経済産業省
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FinTechの課題と今後の方向性に関する検討会合(FinTech検討会合)(第3回)‐議事要旨

日時:平成28年9月1日(木曜日)10時00分~12時00分
場所:経済産業省別館3階312会議室

討議テーマ

  1. FinTechが経済、社会、企業経営等に与えるインパクトをどう認識しているか。特に着目すべき変化は何か。
  2. そうした環境変化の中、企業(金融機関及びFinTech企業等)として、どのようなことを経営課題として捉えているか。
  3. 今後の環境変化に対応するために、必要な環境整備や政策は何か。

議事概要

1.FinTechの捉え方について

A)FinTechの目指すもの

  • 金融の目標は、経済の持続的成長・国民の厚生の増大、安定的な資産形成であることから、FinTechの目指す方向性は金融仲介機能のサポートと、今まで考えられなかった利用者の利益に沿ったサービスが提供されることで市場活性化されることであるという意見があげられた。
  • 現金社会の日本のFinTechの目指すところは、取引の電子化・データ化により資産を可視化して投資を拡大していくことではないかという意見があげられた。
  • FinTechのメリットはトランザクションをスムーズにすることで、お金の流れがスムーズになることである。インターネットやFinTechにより金融サービスのコストが下がるのは、新しいプラットフォームができてマッチングコストが下がるということであるという意見があげられた。
  • 金融のファイナンシャルトランザクションの高度化が一つのメリットであり、引き続き深堀した方が良いという意見があげられた。
  • FinTechのメリットはトランザクションの高度化であり、保険も同様に限りなく低コストにできうる。これは一つの国民の厚生につながる見せ方ができるのではないかという意見があげられた。
  • 日本の現金が多い、投資が少ない、電子決済が低いという点はそもそも日本人の特性であり、キャッシュレス化しても消費が増えるかは疑わしいという意見があげられた。

B)FinTechによって解決される我が国の社会課題

  • 日本の金融が抱える課題をイノベーションによってどう解決するのかという発想に基づくと、例えば、フィデューシャリー・デューティについての課題をFinTechがどう解決するのか検討することが重要ではないかという意見があげられた。
  • 少子高齢化や労働人口が減り、中小企業が人の確保が難しくなるという変化は明確なので、この課題にFinTechによって対応する仕組みを作ることが生産性向上という点からも重要ではないかという意見があげられた。
  • 日本版金融包摂としてのインパクトは、低リテラシー、地方在住者、中小企業、ニッチ市場などの市場の拡大であるという意見があげられた。

2.API開放について

A)海外動向等を踏まえたAPI開放のインパクト

  • 欧州では、アクセス・トゥ・アカウントという形でデータ連携に応じる義務を課しており、その連携手段としてAPIが有力視されていることから、銀行は口座情報開放を前提としたビジネスモデルを作らなければならない流れになっているという意見があげられた。
  • API開放のインパクトの1つ目は、例えばAPIによってモバイル端末から直接銀行口座にアクセスしてどこでも安価な手数料で国境をまたいで決済ができるようになると、既存のクレジットカード会社は代替されてしまう世界が訪れることであり、この動きは将来ブロックチェーンと繋がると更に大きなインパクトになるのではないかという意見があげられた。
  • API開放のインパクトの2つ目は、当局にとっても、仮に金融のアンバンドリング化が進むことでリスクが散在する世界においても、APIを通じてリアルタイムで金融データのモニタリングが可能になるのではないかという意見があげられた。
  • APIを開放して金融領域のフリクションコストを下げることは賛成だが、日本の密結合の金融システムのもとでは、断片的に切り取ってサービス化するのは難しいのではないかという意見があげられた。

B)銀行にとってのメリットの提示、銀行とFinTech企業のWin-Win関係の構築

  • 金融機関側のインセンティブを明確にしないと企業と一体になって進められないのではないかという意見があげられた。
  • API開放の銀行側の利益は何か?自らの銀行名で統合的なサービスを提供しているのにわざわざ切り離す意味は何か?既にAPIを開放している銀行がWinWinになっているのか疑わしいという意見があった。
  • PSD2のように規制として迫られるわけでないなら、どういう利益があるのかきちんと議論しなければならないという意見があげられた。
  • 更新系APIを使うと収益がどれくらい上がるかを数字で示すことが必要だが、これにはサンドボックス等の形で試してみるほかないのではないか。海外の事例も日本とは環境が異なるので一概に参考にはできないという意見があげられた。
  • 日本の預金者のインターネットバンキング比率が低いのは、預金口座とインターネットを接続することにネガティブな感覚を持っている人が多いことの裏返しであるとすると、彼らを説得することが必要という見解が示された。
  • 彼らを説得するのは、銀行だけの力ではこれまで難しかったので、一つの解としてFinTech企業が協力するというのがWin-Winの形としてあるのではないかという見解が示された。他方、預金者にFinTech企業の存在を納得させることは難しいという意見があった。
  • APIの開放は銀行だけでなく各業界が行えばAPIハブが構築できるのではないか。APIによりトランザクションコストが落ちることで、参加者が増えると銀行側にもメリットがあるのではないかという意見があった。
  • Win-Winの関係作りは、日本独自の仕組みを作るうえでは重要であるが、グローバル競争を見据えるのであれば、0・100での競争を見据えることも必要なので、目標を日本国内・グローバルどこに設定するかも重要であるという意見があげられた。

