経済産業省
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株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会(第4回)‐議事要旨

日時:平成28年3月4日(金曜日)16時00分~18時00分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席委員

尾崎座長、石田委員、上田委員、大崎委員、小木曽委員、藏本委員、櫻井委員、澤口委員、高山委員、武井委員、田中委員、永池委員、中川委員、早川委員、古本委員、堀田委員、堀之内委員、松井委員、安井委員、山田委員

議題

  1. 招集通知関係書類の電子提供について
  2. 株主総会関連の適切な基準日設定について
  3. とりまとめの方向性について
  4. 自由討議

議事概要

1. 招集通知関係書類の電子提供について

  • 招集通知の電子提供については、Notice & Access制度を定款で創設すること自体は異論がないとしても、個々の株主の書面請求権を排除できるかどうかについては論点となる。この点は、会社法上は、株主の権利は定款で制限できるものとそうでないものがある。また、そもそも株主の権利ではなく、会社がサービスとしてやっているものもある。たとえば、株主1000人以上の会社で株主が書面投票をすることは権利であり、これは定款でも制限できない。他方、少数株主権の行使要件は、定款で引き下げることができるものが多いが、もし法定の要件よりも引き下げていた場合、これを、法定の要件までもう一度引き上げることは、定款変更でもできる。会社が株主に対して四半期レポートを提供しているのは、そもそも株主の権利ではなく、これは会社がサービスとしているものである。
  • 基本的に、どのような権利を多数決で制約し、あるいは制約できないものとするかは、立法政策上の話。会社のコストも勘案し、個別対応によるコストが大きいとすれば、多数決による制限を認めうる。長い目で見るとデジタルデバイド問題も解消されることからすれば、書面交付請求権を定款で排除できる権利として設計することは、考えられる。
  • 但し、今の時点でそれをやるかどうかは考えるべき問題。報告書には中長期的な観点から株主メリットが大きいと記載することが前提。いきなり権利を制限すべきという話から始めると、企業のコスト削減策に過ぎないと見られるのでそれは避けるべき。
  • その上で、書面交付請求権を定款で排除できる権利とするかは、一気に決めるのでは無く、先ずは漸進的に考えるという選択肢もある。書面交付請求権は定款で排除できない権利とするが、会社のミスで交付請求に応じられなかった場合の決議取消を制限する、ということも考えられる。もともと、決議取消訴訟には裁量棄却制度があるので、決議取消が会社にとって実質的なリスクになっているのかは疑義があるが、不安があるのであれば、立法政策上として、一定割合(議決権の1%)の場合は決議取消リスクにならないことを、瑕疵の救済規程として(会社法)に明文化することもできるのではないか。
  • いずれにしても長期的にどうするのかが大事で、コスト削減が提案の主目的であるといったネガティブ反応を招かないようにしていただきたい。
  • 制度の適用方法で定款変更型が書かれているが、企業が自主的に選択しうるオプションが増えるという意味でこれ自体は異論無い。他方、これに限定するのはどうか。定款変更は企業にとって重い話。会社法上、原則電子化(定款変更不要)とし、総会に必要な情報、Webアドレス、議決権行使書の書面送付を条件に、株主から書面請求があった場合のみ事業報告書など電子的に開示した情報を速やかに送る義務があるという形で電子化を進める案もあってよいのではないか。短所としては、書面請求があった場合に事業報告書等が株主に届くのが遅くなることだが、例えば3週間前に電子的にアップした企業のみ利用できるなどと対象を限定することも一法。これにより、電子的開示の前倒しを後押しするメリットもある。こういう制度の検討の余地もあるのではないか。
