経済産業省
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日本の「稼ぐ力」創出研究会(第9回)‐議事要旨

日時:平成27年3月10日(火曜日)13時30分~15時30分
場所:経済産業省本館17階 第1特別会議室

出席者

伊藤座長、翁委員、加藤委員、川村委員、國井委員、斉藤委員、土居委員、冨山委員、野坂委員、野路委員、増田委員、山口委員

議題

ローカル経済圏の「稼ぐ力」創出

議事概要

事務局より、資料3に基づき説明がなされた後、委員間で行われた討議概要については以下のとおり。

  • 製造業や農林水産業、化学工業など、域外に物を出して稼ぐという産業の生産性向上を図ることが非常に大事。その際、大学と連携したオープンイノベーションの創出にも触れられているが、現在、文部科学省がCOIストリーム(革新的イノベーション創出プログラム)という取組を行い、シリコンバレーのように、大学と企業とが一体となった地域を各地域につくろうとしている。現在、11拠点がその候補に応募しているところだが、アメリカのシリコンバレーやボストン、ピッツバーグといったものを考えさせるような形の仕上がりになり得る格好で進んでおり、大学と企業のオープンイノベーションの大変良い事例として、注目しておく必要がある。
    ソーシャルビジネスについては我々企業も非常に重視している。市場主義、資本主義が地球を荒らし、資源の無駄遣い、環境破壊を行い、金融が暴れたと反省。それを少しずつ是正するために、企業として貢献をする必要がある。その形としては、お話のとおり、通常の株式会社とは少し形態の異なるNPOや企業、政府あるいは地方公共団体が共同作業を進めて行く格好になるだろう。当社でいえば、第二法人がNPOや政府と一緒になってソーシャルビジネスを行い、それに対して第一法人が例えば農林水産分野における成果と、人材を外に出すということが想定される。
    3番目のローカルベンチマークについては、地域コングロマリット企業について言うと、日立自身もローカルではないがコングロマリット企業であり、不採算事業の合理化には苦労してきた。痛みを伴う改革になる。人員の対策も必要であり、地域の事業を潰すということになると、かなりの覚悟が必要である。様々な地域で実際に経験されてきた話でもあり、そうしたものも参考にすべき。かなりの覚悟が必要。しかし、ゾンビ企業を潰して、衰退事業から新規の事業に地域を切り替えていくことは重要であり、賛成。責任者が覚悟をもって痛みを伴う改革に取り組んでもらいたい。大企業もそこに人を出すことで貢献できると思う。かなり力量がいる話。
  • 私もソーシャルビジネスに期待。特に、株式会社の役割をもう少しソーシャルビジネスの分野でも重視するような風潮が出てくればと考えている。非営利法人だとガバナンス面で問題がある。例えば非営利法人に分類される学校法人が、利益を追求しないからといって効率的な運営ができるかは別問題。効率的な運営には他からの規律付けが必要。非営利団体でも規律付けがないといけないが、出資者からの規律付けがないということが一番の欠点だろう。そういう意味では、株式会社が最もガバナンスが効いている。
    会社法上も、現在の株式会社が必ずしも利益追求のためだけに構築されているものではない。ソーシャルビジネスを行うことも株主がよしとすれば可能とはいえよう。社会的に貢献をせよという株主がいれば、株式会社であってもこういうビジネスに今でも乗り出せるということなので、株式会社の枠組みを使って、社会的事業を立ち上げることは、株主次第では、現行法でもできなくはない。
    医療や農業といった分野では、株式会社という存在に対してアレルギー反応を起こしていることには個人的に憤りを感じている。株式会社は決して会社法以前に規定されていたような存在ではない。株式会社の新たな姿というもののイメージをもっと世の中に浸透させて、ソーシャルビジネスの分野でも株式会社がより活躍できる枠組みを作っていくということだと思う。その点では、制度・税制面のサポートがあってもいいのかもしれない。
    地域経済分析システムについては、非常に良いシステムができたと思っている。これまでは、個々の企業にまつわるデータを知らずに、象を撫でるような感じで、各都道府県なり自治体で産業政策という名のもとにいろいろな取組がなされてきた。的を射た取り組みをした自治体ももちろんあるわけだが、なかなか、かゆいところに手が届かないような自治体における産業政策というのも多々あることは事実で、結局、空振りに終わってしまったというケースもあったと考えられる。その空振りをできるだけなくすには、データに基づいた政策立案なり実行が大切であり、この地域経済分析システムはそのためのインフラを構築したのではないか。
