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電力・ガス分野から考えるグローバルエネルギーサービス研究会(第1回)-議事要旨

日時:平成29年3月1日(水曜日)15時00分~17時00分 
場所:経済産業省別館1階120共用会議室

出席者

赤峰氏(アーサー・D・リトルジャパン株式会社)、稲葉氏(株式会社国際協力銀行)、杉江氏(株式会社三菱総合研究所)、武智 氏(関西電力株式会社)、竹森氏(大阪ガス株式会社)、筒井 氏(一般財団法人電力中央研究所)、戸田氏(東京電力ホールディングス株式会社)、羽生田氏(多摩大学ルール形成戦略研究所/デロイトトーマツコンサルティング合同会社)、原田氏(電源開発株式会社)、堀切 氏(中国電力株式会社)、矢島氏(株式会社JERA)、山地氏(九州電力株式会社)、山田氏(独立行政法人国際協力機構)、山本氏(東京ガス株式会社)

議題

  1. 研究会の全体像
  2. グローバル化に着目した欧州電力会社ベンチマーク
  3. 社会インフラの海外進出におけるルール形成戦略
  4. グローバル展開に関する現状と課題

議事概要

出席者からの主な意見は以下のとおり。

1. 欧州企業の現況

  • 欧州では、再エネ、ネットワークといった規制事業、安定事業への回帰が起こっている。リスクの高い上流事業は撤退或いは非注力というのが最近の動き。
  • ドイツの企業は特に状況が厳しく、本業の自国の規制事業が順調かどうかで、外向き/自国回帰に二極化している。
  • 海外のユーティリティ企業がグローバルに事業を展開するようになった背景には、国内の規制・ビジネスが厳しくなったことからチャレンジせざるを得なかったという事情があった。海外ユーティリティからは、国内事業だけで稼げる日本のユーティリティ企業が羨ましいという見方もこれまではあったのではないか。

2.  グローバル事業に関する現状・課題

  • 早くに実施した海外IPP案件は、そろそろPPA契約の満期を迎える時期にきている。長期契約が切れた後の販売戦略が今後の大きなテーマとなる。
  • O&Mには100人単位の要員の確保が必要。インドネシアでは政府が35GWの電源開発計画を打ち出しているが、これから多くの電源が立ち上がっていく中で、人材の確保は厳しい課題となってくるのではないか。
  • 日本の企業は土地収用のリスクを真正面から受け止めているが、本来官が負うべきリスクもあるはずであり、この点は欧州企業が契約をどうしているのか、分析してみる価値はある。契約の外出しにしている可能性もあるのではないか。
  • 東南アジアでは、インドネシア、マレーシア、シンガポール等のローカルディベロッパーが競合相手になってきている。日本メーカーの機器は一般的に高く、採用すると初期費用でローカルディベロッパーに劣るが、ライフサイクルを考えると日本メーカーの機器が必要となるというジレンマがある。

3.  国・政府系支援機関への支援要望等

  • 海外IPP事業においては、投資前後それぞれに民間事業者では対応できない点において我が国政府のサポートが重要と考えている。例えば、(1)投資前については、日本の技術導入のメリットを相手国に認知させた上、外資の信頼に足る投資環境を整備させること、(2)投資後については、現地政府等の許認可の恣意的運用の回避、(3)法制度間の不整合問題の解決、(4)(電力需給・電力料金・為替のクッションとなっている)途上国電力公社への現地政府のシームレスかつ強力なサポート、(5)再エネについては、FIT等の制度のシステム維持・安定化等である。
  • 日本企業は、現状海外事業においてマジョリティを取ってきていない。そのため、機器選定や燃料調達を主体的に決定できていない。今後は主導権を取るビジネスモデルを構築しなければならない。また、日本のユーティリティがO&Mをやりきらなければならない。この仕組みづくりにおいて、JBIC及び政府のサポートをお願いしたい。
  • ルール作りの観点での課題は3点。一つ目は、ローカル通貨での支払いが求められる場合において、為替レートの保証が十分でない。日本円でのタリフ支払いシステムの構築ができないか。主にインドネシア、ベトナムなど。二つ目は、地熱発電の試掘段階でのコスト。インドネシアや中南米、アフリカなどでもJOGMEC法のような制度が整備されることを望む。また、地熱発電がFIT対象になっている国も少ない。三つ目は、離島における周波数調整のノウハウやメーカーの蓄電技術は日本の強みであるが、これらをうまくスタンダードに結び付けられるとビジネスチャンスが広がるのではないか。
  • 国によって制度がまったく異なり、事業環境が刻々と変化している新興国では、短いスパンで支援を判断されると戸惑うこともある。長い視点で各国のエネルギー政策に対して働きかけをしていただけないか。
  • 海外IPP事業は、数百億~数千億を投資して、20~30年かけて回収していくビジネスであり、このリスク判断には、JICA、JBIC、国のサポートが必要。

