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電力インフラのデジタル化研究会(E-Tech研究会)(第2回)-議事要旨

日時:平成29年1月13日(金曜日)10時00分~12時00分 
場所:経済産業省別館2階231共用会議室

出席者

赤峰委員、浅野委員、國分委員、柴沼委員、田中委員、西野委員、萩原委員

議題

「日本の電力産業(発電分野)の“強み”とは何か、どう強くしていくか」

議事概要

出席者からの主な意見は以下のとおり。

日本の電力産業の強み(主に発電分野)

  • 日本ではオペレーターである電力会社がプロジェクト全体を率いている。一方、米国では、メーカー、EPC、コンサルで分業。日本の電力はプロジェクト全体へのコミットメントが高い。
  • 日本の電力会社は垂直一貫体制で運営してきたため、高品質で、顧客の信頼度は高い。垂直一貫体制で高いレベルの優秀な人材、運転ノウハウを培ってきたところに強みがあるのだとすると、そこが差別化のポイントの一つではないか。
  • 日本の配電は区分自動開閉器、配電自動化システム等が普及し、非常にスマートなオペレーションを実現。また、ITだけでなく、有事の現場判断、復旧体制等が優れていることも日本の特徴。これは厳しい自然環境で培われたもので、停電時間の短さに繋がっている。災害ノウハウは日本の強みといえるのではないか。
  • 環境負荷の低いアセット建設や国土の狭い日本での地元への納得感のある環境アセスメントも日本の強みになるのではないか。特に、人口密度の高いアジアへの輸出戦略においては、地元対策、環境対策が大きな強みになると考えられる。
  • 狭い日本で厳しい環境基準をクリアしてきている点、ハード、ソフト含めて地域とのコミュニケーションの中で一体化してオペレーションしてきている点、データの開示・防災・セキュリティ・防犯にも努める点は日本の電力会社の強みといえる。
  • 日本では、電力会社が設備のバリューチェーンを一貫して行ってきたことで、データの蓄積による予兆管理に優れている。データを蓄積してきたことが、LCC(ライフサイクルコスト)の低減・保全の高度化を実現できた背景にあり、海外に対する強みといえる。
  • 平成7年の自由化によるIPP参入以降、「メンテナンスコストを如何にスリム化するか」を重点課題としてきた。例えば、機器のメンテナンスはメーカー任せではなく、自社診断・自社技術により取替・修繕・点検のインターバルを伸ばす取組みを行ってきた。一方で、米国ではプラントメーカーが主導してメンテナンスを行っている。日本は規制がありながらも、オペレーターとしてメンテナンスをやってきたという強みがある。
  • 米国の火力発電所は、オペレーターが暗黙知化したノウハウを持ち寄り、最低限のレベルの保守点検頻度・基準を共有化したRCM(信頼性中心保全)をEPRI(米国電力研究所)が作成。一方、日本の電力会社は、個社がそれぞれメンテナンスノウハウ(暗黙知)を持っている。これを切り出して共有化するという雰囲気にはなっていないと認識。
  • DTEエナジー(米国)では、最適運用を業務オペレーションに組み込み、7か所程度の石炭火力発電所の最適運用を日々行うことで20億円以上のコストダウンを実現。また、為替データ、物価指数等の要素も最適運用に取り入れていると聞く。この例のように、海外では人にノウハウを蓄積するよりも、システムにノウハウを蓄積していこうとするマインドが強い。一方、日本は人のノウハウや五感的なものも含めて高度化しているので、全体最適化と人のノウハウによるローカル視点の深い洞察も組み合わせて売っていくのも一つのやり方ではないか。

強みを活かす戦略(主に発電分野)

  • デジタル化の効果は、コストダウンと新規事業等のメリットプラスの2つが挙げられる。対欧米と考えたときには、コストダウンで戦うよりも、付加価値を増やす視点の方が日本の強みが活かされるのではないか。
  • 鉄道、電力等はITだけ代替的付加価値を生み出すことはできない。そこにはOT+オペレーターの強みが必要。既存インフラを持ちつつ、如何にデジタル化していくか、これはITプレイヤーだけではできない部分。例えばGoogle(ITプレーヤー)は自動運転で勝とうとするが、今走っているのはテスラ(OT+オペレーター)の自動車である。
  • GEは10年前と根本的に違う会社になった。まだメーカーとしての意識が強かった2010年頃、IBMがデータを使ってアナリティクスを始めたときに、GEは自社が持つデータを取られては困ると考えPredixを開発。企業買収によってIT部門の事業拡大を実現してきたが、最近では経営モデルを変革。シリコンバレー文化を取り入れ、機動的な経営に変わった。
  • だれと組んで戦うか、という点については、他産業のビジネスモデルが参考になる。例えば、JR(オペレーター)の日立(メーカー)との一体運営のように、徹底的に特定メーカーと組む方法があるが、グローバル標準に対応できるか、という課題がある。水道事業のVeoliaの場合は、ITの強みを有していないためIBMと提携しているが、このモデルの場合、協業してプラットフォーム化しwin-winの関係にできるかがポイントとなる。また、コマツのKomtraxのようにOT+オペレーターが自らコアITを持つことも大切。ただ、日本での強みを活かそうと思いすぎて、プロダクトアウトになると海外展開は出来ない。強みを可視化した上で顧客ニーズに沿ったソリューションを提供することが肝要。
  • 日本の電力会社がメンテナンスをメーカーに依存していても、受注競争上、それで日本が勝てるのであれば問題ない、という見方もある。何の強みを議論しているのか、見失ってはいけない。受注した取り分を電力会社とメーカーのどうちらが享受するかではなく、受注を減少させない、という視点が必要。その上で、例えばトップ外交で日本が案件を受注した際に、海外メーカーの製品でないとコスト的に対応できない、ということにならないためのデジタル化やルール作りが必要。
  • コスト競争においては、日本はある程度負けを認めざるを得ない部分がある。共通化、オープン化の中で競争する戦場を変える発想も必要。例えば、国土が狭く人口が混んでいるアジアでどういったニーズがあるか、しっかり見極めて戦略的に“日本型”に導く戦略、論点を整理すべきではないか。
  • 「社会レジリエンスの向上」をコンセプトにインフラ受注に繋げるルール形成戦略も一考すべき事項。災害の多い日本では、インフラ建設時の測量や環境アセスメントのノウハウのレベルは極めて高く、結果的に電力会社は相当量のデータを有する。「減災等に係る重要インフラデータの提供」というルールが入札要件に課せられれば、日本の強みが際立つ。その際のルールはシンプルであるべき。入札において「インフラ事業者には地域の減災計画の策定支援と運用時に得られた風況・気象データ等の提供をすることを義務付ける」でよい。

以上

関連リンク

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電話:03-3501-1748
FAX:03-3580-8485

最終更新日:2017年1月31日
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