経済産業省
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株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会(第6回)‐議事要旨

日時:平成28年4月14日(木曜日)9時00分~11時00分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席委員

尾崎座長、青委員、石田委員、上田委員、大崎委員、小木曽委員、藏本委員、櫻井委員、澤口委員、高山委員、武井委員、田中委員、永池委員、中川委員、野村委員、早川委員、古本委員、堀田委員、堀之内委員、山田委員

議題

  1. とりまとめ案について

議事概要

  • 今回の取り組みは、株主総会を株主の目からみてもっと使い勝手の良くフレンドリーなものにするためのプロセスについて検討を重ねたものと理解している。
  • 株主総会の招集通知がどれだけ早く出るかという件については、例年、当社は5月の株主総会が終わった後に一旦一段落して、6月に向けてダウンタイムがあったが、去年は、5月総会が終了する前に6月総会の招集通知が出ていて、休む間もなくシームレスになっている状況にあった。これまでは6月に本当に大きな波があったのが、波がだんだんと低くなっているという印象を受けている。
  • 今年に入ってからも、先月3月総会が終わったばかりだが、招集通知の開示情報の質とかスピードが一層上がってきているように思う。こういう大きな流れをサポートするものとして、今回のような取り組みがあったと思う。当社としても、こういった取組にぜひとも協力をさせていただきたい。
  • この研究会で総会プロセスの電子化促進に向けて、今の実情と課題が示された上で、方向性として原則電子化ということも含め、柔軟な制度設計を作ろうということでまとめられたと理解しており、今回のとりまとめに賛成。今後も、広い選択肢の中から個々の企業がそれぞれの実態、置かれた環境を踏まえて、最も適した形を選べるような方向での議論を期待している。
  • 報告書の中に基準日を変更して7月総会を可能にしようという議論が入っているが、企業の立場からすると、今の実態で、誰がどのように具体的にどの程度困っているのか。法律論でいうと、立法事実に当たる部分をもう少し掘り下げる必要があると思う。特に、総会関係書類の開示から総会までの期間が短いことが問題なのか、それとも総会日が集中していることが問題なのかというところを明らかにする必要がある。期間の問題であれば、早期Web開示の促進という方向でかなり対応できるのではないか。他方、集中が問題だということであれば、総会期日に実際に参加される人はどういう人なのか、それがどの程度の割合で参加しているのかといったようなことも踏まえて、具体的にどのような問題が生じているのかを議論する必要がある。弊社は、50万人ほど株主の方がおり、3千数百名の株主に株主総会に来ていただいているが、比率でいうと1%にも満たない。ただ増やせばよいという問題でもない。総会の当日の議論は、社長のプレゼン等もあって、個人株主との対話という意味では意味のあるものと言えようが、機関投資家との対話は年間を通じて行われているのであり、株主との対話の場として、株主総会は、あくまでワン・オブ・ゼム。集中の問題に関して、このあたりも含めてどこに何の問題があるのか検証すべきであると思う。
  • 仮に、やはり集中自体が問題であって、総会の集中を緩和しなければいけないといったときに、今、議論されている定款を変更しての7月総会が一番いい方法なのかどうか。その他の方法として、例えば、今でも3ヵ月も開いてしまっているという問題はあるが、法改正により、基準日と総会日を4ヶ月開いても良いとすることは、何か問題があるのかについても議論が必要。
  • 総会期日の設定は企業実務に非常に大きな影響がある。今回のとりまとめは、今後の議論でも個々の企業の判断をベースとすることを前提に、選択肢として7月総会が一定程度ワーカブルであることを示そうということだと理解している。そういう認識でとりまとめに賛成。
  • 今回の研究会報告書は、解決策としての具体案はこれから引き続き検討していただくとしても、論点はテーブルの上に漏れなく網羅されているのではないか。両論併記という点も、この会合に参加されていない方にとって、非常に分かりやすくなっていると理解しており、とりまとめに賛成。
  • 2点、引き続きのお願いは、達成感は相当にあるものの、まだ論点をテーブルに載せただけであるため、まずは目先でできることも含めて、柔軟性を確保しつつ、詰められるところは引き続き議論を進めていただきたい。
  • もう1点は、長期の取り組みになるかもしれないが、インターネットを利用した開示にとどまらず、プラットフォーム等の社会的なインフラを促進していくという大きな流れも目指して頂きたい。
  • この研究会、大きく3つのテーマがあったが、それぞれが実務に影響を与えるテーマで、しかも非常に大きなテーマだったが、短期間でまとめられたことに感謝。
  • 招集通知の電子化の提言は、両論併記であるが、方向性に異論はない。この方向性でA案、B案、どちらに決着するかというのは、今後の法律改正の動きにもよってくると思うが、いずれにしろ法律改正につながるようにこの提言が生かされることを期待している。
