経済産業省
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株主総会のあり方検討分科会(第3回)‐議事要旨

日時:平成26年11月17日(月曜日)13時00分~15時00分
場所:経済産業省本館17階第1、第2共用会議室

出席者

(株主総会のあり方検討分科会委員)
尾崎座長、安藤委員、石田委員、岩崎委員、岩田委員、上田委員、江良委員、澤口委員、島田委員、高山委員、武井委員、田中委員、鶴岡委員(代理 清水氏)、中川委員、永池委員、松井委員、松本委員、安井委員、山田(治)委員
(企業情報開示検討分科会委員)
熊谷委員

議題

  1. 本分科会のテーマに関する全般的討議
    • 持続的な企業価値の創造に向けた企業と投資家との対話を促進する観点から、望ましい株主総会プロセスのあり方について
    • その他
  2. 「分科会において提起された論点等」の検討

議事概要

意見交換における主な発言は以下の通り。

  • 尾崎座長より、資料2に基づく「分科会において提起された論点等」の投げかけの後、委員間で議論。その際の概要は以下のとおり。
  • 開示書類の役割として、(1)情報の内容と範囲、(2)情報の信頼性、(3)情報開示の適時性の3点が重要となる。現在、日本の開示書類としては、決算短信、計算書類、有価証券報告書がある。(1)情報の内容と範囲について、決算短信は速報値として投資家が必要とする情報、計算書類及び有価証券報告書は、最終報告として投資家等が必要とする情報となる。(2)情報の信頼性について、決算短信は監査による信頼性の担保は求められておらず、監査報告書が添付されないが、監査人が関与しないというわけではない。多くの会社では、会計監査人が、短信発表前に短信の内容を確認する作業が行われる。一方、計算書類及び有価証券報告書については、監査報告書が添付される。(3)情報開示の適時性は、決算短信は早期開示が必要になる。計算書類及び有価証券報告書は、監査による信頼性担保による作成期間の確保が必要となる。
  • 計算書類に係る監査報告書は平均42.5日で提出され、有価証券報告書に係る監査報告書は平均86.1日で提出される。計算書類及び有価証券報告書は、最終報告として信頼性が付与されたものを作成するが、計算書類は、有価証券報告書に比べて約半分の期間で提出される。この結果、作成者及び監査人の時間的制約が厳しい状況にあり、株主の議決権行使のための十分な準備期間の確保という観点から、今以上に招集通知の発送を早めるという方向性は実務上困難である。
  • 計算書類と有価証券報告書の提出時期が異なることから、状況変化に伴う課題がある。制度的懸念として、後発事象がある。後発事象は、決算期後に生じた「開示後発事象」及び「修正後発事象」の2つがある。「開示後発事象」は、将来の財政状態等に影響を与えるものであり、新株の発行や災害の発生等が該当する。「修正後発事象」は対象事業年度に影響を与えるものであり、決算期後に訴訟が確定した場合や、重要な取引先の倒産等が該当し、修正後発事象の場合は、対象事業年度の決算を修正しなければならないこととなる。計算書類に係る監査報告書提出後に修正後発事象が発生した場合、理論的には、計算書類を修正しなければならないこととなるが、日本における実務としては、計算書類と有価証券報告書の単一性を重視することから、現状としては、開示後発事象として取り扱うこととなっている。このような取扱いは、計算書類と有価証券報告書、それぞれ提出時点が異なる2つの開示書類について監査報告書を必要とする我が国の現状からくるものであり、特に海外投資家からの理解を妨げるような危険があるのではないか。
  • 会計監査人の内部統制報告書に係る監査報告書は、有価証券報告書に係る監査報告書提出時にあわせて提出することとなるが、会社法では監査役が内部統制について監査報告書において監査意見を述べることとなることから、会社法に基づく監査役監査報告書提出後に内部統制の不備が発見された場合、会社法(計算書類)の監査役による報告内容と内部統制報告書に係る監査報告書との間で齟齬が生じる可能性がある。これもまた、内部統制に係る監査報告書の提出時点が異なることにより発生する問題である。
  • 会社法(計算書類)と金融商品取引法(有価証券報告書)のそれぞれの制度目的を損なわない前提で、二重作業の負担の軽減と複数開示を前提とした「時の経過による状況変化」への対応のため、計算書類と有価証券報告書の一体的な開示を可能とする施策として、以下の3案が考えられる。