    ただ、それを踏まえて自治体が各地域で取り組むことは良いが、古き悪しきフルセット主義と言うべきか、どの既存産業もかつての栄光を取り戻すかのように頑張れといった風潮になってしまったとしても、かつての栄光は取り戻せないような産業も地域にはあるかもしれず、各自治体が割り切りをもって参入と退出を促すことが求められるのではないか。
  • 社会的ミッションを満たすという大義でいろいろ組織があると思うが、No-profitという組織の作りは、資本主義国家においては、コスト高で機能性が低いものになりがちである。for-profitは別とすると、with-profitがリーズナブルではないか。
    時期的に言いづらいが、復興の例などをみても、大規模な土木工事と地域のニーズとが本当にマッチしているのかという想いが拭えない場面もある。決まった予算をそのまま注ぎ込むべきかレビューすべきで、常に広い意味のプロフィットという考えを持って当たらなければならない。
    似たような点で、第三セクターの惨状に驚いた記憶がある。県や市、地方議員がその責任回避のために反対するので、債務整理ができず、第三セクターが残ってしまい、コストが流れ出るままになっていた。対策としては、合理的な利益を求めつつ資金の「見える化」をしながら仕事をする他ない。そこでは、情報を透明化しなかった場合のペナルティ、また国民や地域住民がそれをチェックして判断するスキームを作っておかなければならない。
    日本は年間100兆円の社会保障給付費を要し、その中で公的年金に50兆円、医療費に30兆円を支出している。これだけ大きな市場において、例えば、医療・薬品の関係者が、利益追求の観点だけで動くのであれば、市場が上手く機能しなくなる。”non profit”とは言わないが、”with profit”の観点で行動すべきである。
    そうした意識がないからこそ、今はこの巨額の支出に切り込むことなく、税金が更に積み上げられている。こうした事態を分析してラショナルな構造改革をしなければ、財政問題から医療問題まで、あらゆる問題が解けない。経済産業省と厚生労働省とがジョイントチームなどを作って、一緒に解かなければならない問題。
    もし、本当に個人の可処分資産が1,600兆円あるのであれば、自分の健康のことなので、国のお金で医療費などの数十兆円をカバーしなくてもよいとも言える。そうだとすれば、自分の健康のためでもお金が払えない人と、実は自分で賄える人とを分けるべきではないか。1,600兆円の個人金融資産のうち、1,000兆円程度を保有する高齢者が医療費の大きな支出先になっているのであれば、そこから医療費などを捻出することもできるのではないか。予算の全体像で考えると、消費増税に帰結しがちだが、国家としての本当の医療プロジェクションを作っていく必要がある。
  • 地域経済分析システムは、大変すばらしいものができた。「見える化」のデータを見て全国の自治体が目を覚まして、自分たちの生きる道は何なのかを考える手立てにしていただきたいと思う。空振りを避けることも大事だが、M&Aが時間を買うというのと同様、経済分析、地域分析は、自分たちの地域がどんな産業特性があって、どこで攻めていくかということを迷わずにピンポイントで攻めるという、時間を買う作業に有益だと評価している。
    ローカルベンチマークについて、主として成熟期から再生期がダーゲットとの話だったが、成長期にある企業が更なる成長をしていく中で、攻めながら、他の地域とどう連携を図るかといったことも重要であり、伸びている企業がさらに伸びていくために有効な指標、という視点も必要ではないか。
    投資家にとっては社会的な便益・リターンがあるということで、一定の経済リターンも期待できるという、そのような両立が求められている。我が国のソーシャルビジネスに対する社会的投資は欧米に比べて遅れているが、この分野の成長性や潜在性はあると思う。社会的インパクト投資のマネーをどう集めていくかを考える必要がある。より一般国民に社会的投資を浸透させるため、休眠預金の活用、あるいは社会的インパクト投資の減税の問題という議論もあるかもしれない。一般国民が関心をもつムードや社会的インパクト投資に関する個人の投資家のリテラシーを高めていく必要がある。そうすることで、我々の研究会の課題が広く一般にも共有され、社会的インパクト投資やソーシャルビジネスのさらなる発展につながるのではないか。
