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東京電力改革・1F問題委員会(第3回)‐議事要旨

日時:平成28年11月15日(火曜日)8時30分~10時20分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

委員
伊藤委員長、遠藤委員、小野寺委員、川村委員、小林委員、白石委員、冨山委員、船橋委員、三村委員
オブザーバー
廣瀬東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長
事務局
世耕経済産業大臣
日下部資源エネルギー庁長官
多田資源エネルギー庁次長
村瀬電力・ガス事業部長
山名原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長
西山原子力損害賠償・廃炉等支援機構連絡調整室長

議事概要

事務局から、「非連続の経営改革に関する視点」について説明。

廣瀬社長オブザーバーから、「今後の非連続の経営改革(連携・再編・統合)に向けた方向性」について、連携や再編、統合を中心にこれから取り組むことを説明。これらの取組を通じて得られた成果を、福島へ還元していくとの意向表明あり。

事務局から、「1F廃炉に関する制度の検討状況」について説明。

各委員等からの意見は、以下の通り。

福島事業

福島事業

  • 廃炉事業のナショプロ化は非常に本質的な発想。普通の原子炉の廃炉費用は、800億~1,000億円であることに対し、福島第一は桁違い。同じ廃炉でも中身は全然違う。ロボティクスなりIoTなり、これまでとは全く違う非連続な新しいテクノロジーがなければ恐らく成功しないというレベルのもの。それを東電に任せることはそもそも時間の無駄になりうることを認識し、国も東電ももっと訴えるべきではないか。 
  • 廃炉技術については、国の事業でもあり、東京電力の事業でもあり、また世界的な技術の貢献を必要とする重要なテーマ。東京電力1社だけの責任で貫徹していくのは荷が重いし、種類が違う問題なのではないか。廃炉については国もしっかり責任を取るという意思を資本の面からも示さざるを得ないのではないか。

経済事業とのブリッジ

  • 福島事業とブリッジと経済事業と3層構造になったので、ある意味で問題の本質がよくわかるようになった。廃炉は30年以上の超長期の時間がかかると聞いているが、30年後は、東電社員の中で発災時に社員だった人はほとんどいなくなっており、震災以降に入っている人が主役になっていく。ブリッジがしっかりしていないと東電として責任を果たせないが、その一方で、発災時に関係ない人たちが、この宿命を背負うことになる。どこまでも無限責任で頑張るというのは、国民に対する覚悟として正しいが、その一方でこれは過去の清算。これは経済事業の連携も同じ。この構造は、法律論として無限責任を全うしようとすればするほど、経済的にはすごく小さい責任しか果たせなくなるというパラドックスを抱えている。従って、無限責任法人主体と有限責任法人主体を明確に線引きしないと、結果的に東電が生み出せるキャッシュなり企業価値が小さくなるので、結果として国民負担が増えることになる気がする。
  • 有限責任・無限責任論は、非常にクリア。明快で、このとおりだと思うが、すぐにやると、東京電力の会社の形が非常によくない形になってしまうと思う。10年間ぐらいは、1F事業を抱えながら会社がほかの部門で稼ぐべく頑張ることが、必要なのではないか。何年後かには確かに分けていくべきだと思うが、それまでは、大変だが、すごく重い荷物を背負いながらやる会社の運営ということは他にも例があるので、すぐに有限責任・無限責任会社に分けることはできないのではないか。
  • 無限責任・有限責任の問題は、今の東電の体制で、少なくとも、5年か10年かは分からないが、まずやるという実績を示す方が重要。無限責任の部分は国だと言った途端に、国民感情としては東電救済としかとらない。
  • 東京電力の福島第一の廃炉からは遮断したJERA事業、小売事業、原子力事業で企業価値が上がった分を、株主として、東京電力が得られるスキームの方が、ある種合理的なのではないか。そうでないと相手が見つからないのではないか。中でも原子力は、福島事故によってテールリスクが顕在化したため、テールリスクがある中で、どうやって原子力事業だけで組めるのか。テールリスクに加えて不稼働リスクまで背負わなくではならない原子力の再編は、最も難易度が高いのではないかと思っている。
  • 無限責任・有限責任については、責任から解放しろという意味ではなく、無限責任だと組もうと思っても、値段がつけられないことに問題がある。このため、値段がつけられるような、ある種のリスクを限定するフォーミュラができていれば良く、責任から解放しろという意味はない。今後の何らかの追加費用が強制的に働くことによって、どのぐらいのキャッシュを吸い上げられるかが読めないという問題があり、これは多分、送配電部門の再編でも出てくると思う。フォーミュラが決まれば、仮に負担する時間が無限であっても、バリュエーションはできる。
  • キャッシュフローと企業価値向上により、福島の事故の処理費用を捻出していくということの確認であったと思う。また、企業価値向上に向けてどのような手段があるのかについて、廣瀬社長から説明をいただいたと理解している。
  • JERAのような、いわゆる企業価値を向上していくところからもキャッシュフローは取れるのではないかと思っていたが、廣瀬社長からは、そうなると組む相手が難しいという指摘があった。そうなると再編が進み、東電のキャッシュフローが更に出ていくことになると、東電が他社と組むときに捻出できる資本が小さくならざるを得なくなるのではないか。そう考えると、ある程度のリスク遮断は必要になるのではないか。
  • JERAから配当を得ていくということが前提になっている。そうでないと中部電力は乗ってこられなかったと思う。このため、福島事故責任からは遮断されている。ただ、全部そういうわけにもいかないというところが難しい。
  • 中部電力の懸念は、福島としっかり遮断をすること。それから、国の関与からしっかり独立したいという、ある意味当たり前のこと。このため、一つは、東京電力の取組を少ししっかり見て、大丈夫だというのを確認したかったというのもあると思う。また、東京電力への国の関与をだんだん下げ、自立化していくのを待つということもあった。
  • 中部電力からは完全な遮断を求められている。バリュエーションした場合は、程度問題だが、再編した場合に背負わなければならない福島の重さをはっきりさせることができる。ただ、燃料・火力部門からの収益は全体の1/3あり、福島へ返していくためには絶対必要で、それ無しではいかないが、将来に向けた投資と配当の問題を解決する必要がある。

