経済産業省
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株主総会のあり方検討分科会(第6回)‐議事要旨

日時:平成27年2月20日(金曜日)15時00分~17時00分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

(株主総会のあり方検討分科会委員)
尾崎座長、安藤委員、岩崎委員、岩田委員、上田委員、江良委員、澤口委員、島田委員、高山委員、武井委員、田中委員、鶴岡委員、永池委員、中川委員、松井委員、松本委員、安井委員、山田(治)委員
(持続的成長に向けた企業と投資家の対話促進研究会委員)
キャロン委員

議題

  1. 本分科会のテーマに関する全般的討議
    • 持続的な企業価値の創造に向けた企業と投資家との対話を促進する観点から、望ましい株主総会プロセスのあり方について
    • その他
  2. 個別テーマについての検討等

議事概要

意見交換における主な発言は以下の通り。

  • 座長より、「実質株主の株主総会への参加」「株主総会の権限」「株主数が多い場合の株主総会開催プロセス」「招集通知の早期Web開示」に関する投げかけの後、委員間で議論。その際の概要は以下のとおり。

実質株主の株主総会への参加

  • 名義株主と指図権者がそれぞれ異なる場合がある。指図権者が株主総会に出席しようとする場合、指図権者を実質株主として会社が認定し、株主として株主総会への出席を認めるか否かという点の整理が必要。
  • 海外機関投資家のアセットオーナー・アセットマネジャーと名義の関係性は国内投資家に比して複雑であり、例えば年金基金やソブリン・ウエルス・ファンドといった場合には、自らカストディネームに名前を出して、自身が実質株主であることを、ある意味宣言しているアセットオーナーもいるが、そうではないアセットオーナーもいる。また、運用会社に運用委託をしている場合であったとしても、名義自体はアセットオーナーの名義の中で管理をしている場合もある。更に、その中でも、指図はケースバイケースでアセットオーナーが指図したり、あるいは、欧州で最近増えている例では、オーバーレイ・サービスあるいはプロキシプール・ファンドというような、議決権行使を含むエンゲージメント活動そのものを外部委託する形態がある。
  • このように、アセットオーナー・アセットマネジャーと名義・指図等について様々な形態があり、どういうケースが想定されるかを認識しなければ、会社側が混乱し、本来の権限者が株主総会に参加できないリスクがある。一方で、株主総会に参加させるべきではない者を参加させてしまうという、逆のリスクもある。
  • 実質株主の株主総会への参加について、法的には、名義株主となることでも実現可能。一方で、名義株主となるための手続をとらない機関投資家も存在するが、その理由について議論し整理する必要がある。
  • 日本の年金基金をはじめとするアセットオーナーが名義を書き換える場合、例えば招集通知が送られてくる、配当が振り込まれてくる等も含めて、アセットオーナー側で事務手続が発生する。このため、名義を書き換えないことにより、そのような事務をカストディ業務でアウトソースするという合理的な仕組みになっている。
  • 一方で名前を出したくない(名義を書き換えたくない)ケースとして、合同アカウントの中に組み込み、自分たちの存在を隠す、ソブリン・ウエルス・ファンド等があると聞いている。
  • 日本の法律上、株主という立場(名義)を前提にした仕組みになっており、仮に実質株主が株主総会に出席し、株主総会を会社との対話の場としたいと考えた場合の仕組が十分整備されていないのではないか。実質株主が名義を出さないのは、実務上の使い勝手の良さと、名前を出したくないという意図と、両方ある。
  • 日本の場合には、会社は、株主名簿上の株主のみを株主として取り扱い、実質株主を株主として取り扱わないということが法律上できる可能性がある。実務的に欧州では一定のエビデンスがあれば、仮に合同アカウントで、合同名義の場合であったとしても、アセットオーナーではなくアセットマネジャーにも参加を認めているような事例があると聞いている。このため、そういった実務が定着しつつある中で、日本が制度を見直すのであれば、海外事例も参考になるのではないか。
  • 海外の株主は国内の常任代理人がいないと株主の権利がないという話を聞いている。また、名簿に載るという別途の問題があるとも聞いているが、事実関係を確認したい。
  • 非居住者である場合に、売買する際には、常任代理人が必要であるが、株主としての権利を行使する場合には、常任代理人は必要ない。
  • 海外の株主であることと、常任代理人は関係ない。売買するのは、非居住者の場合には常任代理人が必要だが、株主であることは関係ないと考えられる。
