経済産業省
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沿岸海底下等における地層処分の技術的課題に関する研究会(第3回)-議事要旨

日時:平成28年4月19日(火曜日)10時00分~12時00分
場所:経済産業省本館17階第1~第3共用会議室

出席者

研究会委員
大西主査、大江委員、佐藤委員、登坂委員、山崎委員、吉田委員
関連研究機関等
原子力発電環境整備機構(NUMO)
 梅木理事、出口技術部長
日本原子力研究開発機構(JAEA)
 清水地層処分研究開発推進部長
海洋開発機構(JAMSTEC)
 菊池経営企画部経営戦略課長
原子力環境整備促進・資金管理センター(RWMC)
 朝野チーフ・プロジェクト・マネジャー
産業技術総合研究所(AIST)
 丸井地下水研究グループ長
電力中央研究所(CRIEPI)
 宮川バックエンド研究センター副センター長
量子科学技術研究開発機構(QST)
 田上主任研究員
経済産業省
 小林放射性廃棄物対策課長
 島田放射性廃棄物対策課長補佐
 中山放射性廃棄物対策課長補佐

議題

  1. 技術的信頼性向上のための課題について
  2. 研究会のこれまでの議論を踏まえたとりまとめ(たたき台)について
  3. その他

議事概要

梅木NUMO理事から、資料2について説明

委員からの御意見
  • 隆起侵食は大きな問題と認識するが、次の氷期終了後の侵食量評価について沿岸部の地形はリセットされるとみなす必要があるとの説明は、具体的に何をイメージしているのか。
  • 今後10万年程度の間、海水準は上下に変動するものの、基本的に全体として低下していくため、海底は次第に陸地になっていく。前半のうちは塩淡境界の移動が重要となり、後半では陸地になった部分で何が生じるかが重要。その10万年の全体のイメージを考える必要がある。
  • その間の現象を計算しておくことでシナリオ構築が容易になり、安全評価に効果的と考える。
梅木NUMO理事
  • 海水準低下によって地形が侵食される場所を考えた際、現在の河川がそのまま存在し続けるかは分からないため、リセットという言葉を使っている。現象としては10万年全体での連続性はあると考えられるため、リセットを行うことにより、安全評価上で最も保守的な結果を示すことができると考える。
  • 一方で、過度に保守的になる可能性もあり、今後考慮していくべき課題と考える。
委員からの御意見
  • 現在の海水準変動で既に海底で下刻されている谷があり、それは何らかの海水準変動時に地表に現れた際の地形と考えられる。そこが選択的に下刻される原因が存在するはずであり、ある意味でナチュラルアナログの観点で選択的に下刻されている現象を理解していくべきではないかと考える。この点は学術的な議論が学会などの場で進むことを期待する。。
梅木NUMO理事
  • 今後も御議論、御指摘頂きたい。
委員からの御意見
  • 地層処分技術ワーキンググループで議論を行っている科学的有望地の要件・基準の観点では、陸域で示す火山や活断層のような排除項目に対する全国を網羅した情報として、沿岸部については情報が不均質で粗密があり、全体的に判断できる状況ではないと認識している。
  • 地質環境の部分では、技術的には、沿岸地域における活断層の調査など、調査技術の高度化は早急に求められると考える。
  • 一方、沿岸地域の調査手法として、海域であるために物理探査を縦横無尽に実施できるというような、陸域と比べた際の利点となるものもあり、そのような手法の開発も進める必要がある。装置の小型化による浅い海域での高精度な物理探査などの手法が必要となると考える。
  • 今後は、さまざまな調査手法を活用した高度化を行っていくのが良いと考える。
  • グラウト材を用いた手法の提示もあったが、沿岸海底下という観点では、地下備蓄などの経験が役立つ。手法としては、さまざまなグラウト材を特性に合わせて組み合わせて使用するなどといった適用技術の整備も将来的には考えるべきであり、そのような対応技術もある程度の経験があることを提示しておくべきである。
  • 天然バリア中の核種移行が塩淡境界の変遷に応じて拡散から移流に変わるという説明について、補足説明をして欲しい。
梅木NUMO理事
  • 海底下は非常に動水勾配が小さいため、物質移動が拡散により生じている領域だが、海水準低下に起因する隆起・侵食により地形の変化が生じると地下水系が変化してしまい、拡散支配の場が移流支配に変わるということを提示している。
委員からの御意見
  • 海底下にあるうちに変化するということではないという理解でよいか。
梅木NUMO理事
  • 御理解の通り。
  • グラウトについては、組み合わせの件や、地下備蓄や青函トンネル以降の建設実績におけるグラウト材の適用など、実績は豊富にあると認識している。組み合わせ方法について検討すべきという点も同じ認識である。
  • ただし、セメント系材料の使用により、pHが高くなることで長期的な安全性に影響を及ぼす可能性もあるため、安全評価も視野に入れた組み合わせの検討が必要と考える。
  • 物理探査に関する小型化は海陸接合部での調査の利便性向上の観点と理解するが、そのような装置開発の実施も非常に重要と考える。
委員からの御意見
