経済産業省
文字サイズ変更

持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会(第2回)‐議事要旨

日時:平成26年12月22日(月曜日)16時00分~18時30分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

(委員)
伊藤座長、稲葉委員、岩間委員、引頭委員、上田委員、内野委員、大場委員、尾崎委員、神田委員、斉藤委員、佐久間委員、佐藤(和)委員、佐藤(淑)委員、キャロン委員、高山委員、武井委員、冨山委員、中川委員、野村委員、深澤委員、松本委員、森委員
(企業情報開示検討分科会委員)
熊谷委員、三瓶委員、関根委員、早川委員、山田(俊)委員
(株主総会のあり方分科会委員)
岩田委員、島田委員、鶴岡委員、山田(治)委員

議題

  1. 2つの分科会における議論の状況の報告
  2. 本研究会及び2つの分科会のテーマに関する全般的討議
    • 持続的な企業価値の創造に向けた企業と投資家との対話を促進する観点から、望ましい企業情報開示のあり方について
    • その他

議事概要

以下の通り。

  • 資料の確認後、事務局より資料説明。各分科会座長より、これまで開催された分科会の議論について説明がなされた後、委員間で議論。その際の概要は以下のとおり。

座長報告

  • 年に一度開催される定時株主総会は、株主との究極的な対話の場と考えられるが、その場でどのように対話をするのかという議論があった。その過程で、実は総会の場のみならず総会前、更に進んで平時の対話が総会の活性化にとっても必要ではないか、というとらえ方が出てきた。これは、総会において、株主が議決権行使や発言を行うためには情報が必要であるが、招集通知などだけでは非常に情報が限られているため、総会前の対話や平時の対話も必要となるのではないかということと考えている。
  • 総会の場とは、議決権を行使して決める場であるのか、いわゆる対話の場であるのか、どのような場なのかという問題提起もなされた。株主総会は、会社法の立付け上は、決議事項を決議していく場であるが、その関連では、決議事項の提案という形での株主提案権をどのように考えるかという問題や、誰が議決権を行使するのか、誰が総会に出て行くのかという議論もあった。
  • また、機関投資家、個人投資家等、株主層は多様であるが、株主総会の時間を軸とした場合、それらの株主層に対して、どのような情報をどのように提供していくのかという、幅広い議論がなされた。加えて、海外の投資家の目線という観点も重要であり、関係の方々の関心も高いようで、彼らから海外の情報なども様々頂いているところ。
  • 総会プロパーの議論として、株主総会の2週間前に招集通知が送付され、それから議案を検討するとしても、機関投資家の方々にとっては時間がなく、非常に短期間で決定しなければいけないという状況がある。
    「時間がない」という理由は2つあり、1つ目は、株主総会の日と招集通知を発する日との間に中2週間しかないため、その時に膨大な招集通知が一度に来た場合、議案を分析できず、更に機関投資家の方は比較的早く、数日前ぐらいに賛否を発表することから検討時間が一層短くなっていること、2つ目は、株主総会集中化の問題であり、集中日ではなく、6月の中に全部集中化すると、やはり時間的には同じような問題が起こることになる。両者は、異なる議論ではあるが、やはり検討時間が足りないという大きなくくりができるのではないかという議論がなされた。
  • 検討時間が足りないという問題に対して、1つは方法の議論として、情報をできるだけ前倒し的に早期開示してはどうかという議論と、もう少し後ろ倒しするという方向性が提示され、時間を節約するということで、電子化というアイデアが出てきた。
  • 電子化については、電子媒体で開示できる情報と紙でなければならない情報の峻別という議論も少し出ていたほか、デジタルデバイドの問題に関しては、昭和56年改正のあたりの議論から比べると、今日あまりそのことを意識する必要はないのではないかということが大方の共有する感覚であると認識している。
  • 株主総会を7月か8月に後ろに倒したとしても、7月に集中すれば、また同じようなことが起こる。株主総会をいつ開催するかという議論が一方である。また、基準日の問題もある。現在会社法では基準日から3カ月以内とされているため、3月決算の会社ではどうしても6月になる。基準日以降のプロパー、それ自体をやはり検討する必要があるだろうということで議論を行ってきた。
  • 議決権行使のあり方として、3月で基準日とすると、6月の段階では株主ではない人が議決権を行使している状況が発生してしまう。つまり、基準日と実際上の決算とのリンクの問題などがある。伝統的に株主総会というのは決算総会という位置づけになっており、配当の議論と、取締役選任解任の議論という両方の側面があった。伝統的な承認特則適用会社以外の場合は定時株主総会での承認とされていたが、大半の会社は承認特則が適用されると、株主総会における決算情報は報告事項になる可能性がある。また、それをベースにした配当議案について、3月期の株主にどのように配当を渡すかという議論と、6月の段階においてそれからの経営者をどのように選ぶのかという問題も、基準日という一つの言葉の中で3月末日というところで両方切って議論してしまっている。これについては実務の問題など、さまざまな解決すべき問題がまだまだあるというご意見もたくさん出ており、これからなお詰めなければいけない。
