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持続的成長に向けた長期投資(ESG・無形資産投資)研究会(第9回)-議事要旨

日時:平成29年5月25日(木曜日)14時00分~16時00分 
場所:経済産業省本館第1特別会議室

議題

  • ガイダンス策定について

議事概要

1.ガイダンス(案)について

  • 本ガイダンスの内容について意見が示された。
    • ESGに関して、G(ガバナンス)と比べて、E(環境)やS(社会)に関する記述が少ないため、EやSに関してもっと説明してはどうか。EとSに関しては、まだ理解が十分ではなく、具体的な対話の論点が見出しにくいのが現状である。また、SDGs(持続可能な開発目標)に関しては触れられているが、グローバルな動向として同じように重要なPRI(責任投資原則)やCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)等について言及がない。グローバル動向を認識しないことによるリスクやコストを企業も投資家も認識すべきであり、本ガイダンスにおいてもこうした個別項目について記載をすべきではないか。ESGに関して、きっかけになる国際的な論点を項目として挙げると、対話の場面で投資家が企業に対してそれらにどのように取り組んでいるか問いかけができるようになるため、項目を挙げると良いと思う。
    • 経営資源や無形資産といった言葉の定義がわかりにくいため、はじめに定義してはどうか。
    • 本ガイダンスは投資家が企業を見るべき視点等がわかりやすく整理されていて、企業との対話において、投資家の実務として使えるものになっている。ただし、ESGのうち、Gのところは既に具体的に対話しているが、EとSはどういった対話をすべきかまだ確固たるものはないため、EとSについて、もう少し具体的に内容が書いてあるとよい。
    • 現状ESGの世界は、評価機関によって同じ企業でも評価がぶれることがある等、評価の基準のコンセンサス、共通言語ができていない。本ガイダンスを1つの共通言語・見方として、評価にさらしていく必要がある。
    • グローバルにはESGのコンセプトについては合意があるところだが、個別具体的な項目になると多くの利害関係が絡み合い、合意が得られなくなる。ESGの項目をリストアップする方法もあるとは思うが、SDGsに限らずグローバルな潮流を意識しながら議論するのが大事、ということでよいのではないか。
    • 先日PRI等からJapan Roadmapという報告書が公表されており、そこではESGインテグレーションについて「ESGが他の投資分析と分離したものではないし、投資意思決定の1つのパーツ」と述べている。重要となるESG要素は業種や企業、さらには、国によっても異なる。つまりPRIが言っているのは、「ESGは投資に影響を与えるファクターになり得るが、画一的なものでない」ということである。本ガイダンスは、こうしたグローバルな議論に適合しており、耐えうるものだと思う。
    • PRI他が取り纏めたJapan Roadmapについては投資家等の資本市場関係者を集めて意見をまとめたものであり、企業の意見が反映されたものではない。本ガイダンスはここにいる企業の方々も入って作成したものであり、新しい。国外にも宣伝できたらいいと思っている。
    • 日本版スチュワードシップ・コードの改訂案(※)においてESG要素はガバナンスとリスク・収益に関連する社会・環境問題とされている。本ガイダンスはこれとも整合していると考えている。
      ※第9回研究会後の平成29年5月29日に「スチュワードシップ・コード(改訂版)の確定について」が公表されている。
    • EやSは企業や産業によって見るべき要素が違うので一律にまとめることが難しい。本ガイダンスでは投資に影響を与えるEやSに限定すべき。そうでないと、非常に広い範囲になってしまう。ESGには機会要素とリスク要素があるためその両面を語ることが求められる。まずは本ガイダンスを公表した上で、その後に議論のステップを上げていくのが良いのではないか。
    • ドラフティングワーキング・グループでもEとSの項目について、具体的な企業名を出しつつ議論した。一方で、それらを載せるとその部分だけ具体的になり、それに引っ張られて、本来は業種や企業、また、成長ステージによってどの項目が重要であるかが異なるはずのEとSについて限定されてしまうリスクがあると考え、ミスリーディングを避け、汎用性が高くなるように、項目の明示を避けた。ただし、本ガイダンスの公表後に具体的な重要事例が出てくる場合は書き加えてもいいだろう。
