経済産業省
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産業・金融・IT融合に関する研究会(FinTech研究会)(第7回)‐議事要旨

日時:平成27年12月16日(水曜日)15時00分~17時00分
場所:経済産業省本館17階第1~3共用会議室

議題

  1. 開催挨拶、趣旨説明
  2. プレゼンテーション
    (1) 株式会社野村総合研究所 金子様
    (2) 株式会社お金のデザイン 北澤様
  3. 自由討議

議事概要

1. 我が国の家計資産管理・資産運用の現状と課題

(1) 現状

  • 他の先進国と比較して、日本は、家計金融資産に占める投資商品の比率が低く、しかも、投資商品の保有は高齢者に偏っている特徴があるという認識が示された。

(2) 課題

i. 投資への無関心
  • 日本では、投資や将来のための資産形成への関心が薄い人が多いという指摘がなされた。
    • バブル崩壊後、日本では預金と国債が株式をアウトパフォームしていたため、株式投資をしないという選択が自然の流れであった。しかし、若い世代は、低金利(ゼロ金利)が当たり前となっており、将来への不安から、資産運用に対する潜在的なニーズは高い。
ii. 金融や投資に関する知識の不足
  • 関心はあるが投資していない層は、金融・投資に関する知識がないことが課題の一つであるとの見解が示された。また、投資経験者の中には、金融・投資に関する十分な知識があっても、資産形成のための適切な商品選択ができない人々が存在し、適切なアドバイザーがいない課題を抱えているとの見解が示された。
iii. 手続きの煩雑さ
  • 日本は口座開設時に申込者の各種資料を確認するため、取引開始まで時間を要する。また、個人型DCの加入に際して、勤め先企業の年金の実施状況等により申込者の加入資格や拠出限度額の確認を行うため、必要な書類が多く、審査時間が長くなる原因となっているとの指摘があった。

2. 我が国の資金循環における課題の解決策としてのFinTech

(1) 投資への動機づけ・教育の必要性

  • 現状の財務状況を把握できれば、貯蓄や投資の目標も立てやすくなるとの意見があった。
    • 日本人の多くは自身の現在の貯蓄額を把握していないため、自動化された家計簿を利用することにより、収入と支出や総合的な財務状況の把握が容易になる。
  • ゲームのように人を夢中にさせるGamificationのコンセプトの下で開発された金融教育関連コンテンツは、投資無関心層に投資への接点機会を作り、関心喚起への活用が期待されているとの意見が提示された。
    • 投資の成果等を可視化することにより、投資の楽しさを提供することも大切であると考えており、Gamificationは有力な手段の一つであると考えている。
  • 職場を通じた投資との接点機会の拡大が必要との見解が提示された。
    • 職場を通じたDC加入や401kにより、米国の家計に占める投資性資産は20年間で9倍増加した。
    • 勤務先のDC導入は個人が投資について勉強する契機となる。強制的に投資を行わなければいけない状況は貯蓄から投資に移行する良い機会になる。
  • 自分自身が成功を体験することと、周りの人と成功体験を共有することは、個人の生活における投資の優先順位を上昇させる重要な要因であるとの見解が示された。
  • 日本で投資を促進するには、金融教育の実施やある程度強制的な制度の導入が必要との見解が示された。
    • 日本人は完璧を求める性質があり、投資の知識を完全にマスターしてからでないと投資せず、学びながら投資するという行動はとらない傾向にある。
    • 勤務先でのDC導入等、強制的に投資を行わなければいけない環境の構築と、経済的メリットを享受できることが、投資を促進する上で重要であり、いずれも国の関与が不可欠である。

(2) 手続きの簡便化

  • FinTech企業のサービスによって、金融・投資をわかりやすく説明すること、手続きを簡便化させることが可能となり得るとの認識が提示された。
  • 家計簿等日常的に接するサービスからシームレスに資産運用にアクセスできることが重要との見解が示された。

3. FinTechが資金循環の円滑化に貢献するための課題

(1) 当局による規制緩和

  • 手続きのデジタル化は煩雑さを緩和する上で必要であるとの見解が示された。
    • 公的機関が定めたルールでは、紙ベースの手続きを前提としていることが多く、金融機関の努力だけでは解決できず、ルールの緩和に期待がかかる。
  • 口座開設手続きを簡便化するべきとの意見が提示された。
    • 米国では、マネーロンダリング防止は重要視されているが、SSN等で本人確認がとれれば、書類確認を口座開設時に実施せず、取引開始後に請求書の突合によって確認を実施している。
    • 英国では個人識別ナンバーを伝えるだけで口座開設が可能である。金融機関だけに審査義務を負わせるのではなく、個人に法令遵守の義務を課せる仕組みであり、脱税が発見されれば、該当口座に厳しくチェックが入る。
  • 当局によるサポート体制を充実させるべきとの指摘があった。
    • FinTechは、金融以外の専門領域からの参入も多く、必ずしも高度な金融知識を持っていない企業もある。こうした金融知識の乏しい企業に対し、当局側で相談窓口の設置や、高度なサポート体制を構築するなど、専門チームによる対応が必要と考えている。
    • 現在交渉の窓口は行政と業界団体に分かれており、窓口の一本化が望ましい。
    • 金融庁で「Fintech対応窓口」を先日開設した。FinTechのスタートアップ企業に関連法令と規制をワンストップで回答できるようにしたい。業界自主規制は個々の団体別の話ではあるが、融通が利くような運用をしていきたい。

(2) 顧客からの信頼獲得

  • ロボアドバイザーの更なる定着には、サービス・仕組みへの更なる理解が必要であり、「ロボが暴走する」といった先入観を払拭することが必要であるとの認識が提示された。
  • 金融サービスの提供者には、医者や弁護士と同様の高度なレベルのコンプライアンスが求められるとの意見が提示された。
  • 現在、利用規約や個人情報保護方針等はわかりづらく、ほとんどの顧客は読まずに契約する傾向にある。また、企業の都合の良い条件を設定しているケースもあり、顧客は契約に対し不安を感じているとの指摘がなされた。
    • 利用規約や個人情報保護方針等への無関心層を対象にした、業界内である程度統一したわかりやすい契約書を導入することにより、顧客の契約への不安を解消したい。
    • 金融機関である以上、コンプライアンス上の要請に応え、厳格な手続きを行うことは必要不可欠であるが、FinTechベンチャー企業の齎す革新的なアイデア・技術により、業界全体で顧客視点でのサービスが実現できるようになることを期待している。当社がこれまでに培ってきたビジネスノウハウ、とくにお客さまから寄せられる数多くの問い合わせから蓄積したノウハウをFinTechベンチャー企業と共有し、顧客視点のサービス提供に向けて協力していきたい。

以上

関連リンク

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経済産業政策局 産業資金課

 
 
最終更新日:2016年2月18日
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