経済産業省
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株主総会プロセスの電子化促進等に関する研究会(第8回)-議事要旨

日時:平成29年3月22日(水曜日)15時30分~17時30分 
場所:経済産業省本館17階 国際会議室

出席者

出席委員
尾崎座長、青委員、飴嶋委員、上田委員、江良委員、小木曽委員、藏本委員、澤口委員、高山委員、武井委員、永池委員、中川委員、野村委員、古本委員、堀田委員、松井委員、山田委員、脇山委員
ゲスト
(株)ICJ今給黎様

議題

(1)招集通知等の新たな電子提供制度の実務
(2)内外における株主総会プロセスの電子化動向
(3)フォローアップ・取りまとめ(案)
(4)自由討議

議事概要

1.招集通知等の新たな電子提供制度について

英国の電子提供制度の実務について

  • 英国の電子提供制度導入時のインターネットの普及率は現在に比べて低かったこともあり、制度導入初年度は実務面でかなり大変だったようである。
  • 英国では、新たな電子提供制度変更の際、実務上どのように対応するかについて、カンパニーセクレタリーの協会、日本でいえば全国株懇連合会が相当すると考えるが、この協会がガイダンスを出したり、説明会を開催したりといったフォローを行ったと聞いている。その後、何年か経過して電子提供制度も定着し、現在では制度上の混乱はなく、安定していると聞いている。すなわち、重要なのは適切な制度設計がなされることであり、制度導入時はある程度実務は大変だが、そのうち慣れるとの意見だった。
  • 英国の事例は日本の将来の方向性を示しているのではないか。みなし同意に係る通知発送や書面請求対応について実務上過度な心配は不要との声を聞いたので、今回紹介した。
  • 英国の事例は非常に参考になった。英国の場合、大手企業はウェルカムパックを出しており、新しい制度対応もウェルカムパックの一部として位置づけたことでスムーズに進んだのではないか。日本では、日本における実務の実態にあった方法を考える必要がある。
  • 日本において、今後新たな電子提供制度について細部の議論が進むと、様々な課題が出てくるだろう。例えば、すべての上場企業が一律に電子提供する義務を負うことになるのか、各企業の選択肢のひとつとするのかで変わってくる。書面請求権が認められ、それへの対応に不安が残るような制度になるようであれば、制度移行を強制されることはもちろん、電子提供を選択することにも躊躇しかねない。今後の制度設計に際しては、制度の柔軟性に配慮しつつ、実務上の問題をクリアしていくことが重要になるのではないか。
  • 英国のように、既存株主と新規株主を別扱いにすると、さらに管理変数が増えるため、日本の場合、両者を区別する制度にはならないのではないかと考えている。
  • ネットリテラシーの高い個人投資家であっても、一部書面のメリットを強調している。英国のように、電子か紙かを選択できる制度となることが望ましい。
    ⇒(質問)紙の優位性について、新しい電子提供制度が日本でできた場合、議決権行使書は書面で送られると認識しているが、それに追加して招集通知も書面で入手したい人が多いとの印象か。
    ⇒(回答)そういう意味ではない。議決権行使書面は紙でほしい、それ以外の資料についてはポストが壊れるのでウェブで十分との意見が多い。

