経済産業省
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CGS研究会(コーポレート・ガバナンス・システム研究会)(第7回)-議事要旨

日時:平成28年12月1日(木曜日)8時00分~10時05分 
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室

出席者

神田座長、青委員、石田委員(9時00分途中退席)、伊藤委員、江良委員、大杉委員(9時25分途中退席)、大場委員、翁委員、川村委員、後藤委員、武井委員、寺下委員、冨山委員、松元委員、御代川委員、柳川委員(9時50分途中退席)、竹林参事官、 田原課長(代理:染谷補佐)
(欠席:岩井委員、大宮委員、神作委員、小林委員、佐久間委員、澤口委員、藤田委員)

議題

社外取締役の在り方

議事概要

はじめに、本日の資料・議事等の公開について、資料2記載のとおりとすることについて委員の了承を得た。
次に、事務局より資料3の説明を行い、その後、討議を行った。討議の概要は以下のとおり。

  • 【伊藤委員】私の体験も踏まえながら、幾つか申し上げたい。
    その前に、アンケート結果について、1点だけ、感想を含めコメントさせていただきたい。「社外取締役が十分に役割を果たしているか」という設問について、十分に果たしている、または回答概ね果たしているという回答の比率がとても高い。これだけ高ければ、もうこの研究会はほとんど要らないわけであって、私の感じだと、これはあまり額面どおりに受け取らないほうがいいのではないか。
    というのは、結構多くの会社において、取締役会の実効性評価の中に、社外取締役が役割、機能を果たしているかという項目がある。全体の中の1項目だから、それを社外取締役も当然、答えるわけである。そうすると、社外取締役は自分も含めて他の社外取締役をみて、役割を果たしていますかということについて答えざるを得ない。そうすると、他の方をみて役割を果たしていないとはなかなか書きづらい。なので、よくやっている、十分果たしているという回答に傾くので、少しそこは割り引いて考えなくてはならない。
    あとは、この研究会でもそうだが、そもそも社外取締役がどういう役割を果たすべきかという本来の姿について、まだ企業側が十分に認識、理解していない中で、例えば取締役会の議論が活性化したというだけで、機能、役割を果たしているとしてしまうと、それは少し楽観的過ぎるいう感じがするので、少しここは割り引いて捉えたほうがいい。
    私の体験ベースで、私自身が重要と思っていることをかいつまんで申し上げたい。委員会での諮問内容、あるいは決めたことが取締役会で否決されることはまずない。ということは、指名・報酬委員会で議論した結果というのは、相当にコーポレートガバナンスの中身を規定することになる。私が監査役会設置会社の社外取締役を務めている会社でも任意の諮問機関として委員会をつくることが大事だと思う。そのため、指名委員会と報酬委員会を両方作っていただいているわけだが、そのときに、作るだけではだめで、委員会をやはり機能させなくてはならない。
    そのときには、やはり中身が重要である。会社側から相談を受けたときは、少なくとも委員会のメンバー構成で社外が過半か、仮に社内、社外が同数であっても委員長は社外にするかのどちらかを満たすのが良いと申し上げている。どちらかを満たさないと、委員会を機能させるというのは結構難しい局面がある。
    そういう意味では、指名委員会というのは大変重要な役割を果たすわけだが、後継者計画と育成、あるいは後継者候補のプールについて、社外の指名委員会の委員の方がどのぐらい知っているかというと、これが結構難しい。だから、後継者計画のところと、社外の指名委員会の委員の方々の情報アクセシビリティーといったあたりはやはり工夫の必要がある。
    それから、場合によっては、会社側が提案した人事案が指名委員会で社外の人からノーとなったとき、会社側の方はそういったこともあるのだというメンタリティーをもっていただく必要がある。社内から出した案も、議論している中で否決されたり修正を迫られたりするということがあるのだということを、会社側のトップの方が理解をされておいたほうがいい。
    私自身は社外取締役として、社内の経営陣や担当者の仕事や努力はできるだけ深く理解するようにしている。しかし、どうしても知り過ぎてしまうとかなり厳しいことを言えなくなってしまうおそれがあって、二律背反的なところがある。私自身は、当該案件の文脈は読んで空気は読まないというような姿勢でいる。文脈は読まないで空気を読まないという両方をやってしまうと会社側は大変迷惑で、ただ騒いでいるだけということになってしまう。
    それから、平時の社外取締役の役割は、監督が主たる仕事になるわけだが、場合によっては、有事が生ずることがある。何らかの形でCEOが退くということになったとき、何せトップがいなくなってしまうものだから、社内から次のトップを含む人事案というのは出づらくなってしまう。そのときは、やはり指名委員会の社外の委員が何らかの形でイニシアティブをとってあげないと、空白期間がすごく長くなってしまう。そうすると、そこでの社外の指名委員会の委員の役割というのは、場合によっては人事案作りにタッチするので、解釈によってはある部分、執行に入るという局面は有事のときにはあり得るし、そうしなければならないということもある。
    それから、取締役会に出てくるいろいろな案件を、一つ一つ、視野狭窄的に社内と一緒に見ていたらやはりだめだと思う。中長期的な時間軸の中で当該案件を見たり、あるいはそういう視点から質問をしたりするように心がけている。
    多少言葉を足すと、個々の案件は担当部署が違うため、結構別個に出てくる。それについてもちろん審議するわけだが、会社の重要な局面は人事とキャピタルアロケーションである。キャピタルアロケーションという点では、M&Aも、配当も、自社株買いも、設備投資もまさにキャピタルアロケーションなわけである。それをやはり企業価値の持続的向上という視点から関連づけたような、担当者にしてみれば結構迷惑な話だが、全体最適的な視点でキャピタルアロケーションのテーマをこちら側も質問したり、こちらも考えたりして何か申し上げるということはしている。
    あと、我が国では全く未解決の問題として、機関投資家と社外取締役との対話のあり方の問題がある。コーポレートガバナンス・コードもスチュワードシップ・コードも対話の促進をうたっている。もちろん投資家と経営者の対話というのは、ある意味では当たり前だが、社外取締役と機関投資家との対話という場面もある。私の知る限り、あるいは他の社外取締役の方と話していても、機関投資家からの対話のオファーは増えつつある。そうすると、ある機関投資家から社外取締役に対話のオファーが来たときに、そこでどう対応するかについて、幾つかのパターンに分かれる。
