経済産業省
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東京電力改革・1F問題委員会(第10回)-議事要旨

日時:平成29年5月12日(金曜日)12時40分~14時19分 
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

委員
伊藤委員長、遠藤委員、小野寺委員、川村委員、小林委員、白石委員、冨山委員、三村委員
オブザーバー
廣瀬東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長
事務局
日下部資源エネルギー庁長官
多田資源エネルギー庁次長
村瀬電力・ガス事業部長
山名原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長
西山原子力損害賠償・廃炉等支援機構連絡調整室長

議事概要

  • 事務局(資源エネルギー庁)から、「最近の主な動き」について説明。
  • 事務局(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)から、「責任と競争に関する経営評価」(2016評価)について説明。
  • 廣瀬オブザーバーから、「新々・総合特別事業計画」について説明。
  • 各委員等からの意見は、以下の通り。

総論

  • これまでの議論を踏まえて計画を作成しており、非常にいい事業計画になりつつあるという印象。まずは福島の復興が原点であることを踏まえた計画になっている。これを実行段階でも新体制下できちんと実行できる仕組みにしていただきたい。
  • 福島県の地元の人たちの苦境は、これからも続くことが予想される。その痛みを現場の社員の皆さん方にも十分認識し、復興事業に取り組んでほしい。そのためには、新々・総特の事業計画に基づいて東電の経営を立て直していくことになるが、原点の一つである福島を肝に銘じて取り組んでもらいたい。原状回復から復興、さらに発展を目指していく、という福島のケースが、ある意味ではモデルケースになるような形にしていただきたい。二度とこういう事故が起きないことを望むが、世界各地で原発の新設が予定されている中、今よりもっと劣悪な環境の中で原発を立ち上げるところもあると思う。もし、万一があった場合に、福島の教訓が事故への予防、対応だけではなく、復興という面でも新しいモデルとして、教訓として生きていくようなものにしてもらいたい。
  • よくここまで1つの計画ができた。ただ、この計画を見ると、どこの1つが潰えても計画が成り立たないという、そういう非常に張り詰めた緊張感のある計画になってきている。柏崎刈羽原発がだめだったらどうなるか、あるいはコストダウンができなかったらどうなるか。ぎりぎりだが、できない計画でもない。何とかこれに向かって頑張って頂きたい。新経営陣の大変なことだと思うが、頑張ってほしい。
  • 通常、どこの会社でも計画を作るときには、1つの余裕代を残しておく。全体の評価はなかなか難しいが、この計画の中には余裕代はどこにあるのか。
  • 余裕代はないが、もし、今ここで余裕が出るのであれば、その分を1年でも早く国からの資金援助を返すという計画を書く。
  • 今後30年、数十年かけてこの計画を達成しなければいけないが、特に福島事業についてはその間、何が従業員のモラルをつなぎとめるものになるのかは課題。福島の1,000人の東電の従業員の方々の話を聞いてみると、半分ぐらいは新しいことをし、世の中に役立つことをしているという気分が彼らのモラルを支えている。環境も随分良くなっており、トリチウムの問題はいろいろあるだろうが、それ以外については、アンダーコントロールになっている。こういうこと自体が1つのモラルの源泉になっているか分からないが、30年程にわたって彼らのモラルをどうやってつなぎとめるのか。もう一つは、福島事業以外の経済事業について、ただ単に福島のために全ての資金を稼ぐんだということが、モラルの向上に役立つのか。何をもって従業員にやる気をずっと持たせるのか。今は緊張感があるけれども、これを数十年にわたって、新しい環境の中で可能なのか。手元資金として確保する1.数兆円を、技術開発のところで使うことは1つの案かもしれない。あるいは、例えばベンチマークを通して送配電について全世界の中での競争力ある送配電になるというのも1つ。あるいは廃炉事業については、前例のない廃炉事業を行っているので、1つの新しい技術や、プロジェクト・エンジニアリング技法を確立するというのも1つ。何かそういうものがコンスタントにないと難しい。
  • 20年、30年事業なので、完結時には、多分、世代は半分以上入れかわる。その中でどうモラルなりモチベーションなりを維持していくかというのは、当然大事な課題。福島への責任を全うするためには、逆に企業体として進化・発展していかないとできない。ある意味で世界最強の電力会社になるつもりでやらないと実現しない。世界一の電力会社になるというゴールは設定すべき。ある意味でそれが大っぴらに言えるような状況を早くつくることは極めて大事。

