経済産業省
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CGS研究会(コーポレート・ガバナンス・システム研究会)(第3回)‐議事要旨

日時:平成28年8月31日(水曜日)15時30分~17時30分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

神田座長、青委員、伊藤委員、岩井委員、江良委員、大杉委員、大場委員、大宮委員、翁委員、川村委員、後藤委員、小林委員、澤口委員、武井委員、寺下委員、藤田委員、松元委員、竹林参事官、田原課長
(欠席:石田委員、神作委員、佐久間委員、冨山委員、御代川委員、柳川委員)

議題

企業ヒアリング(2)

議事概要

はじめに、本日の資料・議事等の公開について、資料2記載のとおりとすることについて委員の了承を得た。
次に、事務局より資料3から資料5の説明を行った。
続いて、大宮委員(資料6)、三菱電機大隈様(資料7)及び岩井委員(資料8)によるプレゼンが行われた後、討議を行った。討議の概要は以下のとおり。

  • 【大杉委員】3名のプレゼンターの方に、それぞれお伺いしたい。
    まず、大宮委員に対して。御社の社内取締役になるのは、事業部のトップの方ではなく、例えばCFOの方であるとのことだが、そのやり方だと、おそらく伝統的な日本企業において存在した、下から出世して上がってくる社員のモチベーションが維持できないのではないか。言い方を変えれば、社外取締役にポストを奪われ、社員のインセンティブが低下するのではないかと思ったのであるが、そのあたりについてどのような工夫あるいは考え方をされているのか教えていただきたい。
    関連して、次に資生堂の岩井委員にお尋ねしたい。御社は監査役会設置会社であっても役員のほとんどが社外出身者であり、社内出身の方のポジションが少ない。そのことそのものよりも、御社はガバナンスについて非常に先進的な取り組みをされる中で、社長への権力集中というようなことも一方で行っておられ、かなり日本の伝統的な企業のあり方、それも経営者と社員の間の関係というものと違う姿になっておられる。そういう姿を目指しておられるというような印象を受けた。
    簡単にいうと、いわゆる会社共同体とか、社員が下から上がっていくことによって人的共同体として会社が機能するという、ややウエットな日本的企業とは随分違う。しかし、会社というのは、いうまでもなく社員の人に納得して高い意識をもって働いてもらわないと利益を稼げないので、当然、経営者と現場の社員の間ではいいコミュニケーションができていないといけないし、きっと御社はできていることで非常に有名な会社だと思っている。そのような、伝統的・典型的な日本企業とは違う経営者・社員間のコミュニケーションは、何か脱皮して違うものになったのか、従来的なものが進化して今の形になってきたということなのか。ガバナンスとか取締役会そのものではなくて、社員とのコミュニケーションという部分を教えていただきたい。
    次に、三菱電機の大隈様に教えていただきたい。御社は指名委員会等設置会社で、法律上可能な範囲で執行役への権限委任をされていると伺った。日本では伝統的に、取締役会は物事を決める意思決定の場と位置づけられてきたと思うが、権限委譲を進めてしまうと、取締役会で何をしているのかが見えにくくなるのではないか。 この点については私なりの仮説があり、そういうモニタリングモデル・タイプの取締役会では戦略や資源配分をするというのがひとつの答えだと思うけれども、資源配分はやって終わりということではなくて、むしろPDCAで、実際に配分した資源がうまくそれぞれで使われて、当初の目論見どおりにいっているのかということをフィードバックさせるというようなことがあるのではないかと思っている。この仮説がどのくらい当たっているのかについてご教示いただきたい。
  • 【藤田委員】私からは三菱重工様と資生堂様に質問させていただきたい。大杉委員と違って、私の質問は純粋に「形」の話である。コーポレートガバナンスを実施するのに、なぜそういう形式でガバナンスを作ろうとされているのかという質問である。