4.  日本のオペレーターが有する優位性・競争力

  • 日本のユーティリティ企業は、設備を自分で触る、手触り感のある経営が特色。海外IPP事業において、現地の人材を育成するノウハウも持っている。この点は確かな強み。
  • 日本の電力会社は、長年の垂直統合の事業経営により、「どこにどんな発電所を設置するのがよいか」という視点で語ることができ、FS支援等を通して発電、送配電まで一気通貫の提案ができる、という強みがある。
  • ローカルディベロッパーも発展してきており、日本のプロダクトやオペレーションがその優位性をもとにビジネスを広げられる時間はそう残されていないと感じる。慎重に検討することも大切であるが、同時に優位なうちに海外進出することも重要ではないか。

5.  日本が取るべき戦略(ルール形成戦略等)

  • ルール形成の意義は、「市場拡大」「競争力強化」に大別される。社会インフラ/ユーティリティの産業では前者の目的で、競合とともにベネフィットを享受する姿勢で臨むほうが大きく収益獲得につながる事例が多い
  • ルール形成の意義のうち「競争力強化」について更に分類すれば、「強いものがその地位をより強固にする」という側面と、測り方というルールを変えることなどによる「弱者による逆転の方法」という2つの側面がある。今後日本のインフラ産業は、これまで劣勢に置かれていた大市場における「局地戦」で後者の戦略を採るべき。例えば、各州の個々の局地戦だけでも大きな事業機会となるインドにおいては、国際標準を準用しているナショナルスタンダード(BIS規格)より州政府の独自の調達ガイドラインが優先されることもある。
  • 新興国の社会課題解決の「先生」になるという視点も重要。例えば、インドの送電ロスという地域課題を解決しようとするとき、先生として実証試験を指導することでその後の州政府の調達ガイドラインにそのまま反映される等、案件設計を自由にデザインできるということが往々にしてある。政府の強いバックアップをもとにパワープレーで案件獲得を目指すのとは別のアプローチで、新興国の先生になり、局地戦を制していくという戦略も肝要。
  • 重電メーカーのようにすでにシェアが1、2割あるのであれば、「逆転目線のルール形成」という戦略が成り立つ。一方、(O&Mビジネスを念頭に)例えば足元1%しかないものを2%、3%と高めていく際には、別のアプローチが必要ではないか。また、研究会の議論を有意義なものとするために、グローバル化のゴールとしてどの水準を目指すのかについての共通認識が必要ではないか。
  • 石炭火力はまさにルール合戦。超々臨界は当面OECDの支援対象だが、石炭に対する風当たりは強い。アンチ石炭は欧米に多いが、自国メーカーのガス火力の優位性を高める意図も裏側にある。こうした状況において、局地戦におけるルール形成は重要だが、他方で今後はOECDルールに縛られない中国、原発でいうとロシアとどう戦っていくかという論点もある。
  • ルール形成戦略における今後のキープレーヤーは認証機関。認証機関はルール形成そのものに大きな影響を及ぼす。日系グローバル認証機関を育てるか、或いは欧米系の認証機関とどう組んでいくかといったことも考えないといけない。
  • 電力・ガス産業について特にいえることだが、顧客に対してサービスの良さを訴えるだけでなく、「顧客のメリットを訴える」という視点も重要。例えば、メーターの部品メーカーの高度なデバイスは、電力会社からコスト圧力を受けているメーターメーカー(顧客)にとっては受容し難いコストアップとしてなかなか勝機を掴めないことがあるが、インドの例では電力会社(顧客の顧客)にとっては「盗電・送配電ロスの削減による収益改善ツール」になり得る。この視点がなければ、日系ユーティリティープレーヤーの高品質なサービスのグローバル展開は「コスト競争」の壁を越えられない可能性がある。
  • 先進国で生まれたサービスをそのまま新興国に持って行っても通用しない。新興国のニーズに合う形で、例えば既存のレガシーを活用する等、投資コストを抑える提案も肝要。デマンドレスポンス(DR)はその典型例。新興国では、現状の先進国型の中央制御のDRシステム(1,000億円程度の投資が必要)ではなく、低投資の自律分散型DRのほうが市場導入され易い可能性あり。
  • バリューチェーンを絞って議論していくことも重要。規制部門のネットワーク事業で進出を図るのであれば、政府がGtoGで果たす役割は大きい。日本の送配電ネットワークは信頼性が高い。例えば、タイで起きた洪水は、同国に海外進出している製造業に甚大な被害を与えた。つまり、製造業を受け入れる後進国でも、安定供給は重要になり得ることを意味する。日本の質の高いネットワークを売り込むことは効果的。
  • 英国のRIIOのような、規制部門である送配電事業の利益の一部を新たなチャレンジの原資にできる仕組みを作ることも、日本の強みを活かした発送一体の輸出等を促すことにつながるのではないか。

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資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力市場整備室
電話:03-3501-1748
FAX:03-3580-8485

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電話:03-3501-2963
FAX:03-3580-8541

最終更新日:2017年3月17日
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