経済産業省
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持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会(第3回)‐議事要旨

日時:平成27年3月26日(木曜日)16時30分~19時00分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

(委員)
伊藤座長、稲葉委員、岩間委員、引頭委員、上田委員、内野委員、大場委員、尾崎委員、キャロン委員、斉藤委員、佐久間委員、佐藤(和)委員、佐藤(淑)委員、高山委員、武井委員、中川委員、野村委員、深澤委員、松本委員、森委員
(企業情報開示検討分科会委員)
北川委員、熊谷委員、三瓶委員、関根委員、弥永委員、山田(俊)委員
(株主総会のあり方分科会委員)
岩田委員、鶴岡委員、山田(治)委員
(法務省)
坂本大臣官房参事官
(金融庁)
油布企業開示課長
菅原経済産業政策局長、平井大臣官房審議官、山下経済産業政策課長、中原産業組織課長

議題

取りまとめに向けた検討等

議事概要

以下の通り。

  • 資料の確認後、事務局より資料説明。各分科会座長より、これまで開催された分科会の議論について説明がなされた後、最終報告書の取りまとめに向けて議論。その際の概要は以下のとおり。
  • (P11 3.2.1_03(1))議案を実質的に検討する期間を確保しなければ、実質的な株主総会の議論ができない。さらに、事前対話をするための期間や時間が必要という認識があったということが、非常に重要である。
  • (P11 3.2.1_03(2))アメリカでは、1ヶ月程度議案を検討する期間がある。日常的な情報交換ができていればよいが、具体的な議案や議題が出された際にどのように対応するかについても時間が必要である。決算日から3ヶ月しかない中で、招集通知が2週間前に送付される現状では、議案について十分な検討ができず、それが多くの企業に投資している企業であれば、なおさらである。
  • (P14 3.3.2_09)基準日は必ずしも法的な制約にはならないことが確認された。株主総会は、お互いにコミュニケーションをとり、議決権行使のための熟慮ができる期間を確保することこそが重要であり、基準日は決して制約にならないということが明らかにされた。
  • 税金について、2ヶ月以内に法人税の申告をするが、特別な事情があれば変わるという、その特別な事情に、こういう場合ならば当たるのではないかという感触を得ている。
  • 基準日と株主総会までの期間が3ヶ月もあると、その間に株式を売ってしまい、株主総会時点では株主ではない者が総会に出てくる可能性もあり得る。できるだけ総会に近い日の株主であるべきであるが、そこには時間差が発生するため、株式を持たない株主が出てくる可能性はあり得るかもしれないが、その期間はできるだけ短い方がよいと議論された。
  • (16ページ以下)IT化の議論は、情報と書類を区別することが大事である。書類という紙媒体を前提にすると、印刷などで時間がかかる。最初に必要とされるのは情報であるが、情報には速報と確報がある。速報については、できるだけ早く提供できることが有用である。速報については、任意で情報を提供しWebを活用できないかと考えている。
  • (17ページ以下)まずは電子化し、紙が要る人に紙を渡す、つまり原則電子化するという議論が出てきた。電子媒体としてPDFで提供する以上、紙媒体が想定されるため、思い切ってデータ化してはどうかという議論まで出ていたことをご紹介したい。議決権行使についても、IT化の一つの方法であるが、これについてはどうかということも議論された。
  • (19ページ)対話を促進して株主総会を実施する、総会を中心に投資家と会社のコミュニケーションをやっていこうとする会社のためのガイダンスがあればよいと思う。
  • (19ページの4)定款のあり方について、最高裁判例で定款は議決権株主に限るという議論があるため、その点についても検討を行った。
  • 現在内外から、日本での対話に対する関心や期待が非常に高まっているため、そうした期待を裏切らないようなものにしたいという思いで、我々は議論をしてきた。
  • 「EfficientでEffectiveなディスクロージャー」が目指す開示体系である。Efficientとしてできるだけコストミニマイズや重複を避け、それから有用性を含めて効果を高めていきたいと考えている。
  • 開示も増え、直接対話も増えるということでは、企業側の負荷ばかりが高まるため、直接対話に時間や工数を割けるようにしたいと考えている。
