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CGS研究会(コーポレート・ガバナンス・システム研究会)(第6回)-議事要旨

日時:平成28年11月18日(金曜日)16時00分~18時00分 
場所:経済産業省別館9階944共用会議室

出席者

神田座長、青委員、岩井委員、江良委員、大杉委員、大場委員、翁委員、川村委員、小林委員、佐久間委員、澤口委員、武井委員、寺下委員、藤田委員、松元委員(17時00分より途中参加)、御代川委員、竹林参事官、田原課長(代理:藤本専門官)
(欠席:石田委員、伊藤委員、大宮委員、神作委員、後藤委員、冨山委員、柳川委員)

議題

指名・報酬の在り方(2)

議事概要

はじめに、本日の資料・議事等の公開について、資料2記載のとおりとすることについて委員の了承を得た。
次に、事務局より資料3の説明を行い、続いて、エゴンゼンダー株式会社の佃様による資料4の説明、ウイリス・タワーズワトソンの櫛笥様による資料5の説明が行われ、その後、討議を行った(討議(1))。
その後、事務局より資料6の説明を行い、再び討議を行った(討議(2))。討議の概要は以下のとおり。

討議(1)(資料3・資料4・資料5の説明後)

  • 【佐久間委員】ただいまの皆様のプレゼンテーションは大変貴重な内容であった。御礼を申し上げたい。
    次に、事務局の資料3のアンケート結果分析は非常に良くなっていると思うが、1点申し上げる。後半の機関設計に応じた分析と、その前半の売上げといった規模の分析を合わせないと、機関としての差なのか規模の差なのかがわからない。指名委員会の規模というのがデータの中にないので、ここからは私の推測だが、おそらく指名委員会等設置会社は規模がそれなりに大きい。つまり後半部分の分析というのは機関設計の差ではなくて、規模の差によるところが大きいのではないか。この点をぜひ検証していただきたい。
    それから、念のため確認させていただきたい。エゴンゼンターさんのお話の中で、指名委員会について法定・任意という言葉があったが、CEOの選解任についての法定というのは日本に制度として存在しないので、法定というのはあくまでも取締役の指名についての法定であり、CEOに関しては全部任意の委員会という理解でよいのか。
  • 【佃氏】おそらく会社法404条第1項を前提とされていると思うが、ご指摘の通り、指名委員会が決定する選解任議案の対象となるのは取締役のみであり、CEOに関しては指名委員会の法定権限ではない。あくまで指名委員会等設置会社における委員会を「法定」という形で資料に記載している。
  • 【川村委員】指名委員会に関するお話は今まで色々あったという印象があるが、報酬委員会に関するウイリス・タワーズワトソンのお話は今まであまり聞いたことがなかった話が多かった。例えば、ペイ・レシオ(CEOの報酬と従業員の報酬の比率)でいろいろ規制をしていくというものがあり、そういう動きで社会を少し直していくといってもペイ・レシオだけではとても簡単には直らないような気もする。全体の動きとしては、それ以外にもいろいろな動きがあってしかるべきと思うが、その辺に関して知見があれば教えていただきたい。
  • 【櫛笥氏】基本的にこれだけで何か解決するというものではないのは、おっしゃるとおりだと思う。牽制的に、いわゆる格差が広がり過ぎた状態を規制の観点から少し律していこうという話だとは思うが、アメリカでもイギリスでも同じように入り始めているというのが現状である。
    ただ、例えばアメリカでは、従業員の給与の中央値をどうやってとるのかについて、現在喧々諤々の実務上の議論がある。要はどこまで含めて母数にして平均を出すのかということである。そこをしっかりしないと、出してもメディアが書き立てるだけで終わってしまい、あまり意味のない数値になるというような議論もあって、まだ実は方法論についてはわかっていないというところがある。
  • 【川村委員】もう一つ、日本ではむしろ役員報酬を上げるべきかもしれぬという意見もあると思うが、そういうことに関する具体的な指標なり動きはあるのだろうか。
  • 【櫛笥氏】冒頭にご説明申し上げた日米欧の報酬比較を見たときに、明らかに固定報酬の比率が大き過ぎるということをもって、少しここは改善しないといけないという話になっている。ただ、水準を引き上げるというよりは、実際は構成をきちんとしようという話なので、結果として水準が上がるケースが多いけれども、まず構成としてリスクテイクをきちんとする形の報酬制度にするというところに関心があり、日本企業において、今報酬委員会の中で、それに向けてどの程度の中長期のウエートを置くのかについて、議論が進んでいる実感はある。