  • 過去に、海外の株主が株主総会に出席しようとした際、「常任代理人でないと出席できない」とされたことがある。
  • 定款あるいは定款の委任を受けた株式取扱規則で、日本に住所のある常任代理人を選定するか、連絡先の日本の住所を指定するという定めを任意に設けている上場会社が多い。
  • そのような定款規定のある会社が存在するとした場合、株主の権限を活用できないことになる。本会議では株主総会のあり方として、海外の株主を含めて参加できる仕組みを整備することを趣旨としていることから、法的な問題ではなく定款規定の問題で海外の株主が株主総会に出席できないとすると、これらの改革や改善が必要となる。
  • 実質株主が株主総会への出席を希望する場合、それは当然認めるべきであるという前提に立つと、実務を統一する必要がある。議決権行使書を持っていれば、株主であるため、株主総会に出席できるはずである。
  • 例えば、夫名義の議決権行使書を妻が持参しても、株主総会に参加するというプラクティスがある。一方で、議決権行使書を持たず、事前に株主総会へ出席したい旨の連絡があったとしても、企業側はその出席希望者が株主であるかどうかを確認できない。名義株主以外の者が株主総会へ出席するプラクティスを決めれば、企業側はガイドラインに沿い、株主総会への出席を希望する実質株主は、議決権行使書を持つ者と同様に株主総会に参加するというのが本来のあるべき姿なのではないか。
  • 株主名簿に名前を記載していない実質株主である機関投資家が株主総会に出席したいということが実際殆ど無いのではないか。成長戦略としての株主総会のあり方を議論することを前提とすると、大規模な会社の株主総会に、このような参加することが殆どない、また、仮に希望すれば実質株主である機関投資家は事実上参加できており、実質的に影響が無い。実質株主である機関投資家の出席の点は、議論として優先順位が低いのではないか。
  • 外国人投資家が実質株主であったとしても、常任代理人でなければ参加権がないということが、日本の法律ではなく定款で定めたことということだが、その定款はなぜ存在しているのかという問題がある。日本において、海外投資家が増加し、グローバル・ベストプラクティスを取り入れる日本のあり方として、矛盾があるのではないか。
  • 日本の証券会社に非居住者が口座を開けるためには常任代理人が必要である。なぜ海外の非居住者は日本の証券会社に常任代理人がいないと口座を開けられないのかという背景については、金融庁等に確認する必要がある。
  • 機関投資家が株主総会に直接出席する際、機関投資家が名義人である受託銀行から委任状を受け、代理人である証明書を持ち株主総会出席することが基本となる。一方で、「株主名簿に名前を記載している者以外は、代理人となることができない」という定款規定が一般的にあるが、この定款規定を置かないようにするべきではないか。この定款規定を置かないことにより、委任状を持つことで代理人として、実質株主が株主総会へ出席できるようになる。
  • アセットオーナーが名前を出すことになった場合、アセットオーナーの自己勘定で株を買うことになるが、利益相反として重大な問題が生じる。また、委託者が保有している受託銀行の名義をアセットマネージャーに書き換える場合、財産管理や分別管理の制度が存在していることから、代理人となるために、「アセットマネージャーが株を持てば代理人となることができる」という議論は、大な問題を引き起こす可能性がある。
  • 日本の会社法上、株主は代理人によって権利を行使することができるという条文があるが、会社が合理的な範囲で代理人の資格を制限すること、定款で定めることを禁ずるものではないとする、昭和40年頃の最高裁判決があり、その結果として代理人資格が株主に限るという規定も一般的には合法であるという解釈されてきている。しかし、このような定款が存在し始めたころから、会社法の条文に反しているので違法ではないかという議論があった。非公開会社で株主同士が知り合いのケースでは、代理人と称して全然知らない人が出てくると、他の株主が困惑することから、そのような場合は定款で制限することも考えられる。しかし、上場会社の場合、誰でも株主になることができることから、代理人資格を株主に限定したとしても、株主総会を荒らす意図があれば、自身で株を購入し、代理人として株主総会に出席することから、定款規定はあまり効果がないとも考えられる。その一方で、何らかの事情で株主になっていないが、その人を代理人にしたいと考える株主の利益を侵害するので、定款自体、違法ではないかという見解もある。
