経済産業省
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CGS研究会(コーポレート・ガバナンス・システム研究会)(第2回)‐議事要旨

日時:平成28年7月19日(火曜日)8時00分~10時05分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

神田座長、青委員、石田委員、伊藤委員、岩井委員(代理:牧野様)、江良委員、大杉委員、大場委員、翁委員、川村委員、神作委員、後藤委員、佐久間委員、澤口委員、武井委員、寺下委員、冨山委員、藤田委員、松元委員、御代川委員、柳川委員、竹林参事官、田原課長
(欠席:大宮委員、小林委員)

議題

法学者プレゼンテーション、企業ヒアリング(1)

議事概要

はじめに、本日の資料・議事等の公開について、資料2記載のとおりとすることについて委員の了承を得た。
次に、大杉委員(資料3・公開)、日立製作所土井様・川村委員(資料4・公開)及び御代川委員(資料5・非公開)によるプレゼンテーションが行われた後、討議を行った。討議の概要は以下のとおり。

日立製作所プレゼンテーションの補足説明

  • 【川村委員】2008年に、製造業始まって以来の非常に大きな損失を出したため、会社を建て直そうとした。その当時は立て直すことだけで精一杯で、取締役会制度あるいは執行役と取締役会の役割などの改訂まではできなかった。2、3年間はとにかく会社の立て直しだけをやっていたので、一応形だけは整っていた委員会設置会社制度の継続ということをやった。ただ、逆に言えば、2003年に委員会設置会社制度を採用しておきながら、2003年から2008年までの間は、業績は悪くなり続けたという問題点がある。やはり経営の基本はCEOである。取締役会ではない。経営を基本的に動かしているのはCEOであり、CEOの実力あるいは人選が非常に大事であるということを痛感した。しかし、まだすぐには直せなくて、業績がある程度回復をしてから取締役会の方の修正にやっと取りかかれた。中期経営計画も立てられないくらい大慌ての改革だった。
    その最初の改革で行ったことは、主として日本的な経営による収益の低位安定化を打破しようということだった。つまり、日本の経営は村落共同体的なところが非常に多く、常務会でいろいろな意見が出る中で、その意見の総平均値的な結論で運営している。どの人からもあまり大きなクレームにならない程度のところに村長が落としどころを決めていくようなやり方だった。その結果が当社の2008年の結果であり、大きな赤字を出してしまったので、この方式ではいけないと思った。そこで、CEOが中心になって会社全体を機能体的に、村落共同体ではなく機能体としての運営がちゃんとできるかどうかというところで改革を行った。機能体的運営をした結果、会社が良くなった。したがって、これを継続させなければならないということになり2012年にその継続法案というところをどういうふうにやるかというところで、取締役会に働いてもらおうということに決めた。いくら良いCEOを選んでも、過去の経験からいくと、必ず人間は腐敗あるいは堕落する、若しくはその成長を止めるという欠点があるので、選任・解任というところを取締役会が主導しなくてはいけないということをかなり意識した。
    それから、次にCEOは、社内から選ぶにせよ、社外から選ぶにせよ、その選定の基準を取締役会である程度決めて、かつ取締役会がそれを主導しようということを考えた。まだ具体的にきれいに決まりきっていないけれども、そういうことを考えた。そして、社内から選ぶときには、その教育をしようと考えた。例えば、海外の孫会社ぐらいの小さな会社の社長にして3年間くらい苦労させてから帰ってくる、要するにオン・ザ・ジョブ・トレーニングで教育するのが一番良い。クリスマスイブの頃にキャッシュが足りなくて皆にボーナスが払えないような経験をして帰すくらいがちょうど良い。それが今の結論であり、今の社長の次の候補者はこのように教育している。なかなか海外のちょうど手頃な会社は数が足りていないので、実務的には少し困っているところもあるが、考え方はそういうふうにしようとしている。
    これらによって最終的に何をやろうとしているかといえば、50%以上が海外の売上になってきて、株主も50%程度が海外の人になってきているので、海外の標準の会社になろうとしている。日本の今の売上高営業利益率、我々の分野では6,7%の営業利益率では、オリンピックでいえば海外の標準記録に届いていない。それは20年間日本がさぼってきたから。したがって、海外の標準に届くにはどういうふうにするかというのが今の我々の課題であり、その中の対策の一つがCEOの教育とか、取締役会の働きとか、そういうことになる。日本の国内体育大会記録をやっと破るというような格好で満足している今の状況を、何年もかかっても脱皮しようという格好で今の制度を決めている。ただ、実態はなかなか悪戦苦闘しており、なかなか思うようにはいっていないので、今言ったようには必ずしも進まないけれども、そういう方向性を決めてみんなで努力しているところだというところを理解していただきたい。

