経済産業省
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沿岸海底下等における地層処分の技術的課題に関する研究会(第2回)-議事要旨

日時:平成28年3月22日(火曜日)10時00分~12時00分
場所:経済産業省別館9階944各省庁共用会議室

出席者

研究会委員
大西主査、大江委員、佐藤委員、登坂委員、山崎委員、吉田委員
関連研究機関等
原子力発電環境整備機構(NUMO)
 梅木理事、出口技術部長
日本原子力研究開発機構(JAEA)
 宮本地層処分研究開発推進部長
 佐藤堆積岩地質環境研究グループリーダー
海洋開発機構(JAMSTEC)
 倉本地球深部探査センター長代理
原子力環境整備促進・資金管理センター(RWMC)
 朝野チーフ・プロジェクト・マネジャー
産業技術総合研究所(AIST)
 藤原研究企画室長
 丸井地下水研究グループ長
電力中央研究所(CRIEPI)
 宮川バックエンド研究センター副センター長
放射線医学総合研究所(NIRS)
 内田放射線防護研究センター特別上席研究員
経済産業省
 小林放射性廃棄物対策課長
 島田放射性廃棄物対策課長補佐
 中山放射性廃棄物対策課長補佐

議題

  1. 我が国の沿岸部の地下環境における特性について
  2. 沿岸部における地層処分についての技術的対応可能性について
  3. その他

議事概要

大西主査から、資料2について説明

宮本JAEA地層処分研究開発推進部長から、資料3について説明

梅木NUMO理事から、資料4について説明

委員からの御意見
  • 資料3について、沿岸海底下の地質環境に関しては10万年を一つの単位として説明しているが、もう少し先の見通しはどうか。
  • 例えば、日本列島全体については10万年のその先をどのように理解すればよいか。
宮本JAEA地層処分研究開発推進部長
  • 10万年を意識してまとめたわけではない。
  • 10万年の先については、さまざまな検討は必要だが、不確実性が増える点などは考慮が必要と考える。
  • 比較的よく分かっている10万年辺りの結果として、今回の整理を紹介した。
委員からの御意見
  • 10万年より先の議論は関連研究機関で行っており、いろんな評価データも少しずつ出ていると思う。そのような方向性についても、考え方などを今後示していくのか。それとも、科学的には時期尚早な議論ということか。
梅木NUMO理事
  • 非常に重要な指摘と認識している。陸域と海域の地質環境がある種の連続的な推移を示すのと同様に、時間的な連続性についても、現象ごとにさまざまな状況があると理解している。例えば、火山活動について100万年、200万年を経てもほとんど変化がない地域があると指摘する専門家もいる。
  • 現時点でどこまで先を把握すべきか、どのようなシナリオを安全評価上考えなければならないかといった点をNUMOで整理しているところである。
  • 加えて、どこまで評価期間を考え得るかも示したいが、最終的には安全規制側の議論で決定されるのではないかと認識している。その議論のインプットとなる情報を出していきたい。
委員からの御意見
  • 議論の前提として、沿岸から概ね10~15kmという設定を共有化したことは非常に重要で、よいことと考える。
  • 今回のJAEAとNUMOは広範囲な領域のデータをよくまとめている。手法についても、現有の技術で概ね対応可能というメッセージであると認識した。
  • 陸域についてはマッピングの要件などが提示されているが、今回の資料中では火山や地形への言及はあるものの、活断層については明示されていない。現状ではデータがないのか、あるいは不足しているのか。
  • 海水で覆われているため、データが粗く、地表ほどの精度がない、もしくはアクセス出来ないということであれば、それを認識した上で、例えば今後のマッピングの要件に大きな影響を及ぼすものではないというようなことが確認できればよいと考える。
  • 海水準変動で谷が削られるのは沿岸の特徴と考えるが、何回かの変動で10万年やそれ以上の期間で集中的に特定箇所がより削り込まれるような現象などは科学的に明らかにしていくべき。地質など、何らかの特徴がある部分が削られていると推測されるが、何らかの評価を行えるデータはあるか。あれば、検討と共に提示して欲しい。
  • 関連して、地形が変われば地下水流動にも影響が及ぶことから、その点の整理を追加できればかなり網羅された条件になると思う。
佐藤JAEA堆積岩地質環境研究グループリーダー
  • 今回の資料では沿岸部に特化し、海水準変動、塩淡境界、動水勾配、水理場、化学場を提示したが、火山と活断層は内陸部や陸域と同じ特徴との認識のため、資料中には提示していない。
丸井AIST地下水研究グループ長
  • 日本列島では活断層が海岸線に並行して存在することが多い場合が考えられる。それも含めて今後の調査を行うべきであり、既存の文献を整理して解析すべきと認識している。
