経済産業省
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産業・金融・IT融合に関する研究会(FinTech研究会)(第11回)‐議事要旨

日時:平成28年4月27日(水曜日)9時00分~11時00分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

議題

  1. 開催挨拶、趣旨説明
  2. プレゼンテーション
    (1) 東京大学 柳川様
  3. 自由討議

議事概要

1. FinTech検討の範囲や意義、取り巻く環境

i. FinTechの意義について

  • 金融は経済において血液としての役割を果たしているので、技術革新により金融サービスが高度化すると経済成長・生産性向上というイノベーションに繋がる。
  • FinTechの本質は、新しい価値観を創造することで、既存の金融サービスを顧客本位のサービスに転換すること。
  • 地方創生の文脈で活用し得る。
  • 日本銀行では、4月1日に、「FinTechセンター」を設立した。FinTechの動きが金融サービスの向上や持続的成長に資するものとなるよう、イノベーションの触媒になることを目指す考えである。

ii. 金融業のアンバンドリング化について

  • 金融業のアンバンドリング化が進むと、収益源を明確にするビジネスモデルが重要になる。日本は相対的に苦手であるが、伝統的な金融産業のようなプラットホーム・ビジネスを展開していくべき。

iii. 海外企業との提携について

  • 国内だけで何かをやるという発想も大事だが、海外のベンチャーへの出資や提携も進めていくことが重要である。

2. BtoC、BtoB等のFinTechサービス

i. クラウドファンディングについて

  • FinTechによるリスクマネー供給について、クラウドファンディングのようにリスク分散を進めてリスクマネーが供給されるということと、技術革新によって情報の非対称性が緩和されてリスクが低減することでリスクマネーが供給されるという2つの意味がある。
  • 社会全体の信頼度の高い日本では、クラウドファンディングが有効にワークして、ベンチャー等へのリスクマネーの供給に寄与しやすい。

ii. 金融リテラシーと金融教育について

  • 日本は欧米に比べてお金を稼ぐということについての議論が教育でなされない。お金を稼いだ後どうするかも含めて、何のために稼ぐのかという教育も必要。
  • 新サービスを導入する際に、規制を厳しくするだけでは足りず、必要な知識を規制当局が国民に教育することが重要。金融リテラシーを高めることが、FinTechへの消費者の参加の拡大に繋がる。
  • 教育という意味では、学校の教育だけでなく触れさせる場を増やして慣れさせるということも重要。
  • 日本人の金融リテラシーが低いと言われるが、多くの若い投資未経験者がロボアドバイザーのサービスを利用するようになっている。

3. 既存金融機関とベンチャー企業の協調と競争

i. 競争環境について

  • FinTechを日本の競争力強化に繋げることが重要で、その為にはFinTechに関わる企業が相乗効果を生むための国内の健全な競争環境が必要である。

4. 情報の活用と課題

i. 情報の取得環境について

  • アメリカのFinTechが成功している背景には、個人或いは企業が情報を出来る限り広範囲にオープンにしているというところがある。日本は、政府・企業ともに最低限の情報以外は基本的に秘密にするというカルチャーがあるので、こういう外部環境も解決していかないといけない問題。
  • 金融は情報格差が取引コストとなっているが、IT技術の発展により情報格差が埋まることで取引コストは下がっているが、日本では未だ情報がばらばらで集めにくい環境であることは課題。そうした環境下で、金融に近い情報を吸い上げているスタートアップと提携していくことが重要。

5. 金融ITシステム

i. 守りの投資と攻めの投資について

  • 日本の消費者の金融機関への期待は高く、その期待値の下に制度があるので守りの投資が相対的に大きくなるが、海外のような攻めの投資も考えておかなければならない。

ii. システムの安全性と利便性のバランスについて

  • ネットビジネスと金融ビジネスに求められる信頼性の違いが日本では存在するので、一般の人々に対して信頼性の高い金融システムが存在する中で、何らかの形で安心を担保しながらリスクをとってFinTechビジネスを導入するメリットがあることを理解してもらう必要がある。

6. 新技術としてのブロックチェーン

i. ブロックチェーンの技術活用と規制との関係について

  • ブロックチェーンの技術を活用することは大きな構造転換になる。規制サイドからは、これまで積み上げてきた安心や健全性を損なうことの無い構造転換が必要で、ビジネスサイドからは積極的にできること・できないことを出していきプラクティスを積み上げることが重要である。
  • ブロックチェーンの技術について。これを導入して金融サービスを始めるにあたって、どういうことが可能でどういう規制が必要なのかを意見募集を始めてフォワードルッキングに考えておくことが必要である。

7. イノベーション

i. イノベーションの条件について

  • イノベーションの前提条件は、オープンデータの充実と、法制度等が他国と比較して制約になっていないということ、プレーヤーが扱うデータのフォーマットを標準化すること、過度な信頼性を求めずに利便性を追求する文化を醸成すること、日本発のスタートアップが海外進出する環境を作ることである。

8. 人材

i. FinTech人材について

  • エンジニアの活性化の為には、流動的な転職市場があることが必要であるが、経営側は、日本が未だ長期雇用制度が強い国であることも認識しておかなければならない。

9. 環境整備に関する論点

i. 技術革新と規制の在り方について

  • 技術革新の高度化に対応する規制や制度が重要である一方で、フォワードルッキングに先にルールを提供することも重要である。
  • 制度の不確実性を下げるという観点から、行政の側の制度を所管する部署がスピード感を持って技術の変化に対応するということが重要である。
  • 日本の制度上の問題としては、既存の法令・運用・慣習が既に成り立って一般システムとしてワークしているので、新しい環境の整備が難しいこと。難しいが、改めて見直すことが必要である。

ii. 横断的な規制について

  • FinTechがどういう状態を目指すかという視点で、個々の法律ではなく全体の法律を横断的に見る議論がされることが重要である。
  • 個々の法律について議論するのも必要だが、法律の全部の業態を縦に区切るアーキテクチャを変えることが重要である。
  • 金融機関同士、他産業との連携が重要であるが、その際に管轄庁が違うから難しいという話ではなく、横断的に見ることができる仕組みが必要である。
  • 縦の規制を横断的な規制に変えていくには、大局観と、個別論の積み重ねが必要。FinTechの産業政策として政府が進めることも突破口になり得る。

iii. 海外の規制との在り方について

  • 日本の企業が外国に進出するコストを下げる為に、日本の政府には海外の政府との情報交換から制度の統一化、ないしお互いの国の制度に関する理解を深めてもらいたい。EUの規制当局は日本の規制との同等性評価も行っている。卑近な例では、日本の企業が日本の制度を説明する為の英語の資料も常に準備すると良い。

iv. ベンチャー企業の参入コストについて

  • 新規参入するときに2つの規制が2つの団体で団体設けられていていたりするので、合一化することで、新規参入コストはだいぶ下がる。
  • スタートアップは収益性がないと業態を持続できず、イノベーティブな発想もスポイルされてしまう恐れがある。収益性を確保するという意味で、既存の金融システムを使用するコストがもう少し安くなれば、持続性も改善される。

以上

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最終更新日:2016年5月27日
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