  • 【小林委員】当社(三菱ケミカルホールディングス)も大分似たところがあるが、特に社外取締役に対する報酬として、固定のみがいいのか、やはりインセンティブを入れたほうがいいのかという議論が前回もあったかと思う。それに関連して、資料5でBPとエクソンモービルの社外取締役の個別の報酬が比較されており、そもそも全員、個別に開示されていることにある意味で驚いたのだが、日本は今どういう状況にあるのかというのを教えていただきたい。次に、アメリカとイギリスで株式報酬あり・なしという差はあるにせよ、個々の社外取締役の報酬金額が、各人のタイムコミットメントに応じた報酬金額となっていることの意図はどういうところにあるのか、教えていただきたい。
  • 【櫛笥氏】日本は総額報酬の開示という制度があり、社外役員といわゆる取締役、監査役に分けて開示するというルールになっているが、個別開示ではなくて総額開示ということになっている。
    社外取締役の株式報酬については、実はグローバルでプラクティスがかなり分かれている。米国では入れるのが通常だが、ヨーロッパのほうは、入れてはならないというルールが敷かれたりもする。ヨーロッパで株式報酬を堂々と入れているのは、我々の認識ではスイスぐらいのものであり、ほかの国は入れていない。
    一方で、BP社のように株式保有ガイドラインのようなものの中で、社外取締役にも一定数の株式保有を在任中求めるというルールで、もらった報酬の中から買わせる、持株会のような形のやり方もある。
    日本においてどう考えるべきかというと、非常に難しい話になるが2つある。従来ストックオプションがだめというような議決権行使が相当行われていた時代があり、ストックオプションの本質についてきちんと理解されないまま議決権行使基準だけが走ってしまったと思っているが、現在は、例えば社外取締役に信託プランの株式報酬を付与する事例や、譲渡制限付株式を付与する事例も出てきている。基本的にはフルバリュー、つまり株式そのものと同じ価値を持つものであれば、やはり企業価値を毀損しない、あるいは向上させるための助言をするという意味では整合的なので、社外取締役にも持たせてもいいのではないかという議論はある。現状は、少しずつ付与する事例が増えてきているというところである。
    最後に、資料5に「タイムコミットメント」と書かせていただいたのは、基本的にノンエグゼクティブディレクター、つまり業務執行しない役員の報酬水準の合理性は拘束時間でしか見られないというのがグローバルな考え方としてあるということである。もちろん質の問題は色々あるのかもしれないが、委員会にどれだけ入っているかということ等が要素となる。例えばフォルクスワーゲン社は、チェアマンが社外の方であるが、チェアマンをやるということで、ほとんど会社におられるようである。そういう方は非業務執行役員だが、日本円でいうと1億円を超える金額を得ておられるようである。日本でも非業務執行の会長というポジションでされるパターンもあるが、実質はそういうことが普通に正当化されている。常勤か非常勤かで水準が違うのと同じような考え方が、報酬の妥当性の判断に少し使われているということだと思う。
  • 【翁委員】ご説明をいただき、感謝申し上げる。
    報酬のほうでまずお伺いしたいのは、リストリクテッド・ストックを入れる企業がかなり増えていると思うが、日本では、こういったTSRみたいなものをKPIとして入れる企業が多いのか、それとも、例えばROEとかそういったKPIを入れるところが多くなっているのか。特に、そういった中期経営計画と連携づけてこういった目標を定めているところが多いのかどうかという事情、状況を教えていただきたい。
    もう一つは、今、小林委員がご質問されたところと同じところだが、社外役員の報酬が各人のタイムコミットメントに応じて個別に異なるというところに関して、議長・委員長とか、それからおそらく指名・報酬と監査では大分タイムコミットメントが違うというふうに思うが、そこの違いのようなことを海外では反映しているのかどうかということをお伺いしたい。
    それから最後に、指名の関係でエゴンゼンダーの方にお伺いしたい。こういったCEOの選解任について社外の役員の役割が非常に大きくなっているが、その社外役員自体を次どうするかということについて、指名委員会などが議論するような動きというのは海外ではあるのかということをお伺いしたい。次の社外役員をどう決めているかということについて、何か動きなどあれば教えていただきたい。