    例えば第1パターンとして、機関投資家からの対話要請には応じないという社外取締役の方もおられる。第2のパターンとして、応じないわけではないが、対応の仕方について会社側に打診するというやり方がある。そうすると、また会社側の対応が2つに分かれて、どうぞ、当該社外取締役の自由な意思でおやりくださいというのと、かなり抑制的に、あまりこういうことは言わないでくださいというような形で会社側が多少要請するということがある。第3のパターンは、会社側にも打診せずに社外取締役のまさに自由裁量でどうするかを決めるというものである。この社外取締役と機関投資家との対話のあり方は、空白地帯なので、どれがいいかということは申し上げないが、テーマとしてはこれから重要性が高くなっていくと思われる。
    それから、一見個別のようなテーマであるが、社外取締役の任期をどうするかについて各社結構困っておられると思われる。社外取締役をお願いするときに、任期を言ってお願いする会社と、任期は言わないでお手並みを拝見しながら決めるというパターンもあり、あるいは内規で社外取締役は最高何年と決めているところもあったりして、結構多様だと思われる。
    私にとって印象的だったのは、たしかGEで社外取締役をすごく長くやっている人がいて、聞いてみると15年ぐらいやっているとのことだった。アメリカのこういうガバナンスに長けているコンサルタントと話をしていて、なぜこんなに社外取締役の任期が長いのですか、独立性を欠落させてしまうという批判はないのですかと聞いたら、あまりないそうである。それは、1つの見方として、社外取締役になってもう既に任期が長い方もいれば、比較的新たに社外取締役になられた方もいて、そういった方々数名がミクスチャー(ポートフォリオ)になっているわけである。社外取締役も1つのチームとして見てくださいということである。つまり、長くやっているのでその会社のことをすごくよく知っている方と、社外取締役になってまだ間もないが見方は新鮮だという方がおり、そのような社外取締役チームとして見ていただくことで、長いからだめだとか、そのような批判には当たらないような説明をしているというようなことを、そのコンサルタントは言っていた。
  • 【翁委員】私は幾つかの会社で社外取締役をやっているが、社外役員の役割として重要性が増していると思うのは、やはり指名委員会、報酬委員会のところである。私が社外取締役をやっている会社の1つが、今年から任意から法定になった。やはり任意から法定になると、いろいろなことを一から考え直すようになっている感じがしている。
    CEOと社外役員が時々いろいろ対話をしながらやっているが、これらの 委員会は基本的には社外役員中心でやっており、指名委員会については後継者計画や、社外役員についてもポートフォリオ全体としてどこが欠けているのか、というようなことも含めて、議論している。役員の原則の任期も決めている。人事情報なども、後継者計画について議論をするために、共有している。
    報酬委員会も、既に業績連動の報酬体系にはしていたのだが、外国人役員の報酬体系は、中長期インセンティブ中心で水準が高い等日本とも異なるので、グローバル企業を目指していく上で、全体としてどのような体系が望ましいのか議論をしている。また、社外役員の報酬についても、委員会ごとにどのような役割の違いがあるかということも含めて、報酬委員会で議論している。社外中心の委員会に対する事務局のサポート、CEOとコミュニケーションなどは重要な要素だろうと感じている。
    取締役会については、いずれのところもそうなのであるが、やはり執行部で経営戦略上の大きな決断については議論が行われてきているので、社外役員は取締役会で株主の視点に立って、目配りが足りないリスクはないかとか、リスク顕在化への対応は大丈夫かとか、本当に企業価値の向上につながっているのかというようなことについて確認するようにしている。私が入っているところはいずれも、経営を実際にやってこられた方も含めて、いろいろなバックグラウンドの社外役員が入っておられるので、そこで活発な議論が可能になっている。
    社外役員として入っている会社でコンプライアンス上の課題を抱えて、それが顕在化してしまうという例もあった。内部の問題を、社外役員が見つけ出すということは非常に難しいが、そういった問題が出た場合には、企業風土を変える大きな機会と位置づけ、社外役員として必要な対応について明確なメッセージを伝えるようにしようとしている。
    そうした中で、社外役員だけで構成されているガバナンス委員会、コンプライアンス委員会というようなものを置いている会社もある。不祥事が起こったときにはそういった社外役員によるコンプライアンス委員会が機能し、経営陣にこういった改革をしていくべきだというメッセージを伝えるというようなことも重要だと思う。また、社外役員によるガバナンス委員会では、ガバナンス改革を決めていく上でどういう視点が重要なのかということを議論して、制度設計について執行部に提案するというようなことも改善に役立つのではないかと思う。
    そういう意味では、社外役員をどのように使うかは色々なやり方があるのではないかと私は感じている。ただ、常に環境はすごく変化しているし、どういう企業かということによって、その企業に合ったガバナンスの仕組みは違うとは感じているので、画一的にこうであるべきということはなかなか難しい。ただ、どの企業にとっても、グローバル化や技術革新というような環境変化は非常に大きいため、そういった意味で新しい視点を外から提供できるような人がいるということも、企業にとって役に立つのではないかと思われる。その企業に一番合ったガバナンスの仕組みをその企業自身が追求していくことがとても重要なのではないか。最後に、社外役員として活動しやすい会社の仕組みとはどういうものがあるかということで3、4点申し上げたい。
    1つは、もちろん取締役会で活発な議論がなされることに寄与するためのものとして、取締役会と別に役員の情報の共有会のようなものがあり、その中で会社のさまざまな戦略とか個別事業の特性とかいったものをフォワードルッキングな課題設定のもとで議論していただけると、その企業への理解が総合的に深まる良い機会になると感じている。
    中期経営計画についても、取締役会で議論するだけでなく、ほかの場で、かなり前提のところから含めて議論に参加したり情報を共有してもらえると、非常に役に立つと感じている。
