経済産業省
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持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会(第1回)‐議事要旨

日時:平成26年9月24日(水曜日)16時00分~18時30分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

(持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会委員)
伊藤座長、稲葉委員、岩間委員、引頭委員、上田委員、内野委員、尾崎委員、キャロン委員、斉藤委員、佐久間委員、佐藤委員、高山委員、武井委員、冨山委員、中川委員、森委員(代理山田氏)
(株主総会のあり方検討分科会委員)
岩田委員、澤口委員、鶴岡委員
(企業情報開示検討分科会委員)
北川委員、熊谷委員、三瓶委員、関根委員、早川委員、弥永委員、山田(俊)委員

議題

本研究会のテーマに関する全般的討議 持続的な企業価値の創造に向けた企業と投資家との対話を促進する観点から、望ましい株主総会及び企業情報開示のあり方について

議事概要

以下の通り。

  • 座長より、本研究会や分科会への参加形態や会議の公開・資料の取扱いについて説明の後、事務局より資料説明。座長からの資料7に基づく「基本的な問い」の投げかけの後、議論が行われた。その際の概要は以下のとおり。
  • 持続的な企業価値の向上を図るためには、長期的な投資家がどれだけ機能できる環境になっているかということが重要。
  • パブリックペンションや大学等など、長期的な資金運用が可能な株主・投資家が、持続的成長に向けた企業と投資家との間の対話という点にどれだけ問題意識を有しているかが重要。こうした主体との間での対話をしっかりと促していくべき。
  • 株主総会については、投資先企業に対するモニター及び建設的な対話をする上で非常に大事な場であるため、株主総会の場において株主の意向をどれだけ反映できるかの観点に非常に関心がある。できるだけ早く議題の情報が公表され、それに対して十分吟味した上で、株主の有効な意思表示につながることを考えるべき。
  • 企業情報開示については、常に投資家の立場でモニターする上で極めて大事な点であるので、非財務情報についても特に長期的な観点で企業の戦略性、つまり大筋でどのような経営方針、戦略であるかを含めて、できる限り正確に開示されることを期待したい。
  • 投資家による増配要求や買取消却の要請は、利益の配分の議論であり持続的企業価値の創造に向けた対話とは関係ない。長期的な企業のありようとして、会社・経営の形や戦略の根本的なありようが持続的な企業価値の創造につながっているのか否かという投げかけをすべき。
  • 企業とのエンゲージメントにおいて投資家が議論すべきは、長期的な企業のありようとしてそれが持続的な企業価値の創造につながるのかという長期的な視点。そのためには投資家の見識レベルが経営者のレベルまで深まることが必要。現状、日本の現実の機関投資家は典型が持ち合い株式。こうした長期保有型の株式は基本的にモノを言わない株主。一方、短期的な株主にはノイジーな人もいる。この状況をどう打開していくかが非常に重要なテーマである。
  • 戦略、コア・コンピタンス及びコア・ストラテジーの方向性は開示しても全く問題なく、それらを開示することによって、投資家と会社の基本的なあり方を長期的に議論できる。そのため統合報告的な話はもっと充実すべきあり、例えば経営者の選任、その中の社外役員の役割の遂行状況についても開示することにより、それらの中身を株主総会及び様々なIRの状況で議論していくということが、エンゲージメントで求められていることではないか。
  • 利益が出るのであれば、日本の投資家も株式を売らないはず。問題は、現実には売り買いをした方が利益を保てていたという残念な歴史があること。・インベストメント・チェーンを健全に機能させるため、ROEだけではないが、資本の有効活用が徐々に認識されてきていることを歓迎。このインベストメント・チェーンを健全にワークさせることで、社会が豊かになっていく、そのための方法を考えていきたい。
  • 会社法、金商法及び取引所規則という3つの情報開示があり、様々な問題が出ている。本当にシンプルな形にできるのであれば、前向きに貢献していきたい。
  • 四半期開示についても投資家の要請も含めて様々な理由により日本で導入されたため、ヨーロッパで今後廃止されることをもって日本でも準拠することが本当にいいのかどうか。