  • このような定款規定は、上場会社にとって本当に必要かということをまず考えるべきである。また、定款を合理的に限定解釈して、合理的な理由がある場合は株主以外の人を代理人にすることは、そもそも定款による資格制限の範囲外の問題であると考えることもありうる。例えば、法人が株主になっているときは、法人の従業員は株主ではないが代理人として議決権行使できると解されている。これが禁じられると、法人は代表者しか議決権を行使できなくなり不合理であることから、この場合は定款の資格制限の範囲外であることが判例上も確立している。
  • このように、合理的な理由があって代理権を授与している場合には、定款の規定の埒外にあるという解釈を、アセットオーナー、アセットマネージャーも含めるというように考えることができないか。この場合、「実質株主」という表現は少し粗く、実質株主というと経済的利益が帰属している人を指すため、アセットオーナーを指すことになるが、実務上は、むしろアセットマネージャーが総会に出席して、議決権行使や質問などの判断を行うニーズがある場合が多いだろう。投資判断を実際に行っているのはアセットマネージャーのため、その人に判断を任せるのが合理的である。そして、実際に株主としての判断を行っているアセットマネジャーが総会に出席しても、株主総会を荒らすという弊害も考えにくく、定款規定の埒外にするということが考えられるのではないか。
  • 実際に妻の名義で株式を保有しているが、実際は夫が持っているケースまで含めて認めることとなり、そのような状況に対する議論があったが、上場会社であれば誰でも株主になれることから、そのようなことまでチェックしようとして、それで勝手に苦労しているだけなのではないか。「アセットマネージャーである」あるいは「実質的に株主利益が帰属している」ということを株主が自分で証明し、そのエビデンスを持って代理人が来れば、株主総会への出席を認めて良いのではないか。
  • 実際にこういうことを認めても現実に総会に出席したいと考えるケースはまれであるという議論もあるが、まれであるとすれば企業の事務負担も大きくは無いという考え方もできるのではないか。まれに出てきた時に適切に対応することで、投資家の信頼も高まるのではないか。
  • 実質株主の株主総会の出席という論点に関しては、「まれである」、又は、「ニーズが本当にあるのか」という議論はあるが、仮に出席というケースが生じた場合に、手続きが円滑に進むよう、事務フローのひな型を作成することができないか等、信託協会内で議論を進めているところである。発行会社と株主との対話が非常に重要だと考えているので、信託銀行としても、現状よりも一層進んでいくよう、知恵を絞って取り組んでいきたいと考えている。事務フローも確りとしたものを作り上げていきたいと考えている。
  • 日本の株主総会において、総会屋及び総会屋的株主は無くなっていない。定款規定をもしもなくして、ある意味アセットマネジャーを名乗れば誰でも総会に出席できるなどという建付けは、法的決議機関としての総会の安定性を著しく損なうし、また数千人も株主が来てしかも開始時間10-20分前に集中する総会での入口実務も回らない。株主にもいろいろなタイプの人が存在することから、定款の見直しをすべきであるという考え方を示すことには反対である。
  • 昭和四十年代に、代理人の権限を制限する定款規定が法的に有効だとする最高裁判決の後、昭和五十年代に、会社名義の株式について、常に社長が株主総会に出席しなければ権利行使ができないこととなるのは不都合なので、従業員の入場を認めた判例である。実質株主である機関投資家の株主総会への出席についても、既存の判例法の中で対処できる道はいくらもあるのに、定款規定の見直しまで議論するのは行き過ぎであると思う。
  • アセットマネージャーは1株でも株主になれば無制限で代理人になれ、これを制約することはできない。このため、定款による代理人権限の制限には、実質的には意味がない。ただし、通常のアセットマネージャーの仕事のやり方としてはイレギュラーになるため、そのようなイレギュラーなことを強要することになることが問題であり、その見え方の問題が大きい。
  • 例えば、弁護士や代理人が株主総会に出席する場合、弁護士や代理人も1株買っている。なので実質株主の方も一株買っておけばよいのだが、一株買わなくても、実質株主である機関投資家の株主総会への出席についても、既存の判例法の中で対処できる道はいくらもある。その中での対処で十分対応できる話である。
  • 最近の総会は、かなり正常化しており、定款で代理人権限の制約に関する規定を外しても、急に流れが変わることは無いのではないか。一方で、急に流れが変わるとしたら、代理人業(総会屋)のようなことを行おうとする人はいるかもしれないが、最終的に株主が代理人業者に代理権を渡しており、その結果が自身の利益を害するとしても、それもまた株主の意思である。
  • 一方で、海外の機関投資家の話等では、定款の規定等があるとハードルになるという事実があることから、なるべく規定などを付けない方向にするほうがいいのではないか。