  • 計算書類と財務諸表、あるいは監査の手続きが一元化できていないことも、情報提供のあり方として非常に日程がタイトになっている理由の一つである。そういった点についても開示分科会との議論を擦り合わせて検討しなければいけない。
  • 海外の投資家との関係で、財務情報の英語化という問題は一方であるが、取締役の選任等についても、英語的な情報という議論も出てきている。海外の投資家に向けては日本語ではない英語という、言語の問題も意見の中には出てきていた。また、有報を総会の資料として使えないかということで、やはり有報の作り方についても議論があった。
  • 提案権については、提案権の少数株主権としての意義は大変高いという意見があった。この点については、恐らく異論はないが、現実には少し乱用的というか、いささか処理に困るような提案もなされている。適正な提案権の行使の仕方は、対話の手段として極めて重要であるということから、どのようにすればいいかということを議論している。
  • 基本的な問題意識として、以下の3つがあり、分科会ではこれらの問題意識を共有してきた。
    • 重複する開示制度のために、発行体つまり企業側の負担感があるのではないかという問題意識である。言い換えれば、こうした負担を軽減することで開示の作業工数を軽減することで、生まれた工数・エネルギーを機関投資家と向き合う時間に向けることで、対話の質を向上させることができないか。
    • 現行の開示制度が投資家・株主を含むステークホルダーに有用な情報を、かつ、効率的に伝達するものとなっているのだろうか。
    • これまで財務情報が中心であった現行の開示制度に意味のある、そういう意味では有用な非財務情報をもっと組み込めないだろうか。
  • 議論のスタンスとしては、開示制度全体を見渡した上で、開示制度間の重複、投資家から見た有用性の程度を検討した上で、ではいかに一体性を持った開示制度を設計できるのかということに焦点を当て、かつ海外の開示事例も参照しながら議論を進めてきた。
  • 議論の整理のアングルとしては、「QCTW」という4つのディメンションを重視しており、議論を重ねてきた。Qはクオリティ、信頼性、Cは情報のカバレッジ、内容、範囲、Tはタイミング、速報性や適時性、Wは開示のウェイ、開示方法、ウェブ開示なのか、有報で開示するのか会社法で、開示するのか、決算短信なのか。あるいは参照方式という方法をとるのかどうかということ。こうしたアングルに加えて、速報と確報、法定開示と任意開示の統合・切り分け、参照方式や電子化の導入可能性といったアングルで議論を行ってきた。
  • 年度開示に関しては、会社法上の開示の事業報告や計算書類と有報は統合できないだろうかという問題がある。有報は連結決算中心で、会社法開示は単体中心という切り分けがいいのではないかというご意見があった。あるいはアニュアルレポートと有報の合体も考えるべきであるというご意見もあった。時期的には既に開示している有報をアニュアルレポートに合体してはどうかと。そうすることで、非財務情報の充実化、拡充が図れるのではないかと。有報の総会前開示の実行可能性と、それがいいのかどうかというメリットとデメリットの問題も提示された。二元的な監査問題をもう少し解消できないのかとの意見もあった。
  • 決算短信に関しては、決算短信つまり短信情報の金商法のもとでの法定開示に活用できないだろうか。あるいは、決算短信は機関投資家にとっても非常に有用なものなので、これはそのまま継続すべきである。ただ、そうは言うものの、もう少し決算短信を簡素化してもいいのではないかというご意見もあった。あるいは即時性、速報性を重んずる決算短信は監査を不要としてはどうかというご意見もあった。ただし、早期化と信頼性のバランスの問題はある。
  • 四半期開示に関して、四半期開示は投資家の過剰反応をもたらしていて、投資家側の短期思考や短期主義を誘発するという意図せざる結果をもたらしているが、この意図せざる過剰反応という結果をもたらしていることに対して、開示の問題として捉えるのか、つまり四半期開示というものをもっと弾力化するなどの方向で対処するのか、あるいは機関投資家側の自制を求めるのか。開示の問題として対処するのか、機関投資家・アナリストの姿勢として改善してくださいとするのか、ということである。あるいは四半期決算短信と四半期報告書は一本化して、決算短信に統合してはどうだろうかと。そもそも両者の開示日は平均6日程度しかないというご意見。四半期報告書を任意としてはどうかというご意見もあった。ただ、第1四半期・第3四半期は任意で中期は必要だという機関投資家側からのご意見があった。
  • 業績予想に関しては、業績予想開示は企業の任意としてはどうかというご意見があった。また一方で業績予想開示の任意化あるいは大幅弾力化に対しては、アナリストがカバーしている会社数はそもそも上場会社のうち1,000社程度しかないのだから、それ以外の二千数百社については、業績予想は一定の意義を持っているのではないかというご意見もあった。
  • 実態・エビデンスという点では、決算短信は投資家・アナリストから有用なものと認められているという、我々ある種の共通認識を抱いたように思う。かつ有報は投資家・アナリストにとってバイブル的存在ではあるけれども、IRの場で有報に関する質問はほとんどないと。企業側も有報をIRに使うことは実態としてあまりなさそうだというご意見もあった。このような実態も少しずつ分かってきた。

