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競争戦略としてのダイバーシティ経営(ダイバーシティ2.0)の在り方に関する検討会(第2回)-議事要旨

日時:平成28年9月16日(金曜日)10時00分~12時00分 
場所:経済産業省本館17階国際会議室

議題

  1. ダイバーシティ2.0を実現するためには、具体的に何を変える必要があるのか?
    • 女性/外国人・ 経営/現場 毎に直面している課題は異なる
    • “ダイバーシティ”にとどまらず、経営改革として何が必要か
  2. 上記の変革を実現する上で、直面する課題は何か、どうすればそれを克服できるのか?
    • 直面した課題(上手く進まなかった事例等)
    • 試行錯誤のプロセス
    • 失敗課程も含めた、経営改革としてのダイバーシティのヒストリー

議事概要

1.ダイバーシティ2.0の実現に向けた課題

経営理念の浸透

  • 企業経営の目標とダイバーシティを結び付け、経営者のメッセージを社内外にストレートに伝え、双方向でコミュニケーションすることが重要である。
  • トップがコミットメントし、ダイバーシティが必要な理由を全社で共有しなければ、社員の納得が得られず、現場の仕事に根付いていかない。

経営としてのストーリーの必要性

  • ダイバーシティと経営戦略を紐付けるため、生産性向上の構造とダイバーシティ経営を一体化させ、持続的に競争力を高めるストーリーを描くことが重要である。
  • 生産性は分母を「時間効率的な働き方」、分子をアウトプットとなる「イノベーション」で算定され、ダイバーシティはその分子と分母の双方に関係する。分母と分子に対して上手く響く人事施策を展開すると、生産性向上に資することができる。
  • 企業や経営者のダイバーシティの目標を説明されても、すぐに企業価値と結び付かず、関心が高まらない投資家もまだ多くいる。ダイバーシティの恩恵を投資家にとって分かり易いストーリーにして発信できるとよい。例えば、ホワイトカラーの生産性の向上、外部人材の登用による経営スピードの加速、外国人向けの人事制度の導入、M&Aのシナジー効果の向上等が挙げられる。

働き方の変革

  • リモートワーク制度を導入したところ、従来のプロセス管理によるマネジメントが変わり、社員が自己管理する自律的な働き方に変わりはじめた。
  • 先進的な海外企業の中には、サバティカルプログラムを導入しているところもある。6~7年同じ企業に勤めてきた人は、イノベーションを創出する力が下がる傾向があるため、自由に使える期間を社員に与えることでイノベーションの創出力を高める効果があると思われる。

サクセッションプラン、人材育成

  • マネジメントを担う管理職のサクセッションプランとして、各人に3名の候補者を挙げてもらい、その3名の中に必ず女性を入れ、実際に登用できる水準の人材となるよう、育成プランを考えることになっている。
  • 各部署でダイバーシティの議論をし、自分達でアクションプランを考えてもらう取組を実施した。この取組により現場でダイバーシティに関する議論が始まった。
  • 評価とダイバーシティ推進の行動が結び付けるため、管理職の評価基準に生産性向上やパイプラインに関する基準を入れてはどうか。
  • 社員一人一人が多様性を受容し、自ら変質・進化していくことが求められており、中途採用においても、多様性に対する受容性を重視している。

両立支援の在り方と公正な制度設計の再考

  • 両立支援だけでは制度を手厚くする一方向になるだけで本質的な課題解決にならない。ライフイベント後に会社に戻ってどのようなキャリアを積んでいきたいかを上司と個人で話し合い、相互にプラスになる仕組みにすることが重要。そのためには、キャリア開発の支援が必要である。
  • 子育てや介護でメンバーシップ型の働き方をすることができない人材が増えると、周囲に不公平感が生まれる。そのため、仮にその人材がパフォーマンスを発揮しても、上司はバランスを取るため、評価を下げるケースがある。
  • ダイバーシティ施策や多様な働き方が根付かない原因の一つは、在宅やテレワーク等の制度を利用できる人が両立中の人に限定されていることである。評価の面においても公平に評価できるよう、誰もが制度を利用でき、かつアウトプットで評価することが重要である。
  • 制度変革をしても、長時間労働が恒常化している職場では恩恵を享受できないとか、他の社員にしわ寄せが行くなどの問題が指摘されているが、多くの職場で社員が足りてないのではないか。ダイバーシティを阻害する根本的な要因を除去するためには、社員を増やさなければならないという議論になるかもしれない。

社内の抵抗勢力への対応

  • 先進企業でも、官僚的で例外を認めない人事部門はある。ダイバーシティ推進では、柔軟な制度運営が必須であり、人事部門もそれを受容しなければならない。人事部門が抵抗勢力となる企業は、ダイバーシティと成果が結び付いていない場合が多いのではないか。
  • 人事部門は、従来型の働き方を変えずに維持することで最大の生産性向上に寄与した時代があったが、これからは先ず人事部門自身が認識を変えないと変革に繋がらない。
  • 人事制度を始めから全社に導入すると抵抗勢力が大きい。小規模で実験をすることから始めることも有効な方法。先進的な人事制度を導入している企業では、いずれも実験期間を設けて小規模から実施するところから開始している。