全体討議

  • 【後藤委員】各プレゼンターにそれぞれ一つ質問をしたい。
    大杉委員に対して。日本企業の取締役会の発展過程がよく確認できたが、最後のご提言の部分と前半の話はどうつながるのか。前半は取締役会の人数が少なくなっていく過程や、社外取締役が増えていく過程、その背景にある伊藤レポートの話などがあったけれども、最後のご提言のところでは、またそれとは少し違った観点のように聞こえた。法務・知財・ICTなどの知識を経営陣が持っていることも必要であるということ自体には何ら異論はないけれども、前半の話はどこへ行ったのかなというところが少し分からなかった。また、途中で、社外取締役の一律の義務づけは必ずしも企業価値の向上につながらない可能性があるという指摘もあり、それもまたそのとおりであろうかとは思うが、そういった形でのいわゆるガバナンスの改善を目的としたような制度改革は一段落してもよくて、むしろ人材の育成に注力すべきであるというご趣旨なのか。両立し得るものであると思うが、前半の話と後半の提言部分がどうつながっているのかという点についてちょっと敷衍をしていただければ大変ありがたいと思う。
    日立とアステラス製薬に対して。日立とアステラス製薬のガバナンス改革については大変感銘を受けたが、前回の研究会でも言われていたように、この研究会に出席している企業の方々は非常に先進的なガバナンス改革を試みられているところで、それが広がっていかないことがまた問題であるという話もあった。日立やアステラス製薬がこういうガバナンス改革をされた背景には、日立の場合には巨額損失の発生ということがあり、また、アステラス製薬の場合には合併という非常にわかりやすい契機があったのだと思うが、ただ、損失が発生したり合併したりすれば必ずガバナンスが改革されるというわけでもないこともまた事実であるかと思う。そうすると、日立、アステラス製薬それぞれにおいて、そういう契機があったことをきっかけとして、実際にこういうガバナンス改革を試みられた背景はどういうものなのか。御代川委員からは、アステラス製薬の場合には合併当時のトップの考え方が大きかったという指摘があったが、ただ、そうすると、そういう考えを持っているトップの方がそのときにいたのはなぜなのかという、そのさらに背景にさかのぼる必要があるような気がしている。大杉委員の報告から関連することでいえば、機関投資家、特に外国投資家の持分比率がそこに影響を与えているということはあるのか。それとも、それはたまたまそういう資質を持った経営者がそのときそのポジションに居たからからなのか。日立の場合とアステラス製薬の場合、それぞれ聞かせてほしい。
  • 【大杉委員】私のプレゼンの前半と後半がきれいにつながっていないところは自覚している。前半の最後(資料3の15頁目)の部分では大まかな推論を書いているが、2000年頃から現在に至るまでの日本の上場企業の取締役会は、外形的にみると欧米の取締役会改革と同じ方向に向かっているが、その進みは非常に遅く、また、確かなものでもないといえる。もしそれに理由があるとすれば、会社共同体のようなものが何か働いているのではないか。ここが前半と後半をつなぐ非常に細い糸になっていて、後半部分では、そういう共同体的な意思決定とか経営スタイルに何か串を刺して合理化していくことについて、独立社外取締役を入れるという形式面に加えて、それをどういう経路で企業の利益に結びつけていくかということについて考えられる仮説を出してみた。もちろん法務や知財やICTがどの程度経営戦略に意味を持ち得るかというのは、会社によって全く異なるものであり、業種・業態による違いも当然あると思うが、ここでは実践知のような部分を中心に挙げて経営陣グループの努力を促した。もっとも、実はそうではなくて、物事を抽象的に考える能力、目の前の状況から離れて少し距離を置いた判断をする、どちらかというと共用知のようなものの方が経営者あるいは社外取締役といった人に必要な素養なのかもしれず、このあたりは私には全く判断できない領域であるため、ぜひ経営者の方々の意見をいただきたいと思っている。
