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FinTechの課題と今後の方向性に関する検討会合(FinTech検討会合)(第5回)‐議事要旨

日時:平成28年12月12日(月曜日)14時00分~16時00分
場所:経済産業省別館11階1111会議室

討議テーマ

  1. FinTechが経済、社会、企業経営等に与えるインパクトをどう認識しているか。特に着目すべき変化は何か。
  2. そうした環境変化の中、企業(金融機関及びFinTech企業等)として、どのようなことを経営課題として捉えているか。
  3. 今後の環境変化に対応するために、必要な環境整備や政策は何か。

議事要旨

1.FinTechの捉え方について

A)考慮すべき要素としてブロックチェーン・仮想通貨について盛り込むべきという意見があった。

  • 個人の履歴を信用情報として、その信用に対してお金を貸すという仕組みを担保するための技術としてブロックチェーンが非常に重要だと思う。
  • 分散・協調の観点、中小企業を盛り立てていくという文脈で、ブロックチェーンや仮想通貨について言及すべきである。

B)FinTechの位置づけとしては、第四次産業革命を支えるものよりも、もっと広範に捉えるべきという意見があった。

  • 産業全体を大きく捉えて、日本の大きな戦略論を語る上では、FinTechの位置づけとしては、第四次産業革命を支えるというだけでは十分ではないかもしれない。

C)金融排除、或いはデジタルディバイドに対して、FinTechが解決策を提示できる余地があるのではないかという意見があった。

  • 日本では、ベンチャー企業が既存のサービスのユーザーに、少し違う形の別のサービスを提供してシェアを獲得するというのは難しいと言われるが、まだまだ日本には潜在ユーザーがたくさん存在するのではないか。例えば、お金について色々な意味でハンディキャップを背負っている高齢者の方々が、FinTechサービスの受益主体になることは十分あり得るので、そこを目指すというのが、日本にとってのユニークなポイントではないか。
  • デジタルディバイドの向こう側にいる方々にFinTechサービスを提供するという大企業ができないことを行なうスタートアップに支援をすることが重要である。それは特区という言い方が良いかどうかは分からないが、良い意味でハンディをつけることによって、日本独自の展開ができるのではないか。一方で、デジタルディバイドとは無縁な一般の若者は、スマホを持って、海外ブランドのクラウドサービスを使っているので、そこに新しいバリューは提供できないと思う。

D)金融機能のアンバンドル化という視点が重要であるという意見があった。

  • ユーザーのニーズを満たせるFinTechサービスは存在するが、誰が提供をするのかという課題がある。金融では特にこういう課題が多く、例えば、為替、貸付については、銀行という色々な機能が統合された重厚な事業者でないとサービスが提供できないということになっている。しかし、その重厚な事業者の中のこの機能だけを使いたいという事業者が世の中には存在しているので、特定の機能だけを提供できるビジネス、ライセンスをつくっていくという発想はあっても良いと思う。
  • 金商法は少し前に機能分化を行なったわけだが、銀行も機能ごとに分けていくことが重要である。既に、貸金業や資金移動業は機能として分化しており、最近は回収業も分化していると言えるかもしれない。一方で、保険はこういうことができておらず、全部一体でやらなければならないが、海外では、引受けのリスクをマネージする会社と保険を販売する会社とクレームを受ける会社が全部分かれていて、それぞれが有機的につながってサービスを提供するという形態を取っていたりするという点には注目すべき。

2.イノベーションを振興するための方策について

A)イノベーションを振興するためには、一定の定量的な基準をクリアすれば、一定の範囲で規制をかけないようにして、新事業の参入スピードを上げる枠組みが重要であるという意見があった。

