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株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会(第7回)-議事要旨

日時:平成29年2月22日(水曜日)14時00分~16時00分 
場所:経済産業省本館17階第一特別会議室

出席者

出席委員
尾崎座長、青委員、飴嶋委員、石田委員、上田委員、江良委員、大崎委員、小木曽委員、藏本委員、澤口委員、高山委員、武井委員、田中委員、永池委員、中川委員(代理:原口様)、野村委員、古本委員、堀田委員、松井委員、山田委員、脇山委員
ゲスト
(株)ICJ今給黎様、(株)エックスネット吉岡様

議事概要

資料4

石田委員:

(スライド1枚目)総会日の分散、招集通知の開示早期化
  • 株主総会日の分散、招集通知の開示早期化が10年間で大きく進んだ。2006年は約15日前で、法定ぎりぎりだったのが、2016年では21日になり、1週間ほど早まった。
  • 例えば、業務で締切り1週間伸びれば、仕事のクオリティが上がり、負担が軽減されるが、本件もそれと同じような意味がある。議決権行使をする際、この1週間の伸びは明らかに大きな変化。
  • 株主総会の分散、招集通知の早期開示、いずれも10年間で圧倒的な違いがある。10年前では、招集通知が3週間前に出ると情報開示のいい会社と評価されたが、今日では平均に過ぎない。
  • 総合的に勘案すると、議決権を行使する投資家側のメリットだけではなく、企業にもメリットがある。投資家は、株主総会の議決権行使以外にも、例えば株主総会議案に対して質問があるとか、招集通知の内容を会社に確認することが容易になっている。投資家に議案検討の時間があれば、分からなければ会社に確認することにより、誤解に基づく反対とか、情報がないから反対というのを減らす効果が期待できるので、これは企業側へのメリットになるといえる。
(スライド2枚目)ユーザーの視点からみた招集通知作成の留意点
  • 最近企業が独自に独立性基準を作ることが奨励されている関係で、開示情報が増えているが、議決権行使の立場からは、大量の情報をどうみればいいかという課題が出てくる。最悪の場合、行使側の実務負担が増えるだけでなく、議決権行使時の独立性判断に係る質の低下につながり得る。独立性基準を開示する・しないとは別に、役員ごとに投資家が独立性を判断するための情報を具体的かつ簡潔に開示することが良い。
  • 2点目、独立役員届出書の掲載のタイミング。証券取引所のHPに招集通知をアップするのと同じタイミング、またはそれより先に独立役員届出書が出ていれば、招集通知の入手と同時に独立役員届出書の内容を把握できる。
  • 3点目、招集通知は1冊で完結が理想。しかし、実務的な理由があり、例えばコスト削減などでインターネット開示をするなら、インターネット開示分についても証券取引所Webサイトで同じ場所に載せることで、議決権行使する側の負担が減る。
  • 4点目、読みやすいフォント。ささいなことに思うかもしれないが、非常に重要なことであり、招集通知の小さな文字を読むのは非常に大変である。
  • また、役員選任議案に候補者の一覧があるといい。例えば、取締役の選任、監査役の選任がある場合、役員の議案が始まる前に一覧があり、氏名、社内役員か社外役員かなど、一覧があると議案の全体をつかむのにとても役に立つと思う。
  • 次に候補者の写真。当社の海外クライアントで、ダイバーシティの視点から、女性候補が1人もいない場合は社長に反対する人がいる。とはいえ、参考書類に男性、女性と書いてあるのを見たことがない。性別を記載することに抵抗があるかもしれないが、写真であれば普通は男性か女性か分かる。
  • 役員候補者のふりがな明記。私たちがレポートを書く際、アルファベットで書くため、読み方が分かるとありがたい。
  • 事業報告、参考書類などのページが一目で分かるようなインデックスがほしい。
  • 最後に、報酬に関して、議案はまとめず列挙したほうがいい。例えばひとつの報酬議案に普通のストックオプションと1円オプションが含まれている場合、1議案にまとめてしまうと、例えば1円オプションに反対の場合、議案全体に反対せざるを得ない。報酬議案が最近複雑になっている。
(スライド3枚目)複雑さを増す報酬議案開示の留意点
  • 私たちが見るポイントは、単純に誰に何をどれだけ与えるのかだけである。この点、とある企業の場合、報酬議案が5件、全9ページあったが、冒頭に簡単な表を入れてくれており、これが9ページを読み解く目次のような役割果たしており重宝した。