    まず三菱重工様だが、取締役会の独立性がかなり高い。社外取締役の比率が11人中5名と高く、しかも指名委員会、報酬委員会を任意で置かれている。そういうタイプのガバナンスを目指すときに、なぜ監査等委員会設置会社という形をとられたのか。これは、監査等委員会設置会社という形をとりながら、そういう方向を推し進める場合のモデルにもなり得るので、とても関心がある。 質問のポイントは2つある。
    (1)まず、なぜ指名委員会等設置会社ではないのかということ。監査等委員会設置会社という形態がつくられたのは、指名委員会等設置会社では報酬委員会と指名委員会を設ける会社の負担が重いためあまり利用されていないという認識がその動機の一つではないかと思う。一方、御社のように委員会を置かれるのであれば、多分負担が重いとはお考えになっておられないと思うが、にもかかわらず指名委員会等設置会社とされなかったのは、やはりフォーマルな権限を与えることは問題があるという認識なのか。あるいは、そもそも、任意で置かれた委員会は、指名委員会等設置会社の指名委員会や報酬委員会とは少し違ったことをなさろうとしているということなのか。
    (2)それと多少関係するが、監査等委員会設置会社では、監査等委員会の選定した監査委員が取締役の報酬や選任について意見を述べることができるとなっている。監査等委員のうちの社外取締役の方は、当然、任意で設けている指名委員会、報酬委員会のメンバーのはずなので、そこでの議論は当然ご存じのはずだが、それを踏まえた上で監査等委員の立場で選任や報酬について意見を述べるというようなことになるのだろうか。もしそうなると、監査等委員会が選んだ人が、別の構成の会議体でなされている議論を踏まえて、そこの意見を代弁するわけではないが意見を言うというのは、少々不自然な感じがしないでもない。指名委員会等設置会社をとると、そこはすっきりするのだが、そういう問題を抱えていてもやはり監査等委員会設置会社という形で実現したいというのは、何か理由があるのであれば教えていただきたい。これは、監査等委員会設置会社の形で指名委員会や報酬委員会を設けるという選択肢をとるときに必ず出てくる問題なので、ぜひ教えていただきたい。
    資生堂様には、日本のかなり多くの会社が今模索している方向についてのモデルになり得るという観点から、監査役会設置会社であり、モニタリングモデル的な方向を志向することの意味や意義についてお伺いしたい。端的に申し上げると、モニタリングボードを志向されるとはっきり選択された上で、取締役会の外に置かれた監査役によるチェックという二重のチェック機能があったほうがいいという考えなのだと思う。ただ、監査役がチェック機能を果たさなければいけないということは、モニタリングモデルと違う取締役会像を前提にしてきたのではないかという印象をもっている。つまり、取締役会はかなり具体的な経営事項について決定するが、それにコミットした人は、自分で自分の具体的な内容を有する決定について批判的に検討し監督・監査できるはずがないということから、その外にいる、取締役会のメンバー以外の人が監査すべきであるというのが、自己監査の禁止と法律的に言われることの基本的な発想のはずである。
    モニタリングモデルを徹底すると、取締役会は具体的な決定をしなくなり、監督に専念するはずである。そうなると、今の問題はなくなるので、必ずしも取締役会の外にそういうものを設ける必然性はなくなる。置いてはいけないことにはならないが、従来、監査役の存在根拠として言われてきたことのかなり重要な部分が欠落することになる。
    しかも、取締役会の中に監査の機能を入れたほうが、恐らく内部統制システムなどとの関係はすっきりする面があると思う。取締役会の中に置けば、監査委員会・監査等委員会を頂点とする内部統制システムとなるが、監査役制度だと監査役と内部統制システム系統の話との協働ということになり、やや複雑な関係が出てくるのだが、監査委員会・監査等委員会のもとに内部統制システムを置けば、それがすっきりするような気がする。にもかかわらず二重のチェック機能を重視し、取締役会はモニタリングボードでありながら監査役は維持するということの積極的な理由をお教えいただきたい。
  • 【大宮委員】大杉委員のご質問について。ドメインの長が取締役でないということだが、例えば、報酬、職位等を考えると、今のドメインの長は、少し前までは副社長が2名おり、取締役のCFOとかCTOは常務でもない平の取締役等がいたこともあり、どちらかというと、給与のレベルも執行側のほうが高くなってもいいという考え方をとっている。