    (案(1)) 会社法(計算書類)監査報告書と金融商品取引法(有価証券報告書)監査報告書日付の間を極力短縮することで、「時の経過による状況変化」の発生の可能性を軽減する方法。この方法により、平均約40日の計算書類監査報告書日から有価証券報告書監査報告書日までの修正後発事象等の発生のリスクを小さくすることができる。
    (案(2)) 計算書類と有価証券報告書のそれぞれの目的を達成するために必要な情報を整理し、相互に参照し合える部分は参照する形で、実質的に一元化する方法。
    (案(3)) 計算書類と有価証券報告書について、それぞれの目的を達成するために必要な情報を整理し、重複部分については一元化することで、一つの開示書類への集約を目指す方法。
    案(3)の実現が最も望ましいと考えるが、その実現には制度改正等が必要となってくる。必要な施策を段階的に実現していくことを考えるうえでは、まず短期的に目指す方向性は、現行制度上で対応可能な方法として案(1)が考えられるのではないか。
  • 日本では招集通知の発送時期が最も早く、また、招集通知の発送から株主総会の開催日は突出して短く、結果として、議案の検討期間が最も短い。招集通知を早めるか、株主総会の開催日を諸外国並みに遅らせれば、株主総会までに議案の十分な検討期間を確保することができる。しかし、招集通知の発送を早めるとすると、招集通知に含まれる情報の作成や確認、監査に要する適正な期間を確保することが実務上困難となる。したがって招集通知の早期発送を考える場合は、監査報告書入手後の期間を短縮する招集通知の電子化等の方法を検討すべき。
  • 招集通知の早期発送には限界があり、そうであれば総会開催日を遅らせるという方向性を考えるうえでは、6月末までの株主総会開催に固執することなく、例えば、1週間程度等、各社の状況に合わせて必要に応じて遅らせることを検討すべきではないか。重要なのは、全ての上場会社が自らの会社の実状に応じた選択により、情報の質と株主の検討期間を確保できる総会スケジュールを組むことではないか。
  • 最も詳細な情報を記載している有価証券報告書は、総会日又は総会日後に発行する会社が大多数。諸外国のように、株主が議決権行使の検討期間において有価証券報告書の情報を利用できることになれば、議決権をより有効に行使できる環境の実現につながることが期待できるのではないか。
  • (案(1))を前提とすると、(3月決算の場合)6月上中旬頃に会社法及び金融商品取引法に係る監査報告書を提出するとともに、招集通知を発送し、招集通知発送後、株主の議決権行使のための十分な検討期間を確保したうえで株主総会を開催するのが望ましいのではないか。
  • 株主総会の開催状況について、所用時間として1時間以内に終了している会社が多く今年は70.4%、昨年、一昨年で72%程度。3時間超の会社もあり、2時間以上の会社は毎年4%程度ある。
  • 株主総会の出席者数が、100名未満の会社が過半数(60%程度)を占めている。100名未満の会社の場合、出席者の多くは、社員株主、OB株主、取引先が多いようである。株主総会の出席者数が1,000名以上の会社は、4~5%程度ある。
  • 株主総会時において、株主からの質問がある会社は7割弱であり、3割の会社は発言がない状況になっている。株主からの質問がある会社のうち、質問者数が3人未満という会社が過半数を占めている。一方、10人以上から質問がある会社は、14%程度ある。
  • 以上から、出席株主数が100名未満で1時間以内に株主総会が終了して質問も3名以内という会社がある一方で、出席が1,000名以上で時間も2時間以上かけて質問も10名以上から出ている大規模な株主総会を開催されている会社もある。
  • 株主総会の招集通知を株主総会日の3週間以上前に提出している会社は、28%あり、年々、増加傾向にある。
  • 招集通知に関連する資料を自社ホームページに掲載している会社は、69%程度あり、年々増加傾向にある。掲載書類としては、計算書類、連結計算書類等の添付書類も含めた招集通知が52%であり、半数以上の招集通知が丸ごと1冊掲載されている状況にある。
  • 掲載時期としては、招集通知発送日以前が6%程度であるが、発送日と同日が69%であり、工夫次第により、発送日以前の会社がさらに増えるのではないか。
  • 電磁的方法による招集通知の発出は6.7%で、まだ少ない状況。