  • イノベーションが進む施策づくりについて、サンドボックスの部分にもあるが、グローバルでみたときに日本の企業も海外の企業も共通して言えることは、参入のスピードを上げることがテーマになるのではないか。日本企業、グローバル企業を問わず、統一した施策、制度があると良いのではないか。
  • 政策となると、レギュラトリーサンドボックスの話もあったが、一定の許容をしていただいた方には今の金融業界の品質ではないが、早いもの安いもの便利なものを使えるようにできる施策が重要であると思う。
  • ある程度乱暴だが間違いも覚悟で、FinTechベンチャーなり、新しく規制と関係無しに自由なことをするのをある程度許してあげることが重要である。もちろん競争の原理で負ける人は負けるので、多くの敗者は生まれると思うが、中には生き残って、クリティカルマスを取るとか、トラクションのドライバーになるところが出てくるので、それに賭けるしかないのではないか。
  • 一定の基準を定量的に定めることで、定量的なものは機械であれば判断ができて、ここまでは必要で、ここまでいくとストップというのができる世界になるので、それに合った規制の形を導入する。例えばシェアリングエコノミーであれば、民泊を180日以下ということで切っていただけるとあったように日数で切ってしまうことである。何が業なのか業ではないのかという話を反復継続の意思というあいまいなもので定義するのではなく、ルールになるような形の基準を定めること。これは法令レベルである必要はなく、運用レベルでも良いが、それを設けていただくだけで全く違った世界になる。欧米の規制と日本の規制のデザインの最大の違いは、ここにあるのではないか。

B)イノベーションを振興するためには、ユーザーにサービスレベルを選択させるという考え方が重要であり、クラウドサービスはそうした考え方と親和性があるのではないかという意見があった。

  • FinTechの話の中で出てこなかった部分では、生体認証やAIを使っての行動認証もある。一律に全て弱者に合わせたものではなく、サービスレベルを選択できるようにすることが重要である。特に金融業界は、かなりの品質を求めてきたので、色んなサービスレベルを許容できる環境にすることであり、政策的にはサンドボックスもその1つ。
  • 政策もしくは法律デザイン、さらには裁判所の判決もそうだが、全てを個別案件として捉えて、具体的な事案ごとに個別具体的に検討して、実質的に妥当な結論を出そうとし過ぎているのが問題である。裁判所はそういうフレームワークを取っていることもあるので、行政で別のフレームワークを取るというのはもしかしたら難しいかもしれないが、もっと定量的な基準にすることを追求すべきである。
  • 今までは武器であったが、今後変えていかなくてはいけない部分としては、利用者への過保護と過剰品質ではないか。すなわち、事故ゼロを求めることを変えていかなければならない。
  • クラウドサービスの良い点は、ユーザーの意見を聞きながら、全部は聞けないものの投資対効果でユーザーに安く良いサービスを届けるために、一定のサービスレベルで我慢するべきところは我慢してもらうビジネスのつくり方であるところである。
  • 事故ゼロを目指すとなると個別業務設計が必要になり、品質維持コストが大きくなる。この品質維持は確かに重要だが、グローバルの特にクラウドなどのサービスにおいては、改善すべき点、投資すべき点等について、ある意味許容していただきたい部分という線引きがしっかりなされていることが、コストをそこまでかけずにより良いサービスをつくり続けられるポイントだと思う。

C)イノベーションを振興するためには、法令も時代背景に合わせて変えていく必要があり、その際には技術中立的であることに留意すべきではないかという意見があった。また、規制間の整合性を過度に確保しようとすべきではないという意見があった。

