経済産業省
文字サイズ変更

持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会(第4回)‐議事要旨

日時:平成27年4月16日(木曜日)14時00分~15時30分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

(委員)
伊藤座長、稲葉委員、上田委員、大場委員、尾崎委員、キャロン委員、斉藤委員、佐久間委員、佐藤(和)委員、佐藤(淑)委員、高山委員、武井委員、中川委員、野村委員、森委員
(企業情報開示検討分科会委員)
熊谷委員、三瓶委員、関根委員、早川委員、山田(俊)委員
(株主総会のあり方分科会委員)
岩田委員、鶴岡委員、山田(治)委員
(法務省)
竹林民事局参事官
(金融庁)
油布企業開示課長
菅原経済産業政策局長、松永大臣官房審議官、平井大臣官房審議官、山下経済産業政策課長、中原産業組織課長

議題

取りまとめに向けた検討等

議事概要

以下の通り。

  • 資料の確認後、事務局より資料説明。説明がなされた後、最終報告書の取りまとめに向けて議論。その際の概要は以下のとおり。
  • これまで聖域なき議論ということで、それぞれの専門的な立場から多岐にわたるテーマについて活発な議論が行われ、情報開示と株主の対話はいかにあるべきかという大きなテーマについて、全体としての方向性が示されたと考えている。
  • 今後、ここで示された方向性を現実のものとしていくためには制度面での整理といったことも必要となってくるため、次のステージを明確にし、引き続き各関係省庁を含むオールジャパンの体制でより良きものを制度として構築していくことを期待する。この研究会で議論されてきたテーマは、わが国の企業の経営力の強化、再興戦略でいえば稼ぐ力ということであるため、そこにつながるように、次のステージを早く持っていただきたい。
  • 第三章の117ページの2.4.2の03で記載されているとおり、この報告書が公表された後に、シームレスに検討を開始することが一番重要であると考えている。報告書では、考え方や方向性が示されており、あとは実行あるのみである。ぜひこの検討を開始していただきたい。
  • 四半期開示については、1日でも早く一本化の検討を進めていただきたい。
  • 電子化については、米国型のように通知を要求されるもの以外は、電子的なメール等々で行うという方向性が考えられる。
  • 今回の会社法の改正等でウェブ開示できる範囲が広がったが、これをさらに広げることが必要である。ウェブ開示は、単純に物理的に紙が減り、袋詰め等の時間が短縮でき、早く招集通知を株主の元に届けることができるという点や、(あってはならないが)間違いがあった場合にはすぐに修正し、株主の方々により正確な情報を提供することができるという点で、企業側の効率化に資すると思われる。
  • 投資家側からみると、企業側が昨年より対話に前向きになってきており、当報告書はその動きを加速させるものとなる。
  • 一方、投資家側としては、対話を通じて当報告書に魂を入れることが課題だと思っている。
  • 席上配布資料の「株式の大衆化で新たな繁栄を」(松下幸之助)の文章にも出てくるが、株主側がきちんとした意識を持って対話していくことが大事。日経新聞にも当社の議決権行使の記事が出たが、当社だけではなく業界を挙げて投資家1社1社がそのことを意識して対話を行っていきたい。
  • また、生保協会の株主利益還元調査レポートも従来は利益の還元が主なテーマだったが、今後はより一層対話にも力を入れていき、業界をあげてサポートしていきたい。
  • 第三章の最後の部分「企業と投資家の対話促進に向けた意識と行動」を読みやすく変更していただき、ありがとうございました。
  • 報告書で提示されている、モジュール型開示システムをいかに機能させることができるかが、次フェーズにおける検討課題であると思う。また、今回の研究会ではあまり議論されなかったが、投資家として、投資判断の材料として最近特に重要視されている非財務情報の充実を、今後どうやって図っていくかが重要ではないかと考えている。
  • 企業が工夫をして情報開示する方法と、投資家としてそれらの情報を必要なときにタイミングよく受け止めていく方法及び内容の充実を含めて、次につながる形にしていければと思う。
  • 報告書は、これで終わりではなく、次のステージのための土台、インフラになる。この報告書を策定する過程では、海外の投資家からも正式な意見書が寄せられており、また、先月開催された投資家の国際会議でも、日本の企業に対する期待や評価が非常に高まっているように思う。
  • スチュワードシップ・コードの後、ガバナンス・コードが公表され、両輪がそろったことで、日本企業がこれからますます成長するためのガバナンスの仕組みができた。次の関心は、それを具体的にどのように落としていくかということになると思う。