  • Web開示を行っている会社における開示実施書類の多くは、個別注記表、連結注記表であり、事業報告や参考書類の内容等については、インターネット開示を行っていない会社が多い。
  • 実質株主の総会への出席について事前に申し出があった場合の対応について、基本方針を定めてない会社が59%であり、殆どの会社が基本方針を認めていない。また、基本方針を定めている会社のうち、出席も傍聴も認めない会社を何らかの方法で株主総会への出席等を認める会社が若干上回っている。実質株主の株主総会への出席について、対応方法が分かれるのは、法的な面により制限される可能性があるとの考え方によるものと考えられる。また、議決権行使の際の集計に関する事務上の問題も実務上の障害となっている。ただし、実質株主からの事前に申し出があったケースは、2.1%程度であり、殆どの会社において、事前の申し出はない。
  • 株主提案権について、20件程度が付議されている。株主提案行使件数として、1件が89%であるが、5個以上の株主提案が行われているケースもある。提案議案内容としては、定款変更議案が一番多い。
  • 株主提案をした株主の属性としては、個人株主に次ぎ、市民団体・NPO法人が多いという実態がある。
  • 3月決算会社について、基準日を3月末にする必要は制度上なく、諸外国の実務慣行からしても若干特殊なので、例えば、基準日を5月末として、7月中旬以降に株主総会を開催すれば、開催スケジュールに余裕ができ、また、基準日と総会日の株主の乖離も今より小さくなるとの議論をかつてしたところ。この点のコストとベネフィットについて、実質的な審議ができれば幸い。
  • 抽象的に考えられるベネフィットの1点目として、投資家、株主が議案の精査の時間を確保することができる点がある。現在、2~3週間程度で検討しているところ、1ヶ月程度の時間を確保することにより、意思決定の質は高まるか。つまり、現在ボックスチェック方式で賛否を決めていた議案が、企業の実情を見て判断する、電話の一本でもかけて話し合うという形で時間をかけるようになるのか。この点について、投資家の意見を伺いたい。
  • 2点目として、有価証券報告書を株主総会の意思決定に役立つことができるという点がある。この点、有価証券報告書を株主総会前に利用できるとした場合に、実際に利用するかどうかというニーズを確認したい。
  • 3点目として、開示作成資料の作成と監査に時間を確保することができる。この点については、会社法計算書類と有価証券報告書の作成時点が異なることから生じる、開示のミスリーディングと言い得るような問題の改善にどの程度役立つかといった点が重要ではないか。
  • 4点目として、基準日と株主総会日との期間が短くなることで、株主総会日に株主でない者が株主総会で議決権を行使することが少なくなり、株主総会の意思決定の質が高まる効果が期待できる。
  • 一方、株主総会開催日と基準日が変わることにより混乱が生じる可能性がある。例えば、(3月決算で)7月に株主総会を開催すると、役員の選任時期が今よりも1ヶ月後ずれする。この点については、一時的な混乱以上の恒久的な問題が生じるかどうかを検討する必要がある。
  • また、配当基準日と議決権基準日をそろえることにした場合、配当の支払時期が遅くなるが、遅くなることで実質的に問題が生じるか議論する必要がある。
  • 株主総会資料の電子提供について、招集通知発送前のウェブ開示が一部の会社で行われているが、これを禁止するルールはないと考えられるので、積極的に進めることができるのではないか。
  • 一方、制度改正の検討に値すると考えられる電子化に係る案として、招集通知には、総会の日時・場所等の記載の他、ウェブサイトのアクセス方法等のみを記載し、株主総会資料を全てウェブサイトに掲載することが考えられる。ただし、ウェブサイトにアクセスできない株主も存在することから、希望する株主に対して、書面により資料を提供する制度が考えられる。基本的には、事務局資料にある、米国の委任状勧誘規制で定められている制度と基本的に同一。
  • 現在の個別株主の同意ベースの電子提供については、株主に個別の承認をするインセンティブがあまりないので、おそらく時間をかけても普及しにくいのではないか。
  • また、ウェブ開示事項については、株主は書面による情報提供を求める権利がないため、企業側が自粛しており、せいぜい注記表程度しか開示していないということになっているのではないか。