株主総会の権限

  • 株主が何を決めるべきかというのが、意思決定機関としての株主総会という議論であり、それは何を株主総会の権限事項にするかという議論だと考える。もっとも、近年の会社法の改正の流れで、株主総会で決めるべき事項が減らされ、ある特定の組織形態、ガバナンス形態の会社であれば、役員報酬や利益処分が株主総会の決議事項ではなくなる。
  • その中で問題として残っているものの一つが、定款による株主総会権限への留保であり、ここがまさに提案権との関係で濫用されている可能性がある。特に、経営裁量を縛るような定款変更の提案が出てくることがある。実際には、そのような議案が株主総会で可決される可能性は低いことから、結果として問題は少ないかもしれないが、会社法の考え方としてそれを認めているということに問題があるのではないか。場合によってはかなり経営裁量を縛るような提案が不意に多くの票を集める可能性もあり、議論を整理したほうがいいのではないか。
  • 会議体としての株主総会は、6月下旬のある特定の日に会議を開き、株主を集め株主総会を開くことの意味について整理する必要がある。一般に会議という場では、そこで議案の内容や組織の施策について議論し、ある特定の方向を見いだしていくこととなるが、上場会社の株主総会で、通常の会議のような機能は期待できないし、むしろ、そのように議案や施策の内容が変更される事態があっては困るはずである。つまり、株主総会の当日に大幅に議論の方向性が変わってはとても実務として対応できないはずであり、イエス・オア・ノーの状態になってなければいけない。このため、一般に会議に期待される機能と違うものを株主総会には期待せざるを得ない。それが何かということについては、当分科会で確認していく必要がある。
  • 会社は上場企業である必要も無く、上場企業であるかどうかは会社が選択していること。上場企業であるということは、一般株主が入ってきて、経営陣ではなく、あるいは閉鎖された株主ではなく、一般株主が会社の運命をも変えることができるという選択をしていて、その代わりに流動性の高い資本市場で資本調達ができるといったものを得ていると考えられる。このため、定款変更のような提案権があっても構わず、あるいは会議が行われて総会で大幅に何かが変わるということは、会社が受け止めておくべきことではないか。
  • 一方で、実務上は対応できないことから、株主総会の日に、そのような事態が起きないよう平時からの対話というものを進める必要がある。最終的に株主総会の日に何も起きないような制度にしてしまうと牽制が効かなくなることから、結果として平時からの対話も進まなくなるのではないか。
  • 株主からの意見、株主との対話というときの「株主」として、どのような層を想定するかは考えなければならない。 あり得る議論の一つは、1株でも持っている株主は何らかの資本的な貢献をしているし、会社にとっては重要な投資家であるから、すべて等しく対話の対象にすべきという考え方である。他方で、1株しか持っていない株主が、取るに足らない発言を行ったり、場合によってはクレーマーまがいの発言をしたりという状況も生じうる。上場会社として対話の対象とすべきなのは、ある一定の、会社の施策に対して責任を持って発言できる投資家のはずであり、そのようなものとして機関投資家等が想定される。また責任をもって発言できる投資家を対象とするように制度化されているのが、少数株主権の制度と考えられる。
