CCS実証試験実施に向けた専門検討会(第1回)‐議事要旨
日時:平成23年10月26日(水曜日)14時~17時
○場所:経済産業省別館11階第1120共用会議室
出席者
委員
山地座長、熊沢委員、斎藤委員、佐々木委員、澤田委員、鹿園委員、白山委員、辰巳委員、徳永委員、松橋委員
オブザーバー
京都大学大学院工学研究科 松岡教授、北海道胆振総合振興局 阪田部長、苫小牧市産業経済部 福原次長
実施者
日本CCS調査株式会社技術企画部 阿部部長、同技術2部 棚瀬部長、独立行政法人産業技術総合研究所 CO2地中貯留研究グループ 中尾グループ長、同 楠瀬招聘研究員
経産省
中西大臣官房審議官、地球環境連携・技術室 秦室長、石井課長補佐、栗原課長補佐、別所技術係長
議事
- 本検討会の公開について
- 本検討会の開催趣旨について
- 本検討会の進め方及び報告書の取りまとめ方針について
- 苫小牧地点の貯留性能に関する事項について
- 苫小牧地点の貯留層の周辺環境に関する事項について
議事概要
(1)本検討会の公開について
事務局から資料2に基づき説明。本検討会については、公開で行うことについて異議なく了承された。
(2)本検討会の開催趣旨について
事務局から資料3に基づき説明。特段の質疑なし。
(3)本検討会の進め方及び報告書の取りまとめ方針について
事務局から資料4及び資料5に基づき説明。主な質疑は以下の通り。
- 委員 本実証試験は、実用化を念頭においたものか。
- 事務局 本実証試験がすぐに実用化されるものではないが、将来の実用化も念頭に置いた実証試験を実施することとしている。
- 委員 地層の評価に関しては圧入時点での評価と何年か経過した時点での評価とに分けて考えるべきではないか。
- 事務局 この点については、資料6のCO2の長期挙動予測シミュレーションや第2回検討会の実証試験計画(案)のモニタリングの部分で議論したい。
- 委員 資料5における断層とは活断層のことか。
- 事務局 一義的には活断層であるが、調査の過程で貯留層として想定している付近に断層があれば評価の対象とする。
(4)苫小牧地点の貯留性能に関する事項について
事務局から資料6に基づき説明。主な質疑は以下の通り。
- 委員 遮へい層の浸透率は10のマイナス6乗オーダーであるが、計測は可能なのか。精度は保証できているのか。
- 実施者 測定精度は保障できている。
- 委員 浸透率は、高いところでも数ミリダルシー程度。今回の実証試験におけるCO2貯留では、数ミリダルシー程度の貯留層を想定しているのか。
- 実施者 今回のシミュレーションでは、過去の坑井データなどをもとにして、10ダルシーぐらいまでを想定している。
- 委員 断層でのリスクはどのように考えればよいか。万が一、CO2が海底に出た場合のシミュレーションもしておくべきか。また、砂岩ではハイドレートが生成してCO2の圧入が止まってしまうことはないか。
- 事務局 断層の評価は、第3回目の検討会で議論する予定。
- 実施者 ハイドレートの生成については海底の温度による。今回の実証試験について言えば、気にする必要はない。
- 委員 貯留層内は40℃以上であり、CO2が10℃以上でハイドレート化した例はないので、今回の圧入条件では心配ない。
- 委員 活断層は、調査範囲にはなかったということでよいか。
- 実施者 広域地質図でみるような衝上断層型の低角な逆断層はないと考える。滝ノ上層にある逆断層は萌別層まで至っていないので活断層とは考えていない。
- 委員 浸透率の記載について、分析では空気を用いているが、CO2を使うべきではないか。
- 実施者 CO2の通りやすさを見るという観点から空気を用いて測っている。CO2圧入前は、遮へい層には水が入っている状態なので、浸透率についてはCO2よりもまず水が通りやすいかどうかを評価している。
- 委員 滝ノ上層については、地層圧の変化から鉛直方向の地層水の移動はないとあるが、萌別層についても地層圧の変化から同じことが読めるか。
- 実施者 地層圧の変化を示したグラフではわからないが、地層水の塩分濃度の変化により評価しており、萌別層についても鉛直方向の地層水の移動はないと考えている。
- 委員 浸透率は試料の中でつながっているものを測っているのか。
- 実施者 そのとおり。マクロでみると不均質性があるため、値についてはもう少しばらつくと考える。
- 委員 地層によって塩分濃度が異なることについての説明が必要。そのためには付近の地層の詳細を知る必要がある。地層水について垂直の移動はないとのことだが、千年単位の時間で見たときに水平の移動はどうかを評価することが必要ではないか。CO2の圧入だけでなく自然現象による地層水の移動もあると考える。
- 実施者 調査地域の地層については、詳細に評価している。海底下の地層でも浅部には海水よりも塩分濃度の低い地層がある。これは、過去にこの地層が陸や浅い海であったときに、河川の影響によって塩分濃度が低くなっているのではないかとみることができる。今回は地層水のサンプルを採取していないので、実証試験を実施する際には、圧入井を掘削する時に地層水のサンプリングを行うなどして調査したい。
- 委員 地史の調査が重要である。
- 委員 コア試験の結果、滝ノ上層では芳しい結果が得られていないとのことだが、調査井CCS-1の地点が悪いというのは後で判ったことなのか。
- 実施者 三次元弾性波探査は調査井(苫小牧CCS-1)の掘削と同時並行で実施した。調査井掘削中には三次元弾性波探査の解析結果が出ていなかったので、その結果から見ると、浸透率の高そうな場所からはわずかにずれてしまった。