  • 書面提供の権利を前提とし、全部をWeb上で情報開示することにすれば、紙資源の節約のみならず、紙印刷を必須としないことで開示資料が現在よりも詳細なものになるのではないか。もし、有価証券報告書と株主総会資料の一体化を検討するならば、株主に提供する資料が非常に大きくなる可能性があるため、Web開示を原則とすれば、そうした状況にも対応できる。是非、この研究会の場で、米国の制度を一つのたたき台として、制度の詳細や課題について詰めていただければと思う。
  • 米国では、株主提案に強制力はない。米国では、株主提案をめぐり、会社と提案者(株主)との間のコミュニケーションが行われ、このコミュニケーションにより会社と提案者(株主)との間で合意に達した時に、株主提案が取り下げられることがよくある。このため、株主提案の取り下げ数が、会社と株主とのコミュニケーションの深化を図る指標となる。日本において、株主提案が取り下げとなったものは、コミュニケーションの結果か。
  • 具体的な中身は把握していないが、何らかのコミュニケーションの結果、取り下げられたものと考えられる。
  • 機関投資家は、株主総会をエンゲージメントの中の1つのイベントとして考えているのではないか。スチュワードシップ責任を果たす際、議決権行使は行うが、必ずしも有事以外の場合は、積極的に株主総会に出席しないといけないと認識していないのではないか。
  • 実質株主の株主総会出席については、法律上、明文の定めがなく、各社の実務上の対応は分かれている。
  • 株主提案権について、実質株主が名義株主から代理行使を認める委任状を取得したうえで、株主提案権を行使することはできると考えられる。実質株主の議決権について事前行使であれば、ICJが運営する「機関投資家向け議決権行使プラットフォーム」を利用すれば、会社への直接行使に近い形で行うことができる。これらを考慮すると、株主総会において、実質株主の出席を認めないという結論にするとすれば、バランスを欠く。しかし、現状、株主総会出席の資格があるかどうか分からない者が出席し、議決権行使等した場合、株主総会決議自体の取り消し等の可能性があり、そのリスクを取ってまで出席させることについては、実務上躊躇している向きが多い。
  • この対応策としては、3つの選択肢が考えられ、1つ目は、法律の改正が不要である方法であり、会社が任意に名義株主の代理人として実質株主の株主総会への出席・議決権行使を認めることができ、そのことについて、法的に瑕疵が生じない条件をソフトローで整備することが考えられる。短期的には、この方法で対応すればよいのではないか。2つ目の方法は、会社が任意に実質株主の株主総会への出席・議決権行使を認めることができ、そのことについて、法的に瑕疵が生じない条件を法的に整備し、3つ目の方法として、実質株主名簿を作成し、全ての会社の実質株主に総会の出席・議決権行使を認める条件を法的に整備することが考えられる。2つ目、3つ目の方法は、法律の改正が必要であることから時間を要するが、短期的対応のみではなく、中長期的な対応策も含めて検討することが必要。そのような視点を含めなければ、投資家サイドに受け入れられないのではないか。
  • 株主総会実務については、企業は超がつくほど慎重に対応するため、会社側が任意で実質株主が出席し、議決権行使等をできるようにする上では、単にベストプラクティスを示し、企業の自発的、自主的対応に任せるとするだけでは、改善が進まないのでソフトローによるガイドライン等を示す対応を行うべきである。
  • 株主総会のあり方の検討に際しては、企業と株主の対話をどのようにしっかりと行っていくかという点が目的であり、その中で株主総会をどのように変えていくのか議論をすべき。企業と株主とのエンゲージメントの重要な一つとして、株主総会があるが、それがすべてではないはず。
  • ボストンで最大級の機関投資家(投資対象は世界全体で4,000~5,000社、日本企業で800社程度。)のプロキシーを担当するチームの責任者の話では、今の日本の株主総会における議案検討のスケジュールは短く、2週間程度で議決権行使を行うには、時間が無いとのこと。例えば、1週間検討期間が延びれば、現状全く検討時間が無い状態が改善されるので、それだけでも、助かると言っていた。一方、招集通知に記載の議案内容については、(海外投資家からすると)英語化されている部分は少なく、例えば、取締役の選任議案に関する情報等が十分ではないことから、Web上等でより詳細な情報等があることが望ましい。