C)社会的なニーズの側面からAPI開放の義務付けはあり得るとの立場

  • 銀行APIの話では、銀行側にどんなメリットがあるのかは重要だが、社会的なニーズが存在するならば、通信・電力の産業のように行政側から開放させていくことはできるが、社会的なニーズを導き出せていないのではないかという意見があった。
  • 関係者が納得し、公共の目的の為であれば政策的に金融機関にAPI開放を義務付ける議論はあり得るが、エンドユーザーを納得させること、FinTech企業が提供できるサービスが公共の利益になることを伝えることが重要という意見があった。
  • 社会全体のITリソースを効率的に利用することという点ではAPIの開放には賛成であるという意見があった。
  • ETCのように国の施策として、ユーザーに試しに使ってもらう環境を作ることも重要という意見があった。

D)セキュリティの担保や技術仕様の共通化等についての議論の必要性

  • APIについては、インターネットが重要だと思うが、ユーザーメリットを拡大しながらどうセキュリティを担保するかが課題であるという見解が示された。
  • APIの開放について参照系については技術的にも確立されており行えば良いが、更新系についてはセキュリティ上の要請に応えない限り安易に全部の預金者について開放するのは預金者の納得も得られないのではないかという意見があげられた。
  • FinTech企業のセキュリティを担保する為に、事業者側でもFISC,金融庁、銀行等から意見をもらいながら自主ガイドラインを作成している。更新系APIについては、特にセキュリティはしっかりやっていくべきであるという意見があった。
  • 先走りすぎている感があり、APIの許容情報量や、許容スピード、仕様の共通化をどうするか等について議論されることが必要であるという意見があげられた。

E)データはユーザーのものであるという視点からの捉え方

  • ポイントは、テクノロジーによって、個人が個人のデータをコントロールできるようになるということであり、銀行残高等のデータをどうコントロールすべきかということになるという見解が示された。
  • データはユーザーのものであり、ユーザーがベネフィットを終えるなら開示して使えるようにするのが企業側の努力であるが、本人確認義務を課すことで経済活動が停滞している可能性には留意が必要であるという意見があった。
  • 銀行はこれまでデータを囲い込んで情報格差でビジネスしていたが、この格差をなくすことが重要との見解が示された。他方でコストとビジネスモデルの観点からは、欧米では銀行がアグリゲーションビジネスを始める、データ連携プラットフォームになるなどのモデルが考えられているが、日本でも早急に対応しなければならないという意見があげられた。

F)その他の論点

  • 銀行代理業の免許が必要等の法的な整理は予め必要であるという意見があげられた。

3.国際的な対応について

A)国際的な規格競争

  • 国際競争、とくにアジアの中の日本という環境を踏まえると、中国は国をあげてブロックチェーンに対応しようとしていることに対して、資本主義国としての日本はどこの国とどんなスピード感でどう対応するかの検討を始めないと間に合わないのではないかという意見があげられた。
  • ブロックチェーンへの対応の時間軸は難しいが、ブロックチェーンの真価を発揮させるには先ずAPIであることからすると、欧州は2018年にAPI、その次にブロックチェーンの実用化としているが、一方で日本は2020年を一つの時間軸としていることからバックキャストして誰と何をするのか考える必要があるのではないかという意見があげられた。
  • 国際的な規格競争の中でFinTechをどう位置づけるかが重要という意見があった。
  • 諸外国がどんどん開発を進めており、技術革新のスピードも速いので、多少のリスクはとりながらもFinTechにおいて行政・事業者側それぞれ多少乱暴であってもアジャイルで進めていくべきという意見があげられた。

B)海外企業がプラットフォーム化する可能性

  • 決済プラットフォームがアップル・グーグルのスマートフォンに握られてしまうと、最初はクレジットカード決済を使う形であっても、決済の方法が変えられてしまうのではないかという危機感があるという意見があった。
  • いろいろなところの仕組みをつくったとしても、プラットフォームは握られているので、基本的なところを差しかえられてしまうと全く意味がなくなってしまうという見解が示された。それを避けるためには、競争政策上どのようにしていくのかということも喫緊の課題として考える必要があるという意見があげられた。
  • プラットフォーム化が重要であるが、既存の金融機関が金融プラットフォームを担わない可能性がある点は重要であるという意見があった。