  • 書面交付義務の緩和について、もともとは書面を渡すことに意味があるのではなく、書面の中に記載されている情報が提供されることが重要であったが、立法当時は書面というツールしかなかったという点を踏まえて、時代背景に合わせて変えていく方が良いのではないか。
  • IT書面で記録の提供ができるものについて、IT書面円滑化法の枠組みが残っているが、スマホ等が存在しない当時の時代背景のもとでIT化を促進するという要素を含む法律であり、原則書面、例外的にデジタルというたてつけだが、決済をデジタルで完結させることが主となる時代において、改めて見直していっても良いのではないか。
  • IC対応について、ICは、世界的には普及しているものの、日本国内においては十分普及していない代表選手として取り上げられているだけであって、セキュリティを確保することがポイントであるので、提言としても、ICチップを使った方式自体は、セキュリティを担保するための1事例に過ぎず、技術中立的な提言の方が良いのではないか。
  • 東南アジア、中国では、QRコードが決済手段として普及している中で、電子経済のセキュリティの為の政策として、キャッシュレス決済は進めるべきだと思うが、IC対応化という方法論が正しいのだろうか。QRコードがセキュアであるかという問題は別として、検討すべきではないだろうか。
  • 対面から非対面へ、紙からデジタルへという大きな部分が施策として十分になされていないのではないかと懸念している。つまり、今までの規制体系の延長では、過去の規制との整合性によるので、例え仮想通貨のようにどう考えてもデジタルのものであっても、原則対面・例外非対面、原則紙・例外デジタルのような法律になってしまうので、過度に規制間の整合性を確保しようとすべきではないのではないか。
  • 規制間の整合性を確保するのであれば、全部をデジタル側に寄せるようなことをしなければいけない。それは紙でなければいけないというルールをやめるということで良く、インターネットが普及してから20年以上経っているが、まだ政策としてできていないと感じるところなので、触れることはできないか。

D)マイナンバーのアカウント1つで行政サービスへのすべてのアクセスが確立できるようにすることは重要であるという意見があった。

  • 行政に関しては、国が浸透させようとしているマイナンバーをシングルアカウントとして、行政サービスへのアクセスを1つの鍵でできるように、マイナンバーの個人認証を中心としたあらゆる行政サービスへのインターフェースの確立というのは分かりやすい。免許を取るのも、住民票を発行するのも、とにかくマイナンバー1つで可能となると、セキュアも確保されるのではないか。

E)イノベーションを振興していくうえで、既存の大企業に「イノベーションのジレンマ」があるという点には留意することが必要であるという意見があった。

  • 日本の全ての大企業が、デジタル化に舵を切れるかというと、実際はビジネスロジックを変えるのが大変で、例えば、変えるためのコストをどうするのかという話になるので難しい。目下のところ、できることがあるとすれば、スタートアップ、もしくは中小企業のように、システムがそれほど整備されていない事業者がシステムを整備してデータ戦略をどんどん始めていくように誘導することで、大企業に対して、自分たちが負けるのではないかという脅迫観念を持ってもらうことであり、デジタル化できるところからどんどん進めて、効率性を上げていくことが重要だと思う。
  • 有名な本のタイトルでもある「大企業のイノベーションのジレンマ」があり、アメリカではきれいなイノベーションのジレンマで世代交代する一方で、日本では、規制、レガシーのものが受け入れられるシステムで続いているのは、日本企業や日本社会の強さが世代交代を妨げているのではないか。
  • 大企業は、自らの生存の論理として、個体生存の法則として、今あるものを全て捨てることはできないので、大企業の内側からのイノベーションは難しいと思う。

F)デジタルフォーマットの違いは行政・民間含めてあらゆるところに存在するので、FinTech世界の進展には、ベンダーが工夫することが重要ではないか、或いは、国家としても全体最適を達成するためにフォーマットをどうするかという大きな方向性を出していくべきではないかという意見があった。