    次に、事務局のサポート体制。私が入っているところはいずれも事務局が社外役員のためにサポートする体制をとっているし、執行部との橋渡しもかなりしっかりやってもらっている。
    最後に、情報共有ということで、アナリスト情報なども含めて、社外役員として判断していく上で重要な情報が共有されていると、非常に役に立つと感じている。
  • 【冨山委員】事務局に質問だが、取締役会の評価が難しいという話は、状況的に、その結果として、あまりそれをやっていないケースが多いという認識でいいのか、やっているのだけれども、なかなかうまくいかないということなのか、どっちの感じが強いのか。
  • 【事務局】アンケートで3割の会社がやっていないという回答をしているので、困った結果、やれていないというものがかなりあるのではないかということが想像される。
  • 【冨山委員】実はオムロンでも取締役会の評価が難しいという問題があり、結構悩んでしまって、結果的に、PDCA型でいくことにした。だから、今年、何が問題だったかというのを社内、社外の取締役、取締役の構成メンバーそれぞれに、わりと本音で話してもらって、これを第三者を使ってヒアリングをしてもらい、それを集めて何が課題かというのを共有して、では来年はこういう方針でいきましょう、こういうところを変えましょうというふうに議論するというスタイルにした。そうすると、5段階評価で4とか3ではなくて、仮に5だとしても、より良くしようということになるので、機能した感じがしている。
    実際の成果でいうと、今年に向けて出ていた課題として、大きな経営方針の議論の機会が少ないというものがあった。実は私や他の取締役もそう思っていたのだが、あそこは監査役設置会社なので、ふだんずっと普通の法定決議事項をやって終わってしまう場合が多いので、わりそういう議論が出にくかった。しかし、やはりそれはちゃんと設定しようという話になって、本年度はそれをわりと意識的にやるようにしていたら、オムロンにとっては非常に重要な新興国の減速と、一方でAI、IoTブームが来てしまった。これは大戦略に大きな影響を与える。それで、これは経営陣側もどうも内心は思っていたようだが、取締役会の議論で一回、長期戦略の大レビューをかけたほうがいいのではないかというような議論になって、そこから何ヵ月かで大レビューをやっている。だから、このように、結果的に去年のPDCAの話がわりと反映されている。これはもちろん執行側と取締役会側のコラボレーションなのだが、そういう機会があったので、ひょっとすると、5段階評価にこだわらずに、もともと日本の会社はPDCA的なアプローチが得意なので、そういうものがあってもよいのではないかと思っている。
    それから、もう一点、規模別の議論があったが、この規模だからこういう体制がとれる・とれないという、できる・できない論と、もう一方で、社外取締役がいた場合にどっちがシャープに有効かという議論は少々別の議論だと思っている。私は、現在3つの会社の社外取締役をやっているが、一番大きなのはパナソニックで、同社は日立さんなどと同じような10兆円コースのスケールの企業で、オムロンは1兆円コース、7,000~8,000億円である。もう1つがぴあで、1,000億円コースであり、3つとも規模が違う。
    それで、取締役会の議論はどうなるかというと、やはりパナソニッククラスでは40近く事業部があるため、個別事業を取締役会で全部議論するということはまずなくて、ほとんどの場合、いいところでもカンパニー単位になる。オムロンだと、パナソニックでいうカンパニーの単位が企業であり、オムロンでいうカンパニーはパナソニックでいうと事業部である。それで、今度、ぴあになると、パナソニックでいう事業部イコール会社となる。だから、ぴあの取締役会で議論しているのはパナソニックレベルでいうと製品の話である。ということは、当然、議論のレゾリューションが全然違う。
    当たり前だが、ぴあでやっている議論が一番ストレートに業績にリンクする。ということは、裏返して言ってしまうと、もしビジネスに関する議論について、気のきいた人が仮に議論に参加していると、実はわりとビビッドに業績に影響を与えてしまうのは、むしろぴあである。逆に経営者が間違った判断をしたときに、またビビッドに悪くなるのもぴあのケースである。そうすると、できる・できないという議論とは少し別の軸で、社外取締役の貢献という意味でいうと、実はぴあが一番シャープだと思う。
    従って、議論の軸をどちらに設定するかによって意味合いが違ってくる。実際に社外取締役がいたときの議論の活性度、例えば取締役会で議案が没になるという比率でいうと、圧倒的にぴあが高い。パナソニックの取締役会で議案が没になるという蓋然性はおそらく極めて低い。もちろん、私も今年から入ったので、諮問委員会では何度も出し直しは起きているけれども、さすがに取締役会の本会で没ということはなかなか起きにくい感じがしている。でも、ぴあは本当に日常茶飯事である。そこは1つずつ軸を変えてみる視点があったほうがいい。
  • 【川村委員】監査役設置会社でも委員会を作る例が大分増えてきた。委員会は任意であるにもかかわらず、委員会の答申結果が取締役会でもかなり通るようになってきたというような話もある。
    一方、私も監査役設置会社に1つだけ関係しているが、それを見ていると、日常業務の議題が多過ぎる。法定の審議事項が多過ぎて、きちっとした審議を行う妨げになりかねない。
    従って、大会社であれば、監査役設置会社から指名委員会等設置会社に移るほうが、事務や組織の重複を防ぐ意味でも非常に楽になるという気がするが、大会社であっても、監査役設置会社に固執している会社も相当多い。これがどうしてか、私はあまりよくわからない。指名委員会等設置会社と監査役設置会社の優劣のようなもので、会社のいろいろな業務のややこしさから考えれば、方向的には、指名委員会等設置会社にして、非常にやりやすくしたほうがいいのではないかと思うので、この委員会において、それに対する見解をどこかでまとめておいていただくといい。
    もう1つ、この場ではあまり中小企業の話が出ない。今、日本の活性化が進まない大きな理由は、やはり中小企業である。あるいは、地方の事業で、必ずしも海外のいろいろな動きが及びにくいような会社であろう。少し大きい会社だと、みんな海外と競合してまともに戦えなければいけないので、そういう意味で洗礼を受けて、ガバナンスのほうからの改革もあれば、企業価値の改革もあるわけだが、中小企業の動きが悪いために日本全体が今非常にのらりくらりとしている。「形式的な話が多い」等の批判を言ってきているのも、中小企業のほうが多い。
    従って、中小企業のほうに改革が進むように、ガバナンスのほうからもっていくにはどうすればいいか、そちらに対する方向づけというようなところがこの委員会の最後に要るのではないか。