  • また、法律改正の方向性がある程度定まってきたタイミングにおいては、株懇としても実務上の問題点の整理や、いろいろな勉強会でテーマとして取り上げて、発行会社の理解が促進するような取組もやっていきたいし、総会プロセスのIT化の火を絶やさぬよう、この場でも、フォローアップ会議等でさらに検討を深めていただきたい。
  • とりわけ、議決権行使の電子化は、単にICJ社に問題を投げるのではなく、発行会社サイドと株主サイド双方も検討すべき問題であるため、経産省には両者の間を持って音頭を取って頂きたい。
  • また、今後は、より広く株式実務の電子化、IT化ということについても取り上げるのも一案。例えば配当金の支払手続についても、郵便局で現金でもらうためには紙が必要になり、銀行振込みでも支払い通知書については紙であるため、そういったより広い範囲の株式実務に広げたIT化というものも1回俎上に載せてみたらどうか。
  • 多様な意見を網羅的に報告書に掲載いただき、個人的な意見まで含めて両論の中の1つというような形で掲載しており、異論はなく賛成。
  • 招集通知の電子化に関しては、今後法改正が必要になってくると思うが、電子による情報開示の充実は法改正を待たずともできることがある。例えば、招集通知への記載が要求されない情報に関して、電子的に情報提供するというのは全く差し支えないのではないか。電子による情報開示の充実が、招集通知や参考書類、それから計算書類の情報になってしまうと即断する必要はなく、それらの株主総会資料とは異なる参考資料として開示するということも、法律上全く問題なく可能であると思う。心配であれば、少なくとも明確なディスクレーマーを出せば良い。
  • このように、法改正を待たずとも出来ることはある。ここを出発点として、開示充実に向けて企業が取り組んでいくことを期待したい。
  • 今回、幾つか会社法の解釈や法務省令の解釈等についてコメントが寄せられているのでそれらに対してコメントする。事業報告と計算書類について、招集通知に際して提供しなければならないと会社法上規定されているため、会社法上も招集通知の提供方法に従って事業報告及び計算書類の提供の方法が定まっていくということを基本的に想定している。従って、招集通知が書面によってされる場合には、事業報告及び計算書類についても書面で提供し、他方、当該通知が、株主の個別の承諾を得て電磁的方法によりされる場合には、その電磁的方法による通知とともに事業報告及び計算書類も電磁的方法によって提供するということが基本的に想定されていると理解。
  • また、事業報告及び計算書類が書面で提供されるか電磁的方法により提供されるかということは、株主の議決権行使等に重大な影響を生じさせる可能性のある事項。加えて、そもそも現行のWeb開示によるみなし提供制度が省令で定められていることについては批判的なご意見等もみられる。また、株主の個別の承諾がない場合に、どの範囲で電磁的方法による提供をすることができ、あるいは電磁的方法により提供したものとみなすことができるかということについてはさまざまな解釈や多様なご意見があり得るところかと考えており、法務省令によって、さらにWeb開示の範囲を広げることについては慎重であるべきと考えている。
  • 最後に、基準日と権利行使期間の関係について、現行法上、これが最長3ヵ月であるということについても、海外の投資家などより批判があり、これをさらに延ばしていくということには、難しい点がある。
  • 半年間の議論をこれほどまでにすばらしい報告書にまとめていただいて感謝。報告書は、かなり細かい点も含め、論点を全て吸い上げていただき、今回の議論全体を網羅的にみ ることができる内容。
  • インベストメントチェーン全体の最適化という点は、株主総会をより効率的に、実効的にという本研究会の目的にも適っている。また、例えばアセットオーナーに対しても別途インタビューされたとか、グローバル投資家についても話を伺うなど、研究会メンバー以外のインベストメントチェーン参加者にも配慮された点も有意義と考える。
  • 関係者間で異なる理解・考えを一つの方向にまとめていく上で、今後、フォローアップしていくことは意義があると考える。実際、これまでの対話促進に向けた一連の議論を通じて、関係者の理解がだんだんまとまってきて、より現実的な行動に移りつつあると感じている。
  • 会社法の改正も視野に入れるというような話を伺ったが、恐らく法律の改正はしばらく時間がかかると思う一方で、投資家も企業も今できることはある。電子的な開示についても、今の法律を改正しなくても出来ることもあり、そういった助走期間もみながら、これが将来必要な法改正に至るときにいきなりドラスチックに変わって実務が混乱するのではなく、関係者が一番いい効果を得られるような形になっていけば良いと思う。
  • 引き続き、企業でもなく、投資家でもなく有識者という立場からご協力できること、例えば年金であるとか海外の実務の人たちであるとか、そういった方への情報発信、情報提供等で協力したい。
  • 報告書はこの内容でまとめていただきたいと思っている。特に招集通知の電子提供に関する提言の根幹になるような点の両論併記は生産的であり、経済産業省所管の法令に関する物事ではないだけに、ここで決め打ちをするよりも、所管省庁において、本当に良いい議論をしてもらうためには、むしろ複数の選択肢があることを示したほうが良い貢献ができるのではないかと思う。