  • 伊藤レポートの問題意識から引き継いでおり、現時点で必ずしも十分な議論ができていないのは、情報開示とショートターミズムの問題である。たとえば四半期開示に対するオーバーリアクションを中和化あるいは緩和するにはどうしたらよいのか、その有力な方向感までは議論できていないと考えている。
  • 情報開示と直接対話とは、ある意味で逆説的な関係にある。対話が重視されることにより、これから経営者は対話に引っ張り出される一方で、情報開示が十分であれば、そこまで直接対話は要らないことになる。情報開示は直接対話が必要でないぐらいのものであれば、直接対話があった時、非常に意味のあるものができるというスタンスである。
  • モジュラー型開示システムというようなある種のコンセプトを、基本設計思想として考えている。
  • 日本では、会社法と金商法の2本立てであることが非常に苦しい。例えば、戦後のドイツでは、従来から存在した開示に加えて、米国の制度も持ち込むことにより混乱した時期があったが、それをかなり曲げながら一本化してきたという経緯があるのではないかと思う。
  • 現在、監査済みの有報は総会後に提出されるのが一般的である。金商法の視点からみると、投資家にとって総会はどういう位置付けの場なのか、総会で討議している数字は何か、というような問題が浮いたままであるように思える。
  • 完全な一本化は難しいが、重複している部分を整理しながら方向性を作っていく作業が必要である。そのためには、今後経産省、金融庁、法務省という三位一体の討議構造をつくり、学者の先生方の意見も入れて、海外の例も踏まえて対応していくべきではないか。
  • 基準日の問題も非常に難しい。配当基準日と総会基準日があるが、総会基準日だけ動かせばよいというわけではない。今話題の大塚家具では典型的な問題が起きている。基準日から総会までに持株の半分売った株主を一方の側に付けているという問題がある。そのあたりについても、欧米の感覚を取り入れて考え直さなければいけないのではないか。
  • 情報開示は対話ではない。情報はインフォメーションであり、必要なのはインテリジェンスである。いくら情報開示をしたとしても、統合的にそれがどういう意味をなすかということを本当に把握しているのは経営者だけかもしれない。情報開示を多くすれば直接対話は要らなくなるということは、私は決してあり得ないと思う。
  • 二章ではMD&Aの重要性が触れられており、三章ではなくなっているが、MD&Aの大切さというのはインフォメーションではなく、マネジメントとのディスカッションである。
  • CIAの仕事も99%は情報を集めることであり、それは新聞にも書いてあることであるが、たった1%の、それを全部構成する一滴のものがあり、それがインテリジェンスである。そのインテリジェンスがはるかに重要であるため、直接対話は重要である。
  • モジュール化等々の議論は若干各論に行きすぎている感じがする。情報開示をしっかりすれば対話が要らなくなるという考え方ではないと思うので、そこはもう一度しっかり議論する必要がある。
  • 対話である以上、相手方についてどのような投資家や株主をイメージするかということにつき、個人の重要性が記載されている。三章の3.8に記載されているのは「個人は弱者であるのでそれに配慮したことを考えましょう」という内容が記載されているが、そうではない。そもそも最終株主、最終受益者は個人である。個人というのは重要なステークホルダーであって、無視すべきではない。
  • 企業に対してけん制を与えるのは株主だけではなく、ジャーナリスト等もいると思うが、そういった人たちの関心や分析を呼び込むためにも、個人をイメージしてしっかりと説明することが重要である。ウォーレン・バフェットの発言にはそれなりにかなりインプリケーションがあると思う。その意味で、個人にもわかるように説明するという内容は、第二章だけではなく、第三章でも記載すべきである。
  • どのような株主を想定するかを検討する際、今後、もう少し広い意味での個人投資家を想定する必要があるのではないかと考えている。それはNISAの広がりや個人型DCの対象が拡大されていくなか、初心者の個人投資家も増加が見込まれるため、それを見据えての情報開示、情報提供を考える必要性があるのではないかと考えている。
  • 財務情報、非財務の統合報告書をより充実していくことが大事ではないかと思っている。任意開示でもいいと思うが、それを見ることが個人投資家の基本姿勢になるということが根付くといいのではないかと思う。そのためには、情報をどう取って、どう読むかということが大事である。今後は個人が投資運用して老後資金を形成する必要も高まるため、個人向けの投資教育を定着させるという視点も必要ではないかと思う。
  • (開示のQCTWのうちWについて)電子的に開示することは今の流れとして当然であるため、オプションということであれば、どんどん拡大していただきたい。