  • 日本企業の開示に関しては、ガバナンスに関する開示があまりよくないというコメントがよくある。ガバナンスの開示の方式が必ずしも国際的な投資家の視点のロジックにあってないため、ある種のディスカウントファクターとなってしまっている。財務情報の開示や、戦略の開示が議論の主要な点となるのだろうが、伊藤レポートにもあるようにガバナンスのような長期の観点からの重要な点についても、できれば議論して頂きたい。
  • 「持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進」に向けた取組みは非常に重要。その検討の方向としては、実現するために規制を強化するのではなく、オプションを増やす形で修正・改善につなげていければと思う。
  • 株主総会は重要であり、招集通知の発送と実際の総会の期間が短くそのため対話できないため、制度の見直しが必要との考えは理解できる。単純な方法としては、今の会社法の「基準日の有効期間3カ月」を4カ月等に延ばすことがあるのではないか。
  • 企業情報開示については、会社法、金商法及び取引所規則の分野で、実務的に合理化・簡素化が行われてきているが、これ以上に進めるためには、その所管の垣根を一度払って考える必要があり、それがこの研究会の設置の目的であると思う。
  • 「あるべき姿」として掲げた3つ((1)有価証券報告書・決算短信は連結情報のみとする、(2)事業報告・計算書類は単体情報のみとする(任意で連結情報を記載することは可とする)、(3)四半期開示情報(四半期報告書・四半期決算短信)は一本化すること)について検討すべき。また、注記についても目的に沿って最小限にする検討を、この研究会でしていただきたい。
  • インベストメント・チェーンをみると、企業と投資家は個人投資家を介してつながっており、個人投資家からみれば、「対話」というのは対立する話ではなく、対になった話をするのが本来のあり方であるはず。どのような開示が、企業と投資家とが対になれる対話に繋がっていくのかという観点から、企業情報のあり方を考えていければと思う。
  • イギリスの基準日や招集通知の送付タイミング等をみると、最初に議題を株主に提示し、議案の内容を勘案して総会前に株式を売る権利を株主に与えているように見える。また、議決権行使をするのも基本的にはその時点の株主となっているように見える。他方、日本の場合は期末の株主が議決権をもっており、その後売却した場合でも議決権を行使できる建付けとなっている。投資ビヘイビアとの関係も、株主総会のタイミングのあり方と併せて考える必要があるのではないか。
  • 財務情報の開示においては、自主的な開示を含めて日本は進んでいる。しかし数字だけでは十分でなく、企業がどのような哲学や考えに基づいて経営を行っているかについて投資家と価値観を共有できるような情報開示が重要。どのようにすれば、企業が投資家・株主から上手にフィードバックをもらい、最終的に稼ぐ力やROEの上昇につなげられるのかといった踏み込んだ議論ができればと思う。
  • 四半期決算がスタートしてから、一年が3ヶ月×4回で終わってしまうと感覚がある。四半期決算をやめればよいとは考えておらず、例えば中期計画や年度計画の軽い進捗確認のようなものになれば良い。開示が煩雑であり、四半期の決算短信と四半期報告書は、両方は要らないので1つにすべきではないか。
  • 有価証券報告書の内容を一部の会社では招集通知に入れているが、大部分の会社では総会の後に公表されるため、折角の新鮮な情報が有効活用されていない。そのため時期も含めて、開示のタイミングを考えていただきたいと思う。
  • 株主総会前に企業の方と様々なディスカッションをしてはいるが、時間的な制約もあり、マネジメントの方と深い議論が総会前にできているわけではない。余裕のあるタイミングで議論が出来れば良いと思う。
  • 個人株主へ如何に魅力ある会社に見せるかは、非常に難しい議論。実利ではなく、会社そのものを魅力的に見せるための開示制度を組めないかというのが、問題意識。
  • 四半期情報については、短期で一喜一憂するのではなく、足元をそれで定めて、長期的な方向を確認する、そうした使い方を投資家も考えなければならない。
  • 投資家としては、対話に際しては、インサイダー情報を気にしていかなければならない。セーフハーバーというものが示せると非常にありがたい。
  • 会社法改正の議論の中で、金商法のディスクロージャーと会社法のディスクロージャーを合わせたほうがいいのではないかという議論があったが、いつの間にか立ち消えになった。業規制と制度規制という、金商法と会社法で対立する、相容れない部分もあるかと思うが、一括化されれば制度による二重の手間が企業で省かれる。
