経済産業省
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まちづくりと一体となった熱エネルギーの有効利用に関する研究会(第4回)‐議事要旨

日時:平成23年6月16日(木曜日)18時~20時30分
場所:経済産業省別館8階825会議室

出席者

委員

柏木座長、下田委員、中尾委員、村上委員、村木委員

オブザーバー

国土交通省都市・地域整備局、国土交通省住宅局、国土交通省河川局、環境省水・大気環境局、東京都環境局、横浜市温暖化対策統括本部、東京都市サービス株式会社、関西電力株式会社、東京ガス株式会社、大阪ガス株式会社、一般社団法人日本熱供給事業協会

議題

  1. 事業者プレゼンテーション
     清水建設株式会社、NPO法人地中熱利用促進協会、東京大学生産技術研究所、森ビル株式会社
  2. 自由討議

議事概要

柏木座長からの挨拶の後、事業者プレゼンテーションと自由討議を実施。主な議事内容は以下の通り。

「まちづくりと一体」に関する論点(1) 地域における熱融通の促進方策について

  • 今まで新規開発地域の議論が主であったが、既存の地域熱供給が実施されている地域において、地域内の既存建物をいかに取り込むか、既存プラントをいかにネットワーク化するかは新しい論点として重要である。
  • 個々の開発事業者が開発を進めていく中で、熱融通はせずともビルの採算性は確保できる。このため開発エリア同士の熱融通や有効活用を一体的に行うことは、民間ベースでは進んでいかない。国として必要であるならば、政府や自治体が先導していかないと検討は進まないと考える。
  • 再開発においては、電気・ガス配管に比べて熱導管の優先順位が低いという問題がある。ただし、自治体が積極的に関与していただけるケースではスムーズに進んでいる。国・自治体主導で進めていただき民間がサポートするという姿が望ましいと考える。既存の街区に熱導管を敷設する場合には「この道は敷設可能/不可」といった指定があると計画をスムーズに進めやすい。こうした取り組みを特区の形で実施してみて、その効果を検証しながら進めていく形が良いのではないか。

「まちづくりと一体」に関する論点(2) 地域におけるトータルでの省エネ性向上のあり方について

  • 地域での省エネ性を検討する中で、現在はプラントから建物に熱を送る部分での効率と建物内の効率を切り離さざるを得なくなっている。本来は一体となった省エネ性向上を進められるような仕組み作りが重要である。
  • まずは2つの建物間の熱融通を行い、それをエリアに広げていくといった形で既存エリアの熱融通を進めていけると有効。一定の条件を満たす熱需要の大きなエリアでは熱融通の検討を義務付けるという案もある。
  • 熱源水のネットワーク化の中で地下水を熱源として使うことも、現状はアイディア段階ではあるものの方策として考えられる。水を使うところには必ず温度差エネルギーがあるはずなので、水に着目した総合的なマネージメントが重要である。
  • 導管の敷設による熱の面的有効活用は、実際の限界削減費用を考えるとメリットは大きく、政府の目標としている太陽光発電の1千万戸への設置等の対策よりも現実性は高いと考える。促進のための対策が必要である。

「まちづくりと一体」に関する論点(3) インセンティブのあり方について

  • 熱エネルギーの有効活用を進めることが、ビジネスになるかというと難しい。例えば、あるビルの自家発電設備等に余裕があって、その近くに同じデベロッパーが新たなビルを建築するような場合であれば検討に値するかもしれないが、これはレアケースである。熱の面的利用を行うためのインフラ整備への投資対価として容積インセンティブを付与するといった枠組みが必要である。