    特に、先ほど申し上げた独立的に運営している大きな会社が3つほどあるが、そこの社長の待遇等をみると、当社の取締役よりもはるかに給料が高いこともあり得る。必ずしも全員が納得しているわけではないと思うが、取締役が一番上だという旧来の考え方を変えようとしている。特に、海外では外国人に事業会社の社長をしてもらっているが、そこの給与レベルは我々よりはるかに高い。そういったことは他の会社でもやっておられるところは多いと思うが、そのあたりをこれからどうやってうまくバランスをとっていくかは、報酬委員会等でも論議をする必要があると思っている。
    藤田委員の質問で、なぜ指名委員会にならなかったかということだが、監査等委員会設置会社はかなり柔軟性があると思っており、運営のやり方によって、監査役設置会社よりもやりやすいのではないかと考えたことがきっかけだったと思う。指名委員会等設置会社にするのは、少々先へ行き過ぎてしまうかもしれないということで、今は監査等委員会設置会社になっているが、中身そのものは、監査役会設置会社でやっていたことを変えているところである。例えば、取締役会の議事の内容を仕分けして、昔は議決が必要だったものを報告事項に落としているのだが、まだ大半が、前と同じような議題が上がってきている。それを、もう少し報告事項の中の仕分けをして、重要な項目だけに絞れるような形にすべく、現在急速に変えているという状況にある。
    したがって、将来どうなるかまだよくわかっていないが、とりあえずひとつ形を変えることによって、さらに執行のスピードを上げる必要があるので、一回形を定義して、どんどんCEOへ権限を委譲しようと考えている。社外取締役を含め、たくさんの論議が起きているが、方向性については、取締役会等でいろいろ議論が出てきているものをフィードバックしながら、その問いに答えていくことによって、少しずつ良化しているのではないかと思っている。
  • 【大隈氏】大杉委員のご質問は、一言で言えば取締役会は何をやっているのかということだと思う。プレゼンテーションの冒頭に申し上げたように、当社の基本的な理念は監督と執行の分離であり、この理念に基づいて業務をやっている。業務執行の決定権を最大限執行役に委譲することで、取締役会が自らの業務執行の決定を監督するということから逃れて、業務執行の適正性、あるいは適法性を取締役会がチェックをするという体制をとっているということが1番目である。
    ただ、法律の要求で、これだけは権限委譲できないという項目がある。例えば、事業再編、事業譲渡、事業の譲受け、合併、会社分割等、色々な項目がある。これはやはり取締役会の審議事項である。さらには、執行役の選任、役付執行役、あるいは代表権を誰にするか、これも取締役会の審議事項ということで、重要な項目はやはり取締役会がしっかりと担っているということである。
    これは当然、株主から直接経営の付託を受けているのはあくまでも取締役なので、当社の経営の根幹にかかわる重要事項については取締役会に引き続き留保している、ということである。
  • 【岩井委員】大杉委員の質問について。プレゼンテーションの中で、CEOの暴走というような言葉を多用したので、CEOと社員が乖離するようなイメージを持たれたかもしれないが、現CEOの魚谷は2014年4月に外部から来て、資生堂の中では外部登用から直接社長に就任したのは魚谷が初めてである。そのときに魚谷が一番気にかけたことは、社員と直接話そうということで、今、資生堂の社員は何を考え、何に悩み、何をしたいのかというようなことを徹底的に話した。そして、魚谷自身が非常に明るいキャラクターなので、社員が魚谷のもとに寄っていっていろいろな話をしたがるというような体制が、2014年から2年半以上続いている。ワンマンにならない資質というお話もしたが、それは魚谷の持つ非常に大事な資質なのだろうと捉えている。
    そして、資生堂の社内取締役は3人しかいなくて、それは社員にとってやる気が削がれる要素があるのではないかというご質問だったと記憶しているが、株式会社資生堂には執行役員制度があり、資生堂グループのグローバル・ヘッドクオーターとして各担当領域を取りまとめる執行役員が20名ほどいる。社員の目標はそこである。経営の非常に重要な事項であるグループ戦略を策定していくのは執行役員である。彼らが頑張って戦略や計画の立案と実行を担い、取締役会がそれに対して厳しい意見を言いながらもサポートするというような体制であることで、執行役員のモチベーションは非常に上がっていると思っている。