全国株懇連合会における書面請求実務の検討状況について

  • 招集通知の電子化については、発行会社側の負担感や事務ミスの発生、株主側の不利益等が増える可能性も念頭に検討を進めてもらいたい。
  • 書面請求権について、法的な解釈・手当が欠かせない。特に株主数の多い企業において、個別対応が必要になった場合の複雑さは想像を超える。十分な検討が必要。
  • 資料4の想定フローに関して、全国株懇連合会としては、想定A(証券保管振替機構が介在する)、想定B(証券保管振替機構は介在せず、証券会社から発行会社に取り次ぐもの、または株主名簿管理人から発行会社に取り次ぐ)いずれのパターンが望ましいと考えているのか。
    ⇒(回答)想定Aに優位性があると考えている。想定Bは方法としては考えられるものの、現状このBのルートで行われている「送付先指定」の手続は、処理数が少ないためワークしている。書面請求権については、大手企業であれば、1割程度の株主から書面請求があっただけで、何万という対応件数になってしまう。このため、株主数の多い企業の場合、「送付先指定」と同様の方法では対応が難しいと考えている。他方、想定Aの場合、証券会社でその株主が保有する全ての銘柄の取扱いが可能になり、株主にとっての無用な混乱も避けられる。ただし、それぞれの関係者でシステム対応が必要な点、証券会社内部での周知に手間を要する点が想定Aの課題である。
  • 全ての銘柄について書面請求の有無の取扱いが可能とはどういう意味か。
    ⇒(回答)現状、複数銘柄を保有している株主が配当金を比例配分方式で受取る場合、すべての銘柄で一律に指定できることになる。書面請求についても、それと同様の方法が可能になると想定している。
  • 全ての上場会社に対して、総株主通知事項としては統一的に書面請求の有無に関する項目を整備するが、招集通知の電子提供制度を採用については企業の選択に委ねるという理解でよいか。今までのこの研究会の議論では、定款ルートでない法改正ルートで対応すると言っても、各上場会社に電子化が強制されるという意味での法改正という議論ではなかったと思う。
    ⇒(回答)上場会社は一律に電子提供を義務づけることが望ましいと考えている。これは、電子化プロセスの促進に資すること、株主の混乱を防止できること、企業に特段の新たな負担は生じないこと等を理由としている。
  • 口座管理機関が主に証券会社であるとして、一人の株主が複数の証券会社に同一銘柄を保有している場合で、当該株主の方が、証券会社に対して、異なる意思表示をするケースもあり得る点を課題として指摘しておきたい。現状、証券会社間では名寄せを行うことはしていないし物理的に不可能。
  • 英国の場合、発行会社自身がみなし同意通知を送付することで書面提供を希望する株主を把握しているが、資料4のフローでは、口座管理機関が株主からの書面提供の希望を受け付けることとなる。
  • 電子提供の比率が増えるか否かという点で、資料4の想定Aと想定Bに差はあるか。
    ⇒(回答)その点では差異はないと考えている。
  • 書面請求権への対応方法が従来から議論になっており、実務がスムーズに進むような制度設計が関係各位には求められている。
  • 企業と株主双方にとって利便性の高い仕組みができること、不安をできるだけ除去できる制度設計、制度の定着に向かってほしい。

個人株主の視点からみた株主総会プロセスの電子化

  • 前回の研究会では、所有比率2割を占める個人株主の話題がなかったが、今回は個人株主について詳細資料があり感謝。
  • 本日は、個人投資家に対して実施したヒアリングの結果を紹介したい。ヒアリングはメールで実施したため、インターネットにアクセスしない世代の声は拾い切れていない。
  • 招集通知について、電子化(早期Web開示)が進んで便利になったとの声が多かった。特に保有銘柄の多い株主にとって、大手出版社が運営する適時開示速報のサイトなどが情報収集をする上で便利であるとの意見があった。
  • 一方、コーポレートガバナンスコードの導入に伴い、開示される情報量が膨大になり、必要な情報を探すのが大変との声もある。このような場合、一覧性という観点からいえば、電子は紙に劣る。他方、検索可能性という面では電子の方が良い。
  • 議決権行使サイトについては、やはり企業ごとにIDやパスワードを入れるのは面倒で、ハガキの方がはるかに便利であるとの傾向は昨年と変わりない。
  • 招集通知や議決権行使に関して、個人株主向けの情報プラットフォームを日本では誰が担うのか。フランスの事例にあったが、初期のシステム投資を誰が負担するのかが課題ではないか。

2.フォローアップ・取りまとめ(案)について

2017年3月総会の動向

  • 本年3月総会のトレンドとして、全体的に昨年同時期よりも企業の取組は進んでいる。
  • まず、電子行使プラットフォームの参加会社は昨日(3月21日)時点で820社となった。6月総会までに830社程度の参加を想定している。
  • 招集通知を早期Web開示した企業数は、本年3月総会379社のうち222社(58.6%)と、昨年の172社(366社の47.0%)から増加している。また、英文招集通知を開示した企業数も、本年3月総会379社のうち92社(24.3%)と、昨年の70社(366社の19.1%)から増加している。