資料5「海外投資家の議決権行使状況」

堀田委員:

  • 当社で扱ったICJ電子行使プラットフォームを通じた海外の議決権行使は、件数割合とも着実に増加。
  • また、招集通知の早期Web開示、英文開示の進展や総会出席ガイドラインにより海外機関投資家の要望に応える局面も増え、投資環境は改善された。
  • 当社における電子行使状況だが、2016年6月が66.8%で、前年同月比10ポイント増加。66.8%という数字は、分母が電子行使、書面行使件数の合計、分子は電子行使の件数。不統一行使も含め、行使書1枚につき1件とカウント。また、電子行使件数の取扱件数は前年同月比で24.9%増加。
  • 招集通知の早期Web開示について、最集中日との比較で、以前より早いタイミングで掲載。これに伴い、弊社から議決権事務代行業者への提供タイミングも早まっている。事務代行業者はブロードリッジ社である。ICJに議案タイトルの英訳を依頼しており、英訳された議案タイトルがブロードリッジ社に提供されている。最集中日の15営業日前に招集通知を掲載した会社が80%を超え、前年同月比約32ポイントの増加。2年間の比較で、常任代理人としても招集通知を投資家に提供できるタイミングも早まった。
  • 続いて、ほかの常任代理人からの事例となるが、グロカス(=グローバルカストディアン)からの議案内容照会に対し、従来は和文招集通知しか提供されていなかったため英訳を断っていたが、英文招集通知が発行会社Webに開示されるようになったため、そのURLを提供した結果、グロカスから喜ばれ、そのグロカスから初めて議決権行使に至ったという事例があった。
  • 株懇の総会出席に関するガイドラインの活用事例になるが、グロカスから国内の常任代理人あてに照会があり、このガイドラインに基づく回答ができるようになった。従来は個別に発行会社に照会することで手間暇かけていたが、ガイドライン以降、ガイドラインを通知することで各株主に対して公平に説明しやすくなったとの情報を聞いている。

資料6-1「議決権行使の電子化の促進について」

(スライド1枚目)

永池委員:

  • 環境認識として、昨今の電子技術の進展をふまえると、株主総会プロセスの電子化も例外ではなく、今後は電子が主で、それを補足するものとして紙の手続があるべき。
  • 今後、新たな株主総会招集手続の電子提供制度が検討されると思うが、その表裏の関係になる、議決権行使プロセスも電子化できる環境を整えていくべきではないか。
  • 現状の問題意識として、発行会社では、海外に比較して国内機関投資家の議決権行使状況が総会直前にしか分からないといった問題意識を持っている。海外の機関投資家は、招集通知を発送したらすぐに議決権を行使してくれる。これは電子行使だから可能なのだが、国内では電子行使していない投資家が多く、直前でないと行使結果が分からない
  • これに関連して、議決権行使が遅いゆえに、情報が少ないとか、誤解に基づく反対があった場合、発行会社から何か補足説明をしようと思っても時間的な余裕がない。
  • この問題の背景の一つとして、機関投資家と管理信託の議決権行使指図の電子化が十分ではないことが挙げられる。
  • 国内機関投資家からも次のような問題意識を聞いている。まずは自主的な議案検討期間が非常に限られる。発行会社からの問題意識と裏表の関係にあると思うが、全発行会社が議決権行使の電子化を採用しているわけではなく、どうしても紙ベースでやらざるを得ない。そのために自主的な議案検討期間が非常に限られてしまう。さらには補足説明等の発行会社との対話の結果、議決権行使内容を修正しようとしても、時間的、技術的に難しい。これもやはり電子行使をしていないことの裏返しの問題である。次に、これはよく言われることだが、全発行会社が議決権行使の電子化を採用していないので、紙ベースが残ってしまう。つまり、議決権行使の指図フローの二重化が避けては通れない点を国内機関投資家から問題として指摘されている。
  • そういった状況において、議決権行使の電子化は進めるべきとの観点から、具体的には、今ある仕組み、つまりICJという仕組みのさらなる活用を進めるべきではないか。ICJ利用のメリットはいくつか挙げたが、既にインフラとしても整備されており、経済性も安定して優れたものがあり、海外利用率も95%以上で、ほとんどカバーしている。そして、ICJが提供しているアローフォースを利用することで、株主の視点からいち早く招集通知の情報取得と検討時間の確保が可能になる。さきほどの問題意識にも関連するが、検討の結果、議決権行使内容も電子であるがゆえに容易に変更可能といったメリットがある。発行会社の視点からは、議決権行使結果が早期に把握できる。誤解に基づく反対票があった場合、補足説明も十分に可能である。