福島事業

  • 福島第一原発は、作業環境が非常によくて、相当近くまで防護服を着用せずとも近づけるようになった。ローソンも入っていて、大きな集客もできて、非常にいい。ただ、皆さんの話を聞くと、宅急便や新聞配達が福島第一の中にまで入らない。郵便物も配送されない。これは声を大にして訴えたいが、福島の風評被害、国外に対して農産物を輸入しないのはおかしいとか一生懸命言っているが、我々通常に見学行けるところに、配送物が全然入らないというのはどういうことなのか。1つ訴えたい。
  • 2Fのメンテナンスや1Fの汚染水などについて、どのように考えるか。

原子力事業

  • 柏崎刈羽原発の場合もそうだが、地元の自治体、地域、社会、それから近隣自治体に対する理解を求める説明、説得を間断なくやっていただきたい。それが迂遠なようで一番近い道ではないか。福島、新潟に限らず、再稼働を各地で進めるには、それが一番大事。
  • 全体の構成について何ら異論はないが、原子力事業自体もカンパニーというか、ホールディングスから独立した形で見ていった方が効率がよく、クリアになるということについて、今後どう考えていくか。
  • 原子力発電事業については、いずれ独立採算の組織にすることを考えていかなければいけない。ただ、何より、今はまだ収入が無くコストセンターであることから、組織を分けることは難しい。このため、再稼働して、事業体としてのPLが描けるようになる必要がある。まずはそのために再稼働に向けてしっかりやる。
  • 柏崎刈羽原発の現状などを見ていくと、少しアクロバティックな新たなやり方も同時に模索していかなければ、柏崎刈羽原発の稼働も厳しい状況になるのではないか。東通原発ではない、柏崎刈羽原発のところからも踏み込んだ、ある種パートナーシップの模索等ができないか、そのあたりが課題になるのではないか。
  • 原発の安全性について国民的な理解が全く進んでいない。ここをどういうふうに国民に分かってもらうのか。それがないと、柏崎刈羽原発の再稼働についてもそうだし、いずれ、東通原発の問題もあるだろうと思うが、ここをどうやっていくのか。国として、例えばの話だが、文科省なり、環境省などとタッグを組んでいただいて、もうちょっとやっていただきたい。
  • 廃炉事業みたいな新事業は、これから世界には非常に大事になる。今は原子力の発電所が一番多いのはアメリカで、100台を超えているが、あと10年ぐらいすると、中国がアメリカを抜く。アメリカは原子力の発電所はほとんど増えない。日本もほとんど増えない。少し減る。中国は増える。その次にロシアが増える。そうなった時の怖さということになると、もし、万一シビアアクシデントが起きても、それをどうやって最後まで処置するんだという例題が世界にないと、もう本当に困ると思う。その例題は技術的にも、それから社会的にもきちんと作れると思う。
  • 再生可能エネルギーだけでまかなえるというふうに誤解が進んでくることも、ちょっと怖いと思っており、ベース電力としての原発の必要性というのも、どうやってうまく周知していくのかを国の政策との絡みの中で、当然言っていただくしかない。そういう意味で、東京電力の自助努力は当然だが、国として、もうちょっとそういう面でご努力いただきたい。 