  • データの空白域となりがちな海岸線近くの浅瀬などのデータ整備の観点でも物理探査装置の小型化は必要と考える。
丸井AIST地下水研究グループ長
  • 海岸線近くのデータ空白域の物理探査については、波浪の影響を受けないセンサーや海底のベイケーブルの開発等も行われており、船や装置の小型化のみならず、探査技術の開発は進行している。
委員からの御意見
  • 沿岸部を中心に調査していく際には、これまでは「硬岩」や「堆積岩」などの岩種についても議論してきたが、今後は、岩種に関わらず調査していくことができるというスタンスになるのか。
梅木NUMO理事
  • ここでは、包括的に多種の岩種を対象に、それぞれの岩種のメリット・デメリットなどを踏まえさまざまな観点で技術を整備していくという方向で整理している。
委員からの御意見
  • 海底下の地層に厚い堆積層があった場合には、ガスの湧出などが想定されるが検討しておく必要はないか。
梅木NUMO理事
  • ボーリング調査において考慮すべきと理解している。ガスの多い地域で技術的な経験の蓄積もあり、調査において技術的に対応可能と考える。
  • 地質環境のモデル化の観点では、ガス移行を扱うモデルも構築されている。
委員からの御意見
  • 資源の観点からは、陸域では岩や鉱物の資源化の観点があるが、海底下においては現時点ではあまり考えられていない。メタンハイドレートに限らず、石灰岩などの岩石そのものが資源となる可能性があり、その際には一定の水平距離を確保することが必要。長期間を想定した海水準変動による隆起・侵食の際には、そのような資源の観点を考慮しつつ、場所を考えるという視点が必要と考える。
梅木NUMO理事
  • 資源については、経済的価値の観点は時代と共に変わることから、処分事業を進める中で常に勘案していくものと考える。
委員からの御意見
  • これまでの整理は内陸の地下での処分が前提の整理と理解している。一方で、処分は総合技術であるため、内陸での処分の延長上では認識出来ないことが、総合的なアプローチによって沿岸海底下の場合には認識できるということが生じると考える。
  • さまざまな要素間の連動を考慮していくプロセスは必要であり、それにより沿岸海底下の処分に特化した排除要件が発生する可能性もある。そのような取り組みについてはどのように取り扱うのか。
梅木NUMO理事
  • 場が与えられた際に、場の特徴の把握の問題から、いかに設計で対応して安全評価を行うかというような一貫したフレーム自体は内陸でも沿岸部でも基本的に大差ないと考える。
  • 基本的な方向性として、調査・評価技術の体系化や総合評価手法といった総合的な技術を示しており、その中で場の特徴も含めた形で手法として整備していくものと理解している。
委員からの御意見
  • 基本的に内陸の地下での処分と変わらず、その延長上にあるという前提で考えることは理解したが、そこで開発されたモデルについては、内陸の地下での検証が行われているはずであり、その観点では、沿岸海底下の環境に適用可能かどうかは確証できないと考える。これをどのように解決していくのか。
梅木NUMO理事
  • 安全評価で対象にする全ての時空間の確証というのは物理的に不可能と理解しており、それらを取り扱う場合には、室内試験などにより部分的に確証するといったことを実施していくこととなる。
  • モデルについては、科学的知見などが論理構造や知識として適切にモデルの中に組み入れられていることが重要であるため、モデルの妥当性は十分に検討する必要があると考える。
  • また、ナチュラルアナログの探査や研究は今後も進めていく必要があると同時に、モデルの全ての要素について関連する専門家に情報を提示し、妥当性の評価を得るようなプロセスを適切に行う必要があると考える。
  • モデルに不確実な部分がある際には、パラメータなどを保守的に設定するといった対応により、不確実性を適切に内包したモデルとして利用可能な形にしたい。
丸井AIST地下水研究グループ長
  • 関連研究機関では、これまでの技術の高度化開発に引き続き、モデルや技術の確証技術開発に研究フェーズを進めて取り組んできている。委員の懸念に対しては改善される方向に進んでいると認識している。
委員からの御意見
  • 地層処分における10万年という時間単位についての評価は解析技術に頼らざるを得ない。
  • 地質環境調査や評価技術の説明において、ハード面の調査技術は記述されているが、重要な核となり得る解析の部分が弱まっているように感じる。これらは核心となり得る大きな部分であると認識して進めて欲しい。
梅木NUMO理事
  • 陸域での処分と共通の認識ということで明示はしていないが、解析やシミュレーションの技術が中核をなすことは疑いようのないことと認識している。
大西主査
  • ここまでの議論をまとめると、ある程度、基本的な技術はかなり手元にあるが、部分的には、断層の調査、グラウト技術、解析技術やモデルの検証などについて今後の高度化開発によって技術やその適用性を整備していくことが必要であることが認識された。
  • 今後は事例を積み重ね、さらなる精度向上、理解獲得の努力を継続する必要がある。
  • 基本的には、実施主体としてNUMOが行っていくわけだが、そのバックアップとして関連研究機関の十分な協力を得て、総力を挙げて進めて行くものと認識する。