  • ベンダーが色々な仕事を請け負ってシステムを作るときに、本来であれば同じ仕様になっていた方が良いものが、異なる仕様になっていることは実態上よくあるので、フォーマットを標準化するなどの工夫が重要ではないか。
  • システムとしてクラウドを使ったからといってフォーマットが統一化されていく保証は無いので、どうリードしていくべきか検討することが重要ではないか。
  • 電子レシートの普及についての課題は、レシートの記載の中身とか使っている商品コードがきちんと統一されているかどうかであり、それらを統一しないうちに電子レシートが普及しても、逆結果になるだけではないか。
  • あらゆる大企業が、個別につくり込んだシステムを作っている結果、フォーマットが統一されていないためにシステム間の連携ができないというのが最大の欠点である。
  • フォーマットの違いはあらゆるところに存在し、例えば行政でも、地方自治体は例えば自動車税の納付のために交付されている納付書のバーコードのフォーマットが市区町村によって異なるので、市区町村ごとにプログラムとして読み込みができるようにしなければならないという事態がある。そうしたことを国中で起こさないようにしていくことが重要で、確かに部分最適は色々あると思うが、全体最適としていくべく、大きな方向性を出していくことが非常に重要だと思う。
  • そもそもインターネットもスマホもクラウドも、デファクトスタンダードという言葉に全部代表されると思う。国の違いも、国境もなければ、強い者が勝つことになる。一番良い技術ではなかったが、あの人が一番強かったということで全てが成り立っている。つまり、政策的に手を入れようとすればするほど、ローカルルールでやろうとすればするほど、むしろガラパゴス化してしまうのではないか。
  • この国にはCTOがいないので、国としてきちんと指名していただき採用して、国・地方自治体として使用するフォーマットをどうするかということについても技術的観点からきちんと判断していただきたい。そうしないと部分最適がたくさん集まった状態がなかなか解決されない。

3.データ・ポータビリティについて

A)欧州では、データは個人のものであるということが明文化されているので、事業会社のデータを個人がAPIを接続して取れる仕組みになっているが、一方でデータは個人のものであることが明文化されていない我が国においては、そこまで踏み込んだ形にはできないのではないかという意見があった。また、例えば、銀行とクレジットカード会社が別々の企業である等、業界構造が違うという点もデータ流通環境整備という観点では留意すべきではないかという意見があった。

  • 確かにヨーロッパは明文化されており、データは個人のものなので強制接続できるという考え方であり、片やアメリカは何もしていなかったということだったが、直近では、ヨーロッパでも一部契約してからAPIを接続すべきではないかという見解も出ているようであり、必ずしもヨーロッパ型は、全てのデータは個人のものなので強制接続できるわけではないのではないか。
  • 金融機関や国際ブランドがもっているデータは、その事業者が事業を行なう上で保有するようになったユーザーのデータであるが、一体そのデータは誰のものだというところと密接に絡んでくるデータ・ポータビリティに関わる議論だと思うので、ヨーロッパのPSD2では一定の結論が出されてはいるものの、我が国において、そこまで踏み込める話なのかどうかセキュリティも含めて慎重に検討する必要があると思う。
  • 欧米では、自分のデータであるのでとれて当たり前だという議論だが、日本においては、誰のデータかという議論が行なわれている。
  • 海外と日本の違いについて、海外ではデータ・ポータビリティの検討とは別に、そもそも構造的に銀行がカード会社になっており、カードの利用明細を銀行がもっているという点が異なる。日本においては、銀行とカード会社が別の業界であり、データ・ポータビリティの概念がヨーロッパとは違うものの、全銀協での議論をもとにほかのカード業界等でも議論ができると非常に参考になるのではないか。

B)我が国におけるデータ・ポータビリティを議論するにあたって、そこで想定されるデータのサイズや量・質をどう想定しているのかについて、どういうデータがあれば価値があるのかという観点から検討すべきであるという意見があった。また、データを流通させるうえで、データの所有権を明確にし、セキュリティを確保することには十分留意すべきであるという意見があった。