    ところで、病床数を削減しなければいけない地域があるとか、あるいは、急性期機能病院から慢性期機能病院を広げていかなければいけないという場合に、ある程度司令塔的な機能がしっかりしていなければいけないと思うのだが、この点について土居委員はどのようにお考えか。
  • 今、地域医療構想を来年度から各都道府県で策定するという話が進んでいて、今の建て付けでは、都道府県(知事)が、イニシアティブをとるということになっている。このため、地域医療介護総合確保推進法で知事の権限を強め、病床について、言うことを聞かない医療機関があったら是正をするように言えるような権限を強めていることもあり、都道府県にはその役割をさらに担っていただきたいということを期待している。
  • LM法人は社会の姿を大きく変えうると思っている。ソーシャルビジネスが新たな就職先や進路選択先として、人材の受け入れ先となり得るし、大変期待するビジネスである。
    サービス内容の収益性は低くなってしまうだろうから、公のために役立ちたいという人の志を持続可能にするよう、そこをどうするかという議論をまず掘り下げる必要があるのではないか。
    LM法人という新しい制度を作るというような報道がなされたと記憶しているが、この段階で新しい法人制度をつくるという文脈で検討するというよりは、ビジネス・仕事として社会的に有用だという認識を十分浸透させた後に、その仕事の中身を踏まえつつ、透明性・ガバナンスについて議論していって欲しい。
    おそらく、新たな法人類型は必要となってくるのであろうが、そこを担う人材(できるだけ若手が好ましい)という観点も重要。ちょうど今年、高知大学が、文科省のCOCという取り組みに採択された。こういった取組の出口として、経済産業省の取り組みもうまく連携して行けると良いと思う。
    ローカルベンチマークについて、中小企業の経営者はどこも高齢化している。交代がない。そういう人たちにとって、地域だと事業承継が難しいことが1つの問題になっている。経営者の年齢、後継人材の有無といった事業継承に関するものも1つ指標としてあればいい。経営改善に向けた取組については、IT投資額なども評価に入れるべきではないか。
    地域経済システムは、従来経験と勘に頼ってきた部分を「見える化」し、エビデンスに基づいた産業政策をつくるという上で非常に有用。説明会を通じて、自治体にはぜひその政策を伸ばしていただきたい。その際、これからの産業構造や産業の中身は技術的な進展とともに劇的に変わっていくものであることを考えれば、過去の実績に基づいたこのビッグデータと合わせて、未来に対しての洞察力とか構想力を持つことが重要であることに注意すべき。本当の意味での実力の差が出るところは、この点である。同時に、産業政策を作るに当たって最終的に重要となるのは、企業の経営であり、民間の判断。経験ではなく、過去のデータだけを元に行政が張り切りすぎてはいけない。これらの点を踏まえて、システムがうまく使用されることに期待したい。
  • 事務局資料46頁に記載の課題であるが、この内容についてはずいぶん状況が変わりつつあるのではないか。例えば株式会社については、確かに利益追求が第一の目標だが、それだけではなく、消費者起点で、社会性を重視する傾向が少しずつ出てきている。消費者も、企業の取り組みの社会性を見て、サービス・商品を購入するようになってきている。そのような波及が広がれば、社会的な取り組みは利益の最大化という目的と調和していくことになるだろう。そのための素地は整ってきていると思う。バブル期以降、CSR、CSVと社会的潮流を辿ってきているのも、このような動きを表しているのではないか。第三セクターのモラルハザードは、社会的にそういう部分を評価する仕組みが考えられれば変わってくるだろう。
    自治体は、だいぶ自発的な動きが出てきている。フーデックスというアジアの国際食品・飲料展において、ここ2年で、自治体のPRが非常に活発化していることにもその動きが表れている。首長連合ができて、名産品を一緒に売っていくという取り組みもある。これらの取り組みで、少しずつ改善の素地ができてきているのではなかろうか。社会性のある経済活動というのを、うまい一語に集約して打ち出していけば、ある程度具体的な議論が動き出す素地ができつつあると思う。
  • 非営利法人だと儲かってはならないという誤解があるので、その誤解を払拭するような動きは継続していきたいと考える。儲けなければ事業は継続できない。株式会社が入ってくると嫌だと言われている介護や保育などのテリトリーにLM法人が入っていくというのであれば良いと思う。その際、今までの地方公共団体よりも幅広い領域で活動する形になるかと思うので、その点で、行政区域を越えた形での地方公共団体とのコンフリクトを解決していく必要がある。また、将来的には、さまざまな保険者機能を持つようなスキームが入ってくればいいと思う。
