経済産業省
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CCS実証試験実施に向けた専門検討会(第3回)‐議事要旨

日時:平成23年11月28日(月曜日)14時~16時45分
場所:経済産業省別館10階第1028号会議室

出席者

委員
山地座長、熊沢委員、斎藤委員、佐々木委員、澤田委員、鹿園委員、白山委員、徳永委員、松橋委員

オブザーバー
京都大学大学院工学研究科 松岡教授、北海道胆振総合振興局 阪田部長、苫小牧市産業経済部 福原次長

実施者
日本CCS調査株式会社技術企画部 阿部部長、同技術2部 棚瀬部長、独立行政法人産業技術総合研究所 CO2地中貯留研究グループ 中尾グループ長、同 楠瀬招聘研究員

関係者
財団法人地球環境産業技術研究機構CO2貯留研究グループ薛副主席研究員

経産省
中西大臣官房審議官、地球環境連携・技術室 秦室長、石井課長補佐、栗原課長補佐、別所技術係長

議事

  1. 第1回、第2回検討会での指摘事項について
  2. 貯留層の周辺環境に関する事項について
  3. 苫小牧地点における実証試験計画(案)(第2回検討会の続き)について
  4. その他

議事概要

1.第1回、第2回検討会での指摘事項について

実施者である日本CCS調査株式会社から資料3に基づき説明。
主な質疑は以下の通り。

  • 委員 地化学反応については、速度を数日や数百年と表現するのは適切ではないので、適切な表現に修正したほうがよい。また、孔隙率や浸透率は、長期で見た場合、値が変化するので、その場合のこの二つの間の関係式をどのように捉えていくかが課題と思っている。
  • 委員 炭酸塩の析出反応では、間隙が埋まる、体積変化が生じるなどが考えられるが、それは長期間の場合で、今回の実証期間では反応の速さから見て考慮しなくてよいということか。
  • 関係者 シミュレーターの中では、孔隙率の変化やそれに伴う浸透率の変化を扱うことができるようになっている。また、長岡では地層水の採取を2回行っており、地化学反応が起きているかどうかやその経時変化について分析している。その結果、CO2が溶けている場所ではカルシウム、マグネシウム及び鉄の濃度が増加している。将来、理論的にはCO2が炭酸塩として沈殿・固定していくことが予想される。

2.貯留層の周辺環境に関する事項について

実施者である独立行政法人産業技術総合研究所から資料4に基づき説明。主な質疑は以下の通り。

  • 委員 初期状態で滝ノ上層の2,000メートルくらいの場所ですべり傾向係数の高いところあるが、これはどういう理由か。
  • 実施者 被圧の影響により、間隙圧が静水圧より高い地層圧となっているのが原因である。
  • 委員 滝ノ上層の断層付近では、すべり傾向係数が0.5近くの値を示しているが、この点については、どのように考えるのか。また、ここでいう微小地震というのは、地震なのか岩盤の微細破壊なのか。
  • 実施者 すべり傾向係数が1よりも有意に小さいので、これで破壊が起こるとは考えられない。文献では、マグニチュード1.5よりも小さいものを測っているものが多く、ここも同じようなものを考えている。赤く示した部分ではこのようなことが起こる可能性があるが、間隙圧を低くすることによって十分安全性は確保できると考える。すべり傾向係数の値は小さいが、その中でも高いところをターゲットにモニタリングしていくことが必要。
  • 委員 石狩低地東縁断層帯南部が動いた時に苫小牧周辺で震度6弱ぐらいの地震があり得るとの政府の予想がある。中越沖地震のデータでは震度6弱となっているが、地表で震度6弱でも地下1,000メートルぐらいになると振動の大きさは数十分の一程度になるのでたいした問題はないと考える。
  • 委員 シミュレーションでは、断層の部分が1ダルシーという浸透率になった場合を想定して、200年後でもCO2は漏れない結果を得ているが、1,000年後ではどうか。
  • 実施者 1,000年後になると地層水に溶解したCO2の一部が萌別層の底面に移動する。ただし、浸透率が1ダルシーというのは、砂と同じ状態で、極端な状況を想定した計算であることに注意する必要がある。実際は、地震が発生し断層の浸透率が上がったとしても、10年や20年後には、元の浸透率に戻ると考えられている。このため、今回の極端なケースを想定したシミュレーションを1,000年後まで実施しても、その結果は実態から大きくかけ離れてしまう。
  • 委員 すべり傾向係数を求める際、内部流体圧の増加に伴うひずみは考慮しているか。
  • 実施者 CO2を圧入する際にはモニタリングを行うし、何か生じたときの対策もあることから、そこまで考慮することはないと考えている。また、すべり傾向係数を求める際には、あえてより大きな値が得られるように計算していることから、ひずみによる影響についても十分にカバーしていると考えている。
  • 委員 文献調査では地震が起っているのが20メガパスカル、35メガパスカルである。地層の違いもあると思うが、滝ノ上層は44メガパスカルでもなぜ地震は発生しないのか。
  • 実施者 滝ノ上層はもともと被圧しているため深さの割に間隙圧が高くなっている。このため、文献調査の値をそのまま適用することはできない。
  • 委員 すべり傾向係数を示す図中の色は、0.5でも0.8でも同じ色になってしまうので見直したほうがよい。
  • 実施者 公開の際には誤解を与えないよう見直すこととしたい。
  • 委員 貯留層内部で1ダルシーと設定しても、その設定は、貯留層内の流体の移動のし易さを条件として与えただけで、CO2の拡散を速めただけということにならないか。
  • 実施者 遮蔽層である泥岩の部分も含めて1ダルシーとしており、断層の影響としては十分考慮していると考える。
  • 委員 長岡と苫小牧では応力状態などに違いがあるのではないか。
  • 実施者 苫小牧の応力は日本の平均値よりもやや小さめ。実施した1箇所のリークオフ試験のデータをもとに、最大主応力と最小主応力の比を1.2から1.4まで上げてすべり傾向係数を検討したが、結論は変わらなかった。