委員間での議論

  • (資料5「第2回 持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会(議論のための検討資料)」に基づき説明)日本では、取引所規制、会社法規制、金商法規制という3つの開示制度が併存している。これらの制度では、それぞれの目的に応じて開示項目が規定されているが、重複感も否めない。
  • 開示書類は、「情報の内容と範囲」、「情報の信頼性」、「情報開示の適時性」の3点が非常に重要であると考えている。
    「情報の内容と範囲」について、決算短信は速報値、計算書類と有報は、最終報告として投資家等が必要とする情報としての確報である。
    「情報の信頼性」について、決算短信は目的が速報であるため、監査人が全く関与しないという実務にはなっていないものの、監査による信頼性の担保は求められていない。他方、計算書類・有報は確報であるため、監査による信頼性が担保されている。
    「情報開示の適時性」について、決算短信は早期開示が求められるが、計算書類・有報は信頼性の担保を前提とした作成期間を経た後の確報としての開示になる。
  • 検討に当たっての課題である、開示・監査の一元化については、「会社法監査報告書日後に発生した後発事象の問題」と、「会社法監査報告書日後に特定された開示すべき重要な不備の問題」があると考えている。
    前者について、1つの決算期において2つのタイミングで監査報告書が出されるということは、わが国の固有の制度となっているが、有報における後発事象注記の取扱いは、会社法と金商法双方の監査報告書日付の相違から生じる日本固有の取扱いであり、海外投資家からは非常に理解されにくい可能性がある。
    後者について、金商法に基づく内部統制監査において、会社法監査報告書日には認識できない内部統制上の「開示すべき重要な不備」が特定されることもあるが、この場合、財務諸表監査の意見形成に影響を与える可能性があることに加え、監査役監査の結果との不整合が生じることもあり得る。
  • 会社法と金商法のそれぞれの制度目的を損なわない前提で、複数開示による二重作業の負担と時間の経過による状況変化の問題を克服する方法として、3案を提示している。案1は、短期的に目指す方向性として、現行制度上で対応できる範囲という前提のもとで考えられる方法であるが、会社法監査報告書日付と金商法監査報告書日付との期間を極力短くすることで、複数開示を前提とした時間の経過による状況変化の発生の可能性を軽減することができるのではないかということ、案2は参照方式で実質的に一元化すればそういう問題は起きないということ、案3は制度上一元化するということである。
  • 検討に当たっての課題として、議決権行使のための十分な準備期間の確保を念頭に考える場合の方向性について。十分な検討期間は必要だが、検討するにあたっては信頼性ある情報を使う必要があり、信頼性ある情報を作成するための十分な期間が必要であるということ、また株主の議決権行使のための十分な期間を確保した上での対応が必要であると考えている。
  • 重要なことは、すべての上場企業が自らの会社の実情に応じた選択により、情報の質と株主の検討期間を確保できる総会スケジュールを組む、あるいは組める柔軟な制度を検討すべきであるということである。
  • 検討に当たっての課題である、株主総会スケジュール関係については、「情報の内容と範囲」「情報の信頼性」「議決権行使の内容を検討する期間の十分性」の3点が必要となる。
  • 株主が情報を入手してからその内容を分析するには十分な期間が必要であり、例えば1週間でも総会を後ろ倒しにできれば株主の検討期間を確保できるといった検討も有用ではないかと考えている。諸外国のように、株主が議決権行使の検討期間において有報の情報を利用できることになれば、議決権をより有効に行使できる環境の実現につながることが期待される。諸外国では有報に該当する年次報告書が出た後に株主総会が開催されている。その環境の実現に向けて、企業には株主総会関連の日程の設定にあたり、従来の固定観念に固執することなく、会社の実情に応じた自らの選択により、国内外の機関投資家や一般株主が株主総会までに有報を利用して企業の状況等を把握できるよう、十分に配慮した柔軟な対応が必要と考えている。
  • 7ページでは、4ページの案(1)を踏まえた全体イメージ案を示している。例えば基準日を決算日ではなく4月上旬にもってくれば、総会は7月上旬までに開けばよいことになる。総会までに十分な検討期間を確保するためには、例えば招集通知の発送から総会開催日までの十分な検討期間として、1カ月程度の確保といったことが考えられる。それに合わせて株主総会までのスケジュールを組むことになるが、先ほど述べたとおり、会社法監査報告書日付と金商法監査報告書日付との期間を極力短縮することが適当であり、他方において有報を信頼性ある情報として作成するための期間も必要である。そこで、ここでは会社法監査報告書入手後の印刷等の期間を短縮することで、招集通知の発送時期を現状と変わらないタイミングとしつつ、時間の経過による状況変化の発生の可能性を極力軽減するスケジュールを想定している。これに対し、有報はEDINETによりWeb上で閲覧が可能であり、招集通知への添付を求めるものではないとの前提で考えており、有報の提出を現状よりも早めることにより、総会に向けて有報が検討資料として使えるスケジュールとすることも可能ではないかということを考えている。