  • 2つほど感想がある。1つは、アセットオーナーの顔も声もみえなかったことが非常に残念。本当は、研究会の議論の成否の鍵はアセットオーナーが握っているはずで、アセットオーナーの方々が受益者に本当に高いリターンを与えていきたいと真剣に思うのであれば、今回の議論に、自ら積極的に関与すべき性質のものではないか。アメリカにおいてもイギリスにおいても、こういうたぐいの運動はアセットオーナーから始まっている。アセットマネジャーは、アセットオーナーに促され、企業はさらにそういう人たちの圧力に応えるような形で動き出すのが普通であるのに、アセットオーナーが自ら積極的に動かないというのはいかがなものか。
  • 2点目は、対話の充実が中長期的に持続的な企業価値の向上につながるというストーリーのもとで全てが動いている。本日この場にいる上場企業の関係者はそういう方向性に忠実に行動していると思うが、上場企業といっても大小様々であるため、この研究会に参加していない企業にとっては改革疲れみたいなものがあるのではないか。つまり、コードができて、いろいろな報告、提言、法改正、制度改正という話が出てきた。一方で、実際に起きていることは、株価は円相場に振り回されているような状況があり、私はこのような株式市場でいいのかということを危惧している。この原因はしっかりとした企業分析に基づいたアクティブ投資が余り行われていないということ。結局、為替と指数の先物とが連動して、それによって現物の価格が全部決まってくるというような、変なマーケットになっている。企業は費用や時間もかけて努力しているのに、投資家が、中長期の投資をしていない状態では、投資家のおもちゃにされているだけではないのかという焦燥感、無力感が企業に広がることを私は強く懸念している。
  • アセットオーナーは、この件に関して誤解されていることに非常に不満を持っている。改めて思うのは、ご指摘があったとおり、今のマーケットというのは多様性が失われていて、非常にショートタームで動く人たちだけがマーケットに出て、ほかの人たちを巻き込んでしまっている。おかげでマクロの変数とか為替とか原油価格で株価が動いてしまう。これをどうすれば良いのかというと、短期的な解決先はなかなかないが、バック・ツー・ベーシックな議論をすると、この委員会でも議論になったとおり、やはりインベストメントチェーンをきちんと回し、世界に冠たる日本企業を1社でも多く出して、国内の家計におけるキャッシュを中心とした資産や、海外でジャパンパッシングをしている人たちに日本のキャピタルマーケットにもう一度関心をもってもらって、ロングタームで投資をして貰う動きが必要。そういう多様な投資家に日本の企業の株主になってもらうことが、先ほどご指摘があった問題点を解決するためのある意味で漢方薬的で長期的な唯一の解。
  • 総会回りは、もともと利害関係者が多くて、それぞれの業界団体の立場もあり、それぞれが広目にバッファーゾーンをもった結果が、ある意味、囚人のジレンマ的な状況になっていたケースが幾つか出ていたのではないかと思う。そのような中で、本研究会を通じて相互信頼醸成措置がとられ、さまざまな形で対話が進んでこられたことが最大のメリットだったと思う。
  • 例えば、ICJが今後全員参加を前提として強靱なバックボーンとしての基盤をつくっていただければ、その上に乗っかってくるオーバーレイするような様々なインターフェースを提供する、ある意味、新興企業も含めて金融関係のサービスの勃興が日本の1つの成長ドライバーになり得るのではないかということを期待している。
  • もう1つは、先ほど申し上げたように、いろいろな利害関係者、ステークホルダー、従業員、労働者も含めた議論だと認識しているが、日本企業が稼ぎ、その結果、世界の投資家に注目されて、株価が上がり、時価総額が上がり、マーケットが活況になることが、日本がもう一度元気になるための唯一の方策であり、従って、例えば株主投資家と企業というのは決して敵対的な関係になるわけではなく、本来ウイン・ウインを目指す関係にあること。その意味で、お互いの理解を深めてもう一回日本のキャピタルマーケットを元気にしていくために、今回の報告書は非常に有益。
  • 報告書をおまとめいただき感謝。そもそもこういう議論をするときに、諸外国の情報は日本から調べようとするとすごく分かりにくいが、まとめていただき議論のベースとなるものが整理できたということで、非常に感謝。
  • 弊社は、ITを活用したコミュニケーションの可能性について強い認識をもっており、政府のさまざまな会議でも発言している。その観点からもコミュニケーションを強化していく上でITをどのように活用していくか記述がされており、非常に感謝。
  • これを受けて、弊社としても開示の充実に取り組んでいくとともに、実際にどういう法改正がなされるのかということを注視したい。法務省におかれてはぜひよろしくお願いしたい。
  • 報告書の内容に賛成する。この研究会の議論については、グローバルな長期運用の投資家からの関心も非常に高い。実際に、この研究会の関係者の方々と直接、あるいは間接的な対話が行われたと理解している。また、そのグローバルな投資家には、アセットマネジャーのみならず、アセットオーナーも含まれている。
  • これらのグローバルな投資家は、総会に関していうと、各企業に対して、できるだけ総会関連の情報の早期の開示を希望している。一方、日本全体は、総会の分散化というのは避けては通れないというのが彼らの考え方である。それらに関して、本研究会では、その意義や必要性、それを実現するための課題についても十分議論されたと認識している。
