経済産業省
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株主総会のあり方検討分科会(第4回)‐議事要旨

日時:平成26年12月15日(月曜日)13時00分~15時00分
場所:経済産業省本館17階第一特別会議室

出席者

(株主総会のあり方検討分科会委員)
尾崎座長、安藤委員、石田委員、岩崎委員、岩田委員、上田委員、江良委員、澤口委員、島田委員、高山委員、武井委員、田中委員、鶴岡委員、中川委員、永池委員、松井委員、松本委員、安井委員(代理 渡邉氏)、山田(治)委員

議題

  1. 本分科会のテーマに関する全般的討議
    • 持続的な企業価値の創造に向けた企業と投資家との対話を促進する観点から、望ましい株主総会プロセスのあり方について
    • その他
  2. 「これまでの意見整理」の検討

議事概要

意見交換における主な発言は以下の通り。

  • 座長より、資料2-1、資料2-2に基づく「これまでの意見整理」の投げかけの後、委員間で議論。その際の概要は以下のとおり。
  • 3週間以上の対話期間を設けている会社(招集通知発送日から株主総会開催日までの期間が3週間以上)は約3割。
  • 当社では、招集通知を株主総会開催日3週間前の6月上旬に発送しているが、招集通知の内容については、5月上旬の決算等発表段階で概ね確定している。決算発表後、招集通知の印刷・英訳・株主向けの発送準備に2、3週間の時間を要しており、この部分について短縮可能と考えられる。
  • 現行法において、株主へ株主総会招集通知を発送する前にウェブ開示することを規制するルールはない。金融庁で議論されている、コーポレートガバナンス・コードに関する現在の議論の中でも、株主総会招集通知発送前のウェブ開示が推奨されている。
  • 株主総会関連書類の電子化について、推進してはどうか。株主に対して、書面では株主総会の日時・場所等、総会関連書類の掲載されたウェブサイトへのアクセス方法、書面での書類提供方法を記載したもの及び議決権行使書面を通知し、株主総会関連書類については、原則、ウェブサイトで確認できるようにしてはどうか。電子化に必要なインフラについては、整備済と考えられ、米国等では導入が進展している。高齢者のインターネット利用も増加している。東証上場会社情報サービスで多数の上場会社の情報を網羅的に検索可能であり、招集通知だけではなく、コーポレート・ガバナンスに関するコーポレート・ガバンス報告書、適時開示情報等も閲覧可能となっている。
  • 1995年に米国では、委任状説明書等を電子的に公布することが可能となった。ただし、個々の株主の事前の同意が必要であり、使用する企業は限定的であった。日本においても、平成13年の商法改正により、株主の事前同意を前提として、電子的に株主総会関連資料を公布することが可能となっているが、同様に、事前同意が必要であるため、利用が拡大していない。
  • 2007年に米国ではSEC規則が改正され、個々の株主の事前同意は不要となった。この結果、議決権行使処理サービスを提供するBroadridge社の情報によると、現在(2014年)では、6割程度の会社が電子的に株主総会関連資料を提供するようになり、通知のみ書面で提供し、その他の資料はウェブサイトで提供する方法を選択する会社も30程度となった。
  • 総務省の調査によると、インターネット利用者は1億人を突破している。年齢的にも、50代のインターネット利用率は9割以上であり、60代でも7割以上となっている。70歳以上でも、平成13年に比べると利用者は拡大している。
  • また、日本証券業協会のデータによると、インターネット株式取引口座数は増加しており、年代別にも60代以上で4割以上を占めている状況にあり、一層の拡大が想定されることから、電子的提供による不利益は生じにくくなっているのではないか。
  • 電子的提供が実現した場合、環境保護の観点、企業のコスト削減・生産性の向上、IT利用の拡大等、産業の活性化にも影響をもたらすのではないか。
  • 欧州の投資家等に株主総会関連資料の電子的配布について意見を聞いてきたので、参考までに共有する。日本の場合、機関投資家を前提とすると、日本では管理信託銀行から各実質株主の機関投資家に書面で議決権行使書類が転送されている。管理信託の方に伺う限りでは、カルタ取りのような広い会場で仕分けを行っているとのこと。
  • 他方、海外の実質株主と言われる投資家は、書面ベースでは議決権行使書類は入手しておらず、カストディ銀行には、1通の書類のみが送付されるが、海外投資家は、ウェブサイトで情報を入手しており、各国の投資家からは「自分たちはそのような紙ベースのものは貰っていない」、「日本の機関投資家は紙の招集通知をもらっているのですか?」との反応であった。
