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競争戦略としてのダイバーシティ経営(ダイバーシティ2.0)の在り方に関する検討会(第5回)-議事要旨

日時:平成28年12月13日(火曜日)14時00分~16時00分 
場所:経済産業省本館17階国際会議室

議題

  1. 外国人材の登用について
  2. 外部コミュニケーション

議事概要

1. 外国人材の登用

外国人材の採用

  • 外国人材を採用する理由が明確にされていない日本企業も多い。外国人材の採用戦略が迷走している様子が窺える。

外国人材の退職率

  • 外国人材が日本人に比べて離職率が高いのは事実。ハイパフォーマーの退職率については、改善の余地があると考えている。
  • 外国人材の早期退職の原因には、合理性がない長時間労働や不明確なキャリアパス等の働き方の問題がある。仮にキャリアパスを描けた場合も、何年もかかるキャリアプランに身を委ねることができない。

外国人材のリテンション

  • 外国人材のリテンションのための施策の1つとして、ストックオプション等のリワードがある。リワードにより、社員が企業の成長に寄与していることを実感し、エンゲージメントが高まることを意図している。
  • 外国人材が退職する理由を把握し、リテンションの向上を実現するため、退職者に対するインタビュー(Exit Interview)を実施することが有効ではないか。また、外国人材に対しては、日本人のみならず、外国人材のインタビュアーが実施することで有効性が高まるのではないか。
  • 外国人材は「転職」によって、より高い役職・ポジションを得ていくというキャリアプランが一般的である。そのため、外国人材のリテンションを高めるため、1つの会社内でキャリアアップする考え方に対して理解を得ることが重要である。
  • 日本企業は、教育熱心で長期育成のイメージがある一方で、キャリアアップできるというイメージは低い。そのため、じっくり時間をかけたキャリアアップを目指す人材のみが日本企業に残り、ハイパフォーマーが退職しやすい傾向がある。

日本人と同質化する構造

  • 日本企業や大学は外国人材や外国人留学生に対して、日本人と同じ振る舞いを求めるケースが多く、多様性の毀損に繋がっている。このように日本人との同質化を求める構造は問題ではないか。
  • 同質化は現場のマネジメントスキルと密接に関連している。企業の現場において、外国人材と日本人を区別せずに接することが良いマネジメントと捉えられ、外国人材は日本人化を通じて、日本企業の職場に馴染むことが求められてしまう。

2. 労働市場との対話

労働市場に対するメッセージ

  • ダイバーシティ経営戦略として、採用、定着、活躍まで一貫した仕組みとストーリー性を労働市場に発信することにより、優秀な人材の獲得や活躍促進に繋がるのではないか。
  • 企業側の現状は、採用、定着、活用のそれぞれの段階で課題を抱えており、一貫した仕組みとストーリー性が欠如しているケースが多い。採用の場合、応募者にとって、採用の目的と意図が見えず、採用戦略のストーリーが伝わっていない。
  • 労働市場に対するアピールの方法と内容が、獲得したい人材像とずれており、結果として必要な人材獲得に繋がっていない。例えば、女性人材の活躍を求める企業が「長期の育児休暇の取りやすさ」をアピールしたり、チャレンジを期待する企業が「大企業としての安定性」をアピールしているケースがある。
  • 職種によっては新卒採用においても国際的な人材獲得競争を考慮する必要がある。エンジニアの場合、優秀な人材の獲得のため、新卒であっても、能力に応じて、他社に負けない高い給与水準を提示している。

中途採用

  • 新卒は均質な人材が多い一方、多様なバックグラウンドを持つ人材が集まる中途採用は必然的にダイバーシティを考慮する必要がある。日本企業は人材獲得の手段を新卒採用に大きく依存しており、中途採用の比率は低い。その結果、人材の流動性や多様性に対する耐性が無く、リテンションやダイバーシティ経営のノウハウが十分に蓄積されていない。
  • 人材獲得の手段として、リファラルプログラムやSNSがコミュニケーション戦略として重要性が高まっている中、中途採用で多様な人材を採用することにより、その人材を通じて更に多様な人材の獲得に繋がるという連鎖構造が築かれることになる。