(スライド2枚目)

  • 発行会社、投資家双方にメリットがあるICJの利用を改めて検討すべき。例えば、発行会社には既にコーポレート・ガバナンス・コードがあり、プリンシプルベースではあるが明記されている。国内機関投資家もICJ利用のメリットを確認することを前提に、例えばスチュワードシップ・コードにおいて、プリンシプルベースで織込むことも、将来の選択肢になると思う。
  • また、ICJに限らず、対話支援産業といわれる証券代行機関、議決権行使助言会社による新たな電子提供サービスも有力な選択肢になってくる。
  • いずれにしてもICJ利用について、発行会社、投資家サイドそれぞれがどうしてもできない理由ばかりを考えてしまって、なかなか先に進まない。この機会に膝をつきあわせて、関係者も多岐にわたるので、多様な関係者による率直な意見交換の場を設けて、改めてどうしたら議決権の電子行使が進むのかという視点で、進めるためには何が障害になっているのか、それを克服するためにはどういう方法がとれるのか、そういった議論をとおして関係者の意識を変えていく必要がある。
~議決権行使プロセスの電子化について、委員・ゲストからのコメント~
  • 昨年6月総会における電子行使の状況について、ICJプラットフォーム参加会社は755社であり、プラットフォーム参加会社に限定すると、総議決権行使数の平均で約40%がプラットフォームを経由した。実際に行使された個数でカウントすると、約半数がプラットフォーム経由。時価総額上位の会社で電子化が進んでいると事務局資料にあったが、日本全体の上場会社で見ると、全上場会社の総議決権個数を分母にしても、約30%の議決権がプラットフォーム経由で行使されている。株主名簿管理人が運営しているシステムを含めると、およそ全体の議決権行使の3分の1が電子的に発行会社に届けられている。
  • この1年、上場会社に対してプラットフォームへの参加を働きかけてきた。昨年6月では約200社増えて757社、今年1月末時点で781社、本日付で786社、今年6月の時点では820~830社を見込んでいる。昨年、新規で200社増加。以前は時価総額の大きな会社が多かったが、最近では、機関投資家比率が20%以下の会社の参加も、新規200社の3分の1を占めており、海外株主比率が10%以下の会社も全体の2割、裾野が広がってきているとの認識。具体的なマーケティング活動として、日本全国の400社から500社程度を個別に訪問。自分たちでセミナーを主催するほか、信託銀行から声をかけていただいたたセミナーで、プラットフォームへの参加を呼び掛けている。雑誌の座談会で発言したり、寄稿したりもしている。東証からは通知文を1月に出していただいた。上場会社の参加数としては1000社を目指して関係者と協力して進めていきたい。
  • この1年で国内機関投資家1社に参加してもらい、合計でユーザーは10社になった。アセットマネージャーを昨年40社から50社程度訪問しており、意見を聞いている。アセットオーナーも訪問を進めている。アセットオーナーからは、アセットマネージャーから要請があれば基本的には同意する旨のコメントを得ている。一方、オーナー側からマネージャーにプラットフォームを使って欲しいという要請はなかなか難しいとのコメントがあった。
  • ISSとの接続は、技術的にはクリアできそうだとの感触。まずは当方も含め、どういったメリットがあるのか、関係者で今一度検討していく必要がある。
  • 機関投資家の議決権行使に係る社内プロセスを効率化するための環境がまだ整っていないと感じる。キーワードとしてXBRLが出ていたが、こういったものを機関投資家が議決権行使しやすい環境を作る上で、実装していくことが求められる。
  • 国内機関投資家の声として、全発行会社の議決権行使を電子化しないと事務フローが二重になり、本当の効率化に繋がらないとの指摘があり、この指摘は非常に重い。
  • ただ、全上場会社となると数が多いので、例えば、東証一部指定の要件として、議決権の電子行使を可能にしていることを入れれば、大きなインパクトがあるのではないか。