中山放射性廃棄物対策課長補佐から、資料3について説明

委員からの御意見
  • いままでの3回という限られた議論の中では、実現可能というよりは、実施不可能ということを否定しないということと認識している。自信を持った結論を出すには議論の継続とデータの拡充が必要ではないかと考える。
  • 一方で、内陸の地下の延長上としての考え方には妥当性があるということと、延長するやり方を我々はある程度知っているということを今回の議論で認識した。
委員からの御意見
  • 段階的な調査が行われていく場合に、とりまとめ案に記述されている内容はその調査段階に対応しているのか。このとりまとめへの反映のされ方を教えて欲しい。
梅木NUMO理事
  • 情報を整理した立場から言うと、この技術的検討を行っている趣旨は、文献調査を行っていく上で問題は無いと認識する段階にあるという理解を得るためと考える。したがって、ここで議論された課題についての研究開発を今後進めていくが、これは海域に限らず、内陸に候補地があった場合でも同じく調査を行っていくということである。
  • これまでは主に内陸に主眼があったが、地層処分技術ワーキンググループの中間整理において沿岸部がより適性が高いという議論となったことから、沿岸部であっても内陸とほぼ同様に文献調査に進んでいくことが可能かどうかの確認をしているものと理解している。
委員からの御意見
  • 地質環境の観点では、ここでの沿岸部は陸域の地下の延長と理解している。陸域と異なる点は、上に水があるかどうかである。海水準変動で海岸線が後退すれば陸地になる可能性がある。
  • その間に塩淡境界などが地下に影響を及ぼす可能性があるため技術的な調査が必要ということは認識するが、地質環境としては陸域の処分とほとんど変わらないと理解している。
委員からの御意見
  • とりまとめ案は本研究会の成果報告書のたたき台であるとの観点から、地層処分技術ワーキンググループで科学的有望地の議論が行われて本研究会が開催されるに至った経緯を最初の部分にもう少し反映させるとよい。
委員からの御意見
  • これまでの陸域での評価との相違という観点では、地球科学的な局面で考えた際に、陸域では塩水や海水などの環境を個別に整理してきた部分があるが、重要なことは塩淡境界があることであり、淡水から塩水までの両方の側面を総合的に考える必要があるということと認識している。その点を誤解のない記述で整理して欲しい。
  • 技術面では、工学技術の対策を実施することで塩水の影響を考慮する必要があるとされているが、基本的には、今後取得していく情報も含めて沿岸部における人工バリアの特性や挙動を考慮することにより人工バリアの設計を行っていくと理解している。これまで想定している条件からはみ出るものがある場合には工学的対策の実施が必要と認識するが、基本的には特性や挙動を考慮した上での設計対応を行うことと認識している。
委員からの御意見
  • 文献調査を実施するとなった場合に、海底下に関する既存のデータがどの程度あるかが重要と認識している。文献調査時に何らかの判断を行う際の技術的な拠り所が、このとりまとめ案に盛り込まれていると理解してよいか。
梅木NUMO理事
  • 文献調査の段階では、すでにどこかの地域が与えられている状態であるため、その地域に注力してデータの有無を確認することとなる。
  • データの活用方法としては、各調査段階に応じた概要的な設計や予備的な安全評価にデータを反映させていくものと認識しており、今後も継続してデータの拡充を行っていくことを考えている。