  • 【後藤委員】社外取締役をどうやって活用していけばいいだろうかということで、事務局資料のように、ステップを分けて検討するというのは非常にすっきりして良いのではないかと感じた。
    一番重要なのは、社外取締役を結局何のために置くのか、どういう役割を期待するのかというところで、各社によってそれは当然異なり得るが、少し違和感を覚えるのが、事務局資料54ページの中のステークホルダーの意見の反映という点である。
    ステークホルダーの意見を反映するのはもちろん必要なことであるが、大きな文脈の中では、日本企業は伝統的には、どちらかというと、ステークホルダー・オリエンテッドな経営をしてきた。特に、従業員のことをよく考えてきた。それ自体は別に悪いわけではないが、ただ、それだけではなくて、やはり投資家の利益だとか、もう少し成長に向けたことを考える必要があるのではないかというのが最近の議論の大きな流れだとすると、その中で言われている社外取締役の話の中に、またステークホルダーの話がいきなり入ってくるというのは、大きな流れの中でこれがどういう位置づけなのかということが少しわかりにくくなるような側面がある。
    また、アンケートで、社外取締役が果たしている役割、というところでも、良かったことの例に、ステークホルダーの意見が反映されているというのがあるが、結局、このステークホルダーというのは誰かというところが問題である。株主も含めて全員ステークホルダーではあるわけだが、良かったことの例に挙げられているもので、利用者目線での意見表明というのは、消費者を意識しているということかと思い、それは結局どういうことをやると製品、サービスを買ってもらえるのかという話で、最近言われる、女性の目線からの経営もというような話も、これに含まれてくるのかもしれないが、それは従前よく言われていた内部の利害調整、従業員の利益を重視し過ぎてきたのではないかというのとは大分違った話のステークホルダーである。地域社会などもあり得るかもしれないが、このステークホルダーの意見を反映しましょうというのを全部ひっくるめて投げ込むと、結局どこに向かっていくのかわからなくなり、何の意見をいっても誰かのステークホルダーの意見を反映しているのだとすると、それで社外取締役の役割を果たしたことになるのかというと、何か違う。それを外すべきだということではもちろんないが、これがメインなのかというと、何かもう少し整理が必要なのではないか。
  • 【大杉委員】アンケートの中で、「機関設計ごとに、社外取締役の役割としてどういう点を重視しているか」という設問に、「株主以外のステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること」という項目があり、指名委員会等設置会社が他に比べて強く出ているという結果がある。また、企業の側からも、一般的にこの項目の要素が社外取締役を入れてよかったという話につながっている。先ほどの後藤委員のご発言は、ひょっとすると、株主利益とかステークホルダーの利益という言葉を使うときに、我々日本人は欧米と別のニュアンスで捉えている可能性もあるという趣旨かもしれない。つまり、株主プラスその他ステークホルダー全体について、「企業価値」という概念をビジネスモデルと結びつけて理解しているならば、それは、英米だと、「株主価値」といわれているものと同じことを実質としては考えている可能性がある。
    その他ステークホルダーを重視するために社外取締役を入れたのではなくて、株主利益を従来よりは強く意識してもらうためにガバナンス、特に社外取締役を推進してきたというのが、オリジナルな経緯である。しかし、受けとめ方とか言葉のキャッチボールの中で、おそらく日本の企業社会はこの目的に向かって進んでいるものの、言葉遣いとして少々ずれが生じているという可能性がある。そのあたりについて、慎重な議論とかアンケートの読み解きが必要と思われる。
    あと1点だけ。今回アンケートをとってご紹介いただいたことに加えて、この委員会の委員の方々からの質問も踏まえて、それが会議のたびに補足されるというようなキャッチボールを事務局にしていただけたおかげで、より現状がクリアにみえてきたことについて感謝している。
    日本には上場会社が3,700近くあるが、全てがガバナンス・コードの精神に則るというのはおよそ考えがたい。ある機関投資家関係の方と話していると、言葉は悪いが、できる子とできない子がいて、できない子に守らせるということはおよそあり得ないし、我々も考えていないというような率直な意見もあった。経産省のほうで今後何らかの成果物をまとめていくときに、多様性をどのように尊重するかというのと、やはり理想的なものをわかりやすい形で出していくというのとの兼ね合いについて、おそらく苦労される点があると思う。現実的な範囲を踏まえつつ、今頑張っている企業を失望させないようなものができると良い。
  • 【柳川委員】最初に、機関設計のアンケートの話で、機関設計の選択は、学問的にいうと内生変数なので、結局、何かの傾向、例えば社外取締役を重視するという傾向をもっている人がこの機関設計を選ぶという話と、こういう機関設計を選んだからそういう方向にみんなの意識が変わっていく話と、両面ある。アンケートで機関設計ごとにそれぞれ傾向が出てきたときに、それは、そういう機関設計を選んだから出てきた話なのか、そういう傾向をもった人が機関設計を選んでいるのか、両方ある。なので、アンケートの結果というのはもう少し補強データがあれば、そういうところを補強していったほうがいい。
    社外取締役が入ってきて大きく変わったポイントというのは、各企業の経営状態、あるいは経営のやり方に関して、横断的にみる目が養われてきたということだと思われる。そこは今、冨山委員からお話のあったように、企業の規模別にみるという視点も、ある意味、横断的に見えたから出てきたところであるし、やはりここは非常に大きな成果だったのではないかと思われる。これを高めていく必要がある。
    しかし、そもそも、本日出てきているような話は、ほとんどは経産省でやるべきことではなくて、ある意味でコンサルがやるべき話だと思われる。しかし、そこに一番のポイントがあって、こういうところのコンサルができるほどにまだ議論が煮詰まっていなし、実態を把握されていないというところがやはり大きな課題である。決してこういう議論をやる必要がないということを言っているつもりはなくて、コンサルがこういうことができるほど知見が高まっていないというところに、大きな課題があるのだと思われる。
    そういう点でみると、ここで考えるべきことは、仕組みの問題と、個々の社外取締役の人たちが持っていただかなければいけない能力の問題と、2つ分けて考える必要がある。