    • 企業はESG課題に真剣に取り組もうとし始めており、グローバルな潮流に無関心ということはない。企業側の情報開示がなければ投資家が主体的にESGを深化させていくのは難しいため、開示は対話の必要条件となる。ただし、現在、企業はどのように開示をすべきか悩んでいる。本ガイダンスでSDGsを取り上げているのは、企業側が重要だと考えていることを開示しようということであり、それについて投資家と対話していくということである。本ガイダンスで「ESGについてはこうした内容を開示した方がいい」と書いてしまうのは対話の実効性を高めるどころか逆効果になりかねない。もちろんマテリアリティをガイダンスで提示されれば企業にとっては楽だが、それが企業にとって本当にマテリアルなものかは企業自身が考えないといけない。
    • 1つ1つのパラグラフは3~4行であるが、その背景には深い議論がある。企業経営者の手引として見た場合、本ガイダンスを読んで納得するような企業経営者はこういうものがなくても元々理解できている。よく理解できていない経営者に分かってもらうために作ったという意味では、このままだとおそらく分からない。本ガイダンスに対応する「参考書」のような存在が必要である。策定の背景にある想いや具体例を示す必要がある。広く企業経営者に浸透させていくためには、背景の議論をもっと分かりやすくかみ砕いて示す必要がある。
    • 本ガイダンスは非常によくできており、投資家が企業に何を期待しているのかがわかりやすい。これによりIR活動の対話の中でもポイントを絞って説明がしやすくなる。このガイダンスでまずは出発してステップアップさせていけばいいと思う。
    • 本ガイダンスの記載内容はエッセンスであり、本ガイダンス策定の背景となる詳細な情報はこれから出す報告書に盛り込みたい。
  • 本ガイダンスのタイトルについて意見が示された。
    • 事務局原案の「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス- ESG・非財務情報と無形資産投資 -(価値協創ガイダンス)(案)」は長く、お固い印象があることから、一言でわかるようなキャッチーな通称をつけたらどうか。本研究会は2014年の「伊藤レポート」の流れを受けているものであり、「伊藤レポート2.0」「伊藤レポート第2弾」「続・伊藤レポート」等とするのはどうか。そうすることで、知名度の高い「伊藤レポート」の続編として、広く語られるようになる。
    • 本ガイダンスはグローバルな視点で作られており、海外に周知したいと思っている。その際、グローバルな投資家に説明する際に彼らの意識を引きつけるためには「価値協創」という言葉が重要。英訳した際、バリュー(価値)へのこだわりを表現できるのがよい。また、フルネームは英訳したときにほどほどの長さに収まるだろう。今後英訳を進めるにあたってどのような英語にするのか、という議論も必要である。
    • PRIのJapan Roadmapにおいて伊藤レポートについて紹介した箇所で、「協創」に関しては「corporate value comes from the “collaborative creation” of companies and investors」と紹介されている。そうした点からも原案で良いと思う。

2.報告書(案)について

  • 今後とりまとめる報告書について意見が示された。
    • 日本の問題は、本来あるべき市場の投資を最適化する機能が、4割程度存在するとされる政策保有株式のせいで失われている点にある。これが資本の空洞化であり、資本市場における緊張を失わせている。報告書では日本の資本市場の問題点、PBRや政策保有株式について言及してもらいたい。
    • ESGが投資パフォーマンスに与える影響について、現状、断定的な結論は言えないものだと思う。これは投資判断の領域であり、政府の報告書としてパフォーマンスへの影響を結論づけるのは止めた方が良い。

以上

関連リンク

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経済産業政策局 産業資金課

最終更新日:2017年6月12日
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