  • また、招集通知の内容に制限されず、より対話をしやすくするような情報をもっとWebで提供できないか。この点、やや不透明なところがあるので、明確化した上で、企業の取組を促進できないか。
  • 株主提案は殆ど行われておらず、使われたとしても意図しないおかしな使われ方をしている状況であるが、米国では、株主提案は、株主と会社との対話のツールであると考えられている。日本においても、制限すると言うよりはむしろ、アメリカ的に建設的な方向で株主提案権が使われるような働きかけを行う必要があり、制限する動きは慎重にすべき。
  • 実質株主の出席権について、現在の会社法制では、名義株主の代理人として実質株主が出席することを認めるか否かの問題と考えられる。事実上すべての会社の定款において、代理人は株主に限る旨の定めがある。判例では、このような定款規定を制限的に解釈しており、この定款規定は株主総会の攪乱を防ぐことが趣旨であり、株主総会を攪乱するおそれがない場合、代理人が株主ではなくとも、定款規定は適用されず、株主総会に出席させることができると解釈されており、会社は、出席を認めなければならない。
  • 実質株主が株主総会を攪乱させる可能性は低く、経済的利益を追求すると考えられることから、実質株主が株主総会に出席させるようにするべきであり、逆に委任状があるときに出席を拒絶することも法的にリスクがあると考えられる。総会を撹乱しないことから代理人の株主総会出席を認めるべきところ認めなかったということで決議の方法に瑕疵がある、という下級審判例があるが、株主総会に出席させたことにより決議に瑕疵があるという事例は無いと考えられる。
  • また、諸外国の法制等を考慮すると、株主提案した実質株主が総会に出席することについて法的に不確実性があるというのは、投資家にとってはショッキングなくらい株主に対してアンフレンドリーと見られる可能性がある。
  • 実質株主は名義株主から代理権を与えられ、自らが実質株主であり、かつ名義株主から代理権を与えられたということを証明すれば総会に出席できるという法解釈のもと、例えば株主総会日の余裕を持った日程で名義株主から書面をもって代理権を証明してもらう実務ができれば、実質株主でも株主総会に出席する慣行が形成されるのではないか。
  • 当社では、数千百社に対して議決権行使をしなければならず、物理的に全ての企業の議案精査は困難なので、議決権行使精査要領を毎年作成し、当基準に該当する企業の議案について詳細に検討し、議決権行使の意思決定を行っている。現実的には、情報、時間的、物理的な制約のなかで議決権行使していることから、詳細な検討を行う対象企業数が極端に増えないようにしている。精査の時間が確保できれば、いろいろな観点から検討し、議決権行使の決定を行うことができるようになる。
  • 招集通知の発送前開示は非常に有用。ただし、かつての例として、電磁的プラットフォームであるICJは一部の上場企業が採用しているが、それだけでは実務の標準にするのが難しいという現実がある。発送前開示も含めて、多くの企業が導入すると、実務の効率化も加速度的に進むと考えられる。
  • 欧米の投資家に、総会に関する懸念事項と本分科会の議論に関する意見を聞いた。海外投資家にとって、議決権行使のための十分な準備期間は無く、そのことが日本企業に対する懸念となっていることを確認した。そして、本分科会において、こうした投資家の懸念に対して解決策を模索する動きがあることは歓迎すべきことであり、何らかの解決策が示されることを期待するとのことであった。
  • 既に議論されたように、この議論の最終的な成果物等は、海外投資家にとっても、単純で明快な内容である必要がある。
  • 海外の株主総会の出席状況について、アメリカ、フランス、イタリア、スペイン、ブラジルの状況について確認したところ、日本と類似しており、機関投資家は議論となるようなは特殊な議案が無い限りは、議決権行使しても株主総会自体には出席せず、株主総会に出席する株主の多くは個人投資家であり、人数的にも一部の企業を除いて、さほど多くの株主が参加するわけではないとのことである。
  • 日本企業において、海外の実質株主より株主総会への出席を打診されるケースにおいて、会社側は対応方法が定まっていない。株主総会への出席は認めても質問等の株主権の行使を認めない状況が多いようである。一方、海外投資家は、過去のケースを見ると、株主総会において発言するために出席するというよりも、投資先の株主総会の様子を確認する為に、他の用事と併せて来日した際に出席するケースが多かった。