    能力の話は、先ほどの伊藤先生のお話は、ある意味でプロフェッショナルとしての経営能力とは何かという話そのものである。
    社外、社内にかかわらず、プロフェッショナルとしての経営能力として本来何が必要なのかというところがまだまだ欠けていて、そこの進化が必要だということがある。
    ただ、仕組みの問題で考えるときには、そうやって能力を高めてもらったとしても、おそらく本日お話しいただいたお三方のような人たちがぼこぼこ出てくるというのは残念ながら考えられないので、そもそもすごくハイレベルな社外取締役の人たちが、より活躍してもらえるような仕組み作りの話と、そうではない一般的な社外取締役の人たちが、よりうまくやれるような仕組みの話を、分けて話をしないといけない。F1レーサーを育てるような話をされても、ペーパードライバーはやはり使えないという話になってしまうので、そこは仕組みとしては分けて考えなければいけない。
    仕組みの話で何点か申し上げると、1点目は、やはり横断的に、あるいは人ごとに、ある種の、社外取締役関連の悩みだとか、ベストプラクティスなどを共有する、懇談会か研究会のようなものが必要かもしれない。これはアメリカの話を聞いただけでもなかなかできない問題であるし、日本で今作っていく中で必要な課題である。やがてそれが蓄積されてくれば、どこかの企業の方とかコンサルの方にやってもらえるのだろうと思われる。
    2点目は、やはり仕組みの課題として、社外取締役の広い意味でのマーケットをどうやって作っていくかというところが大きな課題なので、情報提供だとか、評価だとか、社外取締役のその手のマーケットをつくる上での仕組みとして何が必要で、何が欠けているかということがもう少し議論できるといい。
    最後に、川村委員のほうからお話があった、中小企業に関してどういう形のガバナンスのやり方を作っていくかというのは、簡略化の方向も含めて、どうしても大企業のガバナンスの話をしてきたので、そこはもう少し議論を詰めておく必要があると思われる。
  • 【青委員】まず、後藤委員からご指摘のあった事務局資料54ページのステークホルダーの意見の反映というところは、資料の右下の(iv)にあるように、ガバナンス・コードでは、少数株主をはじめとするステークホルダーという表現にしている。少数株主という目線は日本ではわりと忘れられがちであり、そこを特に意識していかなければいけないということで、あえて書いている。そこのところの誤解がないように、資料を整えられる際には意識していただけるといい。それから、意見として3点ある。
    まず1点が、コーポレートガバナンスのルールの関係で、アンケートの中で、経営層の意識が低い点が気になる。担当の人に任せきりであるとか、ガバナンス・コードはよく読むと各社できちんと考えてくださいと言っているだけなのに、横並びにせざるを得ないと思い込んで、いろいろな意見を言っておられるという感じがある。
    中小企業がなかなか進んでいないというところも、やはり外部の目がないというところが1つの大きな要因ではないかと感じられるので、そうした意味で、社外取締役が入ることにより、中小企業も含めてガバナンスそのものを真摯に見つめ直すということが進んでいくとよい。
    そういう意味でいうと、事務局資料53ページの左下のところで、個別の業務執行が多いタイプの会社について、社外取締役の人数が少ないほうが整合的という書き方をしており、こういう書き方をすると、少ないほど良いというように誤解が生じてしまう。委員会でも複数の人がいないとなかなかうまくいかないというところもあるので、一定の人数は少なくとも確保することは重要という形でご主張いただけるとよい。
    2点目として、社外取締役適任者がいないという話もあるが、これも中身をよく見ると、社内に精通している人がいないので選べないということが特に言われている。しかし、社外取締役については必ずしもそういうことではなく、事前のレクチャーをするなど、サポート体制をしっかり整えるということが重要であって、必ずしも社内事情に精通しているということが必須ではない。そこのところが言い訳になって、入れないのを正当化するようなことにならないようご配慮をいただきたい。
    3点目、事務局資料65ページのタイプCというところで、ダイバーシティを確保するためだけの社外取締役というのを書かれている部分がある。もちろんこれはあまり想定されないという形で書いてあるけれども、経営プロのAと専門知識のBがある中で、ダイバーシティを確保していくということが本来望ましい姿であると思われるので、この点についてご配慮いただきたい。
    全体としては、社外取締役の機能とか役割について明確な形でまとめていただいており、社外取締役の活用についてステップごとに書いていただいているというのは非常にわかりやすいので、全体のまとめ方については賛成である。
  • 【伊藤委員】冒頭の説明の中で事務局からの問いかけがあった点と、それから、今、皆様の議論の中で出てきた点へのコメントも含めて、申し上げたい。
    今、ステークホルダーということが何人かの方から話題になったが、これまで、投資家目線、あるいは株主主義という言い方と、それからステークホルダー主義という言い方で、日本企業の経営者は伝統的にそういう言い方をすると、ステークホルダーを大事にしますという言い方をする。この株主主義というのとステークホルダー主義というのを対立的に捉えてきてしまったのが我が国の悲しい歴史で、もうそのような議論から脱却しなくてはならない。
    最近、ESG、Environment(環境)、Society(社会)、Governance(企業統治)という視点が、世界的に注目を浴びている。これはまさに開示の面でも世界的なうねりになっていて、このEとSとGというのはどういう関係かというと、Gというのがある意味では要で、ガバナンスという議論だとか視点で考えるときに、EとSにもちゃんと配慮してくださいということである。EとSは、環境だとか社会のさまざまな面だから、Sには従業員という視点も当然ある。ガバナンスという脈絡の中には、当然、EとSが入り、EとSは投資家だけの話ではないので、そういった視点をもった議論を我々もすべきではないか。これが1点目である。
