経済産業省
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株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会(第2回)‐議事要旨

日時:平成27年12月24日(木曜日)10時00分~12時00分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席委員

尾崎座長、石田委員(代理 柳澤様)、上田委員、江良委員、大崎委員、小木曽委員、藏本委員、櫻井委員、澤口委員、高山委員、武井委員、田中委員、永池委員、中川委員、野村委員、早川委員、古本委員、堀田委員、堀之内委員、松井委員、安井委員、山田委員

議題

  1. 「グローバルな機関投資家等の株主総会への出席に関するガイドライン」の策定について(報告)
  2. 株主総会招集通知等の電子化について
    (1) 早期(発送前)Web開示情報が機関投資家に届くプロセス
    (2) 米国等の「Notice & Access制度」の概要及び利用実態
    (3) 日本の個人株主の状況
  3. 議決権電子行使プラットフォームの利用効果と課題について
  4. 自由討議

議事概要

意見交換における主な発言は以下の通り。

1. 株主総会招集通知等の電子化について

  • 株主総会招集通知等の電子化、特に電子化をデフォルトにすることは慎重に取り扱われるべきである。例えば、アメリカおいては、法令上の証券関係書類の送付義務について、インターネットの採用の是非から議論がスタートし、1995年のSECの解釈通達により、大原則として受け取る側の同意を条件に電子的な送付が可能となったが、その後、株主総会関係書類の送付については受け取る側の同意を前提にしない仕組みが作られた。その際、証券関係書類の全ての書類について同意不要としなかったところが重要であり、目論見書や取引報告書の電子的な送付については、現在でも投資家の同意が必要となっている。実際、目論見書を投資家の同意なしにメールで送ることに対しては多くの人が強い抵抗を感じると考える。仮に、こういうものも全部電子化が許容されれば、総会関連の書類も同様の扱いで良いと思うが、そのような議論なしに、総会関係書類について同意なしに電子的な送付を可能とすることは、個人株主が議決権行使をしなくても議案の賛否の大勢には影響がないという気持ちがどこかにあるのではないかという気がしてならない。よって、慎重に議論を進めないことには、企業と投資家の対話を促進するどころか、コスト削減効果はそれほど大きくない一方で、企業が個人投資家に対してコミュニケーションする手段を消してしまう事になるのではないか。
  • 電子化がオプショナルであれば、マイナスではないという印象。逆に、プラスになるかどうかは制度設計によるところであり、また、株主構成などの個社の事情によって、メリットを得られる会社、得られない会社が出てくるのではないか。メリット最大化には、自由度の高いフレキシブルな制度が望ましい。
  • 実務的には2点懸念がある。1点目は、スケジュールの話。電子化されても、総会資料を作成するプロセスにおいて、最後まで紙を全く作成しないということはあり得ず、従来どおり紙を全部用意したりWEB用のPDF資料を作成することを想定すると、総会資料作成の工期は基本的には変わらないのではないか。また、ここに、Notice後に全ての書面を郵送するよう株主から請求された際の実務が加わるとなると、会社法上の招集通知送付期限である総会前2週間をどう捉えるのか。仮にNoticeを送るのが2週間前で良いとすると、書面請求株主への全ての書類の到達が総会の直前になることもあり得るが、それで良いのか。
  • 2点目は、個人株主の議決権行使率が低下するリスクである。弊社では、電子化により総会関連費用の数%、1,000万円単位でコスト削減出来る可能性があるが、単元株主の99%を占める個人株主の議決権行使率が低下するリスクもあり不安。少なくとも初年度は全ての書類を郵送することになるだろう。また、米国のように招集通知だけ郵送するというのでは、かえって郵送コストは増える可能性もある。Noticeとともに、例えば、招集通知、参考書類、議決権行使書などを同時に郵送できるなどとしないと、招集通知分の郵送コストがこれまでのコストに追加され、かえってコスト増になる可能性もある。
  • よって、詳細設計をどうするかが大事であり、発行会社トータルとしてはかなりのコストダウンはあるかもしれないが、利用するかどうかは、さまざまな事情を考慮する必要がある。
  • 米国の個人株主の議決権行使に関する統計では、対象がレジスタリーオーナーだけとなっていないかに留意する必要がある。すなわち、米国では、個人株主の多くがベネフィシャリーオーナーである中、レジスタリーオーナーである個人株主は、自分の名前が発行会社に伝わるというステータスで議決権行使をしている。この点において、ほとんどがレジスタリーオーナーである日本の個人株主とでは母集団の意識が違う可能性がある。
  • 招集通知等が電子化されるというオプションが増えることについては良いと思う。他方、個人株主からみると、これまで自動的に届いていた書類が手元に届かなくなるため、特に電子提供を行う初年度については、事前周知等の工夫が必要になるだろう。実務に照らしたインフラを含めた制度設計や法の手当なども検討すべきではないか。