  • 実質株主の議決権行使に関して、実務的には名義株主に対して招集通知が送付され、そこから実質株主に対して、出席意思の有無を確認することとなると考えられる。招集通知の受領から株主総会の開催までの期間が短い中での実務的な対応方法を検討する必要があるが、実務的な方法を示唆し、条件整備を行うことが有用である。
  • 議決権行使と配当の基準日を分けることについて、総会出席は容易になるが、全てを電子化しない限り、これらの基準日を分けた場合、通知のための印刷、封筒、郵送代等のコストがかかることから、この点についても考慮する必要がある。
  • 振替株式の場合、基準日の設定に制限がある。証券保管振替機構、日本郵便など関係者の意見集約が必要。
  • 基準日の議論にあわせて、配当金の決定機関を、株主総会とするか取締役会とするかを示すことは有用。
  • 招集通知のWeb開示は、コスト削減につながる。個人投資家は電子的に決算短信や四半期開示等の情報を入手しているという実態もあるようであり、情報伝達ツールとして電子的に適時適切に発信すると、コミュニケーション力が高まるのではないか。ただし、現状では、各個人株主の同意を得る必要があり、電子化を行うインセンティブをあげる方法を検討する必要がある。
  • 株主提案権について、議案数が多くなれば、議決権行使書面、招集通知に記載事項のボリュームが多くなることから、提案権を制限せずとも、何らかの配慮は実務的観点から必要ではないか。
  • 実質株主の株主総会出席に関する必要性について慎重に考える必要がある。実質株主は広い概念であり、実質株主が株主名簿に記載しない正当性について考える必要がある。例えば、多く投資している機関投資家の場合、投資の都度、名簿に記載することが困難との実務的な話があり、この事例のように名簿に記載しない正当性がある株主と、正当性が無い株主とで議論を分ける必要がある。
  • 実質株主の株主総会への出席については、「出席」という以上、単なる傍聴ではないという前提。となると、名義株主からの委任状を持参することが必須であり、名義株主からの委任状があることで株主総会攪乱のおそれがないことが、かなり担保されることとなる。
  • 実質株主が議決権行使した場合、形式的には名義株主が議決権の不統一行使をしたこととなることから、名義株主のどの議決権部分に対応する議決権を行使したかを明確にする必要がある。
  • 実務的に委任状と実質株主の証明をもって株主総会へ実質株主が出席している状況にある。しかし、株主総会の当日に、急に実質株主であることを証明して、株主総会に出席しようとした場合、混乱することが想定されることから、実質株主の要請があった際には、事前に話し合う必要がある。また、実質株主の株主総会出席に関する基本方針を定めていない会社については、基本方針を定めることが有用。そのためのソフトローを整備することが限界ではないか。
  • 株主総会(基準日)の延期と株主総会開催日集中の回避は別の議論として捉えるべき。いくら集中をなくそうと思っても、集中というのはある意味結果論であり、集中を無くす施策が難しい可能性がある。機関投資家と会社との対話の期間を延ばす施策の方が実現可能性が高いのではないか。
  • 会社と株主との対話、株主の株主総会における議決権行使のための検討期間確保の為に株主総会招集通知等を発送前にWeb開示することは有用であり、全般的に異論は無いものと考えられる。
  • 一方、株主総会の基準日をずらし、株主総会の開催日自体をずらすことにどれだけのメリットがあるのか、ずらすことによって生じる他の諸事象のデメリットと十分比較勘案して検討する必要がある。たとえば、決算短信を出来るだけ早く出すよう求める声がある中で、監査にさらに時間をかけるメリットがどれほど世間から理解されるのか。有価証券報告書を株主総会の議決権行使に利用できるようにすることや、その為に、基準日や株主総会開催日を遅らせることによるデメリットも考慮する必要がある。
  • 配当にかかる源泉徴収の為の計算期間3ヶ月は短縮することは今の実務状況では難しいと考えられる。この結果、配当基準日と議決権行使基準日を異なる日に設定した場合、事務的な不効率が生じることから、配当基準日と議決権行使基準日とは同じ日にする前提は維持して検討することになろう。