    2点目は、事務局から社外取締役の報酬、業績連動をどう考えるのかという問いかけがあって、何となく半々かなという説明もあったが、私のかかわっている会社も半々に分かれる。どちらがうれしいかというと、正直言って個人的には、いささか業績連動のほうがうれしい感じはする。ただ、社内の方と同じように連動させてしまうと、これは社外取締役ではなくなってしまうので、多少緩い形で業績に連動させている会社はある。それは社外取締役の趣旨からしても逸脱していないと思う。それから、社外取締役としての仕事を果たすために、いろいろな会議に出たり、場合によっては工場を見に行ったりとか、結構時間をとられる。そうすると、当然、時間価値の高い人が社外取締役になっているわけだから、やはり社外取締役の報酬というのももう少し議論の俎上に載せないといけない。ところが、報酬委員会で議論しようとすると、先ほどのように社外の方がリードするわけである。社外の方がリードしていて、自分たちの報酬のことを言うのは難しい。社長の報酬をこうすべきだとか、副社長と社長はもっとこんなに差をつけるべきだというのは結構言えるのだが、社外取締役の報酬をどうするかというのは、自分たちのことになって、ひょっとしたらお手盛りにみられるのも嫌だなということになる。独立性を失いたくないということで、このことが結構盲点になっていて、社外役員からは言えないと思うので、それこそこういう研究会でぜひテーマに上げていただきたい。
    それから、もう1つは、こういう議論をしていると、指名委員会等設置会社が機関設計としてはガバナンスの設計上、何となく、一番優れているといった雰囲気があるが、私が見てきたところからいうと、社内監査役の役割は結構重要である。どういうところで出るかというと、監査役会設置会社において、社外監査役と社外取締役とでは、それぞれ持っているその会社についての情報に結構差が出てしまうことがある。すなわち、社外監査役の方は社内の監査役の方と監査役会を開いて、前後にすごく濃密な情報共有をしていて、社内の監査役の方がかなり情報提供している。ところが、社外取締役のほうは、現在、取締役会事務局を作るところが出てきているのだが、そこまでの情報提供者がなかなかいない。ここの情報ギャップをどうするかという問題がある。
    海外の方からは、監査役会設置会社はあまり受けないという話をよく聞く。でも、よくよく話していくと、今のような社内監査役が果たしている役割、つまり社内の事情に精通して、かつ社外の方への情報提供ということを話すと、結構わかってくれる海外の機関投資家もいる。何となく監査役の話が置いてきぼりになってしまうのではなく、監査役会設置会社がそもそも一番多いわけであるから、そこの視点も入れておいたほうがいい。
  • 【松元委員】質問が1点と感想が1点ある。
    まず、社外取締役に期待する役割というところで、今回の社外取締役関係のアンケートにおいて、そういう点についての質問項目があったのかどうか。つまり、「社外取締役に何を期待しますか」という設問で、例えば社外取締役に次期のCEOの選定のときに主要な役割を果たすことを期待しているかどうかというようなアンケート項目があったのかどうかということと、そのご回答の状況を教えていただきたい。
    感想としては、この研究会に来るたびに、素晴らしい、先進的な会社が日本にこんなにあったのだと思ってとても感動しているのだが、実際、日本の他の会社はそこまで素晴らしいスーパースターのような社外取締役は入っていないのではないかというような気がしている。例えば、この研究会で次期CEO、後継者計画を社外過半数の委員会でやったほうが望ましいといったことが、特に会社の規模とか条件なしで出てきてしまうと、普通の一般的な社外取締役しかいない会社としては、形式的には従うかもしれないけれども、少々困るのではないか。
    ただ、ではそうすべきではないかというと、私もよくわからない。そのようにしなさいというような指針を入れることで、社外取締役には優秀な人に何としても来ていただかなければいけないということで、それをきっかけにすばらしい社外取締役が増えるという可能性もあるので、それはそれでいいような気もする。一応そういう方向性を打ち出すのであれば、今の普通の会社の感触というか、現状をお伺いしたいというのが最初の質問の趣旨である。
  • 【事務局】松元委員のご指摘のように、スーパースターのような会社ばかりではないということは、むしろ今回の自由記載欄などをみていくと読み取れるところもあるが、最初にご指摘いただいたストレートな質問項目はない。
  • 【御代川委員】私からは、社外取締役の方の資格要件について少し触れさせていただきたい。当社の場合は、社外取締役をお願いするときに、1年任期、最長4年ということでお願いしているが、内規で、当初、70歳を超えないことということを明記した。これはある意味、年齢差別のようなことになってしまって問題ではあるかもしれないが、新陳代謝を図っていく必要性のため設定していた。
    ところが、やはりプロの経営者の方、要は経済界の現職・OBの方が一番必要と私は感じているが、その方たちがその内規ではどうしてもいつも(年齢制限の)例外事項になってしまう。日本の場合においては、高齢になるまで社長、会長職に就いているケースがあり、また相談役、顧問となられるケースがあるので、そういう方(経営経験豊富な社外取締役候補者)がなかなか見つからないということが課題である。やはり経営者にとっては経営の経験をされている方のアドバイスというのが一番求めている部分であるから、早くそういう方たちが社会貢献のために社外取締役になられるべきである。
    ただ一方で、現職となると、例えば当社の社長の動きをみていると、毎月のように海外出張があり、それから業界の代表の仕事もしており、とてもほかの会社の社外取締役を兼務できる状態ではないと思うので、これからはむしろ会長職になられるような方が積極的に他社の社外取締役になられると、非常にいいことではないかと思う。
  • 【大場委員】私は投資家の立場から申し上げたい。大きくいって意見は2点、そのあと、現在直面している課題について1点申し上げる。
    まず、社外取締役の候補者について様々な要件が必要だというご意見が委員の皆様方から出ているが、これだけ重要度が高まってくると、社外取締役のマーケットをどう作るかということが大変大きなテーマになってくる。私は、そういう意味では、投資家というのも結構重要な候補になり得るのではないかと思っている。投資家は、常にグローバルに横断比較を行うことが仕事であり、かつ、経営者の方と相当ミーティングを重ねているからである。いろいろな比較検討や具体的なケーススタディを相当積み上げてきているので、有力な候補者の1つではないかと思っている。
    ところが、投資家のままでは社外取締役に就任するのは難しい。当たり前だが、インサイダーの立場になるからである。これをどうやってクリアしたらいいのかということもテーマかと思っている。