- 委員 調査井で採取するコアサンプルは、そう広い範囲は取れないのか。せいぜい200~300メートルくらいか。
- 実施者 水平面上で見ればそうである。
- 委員 シミュレーションに当たっては、移流・拡散、化学反応のようなメカニズムをどう考慮するかが重要。今回のシミュレーションでは化学反応による鉱物トラッピングが考慮されていないが、どのような仮定をおいて計算したかを明確にし、検証を行う必要があるだろう。また、どのような物理モデル及びパラメータが使われているのかの説明も必要。パラメータ値の不確実性がどれくらいなのかも評価する必要がある。基本的には、CO2は浸透率に応じて移流により広がっていくだろうが地層水に溶けたあとの拡散の評価も必要ではないか。
- 実施者 今回は移流のみで拡散を考慮に入れた計算はしていない。この場でどのような物理モデルを用いてシミュレーションしたかを詳細に答えることはできないが、基本的には移流なのでダルシー則やヘンリー則などに基づいて計算している。また、残留トラップと、溶解トラップを考慮して評価を行っている。
- 委員 CO2圧入開始後、CO2が西方に移動するのは浸透率が高いからか。圧入開始の際に瞬間的に地層の圧力が高くなるが、実際に圧入する際に圧入圧力の限界値を超えることはないか。
- 実施者 西へCO2が移動するのは、浸透率の影響もあるが、西の方は深度が浅く、CO2の浮力により移動している。
- 委員 地中ではCO2は地形(地質構造)の影響を受けるのか。
- 実施者 まずは浮力により上方に動くが、地層の層理面に沿って、より高い方に向かって横に動く。CO2圧入開始直後に地層の圧力が高くなることについては、シミュレーション上では開始から年間25万トンCO2というフルの圧入レートで圧入することになっているためそのようなピークが現れるが、実際の圧入時には、徐々に圧入圧力を高めていくため、そのような圧力カーブにはならないと考えている。
- 委員 滝ノ上層ではCO2が一旦上方へ移動して、1000年後に下方へ移動するが、上方へ移動するのはどのようなメカニズムか。また、溶解したCO2と岩石との化学反応はあり得るのか。
- 実施者 CO2は浮力によって上がり、そこで溶解するので上方へ広がっている。化学反応については起こり得ると考えるが、今回は評価していない。
- 委員 オペレーション時は圧入圧力の上限値を地層のリークオフ圧力の9割としているが、リークオフ圧力の状態を今回のデータだけで適切に評価できるか。周辺のデータも見て適切に判断する必要があると考える。
- 実施者 調査では、周辺の過去における石油・天然ガス調査掘削時のデータとも比較しており、その結果、同じようなデータが得られている。このため、今回の調査データは適切であると考える。
- 委員 スレショルド圧力については、一般的に試験サンプルが崩れないように、試験するコアは堅いものを使用することが多い。そのため、実際の地層では試験よりもスレショルド圧力が試験値を下回る可能性があるので、ある程度の余裕が必要ではないか。
- 実施者 試験データにはばらつきがあるが、萌別層も200メートルあり十分な厚みがあると考える。圧入井を掘る際にはできる限りコアサンプルを増やして、ばらつきについて評価したい。
- 委員 一般のリスク分析と比較した場合、50モデルは少ないのではないか。一つの計算に時間がかかるのでこれくらいの数に絞っているのか。また、シミュレーション結果とモニタリングとの比較が必要ではないか。
- 実施者 今回はリスクに関する評価を行ったわけではない。これ以上サンプル数を増やしても違った結果は得られないという判断。モニタリングについては、弾性波探査のシミュレーションを行った。その結果、ある一定のCO2貯留量になると弾性波探査によってCO2を識別できることが確認された。実証試験では、CO2が留まっていることを確認する一つの根拠になると考える。
(5)苫小牧地点の貯留層の周辺環境に関する事項について
事務局から資料7に基づき説明。
- 座長 化学反応を考慮しないというのは、安定化の方向では過大に見ていないということで環境影響という意味では安全側の見方かもしれないが、一方で化学反応の影響で容量が制約されてしまうことはないのか。
- 実施者 化学反応については検討していない状況なので明確には言えない。
- 委員 凝灰岩というのは緑色凝灰岩なのか、砂岩層よりも化学反応性が高いのではないか。
- 実施者 この地点の凝灰岩は、緑色凝灰岩ではない。化学反応については2000年から財団法人地球環境産業技術研究機構が検討しており、日本の場合は、火山性の岩石が多く、海外の地層よりも反応が速い可能性があるとのことを聞いている。
その他、本日の説明全般についての質疑応答を行った。
- 委員 滝ノ上層にみられる断層近くの圧力上昇はどの程度か。
- 事務局 P50モデルでは、1.19メガパスカルの上昇、P10モデルでは、0.96メガパスカルの上昇、P90モデルでは、1.16メガパスカルの上昇となっている。
- 委員 シミュレーションでは、グリッド間隔が小さいと圧力が早く伝播するといった傾向があるので、数値シミュレーションの信頼性を高める際には、こういった点も考慮することが必要。
- 委員 調査範囲が狭いのではないか。もう少し広い範囲の概算的なシミュレーションも必要ではないか。
(6)その他
議事録については委員の確認の後、ホームページで公開する。次回は、11月10日の開催を予定。
お問い合わせ先
経済産業省産業技術環境局環境政策課地球環境連携・技術室
電話:03-3501-1757
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最終更新日:2011年11月1日