  • 原則電子提供とする方向性に賛成である。印刷や郵送といった事務的なスケジュールを短縮できるため、株主との対話促進上もプラスとなる。
  • 株主総会前、十分な検討期間を確保して株主に提供する情報として考える場合、その情報の中味の議論も必要。例えば、社長は株主総会において財務状況を前期との比較で説明しているが、株主には2期比較できない計算書類を送付している。株主総会における適切な判断に資する情報を事前に送付するという観点からは、株主に提供する情報のタイミングだけでなく、提供する情報の中味を見直すことが重要であり、中身を充実させるという観点からも原則電子提供とすることには大きなメリットがある。
  • 新経済連盟の提言でIT利活用を妨げる既存制度や法令を一括して見直すための新法の策定を提案している。その中で、世界的なペーパーレスの流れを踏まえ、株主の議案検討時間の十分な確保等を理由として、事業報告のWeb開示のデフォルト化を提案している。デメリットの部分をどのように最小化させ、メリットをどのように最大化させるのかは制度設計次第。電子化が世界的な流れになっていることも踏まえ、諸外国の例も見ながら制度設計を検討すべき。
  • Notice & Access制度の導入について、昨今NISAの普及や日本郵政の上場により、個人株主の裾野が広がっているなかで、紙媒体による全書類の受け取りを希望する株主への紙媒体の提供が遅れるということがあると、投資家の利便性の後退ということにも繋がりかねないので、その点は留意が必要。
  • Notice & Accessの制度がオプションとして増えるのは良い気がするが、現行のWEB開示によるみなし提供や電子通知と併せて選択肢が増えることで、株主サイドにとっても分かりにくくなることを懸念しており、その意味で電子化を原則義務化とすることで制度がすっきりするのではないか。
  • 発行企業サイドとしては、制度の複雑化により、議決権行使率が低下することを懸念する。定足数を充たさないような事態は実際想定しにくいが、そのような事態を生じないような仕組みを考えていただきたい。 
  • 40~50代のインターネットを十分に使いこなせている個人投資家は電子化を非常に歓迎している。そのような個人投資家は、株主総会の時期にポストが壊れそうなくらい郵便物が届くことに困っており、Notice&Access制度に賛成の立場である。また、紙ベースの請求権があるならば、シニアの方にとっても問題ないのではないかという声が100%であった。
  • なお、課題も幾つかある。1点目は、議決権行使に関して、電子行使派と書面行使派とで意見が分かれたことである。後者は、現行のシステムの下では、インターネットでの議決権行使は書面行使と比べて手間がかかるため、議決権行使書を紙で送付して欲しいという意見。その意味でも、利便性という点では、カナダ方式の議決権行使書を同封することにヒントがあるのではないか。
  • 2点目は、昨今開示情報の増加により、必要な開示情報を探すのが難しくなってきている点。ICJのARROW FORCEなどのプッシュ通知を備えた検索プラットフォームが個人投資家にも使えるようになると、利便性が高まるのではないか。
  • 全体的にはWeb上での情報開示は大変歓迎されており、企業と株主とのコミュニケーションツールとしても有用。これが進めば社長の動画メッセージなどを総会参考書類に組み込むなど魅力的な情報発信の可能性も広がるのではないか。
  • Notice & Access制度に賛成。株主が議決権行使について検討する期間をより長く提供できる。理由は分からないが、信託銀行は招集通知を納品してから2週間経たないと、株主に発送しないため、そこを早くしてもらえれば紙でも問題無い。
  • 個人的には、6月に大量に送られて来る招集通知の処理が大変なので、電子的に提供していただきたい。
  • 電子化は、情報提供の手段の議論であって、情報提供をしないという議論ではない。
  • 先ほど、目論見書と総会書類の提供に関する指摘があったが、この2つの書類の性格は違うと思う。すなわち、目論見書の提供が原則ハードコピーでなされている背景には、個人の投資判断の結果が投資者本人に帰属するという点にあると思う。これに対し、株主総会に関しては、多数決により決定がなされるため、個人の議決権行使の結果はそのまま個人には帰属せず、情報提供の在り方としてのレベル感は目論見書とは違う気がする。
  • また、個々の投資家の議決権割合等によって会社に対する関与、利害の持ち方は異なる。このため、場合によっては議決権の数によって情報提供の形を変える、大株主にはハードコピーを提供するということも、同様に説明しうるのではないか。いずれにしても、個々人の意思決定の結果を個々人に帰せしめるためにどれだけの情報がどのような方法で提供されるかという視点が必要になるのではないか。
  • 先ほど信託銀行が2週間前まで止めているというお話しがあったが、招集通知自体は2週間経たずに全て発送している。
  • 招集通知の電子化については、色々と意見が出ているが、個人株主の場合は、議決権行使書を使って株主総会に出席することとなるため、議決権行使書の郵送は必要であると考える。
  • 招集通知の電子化については、いろいろな論点が出て来たが、それに対処する方法に何があるのか。カナダのNotice & Access制度は1つのベースになると思う。