  • グローバルなコンセンサスとしては、企業と投資家の対話の質の向上、ガバナンスのさらなる推進というのは、一朝一夕にできることではなく、時間をかけて積み上げていくものである。よって、今回のこのとりまとめは非常に有益であるが、これは終わりではなくて、スタート地点ということで、これをベースにフォローアップがなされ、各省庁、実務家での議論がさらに深まることを希望している。
  • また、一部なりとも英語での情報発信をし、海外に日本の状況、日本企業の取り組みを発信していただきたい。
  • 電子化というキーワードで方向性が一貫しており、中身の整理が非常にうまくできたと思う。昨今、コーポレートガバナンスコードが出て、投資家の方からもガバナンスを中心としたESGの対話の申し込みなどが実例として増えてきている。弊社においても投資家とのミーティングをこちらから積極的に始めており、このような動きを着実に広げていく上で、今回の議論が1つのステップになって深まっていくと感じる。
  • 今回のテーマの中では基準日の問題が、関わってくる要素が一番多岐にわたると思っている。その点についての懸念とか課題というのは先ほど指摘があったので繰り返さないが、実際、年間での対話が拡充してくれば、今話題になっている総会の開催の位置づけがもう少し整理されると思う。それによって基準日の考え方、そこの論点がもう少し精査され、それをきちんとフォローしながら今後の議論がされれば、非常に良い結果になると思う。
  • まず、事務局にこれだけ充実したものをまとめていただき感謝。議論の過程においても、海外の事例を非常に詳細に出していただき、それを参考に議論が深まったと思う。個人投資家の声を届けるという立場で参加したが、報告書に丁寧に盛り込んでいただいたことに感謝。
  • 今後について1つ申し上げたい。やはり個人投資家に電子化が浸透するかどうかは、その利便性が向上するかという1点に尽きる。そのためには、やはり情報のプラットフォームづくりが必要。情報を受け取って、議決権を電子行使するまでワンストップでできるようなプラットフォームが整備されるかが最大の鍵になる。その実現に向けて、対話支援産業が必要だという点が強調されたことは非常に意義のあること。
  • スタート地点なので、これから実行に移されるかどうかが大切。フォローアップする会合を定期開催するというような文言も盛り込まれているが、ぜひ進捗を確認するような仕組みをつくっていただきたい。
  • 本報告書は、結論を無理にまとめなかったところが良かったと思う。研究会において実務的な観点から様々な議論が行われたことは大変有意義であった。実際に上場会社と投資家の関係が変わるかどうかは、これからの上場会社の行動に掛かっていると思う。
  • 上場会社はどこかで投資家とできれば対話したくないと思っているのではないか。必要最低限のことはするし、他社に遅れをとりたくはないが、本心では投資家は会社にとって面倒な存在だと思っていないだろうか。上場会社は上場している意義を改めて考えるべき。自らが上場することを選んだのだから、どんな投資家に対してもしっかり説明責任を果たすべき立場にあるということを、認識すべきである。
  • まず、この提言と報告案について異論はない。それから、既にいろいろご指摘があったが、今回の報告書や参考資料は非常に資料的価値が高い。私が知る限り、株主総会に焦点を当てた公的な研究会は限られている。この10年においても臨時に置かれたものを除けば、恐らくはこの前身の株主総会のあり方検討分科会と本研究会ぐらいであるため貴重な場。
  • 一方、ガバナンスについて大きな変化が生じている中で、株主総会も変化してきている。例えば決議する機関としてみた場合は、現在も、それから今後も安定株主や政策保有が減っていくため、株主総会はますます実質化していくのではないかと思う。一方で、会議体としてみると、殆どの上場企業で、事前の議決権行使で議案の採否は決まり、出席株主も1%に満たないなど、実態と法の形式との乖離はますます進んでいると思う。いずれの観点でも、考え方を大きく変える部分があるのではないかと思う。
  • 株主総会というのは、神聖不可侵なものとみられがちで、民間の個別の努力ではなかなか乗り越えられない部分が多くある。従って、引き続き何らかの形でこういう公的な検討の機会が提供されることが望ましい。
  • 報告書と提言について、私から一切異論はない。電子化の促進、電子提供については、一層進めていただきたい。理由は、充実した情報をより適時に、今よりも低コストで株主に提供できるという点。
  • いわゆる「議決権行使のための議案検討期間確保に資する」という観点での議論があったが、あわせて情報の作成期間、そして監査期間についても報告書、提言の中に入れていただいており大変ありがたく思う。
  • 企業と投資家との対話の促進という中で、電子化促進がそれに資するということはまさにそのとおり。加えて、電子提供として何を提供すべきなのか、投資家に対してどういう情報を提供すべきなのかという議論は引き続きしていかなければいけないと思う。そういう検討の中で、やはり総会の開催日のところがどうしても出てきてしまう。現状、6月の最終週に3月決算会社の相当割合が総会を開催しているということで、実際誰が困っているのかというような発言があったが、個々の会社ベースで考えると、会社は株主総会を非常に重要なイベントとして考え、株主に対して便宜を図っている。出席した株主の質問にも丁寧に答えている。ただ、結果として、6月末に株主総会が集中しているという状況は、海外から、日本企業は対話をしたくない、閉鎖的と思われても不思議ではない。やはりこの問題は個々の会社の対応というレベルではなくて、我が国資本市場全体として、このような実態のままで良いのかという議論ではないか。