  • コーポレートガバナンス・コードの策定では、第1章「株主の権利・平等性の確保」のところで、株主総会で株主が適切に権利行使できるための環境整備を行うべきであるとされている。また、その補充原則1-2(1)においても、株主が適切な判断を行うに資する情報を必要に応じて適確に提供すべきであるとされ、補充原則1-2(2)では総会議案の十分な検討期間を確保することと同時に、情報の正確性を担保しつつ、その早期発送に努めるべきであるとされている。
  • (伊藤座長による議論のアングル「W:総会関係書類等の電子化の問題」について)ウェブによる開示対象範囲の拡大促進化を議論する際に、お年寄りがデジタル化に追い付いていけないという現状があるかもしれないが、企業ごとに判断すればよいのではないか。まずはウェブ化を可能にした上で、企業の株主構成を見て、ウェブ化が難しいようであれば従来どおり紙ベースで招集通知を行えばよい。オプションとしては、ぜひウェブ開示の拡大をお願いしたい。
  • (伊藤座長による議論のアングル「CとQ:開示制度の簡素化」について)開示制度の簡素化・合理化を行うことで、時間を作り、対話を促進する方向に資源を投入することが重要である。方向性として、現行の会社法開示と金商法開示をベースにした上で、金商法開示は単体ベースを廃止して連結ベースに一本化し、会社法開示は単体のみの開示を認めることではどうか。経団連による会員各社企業アンケートにおいても、会社法では、連結はオプションとし、単体のみの開示を認めるという意見が多く寄せられていた。
  • これまでの議論において、株主総会の招集通知に、決算短信もしくは有報を添付するという案が出ていたが、現行では決算短信は未監査であるため、後日誤謬等が発見された場合の対処等を考えると少し無理があるように思う。また、有報については、実務上作成に時間がかかるため、有報を株主総会の計算書類、事業報告の代わりにすることには無理があるように思う。したがって、これらについてもオプションとしてはどうか。
  • 株主総会の集中化をずらすことにより、機関投資家等の方々が、議案を吟味する時間を作ることは非常に重要である。この点、各社それぞれの事情に応じて基準日をずらすことも現行法上は可能であるが、この方法によれば、各社ごとに基準日が異なることとなる。決算基準日と議決権行使基準日も異なり、議決権行使基準日も各社によってまちまちになれば、それは株主にとって大混乱になる。
  • 株主総会は、基準日から3ヶ月以内に開催することとされているが、この有効期間を1カ月延ばして4カ月にすることではどうか。つまり、現在、基準日は3月末が多いが、それを前提にして7月開催も可能にしてはどうか。
  • 例えば2015年の株主総会開催日を決定する際、最も遅くすれば、6月29日(月)、6月30日(火)となるが、延会を考慮すると、6月30日開催は非常にリスクがある。また6月29日(月)も前日までの情報が営業日ベースで入らないため避けるとすると、2015年の株主総会は26日までに集中することになる。だが、もしこれが7月でも可能であれば、6月30日や7月1日(水)等を選べるようになり、事実上、それだけでも1週間近くばらけることになる。
  • 各社がなるべく早く招集通知を出すなど、そういう努力によって議案検討の時間を稼ぐということは当然だと思うが、そもそも有効期間が3カ月ということで切羽詰って、総会が集中してしまうという事情があるので、会社法の改正によってずらすことを可能にすることがいいのではないか。
  • 企業と株主との対話について、議決権行使だけが必ずしも対話ではないと考えている。一方で一般に経営者は、株主や投資家を色々な形での対話をしたいと考えているが、私の経験では、それを止めようとする人が多い。
  • 経営者がIR・総会において、タイミングや範囲に関してどこまで話していいのかが不明瞭である。不明瞭であるので詳しそうな人に言われるとそれで止まってしまう。IRについてのセーフハーバーをしっかりと決めて、それを発表ないし共有することは、それなりに効果があるのではないかと思う。
  • 総会のあり方について、日にちの話などをテクニカルに議論することは大変重要であるが、「そもそも総会というものはなるべく時間内に終わらせることである」ということではなく、株懇・弁護士協会・信託銀行協会等を含めて「もっと対話をする」という方向で再定義することが必要ではないか。そういう動きを進めることも、細かい法的な解釈や時間の設定を変えることと同じぐらい重要ではないかと考える。仏つくって魂入れずになってはいけない。
  • 個人投資家は、本当に経営者との対話を求めて、株主総会に参加する。経営者がどのような表情でどのような語り口で語るか、信頼性がおけるかどうかを見極めている。例えば質問に対して、経営者がたじろいで後ろから紙でも回されるようなことがあれば、「この会社に投資しても大丈夫かな」というような、非言語情報を含めて色々な情報をキャッチする。
  • 機関投資家のみならず、個人投資家も、多くの株主総会への参加を望んでいるため、株主総会の集中化は避けてほしい。株主総会は、午前10時開催が多いが、夕方開催や夜間開催など、時間をずらすようなことも検討してほしいという声や、機関投資家と個人投資家との情報の格差をなるべくなくしてほしいという声も個人投資家から聞かれる。
  • また、個人投資家の中でも日中動ける人と、夜と週末しか動けないサラリーマン投資家ではアクセスできる情報が変わってくる。株主総会の様子を夜動画で流してほしいという声や、四半期決算の情報開示のタイミングを分かりやすく告知してほしいという声もサラリーマン投資家から聞かれる。