  • 【牧野氏(資生堂)】藤田委員の質問について。まず、当社は監査役会設置会社ということで、いわゆる昔から監査役会設置会社のメリットとして強調されていたダブルチェック機能というのを維持しながら、一方で取締役会がモニタリングボードというのは少々違和感のある体制だというようなご指摘だったかというふうに感じている。当社の基本的なコンセプトとしては、当社の社外取締役の上村先生がよくおっしゃっていることだが、理想のガバナンスを実現するための機関設計は、同じ山の頂を目指す3つの別のルートがあるというだけであり、どれでなければいけないという制限は無いと考えており、監査役会設置会社のままでも、それなりのメリットを生かしながらいろいろなことができるはずだと考えている。
    その中で、二重のチェック機能というか、監査役会というエクストラなものを残した状態で取締役会にモニタリング機能を強化させたことの意味は、取締役会にはもともと業務執行の監督義務があり、取締役も相互の監督義務がある中で、より有効な機能をプラスオンするという発想で監査役・監査役会を残している。当社の場合は、取締役会の独立性も相当高くなっているので、取締役会や取締役相互の監督はできていると思っている。経営の監督は取締役会が担当するという欧米型の発想に、さらに監査役会という、独自の調査権限をもち、業務執行からも十分独立していて、業務執行者から報酬の面でも独立性が担保されていて、任期も4年間保証されている立場である監査役をプラスオンするような形を考えている。この設計を採用するかどうかは、社外取締役と社外監査役の両方を選任して維持するという負担に会社が耐えられるかということのバランスもあるかと思うけれども、その点の負担が特に高くないということであれば、監督の目が多様性を持っているというのは悪いことではないと思う。当社の場合は、監査委員会の機能については置くとしても、指名諮問委員会と報酬諮問委員会という2つの任意の委員会を持っていて、両諮問委員会の意見は最大限取締役会で尊重するという方法を採ることで、昔から割とアメリカ型の設計に近い方法をとっていた。最近では、ボードの独立性も高まってきていて、一般に欧米の投資家の方などが求めている独立性の高い取締役会における監督というものを満たした状態に近づいている。その上で、そこにさらに従来から日本の強みであると私どもが信じていた監査役会が上に乗っているという状態は、そんなに悪いことではないと思っている。そうであれば、無理して機関設計を指名委員会等設置会社や監査等委員会設置会社にしなくてもいいのではないか、というのが正直な感想である。
    今のやり方で当社が色々な負担に耐えられなくなったり、取締役会付議事項の重要性基準のところがどうしてもネックになって多少マイクロマネジメント的にみえるものを取締役会の議題から排除できず不便だというところが明確に負担になったりしてくるようであれば、機関設計を変更するということがあってもいいと思っており、決して一生変更しないと申し上げているわけではなく、今のところは、動かなくてもうまくいくなら動かなくてもいいのではないかという、若干消極的な理由で今の状態にとどまっている。
  • 【松元委員】三菱電機の大隈様にお伺いしたい。御社の報酬決定のところで興味深いなと思ったのが、執行役については業績連動報酬がかなり工夫された形で入っているが、取締役については全く入っていないということである。この形を採用しているというのは、執行役に業務執行の決定のほとんどを委譲しているので、取締役会では、業績に関係する部分を審議・決定するというところがあまり重視されていないという整理なのか。そのあたりについて、この形にしたときにどういう議論が社内であったのかというようなことを教えていただきたい。
  • 【小林委員】2つ質問したい。三菱電機において、指名・報酬委員会のメンバーに会長・社長が入らない中で、社内の人材情報は一体どう汲み上げられているのか。指名・報酬委員会のメンバーの1人は社内取締役とのことだが、この方は人事系の方なのか、それをまずお聞きしたい。
    本日プレゼンテーションをお聞きして、3つの機関設計いずれであっても、やり方次第で何とでもなるという印象を持った。指名委員会等設置会社において指名・報酬委員会に社長・会長を入れているところもあるし、そうでないところもある。実際の運用というのはかなりフレキシブルだと思う。
