方針について、具体化を図っていただきたい。
  • まず、文科省の審議会において、大変精緻な議論がなされ、もんじゅの成果等について確認していただいたことに感謝したい。今回整理していただいた常陽、もんじゅで得られた知見は、今後の高速炉開発に必ずや有益なものとして活用される。また、常陽が貴重な高速炉の照射施設として、国内外から期待を受けていることも確認した。国内外からの期待も踏まえながら、我が国が有する高速炉の有形・無形の資産の適切な活用の方向性を考えていかなければならない。

議題2:「今後の高速炉開発に当たっての考え方」

事務方(資源エネルギー庁)の説明後、フランス政府関係者から説明があった。フランス政府の説明に関連して、以下のやりとりがあった。

  • ASTRIDは日仏両首脳間で合意した重要なものだが、一部では「重要な技術や知見を本当に得ることができるのか」、「資金を要求されるだけになるのではないか」といった声や、プロジェクトの実現を不安視するような声もある。こうした世論も踏まえた上で、日仏ASTRID協力における日本に対する期待と、日本が取れる知見、プロジェクト実現に向けた考えについて聞きたい。
  • 二国間協力は2014年にJAEA及びMHIの参画により一層強化。これにより相互の技術の交換が可能となるとともに、日本の常陽・もんじゅ、フランスのフェニックス・スーパーフェニックスといった高速炉の経験値の統合が可能になった。フランスとしては現在日本に実施していただいている製造技術検討等の技術分野での協力をさらに拡大させることを希望。これには日本の高い技術的貢献が求められてくる。加えて、ASTRIDはフランス政府により定められたロードマップに従い、順調に進んでいることに留意いただきたい。各フェーズの開始についてもフランス政府がきちんと認可している。
  • CEA、EDF、アレバ等の全てのパートナーはこのロードマップの次のマイルストーンを達成することにコミットしており、2023年末までの調整期間の間にはASTRID建設にゴーサインの意思決定が出せる。
  • また、2015年には、ロワイヤル エネルギー大臣が、プレス発表の場において、ASTRIDの名前を出して、フランス政府の高速炉技術開発への関与を表明していることを改めてお伝えさせていただく。
  • フランスでは、既に実証炉として、スーパーフェニックスの運転経験があるが、運転期間中は、もんじゅも経験したナトリウム漏れ等のトラブルも相次ぎ、大変苦労されたと推察する。そうした経験を踏まえ、なお高速炉開発を継続する貴国だが、これまでに特にスーパーフェニックスの経験を踏まえて得られた教訓や、それを今後のASTRID開発の中でどう活かしていくのか、聞きたい。
  • 我々は世界中の高速炉のトラブルからの教訓をASTRID計画に活かしており、その中にはフェニックスやスーパーフェニックスからの教訓も含まれる。こうした中で、ASTRID概念検討のための革新的なノウハウを開発済みであり、国民受容の形成に大きく貢献している。ナトリウム漏れ検知時間の短縮等がその一例である。原子力エネルギーは多くの恩恵をもたらすことから、フランス国内では良く受け入れられている。ASTRIDの技術に基づく次世代の原子炉は、より多くの恩恵をもたらすことになり、国民理解のさらなる増進につながる。