  • 四半期決算などの決算情報の開示スケジュールが分かりにくいという声が個人投資家から聞かれる。東証のホームページでは、何日に発信するという簡単な一覧表が掲載されているが、時間までは出ておらず、それが予告なく変更されることもあり、そのあたりで情報の格差が生まれる。情報を得られるタイミングに格差がないように、個人投資家への目配りをしてもらいたい。
  • コーポレートガバナンス・コードでは、攻めのガバナンスという言葉があるが、この研究会も、ある意味で、攻めのディスクロージャーの議論になると考えている。攻めという観点からは、ディフェンシブな意味での開示、例えば「こういう開示はちゃんとやりましょう」「こういう情報は出しておきましょう」というのは意味がなく、最も大事なことは、経営者がどうであるか、この会社の基本的なコアな方向性は何なのか、あるいは会社をどのような方向に持っていこうとしているのかという、もっと本質的な部分ではないかと思う。したがって、それをどこまで機動的にかつアクティブに、あるいはリアルにコミュニケーションできるかということも、大事だと思っている。
  • 経営者の一挙手一投足、あるいはモノを言う時のディサイシブネスであったり空気であったりというのは、大事な情報である。今はとにかくいろいろなメディアが発達している時代であるため、紙に何が書いてあるかを細かく決めることも確かに大事であるが、そういった意味でのコミュニケーションの質と量をどう高めるか、開示にそれらの要素を入れていくことが重要ではないかと思う。
  • これまでの議論を見ると、決算短信は必要との議論になっているように理解している。四半期開示については、第2四半期に提出し、第1・第3四半期は不要という考え方もあるようだが、その一方で四半期開示は求められて導入されたという経緯もあるはず。取引所のルールで直せることであれば、できるだけ重複をなくしたいと考えているし、また株主に対しても多くの検討時間を設けられればと考えている。しかし、投資家には十分な情報が開示されなければならないし、一方ではプロフェッショナルなアナリストにも情報を提供しなければならない。更に、会社からは「開示はコストがかかる、面倒くさい、同じようなものをたくさん開示しなければならないし、こうした制度は外国にはない」という声もあがる。取引所はこれらの要請を整理しなければならない。法律で求められるものと取引所ルールで求められるものを整理し、取引所に何を求めるのかについて、是非意見を聞かせて欲しい。
  • 取引所では、コーポレートガバナンスの強化を通じて、上場会社が株主に対して情報を十分に提供し、批判を受けて経営を行い、それを改善していくことによって利益率を上げ、結果として株価が上がる、という循環を作ってきたつもりであり、より簡便かつ有効な方法をつくることに対して、非常に前向きに考えている。
  • ガバナンスの問題も含め、株式市場の参加者は極端なショートターミズムから適切な中長期のターミズム、あるいはサスティナブルな株式市場の活性化に役立つような仕組みが色々なことで出来ないかというのがそもそもの議論の出発点。
  • そうした観点からは、機関投資家の立場では、財務情報だけではなく非財務情報も含め、会社のあり方・方向性、リスク面について、どういうことが今問題になっているかということが開示されることが望ましいと考えており、これまでの議論は非常に良い方向に流れていると思う。
  • いわゆる機関投資家が株主総会に出席するケースはそれほど多くないというのが事実であると思うが、議決権行使や意思決定をするための検討時間とそのための材料(情報)がもっとあったほうがよいと思う。
  • 日本の制度は日本の制度だということがあると思うが、例えば基準日も含めてよい方向に動くことがもしできれば、我々としては歓迎すべきことではないかと思う。「納得できるな。いい方向になったな」と実感できるような落としどころが出てくるとありがたい。
  • (質問)現在の議論では、会社法改正マターに関わる問題と、証券取引所規則の範囲の話と、制度を変えなくても運用上対応できる問題といった、いくつかのレイヤーの問題が混在しているが、それらは今後、議論が進む中で徐々に整理されていくのかどうか。私自身の基本的なスタンスとしては、金商法なり会社法なりの本則を変えるという議論が当然入ってくるべきと考えている。
  • (回答)議論の方向性が一致するのであれば、そこまで行く可能性はある。研究会には、法務省の坂本参事官、金融庁の油布課長にもご出席いただいているため、3月までに報告書を出すという時間軸の中において、時間が許すのであれば、整理したいと考えている。
  • 今回の研究会は、非常に貴重な改革チャンスであると認識している。現行制度ではなく、我々にとって何が最善の制度であるのかをまずは定め、どういう工夫が可能なのかという哲学的な視点から議論した方がよいと思う。
  • 決算書類の数値確認には時間がかかるため、現行制度のもとでは、もっと早く招集通知を送りたくても無理がある。だが、非財務情報や選任議案については、数値が固まるか否かは直接関係しないため、分けて送ることが可能である。そういった順応性ある仕組みが制度上あればよいと思う。
  • 現行制度では、なにしろ短期間での行使が必要なので、投資家との十分な対話ができていない。1ヶ月程度株主総会を遅らせることで、問題点を整理し時間をかけて議決権行使することが可能になるため、非常に大きな前進になると思う。