  • これまでの議論で、電子化の促進により、株主・投資家にとって有用な情報が現在よりも迅速かつ充実した形で提供できる、ということが確認されている。株主・投資家にとって有用な情報とは何かという点については、この研究会では議論の対象とはなっていないが、現行の会社法を前提とすれば情報の媒体は事業報告・計算書類になると思われ、我々は基準日の変更が行えるのであれば、金商法と会社法の開示書類の一元化、有価証券報告書を株主総会で利用することが可能ではないか、と提言している。最も充実した情報である有価証券報告書が株主総会で利用できる環境が整えば、提供すべき情報が何かが明らかになってくる。投資家に何を提供すべきか、という議論が今後行われるべきと思われる。我々としては、有価証券報告書を会社法の法定開示としても利用できると考えており、現在の会社法でも、会社法の要請事項を充たしていれば、有価証券報告書をそのまま添付書類(計算書類)として使用することが可能と思われる。また、電子化を行えば紙媒体で提供する場合の障害である印刷コストの増大が無くなるというメリットがあるのではないか。
  • 電子化については、これは積極的にやらなければならない。国の再興戦略においてもICT活用をしないと国力自体が落ちると言うことが大きな背景にあると考えており、この背景を踏まえ、制度として力強く後押しするスタンスを全面に出すべきではないか。
  • 現行の紙ベースの送付義務付けでは、コストや紙面量の問題があり、現実問題としては情報の充実に制限がある。例えば、現在コーポレートガバナンス関係の記載を充実しようとしているが、現在の制度では一定の制限がかかるというのが現実なので、これを解決するためには、現行のWebみなし開示で認められている範囲で適用を拡大して対応することを検討している。また、電子化すればweb上でリンクが張れるので、個人投資家・機関投資家双方の利便性が向上する契機となる。
  • 制度設計に関して海外の先行事例を見るのは良いが、それぞれの背景もみないといけない。法律で規定することは最小限にし、各企業に委ねるべき。現在、日本でも、コーポレートガバナンス・コードのようにソフトローが根付いて来ているため、ソフトローで促していくのも一案。定款変更として、企業としてもみそぎがあれば、書面請求への対応の自由度が拡がるというのも、やりやすいのではないか。定款変更は重いという声もあるので、政府として後押しがあればやりやすい。
  • 招集通知に関して、紙がPDFに変わるだけでは十分な効果が出ない。電子化をきっかけとして、将来にむけ、コンテンツが充実し、個人投資家も含めた株主と企業の建設的な対話をまねく好循環を期待する。コーポレートガバナンス報告書や有価証券報告書と招集通知とが一緒に見られることができれば、効果がある。今は法定という縛りや、コスト面での問題で、統合的に扱いづらい。
  • 他方、提言骨子4の対話支援産業の期待については、個人投資家も含めて、ニーズをとらえると、情報を集約することで議案判断がしやすくなる環境を作っていくことが必要となる。XBRL化、各種書類(コーポレートガバナンス報告書、有価証券報告書、統合報告書、ESGレポート等)のタグ付けの調和を図ることによって、情報ベンダー等の対話支援産業も飛躍し、株主のメリットにもなる。
  • 先月、グローバル投資家の団体であるACGAが来日し、経産省をはじめ多くのガバナンス関係者と意見交換をした。経産省との会議では、ACGA代表と欧州・英国の大手機関投資家が参加。その際の彼らのコメントを5点紹介する。
  • 1点目は、議案の検討期間を確保するうえで、早期Web開示は歓迎するが、総会日程が集中していることを考えると、総会の基準日の見直しは避けて通れないというのが、従来からの基本的な考え方。投資家としては十分な情報に基づいて議論・判断したい。企業としても対話期間を確保したいのではないか。日本政府がこの動きを促進することを期待している。国内機関投資家からも意見述べていただくことを期待する。
  • 2点目は、Web開示については、英語版の開示が十分でないのが残念、英語版も同時に開示することが望ましい。