2. 議決権電子行使プラットフォームの利用効果と課題について

  • 議決権行使の電子化については、個人株主も含めた全ての投資家が、同じ手続でスムーズに議決権行使を出来ることが重要であり、それが、議案に対する賛否情報等として、会社側にとっても利益になるのではないか。
  • 海外機関投資家による賛否情報は、議案をプラットフォームにアップすると、たちどころに企業に返って来るが、国内機関投資家の賛否情報については、管理信託銀行がとりまとめた上で知らせることになるため、企業が行使結果を知るのは総会の直前になると聞いている。他方、先程のICJの説明では、総会の4~5営業日前には管理信託銀行からICJプラットフォームに議案への賛否がアップロードされているとのことだが、この点について説明頂きたい。
  • ICJ参加企業銘柄については、管理信託銀行が行使結果をプラットフォームに代行入力しており、6月総会の時期は1日、2日のずれはありうるにせよ、一般的には4~5営業日前には賛否情報がアップロードされている。
  • 6月総会で事務が集中する場面では、1日、2日が貴重な時間であり、1日、2日の遅れがクリティカルになることもある。
  • 議決権行使プラットフォームはICJプラットフォームに寄せるべきであるが、その利用が進まない理由の1つについて、アセットオーナーからの同意取得の困難さがあげられている。それについてアセットオーナーの見解は、まず、多くの企業年金がプラットフォームの存在を知らないのではないかということ。例えば、公的なアセットオーナーの利用方針や政府として進めていくという方針があれば、ICJを利用した議決権行使を拒否する企業年金はいないはずであり、多数のアセットオーナーへの同意取得手続が煩雑であるためICJを利用しないという意見はいかがなものか。
  • アセットオーナーの見解はというと、議決権行使事務が軽減するのであれば、ICJプラットフォームを利用すれば良いというのが共通の認識である。議決権行使に関して事故があった場合の責任の所在については、アセットオーナーは余り懸念しておらず、あくまでもアセットマネージャーのリスク管理の問題であるという認識。
  • そもそも、ICJプラットフォームに、全上場会社が入れば何ら問題はないのではないか。プラットフォームがインフラ化して事務コストが増えたとしても、アセットオーナーは入札をやり直せばよく、仕組みを変えればよいのではないか。
  • 議決権行使プラットフォームに関しては、コーポレートガバナンス・コードでコンプライ・オア・エクスプレインという形で、各社に判断を頂いている。11月末までに提出されたコーポレート・ガバナンスに関する報告書によれば、議決権行使プラットフォームを利用しない理由として、外国人株主や機関投資家の保有がほとんどなく議決権行使プラットフォームに参加するメリットを感じられないとしている会社が多い。他方で、コードの導入により、かなりのペースでICJ参加会社が増えているというのも事実。従って、上場会社の参加のメリットをいかにアピールしていくかが今後の利用促進のポイントではないか。
  • 現行のシステムの下では、インターネットでの議決権行使は書面行使と比べて手間がかかるため、議決権行使書を紙で送付して欲しいという個人投資家の声がある。(再掲)
  • 議決権の電子行使については、現行の個人投資家向けの電子行使システムは一社一社ログインしなければならないのが手間である。一回のログインで保有銘柄すべての議決権行使が可能になると、効果が飛躍的に上がるのではないか。
  • 国内機関投資家による議決権電子行使プラットフォーム利用に関する問題点について3点指摘したい。一つ目は、事務の二重化である。つまり、半分はICJで議決権行使が可能、残り半分は管理信託が出しているエクセルフォームでの処理となると、以前から確立されているエクセルフォームでの処理が優先されることとなる。また、エクセルフォームに満足している機関投資家については、ICJの利用についてのアセットオーナーの個別同意に向けたアクションを取っていないのではないか。
  • 次に、プラットフォームを経由した場合のエラーの責任の所在についてであるが、こちらは既に外国株式ではある程度明確になっているため、余り懸念する点ではないと考える。
  • 最後に、一部の機関投資家は、議決権行使に際して、ICJとは別に、ISSやグラスルイスのような助言会社のプラットフォームを利用しているところ、日本では、ICJとISSのプラットフォームが接続されていないため、システムが利用できない状態。すなわち、ICJ参加企業に対する議決権行使であっても、結局従来型のエクセルフォームに頼らざるを得なくなっている。ICJとISS等の第三者のプラットフォームが接続されていない理由として、管理信託銀行の同意が得られていないという点がある。管理信託銀行が接続に承諾してくれれば、ICJのシステムとISSのシステムは海外では既につながっており、かつ、長年の利用実績もあるため、特に大きなコスト負担なく比較的短期間で接続できる。そうすれば、機関投資家は実際にプラットフォームを使って株主総会日の前日まで議決権行使ができるようになる。
  • ICJとISSの接続について、その枠組みの詳しいことは承知していないが、現時点で特段、管理信託銀行が何かそこに異論を挟んではいない。
  • 議決権行使に関して、海外の実質株主は企業に対し、自ら名義を明らかにするどうかを選択できる枠組みがあるが、現行の日本ではそうなってはおらず、会社サイドは誰が実質株主なのか分からない状況。ICJとブロードリッジ社の契約の関係でできていないのかもしれないが、対話の実質化という観点からは、実質株主の見える化はかなり大きな効果があり、特に、企業がICJのプラットフォームに入るインセンティブになるのではないか。民民の契約ベースなのでどうしようもない話なのか、ブロードリッジがアメリカで採用しているのであれば、なぜ日本でできないのか。NOBOとOBOの二種類の投資家がいる中で、企業側への開示に自ら同意しているNOBOだけでも見える化はできるのではないか。
  • 実質株主が分かればすぐにでもICJに参加するという企業も存在するが、現時点では、ブロードリッジ社との契約で実質株主の名前の提供は出来ないことになっている。また、実態としても、アメリカでは、自分の名前を公表したくない投資家(Objecting Beneficial Owner)の方が多いと聞いており、機関投資家の名前はほとんど公表されていないのが実態である。なお、機関投資家による議決権行使結果については対外公表されているので、そこで推測するしかないというのが現状ではないか。