    地域経済分析システムは、非常に素晴らしいシステムに仕上がったものであるが、これを使って地方で戦略を立てることや、その分析や解析をする人材をどのようにして育てていくかという点が課題である。シティマネージャーが研修を担当されるのかどうかわからないが、優れた人材がいる地域はよみがえっていくのだろうなと思っている。
    また、生活コストの「見える化」も、誰もが欲しかったシステムだろう。東京と地方とで、どれだけの生活コストが違うのか、これまでは知りたくてもなかなか具体的にみえなかった。非金銭的なコストについてはまだまだこれから拡充し、発展させていくことも必要であり、ぜひこれを大切に育て上げていっていただきたい。
  • 生活コストのデータにおいて、特に北陸や中国地方など所帯当たりの構成人数が多い地域のことも考慮する必要がある。こうした地域では、所帯当たりの収入が多いことがあり、ゆえに暮らしやすくなっている。こうした点に触れる必要があるのではないか。
     ソーシャルビジネスは株式会社で十分出来るのではないかと私は考える。様々なサービスで稼ぐ人やその提供を受ける者が存在する。当社のバイオマス事業の実施には地域の多くのステークホルダーとの連携が必要だったが、何らの公のサポートなしに、たったの一年で実現した。固定価格買取制度とは異なり、全て自費でまかなった。震災のときにも、それぞれの会社が出来ることをやっていけば早急に復旧ができる。
    ソーシャルビジネスをあまり難しく考えても仕方ないのではないか。自分の会社で何が出来るかということを各社が考えて実施するのみ。経営者が倫理観を持っていればやれる。そういった意味で第三セクターやNPOがやった方が良いような事業もあるかもしれないが、多くのサービスは会社でできるのではないかと思う。
    ローカル経済圏には50年、100年続いている老舗企業が多く、ドイツと同じ構造である。それに伴い、企業のグローバルニッチ化がかなり進んでいるが、日本の場合、そうした企業を助ける人が誰もいない。ドイツでは、大学やフラウンホーファー研究所、マックス・プランク研究所などがサポートしてくれる上に、お金は3分の1を民間が出して、3分の1は研究所で、あとの3分の1が国から出るというやり方でやっている。
    これに比べて日本の場合は、大手企業と大学とは連携していても、ローカルの中堅企業と大学との連携はほとんど進んでいない。地方大学にこそ、ぜひこうした役割を担っていただきたい。鋳造や歯車など、地域で技術を育てる必要がある。
    ローカル経済圏では何といっても第1次産業が重要だが、ほとんど農商工連携が起きてない。6次産業化といっても、農業法人が最初から最後まで全部やることには限界があるのだから、機械メーカーも肥料メーカーも流通事業者も、そろって連携しないといけない。その時、コーディネーターの存在が必要となる。私の経験では、コーディネーター大企業の生産技術屋が一番有効。大企業のOBを自治体に入れたり、公設試に入れたりするよりも、所属を企業のままに残して、契約に基づいて動かす方が、うまくつながるのではないか。
  • ソーシャルビジネスを支えるというのは、株式会社からのアプローチも可能と考える。保育はまだ数%だが、介護の5割は株式会社が担っている。事実として、既に株式会社も社会的事業の重要な担い手。他方、株式会社には課題も指摘されており、株式会社をベースにProfitをPurposeをもって追求していくという観点からの検討を継続してほしい。
    そのスキームのガバナンスの在り方については、例えば、種類株での手当ても可能かもしれないし、いざ破綻した場合にワークするように、破綻時の措置を定めておくといった工夫ができるかもしれない。Profitの方からばかり評価されて、Purposeの方から評価されないではないかという指摘については、事業目的をチェックするスキームの構築も考えられる。どのようなスキームを採るにしても、適切なマネジメントの確保が非常に重要であると考えている。
    保険者機能を医療の問題により活かしていくということが重要。特に企業については、健保組合の活動自体にどのくらい経営陣が関心をもっているのか疑問である。健康で働いてもらうということは人事施策の重要な根幹であるし、保険料というのも企業のコストに直結する話だと思うが、健保組合に関する議論において、健保連の顔は見えても、企業の方の顔が見えない。経営陣も、医療費や、健保組合を通じて企業の従業員の健康などにもっと関心をもって発言していくべきであるし、健保組合の抱えている課題などにもより目を向けていく必要があるのではないか。