  • 総会開催日の集中については、制度上の縛りが原因というものではなく、会社が自主的に6月末に決めているものであるため、やはり企業の背中を押す部分が必要。そういう中で、このような形の提言が出るということは、基準日を変えることについて会社で株主との対話促進を検討する際に非常に参考になると思う。
  • 今後、フォローアップを行うことも記載されているが、ぜひそういう形で対話促進というキーワードの中で、今後もいろいろと検討を行うことをお願いしたい。
  • 証券市場の開設者という立場から考えると、今回のように株主の方々と発行会社の方々がある意味緊張感を持ちつつ同じ方向を向きながら会社運営について語り合って相互理解を深めていくということは非常に重要だと認識している。そうした意味で、今回の報告書のように、電子化を通じて相互理解を促進していくことに貢献していくスタンスは非常に貴重であり、今回の報告書に賛同。
  • インデックス投資だけではなくて、さまざまな価値観をもった幅広いタイプの投資家がたくさん入ってくることが、円滑な価格形成を保ちつつ、良いマーケットを作っていくためには非常に重要であり、そうした意味からも投資者を増やしていくことは大切。この文脈で考えると、個人の方々も含めて今回の議論をどのように受けとめられるかが気になるところであり、今回のペーパーのように、さまざまな立場の方々に配慮しながら両論併記という形でまとめていただいたということは、有益だと思う。
  • 企業の株式実務をお手伝いさせていただいている株主管理人の立場として、今までの議論のなかで出た議決権の電子行使の促進、招集通知の早期発送、基準日の対応等について今後仕組みが変わっていくということに対して、各企業が取り組むのであれば、私ども株主名簿管理人としても各企業のニーズに合った形で対応していこうと思っている。
  • 但し、対応にあたっては、配当も総会決議で払うケースだけではなくて、取締役会で剰余金の配当を決めたりする等様々なケースも考えられるため、ICJ、常任代理人、日証協等の関係者間とも調整していきたい。また、株懇の基準日に係る検討状況についても、株主名簿管理人として引き続き連携していきたい。
  • 信託銀行は、管理信託・証券代行双方にかかわっており、最初にこのテーマをお聞きしたときには間口が広過ぎるのではないかと感じたが、実際には双方の状況を理解していないと適切な検討ができないことを痛感した。各委員も同様の感想を持ったと思う。本研究会の内容は、信託協会の様々な部会でフィードバックし意見交換や協議を行った。またICJを招いて勉強会も開催した。個社としての対応が中心となりがちだが、業態として取り組んでいくことが重要との認識を持った。
  • 今回の報告書と提言は、非常に包括的なご議論をまとめていただき感謝。
  • 1点目は、英文招集通知を一覧化していただきたいということを繰り返し申し上げてきたが、こちらについて報告書に反映いただき、感謝。
  • 2点目は、招集通知の電子化、電子提供ということで、今回の議論を通じてやはり発行会社のいろいろな置かれた状況に基づいて異なるオプションがあるということも理解できた。選択肢を提示いただいたということで、この点は大変ありがたい。
  • 3点目は、議決権電子行使プラットフォームについて、ICJ参加企業700社は、社数という意味では、全上場企業の恐らく2割前後かと思うが、私どもの実務上は5割ぐらいということで、非常に大きなウエートを占めている。それにより、グローバルカストディアンに提供している事務においても合理化が進んでおり、スムーズに流れている。この点も引き続きフォローアップ等を通じて、より多くの会社が電子行使プラットフォームに加盟することを期待している。
  • 最後に、今回の研究会の概要について、我々としても、グローバルカストディアンに情報発信してまいりたい。毎年グローバルカストディアンの訪問を受け、我々のサービス概要や国内の制度改正等について説明する機会がある。そのような場でも、今回の研究会の議論を引用しながら、引き続き日本への投資を促すということで、理解を得ていければと思う。
  • 弊社はちょうど2006年3月総会からサービスを開始して、ちょうど10年たったところ。最初は電子行使プラットフォームへの参加500社を目指していたが、コーポレートガバナンス・コードや経産省の研究会の議論も契機として、参加上場会社が700社を超えたことに感謝を申し上げたい。
  • 創設から10年たち、新しいテクノロジーも出てきているため、いただいた宿題、課題、叱咤激励を踏まえ、改めていろいろなことをもう一回整理して、関係者の皆様といろいろ協議しながら1つでも実現できるように前に進めていきたい。
  • これまではBroadridge社がアメリカでやっていることは、ものすごく遠い世界の話かと思っていたが、改めて考えてみると、ここまでテクノロジーが進んできているため、日本にもってきてもおかしくない状況。Broadridge社とも協力して、できることは日本でもやっていきたい。
  • 今まではアセットオーナーや機関投資家とのコンタクトが薄かったところもある。今後、参加委員の方のいろいろなご支援もいただきながら、ネットワークも広げていきたい。 プラットフォームの運営者として、信託銀行、常任代理人、上場会社など、多様な関係者とつながっている。関係者の方の支援、力をいただきながら進めていきたい。