フランス政府関係者退席の後、以下のような議論があった。

  • 昨今の環境の変化を踏まえ、将来の我が国における高速炉の開発目標やその仕様などを、国、原子力機構、電気事業者などの関係者と連携し最適化を図っていくことになろうかと思う。その目標を達成するための取組みとしては、国内施設の活用を含む国内検討や、フランスASTRID開発プロジェクトへの協力といった国際協力の場を活用することが重要であり、積極的に参画していきたい。その中でループ型、タンク型双方の知見を蓄積することは、実証炉の開発に向けて大変有効な手段であり、これらの開発を途絶えることなく継続し、更に技術力を高めることで貢献したい。
  • 技術開発においては、最新の知見に触れることは大変意義があり、高速炉開発においても同様。国際協力については、その参加等を通じ、高速炉に関する最新知見が得られれば、今後の実証炉の開発にも意義のあるものになり、開発の効率化にも資すると考える。
  • 一方、我が国では、これまで歩んできたループ型炉に関する研究開発の技術や経験がある。こうした貴重な財産と、国際協力をはじめとした取組を通じて得られる新たな知見を組み合わせ、ループ型、タンク型双方の知見を蓄積し有効に活用しながら、今後の実証炉に向けた開発の歩みを着実に進めていくことが大事。
  • また、高速炉が将来的に実用化されるためには、商用電源として、安全であることはもとより、安定して安価な電気を供給できる電源として実現されていることが必要不可欠。このような観点から言えば、高速炉開発を検討するにあたっては、安全性を確保した上で、供給信頼性があること、経済性があることなどの開発目標が必要。
  • 今後の高速炉開発にあたっては、将来のエネルギー需要や放射性廃棄物低減など社会的な要件を反映させた開発目標を明確にすることは、重要な視点。国の開発方針の中で定められる高速炉の開発目標に向けて、「常陽」、「もんじゅ」を通して得られた技術や、今後期待されている成果の継承と人材を育成する観点からも、引き続き開発を継続していく。
  • 世界各国の高速炉開発の中でも、フランスのASTRID計画について、我が国が開発してきたループ型に対して、タンク型という特徴はあるが、必要とされる技術には共通なものも多く含まれることから、「常陽」や「もんじゅ」、AtheNa 等の国内の技術開発フィールドも有効に活用した開発を進めることで、日本とフランスにとって共に有益な成果を挙げられると考えている。
  • 高速炉開発において、国際協力は重要だと考えている。一方で、国際協力プロジェクトには、コスト増加時の資金負担の在り方や、スケジュール管理、知的財産の取扱い、コミュニケーションの問題など、単独開発にはない難しさが伴うことも事実。また、対等な国際協力を進めていくためには、国内において、確固たる技術基盤を維持・発展させることが必要。我が国が、技術立国として、競争力のある自主技術の蓄積を進めながら、海外と協力、そして競争し、高速炉の実用化に向けた取組を進めていくことが重要。
  • 高速炉の実用化に向けて、この分野での優秀な技術者・研究者の確保が必要不可欠。特に、我が国における高速炉開発に係る基盤を維持し、さらなる研究開発を進めていくためには、東日本大震災以後、不明確になっている、実証炉以降の将来炉の開発の道筋を、できるだけ具体的に明らかにしていくことが必要。
  • 今後、早急に実証炉の開発目標を具体化するとともに、新たな知見の獲得や実証炉の開発を、どのような体制、手段、スケジュールで行うのか、この会議でしっかりと議論し、明らかにしていただきたい。
  • 高速炉の実用化に向けた技術開発を進めていくに当たって重要な視点に関する意見をいただいた。今後の高速炉開発方針の具体化に向けては、これらの視点をしっかり欠かさずに持って行くことが必要。
  • 高速炉開発方針を具体化していく際には、技術開発の手段を明確化させるとともに、目指すべき方向性、目標を明確化していくことも不可欠。福島事故を契機として、原子力の安全性の重要性がより一層高まった中で、現在の原子力政策を巡る状況を踏まえながら、安全性、核不拡散、環境適合等の様々な観点でいかなるコンセプトを目指していくか、方向性を見出していきたい。
  • 特に、今後、高速炉開発を進める一つの重要な手段として国際協力を活用する際、我が国がその協力を通じて重要な技術的知見を獲得できる、あるいは有意義な人材育成に繋がることを確保しなければならない。

以上のような議論の後に、世耕大臣から以下の発言があった。

  • 「常陽」「もんじゅ」について、相応の知見獲得がなされており、その知的・人的蓄積は我が国として貴重な資産である、という点の認識が共有できた。
  • 過去の蓄積を最大限に活用して知見回収を進めつつ、新たな知見を獲得し、我が国として実証炉に向けた開発の歩みを着実に進めていくことが重要。そうした認識に立てば、「常陽」「もんじゅ」での経験を含め、これまでに我が国で蓄積した技術的知見によって、実証炉の設計段階に向けた開発に着手していくことは十分に可能である、ということも確認できた。
  • 高速炉開発を今後効率的かつ着実に進めていくには、その手段として、国際協力を活用していくことが有意義であることも確認できた。また、フランス原子力・代替エネルギー庁からは、ASTRID協力への我が国の関与に対する期待を述べていただいた。ASTRID協力は、我が国として、今後の交渉をしっかりと進めることを大前提に、効率的に高速炉開発を進め、また、最新の知見を吸収する上でも重要な機会の一つ、との認識が共有できた。
  • 安全性や経済性向上といった昨今の環境変化を踏まえ、実証炉の開発に当たっての「開発目標」「具体的なスペック」など、震災前に前提としていた具体的な段取りを再精査していく必要があることも課題として認識された。

最後に、次回会合について、世耕大臣から以下の発言があった。

  • 今後の実証炉以降の開発に向けた具体的な段取り等について御議論いただき、できるならば、とりまとめに向けた「大きな方向感」を共有するところまで進めたい。
  • なお、この高速炉開発会議の場で精緻な議論に馴染まない技術的な詳細については、事務局においても整理を進め、次回、報告できる点については別途報告をさせたい。

以上

関連リンク

お問合せ先

資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 原子力政策課

最終更新日:2016年10月31日
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