  • 報告書に記載されていることは全て重要であるが、特に株主総会というのは株主の権利の行使という意味で非常に重要であり、シンボリックな意味でも、投資家はとても重要視している。そういったところも含めて、報告書で記載されている内容をどのように具体化していくのかに関して、海外の投資家の期待値は高まっていると思う。その方向性が見えればますます日本企業に対する関心は高まることになり、逆にここで止まってしまうということになると、逆の動きになる。この報告書の対外的な発信、プラスこれから次のステージに行くという発信も併せてしていただきたい。
  • 対話が、限られたプレーヤーの中だけのものであると捉えられるとかえってよくないという問題意識を持っていたが、インベストメント・チェーンにおいて、ベネフィットは個人に帰着するという基本的な姿勢で明確に書いていただいたことに、非常に意義深いものを感じた。
  • 情報開示は、対話のために必要なものであり、特に対話との相互作用というような書きぶりで書いていたところが非常に分かりやすかった。また、現場においても対話の中での情報としては、どのようなものが必要なのか、四半期開示はどうあるべきかということについても、報告書ではうまくまとめられていると思う。
  • 112ページでは、「対話の枠組みのあり方を検討する際には、それらに関わる様々なプレーヤーのインセンティブ構築を考慮し」と記載されているが、四半期開示における、いわゆるショートターミズムの問題についても、それぞれのプレーヤーがどういうインセンティブでそういう行動をするのかということを、今後も議論していただければと思う。
  • 電子化については、障害となるようなことはほとんどないと考えられるため、情報の早期開示資源の観点からも、改めて認知されるよう進めていただければと思う。
  • 126ページの基準日に関する部分において、いくつか日程例が挙げられている。株主提案権を行使した株主提案の締切りが株主総会の8週間前であり、提案権が多数行使された場合には、実務上、招集通知の早期発送が難しくなることが考えられる。このような実務面を考慮した上で、今後引き続き関係者の方でご議論いただければと思う。
  • この数年来スチュワードシップ・コード、コーポレートガバナンス・コードができた。今後は、その間をつなぐ対話が求められるが、こちらの報告書は、それらに魂を入れるような位置付けになると考えている。
  • 特にインベストメント・チェーン全体を見渡した議論について、体系的にまとめられたものは意外となく、最後は個人投資家も含めて議論されているため、日本経済全体の再興という意味ではとても意味があると思う。
  • 報告書は、豊富な参考資料を含めて、内容が大変充実しており、対話における「教科書」として活用できるのではないかと考えている。
  • コードができ、そして実質部分はこういった報告書でより質を高めていくという、形式的な部分と実質の部分との議論が深まっている。報告書は、ぜひ海外発信していただきたい。
  • 再興戦略の中で進められている一連の取組みは、例えばスチュワードシップ・コードでいえば、イギリスで2010年にできたものを原型にして、日本にどのようにモディファイして適用するかという議論からスタートしており、コーポレートガバナンス・コードでいえば、OECDのマッツ・イサクソンがアドバイザーになって、そのレベルからしてみて日本とどれだけどのように違うのかというところが、1つのたたき台になっている。したがって、見方によっては、海外に言われてやっているのではないかというシニカルな見方もなくはない。だが、私はそうではないと考えている。
    本日提示した松下幸之助さんの原稿は今からおよそ50年前の昭和42年の『PHP』の最初の頃のレポートであり、松下さんがPHP研究所長のときに書かれたものである。これを読むと、今の状況と同じかもしれないが、本当に資本主義が進歩しているのか、ひょっとしたら退歩しているかもしれないと指摘している。その理由は何かというと、株式会社を起点とする資本主義社会が悪循環に陥っていると、今と全く同じ議論をしている。それを好循環に持っていかなくてはいけないという視点で書かれている。そもそも株式会社制度は本来どうあるべきかということを、まじめに考えてみるべきだと述べている。人に言われたからという話ではなくて、どういう条件を整えないと資本主義市場経済が発展しないのかということを考えてみるべきだということだと思う。
  • その中で、企業経営者たる者の責務、投資家たる者の責務、仲介者である金融機関たる者の責務とは何かと、原点に立ち返って考えてみるべきだということが書かれている。私は、この文章を読んで、50年も前にスチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードという言葉は使われていないが、内容としては両コードが文章になって出来上がっているものではないかと感じた。海外から言われてやるという話ではなく、そもそも資本主義市場経済を健全に発展させていくためにどのような条件が必要かということを考えたときには、当然のこととして必要であり、こういう思いがこの文章にはまとめられているのではないかと感じたので、参考資料として提出させていただいた。
  • 両コードが示されたことによって、私は運用会社の社長として、3つの変化を感じている。