議決権行使の電子化について

  • 招集通知の送付後、発行会社が投資家に対して議案への同意を求める文書を追加で出すことがあり、本年の3月総会でも数社で確認されている。
  • このようなケースにおいて、ICJ参加企業であれば、追加情報後に機関投資家が指図を変更することは可能だが、ICJ未参加企業の場合、適時開示したとしても、機関投資家には一定の指図期限があるため、変更できない場合がある。ある事例では、企業が、補足文書を追加で出したのが総会開催日の8営業日前で、海外機関投資家はほとんど反応できず(再指図できず)、国内でも余裕は数日程度で、適時開示が議決権行使に影響を及ぼせなかった点で残念な事例だった。当社としては、発行会社に対して、ICJ参加のメリットを伝える必要があると感じた。
  • 提言2に関して、前回議論になった上場会社に対するICJ参加の義務付けを後押ししたい。その観点で、グローバルカストディアンの要望を紹介したい。
  • 最近、グローバルカストディアンから、議決権行使結果が正しく株主名簿管理人に伝わり、正しくカウントされているか確認してほしいとの依頼を受けた。このような要望は、以前から定期的に受けていたが、書面行使は年間3万件程度取扱っており、個別の行使結果を株主名簿管理人に確認するのは現実的でないため断っていた。他方、株主の立場からすれば行使結果を確認したいとの意向は合理的であり、その観点からも電子行使のプラットフォームはこの意向に応えるものとして期待されるものであり、電子化の意義があると思う。
  • 議決権行使に際して判断のための時間を確保できることがICJ参加のメリットの一つと認識。引き続きプラットフォームの活用に向けて取組むべき。その一環で検討していることがあるので紹介したい。
  • 以前、企業から、議決権の行使結果が現状信託名義でしかわからないので、実質株主名義レベルで把握したい、との要望があった。ご指摘はもっともだが、投資先企業が2000社あると個別に伝達することも時間がかかるため、ICJと新しい取り組みを検討している。
  • 具体的には、全上場企業ベースの行使結果と理由を、総会後にICJに提供し、ICJ参加企業に対してのみ、個別に当社の行使結果と理由を提供する機能追加ができないか検討している。対話のきっかけ、情報発信として、ICJのプラットフォームを活用したいと考えている
  • そういった機能があればICJプラットフォーム参加のインセンティブが生まれやすくなるかを発行企業にはお伺いしたい。
  • アセットオーナーについて、大手の公的年金の大手に反応を聞いたところ、「プラットフォームの利用について、議決権行使の方法については、一任契約の範囲でアセットマネジャーに任せている。ICJ経由かどうかを含め、どのような方法でも問題なく、きっちりやってもらえるならやり方は任せている。アセットオーナーの同意を前提にする必要はない。」との意見だった。
  • ただし、情報の管理については、アセットオーナーの保有内訳がその企業に伝わらないようにしてほしい、との声がある。既にそのような情報管理について書面等での規定がICJにあれば構わないが、その点は配慮してほしいとのこと。
  • とりまとめは対外的に発信するもの。解決すべき課題のみ列挙せず、インターネットを利用した取組事例など、進展している面、前向きな面も記載すべき。
  • ただ、固有名詞について、ヒアリングの結果なのかもしれないが、固有名詞は削除した方がいいのではないか。
  • 議決権行使の実質化が今後の大きな論点。対話の促進によって議決権行使の深化が図られることが重要。電子化のプラットフォームが議決権行使の実質化に資する、そうなって初めて電子化の意味が出てくる。
  • アセットオーナーの保有する銘柄の内訳が参加企業に伝わらないようにしてほしいという先ほどの指摘について、もう少し詳しく聞きたい。
  • ICJが企業を勧誘する際に、機関投資家の議決権行使状況が分かることを挙げていたようだが、例えば、公的年金のアカウントのなかに数十のファンドが入っているが、それぞれ個別の行使状況が分かるのだとすると、それはアセットオーナーからみると懸念点となる。