事業再編

総論

  • 非連続の改革の方向性については、異論がある委員はいないと思う。
  • どんな会社でも、生きるか死ぬかの危機的な状況になったときに、連携、再編、統合をやるのは当たり前のこと。
  • 再編の話に関しては、相当踏み込んだ議論をすべき。JERAが先行しているが、例えば送配電は、エリアを跨いだ系統運用の連携の話も含めて規模の経済性が効く。例えば、携帯電話も昔はエリア別だったが、規制が変わり、エリア別がなくなると、はるかに効率よくなっている。ネットワークももろにそういう経済性が効く。通常のアライアンスレベルでは、大きな効果は得られないので踏み込む覚悟を見せた方が良いのではないか。そして、もし踏み込んでいくとすると、どういう手順でアライアンスを進めていくのか、これは基本的には市場経済の原理を重視した手続を進めていくべき。原子力もネットワークも、グローバル的には発電と同じ成長産業。O&Mも成長産業。ただ今の9電力から細かく分かれて出ていくやり方は、現実的ではない。少しずつ切り出して会社を作っても誰も命をかけてやらない。
  • 本委員会で、原子力や送電も再編に関して大きな提案をすべしという意見もあったが、その方向性を出すというところが非常に大事だが、すぐにJERAのように再編の会社を作るという提案まではできにくいかなという気がする。
  • 東京電力以外の国内電力会社は、ある種の被害者意識を持っており、一挙に再編は難しい。
  • 火力のJERAのように、誰か応募する人がいますかという形で提案をして、手を挙げる人がいるかどうかを見るというような形はあると思う。
  • 自由化していくとほかにも魅力的な会社が出てくる。カネボウのときも同じ問題が起きている。そうすると、再編の議論は、その時間軸も大事。やはり加速化していかないと、どんどん人を抜かれる。また、再編した企業体の見せ方も大事。
  • 再編している企業体の方が発災企業としてのマイナスイメージを持たれにくい。急ぐことにこだわっているのは、そこもある。
  • 再編・統合・連携による企業価値の向上により、どのぐらいのバリューを捻出しようとしているのか。そのバリューを捻出するために、例えばこの事業からこのぐらいの企業価値の増加が見込めるだろうといったコストダウンだけではなく、成長側の定量的な試算というのも示していただきたい。