  • 日本では書面ベースを前提として運用されている状況にある。
  • 信託銀行では、資産管理業務を担っており、投資家側の議決権行使事務を行っているが、書面を前提として運営している。
  • 株主総会までのスケジュールとしては、株主名簿管理人から招集通知・議決権行使書面が常任代理人(資産管理信託等)に送付される。常任代理人(資産管理信託等)は、投資一任業者に、受領したら速やかに、遅くとも株主総会の8営業日前までには、招集通知・議決権行使書面を郵送している。
  • 資産管理信託業務は株主総会の5営業日前までに、投資一任業者から議決権行使内容について指図を受け、これを集計したうえ遅くとも同日中に郵送準備まで完了している。この結果、投資一任業者における決議内容の検討期間は、実質的には3営業日程度しか確保できない。
  • 現行の書面ベースを前提とした実務をやっている限りにおいては、これ以上の効率化は難しい。取締役会で議案が決定された後、招集通知の印刷発送ということになるが、議案が決まった時点で、Web開示を行えば、議案が投資家の目に触れるタイミングは非常に早くなるので、投資家の検討時間を現状より長く確保することができるようになる。米国の例のように、株主総会の何十日前から電子的に開示することで検討時間が長くなる。
  • 信託銀行では、株式事務を担っているが、機関投資家・個人投資家の所有期間の調査、シェアの調査、株主へのアンケート等を行い、株主あるいは発行会社のニーズを把握する取組も行っている。また、株主総会でスライド、動画等を用いた議長によるプレゼンテーションのサポート業務等も行い、株主との対話促進の一助ともなっているものと考えている。
  • 海外投資家が多い企業は、東証議決権電子行使プラットフォームを利用している企業が多いのではないか。この場合、株主総会招集通知発送段階で、東証議決権電子行使プラットフォームに株主総会関連資料が掲載されることとなる。東証議決権電子行使プラットフォームの利用実態を調査して欲しい。
  • 東証議決権電子行使プラットフォームを使用している発行体と使用してない発行体があり、投資家からすると、全ての発行体が使用しているのであれば、利用しやすいが、現在のように、使用していない発行体もある状況においては、利用しづらいという声があり、現実的ではない可能性がある。
  • 法的な株主総会の招集通知の発送について、今のやり方のままであっても、招集通知発送前にウェブ開示することについて法的に問題ないことから、日本語及び英語でウェブ開示するだけでも、海外投資家にとって有益ではないか。
  • 東証議決権電子行使プラットフォームの利用発行体は470社程度。利用料金は、上場会社(利用発行体)が支払うこととなっていることから、上場会社(利用発行体)自身がメリットを感じないと利用されにくい。
  • 上場会社のニーズとしては、機関投資家から議決権行使された場合に、行使内容を早く知ることができ、反対票が多い場合に総会前に投資家にアクションを行い、賛成に変えるよう働きかけすることもできることが挙げられる。このニーズが高い会社と低い会社があり、会社の株主構成(大株主、親会社の有無)等により、利用の必要性が異なると考えられる。
  • 電子化する際に法的に何か問題になることがあるか考えていたが、一番問題になるのはデジタルデバイドで、おそらく個人投資家が焦点になると思われる。
  • 個人投資家に総会に関してふんだんに情報を提供しなければならないとの発想は昭和56年の商法改正時に出てきて、当時は、十分に株主に対して情報提供し、株主総会に参加できるようにしようという発想だったと思われる。当時は、書面の他に情報提供の方法が無く、また、かなり情報から遮断されている状況にあった。
  • 現在は、企業から情報を出すことが当然の前提となっており、あとは情報提供の方法だけの問題とも考えられ、個人株主は必要であれば情報をウェブ等に取りにいけば良いという考え方もあってよいのではないか。30年前までであれば情報がほしくても出てこなかったが、今では少なくともウェブを見れば出てくる形となっている。会社が情報を全て出して、投資家の手元にまで紙媒体で全て送付しなければならないというのは30年前・40年前の書面だけを前提とした考え方である。電子化を議論する場合に書面と同じでなければならないという点については、すこし考え方を変えることができるのではないか。そういう意味で、電子化は法的には乗り越えられる問題なのではないか。