  • 海水準変動に伴う河川の下刻により海底谷が形成される場合が多い。例えば、日本には一級水系が109あり、海岸線の総延長距離は35000km程度である。1つの一級水系が下刻したとすると、その左右に300km程度の削られていない部分があることになる。数km四方程度の処分場を決める際には、河川の蛇行などを考えても、三次元的に考慮していけば、地質学的に有望な地域は見つかる可能性が高いと考える。そういった部分も今後の課題となるかと考える。
委員からの御意見
  • 10万年という議論が出たが、沿岸域であることを考慮すると、海水準変動の周期に相当する。よって、10万年単位で考えていくことは、沿岸域に関しては妥当であると認識している。
  • 重要なことは、10万年ごとに同じ現象が繰り返されるということ。日本列島においては、この繰り返しと広域の隆起の両方の組合せで沿岸域が進化していく。その進化を考慮して議論を進めなければならない。
  • 海底下への処分の場合も、沿岸で考えるのであれば、将来陸地になる可能性がある。将来の不確実性を考える上では、その点も考慮して位置と現象を考える必要がある。
梅木NUMO理事
  • 現象として、隆起・侵食と組み合わさって汀線の位置が変わってくることは当然のことであり、考慮していくべきと考える。
委員からの御意見
  • 人工バリアや工学技術対策の観点では、沿岸部の特徴については、これまでの陸域での検討の中でも、化石海水を対象とした化学場の事例などがあり、データの過不足の問題はあるものの、既存データや技術は現状でもある程度考慮出来ていると認識している。
  • 特化して考えるとすれば、塩水の影響が一定周期で発生する場合や地形の影響を受ける場合を考えるなど、地質環境の場としての特徴について、より充実させることが重要と考える。
  • 人工バリアに注目すると、塩水の影響で腐食が発生し、その周辺やベントナイト側が影響を受ける。あまり影響はないという話には当然なるが、実際にかなりの長期を考えるには、信頼性向上の観点では、データの拡充とモデルの精緻化は重要と考える。
宮本JAEA地層処分研究開発推進部長
  • これまでも塩水系地下水という観点で様々な検討を行ってきているが、沿岸海底下という観点では、より塩分濃度の高い場合のデータの拡充や蓄積が必要であると認識している。
  • 拡充や蓄積という意味では、現状をベースに開始できることから、それほど時間をかけずに取組可能と考える。
委員からの御意見
  • 議論の前提となっている沿岸部の範囲について、陸側に20kmというのはかなり大きい印象であり、沿岸部ではなく陸域に相当するかと感じるが、これはどのように決められた範囲か。
  • 解析対象範囲としてこの程度の広さを考えておくということか。
小林放射性廃棄物対策課長
  • 科学的有望地の要件・基準の検討を行っている審議会での議論において、輸送時の安全性の観点から海上輸送を前提とした上で、海岸線からの一定距離を念頭に置いて考えることとなった。この20kmとは埋設後の長期安定性の観点とは別の観点からの境界設定である。
  • 施設の設置場所としては、将来の処分地選定が進んだ際に具体の検討がなされるが、前述の審議会の議論の前提として、海岸線からかなり陸側の位置に施設が設置される可能性は十分にあるとしている。
  • 本研究会の趣旨は、その前提はありながら、海岸線近傍を対象とした場合に地質環境としてどのような特性が挙げられるか、調査・評価技術や工学的対応可能性の観点でどのような特性があるかを整理したいというものである。
丸井AIST地下水研究グループ長
  • 解析対象という観点では、山から海までの連続的な流域の解析が必要と考えられ、対象範囲はさらに広がるかと考える。
委員からの御意見
  • NUMOからの説明では、工学的対策の部分については、考慮する対象がイオン強度の低い降水系地下水から海水に変わった場合の対処方法をまとめたという印象である。
  • 一方、JAEAからの説明では、沿岸海底下に処分することの地質学的・水文学的な利点を整理していたと理解する。
  • 地質環境が異なる沿岸部の利点を生かした場合に、地層処分システムが内陸部と異なる可能性があるかどうかを検討しているか。
梅木NUMO理事
  • 沿岸海底下での塩水条件で、どのような工学的対策を取れば、要求される人工バリア性能が満たされるかを中心にまとめた際に、塩水系と相対的に比較するために、降水系と並べて検討した。
  • 処分概念を地質環境に適合して設計することが基本であるため、安全性を確保した上で合理化ができる点や強化すべき点など、地域特性に応じて設計することは考えている。
委員からの御意見
  • 現時点ではジェネリックな検討だが、場所が決まればサイトスペシフィックに設計を最適化していくものと理解している。
倉本JAMSTEC地球深部探査センター長代理
  • 水理場や化学場以外に、微生物の場を少し強調して考慮してはどうか。