  • データ・ポータビリティの部分については、パーソナルデータストアの仕組みをどうつくっていくか、その中に金融の情報がどう入っていくのかという大きな議論がされている。
  • データ・ポータビリティとは具体的にどう定義しているのか明確にしていただきたい。まず、データ・ポータビリティといったときのデータのサイズをどのように規定しているのか、個人にひもづいたデータとすると限界がないので、ポータビリティと言えるような量のデータだけを考えているのか。それを元に、そのデータの使い勝手は一体何なのかというのが課題ではないか。
  • ビッグデータといったときのビッグデータのサイズが違っていたりする。そもそもポータブルに融通し合えるデータのサイズはどれくらいのサイズで、その中にどんなデータが載せられるかという部分が非常に重要である。例えば、これまで考えていたような個人属性程度であれば載せやすいが、それ以上に様々なデータを加工して個人にひもづく加工データのようなものとすると、元データのサイズが非常に大きく、ポータブルに融通し合えるものではないのではないか。
  • データ・ポータビリティといったときのデータサイズのイメージ感、どんなものがその中に入ることを想定しているかを確認したい。
  • 個人のデータについては、例えば個人の資産では、銀行とか証券会社、保険会社等との契約に基づく資産だけでなく、例えば不動産を持っていたりしており、各事業者では、個人の資産総額ではなく、ばらばらな状態で見える範囲で把握しているが、そうしたデータ全てを個人の意思で出すということは現実的なのか。また、個人の資産のうち一部が、ポータビリティ対象の範囲から外れると、データとしての完全性はなくなるという懸念もある。
  • 現在、各個人のデータを個別に集めなくても、ある程度の推定ができるので、推定できる元データがある程度あれば、サゼスチョンを行なって、各個人向けの良いサービスを提供できているので、必ずしも各個人に全てのデータを提供してもらわなくても良い時代になっているので、様々なデータを用いて解析して推計していく方が早いし、便利ではないか。
  • 自分たちの有するデータを使うにあたって、自分たちだけではデータの価値が十分に生かせなかったりすることがあるので、どういう事業者同士で連携できるかが課題になってくると思うが、そのときにコアになってくるのがデータ・ポータビリティの中核にあるようなデータベースであるということについては確信が持てない。
  • データについては、蓄積された信用情報に関する話と、マーケティングのための企業活動に関する話がある。信用情報の蓄積に関しては、基本的に日本でも業界ごとに連携をとっている部分であるのであまり課題にならなかったが、中小企業に関して、会計データだけではわからない部分、すなわち取引先だからこそ評価できる部分があるとすると、実際に取引がない事業者がその個別の信用情報を使って評価できるようにするとすれば、そうした信用情報の流通も必要になるのではないかという見方もある。
  • ユーザーの属性や決済履歴等のデータに基づいて、クーポンや特典を表示させ、広告を表示するといった単一の業界であればなされることでも、異なる業界を跨ぐ場合にはなかなか難しいという課題がある。また、制度としてオープンにデータを集めようとすると、このデータはどちらの業界のものだという議論になるので、業界を跨いだデータを揃えることは難しいという課題もある。
  • セキュリティの問題、個人情報の問題は避けて通れないので、各事業者も、セキュリティの部分は配慮しており、個人情報については、データを出して提供している人に、同意をしっかりと得ていくことが重要である。

C)我が国の企業が保有するデータ総量は、米国や中国の企業に比較して小さいので、ビッグデータ活用という文脈では、まずデータの集積が重要であり、そのためには、各データを融合させた結果、どういう具体的な成果があるということを早期に示すことが必要であるという意見があった。一方で、データを円滑に融合させるための前提としてデータの規格を標準化すること、或いはブロックチェーン等を用いてデータを分散させたままやり取りできることが重要であるという意見があった。