  • 日本の制度は、先進国の中では最も対話ができていないと思われているが、私はそうではないと信じている。対話ができているという実態をぜひ作りたいと考えている。
  • 10社のうち例えば1社、対話したいと思う会社は、総会前に送られてきた情報を見て対話したい・対話したくないと決めるケースもあり、前から対話したい会社というのは、情報が送られる前にそう思っているケースもある。株主総会が集中する問題というよりも、検討する時間がないことの方がよっぽど大きな問題である。
  • 投資家との対話の中では、取締役会選任事案が最も重要であると思うが、それらの議案を見る時間が仮に1週間・2週間延びたとしても、何かが変わるわけではない。総会のみでは対話は不可能であり、普段からの対話が必要となる。
  • 究極的には、取締役会選任事案は、ある一定の条件を満たした株主だけが取締役選任議案を出せるということにすると、もっと具体的な対話ができると思う。
  • 他方、そのような話を普段から企業と大株主ができるのか、その点は必ずしも明らかではない。総会ではなく、普段において企業と株主の間でどういう対話を持つことが可能なのかというセーフハーバーをつくるのがいいのではないか。それはできることならば、取締役選任議案に関係するあたりも含めて、対話を普段からできるようにするといいのではないかと思う。
  • 弊社では、約1,800の株式を保有しており、議決権行使にあたってはスクリーニングを実施した上で約300社に課題意識を表明している。
  • また、弊社では長期の機関投資家として平時からの対話を重視しており、時間をかけて投資先企業と課題意識を共有しながらコミュニケーションを取ることで結果として議決権行使に繋げている。したがって、総会の開催時期が1ヶ月程度伸びたからと言って、議決権行使の精度が大きく高まるということはない。
  • 招集通知のウェブ開示や総会開催日の分散化も総論としては賛成であるが、長期の投資家という観点からは、むしろ、平時からの対話が重要であることは言うをまたない。
  • 平時の十分な対話が非常に重要ということはもちろんであるが、その一方で、総会の開催日が集中していることによって、機関投資家、特に海外の機関投資家が適切な判断を下すにあたって困難を伴っていることも事実である。海外の投資家にとっては、これは大きな懸念であり、解決してほしいと思っている。
  • 前回の株主総会のあり方検討分科会で提示されたACGA(Asian Corporate Governance Association)からのレターには、「議決権行使の期間が短く総会の開催日が集中していることは、特に議決権行使にリスクベースのアプローチをとる投資家に影響を与える。すなわち議決権行使を予定する数百の企業の株主総会のうち(だいたいグローバルな投資家は500ぐらい日本株式を持っている)、投資家は事業またはコーポレートガバナンスの面から最もリスクの高い40社~50社に注目する。問題を生じさせる可能性のある総会議案があるケースにおいて、その点について企業に明確化を求めるが、総会開催日が集中している状況では十分な時間がない。そのため、投資家は議決権代理行使のアドバイザーにより依存することになる」と趣旨の正式なレターが寄せられている。
  • 平時の対話が重要で、そのための努力は双方惜しまなければいけないということは大前提であるが、その中においても、やはり総会の開催日が集中していることにより弊害が生じているという事実もあるということについて、改めて指摘させていただきたい。
  • かつて四半期報告書には、連結・単独両方の決算情報や、製造原価明細書など詳細な情報も開示されていたが、簡素化が進み、両者が似たようなものになってしまったというのが、今回の一体化の議論のきっかけであると思う。
  • 我々の25人いるアナリストに聞いてみると、セクターを問わず同じものであれば一つでいいという意見が多い。四半期報告書が決算短信の翌日とか1週間後に出てくると、見ている時間がない。おそらく、四半期決算が導入された当初と現状で状況は変わってきているのではないか。
  • 日本では、非財務情報やMD&Aがプアであるため、この点について、研究会の後半にもう一度議論できればと考えている。
  • 取引所が求めている短信では、もともと非常に単純なことしか求めていない。多くの情報を開示しているのは会社側の事情にすぎない。取引所のルールで求めているものと、会社が自主的に開示しているものをよく分析した上でどうあるべきか判断していただきたい。
  • 日頃の対話が重要であるのはその通りであるが、そのためにスチュワードシップ・コードや社外取締役制度が入ったのではないかと思う。
  • このうち、社外取締役制度については、on behalf of shareholdersという考えに基づき、任された経営者が株主と直接話せないから、株主の代わりに社外取締役を入れなさいというものである。
  • 現在パブリックコメントを行っているコーポレートガバナンス・コードの補充原則の中に、「例えば、独立社外取締役会のみを構成員とする会合を定期的に開催する」という文言が入っているが、仮に入ってくると、少なくともCEOは彼らと相対して会話をしなければいけないはず。こうした点も含め、コーポレートガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードをどう生かすかという観点から検討していただきたい。