  • 今後、アセットオーナーが議決権の行使結果を個別開示することになれば必然的に解決する話ではあるが、個別開示をしていない状況において、ICJ参加企業に限り、アセットオーナーの保有企業銘柄とその保有数を知ることができるということであれば容認できないと考えるアセットオーナーがいるということ。
  • これは、ICJ参加の企業側メリットとして使っている投資家の手口が分かることとなっているのかどうか、情報管理の規定を明確にしてほしいとの意見である。
  • なお、アセットオーナーの保有銘柄の情報管理に関してアセットマネジャーに決定権限はないと理解している。アセットマネジャーは行使の指図権は与えられているが、(アセットオーナー別にみた)議決権行使結果の情報を行使先企業に伝えるかどうかはアセットオーナーに権利がある。
  • 議決権行使結果を一般公衆に開示する点に関しては、アセットオーナーの背景には国民がいるので構わないが、これをICJ利用のメリットとして位置づけるのはおかしいのではないか、ということである。
    ⇒(質問)議決権行使結果を一般公衆に開示するのであれば、行使先企業も調べれば分かる話なので、ICJ経由で情報を伝えても問題ないのではないか。
    ⇒(回答)この論点は、日本版スチュワードシップコード改訂による議決権行使結果の個別開示の論点が出る前の話である。今となっては、アセットオーナーに対して個別開示してほしいと要請すれば済む話であり、ICJ参加とは関係ない話となっている。しかし、以前は、ICJに企業が参加するメリットとして個別のアセットオーナーの考え方が分かると言われており、その点がアセットオーナーから問題視された。前日GPIFは基準日ベースでどの会社の株を何株持っているかについて開示したが、それに続くところがなく、ほかのアセットオーナーは自らの保有情報の開示を是としていない。また、アセットオーナーは自分たちが予期せぬ方法で保有情報が漏れることを懸念している。企業から直接質問を受けるのは問題ないが、自らが知らぬところでICJから情報が流れるケースを危惧している。
    ⇒(回答)事実関係として、ICJが実質株主情報を参加企業に見せる仕組みにはなっていない。この点は明確にしておきたい。すなわち、発行会社に議決権の指図情報を伝達する際、すべて名義株主情報に変換して伝達している。アセットオーナー別の保有情報が伝わるような仕組みにはなっておらず、情報管理は徹底して行っている。
    ・先ほど指摘のあった機関投資家の議決権行使結果を企業に開示する話についても、アセットオーナー別の保有情報を伝えるというものではなく、あくまでアセットマネージャー(運用会社)の議決権行使の話。これについては、今年の6月総会から対応できるように検討を進めている。
    ・Vote Confirmationについては以前から指摘があるが、プラットフォームを使うことによってシステム上にエビデンスは残っている。現状、ICJで確認できるのは、議決権行使情報を株主名簿管理人が取得したというところまでで、実際に発行企業側で票としてカウントされたかというところは今後の課題と認識している。
  • 既にとりまとめにも記載があるが、研究会の分科会として、より小規模に関係者が集まり、ICJを共通インフラとしても利用できるよう議論ができればいい。
  • 投資家の議決権行使に際しての検討期間を十分に確保することは重要なことであると考えている。様々な方法があると考えられるが、当面、現実的で効果があるものとして、早期Web開示を充実させてほしい。
  • 議決権行使プロセスの電子化について、対話の促進が一番の目的であり、その目的から逸れないことが重要。その前提で関係者のニーズに合いつつ、実質的なメリットを増やし、実態として利用者が増えるよう全体を巻き込んでいくのがよい。そのような考えで関係者の協議の場を設けることには賛成である。
  • プラットフォーム活用に向けて関係者が集まって議論するというご提案は有り難いものの、その議論に際して、株式会社という建て付けや資本関係に踏み込んだ話となると身構える。ご理解いただきたい。