インクルージョンを促すリーダーの育成

  • ダイバーシティだけではなく、インクルージョンを促すリーダーを育成し、管理職は意識付けだけではなく、異なる意見を出しやすい環境を作らなければならない。
  • 重要なプロジェクトのトップを女性にすると、周囲はトップが女性だからではなく、重要なプロジェクトだからトップを支えるようになり、そのような環境の中で女性を育成できる。
  • なぜ女性比率が低いのかに向き合い、女性のWILL、SKILL、NETWORKの不足を補うための育成や、スポンサー制度による育成が有効である。
  • 上司は、社員のキャリアやビジョンにコミットし、スポンサーとして育成する意識を持たねばならない。

評価の透明性

  • 評価と報酬の制度は、ダイバーシティの重要な課題である。経営者自身の目標や評価も全社員に公表し、公正・透明な評価制度を運用している。
  • 無意識のバイアスについて、能力が全く同じ2名の履歴書を配って質問すると、性別によって評価や年収に差が出るという研究結果がある。

2.企業が直面した課題の例示

ミスコミュニケーション

  • ダイバーシティを推進する過程では、社内の不和や抵抗勢力、ミスコミュニケーションが発生し、短期的なデメリットは生じるのは仕方がないことである。
  • 多様な人材が集まると、日本人同士よりもコミュニケーションに時間がかかる。欧米人は”Why”という質問が多く、日本人にとっては煩わしい面もあるが、物事の原点に帰って本質を捉え、多様な視点で議論を重ねることで新しいものが生まれる。
  • 多様な軸の属性を入れると、マイノリティとマジョリティの間で組織内断絶(フォルトライン)が起こりにくくなる。
  • 外国人を経営層に取り込んだ際、短期的には既存人材とコンフリクトが生じたが、志が同じであることに双方が気付いた後、うまく溶け込むことができた。

制度変革と人材登用

  • 多様化の手段として、社内において英語教育推進の制度を試行した際、英語力の高い人材が採用され易い現象が一時的に生じ、マネジメントスキルとのバランスが不足し、社内に不和が生まれたケースがあった。また、一時的には制度導入に反対して会社を去る人材もいた。

個人のライフプランとキャリア選択に関する制度設計の不調和

  • 「管理職にはなりたくなかった」という女性のケースがある。ポテンシャルがあっても、そもそも管理職の定義が曖昧で何を目指したらよいのかわからない、男性上司を見ても管理職に魅力を感じない、元々向いていない、興味がない等様々な理由がある。本来は男性も同じ。マジョリティ故にひとくくりになっているが若者の傾向をみていると顕著である。男女よりも個人の生き方、働き方の問題として、どのようなキャリアを積んでいきたいのか、自身で自律した考えを持つことが重要。キャリアは会社が決めるのでなく、自分が選択し舵取りをするという、自律的キャリア形成の仕組みやカルチャーがまだ日本には根付いていない。両立支援や均等支援もこれと紐づいて検討されるとよい。
  • プライベートを優先しライフプラン上キャリアを目指さないという層も男女共に存在する。このような生き方もあってしかるべきだが、日本企業にはキャリアの選択肢がなく、多様な生き方に対する処遇や評価の制度設計ができていない。多様なキャリアを選べるように企業の生産性と絡めて設計していくことが必要ではないか。

3.先進的企業の事例

投資家に対する情報発信

  • 対外発信は、長期的な投資家に対してインパクトがある。先進的な企業は、投資家に対してダイバーシティ経営を長期的企業価値向上に紐付けた形で積極的に発信している。
  • 企業の業績が悪い場合でも、R&Dに関するイノベーションや企業の長期的な企業価値向上へのロードマップの適確な提示は、投資家に安心感を与えるものである。

社外取締役とのコミュニケーション

  • 先進企業にはダイバーシティに関する取組に関して、取締役会内に設置されるCSR委員会等の中で社外取締役によって厳しく評価を受ける仕組みを構築している事例がある。
  • 取締役会は限られた時間であるため、取締役会以外の場でも社内を知ってもらい、社員と接点を持ち、双方の理解を進めることで、社外取締役からも様々な指摘とアドバイスをもらえる環境となっている。

地域本社制の展開

  • 地域本社制では、駐在員モデルではなく現地の人材を登用するモデルを展開し、機能(HR、商品ライン等)は横串で刺して全世界で連携する体制を構築している。地域の人材を活用した地域に密着したグローバル化を展開していかなければならない。

4.投資家の視点

ダイバーシティ等ESG要素に対する考え方

  • 投資家は3つのタイプに類型できる。タイプ1は先進的な思考を持ち、ESG投資をしていく投資家、タイプ2はESG投資の専門家で、企業価値よりも社会的な観点に関心が高い投資家、タイプ3はESGが高まることに賛成ではあるものの、企業価値との関わりについて関心がまだ高くない投資家である。タイプ3をうまく巻き込むことが大事である。

エンゲージメントの必要性

  • 投資におけるショートターミズムが問題となっているが、CEOによるステークホルダーに向けたエンゲージメントが適確に行われていれば多くの投資家も納得する。短期的に業績が落ち込んでも大きな問題にならない。

取締役会の多様性

  • 経営者の施策は外部からは見えにくいため、投資家はまず取締役会のダイバーシティに着目する。取締役会に一定数以上の女性がいれば、社内で女性が活躍し経営陣へとつながるパイプライン構築できる可能性が高まると投資家は考える。

以上

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最終更新日:2016年10月18日
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