  • 当社では55万人の株主がおり、比較的個人の株主は年齢で言えばかなり上の方が傾向としては多い。当社の株主の年齢層を前提とした場合、Web化を強制することは厳しいが、オプションであれば電子的な開示がより広がる方向でぜひ検討をし、実行していただきたいと思う。
  • Web開示は関係法令の改正も伴うため、そこはしっかりやっていただきたい。
  • 企業の判断で基準日を決算日と異なるところで設定することによって、総会の設定も、ある意味では自由にできる。企業側には、それぞれ事情があるので強制ではなく、そこはやはりフリーハンドを与えていただきたい。
  • 法定では招集通知は2週間前に送付されるが、私の感覚では、だいたい3週間前には送付している企業が非常に多い。たとえば総会関係のWeb開示を可能にし、修正もできるようになれば工期も短くなる。当社では、印刷工期、袋詰め工期に時間がかかっているため、そうした時間が短くなれば現状の3週間前より、もう少し時間がとれるようになる。
  • 私が、現行の3ヶ月という有効期間を4ヶ月と申し上げたのは、ゆとりを見て少し前に総会を開催することや、土日に開催するというのはなかなか難しく、月曜日に開くことも難しい、となると総会の開催日は限られるため、たとえば今の90日が100日になっても全然違うと思う。会社法の見直しが2年後に予定されている中で、それらについても議論していただきたい。
  • 配当の基準日、議決権の基準日を各社ばらばらに設定するというのは、投資家にとっては非常にわかりにくく混乱を生む要素がある。今は各社でいろいろな幅で設定できるが、やはり決算日を基準日に持ってきて配当と議決権を分けていないといけない。これもある意味では慣行と言いながら、それは意味のある決定である。
  • 今回の一番大きい成果は開示のあり方であり、モジュール型開示システムということが今後の方向性としてまとめられているが、まさにその方向で実行していただきたい。実行する際には、関係する方々が集まって、それぞれが効率化やefficiencyを追求するということではなく、経産省、法務省、金融庁、東証等、関係者が一緒になって検討していっていただきたい。
  • (8ページ その他の年度の任意開示 09)「諸外国におけるベストプラクティスも参照しながら」という記載が、SECの10-K Wrapなどをイメージしているのであれば、現状、アニュアルレポートを作りたくても、時間やガイドラインがないことから難しいと感じている中小型企業もあるため、こういう方向感の中で制度開示の統合化したものを中小型会社がうまく活用できればいいのではないかと考えている。
  • (9ページ 2.5.1に四半期開示の一本化の検討 2)「四半期報告のみに一本化し、四半期短信を要請しないことも検討」と記載されているが、「四半期短信に一本化し、四半期報告を要請しない」ことは考えられないか。
  • Efficient、Effectiveを進めるためには、投資家保護や投資家に対するリスクの軽減は意識されているが、平時ではない時の開示はあまり意識されていないように思う。Efficient、Effectiveという考え方で統合していくことは必要であるが、投資家とリスクを共有して企業価値向上を将来に向けて目指していく中において、リスク情報開示やリスクが発生した時の情報開示は、対話の前提である信頼関係という意味において、非常に重要でありマストである。そういった点について意識していることを、どこかでにじませていただきたい。
  • 東京の証券市場はまさに活性化や信頼性確保が非常に大事であり、信頼性確保という点について言えば、たとえばロンドンやニューヨーク、あるいは香港や上海といった他の証券市場においても同様であって、このような他国の市場と差があってはならない、むしろもっといいものでなければならないと考えている。
  • 当研究会では、一元化の方向性が結論として出されているが、これまで実務ではあまり疑問を持たずに決算日程を組みながら、会社法、金融商品取引法、決算短信といったそれぞれの開示書類に対応してきたように思う。これらについて、信頼性の確保、証券市場の活性化という観点から、市場で競争していかなければいけないとなったときに、企業もそれなりに競争するための下地が必要であるということなのだろうと思う。
  • 会社法と金融商品取引法、それぞれの法定開示書類が一元化されることによって企業の負担はかなり軽減され、非財務情報の充実といった費やすべきところに時間と労力をかけることが可能になると思われるため、次のステージではこれに実効性を持たせていただきたい。また、義務ではないが決算短信においても、現状相当詳細な情報を開示している企業も少なくない。決算短信については適時性の観点から速報性が求められるため、各企業に対して速報性が重要であるということを明確に伝えていけるような土壌ができればと考えている。