  • 報告書の最後に対話先進国というキーワードがあり、ITを活用して世界に類をみないような対話先進国をつくっていきましょうというのは非常にいいテーマ。
  • 管理信託と証券代行がお互いを理解していないとこの話は進まないのだなというのは、本当に私もしみじみ実感したことで、今回、企業からの発言、もしくは他のいろいろな関係各所からの発言を聞き、幅広い意見交換ができ、また、そこに参加させていただいて、自分自身、目線を変えることができた。大変有意義であったと思う。
  • 私の仕事としては機関投資家サイドということで、議決権行使プラットフォームがメインとなる。電子化という意味では、昔の話になるが、昔は株券も紙だった時代があり、それが電子化され、管理信託のエクセルファイルが導入された。それまでは、機関投資家も議決権行使に、紙1枚に白紙委任という印鑑を押して終わりだった時代があった。そこに、エクセルファイルが導入されて、個々の議案に賛成、反対を入れるようになった。多分、それと同時ぐらいにICJがスタートし、各企業さんを地道に回られて、今ここにつながっていると思う。弊社としても、ICJもしくはBroadridge社と一緒に協力していきたいと思う。
  • もう一点、個人株主が利用できる一括プラットフォームへのニーズについて、報告書にもあるように、Broadridge社のproxyvote.comというサイトがある。こちらは個人でも機関投資家さんでも利用できるようなプラットフォーム。実際、私自身も機関投資家さんの代行で利用したことがあるが、初めて使う人でもとても簡単に入力できる。これも長い時間かかると思うが、機関投資家でも個人株主でも利用できるような簡単な、誰でもすぐにできるようなプラットフォームがいずれはできるということを期待したい。個人的にもその点は興味があるので、今回の研究会をスタート地点として、今後の発展に私も微力ながら努力させていただければと思う。
  • まず、招集通知に関する提言案の「案」はとっていただいて良いと思う。いろいろな意見がある中で最終的に両論併記になったと思うが、両論併記というのはあくまで1個に絞るというよりは、複数の選択肢をやっていくという制度設計を期待したい。
  • 本件は、株主の利便性を踏まえて電子化をしたほうがいいという要請があり、他方、電子化に伴う企業側の実務現場での負担という大きな要請があり、さらに、個人の方の中でどうしても書面が必要だという方がいて、といういろいろな利害の調整の話。今回、A案、B案という形でいろいろな選択肢が出ているが、多分1つの選択肢でやってしまうと、その利害は全部調整できない。最終的に企業側の選択肢を広くするという効果にもなるのだが、複数の制度の選択肢を整備するほうが調整もつくかと思うので、法務省さんにその点宜しくお願いしたい。
  • 2点目は、先ほどの発言にもあったが、インフォーマティブで、ここまでいろいろな論点を海外のことまで調べて検討したという取組はないと思う。ぜひここはいろいろな形で広めていくとともに、まだまだこの報告書の中でこれからいろいろやっていかなければいけない論点も多々あるところ、1つのスタートラインとして、制度論以外のところで色々進めていくきっかけにしていただければと思う。
  • 今後、対話の先進国になるために一番課題なのは、投資家の方と企業の方の相互不信の解消であると思う。先ほど長期投資家(ロング)を招き入れるべきという発言もあり、かつアクティブ運用の活性化・充実が必要という発言もあった。これは大変重要なテーマであり、企業側だけで何かする、投資家だけで何かするということではなく、企業側にある課題と投資家側にある課題を両方常に見直していくという姿勢は常に持つべき。
  • その観点から大事だと思ったことが3、4点あるのだが、1点目は、どうしても投資家側からみたときの相互不信の1つの原因として、ロングの方の意向がきちんと聞こえてこないことがある。企業の方が本当にロングの方を招き入れたいのであれば、ロングの方の声・意向を吸い上げるため、対話の充実を図るべき。
  • 2点目が、実質株主の把握。今回の報告書では初めて実質株主の把握制度ということが紹介されているが、対話の前提のために要はお互い名乗ろうというのが前提だと思う。アメリカ、イギリス、フランスの制度もあるようですし、実質株主の把握、これはマージャンの手のうちをさらす形での制度はできないので、マージャンの手のうちをさらさない形で何ができるのかといったことを考えるというのが次の大きな課題。
  • 3点目が、先ほどからアクティブの運用の重要性が出ているわけだが、今回、総会という形で対話の中の一部分を切り取って議論しているところ、今後、対話の質が問われていく中で、一言でキーワードをいうと、議決権行使のアクティブ運用化というか、議決権行使をどのくらいミクロのほうで見ていけるのか、という点が重要になると思う。さもなくば、例えば幾ら総会前の期間を長くしたところで、例えば個別の企業側において機関投資家に言いたいことがあっても、果たしてそれが機関投資家に届くのだろうかという疑問が生じる。典型的にはパッシブ運用の方がたくさん銘柄を保有している中で、どのぐらいミクロをみて議決権行使できるのか、という論点が出てくるのだと思う。