  • 当社では、電子化資料をベースにしており、郵送される招集通知は殆ど利用していない(必要に応じてプリンアウトしている)。郵送される招集通知を利用した場合、特に6月の株主総会集中期は書面を仕分けするという作業が負担になっており、電子化した方が管理しやすいため。このため、株主総会関連書類について、電子化を進めても支障はなく、むしろ関連する全ての当事者にとっては、コスト削減、環境への影響といった点で望ましい。
  • 当社では、書面に書き込み等を行っており、書面を中心にしている。電子情報の方が迅速であるというメリットはあるが、書面も継続しつつ、電子化という方法が望ましい。書面がフォーマルなプロセスとなっている以上、電子化されたとしても、書面を早く提供する努力も継続して欲しい。
  • 日本以外の企業(米国・英国等)に対する議決権行使については、電子行使を行っているケースもある。この場合は、電子的に情報を授受しており、日本以外の国では、総会開催日の間際まで検討して議決権行使できる状況にある。
  • 電子化について、ウェブを探せば情報があるということではなく、便利に利用できるかという点が重要である。例えば、株主総会の参考書類と事業報告が同一のファイルとなっているか、財務諸表の注記情報がウェブサイトにあるということではなく、財務諸表と注記情報が同一のファイルで入手できるかが重要。また、実際にウェブで情報を入手する際、データが重く、ファイルが分かれているケースがあり、データの入手が面倒なことがある。
  • 投資家の立場からは、電子化を少しでも多くの企業が対応するだけでもかなり有用かつ助かる。
  • 招集通知を見るという作業は、現在は書面で行っている。それは、電子的に開示している会社と書面のみの会社が極めてまばらであるためであり、発送前Web開示について明確に問題がない点を明らかにし、かなりの数の企業が発送前開示を行ってくれれば、それだけで数日対話に割ける時間が増えることにつながる。
  • 結果として、議決権が行使されなければ意味がない。個人投資家の場合、かなり多くが議決権行使を行っていないと考えられる。これは、書面による議決権行使が面倒なためではないか。多くの企業が東証議決権電子行使プラットフォームを利用するなど、議決権行使のオンライン化を推進すべきだ。そうすることで、議決権行使比率がかなり上昇することが想定される。最後のアクションの部分が便利な方が良いと思われるので、全ての企業に東証議決権電子行使プラットフォームを導入することも、中長期的課題として考えても良いのではないか。
  • 機関投資家としては、株主総会開催時期が集中して議決権行使を行うことが厳しいが、電子化することで議決権行使検討期間が増えることは有益という意見と捉えている。一方、電子化による情報提供時期の早期化のみでは、議決権行使に必要な検討期間の十分な確保という目的を達成できない会社もあると考えられることから、株主総会の開催時期を、今よりも後ろ倒しすることで、株主総会の開催時期を分散させても問題ないように思うが、不都合はあるか。
  • 電子開示により情報を早く入手し、議決権行使のタイミングを後ろ倒しにすることで、検討期間を確保するという意見に賛同する。株主総会開催日の分散のために、6月の中で前倒しする動きがあるが、議決権行使の検討期間が短くなるという結果となっている。一方、株主総会開催日が後ろ倒しになることに、機関投資家として実害があるとは思わない。
  • しかし、7月中や8月中のように後ろ倒しにすると、役員人事の問題等もあることから、7月第1週、第2週くらいまでが実務的な負担の軽減や、他の影響からも望ましいのではないか。
  • 株主総会開催日の分散化について、海外機関投資家と話した際には、歓迎するという意見だった。しかし、基準日という点について、基準日が現状、3ヶ月程度であり、現状でも、英国等に比べると長く、株主総会開催日を後ろ倒しにすると、更に基準日から株主総会開催日までの期間が長くなる。株式事務の面では良いが、権利の面の手当てはどうするかという問題がある。
  • 株主総会開催日の後ろ倒しは、当社ではあまり問題はないと考えている。議決権行使の実務からは望ましいが、剰余金処分も含め、過年度の事業年度における議決が相当期間経過してから株主総会においてなされることが感覚的に良いかどうかという点はあるかもしれない。また、3月末以降に基準日を設定することについても、企業側でも投資家側でも3月で決算を締めて株主をそこで確定するという実務に感覚的文化的に馴染んでいる部分もある。企業・投資家双方にとって経験の無いことなので、まだ見えていないという面はある。