地中熱利用に関する論点(1) 地中熱の利用可能性について

  • ヒートポンプの技術が進展し効率の温度依存性が高くなる中で、井水に関しては温度的に優位性が高いことから、今後の重要技術である。一方で性能向上余地はまだあると考えられることから、一層の技術開発にも期待したい。
  • コジェネや清掃工場排熱が点で密度の高い熱源である一方、地下水は面で密度の薄い熱源である。一箇所で使用すると周囲に影響を与える可能性があり、対策のあり方が他と異なる点に留意が必要である。
  • 環境省のクールシティ推進事業において、地中熱利用の周囲への影響を調査したが、大きな影響はないと発表されている。
  • 都内のあるビルにおいて地下水の連続揚水試験を行ったところ、300トン/日の量を汲むと水位が30m下がった一方で、200m離れたもう1本の井戸は数m下がる結果となった。周囲に与える影響についてはさらに研究を進めることが必要である。
  • 地盤沈下は水を取った場所で起きるわけではないので、広い範囲で観測をすることが必要である。
  • 地下水利用は省エネ効果があるのはわかるが、どの程度の建物規模あるいはどの程度の空間密度の市街地をまかなうことが可能なのかを知りたい。

地中熱利用に関する論点(2) 地下水利用に関する規制のあり方について

  • 都市防災の観点から防災用井戸の設置が増えており、地盤沈下に影響のない範囲で熱利用を認めるなど、事業者が地下水エネルギーを利用しやすい環境を政策的に整えるべき。
  • 地下水の水位コントロールについては、大阪平野で2m水位を下げると液状化リスクが低減できるという研究結果が出ている。地盤沈下についても、2~3mの揚水を行っても沈下は5cm程度という研究結果がある。沈下のデメリットを許容値に抑えてメリットを生かせるよう、こうした研究結果も参考にしながら検討を進めていくべきである。
  • また、ビルの地下には止水壁で囲まれた帯水層のある場合がある。こうした所での密閉管路による熱利用、すなわち井戸より揚水して熱交換して還水用の井戸へ戻す方法であれば、地下水および地下水位になんら影響を及ぼすものではないので、積極的に利用して良いと考える。
  • 古い建物だと湧水のある場合もあり、これを利用することもできるのではないか。夏には冷房用の熱源・冬には暖房用の熱源として利用し、さらに中水としても活用する形が考えられる。
  • 環境省の事業において湧水利用システムについて実証事業を行ったが、大きな効果があるとの結論が得られている。ただし、自治体によっては利用後に下水料金がかかる場合があるので注意が必要。
  • 湧水利用後、無理にそれを戻す必要はないかもしれず、ケースに応じた細かなルール設定をしていくべきである。
  • 現在の規制では地表に出る湧水は使ってよいが、ビルのピットに出てくる湧水は漏えい地下水と位置づけられ止めるか、または土に返すというのが原則となっているようである。
  • 地中熱利用システムのうちクローズドシステムについては揚水に関する規制対象外と認識している。
  • 環境省としても、地中熱利用はヒーアイランド対策、省エネ・温暖化対策に有効な技術と認識している。一方で地盤沈下の問題は一旦起こると元に戻らない公害問題であるため、慎重に検討する必要がある。平成23年5月に東京都で「東京都の地盤沈下と地下水の再検証について」という報告書を出したが、この中では都内の地盤沈下について再検証を行った結論として「引き続き規制が必要」との結論が出されている。
  • 規制緩和は急いで進めてはならないが、一方で歩みを止めてもいけないと考える。「規制があるから検討はやめる」ということはあってはならず、調査を進めてどの程度影響があるのかを検討し、その結果に基づいて利用のあり方を考えていくべきである。
  • 東京都の報告書(東京都の地盤沈下と地下水の再検証について)は拝見したが、5年前の報告書とほとんど変わっていなかった。観測井についても都内で49あったが港区はない。調べ方・調べる方法がもっと考えられるのではないかという印象を持った。
  • 浅い層の地下水レベルを下げられれば液状化リスクを減らせるという点については環境省としてどういった見解をお持ちか。
  • 地下水レベルと液状化リスクに関する指摘やさらに調査を進めながら規制のあり方を考えていくべきというご指摘を含めて、環境省としてさらに検討を進めていきたい。