  • ガバナンスの点からは、非財務情報も重要。この点、日本はガラパゴス化している。海外投資家とのESGの議論によれば、グローバルなサプライチェーンにおける紛争鉱物の取扱い、アジアにおけるチャイルドレイバーの問題等の課題については、海外においては投資家に発信すべき情報として考えられているが、日本企業では、グローバルなリスク管理の一環として認識されているものの、投資家に発信すべき情報として扱っていないのではないか。
  • 日本では、基本的には法律上の株主が主役になっている。他方、イギリスのガバナンス・コードにおいては、投資家・(実質的な)株主と企業とのコミュニケーションのツールとして株主総会を利用することとされている。日本では機関投資家が議決権行使の指図しかできないため、こうした株主総会のコミュニケーションを反映した法律・制度の改正ないし実務の変更を検討する必要があるのではないか。
  • 株主総会のあり方の検討としては、企業と投資家の対話の阻害要因とならないよう、定時総会の開催時期を分散させること。分散にあたっては総会の開催時期を他国の企業並みに遅らせ、決算日から総会開催日までの期間について他国の企業並みに確保することを併せて達成すること。これらが望ましい方向と考える。
  • 作成者である企業は開示情報の内容と質、さらに開示のタイミングに大きな責任を負っているという点を十分意識して検討を行っていくことが必要。その意味で、まずは企業が適切な開示書類作成のために必要な時間を確保することが重要。
  • 開示情報の質という観点から、各国における監査報告書日付の比較、すなわち決算日後、どのぐらいの期間をかけて財務諸表を作成し、監査報告書を入手した上で開示を行っているか、国際比較の観点から、併せて検討する必要がある。
  • 会社法、金融商品取引法、取引所規則、それぞれの要請による複数の情報開示を行っている我が国の現状について、同じような内容の情報を異なるタイミングで開示することは、時の経過による情報の変化への対応が必要となり、情報開示の責任の面から改善すべき。
  • 決算短信は、法定の開示書類とは異なり、適時開示の観点から、その目的も、本来必要とされる内容の詳細度についても、おのずから異なってくるはず。それぞれの開示制度の目的についてきちんと整理しておくことが重要。
  • 対話の方向性としては、(1)短期的な株価の押し上げ視点ではなく、中長期的な企業価値向上に資すること、(2)エンゲージメントする内容は画一的なものではなく、事業環境や企業の成長ステージ等により、異なっていたり、変化し続けること、(3)企業と投資家が向き合い、企業はアカウンタビリティーを発揮し、投資家はスチュワードシップ・コード等に基づき考え方を示すこと、の3つが大切だと考えている。
  • イギリスのように2日前の基準日とし、2日で株主が入れ替わるというのは総会運営上実務的にはほとんど機能しないため、何の意味の基準日か分からない。
  • 周辺の論点も併せて検討する必要がある。各国との比較において、日本の株主総会の決定事項が多すぎるという根本問題。これは日本ではスーパーバイザリーボードの機能が弱く、マネジメントボードで発生する利益相反処理を株主に任せているためであるが、株主総会とスーパーバイザリーボードの役割分担が大きな論点。
  • 政府は電子化対応を行ってきたが、依然、紙媒体で会社から株主に招集通知等を送付するというデジタル・デバイドの問題に関しては手をつけていない。株主から情報にアクセスするというデジタル化の中に日本の株主総会がまだ乗り切れていない。
  • 企業から機関投資家、特に議決権行使の責任者にアクセスできるか、という問題がある。イギリスでは、一定の比率を持った機関投資家は、誰がどういう形で議決権行使を決めているかという点を企業に知らせなければならない。
  • 株主総会の望ましいあり方について検討するに際しては、どうしても紙ベースの実務が大きな制約となってしまう。こうした点についても、聖域無く、またなるべく漏れがない形で議論していきたい。
  • 開示に関して日本は様々な書類が出ているが、聖域なく前向きな形で整理をする、どういう目的で作成して、どのような方に何を届けたいかという整理も非常に重要である。
  • イギリスは2日というのが議決権行使の基準日となっている。我が国でも従来あった無記名株券を2日前に預けておかないと議決権が行使できないという制度をイギリス等でとってきた歴史がある。2日前に株券を預けさせるというのは、株主総会の時に株主の地位を失っていないことを確認、確保するためであり、2日前が基準といっても、株主総会の段階では売却できているということがないように制度を作っている。