  • 【川村委員】社外取締役について、取締役会でバックグラウンドをいろいろと見ながらお願いしているが、やはり経営経験者にお願いするケースが多い。経営経験者は、自社での経営が上手くできなかった人でも、よその会社に来ると、特にその会社の欠点が見えるようだ。村落共同体的に、社内論理でいろいろな物事が知らず知らずのうちに決められていくというところを直さないといけないのが日本の宿命であり、特に海外の事業の多い会社はそれをやらないと絶対にいけないので、そういう社内論理に流されてしまう風潮があるところは特に社外取締役を選ぶときに注意が必要だと思う。CEOに非常に自覚があって意思が強ければそんなものは必要ないかもしれないが、必ずしもそうではなく、どんな立派な人でも必ず腐敗する、あるいは年をとって劣化すると思っているので、何らか歯止めが必要で、それはメンターみたいなものである。社員にメンターを付けて社員を教育するのと同じように、執行役会にメンターを付けるとすれば、取締役会というメンターが一番良さそうだということ。日々の仕事を伝票めくってチェックするわけではないけれども、斜め上から見ていて、これは少し方向が違うねと言うことをちゃんと言ってくれる人が必要だろうと思う。
    ガバナンス改革のきっかけについて、大きな問題点があって直すということができるが、平時からこういう改革ができるかどうかという点が日本の問題だと思う。我々の経験からすると、やはり100年も会社をやっていると社内にゾンビ事業が多くはびこっていて、社内のゾンビ事業をどういう形で潰すのが一番その資金あるいは人的資本を新しい事業に回せるかということを考えながらやっているが、成長事業を伸ばすのとゾンビ事業を潰すという両天秤を行うというところを、一つの会社の中であればきっかけがあればできるが、日本全体でやるには本当にどうしたらいいかというのは我々の問題だと思う。
    例えば、少し乱暴なことを言えば、金融緩和で皆をなだめすかしているような格好ではいけない。金利がしかるべく上がってきて、潰れるべきところはちゃんと潰れるというふうにすれば、日本全体が良くなっていくと思うが、そういうことを日本全体では今すぐにはできないと思う。ただ、会社だったら、CEOが人事権から何から持っているわけだから、やればできる。だから、CEOの力量と意思によると思っている。
  • 【御代川委員】一つは、合併当時のトップは両社とも研究者で非常に考え方が似ていたので、これが一番の成功要因であったと思う。それから、合併当時、私は人事部長をしていたのでよく覚えているが、やはり最初は、役員を選出するときに、両社のバランスに配慮するようなところがあったと思う。しかし、それについて違和感を持ち、新会社としての選考基準を持つべきだという話をして、外部アセスメントを使った評価を行うことにし、会社内でも候補者との面接を数回行うようになった。新会社としての選考基準軸を作る良いチャンスを我々は持つことができた。当時は新会社としての新しい基準を作るという議論がいろいろな部署でなされており、旧社意識の払拭に努めたことが合併の成功要因であったと思う。また、そういった路線を引いたことはトップの慧眼であったと思う。