  • 4点目が、最終的にこれはパッシブの方にどのくらい負担をかけて議決権行使のミクロ化ができるのかということと裏腹になるが、どうしてもパッシブの方がそこまできめ細かくミクロのことができないということであれば、最終的には、株主総会なり、株主の議決権行使が行うべき役割分担と、取締役会を中心としたスーパーアドバイザリーボードが決めるところの役割分担との問題を整理していくことが重要になる。ガバナンスコードを受け、取締役会の実質化を進める中で、株主がどこまでのことをみるべきで、マネジメントボードではない、スーパーアドバイザリーボードにどこまで任せるのかという役割分担の話も一緒に走らせていく話だと思う。
  • 対話の実質化を進めていくことで、投資家と企業の双方がメリットを見出し、それが同時に相互不信の解消につながるという施策の論点としてはまだまだ論点が山積み。今回の報告書の中に色々な取っ掛かりは書いてあるので、これはぜひ次回につなげて、いろいろな議論を深めていければと思う。
  • 今回の議論は、ある意味でIT化を進めるという総論には皆さん賛成ではあるが、具体的な手法とか時期とかいろいろなことに関し、いわば方法とか各論といっていいのかもしれませんが、それらについて様々なご意見があったと理解している。そこが最終的には両論併記という形でまとまったわけだが、とりまとめを投げ出してしまったのではなく、まさに多様な考え方について、丁寧に提示したというのが今回の提言だと思う。
  • ただ、対話の促進というのがこの会議の出発点であったということは繰り返し意識してきたところ。株主総会は対話の一部にすぎず、年間を通じた対話というのが重要。年間を通じた対話があれば、意見表明の場としての株主総会というのはまた違った意味をもってくるかもしれない。その点はむしろ実務の方々に期待。
  • そういう意味では、今回の報告書や提言は、これからの議論のたたき台として皆さんから評価いただいたと理解。多くの委員の方がこれをスタート地点だと指摘しており、到達点にはなっていないということで、これからますます実務の方々の取組や検討に期待されるところは大きい。
  • また、先ほども発言があったように、株主総会プロセスの関係者間の相互不信、相互対話の欠如といったものがあったところに、今回、それぞれ相互に対話の促進・理解の促進があったのではないかと自画自賛している。それぞれの関係各位、川上、川下という言葉も出てきたが、それぞれが置かれている立場、発行会社であったり、投資家であったり、あるいは研究者にとっても、いろいろと刺激的な研究会であったと思う。
  • しかし、会社の株主総会を活性化するには、先ほども指摘があったが、東京マーケットの活性化、海外のマネーが東京マーケットに集中できるような仕組みが必要ということと思う。今回の研究会が目指す究極は、そういうところにもあったかと思うし、そういう問題提起も実はなされたのではないかと思う。

書面でのコメント

  • 本研究会は株主総会を含めた企業と投資家の建設的な対話を促進するための環境整備、すなわち株主総会プロセス等を見直すことで企業と投資家の建設的な対話や株主総会議案判断のための時間をより多く確保するという目的に対して、大変有意義であったと考えております。株主総会等を取り巻く様多様な議題について、様々な関係者の方々が一同に集い、実務的な観点から、課題を整理し、そしてそのような課題の解消に向けて、建設的に議論を行い、その過程ならびに本議題に関する今後のあるべき方向性を、報告書という形でとりまとめに至ったことは大きな成果であったように思います。その観点から、複雑とも思われる株主総会のプロセスの実務について、海外の現状も含めて、調査整理いただいた、経済産業省および事務局の皆様方にも改めて感謝の念を申し上げたいと思います。
    本件についての議論は、まさにこれから、スタートラインに立ったばかりと認識しております。今後さらに、発行体企業と投資家双方における電子行使プラットフォームの利用促進に向けて必要と考えられる実務の整理が進展することを強く期待しています。また、召集通知についても、より良い企業と投資家間の対話や議決権行使のための時間確保と情報の充実という観点から、さらなる電子化に向けた取り組みがなされること、そして、このような実務の整理と並行して、株主総会日程自体の分散が進むことも期待しております。
    今後とも、様々な実務の進展に向けて、投資家という立場から積極的に議論に参加し、微力ながら貢献できればと思います。
  • 本研究会は、株主総会プロセスについて、会社と投資家との対話の促進という大局的な観点から制度面、及び実務面に渡って幅広く検討するもので、かつてない取り組みであったと思います。 
    当方は、研究会にて提示された制度上、実務上の論点について、理論的な観点からどのように考えればよいかということで取り組んでまいりましたが、他の委員の皆様のご意見、ご議論から刺激を受けることが多く、このような場に参加させていただけましたことを改めて嬉しく思っております。
    今後、実務運用の工夫がさらに重ねられることはもとより、制度改正の取り組みが進められる可能性がございます。その取り組みにあたっては、従前の理論的前提(それは昭和56年改正という30年以上も前の前提ですが)が当然のものではないのだということを意識しながら、検討が進められますことを期待したいと思っております。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
  • 1. 株主総会の招集通知関連書類の電子提供の促進・拡大に向けた提言について