  • 一部上場指定されると機関投資家が投資するという現実があり、一部部指定されるには議決権行使を電子化しないといけない、となれば、一定の経過期間は設ける必要があると思うが、電子化しなければ二部に降格となれば、2,000社はすぐ達成できるのでは。
  • 一律で義務付けをすべきとは思っていない。東証一部の指定要件とするべき。今後、IFRS強制適用や四半期開示の任意化などの議論があると考えられるが、東証一部企業はIFRSも、四半期開示の義務も、議決権電子行使も含めて要件としていいのではないか。
  • それを厳しいと考える会社も上場廃止になる訳ではなく、単に二部に移行するということ。日本を代表するメインマーケットと言われる東証一部で、2,000社もあるのは率直に多すぎる。一部に指定されると簡単に機関投資家の買いが入るという現実があり、上場会社がその状況に甘んじているという事実があると考えている。選ばれた会社、国際的な、あるいは国内でもプロの機関投資家による投資にふさわしい会社がいる市場にしないと、長期的にみたら取引所のレピュテーションにも悪い影響を及ぼすと思う。
  • 議決権電子行使プラットフォーム参加企業の増加を待つのではなく、5年くらいの経過期間を置いて、一部指定要件にすればいい。
  • 義務付けの議論について、2年くらい前から様々なところで聞かれ、かなり多くの人に支持されている。
  • 会社法の世界で、義務にした方がいい場合とは、一つは、経営者と株主との間、大株主と少数株主との間で、利益相反があり、定款や多数決で処理すると必ずしも適切でない利益相反があるという論点である。もう一つの論点として、法学の世界ではあまり言われないが、外部性という問題がある。つまり、ある企業の選択がほかの企業に影響を与えていくというものである。
  • 議決権行使の電子化は、必ずしも経営者にとって都合がいいとか、多数派株主にとって都合がいいとか、そういう話ではないので、利益相反の観点からは検討しにくいが、外部性の観点からの義務付けは1つの理屈として成立する。つまり、ある企業がプラットフォームに入らない場合に、プラットフォームに入っている企業、投資家にとっての効用が相対的に減少するという構造があり、これを実態としても検証できれば、全体で一斉に高度調整するための義務付けとして理屈は立つ。現実的にどの程度のコストやベネフィットがあるのか情報を持っていないため、確たることは言えないが、ロジックとしては義務付けも十分考えられる。
  • 上場規則による義務付けは、実態がかなり進んできてから導入するのが一般的。また、仮に上場会社の多くが電子プラットフォームに参加した場合、機関投資家の側もほぼ必ず使うということが見込めないと、上場会社に対する義務付けの説得性が薄まるとの懸念がある。今後考えながら進めていきたい。いずれにしても、実態として電子化を進めるべきとの方向感で進めていきたい。
  • 現状、議決権の電子行使は、参加する個社単位での損得判断のみではこれ以上進まない。これを解決するには、全体最適の観点で同時解決を目指すべきであり、その認識には多くの委員が同意しているのではないか。
  • 原則全社参加型にして、チャージも上場費用全体で担う形にすれば、参加企業の負担額が軽減される可能性があり、未参加企業の賛同も得やすいのではないか。
  • あるアセットオーナーと協議した際、関係者が集まる場があれば、アセットオーナーとして参加すると話していた。管理信託、ICJ、アセットマネージャー、上場企業も参加して、同時解決、全体最適、原則参加のシステムに切り替える方がいいのではないか。個別同意もスキップできるような全員参加型システムにすれば、問題は解決できるのではないか。
  • 全員原則参加型ではないデメリットは、発行体企業がICJプラットフォーム参加/未参加に分かれるという二重化だけではなく、アセットオーナーの同意がある口座/無い口座という分断ももたらしている。上場企業が原則参加し、アセットオーナーの個別承諾も不要なスキームにしない限り、このような問題は残ってしまう。