(以下、時間の都合上、質問がある委員にまとめて発言いただき、その後に残った時間でプレゼンターに回答してもらうという仕切りになった。)

  • 【武井委員】日立とアステラスに対して、指名委員会に絞って質問したい。指名委員会は、まさにCEO選定とサクセッション・プランの評価の透明性と公正性を高めることが重要な仕事になるが、その指名委員会に入る社外取締役にはどういう能力が必要だと考えているか。特に、巷では社外の人に社内の人はわからないということも言われているが、そういったことを乗り越えて、どういった人が社外取締役として必要と感じているか教えてほしい。また、例えば、指名委員会で、社外取締役のこういう良い質問や発言があったという例があれば、今後の本研究会の整理に当たっても大変有益だと思うので、教えてほしい。加えて、そういった社外取締役の良い発言を引き出す社内からの説明の仕方も重要であると思うが、社内からこういった説明をすると、社外からこういう良い発言が引き出されたといったこともあれば、あわせて教えてほしい。
  • 【柳川委員】主に川村委員に対して伺いたい。私は、コーポレートガバナンスの一番最後の最後はCEOの首を切れるメカニズムを作ることだと思っているので、CEOの選任に加えて解任権というところは非常に重要なポイントだと思う。ただ。解任は選任よりもかなり難しいプロセスではないかと考えており、社外取締役にその役割を担わせるのはかなりハードルが高いのではないかという気がするが、その点の感触を伺いたい。特に法令違反が理由であれば難しくないかもしれないが、業績が上がらないとかROEが低いとかいったことを理由に解任させることには相当ハードルが高いような気がするが、そのあたりをどう考えているか。
    また、例えば、CEOにある程度の強い権限を与えるということからすると、こういう解任権がきっちりあれば、CEOの任期を長くすることがあってもいいのではないかと思うが、その点についてもし意見があれば伺いたい。
    最後は感想であるが、この研究会の委員の多くは意識の高い会社なのであまり問題ないものの、そうではない会社が、本当に良い社外取締役を選ぶのかどうか、そのメカニズムは一体何を使ったら良いのだろうか。ある意味では都合の良い社外取締役を選ぼうとするような人たちがいたときに、それに対して我々は何ができるのだろうかということを、改めて問題点として感じた。
  • 【松元委員】御代川委員に伺いたい。会社の形式としては監査役会設置会社であるけれども、実際の役員の構成は社外取締役がとても多くて、しかも任意で指名委員会と報酬委員会が入っている。これは、今後、監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社に移行する考えが長期的にはあるのか。もし逆にないとすれば、監査役会設置会社のままでいた方がやりやすいというような事情が何かあるのか、教えてほしい。
  • 【翁委員】各プレゼンターに伺いたい。日立の場合もアステラスの場合も、委員会等設置会社、監査役設置会社という差はあるけれども、いずれも執行で取締役会に入っているのは2人だけで、業務執行の社内取締役がいないというスタイルになっている。先ほど大杉委員からは、1990年代から2000年代にかけて議論は活発化し、取締役会の人数は減ってきたということを言っていたが、実際、今こういった取組みをみていると、むしろ業務執行社内取締役は減っていくけれども、社外の監督機能を増していくために、指名や報酬の委員会を任意で作ったり、また、監査などについても非常に充実させていかなければいけないというような環境変化になってきているのではないかと思う。そういった意味で、業務執行社内取締役というのは、この今求められているコーポレートガバナンスの上で本当に監督機能を一緒に取締役会の中で果たすことができるのかどうか。この業務執行社内取締役についてどう考えているか。日立とアステラスはもう既に止めているけれども、そういった議論があったのかどうか。
    もう一つは、柳川委員が言ったことと全く同じ問題意識として、社外取締役を選ぶときのプロセスとして、どういうプロセスを日立とアステラスでは決めているのか。まさに都合のいい社外取締役を選ばないというような意味で、どういう工夫をされているのかということを伺いたい。