  • 【櫛笥氏】まず、報酬の質問からご回答させていただきたい。いわゆるパフォーマンスシェアの業務評価の指標についてどういう傾向があるのかということだが、まだ日本の中で特段の傾向が出るほどサンプル数が多くないと思っているし、どう切るかによって見方も変わってくるので一概には言えない。ただ、考え方としては、集計の出し方について、日本ではゴールを設定して、それに向かってやるという形の経営戦略が多いけれども、それとの整合性を考えるということであれば、やはり中期経営計画で掲げている財務指標をそのまま使って入れるということのほうが、報酬制度を通じてガバナンスを強化する、いわゆるコメットメントを示すということには適っているということだと思う。
    ただ、経営戦略の設計自体が3年に1回しかなく、今はちょうどその2年目であるとか、あるいは事業環境が少し流動的でゴールを提示できない場合に、どんなKPIを使うかという中では、TSRが無難な指標だということである。したがって、積極策としては財務指標、戦略と一致した指標がいいのだが、そういう状況にない場合、明確にコミットできない場合にTSRが使われがちだということはあると思う。
    2点目の、社外取締役のコミットメントによって報酬が違うはずだという話は、まさにおっしゃるとおりだと思っている。欧米ではどうしているかというと、委員会手当というものを細かく設定をして、いわゆる監査委員に就く場合には1回当たり幾ら、報酬委員の場合は幾ら、ガバナンスコミッティーの場合には幾ら、チェアマンの場合にはさらに追加で幾らというふうに規定されている。資料5の38ページにあるBP社の開示をご覧いただくと、左上に実は手当そのものが開示されている。例えばシニア・インディペンデント・ディレクターの筆頭取締役的な方には12万ユーロを払うとか、その他ボードメンバーたる地位に基づいて9万ポンドを払うとか、手当を決めて、それでコミットメントの違いを報酬に差異づけしているということになる。
  • 【佃氏】3点目の、社外取締役をどのように決めているかに関する欧米の状況についてだが、例えばイギリスでは、社外取締役の任期の話でいうと、たしか10年たつと独立性が失われるといったところで、大抵、皆7~8年目ぐらいになると、後継者をどうするかといったところを指名委員会で議論される。そうした中で、ある程度オーバーラップができるような形で、その上で、業界知見や特定分野の知見をお持ちの方、あるいはジオグラフィー、例えば欧米の人だけではなくてアジアの人も一人入ってほしいとか、そういうポートフォリオというのを考えながら人選をやっていくということである。
    その人選をやる上で、社外取締役の方々が、この人はいいというふうに名前を出し合うといったこともされているし、我々のような第三者がリストを作り、それを皆さんで議論されるということもある。海外の同僚の話を聞くと、カルチャーフィットとか、このあたりのところもきっちり議論しながら、その上で人選をしていくというプラクティスがあるようである。実は日本企業でも、一部の法定の指名委員会を持っているところというのは、まさにそういう動き方をしている企業も出始めていると認識している。
  • 【小林委員】また質問させていただきたい。社外取締役の実質任期について最近当社でもいろいろ実例を調査したところ、例えば指名委員会等設置会社だと4~6年ぐらい、監査役設置会社だと4年ぐらいという結果になった。指名委員会は当然1年ごとに答申をするわけだが、海外では実態としてどのように運用されているのだろうか。
  • 【佃氏】最近、実はイギリスの企業の社外取締役を務めておられるイギリス人女性の方とまさにその議論になったのだが、例えばイギリスの例だと、社外取締役の方が就任されてから、実際に貢献できるまでどれぐらい時間がかかるかというと、やはり1年では足りず、現実的には2年だということであった。では、どのタイミングで一番社外取締役としてのパフォーマンスを最大化できるかというと、辞める直前だということであった。そういった意味では、任期としては、その人がパフォーマンスを上げている以上はなるべく長くやっていただくのがいいのではないかというのが基本的には欧米の考え方だということである。
    それに対して、この方は実はある日本の企業の社外取締役に最近就任されたが、日本企業はどちらかというと短めに人を替えていくという話があるので、そこは長期志向の日本企業にしてはやたら短いのではないか、もう少し長く勤めてもらってもいいのではないかというコメントをもらった。