  • 株主総会の電子化の議論が進んだことを嬉しく思う。IT戦略本部でもデジタルファーストというアクションプランを6月にまとめようとしている。議員立法で官民データ活用推進基本法ができ、対面・書面原則の撤廃の趣旨が盛り込まれた。そういう状況を踏まえ、IT戦略本部では、民民取引についてもアクションプランを策定し、国民運動として促進していくことになっているので、そういう流れと軸を一にしながら前向きな議論をしていただきたい。
  • 議決権行使の電子プラットフォームついて、やはりある程度は義務付ける方向で一気に解決しないと、永遠に解決しないのではないかと率直に感じる。企業に義務付けた後に投資家が参加しないことを懸念するコメントがあったが、ワンストップ化が実現し、アセットオーナーの同意問題が解決し、ISSとICJのデータ連携等が適切に進めば、投資家はほぼ確実に参加すると考えていただきたい。
  • 当社について申し上げれば、既に議決権行使の電子プラットフォームを使っており、全発行会社が制度として入ることになれば、機関投資家側の動きも進むことになり、受け入れられるアイディア。しかし、そうでない会社にとっては、コスト次第ではないか。どのくらいのコストを未加入の会社が負担することになるか次第で、フィージブルかどうかが決まる。
  • ドラスティックなやり方で皆が賛成するのであれば、話は非常に早いが、そうでない場合、他のアプローチもあり得る。事務局資料にイギリスの事例があったが、プラットフォームを使って議決権行使すれば、手数料が大幅に下がる、そういうインセンティブを付すことによって議決権行使におけるプラットフォーム利用を促そう、アセットオーナーから同意を取り付けようというものと理解したが、これは事務の効率化と手数料ダウンというWin-Winのアプローチで、興味深い。日本でもこのような工夫サービス競争を通してプラットフォームの利用、議決権行使が増えないものかと思う。
  • 一方で、招集通知、事業報告の開示・発送のタイミングについては、多くの発行会社が制度上可能な限りの努力をしている状況。資料にある通り、総会4週間前の開示も随分増えている。(当社でも)去年は総会4週間前に日英文同時に開示したが、このような発行会社側の早期開示の取組みを意義あるものとするためにも、機関投資家には、議決権行使にプラットフォームを利用してほしい。
  • ICJプラットフォームは、先般のスチュワードシップ・コードの検討会議で紹介されたとおり、外国人投資家、海外投資家の議決権行使状況が見えるようになったとの評価が定着しつつある。反対票が入っていたが、追加情報を出すことで賛成に切り替わったという例が把握できる点がメリットとの話があった。
  • 海外投資家関連では企業側もある程度メリットを享受していると思うが、国内投資家に関しては、高い費用を払っているのに国内投資家が使わないことで、100%の目的を達成できていないという問題に行き着く。
  • 一方、国内のある大手機関投資家がインハウスの運用を始めた際、ICJのプラットフォームについて、効率性の観点から調べたところ、参加会社が700社、800社ということで、使えないと判断。事務の二重化が生じると非常に使いづらいとはっきり言われた。
  • 義務化は全然過激とは思っておらず、この議論を2年、3年続けた結果、最終的に全上場会社がプラットフォームを使ってくれて、できればその費用も低廉化、低額化して、関係者で支えあう形になれば投資家も乗りやすい。
  • そうすれば、企業も早い段階で情報を得られる。実際に機関投資家は総会の一週間前には行使を終わらせるスケジュールで動いており、そのタイミングで企業に議決権行使の結果が直接入る。おそらく管理信託の事務負担も下がるはずで、三方良しで皆さんにメリットがある。上場会社なのか、一部上場会社なのか、TOPIXの上に大規模な銘柄のみのTOPIXを作るのでもいいが、義務付けがいいと考える。
  • ただし、これが営利事業である点は懸念がある。利益、収益を目指すビジネスモデルで大丈夫なのか。現状の外資系企業との合弁で運営している点を根本から見直す必要がある。全上場会社が参加したから儲かった、というのは違うのではないか。ナショナルインフラに該当するので、義務化は言葉で言うほど簡単ではないだろう。