    2つ目の質問として、例えば三菱電機は2003年に指名委員会等設置会社になり、日立、東芝、ソニーもおそらく同じ頃に指名委員会等設置会社に移行したと記憶している。要するに、重電系も含めエレクトロニクス業界は早い時期に委員会設置会社になった。一方、化学業界は、私ども三菱ケミカルホールディングスが昨年指名委員会等設置会社に移行したのが初めてで、多くの会社は監査役設置会社のままであり、監査等委員会設置会社に移行する動きも多くない。一体なぜ業種によってスピード感が違うのか、単なる業界ごとの流行なのかもしれないが、この辺についてどなたか知見があれば教えていただきたい。
  • 【大隈氏】松元委員のご質問は、なぜ取締役は基本報酬と退任慰労金だけかという質問だったと思うが、基本的には、業務の執行という業績に応じた部分は執行役が受けるべきということである。取締役の方は基本的に監督に専念してもらうということで、監督の役割は基本報酬の中に入っているという認識である。
    だから、業績がいいときは差があるようにみえるが業績が悪いときはほとんど変わらないということもあるし、業績次第のところは執行役にしっかりとその部分を与えるというのが、当社の考え方である。
    次に、小林委員の指摘は、指名委員会、報酬委員会がそんなにしっかりとみられるのか、あるいはやり方次第でいくらでもできるのではないかというご指摘かと思うが、指名委員会、報酬委員会の中に、人事担当である私が入っており、他社の水準や、当社の業績、各事業の責任者の個人の成果ないし結果についてしっかりと情報収集をして、担当する委員会の取締役に事前に何回か情報を提供する場をもって、最終的には委員会で決定するということをしているので、あまり漏れや齟齬はないのではないかと思っている。
  • 【神田座長】小林委員の2点目の指摘である、業種と機関設計の関係については、事務局のほうでも整理していただきたい。
  • 【江良委員】お三方には貴重なお話をいただき、感謝申し上げたい。いつもお話をお伺いしている会社様であったが、改めて新しい発見もあり大変勉強になった。
    まず、資生堂様にお伺いしたいのだが、今回、自律のガバナンスにおいて人の重要性ということで、個人単位で有事と平時において役割を変えるというイメージで受け取れるようなご説明をいただいた。これはポートフォリオマネジャーも似ている部分があると思っていて、相場局面によって得意、不得意というものが一般的にはあるが、求める機能や局面によって人選も構成も変わってくるのではないかと思うが、このあたりは個人レベルでバランスをとるのか、それともいわゆるボード全体のダイバーシティーという形でバランスをとるというお考えなのか、そのあたりのバランスのとり方についてお伺いしたい。
    次に、三菱重工様にお伺いしたいのだが、御社は130年以上の歴史があって、ここまで大胆な改革をされる際には、様々な声があったのではないかと思う。その際に、経営側の厳しい経営判断を後押しして守るような役割を果たした方がおられたのか。例えば、社外役員の方が、今進められている経営改革についての正当性や妥当性を認めることによって、経営方針の客観性を付与するとか、あるいは、外部の投資家が経営を支持するということはあったのか。これは三菱重工様だけでなく今回のお三方にお伺いする質問にもなるかもしれないが、経営を監視するということと同時に、経営を守るという機能について、社外役員あるいは外部の人間が果たす役割についてご意見を伺えたらと思う。
  • 【武井委員】貴重なお話をいただき、感謝申し上げたい。
    3社の皆様に簡単にお伺いしたい。
    質問の内容は前回と同じで、社内役員の指名に関係して、社外役員の方にどういう役割、貢献があるのかという話である。第一に、社外役員の方が社内の方をみるのに、どういう能力とかどういう支えとかが必要だと思われるか。(1)その社外の方に求められる能力という視点もあれば、(2)どういう情報を入れるかを含めた社外役員を取り巻く環境のあり方という視点もある。個人的なご意見を含めて教えていただきたい。
    第二に、社外役員の方からこれまで出された意見や発言の中で、指名に関して社外役員から良いご意見をいただいたという例があれば、教えていただければと思う。