討議(2)(資料6の説明後)

  • 【御代川委員】社長後継者の育成に関しては、当社では、指名委員会で社長の後継者候補について、わりと中長期的に説明するのだが、社外取締役の方に一番言われることは、後継者候補の方たちに触れる機会が非常に少ないから、候補者の方と話す機会とか、候補者の方が何かプレゼンをする機会を作ってほしいということである。これはもっともなご指摘だと考えて、取締役会をオフサイト、例えば研究所や営業支店で行うとか、いろいろな工夫をして発表の機会を設けた。それから取締役会の議題外で、候補者の方に、1時間程度担当する事業の紹介をしてもらったりした。候補者であるということを当人は知らないかもしれないが、社外の取締役の前で話す機会を設けるということは、彼ら自身のインセンティブになってくる。今後、後継者の選抜、選任にあたって社外取締役の方の声を聞くということになると、もっともっとそういうコミュニケーションを向上させていくことが大事ではないかと思う。
  • 【大杉委員】具体的な話を1つと、一般的な話を1つしたい。
    具体的な話というのは、指名委員会についてのガイドライン的なものをどう作るかという話である。今年の5月に、ある会社で社長人事に指名委員会が関わったという話が報道された。私が読んだ記事の範囲でいうと、サラリーマン社長だった人を退任させて創業家の息子のほうに代替わりさせることを指名委員会で決めたという内容である。記事を読んだ範囲で少し疑問を感じたのが、委員3人のうちの2人が社内であり、かつメンバーが公表されなかったということである。そういう事例に接して、個人的な意見にすぎないが、少なくとも社外を半数以上にすべきだなというのを強く感じたとともに、しかるべきタイミングまでに(この事例の場合は株主総会までに)、株主・投資家に委員の具体的な名前がわかるようにすることも必要、あるいは少なくとも有益だと思った。
    もう一点は一般的な話だが、事務局で色々作っていただいた指名委員会・報酬委員会について、法定のみならずどちらかというと諮問型のほうを念頭に置いたガイドライン的なものは、私はぜひ作ってほしいと思う。多岐にわたって、なかなか参考になるものを本日示していただいたと思うが、どのぐらい詳しく細かく作り込むか。また逆にいうと、各社の個性とか判断からどのぐらいまで多様性を許容するかというのは結構難しいなと思っているが、一般論としては、やはり多様性を殺すような仕組みは良くないだろうと思っている。理由は2つある。1つは、それぞれの会社には特有の事情があるので、一般的に、こういうふうにしたほうがうまくいくというものは会社によって異なると思われる。もう1つは、例えば指名のうちの後継者養成計画などの部分で、後継社長となるための資質というものを各社で定義することは当然やっていただきたいが、定義を日本語としてどう表現するかは、かなり会社による幅があるというか、おそらく社風によって言葉遣いとか、例えば従来の創業者の社訓みたいなものがあると、そこに紐付けるか否かとか、そういう部分は個性があり得るし、どういう資質が経営者にふさわしいかというのは一般論としては誰にもわからない。なので、ある種の項目については、こういうものを定めるべきであるという抽象的なことはルール的に言えても、どういうふうに書けばいいのかという具体的なヒントを実務に提供するというときには、グットプラクティスとかベストプラクティスを狭く示すというよりは、事例集のように、こういうサンプルもあるということをお示しいただくほうがなじむ事項なのではないかと感じる。これまで経済産業省がこういう研究会でやってきたなかで、こういう形のほうが多かったと記憶している。
  • 【佐久間委員】まず、今の大杉委員のお話は、私も全くそのとおりだと思う。任意で置く委員会の運用というのは、各社の事情に応じて創意工夫で運用していけばいいということなので、コーポレートガバナンス・コードのように実質法令と同じような意味合いをもたす必要はないのではないか。
