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高速炉開発会議(第3回会合)-議事要旨

日時:平成28年11月30日(水曜日)7時30分~8時15分 
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

世耕 経済産業大臣(議長)、松野 文部科学大臣、児玉 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構理事長、勝野 電気事業連合会会長、宮永 三菱重工業株式会社代表取締役社長 等

議事概要

冒頭、世耕大臣、松野大臣から以下のような冒頭発言があった。その後、議長である世耕大臣の司会で議事が進行した。

  • 高速炉開発の成否は、「これまで培った人材をどれだけ活かせるか」という点にかかっている。国際的なプロジェクトの場を最大限に活用し、まずは実証炉の「プラントデザイン」を特定する作業に、人材を集中投入していきたいと考えている。こうした「今後の取組の方向性」を、最初に議論したい。
  • 高速炉開発に特有の要素技術をどのように獲得していくのか、「もんじゅ」以外の方策も含め幅広く検討したい。国際的な協力については、前回説明のあったフランスとの関係のみならず、米国からも、我が国への期待が寄せられている。本日は、米国政府関係者からも話を聴くこととしたい。こうした国際協力を有意義にするためにも、国内に開発の「実力」を備えておくことが大前提となる。前回の「常陽」の説明に続き、本日は、三菱重工業の技術や人材を説明してもらい、民間事業者に蓄積された技術力の一端を確認したい。
  • 最後に、我が国の技術・人材を結集し、高速炉開発を進化させていく第一歩として、今後のロードマップや体制の在り方を詰めていく必要がある。そうしたとりまとめの方向を提示し、議論を深めたい。
  • 先週金曜日に、「もんじゅ」の地元である福井県の西川知事から御要請いただいていた、国と県が意見交換を行う場である「もんじゅ関連協議会」を、世耕大臣にも御出席いただいて開催し、地元の御意見を拝聴した。
  • 西川知事からは、「もんじゅ」の取扱いについて、机上の議論に陥ることのないよう、県民や国民の目に見える形で具体的に議論し、地元が納得する結果を出すこと、「もんじゅ」を安全に保守管理するための運営体制の方向性を、責任を持って明らかにすること、「もんじゅ」の成果をどう活かすのか、福井県、敦賀市においてどのような研究開発や人材育成を行っていくのか、今後、国の具体的方策を示すこと、等の御意見をいただいた。
  • 同じく先週金曜日に、「もんじゅ」の地元である敦賀市、美浜町をはじめとする青森・福井両県の立地8市町村の代表ともお会いし、核燃料サイクルの在り方について、長期的な視野に立って、今後の具体的な展望を明確に示した上で、着実に進めること、国の政策の決定や変更に当たっては、地域への説明を十分に尽くし、理解を得た上で進めること、等の御意見をいただいた。
  • 今後の我が国の高速炉開発方針の議論に当たっては、我が国の核燃料サイクル政策に、これまで多大な協力をいただいてきた、「もんじゅ」の立地自治体の御意見にも十分に配慮して議論を進めていくことが重要。本日は、実証炉開発に向けた今後の取組について、できるだけ具体的な道筋を示せるように、御議論いただきたい。