3.苫小牧地点における実証試験計画(案)(第2回検討会の続き)について

事務局から資料5に基づき説明。主な質疑は以下の通り。

  • 委員 弾性波探査でモニタリングするということだが、差分をとるということか。
  • 事務局 その通り。ベースラインデータとの差分を見ることになる。
  • 委員 萌別層と滝ノ上層のデータが重なった結果が出てきた場合には、差分で対応できるか。
  • 実施者 萌別層と滝ノ上層を対象とした貯留層は1キロメートル以上離れている。ある程度離れていれば問題ない。
  • 事務局 第2回検討会でも説明したように、実際にCO2を圧入し始める時は、2層同時には圧入せず、まずは滝ノ上層に圧入し、安全などが確認された上で、萌別層にも圧入する。加えて、両層の圧入地点を離すことでデータに重なりが生じないように配慮する。
  • 委員 CCS-1坑で観測するとなっているが、ここは透水性の悪い場所なので、モニタリング上問題はないのか。
  • 事務局 CCS-1坑についてはモニタリング上問題がないかどうか実施にあたって十分に検討したい。
  • 委員 CO2の同位体をモニタリングできないか。CO2の量が増えたからといって圧入と関係するのか区別できない。同位体をモニタリングすれば、CCSのCO2は燃焼起源なので生物起源と区別可能。
  • 事務局 ご指摘の点については、可能な範囲で実証試験計画に取り込みたい。
  • 委員 流況シミュレーションでは、万一CO2が出てきた場合でも海洋の中で拡散して問題ないことを確認していると考えてよいのか。
  • 実施者 現在はモデルで検討を行っている。苫小牧で実証試験を行うこととなった場合には、具体的に苫小牧の流況シミュレーションを実施する。
  • 事務局 現在は簡易的に行っているが、海洋汚染防止法に基づく環境大臣への許可申請の際は、シミュレーションが必要になる。このため、今後、実施していくことになる。
  • 委員 モニタリングの範囲はよいが、OBSについては年に3回の交換となっている。これではデータの取得に遅れが生じるのではないか。また、地上に設置する地震計は精度が悪くなる。測定装置については、目的に応じて機器を見直したほうがよい。
  • 事務局 モニタリングについてはOBCによる連続データの取得で安全性が確保できると考えているが、より正確なデータをとるために、OBSについても、船の運航や投錨に影響のないところで連続的なデータを取れるようにしたい。
  • 委員 長岡では圧入井の近くに観測点が置かれていたが、今回はRITEの知見は入っているのか。
  • 実施者 萌別層については、長岡と同じような砂岩層なので、その時の知見が活用できると考える。滝ノ上層については火山岩相のため、RITEの知見については引き続き検討したい。
  • 委員 塩分濃度に関して、同位体などで年代測定を実施しているか。
  • 実施者 現在は行っていないが、圧入井を掘削する際には地層水の同位体分析もしていきたいと考える。

4.その他

今後の取りまとめプロセスについて事務局から説明。議事録については委員の確認の後、ホームページで公開。次回は、12月15日の開催を予定。

お問い合わせ先

経済産業省産業技術環境局環境政策課地球環境連携・技術室
電話:03-3501-1757
FAX:03-3501-7697

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最終更新日:2011年12月5日
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