  • 3点目は、招集通知を紙媒体で送るのでは投資家に届くまで遅くなるのではないか。高齢者に対する配慮は書面請求を可能とすることで解決できるのではないか。
  • 4点目は、有価証券報告書を総会前に見たい。会社法上の書類と有価証券報告書の一体開示を行う方が、企業にとっても効率的ではないか。
  • 5点目は、当研究会の提言に注目している。これからも本件では対話を継続したい。
  • 書面請求権のところ、一律強制は個人株主が多くいる状況に鑑みると厳しく、オプションが望ましい。他方、企業側は株主が大事、というのが前提にあるので、請求権を全く無視することはないのではないか。
  • 資料4-1の6ページの部分、実際は選別するという作業が、非常に大変になると考える。コストより大事な総会なので、当面は保守的な対応を取り、書面を準備することになると思う。
  • 一体開示については、資料4-1の3ページのところに関係するが、すべての情報は何かということを決めるべき。数百ページに及ぶ場合もある有価証券報告書の書面請求への対応は大変なことになる。
  • 資料4-1の7ページにある総会の決議取消について、現実には起こりえないという意見もあったが、運営する側にとっては重く受け止めて毎年気を遣っている点である。総会決議事項も米国より多い状況。この点も海外との法律の違いは忘れずにきちんと考慮した上で検討すべきと思う。
  • 株主提案の期限に関する記述は、是非残していただければと思う。
  • 定款変更は特別決議であり重い手続であるため、定款変更が必要かどうかは疑問。定款変更によって電子化を導入するということは書面が大原則となってしまう。電子化によって対話が促進されるかは会社の事情によって異なるため、書面か電子かについて、原則・例外は設けないで会社が個々に選ぶことが望ましい。情報提供の手段について、何が原則かは自明ではないため、原則・例外を作り出す定款変更は、私としては疑問を感じる。
  • 書面請求権の件について、デジタルデバイドは何のために議論するのか。情報を提供するという意味は、電子でも紙でもよく、行使の機会が与えられたかどうか、ということではないか。その場合、行使しなくても、意思決定の結果は株主に帰属するものであり、電子化・書面は一種のプロセスではないか。すなわち、株主が情報をみなかった、行使しなかった場合でも、株主に機会が与えられていたのだから、行使できなくてもその結果は甘受してくださいということ。デジタルデバイドはその観点から出てくる話であり、株主によっては紙を見ていなければ、その結論を帰せしめることができなかったという前提だと考えるが、果たして、今の議論で書面に対して当然にそこまでの信頼があるのか。要するに、電子化の方がむしろ株主にとって好ましい局面において、書面で送付されなければそのプロセスができなかったという前提が成り立つのか。これは会社によっても異なるのではないか。
  • 固い制度設計にすると結果として、会社の選択肢を奪い、過剰な株主保護になるのではないか。定款変更の手続きも要らないし、書面請求権も制度は不要ではないか。書面請求権は、制度的にどれだけ折り合いをつけるか、ということ。
  • 平成25年にIT戦略本部にITコミュニケーション活用促進戦略会議が設けられ、ITコミュニケーションの有用性について議論している。「いつでも、どこでも、大容量、常時接続、双方向性、グラフ化、アニメーション、動画、交信や表現方法の改善が可能である」といったことが議論されている。それらも横目にみながら議論してほしい。
  • 総会プロセスでのIT利用は個人株主、企業の双方に利益があることであり、使い勝手が良い制度となることがポイントであり、電子化に賛成。
  • デンマークは紙の郵送をやめる方向に動いている。我が国のマイナンバー制度では、電子私書箱の話も出てきてる。それも横目に睨みながら議論すべき。
  • 書面請求権の位置づけは気になる。たしかに今、議論の大前提は電子化がよいこととなっているが、その反面、実は機関投資家との対話と、個人投資家と企業のつながり方は大分違う話もあるのではないか、と思っている。個人投資家にとって、招集通知を見て、自分が株主であることが重んじられていることを実感し、ハガキ投票で済む利便性があることは忘れてはいけない。30銘柄保有している株主であれば一括サイトがあれば便利であるが、1銘柄しか保有していない場合はパソコンの立ち上げ自体が面倒。