  • その地域における最大の特性はその場の地質環境であり、可能な限り直接的なデータを使いたいが、ない場合にはその場を出来る限り忠実に再現できる類似データを適用していくことになると考える。その作業に必要な基本的ツールはほぼ揃っていると理解している。
委員からの御意見
  • 文献調査段階でのソフト面の技術として何が揃っているかといった部分の記述が不足している印象があるため、追記するとよい。
梅木NUMO理事
  • 沿岸部に特徴的な部分のみ取り上げてハイライトしているため、その他の部分は陸域にも共通的に使えるものとして今回の整理の対象から除外している。背景情報にはNUMOや関連研究機関で進めているツール開発や研究開発がある。
丸井AIST地下水研究グループ長
  • 関連研究機関において基盤研究開発の一環として既存の文献の分析を行っている。現在までの50年分について、日本の海岸域や沿岸域に関する文献は約50万件ある。この分析はNUMOが行う「文献調査」とは全く異なるもので、その文献が対象とする地域や手法を同定できるか、どんなデータベースを利用しているか、あるいはどんなボーリング手法を採用しているかといった情報を整理し、分析している。
  • 海外の文献で日本に関連しているものや50年以上前の文献を含めると160万件程度になると想定している。これらの分析により、例えば沿岸部の海側を調査する際に文献を調べるにはどのように収集することが適切かということを提示できるかと考えている。
小林放射性廃棄物対策課長
  • 地層処分の実施可能性についてコメントがあったが、日本ではジェネリックな観点で地層処分の研究が進められ、評価されてきている。本研究会がその範囲を飛び越えて先取りしていくということではない。これまでの研究や技術の蓄積を踏まえて調査や評価を将来的に適切に行っていけば、処分が実現できるという可能性をジェネリックに検討するという範囲にあることは、本研究会も同じと認識している。その点は気を付けながら注意深く取りまとめたい。
  • 段階的調査との関係についての指摘があったが、説明を補足する。本研究会の背景として、国が科学的有望地の検討を行っているということがある。これは、将来的に段階的調査に進んでいく上で、大まかな特性を提示していくという取り組みであるが、海域についても対象として考えることが適当かどうかという検証を本研究会でも行っていると認識している。
  • 沿岸部を含む海域において、特に地質環境特性の面で何らかの劣後があるかという点は大きな問題意識の1つであったが、その点は議論して頂いた。
  • 仮に地質環境に好ましい特性が期待できるとした場合にも、それを適切に調査・評価可能か、その技術は十分に準備できているかという点も問題意識の1つであった。これについては正に本日も議論して頂いているとおり、サイトスペシフィックの評価に備えて今から準備していくということで理解して頂けていると考える。
大西主査
  • 本日の議論を踏まえ、とりまとめ案を加筆修正したい。
  • その際、各委員と緊密に連絡を取りながら調整し、最終稿の準備をしたいと考える。一方で、時間的制約も不明瞭なため、差し当たって取りまとめの最終案の作成段階では、主査に一任頂き、それをまとめた段階で各委員に提示することとしたい。

以上

関連リンク

お問合せ先

資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 放射性廃棄物対策課
電話:03-3501-1992
FAX:03-3580-8493

 
最終更新日:2016年6月9日
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