議題1:「実証炉開発に向けた今後の取組」

事務方(資源エネルギー庁)、説明者(三菱重工業)から資料を説明。その後、米国政府関係者から説明があった。米国政府の説明に関連して、以下のやりとりがあった。

  • 米国における第4世代炉の開発は、我が国と同じくまだ研究開発段階であると認識しているが、メーカーや電力会社といった民間企業はどのように関与をしているか。
  • 米国においては、GEやウェスティングハウスといった大手の原子力ベンダーに加え、トランスアトミック社、テラパワー社などといった新興の企業も第4世代炉の開発に関与している。米国エネルギー省としては、こうした民間企業によるイノベーションを促進するための支援を行っている。例えば、GAINイニシアチブを立ち上げ、米国エネルギー省が所有している国立研究所の施設へのアクセスを提供することによって、民間による技術開発の促進を図っている。
  • 米国では、近年原子力発電所の新増設の機会が限られ、技術や人材の維持という観点で、大変な苦労があると思う。技術や人材の維持という観点から、米国の次世代原子力技術開発の意義について、どのように考えているか。
  • 米国において、新型炉の技術開発分野は非常にエキサイティングなものと捉えられており、新型炉の開発は、政治的にも広い支持を得ている。理由としては、気候変動対策に資するという点だけでなく、技術的なリーダーシップの維持や、輸出の機会獲得といった観点も挙げられる。こうした原子力をめぐるエキサイティングな状況のおかげで、原子力分野には学生も新しく入ってきており、これは良いこと。同時に、こうした状況を継続していくべく、我々としても新型炉開発に引き続き投資していく必要があると考えている。

米国政府関係者退席の後、以下のような議論があった。

  • 高速炉関連技術について、これまで機構では各種R&Dをはじめ、実験炉「常陽」、原型炉「もんじゅ」の開発、さらにはFaCTと称する「実用化戦略研究」を、関連各位の協力を得ながら進めてきた。
  • その経験上、設備機器の設計、製造等のハードの開発はもとより、実際のプラントの運転・保守技術に係る経験やプラント管理などのソフト面での地道な積上げも、プラントを今後安定的に操業する上では非常に重要であると感じている。
  • このため、今後の高速炉開発については、各種R&Dからプラントデザインの決定作業に対して、これまでの経験に加えて、常陽、もんじゅやAtheNa等のフィールドの活用や国際協力などを通じた、多技にわたる活動が必要と考えており、機構としてこれに積極的に貢献していきたい。
  • また、高速炉を実用化するためには、高速炉を含む燃料サイクル全体の技術開発も必須。機構では、高速炉の燃料の製造技術の開発や、使用済燃料の再処理技術など、将来の実用化に向けたサイクル技術の開発にも、注力していく。
  • 中核メーカーとして技術開発や人材の涵養に努め、これまで蓄積してきた知見や、検証により裏づけられた3次元設計などの最新テクノロジーも取り入れて、高速炉設計技術を進展させてきた。このような技術や人材をフルに活用し、国内における研究開発を進めるとともに、日仏ASTRID協力や、「第4世代原子力システムに関する国際フォーラム」などの国際的ネットワークの場も活用させていただき、最新知見を獲得していきたい。そうすることで、着実に実証炉の段階へと進んでいくことができるものと考えている。
  • 電力としては、軽水炉の経験から申し上げると、建設から運転・保守で得られた経験や知見、良好事例だけでなく不適合やトラブル等の失敗を貴重なものとし、設備や運転技術の改善につなげ、プラント全体の信頼性を一歩一歩着実に高めてきた歴史がある。
  • 高速炉開発についても、一足飛びに実用化ができるというものでなく、知見・経験に基づいて、それに続く技術開発を継続し着実に進めていくことが必要。三菱重工業から、国内外の開発の場で最新技術の開発に参画することを通じて高速炉開発の技術や人材を蓄積していることについて御説明があったが、着実に開発していくことが、「まさに大事なこと」と感じた。
  • また、国内外を見渡すと、要素技術の開発から運転経験まで、様々な知見が得られる多種多様なフィールドがあり、研究開発を着実に進める素地は整えられるものと考える。これらを幅広く効率的に活用しながら、今後の研究開発を着実に進めていくことが重要。
  • 「もんじゅ」を再開した場合に獲得が見込まれる成果・知見について、代替的な獲得方策の一つとして、ASTRID等の海外炉の活用が示されているが、本当に必要なデータや知見を入手できるかどうかについては、費用や相手国との交渉次第であり、当然ながら不確実性が伴う。結果として、御説明のあった代替的な獲得方策では十分な知見が獲得できない場合には、実証炉の設計裕度の確保などによる対応が必要となることに留意しなければならない。
  • 「もんじゅ関連協議会」において、西川福井県知事からは、「高速炉開発を海外任せにして、国内に十分な研究開発基盤がなければ、対等な国際協力は進まない。「もんじゅ」の活用を含め、国内の技術蓄積や人材確保のための体制整備を検討すべきである。」との御指摘もいただいている。米国からも、「常陽」の活用についての期待が表明されたが、国内における高速炉に係る技術開発の基盤を適切に維持・活用していくことが重要。
  • 三菱重工のプレゼンテーションからは、高速炉開発の中核メーカーとしての責任感を感じるとともに、「もんじゅ」を設計していた当時と比べると格段に設計技術も向上しており、こうした民間ベースの技術的な蓄積も、我が国の知的資産として、最大限に活かしていく必要があると感じた。また、長期にわたる高速炉開発を進める上で、どこかで技術者の世代交代も起こる。若手を育て、技術を次の世代にも継承していくことの重要性に改めて思いを致した。
  • 米国政府からは、2050年に向けて、次世代の原発が重要な位置を占めるとの見通しのもとに、我が国との協力に大きな期待が表明された。世界最先端の知見を国際協力ネットワークから得ていくためには、米国を含めた様々な国との協力の可能性を模索していく必要があると考える。
  • 今後の高速炉開発を進めていくに当たって、「切れ目のない開発」や「国内の開発基盤」の重要性など、メンバー各位から、今後の方針を考える上で重要となる論点や留意点を御提起いただいた。御指摘をよく踏まえて、高速炉開発の方針案をとりまとめる作業に進んでいきたい。