4.必要な政策対応について

A)規制の例外を認める実地テストの実施の必要性

  • これまでの金融規制は事前規制であったが、イノベーションのスピードにはついていけないことから、実地テスト的な規制手法の検討も必要である。また、レギュラトリー・アービトラージを失くすこと、リスクに応じた規制をどう設計するかも重要であるとの見解が示された。
  • 前例が無いことを進めるということで、規制当局の後押しが重要であるとの意見があった。
  • 判断した上でどう実現するかというと、機動的に例外を認める枠組みとして、ビジネスモデルの実地テストを行わなければならないという意見があげられた。
  • ビジネスモデルの実地テストの後、どう法制化するのかをスピード感を持って整理しておく必要があるという意見があげられた。
  • 日本では、ソーシャルな部分において、サービスの切り分けについて業法で進んでおらず形式に留まっており、監督指針に記載されているがゆえに海外では有望なモデルが日本では適用できないのではないかという意見があげられた。
  • ビジネスモデルを行う上で監督指針が障害になることが多いので、イノベーションを推進するという目的の下、リスク管理を適切に行ったうえで限定された期間、対象者に対して、当該監督指針を適用しないということをやっていただきたいという意見があった。さらに、役所が責任を取れないという点については、英国、シンガポールも同じであり、想定されるリスクに対して適切な対応が確保されているという点で十分ではないかという意見があげられた。
  • レギュラトリー・サンドボックスの出口は、便利で困るものがいないという結果であればすぐにルールを変えるべきであり、監督指針の変更は最速で3~4ヶ月でできるのではないかという見解が示された。
  • 規制の例外を認める枠組みには賛成であり、全部特区といったものが必要ではないかという意見があった。

B)その他の環境整備

  • 大企業におけるイノベーション導入戦略としては、トップがコミットして経営戦略として位置づけ、直属の部隊を設けることが鉄則であるので、当局がイノベーションをエンブースするのであれば、同様に、企画、監督とは離れた省庁の長期戦略の責任を負う幹部の直属組織としてのFinTechの担当部署を設置する必要があるとの見解が示された。この部署は、上がってきた新しいビジネスモデルについて、今後の金融ビジネスのゲームチェンジャーとなるものであるかどうか、金融の円滑をより推進し、顧客第一という金融の理念を、競争を通じてより体現できるチャンスがあるものかどうか、機動的に例外を認める枠組みをもって、判断していくことが重要という意見があげられた。
  • キャッシュレス化することが日本の成長の為に、社会厚生を良くするために資するのであれば政策的対応が必要であり、FinTechがそこに貢献できるのだというロジックで説得していくことが必要という意見があげられた。
  • 業種毎の縦割りの業法規制を業務のアンバンドリング化を含めて見直してほしいという意見があった。
  • 犯収法の本人確認を携帯キャリアの本人確認に依拠、或いはマイナンバーを活用した確認に代替して利便性を向上してほしいという意見があった。
  • 金融行政だけではなく、他の周りの行政とセットで行わないと良い金融行政ができない時代になってきているのではないかという意見があげられた。

5.FinTech社会に向けたKPI等について

A)諸外国における事例

  • 役所に対して定めるKPIは、数字を絶対化するためのものではなく、アカウンタビリティを高めるものとしての活用が必要ではないかという意見があげられた。諸外国の事例として、英国では申請に対する処理の結果に関するデータ分布を基に原因についてディスカッションをするためのフレームワークを公表しており、その結果を規制改革のタマとして使い、PDCAを回しているという報告があった。

B)KPIの設定に際しての留意点

  • KPIを設定しても、どこまでFinTechに期待を持っているのかについての世間一般のマネジメント層との温度感の差を埋めないと意味が無く、その差の埋め方を工夫しなければいけないといった意見があった。
  • KPIは受け止め側の納得感のあるものにする必要があるという意見があげられた。
  • ユーザーとしてFinTechの利用が中小企業まで広がることが重要だが、どうやってそれを進めるのかを検討いただきたいという意見があった。

C)ユーザーにとっての具体的なメリットの提示の必要性

  • FinTechについて一般のユーザー、企業・金融機関の経営者に伝わっていないのは具体的なメリットがはっきりしないからであるという見解が示された。
  • 一般の消費者、企業に対して、リスクと比較したとき大きなメリットがある点を説得できるかがポイントであり、特に企業サイドのメリットは第4次産業革命の議論に繋がってくるという意見があげられた。
  • メリットの示し方としては数字も重要だが、企業にとってどういうことが可能になるかを示すことが重要であるという意見があげられた。
  • ユーザーメリットの示し方としてFinTechな生活は素晴らしいという意見があった。

6.その他

  • ユーザー志向が大事で、スマホを通じた異業種との接合も議論すべきという意見があげられた。
  • EレシートによるDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)が求められるという意見があった。
  • エンジニアは多いが、CTO等の高度人材が不足していることが課題であるという意見があった。
  • リテラシーの向上を教育ではなく経験を増やすということによって行ってもらいたいという意見があった。

以上

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最終更新日:2016年10月19日
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