  • 四半期報告の制度化は、グローバルな市場の中でも誇れるものではないかと考えている。決算短信が速報性であり、制度開示は確報としての信頼性が必要であるため、四半期報告の制度化は、ある意味では優位性もあると思っている。その辺はしっかり押さえて、次の検討を進めていただきたいと考えている。
  • 米国では、株主総会は7月あるいは8月に開かれるケースもあると聞いているが、わが国の総会をたとえば7月末に開くとなると、実は第1四半期の報告がそろそろ出る頃であり、計算書類あるいは財務報告の数値の取扱いを株主総会でどうするのか、あるいは配当をどのように決めていくのか等、総会の決議事項とすべきものは何かを考えていく必要がある。これは、報告書案では、第三章の20ページ入ってくる内容と思われるが、現状あまり具体的に記載されていない。20ページの02について、会社法の改正等も今後予定されるとすれば、株主総会での決議事項について再度検討を進めていくことが必要ではないかと考えている。
  • (10ページ2.6 2)日本企業では、現在、ガバナンスに関する情報開示のあり方が最も議論されているため、このガバナンス情報のあり方にフォーカスを当てたい。
  • 有報の中で、ガバナンスコードに関する説明も含めて出していただくことが、あるべき姿であると考えている。また、できることであればモジュール式で、間に合えば総会前に出していただきたい。そうすれば、おそらく投資家にとっても最も必要とする情報が総会前に間に合うことになる。
  • 現状、ガバナンスに関するような定性情報は、有報あるいはガバナンス報告書、アニュアルレポートに、それぞれ記載されている。もし、これがモジュール化され、1つの情報とされれば、企業側の負担が少なくなり、さらに投資家にとっても株主総会に必要なタイミングで十分な情報がとれるため、双方にとって今よりいい姿になると考える。
  • こうした形になれば、結果として国内の投資家と海外の投資家の取得できる情報量というのが標準化されるのではないか。国内の投資家は有報を見ることができアニュアルレポートその他も見ることができる。海外の投資家は英語化されたアニュアルレポートしか見ていないということになるかと思われる。
  • おそらく会社は、現状3つの書類を作成することに相当な負担があると思う。将来的に有報をベースにして非財務の部分、たとえばガバナンス報告書をアペンディックスとして後ろに付けるなどの形で統合的なものをアニュアルレポートとして出されれば、全体として優れた報告書になると思う。さらにこれをそのまま英語化していただければ、別途アニュアルレポートという体裁を再度作成するよりも、コストも下がるのではないかと考える。
  • 私は有報というのは大変よくできた制度であり、監査も入っている部分の正確性も重要だと考える。これとあわせて、監査が必要とされない自由記載の部分で、ぜひ非財務情報の拡充といったものができれば、投資家や企業にとってもよいのではないかと思われる。
  • 私は、機関投資家の利益を代表する立場であり、ロングターミズムの観点から、検討・研究の結果がどういう形で実を結ぶかということを、当事者として実際に受け止めて考えなければいけない立場であると考えている。
  • スチュワードシップ・コードに示されているとおり、エンゲージメントをどれだけ実効性のあるものにするのかということになってくると思う。
  • 今後、企業報告ラボの投資家フォーラム作業部会や、経営者・投資家フォーラムを創設して、企業と投資家の質の高い対話の実現促進に取りかかるのであれば、それを実効性あるものにするために、今回のレポートが非常に有効性を発揮するのではないかと考えている。細かいことはあるが、大枠としては、我々の業界としても積極的に取り組んでいきたいと考えている。
  • 電子的に議決権行使するプラットフォームをどのように活用したらいいかということについて、もう少し関係諸団体が掘り下げて協議することが必要なのではないか。
    欧米では、ほとんど電子的な議決権行使をフルに行っている状況であり、日本の利用は低い状況にある。マニュアルと電子のプラットフォームとが並行的に動いていることは、ある意味では非効率の原因にもなるため、我々としてももう少し研究しなければいけない部分があるが、そういうことについてもこれから議論を掘り下げていただけるとありがたい。
  • 株主総会について、技術的に難しいことは理解しているが、基本的には、やはり議決権を持ち投票する人と議決する人と実際の株主が、限りなく近いほうがいいだろうと思われる。
  • 日本がガバナンスを強化していることを、世界に打ち出しアピールしていくには、そのための努力・道筋を示していくことが非常に大事なのではないかと考えている。