    私は前回と同じ質問をしており、資料3に、日立さんとアステラスさんからご回答があるので、そちらもひとつの参考としていただきたい。
  • 【大宮委員】まず江良委員の質問について、改革の後押し役というのは社外ではあまりなくて、どちらかというと、長い歴史があり、業績低迷というのが非常に頭にあったので、私の前の代くらいから、マトリックス組織はいけないという論議が時々出ていて、それが途中で挫折していた。要するに事業所がものすごく強かった。今でもまだその弊害が残っていると思っているが、3重工に分断されて以降、15年程度それぞれ競合する会社だった。したがって、やり方も全部違っているし、競合なので、何であそこと一緒にやらなければいかんのだということになって、抵抗勢力が大きくてなかなかできなかった。どちらかというと内部でそれをやりたいというところが十数年前に起き始めて、それの挫折を私が引き継いで、ともかく縦串を何とか通すぞということをやった。
    IRで海外の投資家等に説明するときにも、ものすごく説明のしにくい会社だったのは明らかだから、それらが後押ししてくれたとは思うが、基本的にはやはり内部。それと、2000年頃に、取引先が客観的な評価指標を導入したことがあり、それが心に残っていて、評価をうまくやるということが社長の武器だと思った。事業部には、もう30年も40年もやっている人がいて、中期計画を説明すると、どんな質問をしても事前に全部回答が用意されていて、何をやっても切り崩せないので、客観的な評価システムがないと社長の武器にはならないと強く思った。そういう社長の武器を手に入れたいというのが、三菱商事が入れていたEVAのようなものが必要だと考えたきっかけだったと思う。
    次に、武井委員からご質問があった指名委員会の件は、まだ始まったばかりで、去年2回開催したが実は私は出ていなくて、出た結果の概要の説明と、こういう資料で説明したというのは聞いてはいるが、基本的に、執行役員全部の人事まで社外の方がこれは良い悪いと判断するのはなかなか難しいという声が多いようだ。執行役員レベルの話は、プロセスというか、資質というのは何かとか、何が必要なのかという評価基準を定めて、それに合致しているということを提示して通していくようなやり方でやることにこれからもなるのではないか。
    ただ、次の社長の人事は非常に難しくて、今一番我々が直面しているのは、経営のスピードをいかに上げるかという視点で、500も製品があると、スーパーマンのような社長でない限りものすごく早くはできない。資質のある人たちをどうやって育てるか、どこにいるのかという論議から始まっているので、この辺は、これからの本当の課題だと思う。もちろん、こういう資質が要るということは当然列挙できるのだが、それに合致した人がいるか、どう育てるのかというのは大変難しい問題だと思っている。
  • 【大隈氏】武井委員からご質問のあった2つの点についてお答えする。
    社外取締役の役割というか、どういう能力が必要かということだったと思うが、プレゼンテーションで申し上げたとおり、人格や識見や業務経験などは当然必要になるが、もう少し具体的に申し上げると、事業の経験があるというのは非常に大きなことだと思う。グローバル経営であるとか事業の再編、M&A、あるいは国際情勢とか社会の経済動向、あるいは金融とか、こういう当社の中の執行役が持ち合わせていない経験、識見を持っておられる方に我々としては社外の取締役になってもらいたいと思っている。あとは、法律面とか、会計とか、そういうところの専門性も当社の中では大事な領域なので、そういう能力のある方が必要だと認識している。
    それから、社外の方の質問とか発言の良い例というご質問だと思うが、個人的な意見も含めて2つほどある。
    1つは、我々の執行役は1つの事業あるいは1つの職能をやってきた人々が多いわけで、世の中とか、世界とか、ほかの事業からみて三菱電機の事業の執行が良いとかおかしいとか言ってもらえるというのが非常に大きなポイントかと思っている。
    2つ目は、社内で不正や不祥事といった色々な問題が起こったときには取締役の方々にもご報告をして、色々なことをご説明するのだが、そういうときに、社外取締役の方々には、原因の究明や対応について、しっかりと意見を言っていただける。あるいは、処分はちゃんとやったのか、厳しい処分をやれとか、そういうことも言っていっていただいているし、再発防止のために何をするということをしっかりとご指導いただいている。このあたりが、個人的なところでもあるが、非常に良い発言というか、我々にとって非常に役に立っているご発言かと思う。