議題2:「『高速炉開発の方針』の骨子(案)について」

「『高速炉開発の方針』の骨子(案)」について、以下のやりとりがあった。

  • 電力は、東日本大震災以降、事業環境は大変厳しいものとなったが、高速炉の重要性は変わらないとの認識のもと、軽水炉の経験が高速炉の実用化に向け役立つよう、粛々と電力共通研究と開発主体である原子力機構に対する協力を継続してきた。
  • 今回、「高速炉開発の方針」の骨子(案)が示されたが、「戦略ロードマップ策定」は、高速炉開発を着実に進める大きな一歩と考える。また、併せて示された「戦略ワーキンググループ」は、関係者が結集して今後の高速炉開発を確実に牽引していく体制と理解。
  • 研究開発を着実に進めていくために、このような体制を整備することは大変重要なことと考えており、電力としても、この検討に積極的に参画していきたい。
  • 今回、「高速炉開発の方針」の骨子(案)について提示があったが、将来の実証炉の実現に向けては、強力な国の御指導のもとで、皆が一致して取り進めていくことが重要で、そのためには、それを進めていくための目標やロードマップを、可能な限り早期に、かつタイムリーに策定する必要がある。
  • また、この策定作業においては、「安全性」と「経済性」について、できる限り具体的な目標を設定することが望まれる。
  • このため機構が有する研究基盤としての人材や施設を最大限に活用し、これまで機構が受けてきた地元からの信頼を大切にしながら、ロードマップ策定に最大限の協力をすると共に、所要の研究開発を遂行していきたい。
  • 「戦略ロードマップ」の策定に当たっては、若い世代が挑戦でき、開発を前向き且つ効率的に進める環境を整えることが大切であると考えている。また、「責任体制の確立」に際しても、国、機構、電気事業者などの関係の皆様と引き続き連携し、中核メーカーとして開発を前に進めるべく、技術、人材の両面で、積極的に貢献してまいりたい。
  • 高速炉の実用化に当たっては、最終的に国内の技術・人材で実現していける能力を持てるよう開発を進めて行くことが重要と認識している。その点を踏まえると、原子力機構及び三菱重工からの、国内に存在するインフラ、技術、人材を最大限活用して取り組んでいくとの御発言は心強く感じた。我々としても、商用炉として国内軽水炉を運営してきた経験を活かし、これからの開発の検討に参画していきたい。
  • また、我々を含む関係者が、着実に開発を進めていく点からも、この至近の開発をどのように進めて行くのかは大事であり、戦略ワーキンググループをはじめとした場を通じて、しっかりと議論をしていきたい。
  • 「開発プロジェクトの最終的なプラントデザインの決定」に向けて、機構と緊密に連携し必要な支援を受けながら、国内軽水炉を運営してこられた電気事業者の御経験も踏まえて、実用的な技術開発となるよう取り組んでまいりたい。
  • 世界最高レベルの高速炉の開発、実用化を目指すという目標や、実証炉の実現に向けて、メーカー、電力、研究機関を結集したオールジャパン体制を構築し、責任関係を明確化することは重要。
  • 高速炉開発の方針は、地元を含め、国民の皆様に納得していただけるものであるとともに、実行可能なものでなければならない。そのような観点からは、これから策定する「戦略ロードマップ」に、具体的に何を盛り込んでいくのか、「プラントデザイン」の決定までにどのような段取りを踏んでいくのか等、今後の道筋をできるだけ具体的にする必要がある。