  • 他方で、会社から電子化という選択肢を法が奪うのはよくない。定款変更という重い手続を設ければ、電子化できる書面の範囲も限定する必要はないと考える。他方、書面請求が実際に行われた場合に、企業が拒絶できる制度は行き過ぎである。実務的な問題を解消するためには、総会の何日前までといった請求期限を設ければよいのではないか。会社はPDFを打ち出して、ホッチキスでとめて送付すればよいのではないか。実際、書面請求は年間3~4件ぐらいではないか。
  • 国としてIT政策推奨ということであれば、書面請求権の排除も将来としてはあり得る。他方、現時点では行き過ぎではないか。例えばデジタルデバイドでは、ネット利用していない人にとっては、権利に関わるものではないか。書面請求権は任意で対応すればよいという話があるが、優良な上場企業はともかく、中小の上場会社においては書面請求対応が出来ない、又は間に合わないということもあるのではないか。なお、イギリスは、書面請求権を残しており、株主名簿に基づき、電子と紙で分ければよいので難しくないのではないか。この点何が日本と違うのか。いずれにせよ、会社が出来る範囲で対話促進のために、個人の不利益にならないよう、設計すべき。
  • 電子提供の点は、証券市場の大多数を占めるTOPIX500等の上場会社は、特に株主を大事にしており、特に長期保有の株主を大事するので、書面以外の方法を取らないのではないか。余り過度にデジタルデバイドを配慮しすぎると企業は使わなくなる。企業の選択に委ねても不合理にはならないのではないか。
  • 現行制度でも書面請求があるが、その対象は、6つの書類(招集通知、議決権行使書、参考書類、事業報告、計算書類及び監査報告)のうち、議決権行使書と参考書類だけとなっており、事業報告と計算書類はH17改正で書面請求の対象から外している(法務省にも確認したい)。論点は参考書類の一部の電子化をどうするか、そこがイシューではないか。
  • 現行制度で、個別の承諾があった場合における書面請求の対象は議決権行使書面と株主総会参考書類である。新たな制度として、個別の承諾がない場合にどうするかは別の話があると思うため、慎重に検討いただきたい。
  • 電子化制度には(1)書面請求&個別承諾と(2)みなしWEB開示の二つがあるが、(1)のほうは利用社数が2%しかない。この利用率の低さは制度設計にあたって真摯に受け止めるべきである。個別承諾が今回もし改正されてなくなっても、個別の書面請求が制度として付与される限り、総会での現場処理が今よりも加重される話となり、企業側として電子化対応を行う動機は生じない。請求期限をつける案も、個別の書面請求制度があってそれに対応しないといけないことに変わりはないので、利用率が2%程度にとどまっている現状と変わらない話となるだろう。そういう改正では行う意味がないのではないか。書面請求権という制度を作ってしまうと、書面が欲しい人に送付されなかった場合など、要は今は総会現場で行う必要がない株主の分別管理が必要となる手間が生じる。
  • 他方で、電子化の制度の中でも、(2)のみなしWeb開示の利用率のほうは、5割である。これは定款自治の世界で行われている。今回制度改正を何らか行うとしても、書面請求という制度を定款の世界に入れないことが大切だと思う。
  • 制度設計における最終的な論点は、参考書類の電子化の対象をどうするのかではないか。企業側としても参考書類は書面で送付したいということであれば、参考書類は書面で送付することとし、電子化の範囲として、事業報告・計算書類・監査報告だけとする制度設計も考えられる。
  • 書面請求を権利として認められるのは抵抗感がある。決議取消の対象から外すとか、そういう方向の提言ということをお願いしたい。
  • 情報の範囲として対象は、総会の基本的な情報、ウエブサイトのアドレスは当然。議決権行使書面は残していただきたい。それがないと、議決権行使率の低下や総会の受付での混乱を招く。