  • 配当と議決権の基準日を分けることは難しいというご意見もあった。2つの基準日を設けると、信託銀行にその基準日時点の株主を特定してもらわなければならず、コストがかかる。コストをかけてまで、実際の株主が議決権を行使できる株主総会の環境を提供、整備する気持ちがそれぞれの企業にあるのかどうかということも、ある意味で、企業と投資家との対話姿勢といえるのかもしれない。
  • 議案の開示について、イギリスでは、総会の6カ月前に開示する。総会当日に誰が株主か、つまり議決権を行使するのかはその時点では不明だが、会社の意見としてまず開示するという扱いであったと記憶している。よく考えると、総会当日の株主が誰であれ、当該年度の株主総会における会社側議案は大きく変わらないはずである。日本においてももっと早く開示できる可能性はある。それらが現在の法の枠組みでできるかは不明であるが、投資側から事前準備が大変であり、もっと時間がほしいということを強く求められているのであれば、会社側の議案の早期開示という手段もありうるかもしれない。
  • (7ページ 04 2)モジュール型開示について、一石を投じた提案になっているのではないかと思う。ただ、そうは言っても会社法、金商法、取引所規則が3つ併存しているのは事実であり、それをどのように整理したらいいかということが重要である。これについて「定義や概念の共通化」と記載されているが、意義や意味づけ等も同時に明確にした方がよいと考えている。
  • (10ページ2.6 01)何か起こった時のショックアブソーバを形成するのは何かというと、結局、非財務情報として、ガバナンスについての考え方、経営についての考え方、戦略あるいは収益モデル、ビジネスモデル等を対話することを通じて、投資家が当該企業の経営に対してどの程度信頼感を持つことができるのかというところ以外にないと思う。
  • 記憶に新しいところでは、住友商事様がシェールガスで大きな減損を計上し、2回目の下方修正をしたが、むしろ減損することにより損がすべて計上されたということで発表当日の株価は逆に上昇した。それは、大きな赤字が出たとしても住友商事様の経営に対して信頼があったということ、もしくは住友商事様がこれまできちんとディスクロージャーや投資家との対話を進めてきたことも大きいのではないかと個人的に思っている。
  • 企業にルールを一律に押し付けるのではなく、企業がいろいろ自分に合った形で、開示あるいは投資家との対話のやり方を考えてほしい、というように基本スタンスが大きく変わってきていると思っている。
  • 金商法、会社法、取引所規則、それぞれが、それぞれの世界観の中で開示等の要請事項が決められていると感じていた。だが、今回の報告書の中では、それぞれの関係性や問題点、あるいはそれを解決するための道筋についての大胆な仮説などが提示されており、問題提起の形になったと思っている。
  • ぜひこれを契機に、形あるものになるよう、持続的に解決の道筋を、国内外に示していくことが重要なのではないかと思う。
  • 開示分科会の議論の中で、Effective and Efficientを追求することで、企業側の開示の量を減らすのではなく、逆に増やすべきとか、あるいは増えて当たり前なのではないかという基本的な問題認識があった。すなわち、EffectiveでEfficientな開示をすることは、企業側の開示の業務と量を減らすためにやっている議論ではなく、有用な情報はむしろ増やして出すためのEffective and Efficientではないかという基本認識であった。その観点からは、冒頭に他の委員がおっしゃった「情報開示イコール対話ではない。情報開示をたくさんすれば直接対話が不要だということではない」というご指摘はまさにそのとおりで、開示分科会では、まさに有用な直接対話をもっと行うためには、どのような情報開示をすべきかという議論を行ってきた。
  • 現状では、開示事項に重複項目が生じているがゆえに、必ずしも有用ではない情報の開示作業に時間がかかっている状況にある。その結果、投資家あるいはアナリストにとって本当に有用な情報を引き出すための時間を対話の冒頭に費やすようなことは、非常に非効率であるため、投資家やアナリストに必要な情報は先に企業側が出すことにより、実質的な対話にすぐ入れるような企業情報を出すべきではないかという認識である。
  • (3ページ)「直接的な対話を不要とするような有用な情報開示がなされていることが重要である」という記載だけでは、情報開示をして直接対話を不要とも読めるが、問題はその前の「逆説的に言えば」という、ここが一番重要であったと思う。つまり、「情報開示で済むものを、対話に持ち込んで解決しようとすることは」という、ここが一番基本的な問題認識であり、「この無駄を避けるために有用な情報開示をして、直接対話をもっとやろうではないか」ということが分科会の問題認識であったと記憶している。
