経済産業省
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第四次産業革命に向けた横断的制度研究会(第4回)‐議事要旨

日時:平成28年3月14日(月曜日)13時00分~15時00分
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室

出席者

大橋座長、華頂委員、加藤委員、田中委員、根本委員、福井委員、三好委員、本村委員、森委員、矢嶋委員、柳川委員、渡部委員、山本委員等

議事概要

事務局より資料の説明、委員等よりプレゼンテーションの後、討議を行った。委員等からの主な御意見は以下のとおり。

  • オープン化戦略を上手く活用することで、プラットフォーム化しやすいということが言える。また、いわゆる「オープン&クローズド戦略」のように、一見オープンなように見えて、実は戦略的に他社を囲い込む戦略もある。オープンライセンスと言いつつも、契約戦略の一つとして他社をコントロールする手段として利用しており、競争力の源泉となっている。
  • 流通手段が多様化している現状で、コンテンツ分野においては、海賊版が横行しているため、如何に正規版を流通させるかが重要であり、そうした多様化した情報流通の在り方を如何に戦略的に使いこなすか、価値を生み出すかが課題と言える。
  • 内閣官房「次世代知財システム検討委員会」における議論では、「権利処理コストの低下」が論点のひとつとなっている。オープンソースライセンスを権利処理コストの低下に向けた非常に強力なツールとして認識し、使いこなしていくことが重要ではないか。代表例として、「クリエイティブ・コモンズ(CC: Creative Commons)」が挙げられる。CCは、全世界で11億のコンテンツに対してライセンスを付与しており、世界で最も普及している。主要なプラットフォームビジネスでも公式に採用されている。
  • オープンソースライセンス化は、知財関連の政策メニューと補完関係にあり、相性が良い。例えば、知的財産の取引所を巡る議論などがある。また、Europeanaのような権利の集中管理は、今後日本でも重要になると考えられる。コンテンツの多様化が進む中でも、無料/有料等の条件の線引きを提示することで、ユーザーによる利用は促進される。収益を上げられるフリーミアムのような仕組みが構築できる。
  • フェアユース的な利用行為を危険でないものにするためにも、CCのようなオープンソースライセンス化は望ましい。
  • 第四次産業革命を念頭に置くのであれば、現在のグローバルな巨大プラットフォーマーは皆、米国発であり、当然それらは独自のフェアユース規定を持っている。フェアユース規定は、一般的には“想定可能な限度”で利用出来るという権利制限がなされている。従って、想定可能でない場合には違法という位置づけになる。このような考え方でいうと、今後、誰も思いつかないようなブレークスルーが出てくる可能性がある。その意味から、本研究会では、予見可能性は重要ではないのかもしれない。
  • オープンデータについても同じような文脈で語られている。オープンデータについては、現在、政府や自治体などが保有しているデータをオープンにして利用を認める動きがある。この流れの中でも、オープンファーストが議論されている。
  • 政府や自治体などがデータをオープン化するに当たり差し障りのあるものも存在する。これに対して、事業者の方で、こういうデータがあったら良いという要望を受けた上で、どのデータをオープン化すれば決めれば良いという考えがあるが、事業者側からするとどのようなデータが存在するのか見ないと要望を出す判断が出来ないという考えもある。その打開策としてオープンファーストという考えがある。これからの制度においては、制度を作る時点からオープンであることを基盤とすべきで、知財に係る制度設計についてもオープン・バイ・デザインのような考え方が求められるのではないか。
  • オープンファーストに関する意見には賛成である。オープン化というのは、知財の利活用という文脈で一致している。
  • 著作権に関しても大枠は賛成の立場だが、実際に提案されているものは確実ではあるが非常に小さい。許諾制度でいうと、権利者団体のあるところは、日本ではJASRACくらいしかない。JASRAC以外の管轄分野でも対象となるような制度でなければいけない。
  • デフォルトの変更でなく、原則は報酬請求権化し、登録したもののみ許諾するという考えもあるが、そのくらい大きな転換が必要なのではないか。
  • 交渉請求権の話があったが、基本はオープンにしておき、例外的に許諾するというシステムを戦略的に運用できる国が次の時代をリードしていくだろう。
  • 第四次産業革命ということで、日本の産業を発展させる視点から考えると、企業間の連携をどのように進めるか、そこからイノベーションをどのように創出するかということに尽きる。ドイツのIndustry 4.0の例を基に考えてみても、中小企業をどのように連携させていくかが一つのポイントである。日本企業は、これまで組織内での研究開発に積極的な投資を行ってきたが、これからのイノベーションは企業間の連携の中で生まれる。
  • オープンイノベーションについて、企業間の連携を促すためにオープン化が重要であるが、いわば但し書き付きのオープン化であり、先程のコンテンツ分野におけるオープン化とは若干ニュアンスが異なる。「オープン化」はかなりポピュラーな言葉になりすぎて、広く誰もが利用できるという意味で受け取られることが多い。もう少し修飾語を加えることにより、状況や目的に応じて、限定的に使い分ける方が議論しやすいのではないか。
  • 今後の知財システムの在り方については、抜本的改革が必要であるものの、実際にそれを実行していくことは大変だと考えられる。その観点から、まずは戦略的視点から限定的に制度を設計することで、第四次産業革命に資すると考える。
  • 著作権のフェアユースについてであるが、日本の著作権法における個別制限規定では十分ではない部分があるので、包括的な制限規定の設定が必要だという議論がされている。様々な個別制限規定を拡大解釈、類推解釈して、網を広げていくという考え方もあるのではないかと思う。
  • 個別制限規定を拡大解釈や類推解釈することで、包括的権利制限規定となりうるかについては、ある程度は対応可能であるので、今後はそのような方向に舵を切っていくことが想定される。しかし、従来定めた幅のなかに留まってしまうことになるので、本当の意味での先例の無いイノベーションが創出された場合には、拡大・類推する対象が無いため、マイナスの力になってしまう恐れがある。
  • 日本のデジタル・ネットビジネスは、プラットフォームを生み出せなかった過去と、コンテンツ産業がプラットフォーマーとの契約に悩まされている現実を直視しなければいけない。イノベーションを阻害するようなことが本当に日本のコンテンツ産業に役立つのかという投げかけをする意味で、「良きフェアユース」という表現を用いている。
  • 根源的な問いとして「データは誰のものか」という点を明らかにしないと、解決できない問題がいくつかある。
  • 権利者側の話が出ているが、著作権付きのコンテンツを流通させる側の法制度をどのように考えるか。コンテンツの流通を媒介する媒体を工夫することで相当程度、流通が促進されるというケースがあるのかを議論してはどうか。
  • Industry4.0や国際標準化に関連して、プラットフォームやリファレンスシステムの紹介をいただいたが、協調領域と競争領域の切り分けそのものになるので、肝になる部分と理解している。
  • フェアユースの善し悪しの判断基準を誰が・どこで・どう設定するかによって利用形態が異なるので、その部分の議論もできると良い。
  • 全般的な話として、制度的な議論で片付かない問題が多いという印象を持った。企業の方々と議論していると分かるが、日本法のみならず諸外国の法律を念頭に書かれている契約も多い。「どうすれば損をしないか?」という企業側の問いに、一年くらいの時間感覚で答えを出すのに資する議論が必要だと考える。

以上

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最終更新日:2016年5月2日
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