経済産業省
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まちづくりと一体となった熱エネルギーの有効利用に関する研究会(第5回)‐議事要旨

日時:平成23年6月20日(月曜日)14時~16時30分
場所:経済産業省別館8階825会議室

出席者

委員

柏木座長、中上副座長、佐土原委員、下田委員、中尾委員、村上委員、村木委員

オブザーバー

国土交通省都市・地域整備局、国土交通省都市・地域整備局、国土交通省住宅局、国土交通省河川局、環境省水・大気環境局、東京都環境局、横浜市温暖化対策統括本部、東京都市サービス株式会社、関西電力株式会社、東京ガス株式会社、大阪ガス株式会社、一般社団法人日本熱供給事業協会、大成建設株式会社、株式会社日本設計

議題

  1. 事業者プレゼンテーション
     大成建設株式会社、株式会社日本設計、横浜市
  2. 自由討議

議事概要

柏木座長からの挨拶の後、事業者プレゼンテーションと自由討議を実施。主な議事内容は以下の通り。

「まちづくりと一体」に関する論点(1) エリアマネジメントとエネルギーマネジメントについて

  • 熱の面的利用が効果的なエリアを推進地区として指定し、長期的な視野に立ったマスタープランを作成した上で、集中的に対策を実施していく取組みが必要である。
  • 個別システムと面的システムの比較がよくなされるが、短期的なエネルギー効率の比較ではなく、長期的視野に立ち、最終的に都市の中でどのような機能を発揮するかという観点から両者を比較すべきと考える。
  • サンポート高松地区は渇水地域における水の問題という観点でも海水を利用した地域熱供給が有効だったのではないか。また、防災性を考える場合、熱供給のためには水も必要なので、その点でもメリットがあるのではないか。
  • サンポート高松や山形新都心地区等の成功事例について、地域の動き、行政の情報を見極めることが重要であったと考える。また、計画初期段階からまちづくりに入り込み、地域のまちづくり協議会等において、どのような環境への取組みが求められているかを、真剣に検討したことも成功要因の一つである。
  • これからの街づくりを考えていく際には、エネルギーマネジメントとエリアマネジメントの一体化が重要である。個別システムと面的システムの比較に終始するのではなく、環境性やエネルギーセキュリティ、都市機能の向上の観点からの取組が重要であり、ひいては日本の都市の国際競争力につながるものと考える。
  • エネルギーマネジメントとエリアマネジメントの連携は非常に重要である。エリアマネジメントが行われていれば地域の合意形成がある程度成されているため、熱供給ネットワーク導入に当たって理解を得やすい土壌が出来やすい。ただし、エリアマネジメントなどによる緩やかなルールで縛っていくことは大変で、行政側の担当者が変わったりファンドが入ったりすると、まちづくりへの理解を得ることが難しくなる場合もある。外国において厳しい縛りを設けているのはこのためではないか。
  • みなとみらい21は、段階的に開発が進む中、全体的なネットワークを形成できた成功事例である。エリアマネジメントの仕組みの中で、建設に当たっては既存インフラの使用を検討するよう、エリアとしての自主的なルールを設けていたことが成功要因と考える。
  • 横浜グリーンバレー構想における未利用熱の活用検討については、ダイオキシンの問題等により、地域、行政、事業者間の調整つかず、一時中止となった。行政側からの押し付けではなく、地元が主体となった取組が重要と考えている。
  • 建物オーナーや地権者への働きかけ等、コーディネート能力をもった都市環境エネルギーアドバイザーのような人材育成が重要である。
  • 熱ネットワークが発達しない原因として、熱源となる清掃工場や下水処理施設などの公共施設が需要地から遠いという点が挙げられる。例えばコペンハーゲンは、清掃工場等と需要地が近くに位置しており、熱ネットワークが発達している。日本の都市においても、清掃工場等を中心部から近いところに立地できると望ましい。
  • 公共施設と需要地の距離は大きな課題の一つと認識している。施設の移動等も考えられるが、今の段階では立地条件等を考慮しながら、コストミニマムとなるよう、ネットワークの設計をすることが重要と考えている。