  • 総会前後の開示については、まだ考えがまとまっていない。ただ、企業のIR責任者や担当者と話していると、新しい開示方式などが導入される場合、十分な時間がないと対応できないので、それは留意してくださいという人が多い。「すぐ対応すべき」とか「これがこういう理由で導入されてもっともなことだから、すぐやりましょう」といわれても準備が必要であるからだ。また最初から緻密に対応しておくと、そのレベルが続くという意味でも時間は必要かと思う。
  • 「攻め」の開示については、本当にこういう時代が来たという意味で前向きに捉えている。
  • 平時の対話が重要ということはそのとおりであるが、対話によって何ができたのかとか、対話により情報共有をして、どういう成果が得られたのかというところまで開示、または共有する仕組みがあってほしい。この点についての議論がこれまではなかったように思う。
  • というのも、スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードでは、基本的に機関投資家との対話による企業価値向上が、結果的に一般個人や資金提供者にも恩恵を及ぼすことになっている。けれども個人株主を含む一般投資家の中には、機関投資家だけが対話に参加できると解釈し、それに疑問を持つ人もいる。コードは策定されていないが、規制が細かいアメリカでは、アナリストや機関投資家との対話が密室化し、そこで問題が起き、SECが規制をするということを繰り返ししているような気がする。日本では、対話の結果が財務情報に表われることで公平性が保たれていたが、簡素化に加えて、対話の中身あるいはその成果があまり説明されないということになれば、個人株主を含む一般投資家が、対話に関する情報の共有や、市場への公平な開示が実現できていないと解釈してしまうこともあり得る。こうした点についての議論は次の段階になるかもしれないが、そこは考える必要がある。
  • 今回取りまとめをするにあたり、ガバナンスコードはかなりインパクトがある。ガバナンスコードによってつくられる世界を前提に物事を考えていくべき、もしくは中長期のいろいろな投資を促すという意味でやっているこの施策の目的をまさに補う、助け合うという感じで、ガバナンスコードに魂を入れていくような施策が大事ではないかと思う。
  • 例えば取締役の選改任にしても、ガバナンスコードのところで任意の取り組みという4-10があり、社外役員を主要な構成員とする委員会などの取り組みのことも書かれている。まさに6月の総会の前にいきなり株主が一度に見るというのではなく、日頃からどういう形でどういう人が選ばれているのかといったことをきちんと企業側でやっていってくださいと、これがまさにガバナンスの中で大変重要な項目であるということも出されている。企業側において、なぜガバナンスコードにこれらが記載されているのかという理解をさらに深めるといったことを、この研究会の成果物を含めて、政府のほうでもよりやっていくということが大事ではないかと思う。
  • 日頃からの対話に関しては、ガバナンスコードで論点が出されているため、それを踏まえた実質化という観点から取りまとめをしていただきたい。
  • 例えば総会では、取締役の選任が最も重要な議案である。対話の本質的な役割を担うのは、社外取締役やCEOであり、その社外取締役として誰を選ぼうとしているのか、あるいは社外取締役がどういうメカニズムでCEOを選ぼうとするのか、あるいはエグゼクティブを選ぼうとしているのかという、メカニズム自体が非常に重要な情報であり、きちんとそこに規律を与えているということが、はるかに重要な情報であると考えている。
  • ガバナンスコードでは、実は補充原則や前書きに書かれていることに本質的な部分があり、その議論をここでも反映して貰って、そうした点が対話をする上での中身・実体になっていくということが大事ではないか。そうした過程で、日本の会社における、従来のボードメンバーの選び方やCEOの選び方というのは、本当に真面目だったのかという問いは、やはりなされなければいけないと思う。
  • 日本ではスチュワードシップ・コードという概念が新しくなじみがないため、どのような対話を行うかについて試行錯誤しているが、他方通常のIR活動というのは20年ぐらいの歴史があり慣行が出来上がっている。社外取締役も関与する可能性のある長期的な視点で行う機関投資家との対話を、今までのIR活動と同様に捉えている関係者がかなり多いのではないかと思う。しかし、先行している英国であるとかヨーロッパ大陸であるとか、あるいはアメリカの状況を見ていると、実態はかなり異なっている。
  • 例えば通常のIR活動であれば、CEO、CFO、あるいはIRオフィサーが、投資家から要請を受けるとこれに対応し、かなりの頻度でミーティングを行っている。開示もできる範囲で詳細に開示するというケースもかなり多いと思う。ただ一方で、例えば社外取締役あるいは議長が社外取締役であればその方、あるいは日本のガバナンスコードでも入る予定であるシニア・インディペンダント・ディレクター(筆頭社外取締役)と、機関投資家の間での対話というのは、回数は限られている。会社も投資家も十分考えて、かなり絞られた機会、場で行われている。また話の内容も、実際の決算など数字についてではなく、長期的に企業を成長させることができる枠組みについての対話であり、内容も通常のIRでの会話とはかなり異なっている。