  • 【岩井委員】自律的なガバナンスに関して、変革期である現在の資生堂の場合はスーパーマンのCEOを選任しなければいけないと思っていて、そのスーパーマンのCEOを取締役会がどれだけサポートし、一方でどれだけ監視・監督するかというバランスをとっているのが、私が申し上げた自律的なガバナンスだと思っている。
    その際、社外取締役はどういう人材が揃っていなければならないかというと、現在の当社の場合、法律の専門家、医薬品ビジネスの実際の経営者、法学者等、非常に幅の広い構成になっているが、総じて言えることは、グローバル化に伴う市場の変化や技術の変化等を理解し対応できる専門的な識見、経験、情熱があることである。それと、CEOに対する監視・監督という言葉を使ったが、CEOが説明責任を果たしているかどうかを常に見続けて、足りない場合には質問し要求するといった厳しさのある人たちでなければいけないと思っている。
    まとめると、会社の将来を見据えて正しい情報を選び抜く洞察力、判断力が求められると考えている。
    それから、2つ目の社内役員の指名に対する社外取締役の見る目はというお話に対しては、取締役会はもちろん、先ほど申し上げた執行役員約20名の選任について承認する権限を持つが、それについては、その人というよりは、CEOがどういうプロセスでその人間を選んできたかというところについて取締役会は監督しチェックしていると捉えている。
  • 【翁委員】貴重なご説明につき、感謝申し上げたい。
    資生堂の方にご質問させていただきたい。売上高は海外の比率が5割を超えていて、グローバル経営ということをかなり意識されて色々な改革をされてきているというお話もいただいたが、地域本社については、近年、権限を委譲し、一方で監督を強化されているというお話をされていた。実際には地域本社の方はまだ執行役員という位置づけにはなっていないようだが、具体的にどのように権限の委譲と監督の強化を両立する工夫をしようとされているのかということを、グローバル経営という観点から教えていただきたい。
  • 【大場委員】先ほどの武井委員の質問に関連するかと思うが、本日プレゼンテーションをいただいた3社には、社外取締役の役割における期待が非常に大きいということが共通しているのではないかと思う。
    そうすると、社外取締役の選考について、様々なお話をいただいたが、その社外取締役の方にインセンティブをもってもらうという観点からも、何か具体的な対応策を考えておられるのかどうか。例えば報酬面とか、もしくは何かの表彰を行うとか色々あるかと思う。あるいは、立派な方を選んでいるのだからそんなことは何も必要ないということなのか。そのあたりを教えていただきたい。
  • 【岩井委員】当社はグローバル経営にかじを切っていて、その際に、リージョナル・ヘッドクオーターに権限委譲するとともに、その監督機能はどうなっているかというお話かと思う。まず、リージョナル・ヘッドクオーターのCEOは、株式会社資生堂グローバル・ヘッドクオーターの執行役員には今現在はしていない。それについては検討課題だと思っていて、まだ結論は出ていないが、それについては当然考える余地があるという状況である。
    つい最近も、メーキャップブランドや、フレグランスのブランドについて、買収あるいはライセンスの獲得等を行ったが、こういった案件に関しては、リージョナル・ヘッドクオーターが主導する体制となっている。その中で、グローバル・ヘッドクオーターのCEOである魚谷は、現地に出向いていってリージョンのCEOと一緒に相手先と交渉をするというような、まさにグローバル・ヘッドクオーターとリージョナル・ヘッドクオーターの2人のCEOが共に、獲得のために何ができるかという観点から協調する。
    その際に、魚谷が取締役会に対してどういうレポーティングをするかというと、このような案件はスピーディーな動きが必要となるため、取締役・監査役への情報共有は月1回の取締役会の機会だけでは当然足りないので、適宜メールによる報告を詳細に行った。それによって社外役員から非常に信任が厚くなったということを聞いている。