  • 【神作委員】川村委員と御代川委員に伺いたい。
    まず川村委員に対する質問を1つ。資料4の10頁目に記載されている取締役会の構成について、非執行の社内取締役がいるということであるが、社内の非執行の取締役にはどのような役割を期待しているのか。具体的に、どのような出自の方で、例えば委員会への参加等があるのか、あるいは社内の非執行の取締役と社外取締役との間で何か会合のようなものが行われているのかどうか。
    次に、御代川委員に対する質問を2つ。意思決定の迅速性を非常に重視しているということであったが、監査役会設置会社という体制を維持して、付議基準については基本的に東京弁護士会の新取締役会ガイドラインに準拠されているということであった。新取締役会ガイドラインは比較的厳格に取締役会の付議基準を定めていると理解しているが、迅速な意思決定との関係で、このガイドラインを例えば多少アレンジしているというようなところがあるのか。もう1つの質問は、外役会について、特に内部者が関与しないとうかがった点が印象に残っているが、議長は誰か務め、アジェンダは誰がどのように決めて、どのような議題が取り上げられているのか。また、内部者の関与はないというのは、内部者は1人も参加しないのか、誰か話を聞いている人はいるのか、差し支えなければ教えてほしい。
  • 【伊藤委員】私からは質問ではなく、実践ベースあるいは経験ベースでのコメントをさせてもらう。
    まず1点目。大杉委員のプレゼンを聞いて、私も大変整理がついたし、感銘を受けるところも多かった。後藤委員から前段と後段のつながりについて質問があったが、私の解釈では、前段は、取締役会あるいは社外取締役に焦点を当てた、ある意味では他律的なガバナンスの整理をしていて、後段は、自律的なガバナンスの方にフォーカスを移したのではないかと思う。伊藤レポートに言及があり、利益率の低さの方に目を向けられていたが、説明にもあったように、CFO人材の育成、言ってみれば資源配分にかなり重い責任を負う、あるいは資本生産性にある種の番犬的な役割を負うCFO人材が足りないということを伊藤レポートでは言っている。大杉委員の言うように、ICTや法務人材がやはり日本では欠如しているのではないかという点は、私もそう思う。とりわけ象徴的な例として、CEO就任以来パフォーマンスが大いに改善されたカルビーの松本会長CEOが、経営に大事なのは3つ、英語、会計、法務だと言っていて、まさに実践論で言っていることに鑑みても大杉委員の言っている点はそのとおりだと思う。
    それから、企業内の経営幹部のトレーニングが必要という指摘についても、私も実感ベースでそう思っているが、私も企業内の経営幹部の育成に携わった身でいうと、企業経営幹部のトレーニングをしているだけではパフォーマンスは上がらない。上がるのは、企業内経営幹部のトレーニングにCEOをはじめ経営者がどのように関与するかが非常に大事で、選抜研修で誰を受けさせるのかというのにCEOが関与して、研修が終わった後にも、やはりCEOがヒアリングして、その人の能力を確認した上で、新しい職務を当てていくという、そういう関わり方をした会社は明らかにパフォーマンスが上がっている。これが私の実感ベース。
    2点目。川村委員が日立グループ内部のガバナンスが大事と言っていた点に関して、第1回研究会のときに大宮委員が言っていたことと同じだと思うが、私も、今の日本企業のガバナンスの議論は、本社のトップマネジメントをどうするかという議論に集中しているが、まだすごく足りないのはグループ企業のガバナンスをどうするかという問題であり、ここがかなりまだ空白地帯として残っている。いくつかの試みをしている会社はあり、例えば、主要グループ企業のボードメンバーに本社の事業部門のトップを入れるけれども、そのグループ企業の社外取締役に派遣される本社の事業部門の責任者は本社のボードメンバーではないので、グループ企業のボードメンバーになっても何をしていいのかがわからないというのが実態、実情だと思っている。