総合職採用の課題、ジョブ型への移行

  • 女性や外国人が退職する原因として、キャリア展望が描けないということ、どのタイミングで異動になるか分からない、自分でコントロールできないということが大きい。日本企業特有の「総合職」が1つの要因になっているのではないか。
  • ダイバーシティ経営の本来の意義を考えると多様な専門性や経験を持ち合わせた個人が尊重されることが必要だが、ジェネラリストとして皆同じように育成しようとする総合職はその意義と逆行している。
  • 総合職を多様な選択肢を持てる魅力的な職種にしていかなければいけないと考えている。総合職として入社した後に、途中で希望のキャリアを選択できる社内公募制度を試行的に導入している。この取組の便益として、従業員自身のキャリア意識が高まったほか、その上司も部下を個人として捉え、キャリアプランに向き合うようになった。
  • 入社後のキャリアに関するストーリーを明確に提示すべきである。ジェネラリストを追求する場合でも、一定の専門性を積み上げてプロフェッショナルに成長した後、次のステップとして、守備範囲を広げたジェネラリストを目指すべきである。
  • 日本においては現行の採用制度からジョブ型の採用へ一度に舵を切ることはハードルが高い。特に新卒採用者の場合、入社時は実務経験がなくキャリアや専門性を備えている事は期待できないことから、ジョブ型の採用導入の難易度が高い。
  • 採用後は個人のキャリアプランとジョブをマッチングしながら、企業が責任を持って中長期視点で人材を育成することが必要である。
  • 新卒採用の場合、詳細なジョブディスクリプションで募集をかけても、「自分がどのポジションに当てはまるか分からない」という声も多かったため、分かりやすくするため、複数のポジションをまとめた中間的なカテゴリーを設けた。明確なジョブディスクリプションを単に載せればよいという話ではないことが分かった。
  • 入社時に希望した職種が入社後にマッチしていないと判明することもある。ジョブ型へ移行する際、入社後のジョブチェンジ等の柔軟な仕組みも求められている。
  • 当初、ジョブ型の移行により、トレーニングコストの低減を期待していた。しかし、日本人や外国人を問わずトレーニングに対する要望が強く、それに対応した結果として、当初期待したコスト低減効果は得られなかった。
  • 2年前からジョブ型採用に変えたが、プロコンあり。3-5年で今後のキャリアプランを上司にプレゼンする機会を作り、自分のキャリアは自分で決めるという意識作りをしている。一方、数年前まで外国人材の新卒採用に力を入れてきた。キャリア感の相違ゆえ、離職率も高い傾向があった。

求められるマネジメント改革

  • 個人の潜在能力から障害を取り除いたものがパフォーマンスであり、“Performance = Potential - Interference”という式で捉えられる。個人の仕事や生活上の障害を取り除き、潜在能力を最大限に発揮する人材マネジメントがダイバーシティ経営として求められている。

言語の問題

  • 日本人に対して高い英語能力を課す採用基準が、人材獲得の障壁になった点は否めない。採用時点の門戸は広げ、入社後に英語能力を高めていくという考え方もある。
  • 日本企業が採用基準として外国人材に課す日本語能力要件が過剰になっているケースもある。結果として、多様な人材層からの優秀な人材の獲得を阻害している。日本企業はかつての国際化ブームの際、英語が使える日本人を多く採用したが、国際化は言語の問題ではないことに気付いた。同じことが形を変えて繰り返されることを危惧している。

3. 資本市場との対話

国際的な動向

  • EU加盟国においては、ESG等の非財務情報開示が2016年から本格的に施行される等、欧米はサステナビリティに関する情報開示が本格化している。他方、日本はまだ準備ができておらず、InfluencerやPromoterの奮闘に期待するしかない。
  • ESGをグローバル投資基準として考慮する投資家が増えており、日本企業も否応なしに情報開示に対応せざるを得なくなる。

投資家の観点

  • ダイバーシティの効果を定量的に示すことは難しいが、ダイバーシティによる企業価値創造ストーリー、KPI、スキルマップの開示は必要である。定量情報に意味があるのではなく、経営者の考え方等のナラティブな定性情報を重要視している。
  • 日本株式市場が上昇する局面に入り、投資先の選択において、現有事業の収益力や技術力等といった従来の尺度に加えて、イノベーションを持続させられる組織づくり、コーポレート・ガバナンス、事業ポートフォリオの組み替え、適切なKPIの設定など、「経営力」がより重要視されてくると認識。投資家は積極的に差別化する企業を待ち望んでいる。人材の確保、活かし方やダイバーシティも、差別化できる鍵になる。
  • 過剰労働力の時代は過去のものになった。現状では、企業と投資家の対話の中で「必要な人材の確保」が成長力・収益力の制約要因として話題になるのは、建設業界、航空業界、IT業界等に限られているが、いずれこれが各産業に広がる時代がくるのではないか。
  • ダイバーシティについては、多様な考え方を活かすという一般的なメリットに加えて、(1)グローバルタレントプールへのアクセス確保(雇い負けしないこと)(2)次世代の経営を誰に委ねるのかという後継者育成(サクセッションプランニング)(3)「生え抜き主義」からの脱却による経営のスピードアップなどの文脈で語ると、投資家にも理解しやすいのではないか。

投資家に求められる対応

  • 投資家がダイバーシティに関する取組を評価することにより、企業の取組が加速されることは期待できる。一方、投資家側が適切な評価能力を有しているかどうかは意見が別れるのではないか。企業のみならず、投資家側の努力とコミットメントも求められているのではないか。

以上

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最終更新日:2017年2月9日
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