経済産業省
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東京電力改革・1F問題委員会(第1回)‐議事要旨

日時:平成28年10月5日(水曜日)10時00分~12時15分
場所:経済産業省本館17階第一特別会議室

出席者

委員
伊藤委員、遠藤委員、小野寺委員、小林委員、川村委員、白石委員、冨山委員、原田委員、三村委員
※伊藤委員は、委員互選により委員長に選任
オブザーバー
廣瀬東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長
事務局
日下部資源エネルギー庁長官、多田資源エネルギー庁次長
村瀬電力・ガス事業部長
山名原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長
西山原子力損害賠償・廃炉等支援機構連絡調整室長

議事概要

冒頭、事務局から、以下の内容の大臣メッセージを紹介。

  1. 東電改革の成果は福島復興や電力改革、原発事故に備えた制度対応につなげる。
  2. 国を挙げて取り組むべき話題であり、これをオールジャパンのこの体制での検討を依頼する。
  3. 提言は、国の対応と合わせて実行に移す。

事務局から、東電問題の経緯(資料5)について説明。

オブザーバーである東京電力ホールディングス株式会社の廣瀬社長から、東京電力によるこれまでの取組(資料6)について説明し、改革を通じて、原発事故に伴う費用を自ら負担し、福島の責任を果たすとの意向表明あり。

原子力損害賠償・廃炉等支援機構の運営委員長である原田委員から、現在の東京電力の経営評価(資料7)について説明し、一定の進捗が見られる部分はあるものの、なお課題が残っている部分もある旨を紹介。