  • 日米を比較すると、アメリカの場合は特定の企業が膨大なデータを持っていて、色々なものに活用している。日本の場合は各企業がもっているデータの総量のサイズが小さ過ぎるので、お互いに集めないと良いものはできないが、その集めるという部分ができていない。
  • 中国のアリババが持っているデータ量は半端なく、日本の一企業が持っているデータを凌駕する量なので、そのデータを活用して色々なことを行なっている。それに匹敵するようなことを行なうとすると、日本では個別企業では難しく、同業種が一旦集まって、どういうデータをどれだけ集積できるかについて検討するプロセスが必要ではないか。
  • 個人に関しては、複数のデータをどう融合するのかが重要である。ユーザーにとっては、小売業界のポイントも銀行の預金に近い扱いである。欲しいものが幾らで、銀行口座に現在幾らあって、割引がきくのがどの店で、幾らで買えるか等が分かれば、純粋に資産と消費が密接に結びつくので、異なる業界のデータを融合して一見できるようになれば非常に価値があるのではないか。
  • 個人の許諾をもとにデータを集めるだけではなく、1+1が2以上になるデータを結びつけるための制度、BtoBでそうしたデータを結びつけることが実現しやすい政策があると良いのではないか。
  • お互いのデータを相互に活用できるようにするためには、自分の持っているデータが価値を有することが実証される必要があり、政策的に素地を整えるだけでは足りない。
  • アメリカの保険会社では、信用スコアが悪い、すなわち本人の信用レベルが低い人は交通事故の確率が高いという相関関係があることが実証分析されているので、契約者の信用情報に価値が見出され、売買の対象となっている。
  • IoTの進展で大量に取得できるようになったデータを使って色々なビジネスが立ち上がることにより、データに値段がつくと、そのデータを一生懸命集めるとか、取引しようという人が出てくる。個人情報保護には留意しつつ、政策的にどうこうするのではなく、市場的に盛り上がってくることを待つしかないのではないか。
  • データの流通を妨げるものは、制度面ではなく、データの利活用について、特に自分の持っていないデータをお互いに交換した結果何が生まれるのかということについて、まだ明確になっていないということである。活用事例を一つずつ積み上げていくことで、データを交換することが良いものに繋がるということが実感される必要がある。
  • 1つでも良いので、全く異なる業種とデータを交換して、ユーザーにすごく便利になるものが提供できるようになったという事例が出てくると、一気に進むのではないか。その良い事例がまだ世の中に知られていないのが現状なので、それをいち早く作る必要がある。
  • データ・ポータビリティについても、データを分散して持ってやり取りするというテクノロジー的な提案についても言及すべきではないか。
  • 日本がガラパゴスであることについて、日本はデータ戦略以前に、各ITベンダーが個別対応をし過ぎているということが課題であり、データをポータブルにしようとしたところで、それぞれの規格が違うという話になる。海外は、共通した仕組みを使っているので、データを動かそうと思えば動かせる状態になっている。

4.中小企業について

A)中小企業のバックオフィス業務のクラウド化は中小企業の収益力向上だけでなく、日本のデータ戦略を進めていくための前提条件として非常に重要であるという意見があった。一方で、クラウド化といった際の「クラウド」がどういうサービスを指すのか明確にすべきではないかという意見もあった。

  • クラウドのビジネスサーズを進めていくことの意味は、中小企業の収益力向上があるが、更に大きな話としては、日本のデータ戦略を本格的に進めていくための前提条件として非常に重要である。
  • 中小企業のバックオフィス業務のクラウド化率については、定義には気をつけた方が良いと思っており、例えばSaasとして、完全にサービスとしてパッケージされているものがクラウドなのか、それとも単にクラウドというエレメントが使われバックオフィス業務が提供されていれば良いのかによってアプローチが違うので、もし指標にするとすれば定義を明確にした方が良い。

5.APIについて

A)APIには、決済構造等の代替によるコスト減とデータ連携の容易化という2つのメリットがあるが、セキュリティには十分留意しつつ、どういうAPI接続体系が良いかについて検討すべきであるという意見があった。また、銀行を中心にAPIの議論が始まっているが、クレジットカード業界のオープンAPIについても留意すべきであるという意見があった。