送配電事業

  • JERAのケースとは違い、送配電部門のところは、末端部分で何かある種の新しいグリッドをつくる。その際は、国にIT、IoTのソリューション会社になるような、アップサイドを取れるような制度のサポートをしていただき、JERAとは違う、もう少し軽い形で、例えばベンチャー的に、エリアで実験をし、新しいグリッドを創出していくような形で行うのはどうか。正面を向き合って再編・統合ということではなく、小さなものがいくつかできるような形での再編・統合をしていけば、もう少し早い段階でバリューを取りに行けるような会社群ができてくるのではないか。JERAの方式ではないような形での再編・統合がもう少し軽い形でできるような仕組みをぜひエネ庁サイドにはサポートいただいて、そういうアイデアを盛り込んでいくようなモデルができていかないか。今回の新々・総特では、再エネ事業、小売事業、送配電事業とが分けて書かれているが、それを合わせたような新しい仕組みができていくというところを模索していくという、もう少しライトな感じの再編をできないか。
  • 先進的なグリッド内と外の人との差ができてはいけないので、エリア託送料金制度を作るなどの仕組みもあわせて検討いただきたい。
  • 規制のかかる送配電部門でも、収益機会を拡大するという意味では規制緩和は必要。ただし、新々・総特においては、託送料金のコストダウンによる安定的な資金確保によって廃炉コストを担うことが前提になっている。そのため、PGが超過利潤をしっかり確保できるようにしないといけない。送配電線を通らないで電気を地産地消のような形で利用する動きは非常に強くなっているが、それを助長するような制度になっていくと、この新々・総特の実現はかなり厳しいものになる。一方で、そちらでビジネスオポチュニティが出て、東電PGがそっちで稼げばいいではないかという議論はあるとは思うが、そこは当然競争市場となる。新々・総特がPGの託送費にかなり頼った計画になっているのは、安定的にしっかり稼げるものをベースに置かない場合と、何でもかんでも5,000億円を競争事業から確保することになり、計画としてなかなか描きづらいというのが思想の底流にはある。ある意味、そこは競合関係にあって、地産地消へ移ってしまうと、送配電網に電気が流れなくなって、1,200億円を確保することが、理屈上難しくなるという関係がある。

収支の見通し、競争力の確保

  • 新々・総特がまとまって良かったと思う反面、この先が非常に険しい道。数字などを見ていると、送配電部門にかなりの負荷がかかるような仕組みにならざるを得ないという状況が続いており、今のままの状態だと、効率を上げていくためのコストカットで、設備はメンテナンスもできず、なかなかグリッドのところも厳しい状況が続くという、物理的な面の問題も露呈するリスクもある。
  • 収益見通しの中で一番難しいのは、最後に利益を、5,000億円ものお金をコストとして残しながら、さらに5,000億円ぐらいを稼げるような会社に本当になれるか。実際には、少しいろいろな手をいっぱい使わないと、正攻法だけじゃなくて、多少別なものを新しく生んでいくとか、いろいろなことをしないとできないかもしれない。
  • 競争力の確保について、特に小売事業の場合には、他の業種、特にガス会社等を中心としたところの新規参入があり、低価格でのサービスの提供が競われている。その際に1つ懸念されるのは、航空業界JALのケースのように、不公正・不公平な競争が行われているのではないかという他業種、他業者からの懸念、あるいは消費者からの懸念が起きないような配慮や政策的な取組も必要ではないか。