「まちづくりと一体」に関する論点(2) 行政の関わり方・地域熱供給事業の公益性について

  • 地域熱供給を促進するに当たっては、行政の関わり方が非常に重要と考える。地域熱供給の導入には三つの段階があり、第一段階は清掃工場等の公共施設が自ら未利用エネルギーを活用するケース、第二段階は高松番町地区のように庁舎等の公共施設が主体となって地域熱供給を行うケース、第三段階は民間が受入れ主体となるケースであるが、第三の段階のような場合など、民間単独の力のみでは導入のハードルは高い。地域のエネルギーマネジメントという観点からは行政が主導して推進していく必要があると考える。
  • 公共施設からの排熱を利用する場合、長期間にわたる改修工事や熱源の入替えにどう対応していくかが大きな課題となる。大阪では清掃工場排熱を利用した地域熱供給に、数年かかる改修工事が必要となっており、その対応に苦慮している。六甲アイランドについては、なりゆき供給により大きくコスト削減が図るとともに、熱源を二重化して対応をした。今後、公共施設を活用した熱融通を考える際には、公共施設の改修や設備更新にどう対応していくかが一つの課題となる。
  • 民間が主体の地域熱供給の計画に行政が関与するに当たっては、容積率緩和などのインセンティブによる誘導とは別に、地域熱供給の環境効率の高さを需要家に示す必要があり、十分な評価を提示できなければならない。
  • 日本においてエリアマネジメントとエネルギーマネジメントがリンクしていない要因の一つは、行政がエネルギーマネジメントに取り組み始めたのはここ20年ほどの話であり、長らく民間が主体となって行ってきた点にあると考える。しかしながら、欧州ではCO2削減に向けたエネルギーマネジメントは行政の最重要課題の一つとなっており、日本においても海外の動向を踏まえながら真剣に取り組む必要がある。
  • 各自治体の地球温暖化対策部局等にて、CO2削減の取組みが活発化しているが、都市計画部局からの連携が乏しいという話も聞いている。都市計画部局を説得できるようなエネルギーと都市計画分野の双方に精通した専門家によるアドバイスやコンサルティング等が必要と考える。
  • 行政の関わり方としては、都市計画マスタープランを作成する、公共施設を核として第3セクターが事業を運用するなどが挙げられるが、いずれの場合においても、未利用熱源や再生可能エネルギーの有無など、エリアごとの特徴を捉えた上で地域熱供給のメリットを明確に示さないと、需要家の理解を得られず、現実的には導入は進んでいかないと考える。
  • 行政が関与した場合に必ずしも成功しているとは限らず、設定熱料金が個別システムより高い事例もある。個別システムと競争できるレベルまで事業性を高めないと、推進は難しいと考える。
  • 地域熱供給に補助金を投入する際の公益性の観点としてはCO2削減が挙げられるが、道路を使用する際には、CO2削減は公益性として認められていないように見受けられる。補助金による支援と道路に関する規制緩和とを国のパッケージ事業として進めていく必要があるのではないか。
  • 下水道法では、公共用水域の水質保全等の公共便益のために、公共下水道への接続義務が規定されている。地域熱供給のスキームについても、公益性の程度により施策にバリエーションが出てくると考えられる。議論の出発点として、公益性を説明できるかが重要になると考える。

「まちづくりと一体」に関する論点(3) 熱の面的利用の推進策・規制緩和について

  • 熱の面的利用は、都市の省CO2を達成していく上で重要な手段の一つであると考える。導入に向けては、例えば30%以上のCO2削減が可能などの、長期的にも面的対策が個別システムより優れたシステムであること等を条件とした規制緩和を検討していくべきと考えている。
  • 下水や河川、地中熱については、個別システム、面的システム双方における有効利用という観点から、規制緩和を検討していただきたい。
  • 都市計画の上位で熱利用を位置付けることは重要である。多くの都市計画のマスタープランにおいて、環境対策やCO2削減が掲げられており、それを具現化するためにまちづくりガイドラインを作成したりするが、その段階で具体的な方策を提案していくことも重要である。ただし、大きなエリアの中で個別に異なるタイムスパンで都市の開発が進んでいく中、エネルギープラント設置場所やプラント数の検討、先行投資によるプラントスペースの確保等を民間の力だけで行うのは現実的ではない。例えば需要家のメリットとしてプラントを設置した敷地の容積率を移転し、移転で得たインセンティブの一部をプラント建設事業費負担などの形で還元できるような工夫が考えられる。また、立体公園制度を活用して、公園とプラントを一体的に整備していくなどの取組も考えられるのではないか。
  • 容積率移転の推進策案について、これまで容積緩和の提案はあったが、都市公園の容積移転という発想は無かった。公園は永続的にあるものなので、そこの容積移転は考えたことが無いが、そのような方法を検討をすることももしかすると可能性があるのではないか。
  • 個別システム、面的システムの双方について、検討に時間を要することや基礎的情報の不足による機会損失がないよう、導入をサポートする仕組みづくりや、関連情報や技術的知見を需要家に示す取組みが重要である。
  • これまではエネルギーセキュリティなど、供給側の視点からの議論が多かったが、それでは限界がある。今後は供給側に加えて、需要側のセキュリティも含めた議論が非常に重要になると考える。