    3点目。指名委員会と報酬委員会というのは、私の経験ではかなり密接に両者は関連していて、とりわけCEOの評価については指名委員会と報酬委員会の役割は相当程度重なると思っている。CEOの評価をどうするかについて、もちろんROEだけで決めるわけではないけれども、ある事例で、私はベストプラクティスだと思っているが、CEOが、CEOと社外のメンバーで構成される報酬委員会の場で、1年間の行動アジェンダを説明し、1年後に自己評価もした上で、1年前にCEOが言ったことをどれだけ実行したのか、つまり有言実行度というのを社外の委員が評価して、それでAランク、Bランク、Cランク、Dランクと付けるというやり方をしている。報酬委員会と指名委員会のこの連関をどうしていくかという、ある種のデザインの問題はこれからの課題だろうと思う。
  • 【石田委員】川村委員と御代川委員に伺いたい。ガバナンスの議論では、いつも社外取締役を神様のように扱われてしまうことがあるが、人間なのでいろいろな人がいる。パフォーマンスの悪い社外取締役、変な社外取締役をどうやって辞めさせるかという点について、どのように考えているか。
  • 【冨山委員】総論的なコメントと質問をしたい。
    経済同友会の軽井沢セミナーが先週あり、中でもこういう議論が出た。同友会は比較的進歩的なグループであるものの、内部でも結構まだ温度差がある。この研究会での話とそのセミナーで扱ったAIとかIoT改革の問題は、同じ問題の表裏だと思っていて、この20年間エレクトロニクス業界がやられてしまった背景には、この領域でデジタル化とグローバル化が相互補強的にかなり加速した結果として、かなり不連続なことが起きて、かなりの勢いで事業ポートフォリオの入れ替えを行わないと生きていけないという状況がこの産業領域で起きたことが強烈にきいている。そうなると、今考えないといけないのは、この波が全産業に行こうとしているが、今までは関係ないと思っている産業が結構いること。要は、日立あるいはパナソニックに過去10年に起きたことは人ごとではないが、やはりまだ温度差があるということをこの研究会で強く意識していかないといけない。
    次に質問だが、日立もアステラスも、取締役会のメンバーをみていると、やはり多様性があり、良い意味で面倒くさい人を社外役員に入れていると思うが、これは実際に具体的にどうやって捕まえてきたのか、教えてほしい。
    ここから先は半分質問と半分コメントだが、実際に監査役会設置会社の場合に、毎回悩むのは、基本的に付議事項を減らしていこうと努力しているが、やはり例の法律上の重要事項は取締役会にもってこいという話と、はっきり言ってあまり出来が良くない基準があるせいで、結構残さないといけなくなっている。これは絶対変えた方がいいと思う。オムロンの場合、3,4件に絞り込んでいるが、それでも月1回やるのには正直多いと思っている。これは神田座長に聞いた方がいいのかもしれないが、法定の決議事項は割と規定の書き方は抽象的なのでどうなのかと思うし、あるいは、それについてもっと委譲できるようなガイドラインみたいなものを作った方がいいのではないかという感じがしている。それから、もしこれがどうしても動かないとした場合の代替案として、監査等委員会設置会社で、例えば強い指名・報酬諮問委員会を置くのが一つの逃げ道かと思っているが、このあたりについて意見があれば伺いたい。
    最後に、指名・報酬委員会においてどういうことを社外がやっているかという質問について、私の経験では、指名委員会や報酬委員会が強いか弱いかは、形式ではなく、その委員をやっている社外取締役がどれだけ働いているかで決まる。どれだけ時間を使って、どれだけ気合いを入れて仕事をしているか。私はオムロンではものすごく働かされている。次期社長の人事で一番真剣に考えているのは私と社長の山田の2人だと思う。やはりそれだけの時間を使って、それだけのエネルギーを使って気合いを入れてやっていて、取締役会で説明しに来る者を毎回評価しているので、やはりこっちの気合いが違うと社内の見方も変わってくるし、それだけの真剣度で4,5年見ていればかなりのことが分かる。よく社外の人が分からないというが、社外が入ってすぐに次の社長を決めるのは無理だが、3,4年過ごしたときにどれだけのものになっているかということだと思う。話は戻って、今の一つの逃げ道として監査等委員会設置会社はでそういう強い指名・報酬委員会というのはあるのか、あるいは、それを例えばコーポレートガバナンス・コードにそういうものを盛り込んでいったら結構力を持つのかという感じを持っている。
