経済産業省
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産業・金融・IT融合に関する研究会(FinTech研究会)(第3回)‐議事要旨

日時:平成27年11月19日(木曜日)16時00分~18時00分
場所:経済産業省別館1階101-2、103共用会議室

議題

  1. 開催挨拶、趣旨説明
  2. プレゼンテーション
    1. Square株式会社 水野様
  3. 自由討議

議事概要

1. 金融情報を活用した注目すべきビジネスモデルとその収入源

(1)注目すべきビジネスモデル

  • 従来の決算情報ではなく、店舗の一定期間の売上のような動的な情報に基づいて与信審査を行い、融資を行うビジネスは好評を得ているとの認識が提示された。
  • スマホを活用する若者向けには、エリアでのイベントや割引情報を提供するプラットフォームビジネス(複数社で運営)が有望ではないかとの見解が示された。

(2)FinTechビジネスの収入源

  • 現段階では、収集したデータを利用し、融資に繋げることで利息を収入源とする事例が多くみられるが、今後は多様化する見込みがあるとの見解が提示された。

2. 金融情報活用がユーザーにもたらす利便性と不安要素

(1)利便性

  • 取引情報や資産残高といった金融情報を活用した融資により、従来融資を受けられなかった顧客に対しても融資が可能になったとの認識が提示された。
    • 店舗での一定期間の売上情報に基づく与信審査により、従来の決算情報等による審査方法では与信されなかった顧客への融資も可能となる。
    • 売上がたった時のみ返済義務が生じる仕組みは、キャッシュフローの起伏が大きく、毎月一定額の返済が困難な顧客への融資を可能にした。
  • 金融情報活用により、金融業務の効率化が実現されるとの見解が提示された。
    • リスクがより正確に評価されるようになり、個々の与信精度が適切に細分化されることで信用力の高い顧客が信用力の低い顧客の利息を負担するフリーライドが解消される。
    • 本人確認にマイナンバーを活用し、金融機関の間で確認結果を参照することができれば、複数金融機関での本人確認作業を省略することが可能との見解が示された。

(2)不安要素

  • 金融情報をサービスに活用する際には、顧客のセキュリティへの期待に的確に応える必要があるとの意見が提示された。
    • 日本のシステムセキュリティは他国と比較して強固で、決済における不正発生率は他国と比較して低い。
    • セキュリティ向上への投資は、たとえ資金力に限られているベンチャーにとっても、不可避と考えている。
  • 金融情報の活用に際して、顧客への心理面の配慮が不可欠との意見が出された。
    • 消費者にとって金融情報は購買情報と比較してより重みのある情報であるため、活用に際して、法令順守は勿論、顧客の心情にも配慮する必要がある。
    • 情報利用の目的とメリットが顧客に十分理解されていることが、顧客の金融情報提供への心理的ハードルを下げる上で重要である。

3. 効率的な金融情報の取得と活用を実現するための課題

(1)規制面の課題

  • 日本の現行法制度は、決算情報等のデータを金融サービス事業者が顧客から取得することを前提に構成されており、一定期間の売上のような動的な情報を活用するFinTechの事業を想定していないため、いくつかの課題があり、新規サービス展開の障害となっているとの指摘がなされた。
  • 日本の金融機関は法令そのものではないガイドラインも法令と同様、厳格かつ形式的に順守しようとする傾向があるため、ガイドラインの内容によっては新規ビジネス展開の障害になる場合があるとの見解が提示された。

(2)人材面の課題

  • 日本の高度人材の流動性が乏しいとの指摘があった。
    • 日本のFintech企業では、金融とテクノロジー両方のバックグラウンドを持つ経営陣が少ない。終身雇用を前提として人材を育成している慣行はその一因である。
  • 金融機関では、既に保有しているデータを十分に活用するための人材や体制が不十分である点が課題である。

(3)市場面の課題

  • 日本では、諸外国に比べ中小企業の資金需要が相対的に低いことが取引情報に基づく融資が普及しにくい一因となっているとの見解が示された。
    • 米国ではunderbankedの層が多く、多様なニーズがある点、また、そのような層への融資の社会的意義づけが、Social Innovationとして強く支持されていることが、日本と異なり、FinTechを発展させていると考えられる。
  • 一方で、日本の資金需要は必ずしも低いとはいえず、決算情報と取引情報等を組み合わせることで潜在的な資金需要を発掘できるとの意見が提示された。

4. ユーザー保護・産業の健全な発展の観点から、金融情報の取扱い等に関して留意すべき事項や必要な取組み

  • 個人データ管理のインフラを政府主導で構築する事例が提示された。
    • 世界経済フォーラム(WEF)はパーソナルデータを中立的な管理機構が管理する枠組みを提唱している。英米では、消費者の個人情報や購買データ等を企業が管理していたモデルから、消費者自身が情報を管理するモデルへのシフトが政府主導で進んでいる。
  • セキュリティが担保される前提で、利便性を追求するべきとの見解が示された。
    • 技術進歩によって、セキュリティが担保される前提でデータ連携ができれば、様々な企業と提携して、幅広いサービスを提供できる。
  • 政府による最低限のルール設定及び企業の自助努力により顧客保護や産業育成を図るべきとの意見が提示された。
    • 顧客の信頼を得るにはセキュリティ向上等企業努力が必要なため、政府が敢えて高い参入障壁を設けずとも、顧客保護は実現可能と考える。
    • 新規事業の障害は、自主規制や業界の慣行にもあると考える。政府によるプリンシプルベースのルール設定があれば、民間企業の行動も多様化するだろう。
    • 企業の自主規制及び消費者等のユーザーとの対話が必要である。企業は自主規制等により、自ら高い規律を課すことで消費者の信頼を獲得できるとともに、政府に対し規制緩和を訴求することも可能になる。その際、リスクの程度に応じた継続的モニタリング(高リスクの分野では集中的に厳密に管理を施し、低リスクの分野では相対的に軽い管理)を行うことにより、より実効的なリスク管理を行えば、消費者等のユーザーの利便性と安全性を両立させることが可能となる。
  • 新しいビジネスはまず限定された市場で試行する方法が有効との意見が提示だれた。
    • Squareのサービスは米国でも当初業界関係者からの反発が多くあったが、小規模に試行する過程で顧客、ブランド、アクワイアラそれぞれにメリットがあることが判明したため、支持を得るに至った。
    • イギリスのFCAは、新規のサービスを限定的に許容し、あるべき規制を試行段階で検討する方法、いわゆるサンドボックスという手法を採用しているが、この考え方は日本でも参考になり得る。

以上

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経済産業政策局 産業資金課

 
 
最終更新日:2016年1月13日
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