基準日変更による総会日程設定(いわゆる3月決算企業による7月総会)について

  • 前回の研究会で、株主総会関連日程の適正化に関し、企業側はニーズもインセンティブも感じないとの意見があったが、この点については、投資家との間にミスコミュニケーションがあると考える。
  • 株主総会の主担当が法務部門や総務部門であるため、日頃投資家と接点のあるIR部門の意向がなかなか反映されないのではないか。
  • 上場会社にとって株主総会とは何であるか、経営トップが再定義づけし、担当部門も含めて、見直すための何か仕掛けができればいいのではないか。ガバナンスコードの導入がそのきっかけにはならなかったが、せっかくコードを作ったのだから、これをベースに今後企業と投資家の対話を深めていけたらと考えている。
  • 北米の投資家を訪問した際に、SR関係で、議決権行使担当者とも会った。当社の昨年の総会日はワースト3位の集中日だったが、その点に関して投資家から特段の懸念は示されなかった。
  • 総会日の集中度がネガティブな印象を与えているとの記載があるが、ネガティブな印象とは具体的に何を指すのか。当社としては、早期Web開示しているために投資家から懸念が提示されなかったということであれば、基準日の変更ではなく、早期Web開示を進めることで状況を改善できるのではないかと考えている。
  • また、総会日程が集中しているが故に、日常的な対話時期も集中しすぎるとの指摘は理解できるが、特に海外機関投資家の場合、年に1回か2回しか会うことがないのだから、スケジュール調整で対応できるのではないかと思う。
  • 基準日の変更について、基準日の変更も含めた企業側の柔軟な対応を求めるような記載の方がいいのではないか。基準日変更だけが対話促進のための解決方法との考え方には疑問がある。
  • 取りまとめ案の内容に異論はないが、「総会開催日の適切な設定」に関する記載について、検討をお願いしたい。「総会開催日の適切な設定」イコール「基準日の変更」と読めてしまうところや、総会を7月に開催することのみが対話充実に向けた取組みであるとの誤解を与えかねないところがある。
  • 具体的には、P.1の2.の3点目に「株主総会日程の適切な設定」として、カッコ書きで(決算日とは異なる日に議決権行使基準日を設定し、当該基準日から3ヶ月以内に株主総会を開催することで、決算日から株主総会までの時間的余裕を確保する取組)と記載があるが、「株主総会日程の適切な設定」とカッコ内の記載をイコールとして位置づけているのか、明確にしてほしい。
  • 基準日は適切な総会日程設定のための選択肢のひとつと認識しており、何をもって適切と判断するかは一律には決まらず、早期開示や投資家との対話など、会社ごとに判断すべき事項である。
  • P.1「適切な設定に取り組もうとする企業は限定的」との表現、P.6「対話の充実」イコール「基準日の変更」と読める表現も再検討してほしい。
  • また、P.6で私の前回発言を踏まえた記載があるが、発言の趣旨としては、マクロ的な観点で現在の状況に問題がないと考えているということではない。が、マクロの問題と個々の会社における利害得失・解決方法との間にはミスマッチがあるということを言ったのであり、「状況にある」というよりは、企業側の意見として記載していただいた方が正確である。
  • 運用側の一意見としてだが、集中日に対する投資家サイドのデメリットについて、各委員が所属する企業に問題があるとの認識はない。ただし、マクロの観点から言えば、当社は昨年6月総会企業で約1500銘柄を行使しており、早い企業で3週間前までに議案が届き、行使締切が1週間前であるため、その間に1500銘柄を処理する。
  • 日本版スチュワードシップコードの議論において、行使結果を個別開示するとの議論があるが、本来、企業の実態・対話を踏まえた議決権行使が求められるにもかかわらず、短期集中でミスが許されないことになると、より形式的・ルールベース・機械的な行使が増えてしまうことを懸念。
  • 本年の3月総会で300社程度行使した。その程度であれば、もう少し詳細に議案を検討できるが、1500社となると機械的な行使が起きかねない。マクロの観点では、アセットマネジャーも機械的にならざるを得ない。
  • 改善方法には選択肢があり、早期開示によって改善される部分もある。また、IFRS導入で決算期を変更し、6月総会から3月総会に変わった企業もある。企業の実態や十分な対話を踏まえた議決権行使を希望する企業であれば、6月総会を避けることを勧める。特に、買収防衛策など利益相反が生じかねない議案の場合、早期にWeb開示・対話を始め、かつ総会日も変更することで、時間的な余裕を十分確保する方がいい。
  • 前回の研究会でACGAやICGNの意見を代弁したが、本日いくつか補足したい。個々の企業の努力は理解できるが、マクロの観点からは、現在の総会集中状況では質の高い判断ができないとの意見が根強い。世界各国が同じなら仕方がないが、先進国において日本の総会集中度は突出した状況にある。
  • 集中時期に総会を開催していたとしても、投資家との面会時には高い評価を受けることもあるかもしれない。しかし、もしその投資家に「当社は基準日を変更したり決算期を変更したりして、議案の検討期間を延ばすことを検討している」と伝えれば更に高く評価されるのではないか。
  • ACGAには、日本に投資している大株主の多くが存在する。日本の議決権行使環境について「対話の時間が取れない」、「マクロでみればネガティブに捉えざるを得ない」という評価があるのは事実。
  • しかし、現状彼らが、個々の企業に対して個別に基準日や総会日の変更を要求したり、レターを出したりしていないのは、こうした公の場で関係者が議論している、努力している、ということが評価され、投資家や企業の取組が今後進むと期待しているからではないか。企業は、このような投資家の見解も念頭におきつつ、対話充実に向けた取組を促進してほしい。
  • 総会日が6月末に集中しているのはやはりおかしい。6月末でなければいけない明確な理由はない。
  • 昔の特殊株主がいた頃の総会運営を引きずっているだけではないか。それが結果的に、会社法が決めているわけではないのに、何故か総会時期が集中しているとして、海外から違和感を持たれているのではないか。対話の充実が一層重視される状況下、総会開催日を柔軟に考えるべきであるとの方向性は、研究会として示していくべき。
  • 外国人投資家のネガティブな印象について、日本の集中日の比率を見せられて意見を求められれば、それはネガティブな感想が出るのも当然ではないか。
  • こうした日本市場に対してネガティブな見解を示している投資家が、実際に個社の招集通知を読んで判断しているのかは疑問。いわゆる外国人投資家として対話の対象になっている機関投資家は、個別に議案を読んで判断するのではなく、予めポリシーを固め、対話に基づいてポリシーを調整するものの、6月の議決権行使時にはISSにカスタマイズを任せている。例えば、外国人投資家の代表例として、ブラックロックが総会は7月に開催すべきだと主張しているのであれば理解できるが、そうでないのでれば、ある種は一般的な印象と受け止めてもいいのではないか。だからこそ、実際に個別の機関投資家と対話した際にネガティブな懸念を表明されなかったのではないか。
  • 実際に6月総会で議案を判断する立場からすると、大変なことは間違いない。当社でも2~3週間で1500社程度を処理しており、作業量は多い。そのため、総会集中によるデメリットは小さくない。

