経済産業省
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産業・金融・IT融合に関する研究会(FinTech研究会)(第9回)‐議事要旨

日時:平成28年2月8日(月曜日)15時00分~17時00分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

議題

  1. 開催挨拶、趣旨説明
  2. プレゼンテーション
    (1) マネックスグループ株式会社 松本様
    (2) PayPal Holdings Inc. ナッシュ様
  3. 自由討議

議事概要

1. 日本市場における顧客のニーズ・課題

i. 顧客の特徴

  • 日本市場の個人顧客の「金融リテラシー」について意見が交わされた。
    • 日本においては、金融当局が消費者の利便性を重視して誰もがアクセス可能、かつ誰にとっても易しい金融環境を整備してきたことで、かえって個人が金融リテラシーを向上させる契機を逃した側面がある。
    • 日本の個人の金融リテラシーは高い。バブル期、銀行が不動産を買い越す中、家計はピーク時に売り越しており、最適な投資行動をとっていたことがその証左である。個人が株を買わなかったのは金融リテラシーが低いからではなく、経済がデフレ下にあったためである。

ii. 顧客ニーズの捉え方

  • FinTechビジネスの顧客ニーズの捉え方について意見が交わされた。
    • 常に顧客ニーズを前提とした視点が重要で、テクノロジーが顧客ニーズに優位することのないよう注意が必要である。
    • インターネットは、既存の顧客ニーズから誕生したわけではなく、サービスの先行提供によってニーズが刺激された事例であり、サプライサイドから需要を喚起することは十分にあり得る。

iii. FinTechに対する海外と日本のアプローチの違い

  • 欧米では、FinTech企業をはじめとしたノンバンク企業による革新的な金融サービスの提供を支援する。一方で、日本は、銀行が中心にあり、スタートアップの力も借りた金融機関によるFinTechの推進を支援する傾向にあるとの見解が示された。

2. FinTechがもたらす可能性と課題

i. FinTechがもたらす可能性

  • 日本では高い水準の金融サービス環境が整っているため気づかれていないが、海外のFinTech事例には注目すべきものもあり、多くの日本人が経験したことのないサービスも存在する、との見解が示された。
  • 中小企業が直面する種々の制約(運転資金の調達、クレジットカードの利用制限、高い為替取引コスト等)に対してFinTechは変革をもたらし、日本の中小企業にさらなる経済活動の場を提供する、との見解が示された。

ii. FinTechビジネス成功のポイント

  • FinTech企業はベンチャーである場合も多いことから、スタートアップと銀行との関係において意見が交わされた。
    • 上場に一定の資金が必要で金融機関による出資が欠かせない現状においては、イノベーションの芽を早期に刈り取られることのないようにする仕組みづくりが重要となる。
    • スタートアップが銀行関連サービスに参入することを考えた場合、現状は既存の大銀行のプラットフォームに依存せざるをえない構造にあるため、その技術を部品として消費されて終わってしまう可能性が高い。部分的にでも競争できる仕組み、環境を整備する必要がある。
    • スタートアップが銀行等既存の金融機関と協業していくこと自体、悪いことではない。自身の経験からも金融以外の異業種の人材交流が進めばその分組織は活性化する。健全な競争はむしろ歓迎したい。
    • 銀行とスタートアップ、そのどちらが勝つかという観点ではなく、消費者等にいかに便益があるかを検討することが重要である。
  • 日本市場でのFinTechの普及には、ユーザー体験を増やすこと、市場を拡げることの2つがカギであるとの見解が示された。
  • エコシステムを構築するために鍵となるのは「情報」である。「情報は誰のものか」という議論を深める必要がある。

iii. FinTechビジネスにおける課題

  • FinTechにかかる制度設計については、まず、法規制は最小限度とすること、かつ、公平な競争の担保される市場・競争環境を実現するものであることが望ましい、との意見が提示された。
  • FinTech企業の成功には経営や金融の経験を積んだ高度な人材が不可欠との共通認識のもと、そうした人材を誘引するインセンティブについて意見が交わされた。
    • 現状も、FinTech企業の人材に問題があるようには感じない。環境の整備が追い付いていないということが問題である。
    • よい起業家がFinTech企業に参入するためには、エグジット時によりよい報酬を得られることが重要となる。よい報酬とはたとえば名だたる企業で勤務するよりも多くの経済的な収入を意味する。そうした環境の整備が必要である。
    • FinTech企業に人材を呼び込むポイントは、経済的な利得というより「うまくやれば既存の仕組みをひっくり返すことができる」と思える環境を整備することである。
    • 自らリスクを引き受けた起業家の梯子を外さない一貫性のある施策のみならず、そうした起業家を社会的に称賛する仕組が必要である。

以上

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最終更新日:2016年4月8日
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