  • 金融庁・全銀協主導で銀行業界とFinTech業界でどのようなAPI接続がなされるべきかという議論が行なわれているが、これはより良いサービスを両者でどのようにつくるのかという文脈での議論である。
  • APIを開放して全部オープンにすることは、セキュリティ面でも非常に危険であり、誰を対象に何を開放するのかについて明確にすべきである。
  • 完全にオープンな誰でも活用できるAPIではなく、メンバーシップ型で、事前に誰と誰が結ぶという契約関係に基づいてAPIという方式でデータ連携するのが現実的で、ある種の日本版オープンエリアを定めることが必要ではないか。
  • 金融庁や全銀協でAPIの議論があるが、カード業界とか流通業・小売業のポイントもAPIの活用として検討できるポイントではないか。
  • クレジットカードの国際ブランドが既にAPIの検討を始めており、何らかの導入を検討しているらしい。既存の国際ブランドにとっては、どのプレーヤーに対してどう開放していくかによっては、自ら築き上げたビジネスモデルをひっくり返してしまうようなことが起き得るので、かなり苦心している。
  • 決済、キャッシュレスという文脈におけるAPIは大きく2つあり、1つは決済構造そのものがAPIになるという国際ブランドが進めているような、海外ECでPSPというレイヤーからブランドまでをAPIで接続することでコストを大きく下げることを実現するという意味でのAPIであり、もう1つは、データ・ポータビリティである。例えば、家計簿アプリ等の企業が、カードの利用データ、利用明細をAPIで取得できるようにするということである。

B)APIの具体的なゴールとしては、例えば、銀行にとってはユーザーに容易に金融サービスがクロスセールできるようになること等があり、決済という括りでは、携帯アプリサービスがAPI接続されるようになることで電子決済比率の向上に繋がるのではないかという意見があった。

  • 銀行にとってのオープンAPIの究極的なゴールはユーザーの明細を見せることだけではなく、インターネットバンキングも使わずに、来店もしなくなったユーザーにアクセスして、金融サービスをクロスセールしていくことではないか。
  • カード業界においても、インターネットを通じて、明細書をデジタル化してコストを下げるとか、リボルビング払いに変えるとか、カード利用促進のためのキャンペーンを行なうといったことは既に行われているので、APIによって、ユーザー側にもっと広くお届けできるサービスが考えられるのではないか。
  • 例えば、1人平均3枚のクレジットカードを持っているという調査結果があり、何かのキャンペーンに応募するために各カード会社に3回ログインして3回登録しなければいけないとするのではなく、APIを活用して1回で全部登録できてしまえるようになれば、少なくともユーザーにもカード業界にとってもメリットがあるのではないか。
  • 電子決済比率が日本は19%とあったが、例えば、Uberのようなタクシーアプリでタクシーを予約する際にAPIで連携して電子決済ができるようになれば、より電子決済が使いやすいオープンAPIエコノミー業界を拡大できるのではないか。
  • 金融は、色々な意味で個人という単位が大きくなるので難しい。GtoC、BtoCではなく、BtoB、GtoBになり、かなり大きな金額での決済がAPIによって可能になるのではないか。

C)APIの普及に向けて政策的な対応が必要なのか、それとも事業会社同士で、合意ベースで進めていく方が良いのかについては、十分に検討した方が良いという意見があった。

  • 金融APIについて、キャッシュレス化推進に当たっては端末のセキュリティが重要になるが、決済コストを下げていくという目的で政策的に何か追加できないか。
  • 金融APIについて何か政策的な対応をとっていくかについては、APIの接続性を良くするために、行政による契機等が要るかどうか、それを行うために必要なセキュリティの基準を業界で合意していくかどうかという部分にかかわる議論である。
  • 既存の金融業界とFinTechのスタートアップが全体的に同じ方向で協調しながら進むことができる土台が日本には既にあるのではないかということで合意ができつつあるので、規制により無理に形をつくって、セキュリティの基準も政策でがちがちに固めるよりは、合意ベースで進めていく方が、もしかすると政策目的達成のためのコストは安くなるかもしれない。結果的に出来上がる仕組みが良ければ、1つのやり方なのではないかと思う。