  • ICJのプラットフォーム義務化について、TOPIX銘柄を対象にする意見があった。一方、コスト負担をどうするのかの議論もあった。事務局資料にもあるが、TOPIX構成銘柄では、機関投資家比率が最低でも5%あり、機関投資家が一定数、最低でも存在していれば、その点をメリットと捉えてコストを負担する考え方の企業もいるのではないかと感じた。
  • ICJの利用をTOPIX構成銘柄に限定するのは、機関投資家比率の面からリーズナブルな方向だと感じるが、TOPIX構成銘柄に義務付けた場合、国内の機関投資家はICJを使うのか。結局エクセルの中で利用会社とそれ以外を区分する方が大変で、TOPIX構成銘柄だと抽出が楽になる程度のメリットであれば、最初からフラグを立ててフィルタで対応すればいいのではないか。
  • エクセルの指図の話について、プラットフォームを利用していないアセットマネージャー分については、管理信託の側で、銘柄ごとに振り分け、集計している。その意味では、当該アセットマネージャー側では、現状は二重化の問題は回避できている、つまり、二重化部分については信託銀行が請け負っている。当該アセットマネージャーが直接利用する場合、委託者同意の問題があるが、委託者の理解を得た上で電子化の促進が進んでいくと、信託銀行にとっても望ましい方向。
  • 早期Web開示は、株主の議案検討期間が十分に取れてないとの問題意識から始まった。株主の利便性向上が目的だが、企業側からのメリットを考えた時、早期開示した以上、早期検討・議決権行使を望む。更に言えば、早期議決権行使のタイミングで是非対話をしたい。
  • 電子プラットフォームの利用義務付けで企業数が増えるのはいいことかもしれないが、やはり投資家が利用してこその企業側のメリットなので、投資家サイドの二重化の問題は十分に分かるが、歩み寄る検討をしていただきたい。
  • 電子プラットフォームの利用を義務付ける場合、おそらくICJがそのプラットフォームを提供する唯一の業者になる。この業者の使用を求めるのは東証になるが、東証がICJの利用を念頭に置いた制度を採用する場合、デリケートな問題が生じやすい。つまり、唯一の業者を使うように求めている主体が、当該業者に対して一定のコントロールをかけられる状態になっていないと制度としては成立しない。私も義務付けは好ましい方向だと思う反面、その具体的な制度化の際、どうプラットフォーム提供業者をコントロールするのかは議論する必要がある。
~早期Web開示・英文開示、総会関連日程の適切な設定について、委員・ゲストからのコメント~
  • 事務局資料のとおり、企業のWeb開示が進み、招集通知の早期発送が進んだと実感。行使判断に使える時間がだいぶ伸び、関係者に感謝。
  • 近年、総会以外の対話も重要との意識が非常に浸透しており、企業との面会件数が大幅に増加。この数週間、1日に3、4社と面会しているが、この日常的な対話も企業は総会を意識してスケジュールしているので、結局、総会が集中している限り、日常的な対話の時期も、総会時期と連動して集中するという現状がある。日常的な対話の浸透はありがたいが、議決権行使自体よりも、事前調査に時間をかける必要があり、総会が集中しているデメリットを感じている。
  • 基準日設定についてのアンケート結果は、発行企業の実務の目からは違和感のないもの。マクロの視点で俯瞰すれば日本の総会日の集中という問題はまだ目立つ、もっとばらけた方がいいとの一般論は分かるが、個々の会社からすると、正直申し上げて、7月総会への移行は全く割が合わない。総会対応の実務の負荷は増える、コストもかかる、7月総会への個別の要請もない、したがって、ほとんどの会社にとってニーズを感じない、インセンティブもないということではないか。
  • 当社についても、株主から7月開催を求められたことはない。それよりも、招集通知の早期発送・早期開示の方がメリットがあり、現実的。
  • 日本企業の株主総会の現状について、投資家の感想を紹介したい。スチュワードシップ・コードに関する有識者検討会があり、ひとつのイシューとして、企業と投資家の対話の質、エンゲージメントをどう上げるかが話題になった。複数の大手機関投資家から、株主総会が集中していることで、エンゲージメント、対話の質が損なわれるとの趣旨の発言があった。確かに、この数年間で環境は著しく改善し、議決権行使の検討期間は少しずつ伸びているとはいえ、それは比較の問題であり、実質的にはまだ懸念がある。
