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競争戦略としてのダイバーシティ経営(ダイバーシティ2.0)の在り方に関する検討会(第3回)‐議事要旨

日時:平成28年10月21日(金曜日)14時00分~16時00分
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室

議題

  1. ダイバーシティ2.0を実現するためには、具体的に何を変える必要があるのか?
  2. 上記の変革を実現する上で、直面する課題は何か、どうすればそれを克服できるのか?
  3. ダイバーシティ1.0、または何ら取組の必要性を感じていない企業に対し、ダイバーシティ2.0の必要性を、どのように訴求できるか?

議事概要

1. 視点1:経営陣の取組

経営トップによるイニシアティブ

  • ダイバーシティは、風土改革ではなく経営戦略である。「ダイバーシティに反対することは経営戦略に反対することだ」とトップが明確なメッセージを送っている。
  • 公式な機会のみならず、トップがあらゆる場でメッセージを送ることが重要である。
  • ダイバーシティ推進で最も重要且つ困難な点は、抵抗勢力に直面しても、経営トップ・経営陣が「やめない」ことである。
  • 多様化した状態をしばらく経て、ダイバーシティの「実利」を実感できれば、更なる推進力が生まれる。

管理職・従業員に対する啓発

  • 各事業部門長に対する人事評価にダイバーシティの項目を入れている。
  • 人事評価において、社長と各事業部門長が直接ダイバーシティの取組について、議論する機会を設けている。
  • 事業部門長の担当部門にいる優秀な女性社員を選び、部門長に自らの言葉で経営陣に対して説明する機会を設けている。これがきっかけとなり、女性に対する意識が変わり、ダイバーシティに対するオーナーシップが高まった。
  • タウンホールミーティング等でトップが全国を訪問する際に、経営戦略としてダイバーシティを推進していることを従業員に意識付けしている。

推進体制の工夫

  • 事業部門のトップを含むメンバーで構成されるダイバーシティ推進委員会のほか、各事業部門に人事部兼務のダイバーシティ担当を設置する事例がある。これにより現場の意見を吸い上げ、経営トップと従業員の意識の差を埋められるのではないか。
  • ダイバーシティ推進委員会を設置し、全部門の担当役員が四半期に一度集まり、ダイバーシティについて議論している。
  • ダイバーシティ推進部門が各部門の部長等と議論することにより、現場の意見を吸い上げることができている。
  • ダイバーシティ推進委員会は地域事業本部制をとっている。各地域にダイバーシティ推進員会を置き、権限を委譲し、個別の状況に対応できる体制を敷いている。
  • リーダーシップのトレーニングや経営幹部の会議に女性を2~3割に参加させる等、トップがダイバーシティを重視していることを具体的な行動で示している。

ガバナンス改革

  • 経営トップ自身によるコミットメントがあっても、他の取締役がそうでない場合がある。取締役人事の評価・昇進基準とダイバーシティを関連付ける必要があるのではないか。
  • 風土的な問題を打破するためには、取締役会の評価にダイバーシティに関するKPIを設定することは有効と考える。
  • 日本の現状を鑑みれば、取締役会として女性管理職比率等のKPIを設定することは適切と考えるが、形式のみならず、中身が伴うことが重要である。
  • 取締役会においても、女性がダイバーシティについて発言しても軽視される風潮がある。取締役会を巻き込むため、男性の口から発言することが必要である。
  • 執行役員とともに、部門横断のスタッフィングの審議を実施している。他の部門のスタッフィングについて意見交換することで、自分のマネジメントスタイルや女性の評価について、有意義な気づきが得られる場となっている。

社外取締役の効果

  • 社外取締役によって活発な議論が生まれる。ダイバーシティを浸透させるため、社外取締役の存在は効果的である。
  • 社外取締役には女性も外国人もおり、取締役会でダイバーシティについて議論することもあり、社外取締役からアドバイスをもらうこともある。また、ダイバーシティに関するフォーラムで、社外取締役に参加してもらうこともある。

2. 視点2:現場の取組

全社的な環境・ルール整備

  • 働き方.改革やジョブアサインメント改革を進めている企業ほど総労働時間が短く、プロフェッショナル人材育成を進めている企業ほど、イノベーションが創出されている。
  • 制度・ルールにKPIを設定する企業ほど、イノベーション創出に繋がることが調査で分かった。

人事部の取組

  • 管理職によるマネジメントにおいて人事制度が言い訳に使われることが多かった。人事部が、作られている人事制度をほどき、管理職自身の主体性を意識づけている。例えば、従来の評価制度を変え、管理職自身の考え方に基づいて判断・評価し、説明できるように意識づけている。
  • 人事制度が形式的に運用されることが無くなり、実効的な取組に繋がると考えている。

人材に選ばれる環境・ルール

  • 企業文化に同化することを求める企業や、一定年数が経過しないと出世できない企業は海外人材に避けられている。今後このような企業の人材獲得能力は、日本国内においても低下していくと見込んでいる。変化しないと、将来人材難で困ることに気付く必要がある。
  • 日本特有の長時間労働や人事評価のため、日本企業は外国人から働きにくい環境だと思われている。
  • 日本企業に対する調査により、成果よりも「プロセスや姿勢・態度」が人事評価上で重視されていることが分かった。
  • 管理型の制度やルールの場合、日々の行動や姿勢・態度が重視されるため、外国人や制約がある人はフェアに評価されにくい。