原子力

  • 福島事故を経て、原子力は個社個社で全て責任を負うのはもはや難しい。そうなると個社ごとではなく、再編ということにならざるを得ないし、無限責任問題についても、保険原理的な責任の上限を定めたスキームを考えるべき。
  • 社内でよく練られたスキームを提示している。東電独自で改革できること、他社との提携や同業他社並びに異業種他社との連携でやるべきこと、それから時間軸もそれぞれ当面やるべきことと長期にわたって取り組むことがあり、非常に立体的な構想になっている。ただ、希望的な観測に基づく構想でもある。特に他社との連携、特に原子力事業連携で、西と東を分ける、原子炉の型によって分ける、オールジャパンで取り組むといった様々な考え方があるが、具体的に、どこが、いつ、誰が主導していくのか。公益事業とは言え、それぞれの電力会社で、それぞれステークホルダーを抱える中での提携等を考えていくと、原子力事業を切り離すかどうかも含めて、どこが主導権を握り、長期エネルギー確保の目的、目標を達成していくのはかなり難しい。そうなると、民主導でとは言いながら、官の関与が必要になってくる場面が往々にしてあり得ると思う。市場経済に任せる必要性はありながら、各民間企業レベルだけではできない可能性が出てくるのではないか。
  • 原子力は連携が必要。ただ、事故を起こした東京電力がその牽引力になることは非常に難しい。柏崎の再稼働もだが、国がもう少し主導という形をとっていく必要がどうしてもあるのではなかろうか。
  • 柏崎刈羽原発の稼働もある。すぐに全体が統合・再編ということではないかもしれないが、新規稼働におけるノウハウの共有など、明らかに各社にメリットがあることについては、是非とも政府も関連して、一つの統合体を作って進めることは必要なのではないか。それが将来の、もっと大きな統合につながってくると思っている。

送配電

  • 送配電について。日本では、電力が地域ごとに分かれており、今までずっと部分最適でやってきた。50、60の周波数の連携もうまくできていかなかった。今度はエリアを跨いだ系統運用がうまく連携すれば全体最適も可能となる。そうするとエリアをまたいだ連携という機運も整ってくると思う。その意味でも非常に大事。
  • 他社との連携の問題、特に送配電の部分は明らかに連携していかなければならない。では誰が主導するのかが問題になる。こういうことをきちんとやっていくためには、東電以外の電力がその必要性を感じてくれないと、身動きがとれないと思う。
  • 特に送配電でのメリットにより、非常に稼げるのではないか。誰がイニシアチブをとるかという議論もあったが、世間に対して、東京電力がこれだけ真剣に「非連続」なこともやっているということを見せる意味でも、東電がイニシアチブをとるべきだと思う。東京電力から、こういう項目について、ぜひ組もうと応募をかけることを世間にアピールすることが、良いのではないか。これについて、福島事故を起こした東京電力がやったらおかしいという議論は出ないと思う。

燃料・火力、再エネ、小売

  • 東京電力資料は、方向性がよく出ている。燃料・火力発電のJERAがトップランナーになって、色々なことをやってきているが、それと同様に、将来的には原子力や送配電もやっていくという方向性は非常に大事。また、再エネのところでも、太陽光や風力以外に、揚水の利用も挙げられている。揚水はバッテリーとしての利用もできるので、何十万キロという大きな揚水発電所を、地球温暖化対策にも使える。パリ協定の実行を今からやっていかなければならない日本にとって、太陽光や風力のように不安定なものだけでなく、揚水も、地球温暖化対策の一つの手段として、日本以外に持って行くことも視野に取り組んでいこうという考えは、非常に良いと思う。
  • JERAはなぜ完全統合に時間がかかっているのか。メリットがあるのは明らか。ネックになっている項目は何なのか。
  • 小売。JERAがガスの卸をやれるようになると、ガス会社と競合しながら小売をやることもあると思う。小売は非常に競争が激しいので、経済対策になるほどの利益が盛大に出るかどうかはいろいろ問題あると思うが方向性は理解。

コスト削減

  • 個別事業内の効率化について、生産性向上や効率化の議論は、リストラの話になりやすいが、15年前と今では全然状況が変わっている。福島エリアは今人手が足りず、今後人手が増える感じもしない。全国的にも、少子高齢化の問題で段々と働く人が減ってくる。生産性を思い切り上げていかないと、今後絶対辛くなるような気がしている。このため、今は人手不足が最大の問題なので、IoT、ロボティクスも含め、不連続な生産性向上を応援していくのが現実的。
  • 数兆円規模のコストダウンは、今の東電の体制であれば当然できるとうが、更なる技術的なコストダウンを我々から提案できるのであれば、それは是非させていただきたい。
  • 将来ケースを考えるにあたっては、その定量性、コスト、エクスペンチャーが、独立にどれだけかかり、利益がどのくらいでるかを、ケーススタディーとして示してもらい、個々の情報を、組み合わせて全体をまとめていくべき。
  • 今日の話は定性的な話。これをそれぞれどのぐらいの期待値があるのかを定量的に示すとともに、数兆円の規模で10年間行っているコストダウンについてももう少し具体的に説明させていただきたい。
  • 一体どこまでコストダウンできるのかという定量的な問題をきちんと示していただく必要がある。