  • 株主総会のあり方検討分科会に対して、グローバルな機関投資家団体ACGAから正式なレターがあり、日本企業の株主総会が集中していることは投資家にとって非常に懸念であり、日本企業に対するパーセプションにネガティブな影響を与えるとのコメントがあった。具体的には、基準日の変更も含めていくつか提案されている。このレターから2年余りが経過しているため、改めてACGAに確認したところ、現状でも同じ見解。つまり、国内の機関投資家同様、海外の機関投資家も現在の日本企業の株主総会の集中度合いに依然として懸念を持っている。
  • 別のグローバルな機関投資家の団体ICGNのチェアマンが、1、2年ほど前、日本企業の株主総会の集中度合いが海外機関投資家にとって負担になっていると懸念している趣旨で発言していたため、改めて確認した結果、現在も同じ認識。投資家の見方は依然として厳しいものがある。
  • 日本企業は、あまり基準日変更についてインセンティブがないと考えているようだが、それは投資家との間にミスコミュニケーションがあることを示している。こういう研究会が、ミスコミュニケーションを是正する場になればいい。
  • スチュワードシップ・コードの関係で一つ懸念がある。個別開示がほぼ導入されると、日本の大手金融機関系列の運用機関は実質的に個別開示する。アセットオーナーも乗らざるを得ない。すると、スチュワードシップ・改訂会議のアセットオーナー出身の委員のコメントのように、ある程度、機械的にならざるを得ない。正確性を犠牲にしても今のところ機械的にならざるを得なくなり、企業から対話の結果が反映されていないと批判を受ける。だから個別開示しなくていい理由にはならないが、そういうなかで、総会の分散化、早期発送は肝である。
  • さきほどの委員のコメントにあったように、一番やりやすい方法、まず早期に情報を発送する、そうすれば企業は今までよりは楽になる。それに加えて、対応可能な会社については基準日を変えるという選択肢を作る。その結果、他の企業も追随して多少の分散が進むかもしれない。それは個別開示にもつながり、議決権行使にもつながるので、そのあたりを一体で考え、いろいろな選択肢を提供することが大切。
  • 基準日変更について、個社で見た場合現状メリットがない点は理解できるが、マクロ的に日本の資本市場がこれでいいのかという視点が必要ではないか。
  • 総会が6月に集中すると、作成企業は自社の資料を作成すればいいが、それを監査する側は集中した時期に何千社の業務をこなす必要がある。単に忙しいなら我慢しろという話だが、一方で、昨今は様々な不祥事などの関係もあり要求水準が高まっている。信頼ある情報が大前提であり、その作成に一定程度の時間は必要で、監査もそれなりに時間を要するという点で、切実な問題がある。
  • 作成企業もマンパワーの面で非常に差がある。早くできる会社は確かにあるが、目線をそのような企業のみに置かず、そうではない会社が何千社もあるとの現実があることに留意してほしい。企業の作成期間、監査期間という点も考えた上で、株主と会社の対話をマクロ的に考えるスタンスは重要ではないか。
~座長締めくくり~
  • 早期開示が現状として相当広がってきた。その前提のもと、議決権行使に関する具体策、東証へのリクエスト、法制度としての是非を含めた導入方法など様々な議論が出たが、具体化の方向に行くべきとの議論が出てきた。これから具体策をどう進めていくのか、次回も含めて検討してほしい。この会議には様々な利害関係者も参加しており、互いに忌憚のない意見を交わし、どこに問題点があり、どう解決するかアイディアを出し合い、それを実現していく場にしていただきたい。

以上

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経済産業政策局 企業会計室

最終更新日:2017年3月9日
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