    1つ目の変化は、対話の促進が言われているため、上場企業の社長が直接お見えになるケースが増えてきたということである。
    2つ目の変化は、海外投資家の訪問が増えているということである。これは海外からの注目度が高まっているという1つの証左ではないかと思う。特に、海外の投資家の質問は、日本全体の大きなガバナンス構造の改革議論がどの程度実行性があるのか、それを受けて日本の企業経営が本当に変わっていくのだろうか、という2つに集約される。
    3つ目の変化は、これまで投資家が質問をして企業の方が答えることが多かったが、徐々に双方向になりつつあるということである。双方向の対話を通じて、投資家と企業との相互間で、対話のヒントがあるか、意味があるかということをお互いが評価し始めており、結果として相互を選別する可能性があるということではないかと感じている。
  • 報告書は、非常によくまとまっているため、訳さないともったいない。報告書の英訳は極めて大事である。また、海外の投資家は、伊藤レポートやコーポレートガバナンス・コードを読み、日本の変化や改革を感じている。日本の実態改善や真摯かつ実効性のある改革への姿勢を示した報告書を英語にして、これを発信すべきである。私は全力で、全面協力をさせていただく。
  • 現在、今年の株主総会の議案文書の作成をしているが、社内で基準日変更の提案をしてみたところ、信託銀行さんからは、対話促進研究会の報告待ちで、「恐らくどこの会社もやらないと思うので慎重にご検討ください」と言われた。また、顧問弁護士の先生からは、「なぜ基準日を変えたいのですか」と聞かれたので、「投資家さんにゆっくりとその議案について精査いただきたい。招集通知から総会の期間までの時間を十分に取って、しっかり考えて議決権を行使していただきたいためです」と申し上げたところ、「格好付けるんじゃない。そんな正論を吐いていかれるつもりですか」との返答であった。
  • 報告書では、基準日の変更について建設的にまとめられているため、これを絶やさずに続けていけば、改革につながっていくと思う。
  • ガバナンス・コードの本当の趣旨は、非財務情報の開示のプラットフォームであることと考えている。要するに長期の投資家の方に刺さるガバナンスは何なのかという報告を出したものであるため、今回の12月下旬までにはガバナンス・コードの対応を魂を込めてやれれば、非財務情報の開示もできるように思う。
  • ガバナンス・コードは多くの人が読むので、そちらと報告書をうまくリンクさせることにより、非財務情報の重要性も認識されるように思う。
  • 私が日本の投資家の代表として出席している会議では、Future of Corporate Reportingというテーマでアジェンダが設定されている。チャンスがあれば、そういう場所で報告書を紹介できればと思うので、ぜひ英訳していただきたい。
  • Future of Corporate Reportingで問題とされているのは、電子開示、統合報告のあり方、あるいは非財務情報、こういったものがどのような形で企業開示の中でやっていけるのかという問題である。それはひいては結局企業と投資家の対話をどのように高めていくのかということがテーマになっている。報告書で提案されているモジュール型の開示システムは、未だ世界に例を見ないものであるため、そうした議論をしていることは紹介に値するものと思う。また同時に、システムができてもやはりこれが効果的でなければ、まさにエフェクティブでないといけないので、そこも含めて今後早急に議論を進めていかなければいけないと思う。
  • 伊藤レポートからこの対話促進研究会と、議論が総論から各論レベルに落ちてきて、今各論レベルの方向性が出たところだと思う。総論賛成はできるものの、確論になっていくと技術的にどんどん難しいところが出てくる。そこはステークホルダーの方々、あるいは関係省庁の方々との調整を含めながら、実効的なシステムをオールジャパンでつくっていきたいと考えている。私もそういうところに引き続き参加できるのであれば参加させていただきたい。
  • 次ステージにおける一つの課題は、報告書の内容をどのように具体化するのかということだと思う。
  • 開示情報を取りまとめることが大事であるが、基本的に開示と対話がシンクロし、相互作用を起こすことが期待されている。他方、四半期開示については、開示分科会でも正直なところ時間を多く割けなかった部分であるが、四半期開示と対話は、よほど注意しないとショートターミズムを助長する危険がある。即ち、四半期というのが、長期の中でのチェックポイントとしての四半期ではなくて、四半期のインターバルで投資判断する投資家が求める開示、対話アジェンダという点で強調されると、スチュワードシップ・コードで謳っている、中長期の目線での対話とは相いれない部分が多く出てくると思う。従って、四半期開示についての議論をするときに、あまりにも四半期ということだけにこだわってやると、どこかで中長期の対話が宙に浮いてしまい、「建設的な『目的を持った対話』」とつながらなくなるという可能性はあると思う。もう少し具体的に言えば、様々な投資家への意見聴取は中長期目線では比較的収斂するものの、四半期については投資スタイルによって意見が大きく割れると予想される。従ってそういったことも視野に入れていただいて、今後の意見収集なり具体化という作業を進めていってほしい。