  • そこではかなり突っ込んだ内容の対話が1対1あるいは1対複数の間でなされるが、それについては限られた情報しか開示されていない。ただ、そうした対話を行っているという事実や、誰が責任をもって対話を実施しているのか、例えば議長がやっているとかシニア・インディペンダント・ディレクターがやっているとか、そういうプロセスやフレームワークについては、企業は開示しているという状況である。そのため、スチュワードシップ・コードができてガバナンスコードができたから、社外取締役と投資家の対話を1年に10回やりましょう、8回やりましょう、そしてその内容を全部開示しましょうというようなIRの世界とは全く違った世界に突入していることを前提に、対話の開示のあり方について、注意深く、各国の前例を見ながら考える必要があると思う。
  • スチュワードシップ・コードができてガバナンスコードができるということで環境が整い、その中でしっかりやらなければいけないという中で、通常の開示がやはり大事になる。
  • 株主総会は、株主総会だけでどこまでできるのかという問題があるが、実質的にインベスターにとって非常にいい株主総会になる、またそういう方向にもっていくことが、この問題提起の根底にあると思う。
  • 実際の開示の内容が望ましい方向に行き、その行動の結果として、株主総会で正しい議決権行使ができる、それが担保できるという時間的なゆとりと開示内容の向上が図れれば、機関投資家としては非常に歓迎するし、協会の会員メンバーもそういう意見が非常に強い。
  • (伊藤座長による議論のアングル「Q:クオリティ」について)最も難しいかもしれないが、Q:クオリティに切り込んでいくべきである。
  • 企業の開示において、企業の考え方、経営に対する信念、どういう方向に事業を持っていくのかという、通常行っている開示内容と比べて、もっと大きくて深い論点について、投資家との対話を促進していかなければならない。また投資家側も、そうしたことについて理解していかなければいけない。
  • ガバナンスの開示は、外形的な開示、例えば人数や組織の形態といった内容がとても多いが、考え方や意思決定プロセスの開示は、かなり少ないと思う。例えば社外取締役は株主に代わって経営者を監督する役割を担うとされるが、実際に、社外取締役の方々がどのように振る舞ったのかということが外部から分かるのは、不祥事が起こり、第三者委員会が立ち上がり、その報告書である第三者委員会報告書においてのみである。不祥事があって初めてわかるということで果たしてよいのか。社外取締役を企業がどのような考え方で選んでいるのか、また選ばれた社外取締役はどのような考え方でどのような活動をしているのか、さらにプロパーの取締役の方々もどういう形でガバナンスを運営しているのか等など、考え方や意思決定プロセスの開示などについても、しっかりやっていかなければいけないのではないか。
  • 先ほど株主総会についての議論の際に、20日間では短いといった期間についての話があったが、こうした議論に加えて、総会に向けての情報開示の内容についてそれが何年も積み重なって、「その会社ってどのような会社なのか」ということを後で振り返られるような内容の開示ができないか、例えばガバナンスの考え方の変遷であるとか、経営方針の変遷といったようなものを想定しているが、こうした点についても是非検討し、提言につなげていきたいと考えている。
  • 開示内容の見直し、タイミング、それから開示資料の統合化は、ぜひやったほうがいいと思う。ただ、このこと自体はツールの工夫でありそこで終わってしまうと、ツール自体の有効性が今よりもよくなったということに止まってしまうと思う。
  • この研究会の最終的な目標は、対話を促進して、資本市場を活性化して、低いと言われる日本企業の採算性を最終的に上げていくことである。それに資すると思われるツールの工夫はいろいろなことをすべてやり、弾力的な運用ややり方を工夫していけばいいと思う。他方、そうした工夫をしたとしても、したたかな企業が対話等を回避するようなことはあり得るわけで、そうしたことを駆逐していくという観点からは、ツールを使う人間が誰で、そのツールに魂を入れているのか入れていないのかというところを見極める必要がある。
  • 例えば、四半期開示をすることによって、ショートターミズムになっているといった問題についても、企業側は投資家の投資行動そのものを規制することはできない。すなわちショートターミズムで投資する人は、それをやらせるしかない。それを企業が阻害しにいくと、市場原理から言っておかしくなってしまう。一方で企業側にも、どの投資家のアドバイスなり建設的な指摘に対して対応するべきかという、投資家を選択する権利があり、ショートターミズムに陥っている投資家やそれを促進するアナリストではなく、逆の投資家からの建設的なアドバイスを頂戴したいと考えるのではないか。
  • 現にスチュワードシップ・コードが出されてから、私どもがIRで対面している機関投資家からのご意見が明らかに変化している。それはまさに「こうされたらいかがですか?」といった観点からの指摘があり、企業側は企業側で「そうはおっしゃいますが、これこれの理由でこれができない」といった双方向の対話ができるようになってきている。その環境変化を踏まえれば、ツール改良の提言の中に何のためにスチュワードシップ・コードを出したのか、コーポレートガバナンス・コードを出したのかという、魂の部分を今回ぜひ反映していただければと思う。

以上

関連リンク

お問合せ先

経済産業政策局 企業会計室

 
 
最終更新日:2015年2月2日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.