  • 海外投資家でグローバルに投資する立場からは、北半球は6月で総会は大体終わり、7月8月は真空で、その後南半球で後半に総会がまた出てくるというのが実務感覚。そうすると、日本の株主総会開催が議決権行使の最後で、最後の詰めというか一番大変というのが実感であるため、日本の株主総会が分散化され、後ろ倒しされることはありがたいというのが正直な感覚。
  • コーポレートガバナンス・コードにおいて、株主総会招集通知発送前に、TDnetや会社のウェブサイト等で株主総会関連資料を提供することを求められようとしている状況にあるが、招集通知発送前のウェブ開示が法的に問題無いとしても、株主総会関連資料を株主よりも前に、株主以外の者に対して情報を提供しても良いかという疑問がある。しかし、コーポレートガバナンス・コードが制定されることにより、発送前開示が促されるのではないか。電子化により、書面による情報提供に比べて、1週間から10日程度、情報提供が早まるのではないか。
  • 会社法改正に伴う法務省令改正案において、今回の会社法改正とは直接関係ないが、Web開示によるみなし提供の対象となる事項を拡大するという改正を行うこととしており、現在、パブリック・コメントの手続を実施中である。今回の改正案は、株主総会において口頭でも説明するような事項は、株主にとっても関心が高いであろうことから、書面提供を原則とする点は継続しつつ、口頭では説明しないような事項についてはWeb開示でみなし提供を可能とするという方向性に基づき、作成されている。
  • 早期開示と直接関係するわけではないが、現在の実務においてWeb開示が行われているのは、注記表の範囲に留まっており、連結注記表以外の連結計算書類など、Web開示が可能であるにもかかわらずWeb開示が行われていない事項も多いものと認識している。Web開示によるみなし提供は、その対象となる範囲の事項について、Webに掲載すれば書面を交付する必要はないという効果が認められるものであるが、もとよりその範囲外のものであってもWebに掲載すること自体を妨げるものではなく、投資家サイドからも1つのファイルで一括して見ることが出来る方が便宜であるというご意見も聞いているところである。こうした状況を踏まえ、今回の法務省令の改正案では、確認的に、Web開示によるみなし提供の対象以外の事項であっても、Webに掲載することができるという規定を置くこととしている。
  • 投資家の方のご意見を聞いたところによると、書面の方が便利だというご意見も少なからずあった。また、デジタルデバイドの問題について、どこまで解消しているか、解消していないのかという点については、中々議論がつきないところではあろうかと思う。もっとも、会社法の建前は、株主の議決権行使等のために参考となる情報を株主に提供するということである。どのような方法でその提供を行うかという点について、Webに取りにいくという形で株主に一手間かけてもらう方向でいくのか、ある程度の情報は黙っていても送られてくる形が良いのか、この辺りをどう判断していくのかということだろう。ある程度は割り切りの問題もあろうかと思うが、現状、広く個人投資家を増やそうという中で、どう踏み切るのかという点は、難しい問題もあるのでないか、と思われる。
  • この研究会・分科会は、あり方を議論する場であるので、様々な投資家、企業がいるということだと、中々収斂させにくい。Web開示等についても、「今の時代のあるべき姿はこうなのだ」という点を決めず、現状は全て認めたまま何か新しいことを追加的にやるというのだけでは、いけないのではないか。
  • 先週出されたコーポレートガバナンス・コードの最終原案の中でも、株主の権利・平等性の確保についてと、かなり踏み込んだ内容になっている。こうあるべきなのだと言うことを具体的に施策ベースで打ち出していかないと、あり方の検討になっていないように思われるので、そこは立場を越えて議論・検討すべき。両論併記で企業は何でもすべきというのでは、結果として十分な施策の効果が得られないのではないか。
  • まさにあり方を考えるという観点から、1つは総会前の検討期間をどの程度確保することが望ましいかという点から逆算し、検討期間確保のための施策として、情報提供の電子化による前倒しと株主総会の後倒しという両方の選択肢を考えてみることが良いのではないか。その際には、国際的な観点を考えるべきであって、他国同様の議決権行使の為の検討期間が確保されなければならないのではないか。その場合には、総会前の情報開示は最低でも1ヶ月であり、おそらくはそれよりももう少し長いのではないか。もとよりWeb開示は望ましいことであるが、現在、株主総会関連資料を書面で利用する投資家も多いとすると、電子開示をしても、電子開示情報を利用しない投資家も存在することになるので、株主総会開催日の後ろ倒しも考えた方が良いのではないか。
