経済産業省
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産業・金融・IT融合に関する研究会(FinTech研究会)(第10回)‐議事要旨

日時:平成28年2月22日(月曜日)10時00分~12時00分
場所:経済産業省本館17階第1共用会議室

議題

  1. 開催挨拶、趣旨説明
  2. プレゼンテーション
    (1) デロイトトーマツコンサルティング合同会社 青木様
    (2) 損害保険ジャパン日本興亜株式会社 中島様
  3. 自由討議

議事概要

1. 保険業界の現状・課題・今後予想される変化

i. デジタル化による業務の効率化

  • 保険会社の業務はデジタル化により改善する余地があるとの意見が提示された。
    • 業務プロセスにおけるデジタル活用例として、業務のペーパーレス化、AIを利用してコールセンターの音声解析、不正請求検知の自動化、ドローンによる自動車保険の査定への活用等が挙げられる。
    • 保険料支払の審査においては、病院からの書類は紙ベースの物が多く、デジタル化できれば業務効率化に繋がる。
    • 小規模の保険会社は、紙ベースの作業が多いとコストが嵩むため、紙からの作業を減らし、システムをクラウドにするのも一考である。

ii. 新技術を活用したサービス

  • IoT、ウェアラブル、ビッグデータ等の新技術の活用により、顧客の情報をより精緻に把握できるとの認識が提示された。
    • 今後、IoTを利用することによって、リスクを詳細に分解し、消費者別・行動別の事故発生確率が算出可能になる。
  • より精緻に把握した情報の活用に留意しなければならないとの指摘がなされた。
    • 疾病のリスク評価は、食生活、生活習慣、飲酒などの環境要因も重要であり、遺伝子解析が進展した場合でも遺伝要因のみで完結できるものではない。公共性の高い事業であるため客観性や消費者の納得感が大切である。
    • 消費者の努力によって保険料が戻ってくる仕組みは消費者にリスク改善の努力を促す効果がある。ただし、消費者が納得できる商品設計が重要である。
    • 等級制度があり保険料格差の小さい日本においては、車にデバイスを搭載し走行状況を記録するサービスにおいては保険料割引だけでなく事故防止の価値が求められる。
  • スマートフォンの普及、ソーシャルネットワークの発達、コスト節約、地球環境に優しいことから、シェアリングエコノミーが急速に普及したとの認識が提示された。
    • 現在、地方では高齢者が運転せざるをえない状況が多く、これが事故の原因になることも多い。ライドシェアのサービスは事故を減らす効果がある。

iii. 保険会社への顧客ロイヤリティの低下

  • 個人のリスクが標準化・コモディティ化され、ビッグデータの収集が可能な他業種のプレーヤーに顧客リレーションが奪われていくことにより、顧客の保険会社に対するロイヤリティが低下するとの見解が示された。

iv. 新たなビジネスチャンス

  • ハッキング防止や、サイバーリスクに係る保険が今後の焦点になるとの見解が示された。
  • 自動運転やAIを活用したサービス等において、機械が人間の代わりに仕事をする際に、機械の誤作動をカバーする保険が求められるとの意見があった。
  • ビッグデータ、AI等の技術進歩により、引受け時の危険選択の精度があがることが予見される。危険選択の精度があがることで、生命保険を利用できなかった消費者が利用できるようになる可能性がある。また、保有契約の健康状況関連のデータに加えて、外部の健康関連のデータを組み合わせて分析することで新たなマーケットが発見できるのではないかとの見解が示された。

2. データの収集と利用における現状と課題

i. データの収集

  • 日本におけるOBDIIの導入は海外に遅れており、また、デバイスは一定レベルまで標準化されているにもかかわらず、一般への利用推進が行われていないため、利用推進に向けては、政府の後押しが必要との意見があった。

ii. データの本人確認

  • ウェアラブルから収集したデータは本人確認の課題があるとの指摘があった。課題解決には、他社とのデータ連携及びビッグデータ分析の応用が挙げられた。
    • ウェアラブルデバイスが正しく使われないと、データの利用可能性が低下する。なりすましや都合の良いデータのみの登録等は防止する必要がある。デバイス側の対応だけでは限界があるので、このような誤差も考慮した分析が求められる。
    • ウェアラブルデバイスから収集するデータは本人確認の問題がある。また、収集するデータ、例えば運動量がどの程度保険料に影響を与え得るかといったことも論点である。更に、誰が装着しているのかという本人識別も課題である。よって、自社でウェアラブルデバイスを配布・装着してもらうのではなく、健康関連のサービスに生命保険会社が参画する形でデータを取得することも一つの方法であると考えている。
    • スポーツジムやドラッグストア等、データ取得に第三者の関与がある場合、データ偽造の可能性が低下する。
    • 将来、ビッグデータ分析により、人の行動パターンの特定が可能になれば、データの本人確認の課題は軽減できる可能性もある。

iii. データの共有

  • 日本では、異なる会社間のデータの汎用性が低く、データフォーマットが統一されていない課題があるとの指摘があった。米国のアコード標準書式のようなスタンダードの構築が必要であるとの意見が提示された。
  • 保険の根本は事故リスクを大勢でシェアすることであり、データ分析が進めば一部の人のみが保険料を負担することになりかねず、保険の前提が崩れてしまう可能性があるとの指摘がなされた。一部の保険会社、保険業界だけで進めるのではなく、オープンな環境でプラットフォームを構築していく必要があるとの意見があった。
  • 複数の保険会社と保険契約を締結している場合の名寄せにおいて、現在は精度が100%にならず、他人のデータが混ざる恐れがあるとの課題が提示され、マイナンバーの活用による解決策に期待しているとの見解が示された。
  • 各社が協力してビジネスに取り組むこともいいが、競争があるからこそ効果的な分野もある。データ共有について、この視点も踏まえて考えるべきであるとの見解が示された。
  • 顧客情報の持ち主が誰かという問題を考慮しなければならない。すなわち、顧客が営業職員との人間関係を背景に提供した情報が営業員に帰属するか、会社に帰属するかの問題である。顧客が違和感等を持たない範囲で顧客情報を会社に帰属させ、更にデジタル化できれば、マーケティングでの活用余地が大きい。

以上

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最終更新日:2016年4月8日
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