  • 【川村委員】社外取締役が本当にCEOの選解任までやれるかという点に関しては、確かに大変疑問はあるが、いろいろな手伝いをするようにしていて、社外取締役だけで意思決定がやりやすいように、その前段で、例えば社外の人材提供会社などを使って全部査定をしてもらって、面談もしてもらって、その結果が指名委員会の委員にも入っていくようにしている。また、社外の人間が候補者を評価することも非常に幅広くやっているので、そのデータも指名委員会の委員に入るようにしている。それに加えて、3,4年の年月をかければ社外取締役でもかなりできるのではなかろうかと思う。
    我々が前回社長を選んだ際には1年間しか時間がなくて、非常に不完全にしかできなくて、反省が残った。3名の候補者に、自身が3人いる社長候補者のうちの1人だと告げ、この1年間は十分にそれを考えて行動するように言って、かつ、社外取締役と社内取締役にもこの3人が候補だと伝えて、その3人の誰かが取締役会に出てきたときには皆で質問攻めにして、案件の説明もさることながら、人間性その他をチェックするということを散々やったけれども、1年間では本当に足りなかった。したがって、次の者は、その辺の反省を踏まえてもっと広い格好であろうと思っている。
    そのとき、確かに報酬委員会を一緒に使うのは非常に効き目がある。1年で業績が下がったが、しかしまだ辞めさせるかどうかわからない、もう少し頑張ってもらいたいというときには、報酬委員会を使って、その報酬の方で社長を査定していく。今は固定報酬4割、変動報酬6割とか、あるいは3割・7割というふうにしているため、7割の変動報酬の方で意思を取締役会として表示すれば、相当にいろいろな意味でその人間の選解任に対する、将来の解任に対するある種の予備的な判定をしたというような格好にもなるし、あるいは逆にもう少し頑張れということを意思表示したということにもなる。このように、指名委員会の1人の個人の、そのときの考えだけでさっと決まるというものではないということだと思う。
  • 【御代川委員】監査等委員会設置会社への移行については議論はしている。権限委譲が可能となる点に魅力を感じている一方で、(取締役会に上程される議案が減り、)社外役員に提供する情報が少なくなると、社外の人にかえってわかりにくくなるのではないかという点は懸念している。
    (社外役員のみによる会合である)外役会については、昨年度から始めたもので、議長は決めていない。各自が自由に発言しているのだと思う。社内からは、秘書室が関与しているが、時間と場所のアレンジが役割で、彼らが報告するといったことはしていない。
    指名委員会の委員となる社外取締役に、どういう能力を期待するかというと、人を見る能力である。そういう能力がある社外取締役なので、候補者から実際に話を聞きたいということになり、別途そのような機会を設けている。また、今後は、グローバルな観点から、ノンジャパニーズの候補者にも、発言の機会を与えたいと思っている。
    社外の役員候補者を選ぶ際には、経営に携わった人、法曹、サイエンス関係の人、女性など、その候補者の属性を考慮している。女性役員には、より幅広い見地からのアドバイスをもらっている。

本日扱いきれなかった質問について

本日委員から出された質問のうち、時間の都合上、研究会で回答されなかったものについては、事務局において別途プレゼンターに確認するなどして、補足することを検討する。

以上

関連リンク

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経済産業政策局 産業組織課
電話:03-3501-6521
FAX:03-3501-6046

最終更新日:2016年9月28日
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