  • 開示分科会では、アニュアルレポートや有報までは議論が進んでいなかったが、決算短信には、企業側が任意で非財務情報を開示しているため、それがモジュール化されるのであれば、招集通知や有報で利用することが可能になる。そうすれば、むしろ決算短信の非財務情報がもっと充実されて、そしてそれをそのまま利用できることとなる。非財務情報のモジュール化というのは、開示分科会のほうでも同じ問題認識で検討が行われたということを補足させていただきたいと思う。
  • 情報開示分科会では、「企業と投資家というのは個人を介してつながっており、情報開示のあり方も対峙するのではなく本来は「対」となれる対話」を目指してということが議論の根底にあった。ある一つの課題なり問題認識に対して、投資家サイドも企業家サイドも同じ問題認識を持っていて、それを解決するために、企業側は何をし、投資家側は何をするか、すなわち常に両者が「対」になって問題解決を図るということが、この企業開示の検討のスタンスだったのではないかと考えている。
    その観点では、ショートターミズムは、基本的に企業側はそれほど問題になっていないのではないかと考えている。すなわち企業側はショートターミズムで企業経営はできないため、企業経営側がショートターミズムに陥っているということない。むしろ、ショートターミズムに過剰に反応しているのは、アナリストおよび投資家であり、この問題について果たして企業側と投資家側が「対」になって解決すべき問題なのかという認識がある。
  • 例えば企業による四半期開示によりショートターミズムが助長されるという指摘は、ダイエット中の人間が製菓会社に文句を言っているような話ではないかと思う。ダイエットしているのであれば食べなければいいのであって、製菓会社にお菓子を作るのをやめろと言っているような議論はおかしくないか。
  • 企業側は、情報の速報性という観点から、四半期情報を、必要としている長期的視点の投資家のためにも開示したほうがいいのではないか。そして利用者も長期的視点から、四半期情報を利用すればよいと思う。
  • ショートターミズムと四半期開示の問題解決の方向性は、むしろ四半期報告書との統合だとか短信への統合とかという、開示の仕方や有用性の方への開示を検討すべきであって、ショートターミズムと紐付けて情報開示の観点から対応策を検討する必要が本当にあるのかというのが、企業側の視点である。
  • 生命保険協会では毎年株式価値向上に向けた取り組みに関するアンケートを行っている。今年度の調査結果は23日に公表されたが、対話で重視する内容について、経営計画、経営方針、持続的な成長に向けた取り組みを重視していると回答した投資家の割合は7~8割に上る一方、決算・業績の動向については16ポイント減少しており、徐々に非財務的な部分を重視する投資家が増えている状況となっている。
  • この結果は投資家として数字の細かい開示というよりはより非財務的な情報を充実させてほしいという期待の表れであり、長期投資家という観点からみても中長期的な企業価値を評価するための情報の充実についてもう少しスポットがあたってもよいのではないかと考えている。
  • 第3章の今後の方向性と具体的方策については、色々な意見が併記されており、踏み込んだ記載は難しい部分もあると思われるが、Web開示については法的な問題はないと思われるため、メリハリをつける意味でも、より具体的な方策を盛り込んでもよいのではないか。例えば、関係省庁の調整は必要かもしれないが、指針やガイドラインを示すといった記載があってもよいのではないか。
  • この1年間で、日本や日本企業に対する海外投資家の見方は非常に大きく変わったと思う。ガバナンスに対する考え方、そして投資家との対話の面で、大きく日本が変わった、前に踏み出したという印象を、海外の投資家は強く持っているようである。
  • 最もシンボリックなものがコーポレートガバナンス・コードである。同コードには、120社ぐらいの投資家あるいは投資家の団体からパブリックコメントが寄せられた中で、40が海外の機関投資家の団体であったことも、日本に対する大きな期待の表れだと思う。
  • 対話促進研究会、特に株主総会の分科会に関しての議論について言えば、コーポレートガバナンス・コードは基本的なフレームワークという意味で非常に重要であるが、株主総会というのは投資家が株主の権利を行使する上で極めて重要な場であるので、プラクティカルに、実利的な意味で、非常に投資家の関心が高いところである。
  • 今回の報告書を投資家の立場から見ると、実務を踏まえて議論されていることに対しては満足するだろうと思う。一方で、これでおしまいということになると、それは失望を呼ぶのではないかと思う。これが始まりの第一歩であり、これをベースにしてさらに企業や関係者が話を進めていき、ガイダンスの設定をするなど、海外の投資家に対して「きちんとやっている」というメッセージを継続的に出していくことが重要ではないか。