3. 「グローバル機関投資家等の株主総会への出席に関するガイドライン」について

  • このガイドラインは、11月13日に全株懇理事会決定されたものであり、11月17日以降、会員各社への周知に努めている。また、東証の協力により、全上場会社にも情報提供している。英訳版も、ICJ・ブロードリッジ経由で、約5000社の海外機関投資家に発信予定。
  • ガイドラインに記載されている手続きや参考書式は、あくまで一例。今後、各社の創意工夫により機関投資家との対話が更に進み、実務としての工夫も更に進展することを期待。
  • ガイドラインでは、現行法の枠内で明確でなかった部分を含め、機関投資家が株主総会に出席するための4つの選択肢を提示した。この四つの選択肢のどれかでは総会に出席出来ると思う。なお、これらの選択肢を超えた議論をするのであれば、あとは制度論・立法論のほうで対応する話なのだと思う。
  • 管理信託としても、機関投資家への橋渡しという立場でガイドラインの策定に参加。永池委員から説明があったとおり、あくまでも一例、参考例として取りまとめられたものと認識している。検討開始当初は関係者の中で考え方の相違もあったが、相互に歩み寄るというかたちで最終的に結実したのがこのガイドライン。我々としてもこれを参照しながら、今後対応していきたい。
  • 頻度は少ないものの、グローバル・カストディアンから総会に出席したいという要望がくることがあり、その都度、発行会社様に段取りを個別照会しながら対応してきた。今回、ガイドラインという形で対応を整理してもらい、かつ英文も機関投資家に提供してもらえるということなので、これが普及する事を期待し有効活用していきたいと思っている。
  • ガイドラインができたことは、グローバルな機関投資家にとっても大変喜ばしいことだと思う。彼らが実際に株主総会に参加する頻度は少ないが、株主にとって株主総会は重要な位置づけである。参加したいと思った時に参加できる、といったガイダンスができたことは、海外機関投資家にとっても大変ポジティブなニュースだと思う。
  • 実際にグローバル機関投資家の団体であるACGAの代表も、このガイドラインの存在を知って、ガイドラインを歓迎する、自分たちも英語で読みたいと言っていた。この英訳が配信されることで、グローバルな投資家の間でも、日本企業がきちんとガバナンス改革に取り組んでいるという状況がより明確になるだろう。
  • 総会参加の4つのルートのうち、定款変更をして総会に出席できる株主の範囲を明確にするという対応が、現実的に活用の可能性が高く、かつ、法的安定性も高いと思う。これを東証の企業行動規範の望ましい事項に位置づけてはどうかと思う。
  • 本件については、既にコーポレートガバナンス・コードにおいて、コンプライ・オア・エクスプレインを求めている。まずはコードを踏まえて、投資家から上場会社に働きかけていただきたい。

以上

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最終更新日:2016年2月2日
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