    現在の会社法の下では、招集通知本体及び株主総会参考書類は書面であることが原則であることから、株主総会参考書類の電子提供のためには会社法改正が必要であることはたしかである。そして、会社にとっての費用の軽減や早期の情報提供、柔軟な訂正の可能性の確保などの点から、株主にとって何が利益となるのか、そして、会社法が私的自治をどの程度制約する必要があるのかを踏まえて、検討を加えていただくことを期待したい。
    他方、平成17年会社法の立法の背景や前提、また、立案担当者などの説明からは計算書類や事業報告についてのWeb開示をこれ以上拡大することは説明がつきにくいという見方もあるとされているが、会社法の文言からは、これらの関連書類について書面が原則であると解釈することはむしろ不自然であるということには留意した方がよいのではないかと思われる。
    会社法では、計算書類・事業報告を書面で作成することと電磁的記録で作成することのいずれも等しく認めており、かつ、備え置き・閲覧等との関係では、全くパラレルな規定を設けている。
    また、定時株主総会の招集にあたって、「提供」しなければならないという文言が選ばれているが、「提供」という表現は会社法において、書面の交付に限定する場合には用いられていないと考えられる。すなわち、媒体中立的な表現である(むしろ、次に述べるように、平成17年改正前商法283条3項は、「電磁的記録ニ記録セラレタル情報ヲ同項ノ通知ニ際シ電磁的方法ニ依リ提供..スルコトヲ得」と定めていたのであって、電磁的方法による場合にむしろ「提供」という表現が選択されていた)。
    さらに、平成17年改正前商法283条2項が「定時総会ノ招集ノ通知ニ際シテハ第二百八十一条第一項各号ニ掲グルモノ及監査報告書ノ謄本ヲ交付スルコトヲ要ス」と定め、同条3項が「前項ノ謄本ニ代ヘテ電磁的記録ノ作成ガ為サレタル場合ニ於テハ同項ノ謄本ノ交付ニ代ヘテ其ノ電磁的記録ニ記録セラレタル情報ヲ同項ノ通知ニ際シ電磁的方法ニ依リ提供スルコトヲ得但シ株主ノ請求アリタルトキハ其ノ電磁的記録ニ記録セラレタル情報ノ内容ヲ記載シタル書面ヲ其ノ株主ニ交付スルコトヲ要ス」と規定していたことと対比するとなおさら明らかである。すなわち、平成17年改正前商法283条3項は株主の書面請求権を定めていたのであるが、会社法にはそれに相当する規定があえて設けられなかったと評価することが自然である。そして、改正前商法283条2項と3項というような原則と例外の関係が書面と電磁的記録との間にあることを示唆するような条文構造にも会社法はなっていない。
    したがって、あくまで、文言解釈をするならば、会社法自体はすべての事項について、Web開示の余地を認めているといわざるを得ず、現時点においては、一定の価値判断(たとえば、デジタルデバイドなどがありうること)に基づいて会社法施行規則及び会社計算規則でWeb開示の範囲を制約していると評価することが穏当であるといえそうである(言い換えるならば、法務省令の定めがあるから、一部の事項についてWeb開示を行うことができる[法務省令によって緩和されている]という理解の仕方は、会社法の文言解釈としてはやや強引である)。
    なお、会社法制定に際して、改正前よりも電子提供の範囲を狭めるべきであるというような議論もなく、狭めるような改正を行ったとも説明されていないと思われる。これを前提とすれば、少なくとも、株主に書面請求権を認めるかぎりにおいては(個人的な見解としては、定款に定めればそのような請求権を排除できるとすることも十分に考えられる選択肢であると考えているが)、事業報告及び計算書類(・連結計算書類)について電子提供を認めないとすることは、平成17年改正前商法よりも電子提供の余地を狭めるということになり、矛盾があることになりそうである。
    2. 基準日について
    基準日ひいては総会の会日をいつにするのかは、それぞれの会社(究極的には株主)が決めるべき事項である。
    ただ、事業年度の末日を基準日とすることにより、株主総会前に提供できる情報が制約されたり、作成や監査に十分な期間を確保することができないことにつながっているのではないかという懸念はある。他方、たしかに、たとえば、基準日、そして、総会の会日を遅くすると、役員の改選時期が遅くなるという懸念もあるが、現在の取締役の中から新たな代表取締役や業務執行取締役を取締役会でとりあえず選任することによって対応できる場合が会社提案の取締役選任議案が否決されることは通常ないという現状に照らせば、多いのではないかとも考えられるところである。したがって、総会の会日を7月またはそれ以降にすることによるデメリットが本当に大きいのかということはよく考えてみる価値はある。そのデメリットはメリットを上回るのかという観点が重要であろう。これまで指摘されてきたメリットに加え、後ろ倒しすることによって、集中日(集中時期)への集中度合いが相当緩和されることも、株主にとってはメリットなのではないかともおもわれる。
    会社または会社の取締役としては、自社のみが変更することをちゅうちょするというのが日本ではよく見受けられるため、後ろ倒しすることのメリットがそれなりにあるというような制度設計ができるとよいかもしれない。

以上

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最終更新日:2016年5月31日
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