    それに関連する意見だが、伊藤委員から社外取締役と機関投資家の対話が1つのテーマになり得て、これは大変重要なことだというご指摘があったが、これが現実には少々難しくなりつつある。それはどういうことかというと、フェアディスクロージャーの観点からすると、どこまで対話ができるのかというようなことを、双方がそれぞれの基準で考え始めている。従って、これは研究会のテーマとは少々外れてしまうのかもしれないが、投資家と社外取締役の対話を促進するという観点が非常に大事だと私は思うが、そのときに、フェアディスクロージャーの範囲についてガイドラインを示し、対話しやすいようにすることも大事ではないか。現実に、これはお話しして良いのかどうか、聞く方も判断が難しい。判断が難しいとコンサバティブになってしまう。せっかく2つのコードを作って、対話を促そうとしているわけなので、そこを少し工夫する余地があるのではないか。
    それから、1つ、これは現実に起こっていることで、当社自身も社外取締役を選任しているため、取締役会を計画するときに、全員出席するようにスケジュールが設定し難いという問題がある。社外取締役の方もいろいろな局面で会議に出たりされるので、ほとんど空き時間がない。そうすると欠席を前提に開催するというわけにもいかないし、今月お休みですというのもできないという問題が、現実に起きている。このような問題は、これから拡大していくと思われるので、少し考えないといけないテーマになっている。
  • 【神田座長】日本人はまじめなので、社外取締役は仕事のし過ぎではないか。アメリカの何倍も時間をかけて仕事をして、回数もアメリカより多くて、もう少し良い意味でいい加減にしつつ、それでいて必要なことをするというようにしないと、これでは疲れてしまうのではないかという感じがする。
  • 【武井委員】まず、事務局資料53ページの絵について。先ほど機関設計の話が出ていて、監査役会設置会社と指名委員会等設置会社との比較があったが、多分、より正確には、監査役会設置会社と、それ以外の取締役会に業務執行事項の決定を上げない機関、すなわち指名委員会等設置会社だけでなく監査等委員会設置会社との比較なのだと思う。細かい業務執行を会社法の規制によって取締役会で決めないといけないという監査役会設置会社と、それ以外の取締役会から下ろせる指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社という比較のほうが正確だと思われる。たださりとて、私は53ページの絵がいいと考えている。多種多様な機関設計があり得る中で、優劣というよりは、こういう機関設計の選択肢も踏まえて、企業がいろいろな意思をもって、こうすべき、ああすべきという意思を形成する視点としてのこういう四象限の図というのは、オリジナリティーがあってわかりやすい。この線の中でいろいろな機関設計の特徴を入れて、この中の分析を深めていただくといいというのが1点目である。
    2点目が、事務局資料59ページである。本日、伊藤委員、翁委員、冨山委員、川村委員からもお話があった点で、共通してものすごく大事な点だと思ったのが、個別の業務執行が取締役会にいろいろと上程されている中で、社外取締役の方から意義のあるコメントを引き出すためには、大きなピクチャー、大きな戦略や、中長期の目線、中長期の企業価値の向上とか、株主の目線とかも出たが、そういった一定のハイレベルなものをまず取締役会で社外取締役の方も含めて議論し、それを踏まえた上で個別の業務執行を議論するというようにしないといけないのではないかと思われる。
    この点は、ガバナンス・コードの4-1でも、経営計画とか会社の大きな方向性について、まず取締役会できちんと議論してくださいと書かれてある。個別の業務執行をどのくらい取締役会に上げるかはいろいろな選択肢があるわけだが、そういう大きな方向性についての議論がちゃんと取締役会でされ、そこに社外取締役も参画し、その上で個別の業務執行をどこまでやるかを考えるといった大きな方向性があって初めて、個別のものがあるという感じのほうが、意味があるのではないか。4人の方のおっしゃったコメントは、そういう点で共通項があると思われるため、59ページのところに活かしていただきたい。何がモニタリングなのか、何が監督なのかという実質に絡む話であり、このあたりの悩みは現場でも多いと思うので、きれいな形で整理していただくとわかりやすい。これが2点目である。
    3点目が、事務局資料72ページで、経営陣幹部の方が少なくとも1社程度は兼任という、この1社という数字を書くのがいいのかどうか、若干迷うところはある。経営陣幹部という言葉にはいろいろな人が含まれて、ここで言いたいことというのは、業務執行で忙しい社長さんなどはどう考えても、できても1社だろうというのはあるが、例えば会長さんのようなそこまで業務執行に時間を割いていない方であれば2社以上できるかもしれない。経営陣幹部という言葉だと少し広いのかなということがあって、その経営陣幹部の方の担当する業務執行との兼ね合いの中で支障のない範囲で社数は決まるような気がする。ここにもし1社と書くのであれば社長のようなイメージで、逆に業務執行がそこまでお忙しくない会長さんであれば2社以上でもできると思う。このように、1社という数字をどう書くのは悩ましいと思ったというのが72ページである。
    4点目が事務局資料73ページについて、例えば何年という年数を決める、決めないという話の議論が時々出るが、年数が長いからといって一律におかしいわけではないと思う。先ほどの伊藤委員からのご指摘のように、GEで、何年やっている人がいるかというのも、まさにダイバーシティの1つの要素である。長くやっている人と短くやっている人の多様性もあるということは貴重なご指摘だと思う。何年で絶対辞めるというように決める会社はあっていいと思うが、例えば8年やったら絶対だめとか、決めることが絶対是だという単純な話でもないのだということも、視点として示したほうがいい。そういう意味で、年数制限が一律にいいかどうかに関しては、いろいろな考え方、視点があるということも73ページの関係では示したほうがいい。またその関係で、ダイバーシティというのが大事であって、何年やっている人がいるという点もダイバーシティの1つの要素だということが大事である。
    5点目が75ページの社外役員の報酬のところで、まず、業績連動という言葉の中の自社株報酬の中にはご存じのとおり3種類あって、ストックオプションとリストリクテッド・ストックとパフォーマンスシェアがある。私の感覚的には、ストックオプションのような株価連動のものと、パフォーマンスシェアのような業績連動のものはあまりそぐわないかもしれないが、リストリクテッド・ストックであれば、社外役員の方が持つことが推奨されて良いと思う。非業務執行役員について、業績連動とか株式報酬が全部一律にだめだというのは行き過ぎで、一定の持てるラインはあるという気がする。