  • また、実証炉以降の開発は、民間が中心となって、取り組んでいただくことになる。その場合も、責任ある体制作りが成功の鍵であると言っても過言ではない。そこに、これまで実験炉「常陽」や原型炉「もんじゅ」において技術と知見を蓄えてきた原子力機構が積極的に貢献していくことが期待されている。
  • また、福井県が高速炉開発の拠点として担ってきた役割等を踏まえ、我が国の高速炉開発の基盤を引き続き維持する観点から、基礎基盤的な研究開発の実施や、この分野の優秀な技術者・研究者の育成・確保の重要性についても、ご留意いただきたい。
  • さらに、高速炉の実用化のみならず、将来的に高速炉サイクルを確立していく観点から、高速炉用の燃料供給技術等の関連技術維持・向上についても、配慮が必要。
  • これらの点も踏まえ、高速炉開発の方針について、さらに検討を進めていただき、「もんじゅ」の役割も含めて、実証炉以降の開発の道筋の具体化を進めていただきたい。
  • 様々なトラブルが生じた結果、20年間あまり、「もんじゅ」での研究が停滞してきたことは否めず、その教訓を踏まえ、開発プロセスそれ自体についても、社会的信頼を向上させる努力が必要。
  • 「戦略ロードマップ」の策定は、この新たな高速炉開発の実行作業の第一歩である。これをスタートとして、今後の高速炉開発の進め方を具体化するとともに、開発体制を確立させるための足がかりとしていきたい。
  • 今後の開発体制を考える上では、第一回に述べた関係者の「責任の自覚」と「連携の強化」が重要であることを改めて強調したい。具体的には、政府は、「経済産業省」「文部科学省」といった省庁の壁を越えて、基礎技術と実用技術の融合を図るための方策に知恵を絞っていかなければならない。JAEAは、これまでの知見を産業界に引き継ぎつつ、高速炉の基礎研究を通じた貢献が期待されている。電力事業者は、プラント運転者としての経験を豊富に有する立場からの関与が求められている。メーカーには、技術・人材面での一層の能力向上を通じて、この体制の中での我が国の高速炉開発の一層の強化に貢献することが期待されている。こうした期待される役割を関係者が踏まえつつ、今後の開発体制を適切に構築していきたい。

以上のような議論の後に、世耕大臣から以下の発言があった。

  • 本日は、短い時間ではあったが、三菱重工業と米国政府からのプレゼンテーションを交え、「民間ベースでの技術の蓄積」と「米国からの我が国への期待」を確認した上で、とりまとめに向けて充実した議論ができた。
  • 本日の議論のエッセンスは、「高速炉開発の方針」の骨子案としてお示ししたものにほぼ包摂されていると思う。
  • 「これまでの教訓を真摯に踏まえ、安全性と経済性も両立という、これまで以上に高い目標を掲げる」という方向性や、骨子案に掲げた4つの原則について、概ね認識を共有できた。
  • 次回は、「骨子案」に肉付けをし、「高速炉開発の方針」の案をとりまとめたい。

以上

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お問合せ先

資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 原子力政策課

最終更新日:2016年12月7日
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