    それと、この事務局の資料6は全体としてどういう企業を想定しているのか。日本の全ての株式会社を想定しているとはとても思えないし、それは無理な話だと思われるので、これは上場会社なのか大会社なのかという限定も含めてフレキシビリティのある内容にすべきだろうと思う。
    その中で1点だけ申し上げたい。いろいろな委員会の場で、社内のCEOなしで、社外の方だけで行うといったことが触れられているが、そういう形でうまくいく場合ももちろんあるのだろうが、普通はなかなかないのではないか。多分その委員会の場にはいなくても、実際資料をつくるのは事務局、つまり会社の人間である。その会社の人間の上司はCEOだから、CEOが関与していない形で勝手に、例えば総務課長とか秘書課長が作ってそこに上げるなどというのは、少なくとも組織的には考えられない。したがって、社内の人を完全に排するものというのは、形はできても実際は無理である。いずれにしても、この案は取締役会に付議しなければならないので、社外の人だけで付議資料をつくるというのもかなり難しいことだと思う。これらのことからすると、社内の人を排除した形である局面を議論すべきだというのを推奨するというのは、いかがなものかという気がする。
    それと、個別の話で、事務局の資料6の7ページについて。全体的に言えることだが、「主な意見」というところと「意見」というところがあり、冨山委員が本日ご出席されていればよかったのだが、7ページの「主な意見」というのは、主な意見では多分ないと思う。つまり、「顧問・相談役の影響力の源泉は人事権」だというのは、人事権があるのだという前提で書いておられるのだと思うが、たまたま経営法友会が出した顧問・相談役に関するペーパーでも、ほとんどの会社においてそういうことはないと言われており、これは意見としてあったというのは事実だと思われるから、少なくともこれはある委員の意見だということだと思う。
    ただ、重要なのは、影響力の源泉は人事権だということからすれば、指名についてCEOが全く関与しないというのはないというのが、この委員の意見でもあるのだと思う。つまり、内に向かっての権限を強める最大のものというのは人事権だから、ここが主な意見だとすれば、後半で言っていることと矛盾も来すということだと思う。
  • 【小林委員】どちらかというと前半の議事に戻る意見だが、報酬制度にしてもインセンティブ割合の少なさにしても、日本における運用は遅れているのか進んでいるのかは別として極めて特殊である。CEOの人選についても、非常にホモジニアス(均質)な日本社会の中で、外国人がほとんどいないという状況である。CEOに限らず常務・専務レベルでも、外国人の割合はおそらく海外と比べると相当低いのではないか。日本企業がもし外国人を経営層に採用しようとすると、現地のマーケットプライスに合わせる必要があるので、相当給与を上げないと来てくれない。日本人役員と逆転するどころか、5倍くらい払わないと来てくれないというのが実感だ。外国人を含め、経営層の多様化をもっと促進すれば、自動的に報酬水準は上がっていくのではないか。このあたりのデータ、例えば現状欧米ではエグゼクティブのモビリティーがどのくらい高いのかというようなデータもあればよいと思う。
  • 【櫛笥氏】現行は、日本企業ではダブルスタンダードになっている。外国人役員の方といわゆるプロパーの日本人役員の方の水準が全く違うまま、それぞれ別個に運用しているということだと思う。
    その際に、違う点が1個だけあるとすると、例えば高額報酬をお支払いして採用する外国人役員には、アグリーメント(契約)を結ぶケースが多いと思われる。3年なら3年、5年なら5年の任期を示し、その期間の役割を明確にした上で、それを果たしていなければ契約を更新しないとか、いわゆる日本人の役員の方が役員定年までいるというのとは違う形で、いわゆる指名のほうで厳しくみるということとセットで報酬を付与しているようなところがあると思われる。