  • 報告書は、法律改正への対処につながってきたという点で非常に成果がある。私は、最初の研究会で公開会社法について申し上げたが、公開会社法はどちらかというと概念先行、かつトップダウンで進められていたため、ニーズがあまり見られず、なくなってしまったのではないかと思う。今回の報告書は、問題意識があり、実務的なところが挙がってきたようなので、非常に説得力があると考えている。
  • 報告書は、聖域なき議論が行われたことで、この報告書の中に、様々な問題点に関する解決策を見いだせるという意味で、今後、各企業さんの道しるべとしてご活用いただけるのではないかと思う。
  • これだけの専門家と関係者が結集して行われる研究会への参加は初めてであったが、当初は資料の理解や各委員の主張の方向性にもバラつきがあったところ、実際の研究会の場における直接対話の中で皆の理解が進み、大きな方向性がまとまったという実感である。報告書では、まだ詰め切れていないところも多分にあるため、報告書の内容を次のフェーズに活かしていく形で、今後も対話を通じて着実に実現に向けた検討が行われることを期待する。
  • ここ1~2年の企業の動き、その周囲の動きは大きなうねりとなって動いていると感じる。これは一時のブームではなく、今後定着していくスタートになっていくと思う。その推進している力や指針となっているものが、スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コード、あるいは会社法の体制、こちらの研究会との関連でいえば、いわゆる伊藤レポートである。そういう意味では今回のレポートも、同様に、これからの日本の企業、資本市場発展のための指針になると思う。
  • 報告書は完成したところで終わりではなく、これを今後より多くの方に読んで理解していただく必要がある。そのためには、海外に情報発信し、国内外の企業、資本市場の方々にもより多く目にしていただくということで、これからさまざまなプロモーションを進めていく必要がある。
  • 先日まとめられたレポートというのはガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードですが、「伊藤レポート」という略称があって非常に呼びやすい。今回のレポートもできれば愛称のようなものを付けていただき、みんなが一言いえばこのレポートだと分かるようなものがあると親しみやすくなってよいと思う。
  • 今回の研究会や分科会では、正確な情報があり、その上で議論ができており、空中戦ではなかったと感じている。
  • 例えば基準日の話についても、日本の場合、会社法の制度は相当進んでいるのではないかと感じているが、慣行が付いてきていないようにも思う。またそれを動かすための何かが足りなかったという感じがする。
  • 現在の会社法は、全ての株式会社を取り込んでおり、中では差を付けているものの、あまり明確でない部分がある。今回の研究会・分科会では、最初から、上場会社、そしてかつ総会も定時株主総会を前提として議論してきたが、実際、株主総会は臨時株主総会もあるし、プロキシーファイトも出てきている。そういう委任状合戦のようなことが出てくると、その場面における情報のあり方の問題というのは、場合によっては立法論的な議論もあるのではないかと感じる。私のように法律をやっている人間にとってみれば、そういうところも大変感じるところがあり、実務が進めば、制度を動かす必要もあるのではないかという感触を持った。
  • 報告書は英訳し、基準日の変更についても、良き慣行ができ、良き制度が出来上がっていけばよいと感じる。
  • コーポレートガバナンスは、15年ぐらい前から取り組んできた問題であり、私自身も個人的には二十数年前にレポートを書いている。それから随分時間が経過して、コーポレートガバナンスがこのように注目されてきたことを本当にうれしく思う。
  • 座長がおっしゃったチェーンについて、やはりこれも民主主義の輪なのだと思う。例えば米の問題について、生産者が国会の前でデモを行うのではなく、消費者がデモを行っている、ここに間違いがあると思っている。結局生産者だけを守るための政策であり、犠牲となる消費者・個人が守られないのはおかしいが、こうした歪んだ構造の原点は株式市場にあったと思う。本日参考資料として配布された松下幸之助さんの原稿では、50年前に同じ内容が記載されていたということで本当に心強いが、一方で、現在も民主主義はやはり定着していないのだと思う。
  • コーポレートガバナンスのベースになる、こうしたデータを公表することは、日本の民主主義をブラッシュアップする鍵だと思うので、これを社会に普遍化し、いい国を一緒に作っていただきたいと感じている。

以上

関連リンク

お問合せ先

経済産業政策局 企業会計室

 
 
最終更新日:2015年5月18日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.