  • 機関投資家が必ず株主総会に出てこないわけではなく、あらかじめ投票していても当日、議決権行使内容を変えることもでき、実際に機関投資家も株主総会の場に来ることはある。株式の保有期間、保有株式数に関わらず、基本的には株主は公平に扱うべきであるが、最終的には、議決権の数により、保有株式数の理論が働く。当然、株主提案権を誰でもできるようにすると、実務対応が困難になるため、ある程度のハードルを設けることは理解できるが、基本的な考え方としては、対象となる株主については、予断を持って制限をつけないほうが良い。
  • 一部の機関投資家には、株主総会に出席しない慣行があるが、株主総会は、個人株主だけの対話、議論と決議の場とすべきではない。機関投資家が出席しないと、株主総会が形骸化することとなる。個人株主であっても、機関投資家であっても、会社側の意見、発言を聞き、必要な場合には発言することが重要なため、可能であれば今回の会議を通じて、機関投資家の出来るだけの出席を促進することも検討すべきではないか。
  • 日本の上場会社では個人株主が多く、全ての株主が株主総会に出席するとなると、収容できる施設がない。そもそも会議の部分に個人が出てくるということが非常に重要であり、それを制度として促進すべきであるという議論は、日本の場合、ある種の欺瞞がある。
  • 議決権を誰がどのように行使するか、そのプロセスの中で誰がどのように対話するかという議論と、現実の特定の一日(定時株主総会の日)に誰が参加するようにするかという議論は区別して議論しなければ、実務が対応できなくなるのではないか。
  • 個人株主であっても、それぞれの株主が株主総会に出席しようと考えた場合には実際に出席できるような環境を作る、そのような実務運用を促すということが重要なのではないか。現状では、株主総会開催日が集中している結果、実際には株主総会への出席の機会はかなり制限されている。このような状況を解消するための提言を行うべきと考えられる。
  • 経営の裁量権を奪う業務執行事項の提案を、定款変更の形態で自由に行えることには問題がある。まずマネジメント・ボードがあり、その上にスーパーバイザリー・ボードがあり、その上に株主総会がある。上場会社の株主総会が将来的にも、マネジメント・ボードの経営裁量を縛ることになることが問題。
  • 提案権の濫用と考えられる定款変更議案は、可決されないから問題がないということではなく、もしも、可決されると、その定款にマネジメント・ボードの業務執行が将来的に縛られることとなる。それこそ会社の持続的成長を損なう。
  • 株主提案権は重要な権利であり、一般的に株主提案権を阻害しない、行使できるようにする必要があるという点は同意。その一方で、例えば提案権を行使の必要議決権数などのルールを、他国の例も参考にして、見直す必要があるかどうかをレビューすることが考えられる。
  • 提案権も司法上の権利なので、権利濫用という概念が一般的にはある。特に共益権としての性格を考えると、決める場として株主総会を使うことに関して、一定のマナーは共有していく必要がある。どのような提案が濫用かについては、最終的には個別判断になるが、一定の考え方を共有しないと、まっとうな提案さえも阻害される懸念がある。
  • 個人も機関投資家も同じで、どちらが有用な意見を出して、どちらが有用ではないということではない。個人の投資家や株主は、ルールのもとに平等に扱ってほしいだけではないか。個人株主も、議決権の数に応じた権利があることが資本市場の論理であることは認識している。
  • 株主総会は、会社の最高機関であり、オーナーは株主という考えは守るべきであり、1年に1回集まる株主総会で、会社が想定していない議題等が提案されるのは予見しておくべき範囲内ではないか。
  • 悪い事例を基に、その予防策を考えるよりも、対話を促進するための施策を考えるべき。