企業改革

  • 企業改革について、前の東電から変わっていないという声を聞くが、どのように考えればいいか。これが事実ならば、非連続の改革の中でどのような考えでこの問題に取り組んでいくのか。何らかの形で国民に、最小とは言え、これから長期にわたって負担をお願いするのであれば、何かしらの原則をしっかり出す必要があるのではないか。
  • 会社のイメージはすごく大事。フレッシュなメンバーでやったほうが良い。 若い世代には優秀な人がいっぱいいるイメージがあるがどうか。
  • 若い優秀な人材は間違いなくいる。かつて東電では、1年間に1,000人ずつぐらい採っていたが、大幅な効率化を進めていく中で、これからはおそらく数百人。そうなると、今でも優秀な学生が採れている。特に廃炉については、ロボットを中心に、廃炉をやりたいと言って入社する人も、出だしている。
  • 震災後はかなりの人が依願退職したが大分収まってきた。東電が華々しく成長して勝っていくというのは、世間からなかなか受け入れてもらえないが、人の確保という意味からも、そこを打破するため頑張らなければならないと思っている。

国の関与

  • 当初の予定では、総特の時代はそろそろ終わり、東京電力は自立の方向に行くというストーリーだったかと思うが、どう見ても国の関与は、感覚的にはまだ5年や10年かかるのではないか。
  • 国の関与の方向性をもう少し明確にすべき。この状況が続くのではないかという気がする。
  • 東京電力が不断の努力をするのは最もだが、国は何の責任をとるのか。制度設計等についての整備はあると思うが、今保有している東電の50.1%の株式の売却は、これから廃炉が本番になるタイミングでは非常に難しい気がする。
  • 国の関与、すなわち税金という国民感情はよくわかるが、債務認識すると負債が一気に来る。このことをどう表現するか。その辺が伝わっていないので、国民は、東電を直接的に何か助けるという部分と、放っておいたらもっと大変だという部分の違いを分かってもらっていない。

その他

  • 日本の電力の株主は、安定株主が多く、株主総会には期待できないと思うので、国として、電力各社のトップに方向性を感じてもらえるような打ち出しをしていくべきではないかと思う。
  • 電気料金、今後、託送料、送電料になるのかもしれないが、負担をしなくてはならないということを、実は国民は分かっている。電気料金の方が税金より取りやすいということは分かるが、いずれにしても、もう国民負担は発生している。正々堂々と税金でとりにいくという局面もある種必要になってくるのではないか。
  • 今回、送配電での社債発行を計画しているようだが、ホールディングが上場している中で、いわゆるオペレーションをやっている送配電のところから社債をまず発行していくというこの基本的な考え方は、どこから来ているのか。
  • 社債については、発行体をどこにするかという議論はあり、ある意味、規制部門であるがゆえの安定性を持ち、長期的に原資が回っていく送配電会社を主体に発行することとした。得られた資金はインターカンパニーボンドを介して、まずはかなりのボリュームがある過去の社債の償還に充てる。将来的には各社で資金調達する可能性があるが、まずは送配電会社から社債を発行する。
  • 国民の理解をどう得ていくのかがないと恐らく再稼働も、なかなか前に行けないような気がする。一般論としては、「原発が全部停まって何が困ったのか」がある。燃費やCO2の問題は一切出てこない。この問題への国民理解をどうやって得るかについては、国としてきっちり考えていただきたい。いつまでたっても再稼働がなかなか進まないと、結果的に国民負担が増えることになるが、なかなか理解してもらえない。ここを是非、どういう形がいいのか、国としてお考えいただきたい。
  • 柏崎刈羽原発がいつ再稼働できるかは重要。世論調査の結果の数字が出ていたが、再稼働については反対が過半数以上。積極的に賛成されている方は十何%しかいない。これだけ反対があるということを、しっかり受けとめないとまずいのではないか。
  • 現実的に原子力が30基も動かなければならないという計算がある中で、2030年とはいえ、今のペースでは具体的にできると思えない。そのことをうまく国民に納得させることが今やポイントなのではないか。東電が頑張るのは当たり前で、現に今までも頑張ったと思う。だからこそ国民の納得を得ていかないと、今の状態で同じところをぐるぐる回ることになるのではないかと危機感を感じる。 

以上

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資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 電力市場整備室

最終更新日:2016年11月28日
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