  • 基準日について、国際的な観点と個人投資家が現実にはどう考えているのかという点をもう少し考慮した方が良いのではないか。国際的には、基準日と決算日が等しい方が特殊で有り、国際経験が豊かな投資家であれば、日本の現状を変えることに違和感を持つと言うよりは、むしろ現状に違和感を持つ人の方が多いのではないか。
  • また、個人投資家の観点からは、基準日=決算日というのは、法律の実務を行っている者がそれに慣れているので、普通の投資家もそう考えていると思い込んでいるという側面があるのではないか。個人投資家にとっては、それが決まっているから受け入れているだけであり、変わってもまたそれを受け入れるという人が多いのではないか。むしろ、投資家としては、どれだけ配当されるかという点が大事で、いつが基準日かという点は大して大事ではないのではないか。こうした点からも、現状にとらわれず、よりよい方向を目指すという形で議論してはどうかと思う。
  • 海外機関投資家から、当分科会宛に2通のレターが送付されてきた。1通は、英国の日本株を中長期運用する機関投資家20社からなる機関投資家グループからのもの。もう1通は、ACGA(ASIAN CORPORATE GOVERNANCE ASSOCIATION)からのもので、アジアの株式に投資している世界の主要機関投資家から構成される組織。いずれも、中長期運用の海外機関投資家。
  • コーポレートガバナンス・コードの原案において、「市場においてコーポレート・ガバナンスの改善を最も期待しているのは、通常、ガバナンスの改善が実を結ぶまで待つことができる中長期の株主であり、こうした株主は市場の短期主義化が懸念される昨今においても、会社にとって重要なパートナーとなり得る存在である。」と記載されている。この2つの投資家グループは、まさにそのパートナーとなる投資家である。
  • 海外投資家が、日本の株主総会についてどのように考えるかについて意見を聞きたいとの事務局からの要請に応え、2つの組織に問い合わせをした。それに対して、彼らからは、「企業と投資家、経済産産業省といった重要な関係者が一体となって、問題解決に向けて協議していることは喜ばしい。一方、いくつか懸念があることから、そのことについて記載する」という趣旨の、レターが、当文科会あてに送られてきた。
  • 英国のグループからは、「株主総会の問題は非常に投資家にとって関心の高いトピックである。日本のガバナンス全体に関して言えば、日本企業において取締役会の構成が近年変化していること(社外取締役が増えていることを指していると考えられる)や、規制当局が国内のガバナンスのフレームワークに関与し、海外投資家の関心を高め投資を促進しようと努力していること(コーポレートガバナンス・コードをさしていると考えられる)等、企業の当局、投資家がガバナンスを改善させようとしていることは承知しているが、そのうえで、5つの懸念事項がある。」との趣旨の意見が表明された。
  • (1)年次株主総会日が集中していることが企業と投資家の健全な対話の実施の阻害要因となっているため、総会開催の日程を分散し、かつできるだけ早く総会資料を入手可能とする提案を歓迎する。
  • (2)日本企業の株主構成に占める海外投資家の割合が高いことから、英語で総会資料を提供してほしい。
  • (3)デジタル・ソリューション、すなわち株主総会資料の電子化について、日本語及び英語で電子的に入手できる環境を整備できるようにしてほしい。また、内容について取締役会で承認された後、速やかに公表してほしい。
  • (4)基準日について、株主総会と基準日が3か月は長すぎるため、例えば、最大3週間程度にしてほしい。
  • (5)株主提案について、株主の権利と企業・投資家のコスト、双方のバランスを取って考えて欲しい。
  • ACGAでは、英訳した分科会資料にもとづき、12月初めの会員による会議において内容について検討し、以下のように意見が纏められている。
  • ACGAは、日本において、ガバナンスに関する様々な改革が行われていると認識している。株主総会開催日の集中についても、緩やかに改善傾向にある。また、電子的投票システムも構築されており、多くの良い点がある。
  • しかし、機関投資家間のコンセンサスとして、議決権行使の為の時間的猶予が相対的に短く、それがネガティブな印象を与えている。