横浜市の取組について

  • 横浜市では様々な先進的取組みが実施されているが、部局間を越えて、どのように協力体制を構築しているのか。
  • 昭和30~40年代は、ゴミ問題、水問題等が社会問題となり、市をあげて部局間で協力して都市インフラの整備が進んでいったのと同様に、近年は地球温暖化対策や自然災害対策を課題として、部局間で連絡を密にとり、協力体制を築こうとする機運が高まっているが、システマティックに連携するというところまでは進んでいない。
  • エキサイトよこはま22におけるまちづくりガイドラインの中で、環境形成方針の一つに施設間あるいは地区間のエネルギー融通を挙げているが、この実現をどのように担保していくのか。
  • 地区間のエネルギー融通の実現に向けては、エキサイトよこはま22環境検討部会で、検討を進めていきたい。
  • 送泥管については、熱の発生量、安定した送泥の確保との整合性等の課題の検討が必要だが、エネルギーポテンシャルとしては魅力的だと考えている。他の大都市においても、送泥管ネットワークは存在するので、どういった有効活用が可能か、今後の検討が必要と考えている。
  • 横浜市の4つのごみ焼却工場について、ごみの削減に伴い2施設は閉鎖、1施設は休止中と伺ったが、今後さらに進むと熱量が足りなくなるのではないか。下水についても節水が進むと、同様に熱量が足りなくなることはないか。
  • ごみ削減の取組により焼却量は減少しているが、限界近くまで発生抑制が進んでおり、今後大きく減少することはないと考えられる。節水も重要施策であり、上手にバランスを取りながら進めていきたいと考えている。
  • ごみ発電における蒸気タービン復水器排熱は温度レベルが50~60℃であるが、蒸気タービン発電機の効率が20%程度であるため、大量に排出される。横浜市ではこの排熱を活用しているかどうか教えていただきたい。

海外諸国と日本の地域熱供給の比較について

  • 欧州の熱供給ネットワークは、温熱供給に加えて、都市の総合的なエネルギーマネジメントの基盤となっている点が非常に重要である。日本においても、地域熱供給の導入に適した地域については、民間の活力を活かせるようインセンティブを持たせながら、地域のエネルギーマネジメントの基盤としての機能を発揮するよう、導入を進めていただきたい。
  • 海外で地域熱供給が普及している要因は、温熱需要の大きさに加え、住宅での普及が進んでいるという点も大きい。家庭での利用が進まないと社会インフラとして認知されにくいと考える。
  • 海外と比較する上では、熱負荷パターンとシステムの関係を見ることが重要である。またネットワークが形成された時期とその時点の適用技術も、比較にあたり重要な観点である。欧州では、高い温熱需要を背景に、天然ガスコンバインドサイクル発電による熱電併給技術を中心に普及が進んできた。我が国においても、熱負荷パターンと現在の最適技術の採用、という観点から今後のシステムのあり方を考えることが重要である。
  • 海外の優れた点に注目し、それをいかに日本に取り入れ、まちづくりに活用していくかという視点が重要である。海外は、明確な目標値を定め、その実現に向けて各種取組みを推進している点が優れている。地域の目標値が定まれば、その達成に向けた最適なシステム設計が可能となる。
  • 韓国は、歴史的にオンドルという空気式床下暖房が用いられてきた。現在はそのシステムを活用した温水床暖房が一般的であり、熱供給ネットワークに接続しやすい。住宅の空調方式については、日本とは全く状況が異なる。
  • 建物の空調システムがセントラル方式にならないと、熱ネットワークへの接続は難しいため、日本においてどう対応していくかも同時に検討していただきたい。
  • 日本の住宅は、空調方式がセントラルではないためネットワークへの接続が難しいのに加え、住宅で冷暖房を使用することはぜいたくの一つと考える文化があり、特にセントラル方式を導入することに対する抵抗感は強い。北海道等を除いては、日本の住宅で普及を図ることは難しいのではないか。
  • 日本においては住宅への導入は難しいという議論があるが、給湯だけでも、なりゆき供給が可能になれば、非常に有効と考える。また、高齢化が進む中で、高齢者施設は重要な熱供給先の一つと考える。
  • 韓国で地域熱供給が普及している一因は、供給エリア内建物への接続義務付けであるとの報告があった。除外条件の有無など接続義務の内容についてさらなる調査をお願いしたい。
  • 地域熱供給において、ごみ焼却排熱や発電排熱の利用率は日本が15%であるのに対し、韓国は84%と高い割合を示しているが、ごみ焼却施設等を需要地の近くに配置するなど、都市計画と一体となった計画がされているのか。
  • 一概には言えないが、ドイツやパリ、デンマークの事例を見ると、海外は日本と比較して排熱源が都市近傍にあり、熱ネットワークを形成しやすい状況にあると考えられる。
  • 海外の内陸部における発電所については、冷却用の海水が得られないこともあり、復水時の排熱処理へのニーズから、ごみ処理施設の排熱等を含めた熱供給ネットワークの整備が進んだという背景もある。

海水の熱利用の可能性について

  • サンポート高松で高いCOPを実現しているが、防波堤の外側は海流が早く、海水が鉛直方向に混合されやすく、真夏でも底層部の温度が表層部と変わらず高い。したがって底層部から取水したことによるCOP向上効果は得られていない。一方、東京湾や大阪湾などは閉鎖性が高いため、真夏は表層に比べて底層部の水温は低い。この底層部の温度が低いメリットを活用すると、閉鎖性の高い海域では低温の底層水の利用システムのCOPはより高くなると考える。また、海水を排水する際に、鉛直方向の混合を促進できれば、底層部の貧酸素対策となり、環境面でも貢献できる。

文責:事務局 議事概要についてはご出席者からの指摘を踏まえ修正させて頂く可能性があります。

問い合わせ先

経済産業省資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部 政策課 制度審議室
電話:03-3501-4031
FAX:03-3501-1365

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最終更新日:2011年7月7日
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