地域熱供給への接続義務について

  • 多層型マイクログリッドなどの形でグリッドをつなげていくとしても、需要家がメリットを感じない限りは難しいと思われる。やはり接続義務化をしていくことが必要ではないか。ロンドンでは地中熱の利用が増えているが、これは行政当局の強い権限のもと、新規のプロジェクトにおいて建物から生じるCO2の20%削減義務が課されていることが大きい。面的利用を考えたときに、接続量や環境貢献に関する目標値があると進めやすい。また、行政体によってはコジェネや地域冷暖房整備のための資金を住宅1戸当たりいくらという形で徴収している場合もある。日本では強権的に目標を設定することは難しい面もあるかもしれないが、マンション建設の進む江東区では学校建設のための負担金を住宅1戸当たりいくらの形で徴収している。こうした例もふまえながら新しい仕組みをあるエリアで実施できるとショーケース的な取り組みとして広げていけるはず。踏み込んだ検討をしていくべきである。
  • 東京都では平成22年の制度改正で「エネルギーの有効利用計画制度」を実施し、5万m2を超える特定建物は設計時に計画書を提出することが義務付けられている。実績として20件強の提出があった中で新規に地域冷暖房区域として指定したのは1件、区域内の開発事業で地冷を導入したのは2件だったが、これはもともと開発前から地冷に入っていたものであったため区域内で新たに地冷を導入した事例はないというのが結論であった。全体として単独で行っているというのが実情であるが、その理由としては「単独熱源のほうが効率が良い」「導管コストが高い、構造物が支障となって導管敷設が難しい」といった理由が挙げられている。なお、地冷区域内に立地する建物には開発時等に「受け入れ検討義務」を課しているが、約半数は自己熱源を選択している。

評価指標のあり方について

  • 面的な熱利用促進のためのインセンティブを考える上で、客観的な認定条件・指標を定めながら地域指定等を行っていくことが重要である。特に、エネルギー効率や省エネ性、さらにBCPの面から客観的な指標を定めることが重要である。
  • 高崎の地下水利用地域熱供給は、COP1.27と国内でもかなり高い効率となっているが、それでも十分に地下水を使いきれているとは言えない。井戸の敷地が狭いため地下水の揚水量が十分でないことに起因するのだが、評価指標についてはこうした点も考慮して検討を進める必要がある。

熱供給事業法について

  • 地域熱供給事業法では供給すべき冷温水の温度が固定されているが、例えば放射冷房を行うのであれば16℃の温度レベルで良い。冷水温度が高ければ熱源側の効率を高くすることができ、安価な料金設定も可能となるが、現在はこうした取り組みができない。また、都内のあるビルでは空調の除湿に地域熱供給からの50℃の熱を利用している。このレベルの温度であればダブルバンドルチラ―による冷房排熱でも十分まかなうことのできるレベルであり、今後の利用が期待できる。この様な新しいニーズに対しても、まちづくりの早い段階から供給側と事業者側で検討を行い、料金や温度条件などについてある程度自由に設定していけるようにすることも必要と考える。今の温度条件で省エネの設計をしようとしても、手詰まりになってしまう。

その他

  • プレゼンテーションの中にあったマイクログリッドにおいて、電源として太陽電池等の再生可能エネルギーや蓄池以外に発電機を想定する場合は排熱活用が必要なため、電気だけでなくサーマルグリッドシステムもないと熱・電気一体での供給システムは普及しないのではないか。
  • あるビルにおけるマイクログリッド実証試験の中では、マイクログリッドの中で排熱利用を積極的に活用することで大きな省エネ効果を得ることができている。
  • BCPは今後都市の国際競争力を高めていくために重要であり、エリアレベルで進めていく必要がある。規制緩和やインセンティブが必要であると共に、自治体がリーダーシップを発揮できるような制度設計も重要である。
  • 熱の有効利用に関わる相談窓口の一本化も、事業者の機会損失を避ける仕組みという意味で重要である。

文責:事務局 議事概要についてはご出席者からの指摘を踏まえ修正させて頂く可能性があります。

問い合わせ先

経済産業省資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部 政策課 制度審議室
電話:03-3501-4031
FAX:03-3501-1365

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最終更新日:2011年7月7日
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