    佃社長も先ほどおっしゃっていたが、たとえばジャック・ウェルチさんのようなパフォーマンスを上げていらっしゃる方はずっとやり続けてもいいとは思うが、少なくとも区切るタイミングが契約という形でしっかりしているというところが大きく違ったりもするので、結局、毎年幾らもらうかということと、任期が長いか短いかどうかは評価次第だが、そのあたり相関がある話なのではないかと思っているところではある。
  • 【江良委員】まず、全体の方向感は大変素晴らしいと思う。
    ただ、何人かの委員の方々から既にコメントがあったとおり、多様性、柔軟性、個別性という点については、十分尊重することが非常に重要な視点かと思うので、事例集のような形で提示するというのが、方向としてはいいのではないかなと思う。
    もう一つは、事務局の資料6の24ページ「指名委員会の審議対象の範囲」で、社外取締役の選解任を入れるという点についてだが、社外役員の質が非常に今後重要になってくるというのは全く異論がなく、この点をどう担保するかは大事な点だが、そもそも指名委員会がうまく機能するためには、最初に素晴らしい社外役員が選ばれる必要がある。良い社外役員が選ばれれば好循環になるが、有益でない、追認的な機能を果たすような社外取締役が一度選ばれてしまうと、形式的なプロセスとなってしまうリスクもあると思われるので、そこは悩ましいように思う。
    また、社外役員の選任について、株主総会で最終的に判断するのは投資家なので、我々がどう社外役員のクオリティーを評価していくのかという点も大事なポイントだと思う。社外取締役の質がわかるような、評価する材料をもう少しいただけると、この点については、さらなる充実が図れるのではないかと思う。
  • 【大杉委員】先ほど佐久間委員がおっしゃっていたことに対して、少しだけ私の意見をつけ加えると、今後の日本企業の実務において、諮問の指名委員会とか報酬委員会で実質的な意思決定をするときに社内の人が全く関与しないということはないだろうと思う。ただ、社内者、特にCEOの影響力は、完全に排除する必要はないが(現実的でない)、強すぎてもいけない。ややガス抜き的というと語弊があるが、社外の人だけとか委員会の社外委員だけ、つまり内部の人がいない状態で自由に発言をする機会を時折設けるのは、基本的には良いことであると思う。ガバナンスコードでいうとエグゼクティブセッションというものと共通すると思われるし、そういう場面もあってよい。
  • 【澤口委員】今の議論とも若干絡むので、佃様に教えていただきたい。
    資料の中で後継者計画の取組事例として貴重な事例をご紹介いただいている。この原案というのは、当然執行側からある程度出ているのではないかと思うが、執行側から最終的な後継者について一人に絞るとか、優先順位をつけた議案の提示があったのかなかったのか、差し支えない範囲で教えていただけるとありがたい。
  • 【佃氏】いくつかパターンがあり、この人でいきたいという形で1名のみ提示される会社もある。それから、3人ほど提示されて、この中で、こういう理由で私としてはAさんが良いと思うという出し方をされるところもある。大体この2つのパターンではないかと思う。
  • 【武井委員】事務局の資料6の、指針というかガイドラインは作るべきだと私も思う。
    特に、江良委員からお話もあったが、社外役員はいい人を選ばなければならないというのはその通りだと思う。しかしその表裏として、指名・報酬委員会で社外役員の方が何をすべきかの考え方がある程度明確になっていないと、いい人を選んでいるつもりだがいい人になってないかもしれない、期待される役割を果たしてないことが生じうる。今回このようなガイドライン的なものを作ることで、社外役員がどういうふうに指名・報酬に関与するのかということもかなり明確に社会に発信できるいい機会になると思う。まさに現在政府を挙げて進められている「形式から実質に」というか、ガバナンスの実質を高めるという点が一番大事な点だと思うが、指名の点は、大変重要だと思う。かなり大きな論点がこれだけたくさんあって大変だと思うが、ぜひここは頑張って取り組んでいただければと思っている。