2. 株主総会関連の適切な基準日設定について

証券保管振替機構からのプレゼンテーション(総株主通知について)

  • 証券保管振替機構より、総株主通知の仕組み、総株主通知が行われる事由、総株主通知に係る手続きの流れ等についてプレゼンテーションを実施。現行制度においては、議決権行使基準日を決算日と別にした場合、決算日現在の株主を確定するためには、別途、企業による総株主通知の請求が必要であることが確認された。

櫻井委員からのプレゼンテーション(配当支払等のスケジュールとの関係)

  • 第3回の本研究会において永池委員から配布された「適切な基準日の設定に関する全株懇の取り組みについて」に記載されている留意点(配当基準日=議決権基準日とする場合、(1)基準日から配当金支払開始日(通常は総会日の翌営業日)までの期間が短縮されることとなるが実際に対応可能か、(2)株主名簿管理人の事務のほか持株会の住民税申告、常任代理人の租税条約届出書提出等が配当計算のタイミングに間に合うか)に関し、(1)現行の取決め等をベースに考えれば、基準日から配当金の支払い開始までの期間の短縮は可能であること、(2)持ち株会の住民税申告、常任代理人の租税条約届出書提出等が配当計算のタイミングに支障を及ぼさない旨について説明があった。

委員からの発言概要

  • 基準日設定について、その細部を検討することは、大変意義のあること。個人的にも以前から適切な基準日の設定を提言している。今後は、実務が動いていくことを期待している。こうした検討を進めて欲しい。
  • 基準日については、企業が決算日とは別に設定する場合の参考情報の提供という趣旨に合わせて、もう少しトーンを落としていただければと思う。別に設定することが望ましいという表現は誤解を生じかねない。グローバルな水準たる1ヶ月の議案検討期間とあるが、「グローバルな水準」としての1ヶ月とは何なのかという議論にもなる。本研究会の第一回会合でも、3週間前に早期Web開示している企業は、それで十分議案検討期間を確保しており、それ以上の努力を求めるものではないという意見もあった。基準日変更には、株主の確定のために当社であれば数千万円単位のコストが余計に掛かる。それが価値あるコストかは各企業が考えるべきこと。資料では、「課題・疑問点」に対して「考え方」という記載があるが、何れも「海外では」「機関投資家は」や「長期株主には」と一面的な評価となっており、日本の株主、機関投資家以外の株主の懸念が反映されていない。結論であるかのように記載するのではなく、表現を工夫してほしい。
  • 基準日の変更、株主総会の後ろ倒しについて重大な支障がないことが確認されたと思う。従って、基準日を変更することによって、株主総会開催日の集中回避や、議案検討期間の確保、財務諸表の作成・監査期間の確保につながるため、是非、これについてはこのような形でとりまとめていただきたい。
  • 基準日の在り方について、議案の検討期間を1ヶ月以上確保するためというのであれば、Web活用やシステム活用で実現する余地はあると思うため、それらの進展を見ながら検討していくという考えもある。また、株主確定には数千万円程度を要するが、それが意味のあるコストと言い切るのは難しいので、決算日を基準日とするのをやめて、どこか1つに移すというのが可能になるような制度的な背景もないと基準日の変更は、難しいという気はしている。ただ、企業側のオプションを広げる形で新たな基準日の設定というか、基準日変更を後押しすることには、各企業の独自の判断で広がっていくのであれば、それは非常に良いことだと思っている。
  • 基準日を、一ヶ月の検討期間と捉えるのではなく、対話の期間と捉えるべきではないか。企業が総会で出す議案について、例えば個人投資家の方が「よくわからないけれども、どういうことなのか」という質問に対して、きちんとアンサーをする検討期間、対話期間ということで考えられたらどうか。
  • 基準日設定のやり方に関し、決算日と基準日がずれても、配当落ちと言われる、配当部分の価格が株価に反映されるタイミングが変わるくらいかと思う。また、個人の投資家で、配当をもらうのを楽しみに株を持っている個人投資家は、バイ・アンド・ホールドで長期で保有されているので、年のうちのキャッシュフロータイミングが変わるかもしれないというぐらいの話ではないか。