個人株主とのコミュニケーション

  • とりまとめ案について、個人投資家の視点も入れるべき。今後期待される方向性として、個人投資家が招集通知受取や議決権行使が一括として行えるような情報プラットフォームの整備も課題である旨を記載する方がよいのではないか。
  • 電子化促進は、企業側のコスト削減の側面もあるが、対話の充実・促進が主な目的。この点はしっかりとおさえておきたい。
  • なお、個人投資家にヒアリングを実施したが、近年企業との対話が促進されたと感じるかどうかとの質問に対して、Yesと答えた層とNoと答えた層で大きく分かれた。
  • Yesと回答した層はネットでの情報収集に努めている個人投資家であり、動画によるコミュニケーションが進んだことを評価している。株主総会後の事業説明会について、投資家からの質疑応答を含めてネット中継している会社、株主総会や決算説明会の開催日から動画公開までの期間が短縮している会社が評価されている。個人投資家にとって、特に決算説明会の動画は評価されている。
  • 一方、Noと回答した層に代表される意見は、株主総会後の懇親会において、社長や役員と直接的で深いコミュニケーションを図ることを重視していたが、懇親会を開催する企業が減っていることを批判的に受け止めているといったもの。背景として、ネット等で広くコミュニケーションをとることが可能になったため、アナログなコミュニケーション方法を以前よりも減らしている企業が増えている点があると考えられる。
  • 個人株主とのコミュニケーションについて、ネットなのか、アナログなのか、どちらを優先するかは企業の問題であり、この場で方向性を示すものではない。他方、個人投資家の皆さんに共通している意見は、株主総会におけるコミュニケーションをやりやすくするため、総会の集中度は減らしてほしい、平日昼間ではなく夜間や休日に開催してほしい、といった開催時間帯を含めた総会開催の分散に対する要望だった。
  • また、機関投資家との情報の非対称性を解消してほしいとの意見も聞かれた。やや改善しているが、まだ課題があるとの印象。

3.座長からの締め括り挨拶

  • フォローアップとして、昨年の提言とりまとめ後の情報共有が第7回、第8回の会合の目的だったが、加えて海外での動向等についても確認できた。
  • 研究会の原点は対話の促進であり、企業側は的確な情報提供を行い、投資家側は情報を踏まえた意見を、議決権行使という形で示す、その対話が株主総会である。
  • 招集通知等の電子提供制度等これから具体的な制度設計の段階に入るものもある。それらも含めて、この研究会が、今後も取組継続・フォローしていくことが重要。今回こうしてフォローアップの場を設けることができてよかったと考える。
以上

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最終更新日:2017年4月20日
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