  • 開示のいろいろな制度の面について、企業サイドだけでなくアナリストあるいはポートフォリオ・マネージャーにとっても、多重規範の犠牲者であり、スクラップすべきものはスクラップする、必要なものはビルドするということを徹底的に今やらないと、こういうことがずっと継続していくことは非常に歴史的な汚点だと思う。
  • アナリストや投資家向けにオーダーメイドに出されたボランタリー情報の巧拙が重要である。ショートタームに出される企業発信情報の中で、情報の非対称性が起こらないほど完璧であれば、おのずと投資家・アナリストの関心も長期的な方向に向かうはず。
  • 企業側・投資家側でお互いの理解不足の溝を埋めていく必要があるが、例えば投資家がどういう目的で開示情報を利用しているのかということが企業側に理解されてはじめて開示のあり方が議論できるのではないか。一方で、「変化」という成果をもたらす対話・エンゲージメントの下準備をするとなると、企業調査の仕方が変わり、これまでは使わなかった情報を使うようになることも踏まえて議論すべきだ。今、頻繁に使われていないから削除すべきとは必ずしもならない。
  • 企業には企業価値創造に関して非財務情報も含めた統合的なバックグラウンドストーリーを一貫して話してもらいたいが、そのためには法定開示と任意開示、財務情報と非財務情報を総合的に議論していかなければ、本格的な価値評価改善に繋がる検討にはならない。
  • 四半期開示を義務づけるべきかどうか。四半期ごとに経営の結果を測ると、短期的になる。正しい経営は四半期勝負ではなく、5年以上、10年以上である。欧州のように、弊害やコストもあるので、半期をベースとして非財務の開示に時間を使うなどの判断はあるのではないか。
  • 総会のタイミングについては、現状は決算期からの期間が短く、例えば4ヶ月、場合によっては5が月、半年にするといったことは大賛成。議案の検討に際して時間が足りないので、その期間を延ばすことは非常に重要。
  • 基準日に関しては、株主総会のタイミングと近い日が望ましい。株主の重要な権限は議決権行使であるが、それが現状では約90日、1年の4分の1は行使できない。コーポレートガバナンスの強化ためには、基準日を招集通知の後にすること。現制度は、株主民主義に反する、非常に大事な唯一の株主の権限を毀損する結果になっている。
  • ショート・ターミズムという短期の投資家は悪で、長期の投資家が良いという風潮があるが、資本市場の機能を考えた場合、いろいろな投資期間、保有期間の投資家がいることによって価格の公正性が担保される部分がある。そのため、短期の投資家だから駄目ではなく、むしろ短期の投資家の影響があまりに強くなったという現状が問題なのではないか。
  • 長期投資家がスチュワードシップ・コードの精神、最終的にフィデューシャリー・デューティーを果たしていくのに必要な制度や文化が我が国に十分育ってきていなかったという問題がある。
  • 経路依存性という点から、会計基準、開示あるいは株主総会にしても、会社法、金商法それから東証の規則という3つの規則に縛られる中で、非常に不自由な形になっている。現状の制度をベースとしたゼロベースでのあるべき姿の検討、短期及び中長期の課題の仕分けが重要。
  • 多くの開示があり、似たような開示が繰り返し作成されている。それぞれ目的が違うということは理解しているが、互いに利用する等の整理はできないのか。全体的な観点から議論をすべき。
  • 株主総会のあり方を検討するに際しては、臨時総会が対象なのか定時総会が対象なのかで議論が異なる。前者は何かを決める場であり、対話というより対峙という側面が強いが、後者であれば、何かを決める場であると共に、報告を聞くプロセスでもあり、そこに対話が成立する余地がある。
  • 株主権の中の議決権というのは極めて重要な権利だとするならば、できるだけ総会に近い人が行使すべきという会社法学者による共通のコンセンサスがある。日本において基準日がなぜ決算日と一緒であるかは、定時株主総会の歴史、つまり計算書類の確定という概念が会社法、商法にはあったため。他方で、現在の会社法、会計監査人設置会社においては特則があり、計算書類は株主総会では報告事項となる。この点、現在では計算に関しては対話の場と考えることが出来る。
  • 質の良いコミュニケーションをできるようにするにはどのような制度整備が必要なのか、こうした観点も重要。また、ディスクロージャーに際して、プロ・アマという切り口も存在。個人投資家に適切な情報を分かりやすく提供するにはどうするか、といった観点も重要ではないか。

以上

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最終更新日:2014年10月24日
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