  • まず、株主総会関連資料の送付期間について、日本では最低2週間と定められているが、アジア各国では21日又は28日と定める動きがあり、28日がベストプラクティスと考えられている。日本企業で、2週間前となっているが、企業努力により、2週間より前に送付されているケースがあることもあるが、例えば香港、シンガポール等、多くのアジア市場において4週間から6週間前に送付されている状況にあることを考えると、日本においても、現状よりも早い時期に発送・開示することを望む。
  • 議決権行使について、カストディアンを経由する場合、株主総会の8日前までに、議決権行使内容を伝達する必要があるが、それを解決するのが東証議決権電子行使プラットフォームであり、役に立っている。しかし、当システムに登録している企業は、全体で460社にとどまっているという情報があり、上場企業3千数百社に比べて少ない。
  • 6月下旬、特に特定の週に株主総会が集中していることで、議決権行使のための検討の時間が十分ではなく懸念点となっている。大規模なグローバル投資家の場合、通常、日本の企業については500社以上の株式を有しており、1,000社を超えることもある。グローバル投資家は、限られた時間に大量の企業の議決権行使断案をすることとなると、リスクが高いと考えられる投資先に限って議決権行使の内容を検討することになるが、全ての企業に対して議決権行使のための十分な検討時間が確保できないという問題が指摘されている。この点は、投資家側からも問題であるが、投資家と対話しようとしている企業にとっても問題なのではないか。
  • 望ましい解決策として、基準日を遅らせることで、期末日後4か月超等の日付で株主総会を開催できるなど、開催日の拡大を支持している。
  • 基準日から総会までの期間を短縮する。長くても、3週間から4週間に短縮することが望ましい。
  • 株主総会資料については、遅くとも28日前に発送を望む。
  • 実質株主が株主総会に出席することに困難が伴う。この状況は、特定のアジア地域でも残っている問題ではあるが、そのような地域でも、解決に向けて大きく前進していることから、日本でも解決することを期待する。
  • 実質株主の制度がある国の活用の程度を確認したところ、英国では年に数社程度が活用している。
  • オランダでも数社程度。オランダでは、市場の株式の約75%を機関投資家が保有しており、そのほぼすべてが参加しているEnumedionという機関投資家団体があるあり、その団体では特殊な制度がある。1人の投資家がその団体に所属する他の投資家の持分を代表して株主総会に出席し、議決権行使を行うと、複数の投資家が発言し、議決権を集団的に行使するという仕組みがある。運用面では、カストディ銀行が中心になっている。機関投資家自身が株主総会に出る場合、数週間以上前の段階で、機関投資家がカストディ銀行に対して、株主総会に出席したい旨を通知し、カストディ銀行から企業に実質株主が出席したい旨を伝達し、カストディ銀行から、入場券が機関投資家に送付され、これをもって株主総会に出席する。カストディ銀行は、実質株主が株主総会に主席している場合は、実質株主の議決権分を差し引いた数の議決権行使内容を会社に伝達する。この結果、カストディ銀行に負担がかかる仕組みになっている。
  • 海外投資家(ある年金基金)からは、台湾と香港の総会に出たことがあり、日本の総会にも出たいという声があるが、来日しても投資先企業が忙しく、投資先企業担当者から会えないことと、言語の問題があることから、出席しない状況にあるが、それらの問題が解決される仕組みになれば、機会とタイミングが合えば株主総会への参加を検討しているようである。
  • 日本では経営者と株主との間のコネクション、ブリッジが米国等と比べると薄く、株主提案権は、非常に重要なツールであることから、株主提案権について制限することには慎重であるべき。
  • 実務的に、実質株主の出席について悩んだことはない。それは、(1)数が少ないこと、(2)事前に発行会社に通知されれば、出席させている会社が多いのではないか。株主総会には、メディア等、株主以外の者も出席していることから、抵抗感が少ない。
  • 株主提案について、その重要性についてはメンバーの間で異論はないものと思われる。問題は、重要ではあるが、今まで各人の良識に任せて運用してきたところ、1人の株主が何十もの提案するようなケースが複数出てきて、それについて現行法で対応出来ないという現状が見えてきたので、この点は是非議論をしてもよいのではないか。
  • 実質株主の特定は、発行会社側からは困難であり、特に、常任代理人やグローバルカストディアン以降の方の特定は非常に困難。