    それから、その絡みで、先ほど大杉委員、佐久間委員からもお話があったが、堅く書きすぎると多様性を殺してしまうというところがあるので、「推奨」という言葉が時によって厳しく捉えられてしまうときもある。「推奨」というと、どうしてもこれがある意味での暗黙知というか、皆が大体やるものだと受け取る人もいるので、「推奨」という言葉を使える箇所と、こういうふうにやるのも「有効」など選択肢的な他の言葉にするなど、「推奨」とそれ以外の言葉と使い分けるような感じで作っていくと、柔軟性というか多様性を失わせないガイドラインになるのではないかと思う。そういったテーマごとの切り分けもして、うまく作っていただきたい。
  • 【神田座長】それは重要なご指摘である。年明け以降、この研究会で何らかの取りまとめなり提言を目指すということだが、そのときの形として、日本語は重要である。細かい点だが、私も1点だけ申し上げたい。事例集というのは私も非常に有益な場合があると思うが、事柄によると思う。つまり、模範的なことをしておられる会社や参考になるような事例が現に存在している場合には、それを事例集としてお示しすると、そういうことをしていない会社にとっては非常に有益である。しかし、そういう参考例とか模範例が存在していない事柄について何か言おうとすると、事例集を作ることはできない。そうすると何らかのガイドラインみたいなものになるが、そういう事柄がある場合には、詳しさではなく、まさに多様性を殺してはいけないということがポイントになる。だから、詳しいかどうかではなくて、基準として役に立つかどうかが問題である。それで、この会として役に立つようなことができるのかといったときに、今武井委員がおっしゃったことは、推奨なのかという言葉遣いも気をつける必要があるというご指摘だと思うので、その点についても、ぜひまたこの研究会の外も含めて、皆様方からお気づきの点があれば、事務局に言っていただければと思う。
  • 【寺下委員】私も今回の方向性としては、大変よくまとまっていると思うし、もちろん佐久間委員がおっしゃっているように、全部の企業が簡単にそういう方向に行けるという状況でもないと思っているから、そこはぜひ余裕をもってやってもらいたい。
    今回の重要な議題の中で、1つ、リード・インデペンデント・ディレクター(筆頭社外取締役)という概念が抜けていると考えている。要するに、社外取締役という点は、誰がリードなのかという議論が、私の知る限りこの研究会でなされていなかったように思う。
    何を言いたいかというと、昨今、欧米の機関投資家と会って議論をしてきたのだが、現在アメリカ、イギリスでは、社外のチェアマンの方が指名・報酬委員会のトップになり、大体その人たちがリード・インデペンデント・ディレクターの役割を果たしている。そのリード・インデペンデント・ディレクターはメンターの役割をしており、海外では、指名・報酬委員会のキーになる社外の人間が中心となって、次の候補者や様々な人と会いながらサクセッションを決めていくということである。
    今武井委員もおっしゃったような、委員会の機能を検討する中で、欧米では筆頭社外取締役という概念があるという理解のもとに、その機能を誰がどういうふうにやるのかということを、ぜひ皆さんで研究して、いい結論が出れば良いと思っている。

以上

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最終更新日:2017年2月24日
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