管理職の行動・意識改革

  • トップのコミットメントが強くても、直属の上長の思想や態度に問題があることが多い。管理職の評価制度の改革や、管理職に対して意見を言える仕組み作りが必要である。
  • 「部下に対して、フェアな評価やアサインメントを実施しているか」という視点を管理職に持たせ、育成に偏りがないか見直しさせることが必要である。

ダイバーシティに伴う管理職の負担

  • 管理職自身は、ダイバーシティ推進の意義を腹落ちしているものの、多様な人材のマネジメントは難易度が格段に高くなる。管理職の負担は拡大しており、経営トップや経営陣もコミットメントしたうえで、管理職に対するサポートが必要である。
  • リモートワークなど企業における働き方が変わる中、従来とは異なるマネジメントスタイルが管理職に求められている。単純に過去に倣うことができず、管理職にとっての負担は大きい。

管理職に対するサポートやトレーニングの必要性

  • 管理職に対するサポートが無ければ、トップのコミットメントや制度があっても現場に浸透しない。
  • 多様性あるメンバーを管理するため、例えば、外国人や育児・介護等の制約がある部下に対する評価やコミュニケーションのトレーニングが必要である。
  • 管理者のトレーニングは、ダイバーシティの必要性等の概念的なもののみならず、異文化の人材との働き方やコミュニケーションマネジメント等の具体的な内容も必要である。
  • 管理者はジョブアサインメントに関するトレーニングが必要である。

管理職が直面する課題例

  • 英語が不得意な日本人の管理職の場合、外国人よりも日本人の方が仕事を頼みやすいことから日本人に仕事が偏ってしまう。結果として、日本人と外国人のメンバー間で不公平感が生まれている。
  • 働き方について、長時間労働が当たり前の日本人と、時間内で効率良く働こうとする外国人のギャップによって、お互いにフラストレーションが生じている。
  • 管理職がなぜマネジメントしにくいのであれば、タスクの割り振り方などの業務プロセスを見直すことが有益ではないか。
  • 自分自身のジョブディスクリプションも不明確であるため、部下に対しても不明確・無限定な仕事の与え方になっている傾向がある。

従業員の行動・意識改革、キャリアオーナーシップの醸成

  • ダイバーシティを反映させた組織作りと、従業員個人の強みの活用がうまく噛み合うと、ダイバーシティが現場に浸透していくのではないか。
  • 個人の強みを活かしたキャリア形成に向け、上司と部下が一緒にキャリア研修に参加して、個人のキャリアプランを考えるプログラムを実施している企業もある。
  • キャリアオーナーシップや仕事に対する意識・考えが明確でない人材に対して、会社から歩み寄ることが必要である。
  • 若い世代が集まる企業は、組織の成長が早く、自分自身が早く成長でき、納得できるキャリアパスを組める企業である。
  • 日本企業は、外資系企業に比べてキャリアパスの柔軟性が低い。多様なキャリアパスに耐えられるような制度を整えていかなければならない。
  • 日本企業よりも外資系企業の方がキャリア形成に関して良いイメージがついている。日本企業もキャリア形成を自分で選択できる柔軟性が必要である。
  • 現在の日本の女性活躍の議論は、1980年代の米国と似ている。「企業の問題」ではなく「女性自身の問題」という意識が強かった米国と比べ、日本は「企業の問題」として扱われている。日本の場合、女性自身の意識改革も必要ではないか。
  • 多くの企業はこれまで女性に十分なトレーニングや機会を与えてこなかった。短期的な成果を求めず、長期的な視点で育成することが重要である。

3. 視点3:外部コミュニケーション

資本市場との対話:投資家・アナリストとのギャップ

  • 企業自身はサステナビリティ報告書やCSR報告書を通じ、積極的に情報を開示している。他方、投資家やアナリストは短期業績に関わる財務情報以外に対する関心が低い。この点で企業と投資家・アナリストの間にギャップが生じている。
  • アナリストのダイバーシティに対する関心が低い中、アナリストの意識を変えていくという発想が必要ではないか。
  • 企業は投資家・アナリストから質問を受けるだけの受け身の姿勢は直す必要がある。ダイバーシティと企業価値を結び付けた情報開示を通じて、能動的に投資家やアナリストに働きかける意識が必要である。すなわち企業による投資家のエンゲージメントがあって良い。
  • 企業には是非ダイバーシティとイノベーション創出や経営のスピード感向上を絡めたストーリーを伝える工夫を期待したい。それにより、投資家の評価も得ることができるだろう。
  • ダイバーシティとイノベーションのストーリーを経営戦略として説明できると、社内外のステークホルダーの共感が得られ易くなる。その際、イノベーションの効果に関する検証データや成功事例に基づくとより効果的である。

アナリストの啓発

  • 米国アナリスト協会によってESG投資の理解を深めるために、会員向けにESG投資に関する啓蒙やトレーニングが積極的に行われている。

労働市場との対話

  • 政府や民間機関が、企業の女性管理職比率等の情報をデータベース等で公開しているが、情報の読み解きが難しい。
  • 就職活動をする学生が企業を判断し易くするために、情報の見える化が必要ではないか。

以上

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最終更新日:2016年11月16日
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