株主数が多い場合の株主総会開催プロセス

  • 一定規模以上(例えば10万人とか50万人株主がいる会社)の株主総会を考えると、当日よりも、事前にいかに議決権行使に充実した情報を提供するかが相対的に重要となる。
  • 株主数が多い場合、一人一人の株主に全ての権利を認めてしまうと、全体の利益に適合しないことがある。このため、会社法では、一定の株主権については持株要件を定めているが、株式会社が大きくなり株主数が増えてきていることから、今の設定が合理的か、諸外国の例も見ながら一度議論してもいいのではないか。
  • アメリカでは、例えばバークシャー・ハサウェイの人気があり、多くの株主が株主総会に出席する。同社では、発行価格が異なる大小2種類の株式があり、発行価格の大きい株式を保有していなければ株主総会には出席できない。発行価格の小さい株式は、株主総会に出席できない以外は、全ての権利が付されているという例はある。

招集通知の早期Web開示

  • 招集通知の早期発送というのは、多分、投資家と企業側との対話の時間をどれだけ長く設けられるか、議案の検討をする時間をどれだけ長く設けられるかといったところから出発していた。Web開示が進まないのは、法的な問題よりも、会議体である株主総会の構成員である株主より前に、一般に議案を公開していいのかという話になった時に、正論が出せないところに問題があると考えられる。しかし、2014年12月に公表された、コーポレートガバナンス・コードの補充原則1-2②において、Web開示を早期にすべきとするコードとして入ってきたことから、Web開示をする企業が増えることが期待される。この結果、招集通知発送までに、校了後、2週間程度の時間があるが、招集通知発送から1週間~10日程度早くは投資家に対して情報提供できるようになると考えられる。
  • 早期開示をWebで行うことにより、株主間の公平性に差が出るという意識があったと考えられるが、その頃の考え方は、現実的には電子的な開示が一般的ではなかったことがその原因と考えられる。既に適時開示や東証の各種の手続きについてもWebで行うことが基本になってきている現状においては、Web開示を制限することはマイナスになる。
  • 電子化の環境整備はより加速して進んでいくと考えられことから、招集通知の電子化については、もう少し踏み込んだ形で方向性を出してもいいのではないか。アメリカのモデルをなぜ日本でできないのか、すなわち、電子化が正となり、紙はあくまでも必要な人が要求すれば取り寄せられることとすれば、発行体にとってもコストダウンにもなり、そのコストダウンがひいては株主の利益になってくる部分もある。コスト、メリットとのバランスは認識しなければならないが、中長期的に考えた際に、この点はもう少し踏み込んで議論あるいは結論を方向づけてもいいのではないか。
  • 基準日の設定について、議論が二つに分かれている。私見では、決算と配当と議決権行使の基準日をそろえて、その上で株主総会の開催時期をもう少しフレキシブルにするのが実務上良いと考えるが、他の委員の意見としては、決してそれがあるべき姿ではないかもしれない。
  • 例えば、株主の権利を確保するために、少なくとも期末配当については、当社では株主総会に上程している。当然、定款を変更して取締役会で決めるようすることはできるが、それは逆に株主の権利を毀損していることになるのではないかと考えている。配当議案が株主総会の上程議案になっていれば、株主還元について株主総会で議案に関連した形で議論ができる。
  • 報告書に両論を併記することで、選択肢が増えるのは良いが、どういう形で社会にメッセージを出していくかというところが、ファジーになってしまう懸念がある。
  • 最近の事例で、キャッシュアウトの際に、公開買い付けで一定の株式を取得したが、キャッシュアウトに必要な賛成が集まらないことがあった。当初、キャッシュアウトは臨時株主総会で決議する予定だったが、それを中止して定時株主総会で決議することとした。このために、株式を売却しもはや株主ではない人が議決権を行使できることになった。会社は、そのキャッシュアウト議案と大幅な増配議案を組み合わせて、大幅な増配議案が通っていることを条件にしてキャッシュアウトの議案を提出するということにしたところ、基準日株主は皆、増配に賛成し、キャッシュアウト議案も可決された。こののような場合、基準日株主に配当を得る権利があるのだから、こういうことも当然の権利という評価になるのか。それとも、本来、会社のお金は現在の株主のものであるため、株主でない者の意思決定により、多額のキャッシュを取られた上に、しかもキャッシュアウトされた現在の株主の権利が侵害されていると見るべきなのではないか。本件については裁判になり、今述べた問題とは別の問題を理由にして決議取消しという結論になったが、基準日株主に多額の配当を与えてキャッシュ・アウトに賛成させたという点については、裁判所は、適法であると認めている。このように、何を原則と見るかで物事は決ってしまうようなところがある。原則自体に合理性があり、たまに不都合があるということであれば、不都合が生じたときに例外的扱いをすれば足りるかもしれない。しかし、原則自体に合理性がなく、その不合理性をうまく利用することで非常に不都合なことができてしまう、という場合には、原則の方を改めた方がいいだろう。決算日を基準日にすることで不都合があるというのは、今の事例が示す通りだが、逆に、そのほうが都合が良いときがあるのか、そちらが原則的として良いと考える根拠が本当にあるのかということが問われているのではないか。
  • 報告書を一つにまとめることができれば、そのほうが望ましいが、委員の考えによってはまとまらないことがあり得る。基準日の問題に限ると、私見では、もしも議決権の基準日と配当の基準日と決算期を合わせるという方向に報告書がまとまるとすれば、反対せざるを得ないことになる。このため、必要に応じて両論を併記するのは、ある程度やむを得ないのではないか。
  • 機関投資家のような実質株主が株主総会に出席する方向性は賛成であるが、その手段に関して制約を課すべきではない。個人株主等も存在するという全体像の中で、いろいろな選択肢がある。目的・方向性は共有できる中で、その目的を達成する手段を限定すること、たとえば定款規定がおかしいとか選択肢を狭く限定する考え方を示すことには反対である。
  • 株主総会の開催日程に関して6月総会が当たり前になっていたところ、いろいろな選択肢を示して、各社で検討して欲しいというのが最大のメッセージであり大きな意味がある。

以上

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最終更新日:2015年4月3日
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