  • 株主総会資料の電子提供については、最終的には法改正まで行けば可能であるが、個人株主からは、法改正無しに現状を変えることにはなかなか理解が得られにくいのではないか。
  • 日本では、マネジメント・ボードとスーパーバイザリー・ボードが兼任している状況の中で、基準日や株主総会開催日を遅らせた場合、マネジメント・ボードを(3月決算の場合)7月に選任することになるため、そこまでして総会日をずらすニーズがどこまであるかも検討する必要がある。
  • 株主総会の議案を早くWeb開示することは、現在の状況においても現実的であり、この方策だけでも、いろいろな効果が期待できるのではないか。
  • 株主提案について、米国と日本では意味合いが異なり、日本では定款変更など株主総会の決議事項が広いが、米国ではSay on payでアンケートをとっているだけに近い状況。この結果、米国ではコミュニケーションツールとなりうる。一方、日本では定款変更議案のような形で法的に決議する必要があるという違いがある。
  • 株主提案の費用負担について、米国では、提案者の費用負担となるという違いもある。
  • 海外投資家は多様であり、海外投資家が日本国内に拠点を置き、日本の信託銀行等を通じて株主総会の議決権行使を行っている投資家や、日本語の読み書きができ、話せる担当者を通じて株主総会の議決権行使を行う場合、あるいはそのような担当者や拠点を置かず、海外から直接議決権行使を行っている投資家もいる。海外投資家と言っても、ニーズや議決権行使までのプロセスが異なることから、その点を明確にする必要がある。海外に拠点を置く海外投資家の場合、議決権助言会社への依存度が極めて高いのではないか。
  • 日本では、ICJ等のシステム自体はあるが、電子行使プラットフォームが完全に実現しておらず、実際にこれを経由するような流れになっていない。この結果、株主総会の5営業日前までに議決権行使内容について判断しなければならず、判断までの時間について課題がある。
  • 実質株主の参加について、実質株主は重要な議題がある場合や、懸念事項があった場合には株主総会に参加する権利を有しておきたいものと考えられる。実際に、毎回、株主総会に出席するかどうかは別として、株主総会出席の手段を確保、明確にしておくことが重要なのではないか。
  • 日本株を中長期のスタンスで保有しており、一定規模以上の資産規模の欧米、アジアの海外機関投資家は、400社程度である。日本で議決権行使を決定している、いわゆる外資系と言われる日本に拠点がある機関投資家は20社強程度。運用資産額でみると日本の拠点がある機関投資家の運用資産は大きいため、数だけでの単純比較はできないが、海外機関投資家の多くは、外から限られた時間内で議決権行使をしている状況にある点に留意すべき。
  • 基準日について、何の為に議論しているか再度、見直す必要がある。基準日の考え方を変えた結果、混乱が生じるようであれば意味がない。基準日の議論は、会社と株主との対話促進のために議論されているが、それ以外の方法は無いのか。株主の議決権行使のための期間確保、分散化という観点では、基準日を変えず、(3月決算会社の場合)株主総会を7月に開催できるようにすればよいのではないか。一方、7月開催とした場合、権利者と所有者が分離してしまう可能性があり難しい点もある。
  • 実質株主の議決権行使については、現状では、そもそも権利が無いことから、権利がないところに道筋をつける必要がある。実務上のガイドライン、ガイダンス等が必要ではないか。受け入れる会社側に混乱が生じると本末転倒なため、会社が受け入れやすくするために、どのようなエビデンスを実質株主が持参しなければならないか等を定める必要がある。
  • 日本の会社法では株主に発信する必要があるため、株主には自動的に会社より情報が送付されることになっているが、例えば、英国のように基準日と株主総会開催日が近い国では株主は情報を取りに行くものということになっている。Web開示については、株主自身の意識の転換が無いと難しいのではないか。
  • 書面による招集通知発送前のWeb開示を躊躇している会社が多いことから、この点についても、ガイダンスを示す必要がある。

以上

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最終更新日:2014年12月16日
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