  • 総会の後ろ倒しに関し、信託銀行のプレゼン資料の中で少し不安になった点は、すべての議案が、修正なく可決されるのが前提のタイムスケジュールのようにみえたので、そうでない場合の対応については、今後の課題かもしれない。剰余金処分権限の取締役への授権に関しては、私の認識では、当時の委員会設置会社のみに与えられた特権が徐々に拡大し、配当政策のコミットメントや説明をきちんとしてくれることが、剰余金処分権限を取締役に授権する条件ではないのかという認識がある。従って、総会を後倒ししたいために、先に取締役決議で配当を払いましょうということに必ずしも100%歓迎できるわけではない。
  • 先月、グローバル投資家の団体であるACGAが来日し、経産省をはじめ多くのガバナンス関係者と意見交換をした。経産省との会議では、ACGA代表と欧州・英国の大手機関投資家が参加。その際の彼らのコメントを5点紹介する。
  • 1点目は、議案の検討期間を確保するうえで、早期Web開示は歓迎するが、総会日程が集中していることを考えると、総会の基準日の見直しは避けて通れないというのが、従来からの基本的な考え方。投資家としては十分な情報に基づいて議論・判断したい。企業としても対話期間を確保したいのではないか。日本政府がこの動きを促進することを期待している。国内機関投資家からも意見述べていただくことを期待する。
  • 2点目は、Web開示については、英語版の開示が十分でないのが残念、英語版も同時に開示することが望ましい。
  • 3点目は、招集通知を紙媒体で送るのでは投資家に届くまで遅くなるのではないか。高齢者に対する配慮は書面請求を可能とすることで解決できるのではないか。
  • 4点目は、有価証券報告書を総会前に見たい。会社法上の書類と有価証券報告書の一体開示を行う方が、企業にとっても効率的ではないか。
  • 5点目は、当研究会の提言に注目している。これからも本件では対話を継続したい。
  • 当社は現行の3月末基準日から5月末基準日に変更し、7月に総会を開催すべく検討を重ねてきた。株主名簿管理人にも特別に配慮いただき、6月上旬に招集通知を送付し、7月中旬までに株主総会を開催するという提案を社内にしてきたところ。基準日の変更により、招集通知の発送から株主総会日まで約40日程度は確保することができ、基準日から総会日までの期間も従来の3ヶ月弱から2ヶ月にまで縮まることが可能となる。
  • 経営トップの理解は得ているが、社内では未だ検討中の段階である。投資家のニーズは本当にあるのか、という意見も出ているが、たしかにIRミーティングの場では業績や中期計画の話題に集中するため、総会の基準日の話は出ないのが通常であるが、直接投資家に基準日についてヒアリングしたところ、基準日の変更には大賛成である、是非協力したいという意見である。こういう意見が経営者トップに届くことが大事であると考えている。
  • 基準日の在り方に関して、代表権のない社長もいるという話があるが、そのような社長は、代表印も押せないので、そのような状態のまま長い期間社長を続けることはないと思う。これだけが一人歩きをしないようにしていただきたい。
  • 基準日の変更が合理的であるとか、基準日変更が可能な環境整備を進めることについては全く異論ないが、実務上の課題や疑問点がないことがこの研究会で確認されたというのは、少し言い過ぎではないか。代表権の話もあるし、基準日変更の処理が早くできるのかどうかという問題もある。それから総会決議事項の範囲が広すぎるという話もあるので、フォローアップ会議があるのであれば、この課題や疑問点を解消して、基準日を変えようという企業をサポートしていくというのが我々の役割ではないか。
  • 基準日の在り方に関して、若干丁寧に議論しなければいけないと思った点が、集中していることが問題なのか、検討期間が問題なのかを一緒に論じてしまっている点である。検討期間を長くするとなったら今度は7月に総会が集中してしまうし、早期開示等のタイミングも遅くなることになりかねない。個人株主側から配当の支払時期が遅くなるという点について批判が起こる可能性があるが、そういうことに現場で対処するのは会社なのである。機関投資家は個人株主等と違って年間の対話等を通じて情報を収集することもできているはずである。全社が皆一律に7月総会に行くべきだと結論づけることは適切ではない。大事なことは、7月総会を開くことは可能である旨を対外的に丁寧に示すことであり、結果として総会日が分散する形が望ましいと考える。他方で集中自体は現象面であり、集中自体を防ぐことを政策的に防止することは難しいのではないか。
  • 先日のプレゼンでも申し上げたが、議決権行使基準日と招集通知発送日があまり短くなりすぎると名義株主と実質株主の正確な紐つなぎ作業ができなくなる。