最後に事務局から、論点(資料8)について説明。

各委員からの意見は、以下の通り。

(総論)
  • この委員会の目的は、東電の救済ではなく東電の改革のための処方箋を描くこと。
  • 全体の負担のバランスの中で、東電が自力で頑張るというのが大原則。他方で、その負担を無限大に寄せていくということも解にはならない。
  • 自由化の中で東電が自律的に問題を解決するということが大前提。このために東電がその経営体質を変革することが重要。
  • 今回の委員会の最大のプライオリティは、「国民の納得」。今回の改革とエネルギー政策との整合性をどのように確保するか。国民の納得性をも満たすような企業の姿が大事。企業と国家の役割分担の最適化が必要。
  • 現在の負担枠組みでも既に賠償費用などの一部について国民全体で負担している。国民全体から極めて厳しい目を事故処理の問題に向けられている。非常に高い緊張感を持った対応が必要。
  • 優先順位を明確にすべき。最優先事項として、賠償や廃炉を東電が主体的に行うことが大前提であると考えるなら、東電をその費用を賄えるような経営体質にすることが最大の課題。
  • たくさんの目的関数があって、同時に成立するのは難しく、どこかで割り切らないと解がない。まず、基本としておさえるべきは、しっかりした電力供給者は必要。次に、やはり日本には原子力発電は必要。さらに、廃炉の技術は、東電だけの問題ではなく、日本全国の原子力発電所にとって必要なもの。
  • 需要が減退していること、電力が新規参入の中で分散化している状況の中で、新しい東電の経営計画はどのような前提で臨むのか。
  • 問題意識として、「メルトダウン問題」に見る東電の経営体質、柏崎刈羽「再稼動問題」の本質、福島の復興と事態の収束への責任のあり方、原子力事業に関する東電の役割・使命の再定義と国の役割・使命の再定義、日本の電力産業の生産性・国際競争力の向上と電力ビジネスの世界標準化と、そのための東電を中核とする電力再編のあり方を挙げておく。
  • エネルギー政策における再編のあり様はどのようなものなのか、再編の絵姿を示していくことが重要。どういうエネルギー政策の中で原子力の位置付けがあって、その中で東電の位置付けがあるのか。供給体がどのような電力産業として今後なるべきなのかという見通しをある程度示す必要がある。
  • 本日の議論でも課題が明確になってきている。様々な課題が絡む多元方程式。全てを一人で解決することは難しいが、この委員会ではまず基本となるべきことを提言してもらい、その基本に沿って、それを今後の検討の中に溶かし込み、それぞれの持ち場持ち場で解決していくという手法がよいのではないか。
  • 責任と競争の両立が大きなテーマ。国から援助を受けている資金の早期回収のために、競争力をつけていかなくてはならないという、一見矛盾するような課題に解を見つけていく必要がある。
  • 全体として、社会的なコストをどのように下げていくのかという点は、後に放棄をできない重要な問題。このための検証を行うべき。
  • 原発事故に伴う費用が膨らみ、ゴールが逃げ水のように逃げていくという状態がある。そろそろ改革でどこまで叩き出せるのかというリアリズムの議論をした方が良い。
  • 会計原則については、これから議論する上で、この場でも共有しておく必要がある。ベーシックな知識について共有しておいた方がいい。
  • 各委員からの指摘を踏まえて、これからもやっていかなければならない。これまで、福島の責任をどうやって果たしていくかを第一に考えてきた。そこが一番の経営としてのプライオリティ。汚染水処理、賠償など、たえずこの責任をどう果たしていくのか。これをある程度落ち着かせて、再編なりアライアンスなりで企業価値を高める。今までも同時並行的にやってきたが、さらに加速化していく。既に事故から5年半にわたり火事場の馬鹿力で頑張ってきた中で、どういうふうにモードチェンジしていくのかが一番難しい。少しずつ重心を動かしていかなければならないのは全くそのとおり。
(非連続の経営改革(事業再編))
  • 改革をする上では合併・連携が可能となるような事業体にする工夫が必要。
  • 他社との連携も大事な仕事だが、今の体制の中でも利益が上がってくるということをある程度確認しながら、並行して他社との話を進めていくことも必要。原子力は、電力会社だけでは決められないことも多く、国とも話をしながら、なるべく合理的に意見を浸透させていくことが必要。
  • これまで5年間の改革で達成できなかった改革を、今回は非連続的にやりきるということだが、その「質的」な違いを東電がどのように示すことができるか。
  • 通信は、NTTの垂直統合を認めてしまったので、関連業界全体がガラパゴス化してしまった。グローバル市場に目が向くような改革にしないといけない。米国のAT&T分割は、その成功例。国際的に見ると、エネルギー市場は成長市場。基本的に水平分業的なアライアンス形成・連携の促進が望ましい。
  • コストサイドのイノベーションは当然自由化の中でやっていくことになるが、これに加えて、忘れてはいけないのがバリューサイドのイノベーション。このためにも、産業としても企業としても、水平分業の構造に転換していくことを止めてはいけない。これを前提として企業価値を高めていった方が、結果的に賠償費用相当や廃炉の原資は出てくる。
  • 福島復興に関わる事業と、一般の原子力の事業との線引きの仕方が大事。うまく線引きしないと、他社との連携のところで齟齬が出てくることがあり、非常に難しいが工夫が必要。
  • 廃炉事業の担当者と、新規事業の担当者、原子力発電の再稼動の担当者との間である程度の線引きが必要だが、他方で東電が一体で全体をやっているという点を貫かないと、この事業は成功しないので、そこが非常に難しい。しかし、やらなくてはいけない。
  • 自由化の中で東電が責任を全うしていこうとすると、2つの一見相矛盾する問題の解決が必要となるため、何らかの現実を踏まえた上での工夫が必要。例えば、自由化の中でも規制の残る送配電部門での工夫は必要。
  • 送配電部門は、総括原価が残るので、この非自由化部門と、競争主体となる全体との良い按配を考えることが大事。
  • ホールディングスと3つの事業会社があるが、このグループの総力を挙げて原資を生み出し、これを廃炉などの作業にどううまくアロケート(分配)していくかがポイント。