  • 【牧野氏(資生堂)】報酬のことについては代理でお答えさせていただく。当社の場合、いわゆる役員報酬という面では、社外取締役の方には定額の基本報酬しかなく、特に何かをしたら報酬の率が上がるというようなインセンティブ設計にはなっていない。
    確かに今、ご指摘というかご質問をいただいて、はっと思うところがあったというのが正直なところだが、いわゆる伝統的な、今までよくありがちなガバナンスの考え方として、業績を上げるために注力している執行側を監督する側の人間への報酬については、執行側が出した結果に引きずられてはいけないと考えている。社外取締役に対しては、少なくとも会社業績に連動するような報酬というのはふさわしくないだろうと考えているので、定額報酬になっているということである。
    ただ、一方で、今のご質問は、例えば、わかりやすい財務指標とかそういうものに連動するものではない、インセンティブ付けをするような報酬というものがあったほうが、より社外取締役をリクルートしやすいのではないかという問題提起というふうに受けとめたが、そういった視点は現在は持っておらず、お引き受けいただいた以上精いっぱいやっていただけるという少々性善説的なところがあったというのが正直なところである。当社の役員報酬制度というのは3年に1回ぐらいは変わっていくので、当社の検討の中で、ぜひ取り入れさせていただきたい新たな視点だと考えた。
  • 【大宮委員】社外役員の資質は、資料6の13ページにわりと細かく書いてあるところ、非常にバランスがとれていると自負している。実は、クリスティーナ・アメージャン氏に来ていただくときに、複数の女性の候補に講演をしてもらった。講演内容等を吟味検討して社外取締役として選定するということは事前にお伝えしておらず、選定した後にアメージャン氏と面接しお願いしたら、こんなオールドボーイズの集まりのような三菱重工が私に何を期待しているのですかと言われて断られそうだった。私は1対1で面談をし、こういうことだといって4つくらいの期待を述べたら、わかりましたと、どちらかというとリラクタントな感じで引き受けていただいた。最初のころは、どういう会社なのかということを疑念の目でみているような感じだったのだが、会社をよくわかってもらう努力を積み重ねたのが良かったと思う。そのためには、報告も色々な形で行った。例えばドメイン別の事業の報告もちゃんと行ったし、それから個別にも説明に行ったし、年間を通して、海外も含めた事業所にだいぶ行っていただいたりして、最終的には製品も非常に好きになられて、事業そのものも好きになっていただけた。これがインセンティブになっていると思う。このように、社外取締役の皆さんにはすごい勢いでのめり込んでもらっているという感じがしている。
    報酬は、基本報酬のみで表彰制度も何もない。その辺も少し考えたほうがいいというサジェスチョンをいただいたかなと思っている。
  • 【大隈氏】当社も、社外の取締役の処遇は基本的には固定報酬のみであり、プラスアルファがあるということではないが、先ほど申し上げたように、退任慰労金というのがまだ執行役にも取締役にも残っている。これは、世の中的には議論があるところだろうが、我々としては、短期的な業績ではなくて、中長期的にみたときに、三菱電機に対していろいろなサジェスチョン、意見、いろいろな指導をしてもらったことに対して報いるものである。そういうところで、中長期的に当社にご貢献いただいた場合はそういうこともあるということが多少のインセンティブになっているかなと思う。
  • 【神田座長】きょうご丁寧にご回答いただいたが、もし補足があれば事務局にお伝えいただければ、大変ありがたい。それから、皆様方からもさらに追加でのご質問やご意見があれば、事務局までお知らせいただければと思う。 私の感想を一言だけ申させていただくと、形式と実態の緊張関係というのがそれぞれに非常に難しいなと思った。それぞれの会社が非常に苦労しておられるという感想を持った。

以上

関連リンク

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経済産業政策局 産業組織課
電話:03-3501-6521
FAX:03-3501-6046

最終更新日:2016年11月15日
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