    先ほども議論が出ていたが、実際、日本の社外役員の方はアメリカよりも間違いなく忙しい。取締役会は月1回あり、それに加えていろいろな委員会などもあり、特に法定の委員会、監査役会、監査等委員会等だと75%出席しないと反対する人が出てくるので、社外役員の方は月に2回以上会社に行かないといけない。アメリカの方も、監査などをされている方であれば行っているかもしれないが、間違いなく日本のほうが忙しい気がしていて、それなのにアメリカの社外役員の方々よりも社外役員の方の給料がかなり安いと思う。特に中小企業はそうである。そのため、社外役員の方の給料をもう少し上げたほうがいいと私は思っている。キャッシュで払うのか、株で払うのかという選択肢もあるが、給料を正当に払うべきである。少なくとも社外役員の方は日本のほうがお忙しくされているから、報酬もちゃんと相当に払うべきだというような視点は75ページに上げていただくほうがいい。
    6点目が、事務局資料83ページについて、書かれていることに何ら異論があるわけではないが、1点だけ。筆頭独立社外の「筆頭」という言葉が、英語のリードを訳しているわけだが、筆頭ということに違和感を持つ方もいる。なぜかというと、独立社外取締役として偉い方に来ていただいているのに、その方に序列をつけ、この人が一番偉いかのようになる言葉に違和感があるということである。これは単にリードをどう訳すかの日本語のボキャブラリーの問題だが、筆頭という言葉にこだわる人がいるので、社外役員のグループの中である意味、とりまとめ役というか窓口とか、そのような役割でもいいと思うので、ファンクションを書いておいたほうがいいと思う。
    最後に7点目が事務局資料84ページについて。取締役会評価というところは、先ほどまさに冨山委員がおっしゃったとおりで、通信簿的なアンケート結果よりはPDCA型のほうがよほど回ると思うし、そのほうが意味があるのだと思う。結局、取締役会評価とは何かということの答えは会社の中にあるわけで、そんなに難しく考える必要はないはずのところが、なぜか皆さんやっていないということである。その悩みというのが、やはりどのような取締役会にしたいのかと考える前提の、事務局資料で示されている1から9まであるステップをやっていくと、自然に評価もしやすくなると思うので、今回のこの事務局資料をまとめれば、より取締役会評価もしやすくなるというところも、この全体のまとめの中で示していただくと、世の中のためになると思われる。
  • 【寺下委員】松元委員がおっしゃった点が極めて重要で、当社は今、社外取締役の実効性評価を受託しているが、社外取締役の中にはご自身の役割を整理仕切れていない方が多くいらっしゃる。松元委員のおっしゃっていることは事実だと思う。
    こうした意味から、さらにはより正確な当該企業ならびに業界情報の理解と言う点で取締役のトレーニングは実際に効果があると考える。当社はガバナンス・コードにあるような社外取締役のトレーニングを、実際に時には悪役を買って行うわけだが、時には厳しい点を指摘することでお怒り頂戴する場面もあるものの、やはり最終的には懐の広い方が多いので、トレーニング後は率直な意見に評価を頂戴することが実態である。トレーニングというのは極めて重要な機能だということをこの委員会でもう少しフォーカスいただくと、松元委員がおっしゃっている点も少しは緩和されるというのが1点目である。
    2点目が、御代川委員が言われていた社外取締役の70歳以上は選定基準から外れるというのは極めて重要で、実は日本には70歳以上で本当に立派な方はかなり多く、これはもう少し活用すべきだと思う。高齢だとどうなのかという声もあるが、私は実際相当ワークすると思う。
    現実問題として、今のアメリカのように、現役の方々が他の会社で取締役をやるというのは、日本の会社法等のいろいろな制度設計の中で、時間的に難しい。一方、高齢化というと言い方は悪いが、70歳以上で知見をもって、まだまだしっかりなさっている方は多い。これを使っていけないということではなくて、むしろ使うべきだということを皆さんでぜひ共有化していただきたい。
    3番目は、社外取締役と機関投資家との対話に関して、会社内での事務局のあり方という点である。アメリカの場合は、社外取締役と機関投資家との対話の窓口というのは必ずカンパニーセクレタリーかコーポレートセクレタリーが所管の窓口になる。社外取締役を投資家とのミーティングに同席させるか否かは所管の窓口が判断する。日本にはこの組織体系がない。翁委員も事務局のサポートが重要とおっしゃっていたけれども、そこのところはすごく重要で、そこにある程度の力をもたせるような組織体系を持たないと、全体がうまくいかないのではないかと思うので、その辺をぜひご検討いただきたい。
  • 【江良委員】私自身もさまざまな社外役員の方とも実際に意見交換させていただいた経験からしても、役員報酬の業績連動という点も含め、もう少し報酬を上げてもいいのではないかと思っている。ただ、上げるにも相当な理由が必要なのだろうと思うので、社外取締役の働きぶりのようなものがもう少し対外的に分かりやすくなると、報酬を上げるという議論がしやすくなるのではないかと思う。
    なお、報酬の設計について、ストックオプションやリストリクテッドなど様々な方法があると思うが、これについてはなるべく各社に任せるのがいいのではないか。我々も、なるべく多様性を認めるような方針にしている。一方で、社外役員の報酬を適切な水準に設定しやすいような制度設計とはどういうものなのか議論してもいいのかもしれない。
    何人かの委員の方から、中小企業についてのご意見があったが、まさに同感で、特に最近、地方の企業と積極的にお会いするようにしているが、腹落ち感がない企業も多く、そもそも何のためにガバナンスに関する取組を強化しているのか、浸透していない場合も多い。
    従って、どのような企業を主に念頭において議論するかは重要なポイントである。個人的な感覚だと、常に先進的な取り組みをされている企業は10%ぐらいで、次に、取組みを強化する意欲はあるがどこから手をつければ良いのか試行錯誤されている企業が60%ぐらいで、残り30%ぐらいはそもそも意欲がない、という印象である。この意欲がない企業層まで含めてしまうと議論が複雑になるので、先進的な10%の企業を視野に入れつつ、できれば真ん中の60%を中心に、議論するとよいのではないかと思う。

以上

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最終更新日:2017年2月24日
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