  • 議決権の二重行使についても、対応を常任代理人やカストディアンに任せることとなるが、実務的にどこまで確認でき、例えば事前行使を取り下げ当日の行使に回すようなことが実務的にどれほど負担になるのか、といった点も考慮が必要なポイントではないか。
  • 株主提案権については、1人の方がどれだけ提案できるのかという点については検討する必要があるのではないか。また、定款自治ではあるものの、定款に何を書いても良いという状態・現在の制度についても、少し検討する余地があるのではないか。
  • 株主提案の法律上の締切りは株主総会の8週間前までとなっているが、直前に届いた場合、招集通知の発送自体が遅れる可能性が発生するといった問題もある。
  • 株主数が多い会社にあっては、提案の可決否決に拘らず会社が全て費用を負担するという観点から、招集通知で株主提案に対してどこまでのページ数を割けるのか、何議案までであれば議決権行使書に記載可能かという点についても、検討のポイントになり得るのではないか。
  • 実質株主の出席について、強いニーズは無いのではないか。株主総会に出席しなければ、機関投資家の業務に支障をきたすとは思わない。議決権行使自体は、事前投票ができ、議案内容についての理解や対話も企業のディスクローズ、年間のIR活動、会社との直接のコンタクト等で足りる。
  • 株主提案の制限に関しては、機関投資家にとっては自分たちの権利の制約という面はあるものの、そういう立場であっても濫用的とみられるものが実態としてあると認識。現状でも株主提案権には要件が付されているという点で制約があるのであり、その制約のレベルを現実的なものにするということについては、基本的に理解を示している。
  • 今回取り上げられているテーマは多くが、コーポレートガバナンス・コードでも踏み込んで取り上げられているので、ガバナンス・コードとリンクを張った議論の整理とした方が良いのではないか。ガバナンス・コードは企業として真剣に取り組まなければならない事項であって、関心も高いので、そこと切り離して新たな整理を出しても、受ける企業側からするとかえって混乱し、現場対応が前に進みにくくなる。コーポレートガバナンス・コードは、Principle baseかつComply or Explainのため、企業はコードに記載された項目の趣旨を理解しつつ、その趣旨に沿ってComplyするのか、Explainするのか考えていくことが求められることになるので、当研究会・分科会の報告書においても、企業の手助けとなるようなコードとのリンクが必要となるのではないか。
  • 株主総会資料の早期ウェブ開示や実質株主の出席などの実務的な点について、法的な論点、実務的な対応方法も含め社会に示すことが必要。こうした点については、株懇において様々法的な点も含めて論点整理をして頂き、社会に示していくことが大事なのではないか。
  • 総会前の限られた時間の箇所を伸ばすことだけを考えるのではなく、議決権行使関連での日頃からの対話の時間についても施策があり得るのでは無いか。たとえば、機関投資家の中には、IR分析担当者と議決権行使担当者が分離している状況にあり、日頃の対話でIR分析担当者が出てきても、議決権行使担当者に話が伝わらない非効率性があるのではないか。IR担当者はその会社のことを理解しているが、議決権行使のタイミングとなると、それとは別の人がでてきて、一から対話のし直しとなるのでは非効率である。分離することそれ自体には利益相反等の観点から相応の理由があるのかも知れないが、機関投資家の方で情報共有の体制整備をどのようにつくるのか、利益相反をどこまで厳格に処理しないと行けないのか等の論点も施策として問題提起した方が良いのではないか。
  • 企業は、通常、機関投資家のポートフォリオ・マネジャー、アナリストに対してIR活動(説明)を行っているが、議決権行使は、コーポレートガバナンスチームが行うという状況にある。勿論、両者が一体となっている投資家も一部あるが、双方に意思疎通がないというのは、企業からすればおかしな話。本来、ESGがしっかりしているかどうかというスクリーニングがあり、バリエーションが良い、自分たちの投資スコープに合うという判断を経て投資するということであるはずが、全く両者で情報交換も意思疎通もなく、単に議決権行使だけやっているという実態は問題があるのではないか。投資家側がファイヤーウォールのため、分離しているのは理解するが、機関投資家内で情報交換・共有を行う等の改善の余地があるのではないか。

以上

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最終更新日:2015年2月2日
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