3. 議決権行使の電子化促進/とりまとめの方向性について

  • ICJを含め、料金も含めて、システムの使い勝手を改善することが大事。議決権行使の電子化については、プラットフォームが個人も含めて早期に広がっていくというのが一番重要だと思っており、そのためにはシステムの使い勝手や料金の在り方についての検討が同時並行で進まないと、結局実効性はないと考える。
  • 電子プラットフォームについては、ICJの努力で一社一社参企業を増やしている。クリティカルマスを超えれば、国内機関投資家がICJを利用するインセンティブが変わると思う。ただし、料金体系については、全上場企業が加盟することを前提に見直していくべきではないか。
  • アセットオーナーからの同意取得に関して、大手アセット・オーナーに聞いてみたところ、ICJ利用については2つのコードの本来目指すべき方向なので、アセット・マネージャーのICJ利用は反対しない、むしろ歓迎すると言っていた点、紹介しておきたい。
  • 対話支援産業への期待について、今後の経産省のフォローアップ会合を通じて、関係者の協議の場が提供されることとなる。こうした場を通じてもつれた糸が自然にほぐれてくることを期待している。
  • ACGAは実質株主の総会参加ガイドラインに関し、全国株懇連合会ともミーティングを持ったと聞いている。その後ACGAのメンバーの話を聞いたところ、「長時間にわたって様々な角度から議論ができた。今回ガイドラインが策定されたことにより議論の土台ができたことは喜ばしい。今後も色々対話を続けていきたい」と言っていた。企業サイドの取り組みが海外機関投資家に歓迎されているのは日本市場にとっても良いことと思う。
  • この会議の名称が、株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会であるが、電子化にとどまらず、基準日も含めて議論されているので、電子化ではなく「現代化」とすべきだと思う。是非次回以降はこうしてほしい。
  • とりまとめの方向性に記載されている議決権行使電子プラットフォームの利用に対するアセット・オーナーからの同意取得に関しては、視野を広げて、議決権行使へのアセット・オーナーの参画、啓蒙という方向での記載にすべきではないか。その中のプロセスの1つとして、同意問題を書けばよい。
  • そもそもアセット・オーナーの考え方は、議決権行使電子プラットフォームの利用に反対する理由はないというもの。アセット・マネージャーがプラットフォームを利用する方が良いというのであれば、使えば良いというスタンス。しかし、プラットフォームの利用にコストがかかる、事務が二重になるという点は、アセット・マネージャーと管理信託の間のプロセスの問題であって、アセット・オーナーの問題ではない。この点をアセット・オーナーのせいにされるのは心外だと指摘していた。
  • できれば、アセット・マネージャーによるICJの利用が原則となるような取組を促すと同時に、パッシブ運用を行うアセット・マネージャーの利用促進にも言及して欲しい。
  • とりまとめの方向性の資料にあるフォローアップ会議に関しては、実務をリードされる全国株懇連合会が参加すること、継続的に開催することが大事。先ほど指摘があったように、実務をリードしている株懇連合会が投資家と意見交換したり、その投資家からの意見を実務に反映するといったことは、非常に有意義なこと。総会プロセスに関しては実務が重要なので、関係者が集まって、できること、できないこと、やってほしいこと、やりたくないことをある程度忌憚なく議論して落としどころを見つける会議は、是非、継続的に開催してもらえればと思う。また、会議の結果について英語で発信することが大切ではないか。
  • 3月総会370社の早期Web開示の状況は、本日時点で117総会のうち95総会が早期開示を実施。同時期、昨年は15総会で80社増。発送日の2日前以内で30社程度あるが、7日前でも20社程度ある。早期開示が進んでいるとの認識。次回には全容をご紹介できる。
  • 議決権電子行使プラットフォームへの参加は今年の6月総会で700社は越える見込み。引き続き1000社を目指して努力する所存。国内機関投資家も新たに1社参加。
  • プラットフォーム等に関する広報活動については、これまでも東証・信託銀行・支援会社などと協力しながら実施してきている。単独では限界もあるので、引き続き関係者のご支援ご協力を賜りたい。
  • 他のプラットフォームとのシステム連携については大きな課題は今のところない模様。早期実現に向けて関係者と協議を進める。

4.締め括りコメント

  • 基本は対話促進のための情報提供のあり方。継続的な対話もあるので総会だけではないのは最初から言ってきた。
  • 本日は、招集通知の電子提供に関して集中的に議論を行った。企業の判断に任せてよいのではないか、初期設定として紙と電子を平面的に並べればよい、つまり、やりたいときにやれないことはまずい、ITを使えるようにすべきという発言があった。
  • 今日の段階で研究会の意見として書面請求の決着をつけるのは難しい。提言のとりまとめに向けて、本日の骨子案について、事務局にどんどんコメントを提出してほしい。各論ごとの問いに対し全て議論できていないので、個別に伝えてもらえればと思う。

以上

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最終更新日:2016年3月29日
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