6.決済について

A)FinTechの効果として決済コストが下がるということは重要だが、そもそも何故我が国は決済コストが高いのかという点にも留意すべきではないかという意見があった。

  • 電子決済によってキャッシュレスを進めることで決済コストが下がっているという状態をつくるためには、仮想通貨もしくはブロックチェーンが方法論としてかなり有力だと思う。その他にQR決済、ADRを使った決済、銀行口座にダイレクトにアクセスするという方法も当然あると思う。
  • 決済のコストを下げていくという文脈では、技術を活用することで新しいサービスが生まれ、決済のコストが下がっていくというストーリーだが、そもそも何故決済のコストが高いのかというところが押さえられていないのではないか。

B)我が国において決済コストが高い要因は、アイフォン等の端末にかかる色々なコストの集積が原因であり、様々なコストのうち不要なものを見極めて排除するという観点で考えるべきではないかという意見があった。

  • 日本国内での決済のコストは確かにヨーロッパなどと比べるとかなり高く、その1つの要因は端末が高いということ。端末には各種色々な規格があり、その規格に準拠し認証をとる必要があり、その認証コストも高く、アイフォンにしても総務省の認証か何かが必要で、それによってまた別途お金がかかるという図式であり、こうしたコストが積み上がっていく結果、端末にコストがかかるということになる。本当にイノベーティブなものを生もうとするならば、要らないものは何かという目線で見ることが必要である。
  • 現在起きている問題がどこにあるかを押さえないと、未来の夢だけを語っても自動的にコストが下がるわけでも、新しいものが生まれるわけでもなく、これまでの規制のこの部分は足りなかったという部分についてしっかりと洗い出すということが必要ではないか。

C)我が国のクレジットカードビジネスについては、海外の動向を十分に情報収集することが重要であり、東南アジア等の新興国では、クレジットカードに代わるデビット口座が普及して信用創出に繋がっていること等には留意するべきであるという意見があった。

  • 海外との対比で、日本はクレジットカードビジネスが金融以外のセグメントに位置づけて規制されている数少ない国であり、海外の動きを規制官庁が十分情報を取れていない状態にある。例えば、クレジットカードビジネスでは、国際的なBtoCの決済のネットワークは国際ブランドが動かしており、彼らがどのようなルールをつくっているかが非常に重要であるが、そのブランドの作るルール自体を役所がどこまで直接把握できるかというと、法律上はどこにも権限がなく根拠もないので、協力ベースでお願いするしかないという課題がある。
  • 東南アジアのある国でデビットカード(実際のカードではないのでデビット口座)が、大量に発行されており、BtoB、BtoCで使われている。発行主体が何を行ったかというと、この人には危なくてクレジットカードを発行できないという顧客をデビットカードのユーザーにしたのである。そして、カードを持たせても余り意味がないので、口座をモバイル上に開設してもらったのである。
  • デビットカードが大きく普及することで、露天商のような個人ビジネスに関わる決済が全てそのカードによる取引となり、物凄く大きなクリティカルマスとなった。個人事業主たちにとっては、トランザクション・ベースト・レンディングを受けることができるようになり信用創出に繋がり、堂々とクレジットカードの発行あるいはコーポレートアカウントを出せるようになった。

D)仮想通貨の二重消費税の問題が解決されることから、決済手段としての仮想通貨についても改めて検討すべきではないかという意見があった。

  • 仮想通貨についても、消費税という最大の問題点がうまく解消されることになるので、決済と仮想通貨というテーマを真剣に考えなければいけなくなってくるはずである。今は、決済は、銀行を使った決済サービスとクレジットカードを使った決済サービスの大きく2つがあるが、ダークホースのように仮想通貨を用いた決済サービスが日本でもより安価にユーザーに使いやすい形で展開されていく可能性が出てきている。

以上

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最終更新日:2017年1月31日
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