  • 株主総会の日程に関しては、日本もたとえば3週間とか1カ月というように欧米の状況に近づけていくということで、海外の投資家のニーズにもある程度応えていくということが、この報告書では述べられている。それはもちろん重要であるが、欧米の株主総会の日程は日本ほど集中しているわけではなく、ある程度ばらけているため、その中での1カ月と、非常に集中している状況での3週間や1カ月では、やはり重みが違う。
  • 世界の状況と比べると、日本の株主総会の状況、そこでの投資家が直面する困難というのは、かなり傑出したものがある。
  • 日本企業の筆頭株主は外国人株主になっている。彼らのお金を取り込んでいかないと当政権が望むような企業の持続的成長も難しいだろう。現実的な議論が一番重要ではあるが、同時に重要なお金の出し手である外から見た目も考えながら、今後とも継続的に進めていくことができればと思っている。
  • 株主総会の招集通知のタイミングも踏まえて、Web開示を進めていくことが必要である。招集通知には、添付書類として報告事項と決議事項があり、報告事項である財務・事業報告と計算書類の承認として、監査役あるいは監査法人による監査の手続きがまだ終わっていないので、決算取締役会が5月半ば以降になって、それが終わったところで招集通知を出すようにしているが、多分、決議事項は、多くの会社でそれ以前に何らかの社内での機関決定をされていると思う。
  • たとえば取締役の選任については、何らかの機関決定をしているはずである。配当についていえば、短信を出す段階で東証の書式に従って開示している。配当に関する記載についても、そういう発表をするという何らかの社内の機関決定をしているのだろうと思う。そういう意味では決議事項の多くは財務情報以前に出来上がっている。
  • 決議事項については早めにWebなり何なりで開示することが考えられるのではないか。その際、各企業ばらばらではよくないため、何らかの形のプラットフォームを確立する必要があるのではないか。
  • 開示分科会では、四半期開示について短信に一本化したらいいのではないかという意見が有力だったのではないかと私は記憶している。直接対話をするための時間を、アナリストも企業側もどのように生み出すかということで、なるべくライトな方がよい。ただ、それは監査も必要であるため、最終的には四半期情報のような形でうやむやにはなっている。もう一度確認していただきたい。
  • あくまでも四半期決算というのは、3年程度の中期計画のチェックポイントとしての四半期決算であるべきと考えている。
  • 第三章の最後の部分「企業と投資家の対話促進に向けた意識と行動」は、総会のための対話がメインになっている印象を受ける。総会前の2カ月だけではなく、残り10カ月は継続的な対話をしていかなければならない。企業価値向上のための対話というのは、総会と少し離れたところでの対話がある意味重要だと思っている。ここは継続的な対話と総会の話を分けて、もう少し内容を膨らませていけるとよいと思う。
  • 報告書は非常に改革的であり、改革のさらなる加速化につながると思う。
  • 有用な情報開示を図ることは望ましいが、一方で、場合によっては、選択と集中も情報開示に必要と考える。四半期開示にあたり、電子化や一本化を図ることは企業側の負担を減らすやり方であるが、もっと抜本的に、四半期開示の義務化について再考する余地もあるのではないだろうか。
  • 決算情報のようなものは、ある程度監査なり法定の裏付けがあるものを出す仕組みでないと、各社が都合のいい数字を出すリスクがある中でいったいどのような対話が行われるだろうという気がする。
  • 四半期法定開示はごく最近始まったが、当時、自主的な四半期開示という取組みが主に取引所主導で始まっていく中で、現実に法律の義務付けがないにもかかわらず、9割近くの企業が四半期を出す状況になっていたことから、ここまで来たのであれば、法定開示することとされた経緯がある。そういう経緯もある程度大事にしていただきたい。
  • 四半期情報というのは、アナリストを抱えて企業の動向を分析することがある程度できる人は、それほど四半期でぴったりと色々な数字が出なくても何となく分かるが、一般の個人投資家はそういうわけにはいかない。そうした情報格差というものを考えたときに、自主的な四半期開示が9割近くなった現状のもとでは、ある程度四半期開示をしっかりやったほうがいいということが、ごく数年前の議論だったと私は理解している。

以上

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最終更新日:2015年5月18日
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