  • JERAのように、付加価値を生む部門としての独立性の高い収益確保のための事業体と、本体との間で共有されるモラルをどのように確保していくのかが大事。目標の共有をしていくことが大事。
  • 福島での仕事は、まだ厳しい労働集約的な仕事が残っている。この仕事に従事している人間が、それ以外の仕事に従事している人間との関係で、納得感が持てないようなことにならないようにしていく。だからどうするのかというのは本当に難しい。
 (企業改革)
  • 指名委員会等設置会社にするなど、形だけ変えても問題は解決しない。組織構成員が各段階で主体的意思を持つような改革を実現しないと効果は生まれない。
  • 経営者に、基本的な自由化の理念が本当に共有されているかどうかが最大の問題。
  • 国鉄の分割民営化の時のように、改革をやらなくてはいけないと思っている人がいること、内部に積極的に推し進めようとしているグループが存在していることが改革の要因。
  • トップの改革の意思を社員一人一人、内部に浸透させるのは難しい。今回の「非連続の経営改革」というが、どこまで組織内部、社員に共有され、浸透しているのか。改革の中にもいろいろな改革があり、執行部隊としてやるべき改革もあるが、その一方でどういう形での合併、再編、あるいは連携を考えるのかということについては、この場で議論するのに適当である。
  • 企業改革の方が、事業再編よりも難しい。企業文化、企業風土の養成が非常に大事。結局実行するのは社員であり、その社員がその気にならないといけない。
  • 経営的にどんなに厳しい状況で、経営者がつぶれるのではないかと思っていても、大きな会社ほど、社員は会社が倒れることはありえないと思い込んでいる。過去の経験として、なぜ金のことばかり考えるのかと思いがちな危機感のない社員に対して、しっかり稼ぐことこそが非常に大事で、社会に付加価値を還元していくのは稼ぐことから出発するということを説いていった。潰れるかもしれないという危機感を共有することが大事。そのときにこれまで関係のなかった人たちもかなり入って意識を醸成する必要がある。また、厳しい経営状況の中でも、赤字が減ったといった小さな進捗でも、少しずつよくなっているというのを頻繁に情報発信して見せるようにする工夫をしないと社員の努力が続かない。
  • 相当な人員削減を経験した立場で言えば、会社を離れる人と会社に残る人とが、ともに痛みを分かち合うと思いあうことがとても大事。
  • 東電のガバナンスは空洞化していたとしか思えない。この社内にある空気を変えないといけない。
  • これまで総括原価方式だったので、遺伝子レベルでは、いまだ経済効率性20、安定供給責任100の状態。そう簡単ではないが、両方とも100にしていかないといけない。企業文化を変えるには、それなりの労力や時間がかかる。
  • 東電の中に悪いことをしている人がいるということではない。むしろ、「不作為を放置」する文化・構造の中で、結果として問題が起きている状況。この体質を変えていかないといけない。
  • 東電は震災で社内の意識はまとまったかもしれないが、いつまでもこれが続くと思わない方がいい。もっと強烈な危機意識がないと厳しい。その点は経営者の力が大事。
  • メルトダウン問題には、この5年間、結局東電は何も変わっていなかったという衝撃を受けた。そこで明らかになった東電の問題は、(1)組織のガバナンス不全、(2)経営陣の「お上」頼みと意思決定の政治化、(3)意思決定過程の不透明性と問題が生じた際の秘匿性。
(その他(達成目標など))
  • 「非連続の経営改革」というが、これは普通の企業でも大変なこと。相当様々な方面から、目標としての箍をはめていく必要がある。
  • 東電の経営の目標として、現状株式時価総額1兆円のところ5兆円にまで上げるというのは、大変な数字だが、他の企業の業績の実績を見てみれば、ありえなくはない数字。社員が認識するために、数字の選び方が非常に大事。かつ、それを小さな成果が出るたびに社員に数字で示していくことが大事。
  • 日本のエネルギーコストは、韓国よりも2~3倍も高い。このコストの高いエネルギーを使って勝ち抜けるかと製造業のトップなら思うはず。
  • 進捗を確認するKPIを決めて、何年かけて実現していくのかを全社的に頭に入っていくようにすることが大事。
  • <検証-真実-教訓-備え>の課題サイクルを定着させ、回し続けることが、事故再発を防ぎ、危機管理を強めるために不可欠。今回の東電委員会も、そのサイクル作業の一環。東電は、このサイクルを率先し、持続的に実施する責任がある。東電改革に当たってはいま一度、それを原点に据えるべき。
(委員長まとめ)
  • 各委員からの意見を踏まえ、大きな方向性について、委員長として以下の通りまとめる。
    1. 本委員会は、救済ではなく改革を検討する場である。その改革・再編の具体化を徹底議論する。
    2. 再編も含めた非連続の経営改革を行う。これに関連して、法的処理や解体という方策や、被災者の不安や現場の人材の離散に対しては慎重に。また、国は行うべきことをやる。東電が払うべき費用を国が肩代わりするという救済策は否定的で、あるにしても、最後の最後の手段という認識を持つべき。
    3. 福島関連事業と経済的な事業が併存するということがこの問題の特徴であり難しさである。1F事業は時間を要する公益的な事業である一方、その他の事業は、他社との連携・再編が鍵であり、両者を両立する手立てを議論する。これに関連し、JERAからの話も今後聞く。
  • 今後の議論の前提として、委員長として事務局に以下の整理をお願いしたい。
    1. 福島原発事故に伴う費用は、今後どのくらいの規模で増大する見通しか
    2. 現状を放置した場合に何が起きるかを含めた、いくつかのシナリオ
    3. 東電のホールディングス、各事業会社の課題、現状
    4. 改革の達成度合いを測定するための指標の選択肢

以上

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お問合せ先

資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力市場整備室

最終更新日:2016年10月13日
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