  • 沿岸域の沖合にはメタンハイドレートがあるが、海水準変動によるその溶解や地形変化の影響を検討してはどうか。
宮本JAEA地層処分研究開発推進部長
  • 微生物の影響は沿岸海底下の課題として特記していないが、地層処分全体の課題として認識しており、微生物による影響評価に関する研究は実施している。
丸井AIST地下水研究グループ長
  • メタンハイドレートについては、考慮事項のひとつと認識しており、分布域の調査などを進めている。
委員からの御意見
  • NUMOの資料では塩水環境下でも、淡水環境と同様に処分可能ということを説明していると理解するが、全体のまとめとしては、そのメッセージが不明瞭に感じる。
梅木NUMO理事
  • 塩水環境下でも、淡水環境と同様に処分可能という趣旨である。沿岸部の特性である塩水系の化学場、動水勾配が非常に小さい水理場、気候・海水準変動の影響を受ける場でも処分可能ということがメッセージである。
委員からの御意見
  • 近年の研究や知見の蓄積に基づき、どのような理解において塩水環境でも処分が実施可能であるのかの整理を進めて欲しい。
委員からの御意見
  • 最近は温暖化による海水準の上昇が予測されているが、10万年単位で考えると海水準が下がるという予測であり、長期的には影響がないというモデルなのか。
梅木NUMO理事
  • そのようなシナリオが実際に必要かどうかは別として、温室効果による高海水準が続くケースを計算している例はある。
委員からの御意見
  • 概要調査段階では、陸域であれば露頭調査の後にボーリング調査と進むが、海域では露頭調査ができない。コントロールボーリングによる調査などを行うことと理解するが、どこまで地質環境を理解できるかという情報の説明をもう少し補強すれば、考え方が整理されてくると考える。
丸井AIST地下水研究グループ長
  • 資料中で駿河湾での調査事例も示しているが、綿密な微地形調査や海底湧水調査が可能になってきている。物理探査は海陸接合部においても実施可能になってきている。
倉本JAMSTEC地球深部探査センター長代理
  • 海域では様々なセンサーを組み合わせて三次元的にデータ取得が可能であり、繰り返すことで四次元的になる。陸域ではできない調査が海域では可能である場合もある。
委員からの御意見
  • 地質に関する情報を補足すると、岩体としての地質の広がりを考えた場合に、海岸線から全く違う岩種が出てくることは全く無いわけではないが、ある程度の連続的な広がりを推定できる。それと三次元的な調査データにより、それなりの精度で情報を整備可能である。一方で、精度を高めていく観点では、海水に手法を適用させる取組を行っていくということと認識している。
佐藤JAEA堆積岩地質環境研究グループリーダー
  • 北海道の釧路にある炭鉱は海底下200mより深い位置に坑道を展開している。坑内の湧水調査結果として、ほとんどが非常に古い化石海水と、古い時代の降水を起源とする陸からの地下水が混ざったものであるという研究例があり、現在の海水が混ざっているというデータは全くなかった。そのような場所が確実に存在することは分かっている。
委員からの御意見
  • その場合の地下水は淡水なのか、塩水なのか。塩分を含むのか。
佐藤JAEA堆積岩地質環境研究グループリーダー
  • 化石海水である。浅い部分では降水を起源とする成分もあるようだが、混合されたものである。
大西主査
  • 本日の議論をまとめる。
  • 基本的には海域の浅部の地質環境は陸域とそれほど大差なく、大筋で一致していると認識している。
  • 沿岸部という観点では、海水準変動とそれに伴う影響としての塩淡境界を考慮する必要があり、それにより変化させられる水理場と化学場を検討する必要がある。
  • また、10万年という単位を超えた長期的な変動に注目しながら、その中の10万年を切り取って整理してはどうかという提案があった。
  • 本日の資料に火山や断層の情報が入っていないのは、陸域と共通の考えにより検討するためであり、特記はないが、当然検討するものとの認識がある。
  • 海水準低下による河川の下刻や海底地すべりが引き起こす地形変化などは、信頼性向上の観点から十分にさまざまな場合を検討していくことが望ましい。
  • 微生物活動は陸域と共通として研究が進められているが、海域に特化した事象の有無も含め、信頼性向上の観点でさまざまな考慮を行うことが望ましい。
  • これらの点は、研究会の議論を進めるに当たってもさまざまな意見を頂きたい点であると考える。

以上

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お問合せ先

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電話:03-3501-1992
FAX:03-3580-8493

 
最終更新日:2016年6月6日
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