イノベーション

  • 今後、電力産業自体がかなりイノベーションモードに入る。特にグリッドのところは明らかにイノベーションモードに入ってくるし、リニューアブルもイノベーションモードに入ってくる。通信が25年前くらいに、インターネットによる大イノベーションが起きたように、多分25年ぐらい前の時期に近いような状況。想定しているのと全然違うことが起きてしまう可能性があるわけで、裏返して言うと、それはチャンスでもあるから、そのチャンスを逆にしっかりつかんでいかないと、一応これで1つの計画はセットされてはいるけれども、その変化を逆に無視していくと、今度は国益を損ずることになるし、結果的に東京電力が新しい経済環境やイノベーション環境下における最強の電力会社にはなれなくなってしまう。
  • イノベーションの波もつかみ、その中できちんと企業価値を高めて、その結果として福島の復興に責任を果たせるというのが一番美しい姿。イノベーションに対峙し、それを実現にすることによって、非常にイノベーティブに、かつ、最強・最良の世界レベルですばらしい電力会社になっていくというのは大事。それをこれからの経営陣の皆さんが的確な形で掲げていただいて、かつ、その中で多くの従業員の皆さんが長期的にモチベーションとモラルを維持して働けるような、そういった場所にしていくということが大事。
  • 福島への責任を貫徹するというのが譲れない柱。しかし、イノベーションを取り込むための資金のアロケーションもしないと、ボロボロの会社になるので、その辺の責任を貫徹しつつ、でも、将来へ向けてキャピタルアロケーションしなければならないという、非常に難しいマネジメントをこれからすることになる。
  • イノベーションで電気事業にも非常に大きな変化が来そうな状況は、新規参入者にとってはチャンス。しかし、東電にとっては、現状のシェア100%を守る、維持するべきという考えは、どうしても出る。今は本当にいろいろな技術が出てきているから、いろいろなことが起きていくだろうが、東電がそれを牽引するべきか、は別問題。牽引しなければならない、新たな技術・ビジネスを早く押さえておかなければいけないという意見も理解できるが、それを日本全体でどんどんやるとなると、しばらくは当社の収益はどんどん下がっていく。福島の負担を背負っている我々としては、これはなかなか難しい。
  • トヨタがハイブリッド、あるいは燃料電池で時間を稼ぎながら、最終的に電気自動車に打って出て来たようなことができればいいのかもしれないが、その余裕は東電にはない。そうすると、その辺のまさに限られたリソースのアロケーションの問題となり、非常に難しい。
  • イノベーションは、東電が新規参入者であれば、「チャンス」と言って、どんどんやれ、ということになるが、カニバリズムの世界がどうしても残る。
  • ニューカマーは、まさにイノベーション側に金を集中的に投じて、まさに破壊的イノベーターになり得る。でも、東電のような会社はそうはいかなくて、でも何となく持続している間に、あるときにニューカマーに持っていかれてしまう。この正にイノベーションのジレンマをどう乗り越えていくか。
  • スマートグリッド、再生可能エネルギーにしても、技術進歩がものすごく早くなっている。その中で、技術進歩と今回の新々総特をどうリンクさせていくのか。そこを考えないと、日本全体として見ると効率が非常に悪くなることを避けなければならない。

その他

  • 附帯決議のところにも書いてあるが、託送料金の上乗せ分の透明性の確保をきちんとやっていかないといけない。過去分のところも、「一般負担金に係る過去分についても、需要家に負担を求める必要性について、十分な説明を行うとともに」というのがあるが、ここの附帯決議をきっちりもう一回経産省として頭に入れて、透明性の確保には絶対努めていただきたい。それがないと、国民の理解が得られないだけではなく、競争事業者からの理解も得られないことを危惧している。そういう意味で透明性の確保をお願いしたい。
  • 託送料金の上乗せ分の透明性をきっちり確保して、それでできるだけ新しい技術の開発・導入を妨げない方向で何かやれないものかお考えいただきたい。
  • 今回の託送料金への上乗せの額というのは、再生可能エネルギーの需要者の負担分に比べるとずっと小さい。この辺も国民的には全く理解していない。託送料金の上乗せ分の透明性をきっちり確保していただくことによって、その辺のことも少しお考えいただきたい。
  • 過去の事例をふりかえると、やはり一事業だけでいろいろやろうとしても無理なところが相当あり、相当に国と一緒にやらなければいけないというのが大事。あとはそれでも持続的な成長ができる企業というところまで持っていくところが非常に大事。東京電力は成長しながら、一応残っていくのが番いい。
  • 福島に関する風評の議論は、これもある種モチベーションとかモラルに関しては、明らかにネガティブにも働く。確かに状況はよくなっているが、やはり風評は極めて根強い。ここも実は全部つながっている議論だと思うので、これは東京電力自身の努力も当然だし、当然国、あるいはメディアの皆さんも含めて、やはり基本的には科学的な議論をしていかなければならない。情緒の議論と科学の議論が混ざると、この話は全然前に進めなくなるので、とにかくこれは粘り強く時間をかけて、いろいろな人に理解してもらうということも、当然みんなでやっていかなければならない。
  • 新々・総合特別事業計画の認定に関しては、本日の御議論を踏まえて、東電・原賠機構・政府にしっかり対応していただくということでお任せをしたいと思うが、ご異議はあるか。(一同異議なし)

以上

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お問合せ先

資源エネルギー庁 電力・ガス事業部政策課 電力市場整備室

最終更新日:2017年6月2日
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