    例えば、支払基金の事業費が高い問題や、調剤に多額の費用がかかっている問題など、さまざまな課題はレセプトの分析によってすぐわかる。そうしたことに企業の人ももっと目を向けて、何ができるのかということについて考えていただくことが必要。
    医療のデータに関しては、病院だけでなくて、診療所もこれから地域において重要な役割を果たすと思われるため、在宅、プライマリー・ケア、高齢者医療の観点から、診療所というものも含めて、どこまで地域医療の充実が支えられるかということを考えていただきたい。
  • 企業は変化をとらえて、ダイナミックに対応すべくチャレンジしていくが、コンセンサスを重視するためか、国や地方自治体では一度作った計画を元に評価をすることが多く、時代がそぐわないことが増えてくる。特に今はグローバルで、ICTによってビジネスのパラダイムシフトが起きているのだから、いろいろトライアルしないと正しい方向性は見えてこない。変化にうまく対応していくためには、評価指標を適切に設定しないと、うまく回らないのかもしれない。
    人材活用の観点では、地方での女性の活躍が非常に重要。地方議会では、女性議員がゼロというところが30%以上もあると聞く。地方は確かに保守的で、女性が活躍できる場がないと感じることもあるだろうが、まず立法を司る、地方議会の状況を改善しないと、地方再興はできないのではないか。
    お金は、男性に渡すよりも女性に渡した方が、教育など前向きなことに使うため適していると世銀でも言われている。もう少し女性のほうにお金が回って、女性の育成のエコシステムをつくるためには、地域のメンタリティを変えていかなければいけない。職住近接は、子育てにとってはメリットがあるが、このメンタリティが原因で敬遠されるのではないか。
    サービス化とかIoTによって、新たなるモノづくりとICTを融合させて、地方の大学等々を中心にした地方におけるエコシステムをうまくつくっていくことが重要である。ドイツのインダストリー4.0は、中小企業が大きく変わっていくための国家的な施策としての取組であり、それを実現するためにフラウンホーファーや、研究会社、大学などが力を合わせて進めている。日本の中小企業の例えば計測機器業界などは結構危機感をもっていらっしゃる。そして、中小企業ではなかなかグローバルスタンダードを自分でつくることはできない。そういう中で、中小企業も含めた地域でのエコシステムをつくっていくことが非常に重要ではないかと思います。
  • 16ページで、石川、福井、岡山の繊維の話に関連して、生産性の推移をトレンド的にみていると、岡山が上がっていて、石川は横ばい、福井が下がっている。産業構造論的にいってしまうと、一種のスマイルカーブ現象が起きている。つまり、川上・川下が強いところが良くて、川中でやっているやつがもうからなくなるという共通に起きている現象がここでは起きている。福井県で個別企業の経営に関わる人や、地域の産業政策に関わる人はここから、川中でもうけるという難しいことにチャレンジするのか、川上か川下にシフトするかを考えなくてはならない。
    そこで、次に問われるのは人材の問題である。地域にそれぞれ、こうした考えを持つことの出来る人材がいるとは思えないため、具体論に人材対策に取り組む必要があるのではないか。こうした脈絡で言うならば、地域の大学には地域の中で持続的に優れた人材をつくっていくということが求められるのであり、簿記会計や原価計算などの実学が必要になる。高校から大学の過程で、実学にブリッジをかけるということを真剣勝負でやらないと、この問題は10年たっても解決しない。
    生活コスト分析はとても良い取組。例えば盛岡では、共働きが多いこともあり、地域のちゃんとしたバス会社だと大体700万程度の世帯年収がある。この分析によれば、地方の年収500万円と東京の年収1,100万円が等価ということがわかるので、700万円は1,500万円くらいに相当する。こうした事実こそ、高校で進路指導の際に教えるべきではないか。自分が東京へ出て行って年収1,500万プレーヤーになれるのか、それとも、地元に就職して夫婦で700万になれるのか。ありのままの事実を高校生ぐらいのときから教えることは人生選択に重要であり、このデータはぜひ高校の必修にしてもらいたい。
    増田委員の「消滅都市」の議論があるが、裏返して言うならば、消滅都市になってしまいそうな全てを生き残らせる必要はないということ。スマートに撤退していくということも重要である。その際、大昔に日本の山奥にどの程度人が住んでいたのか、調べる必要がある。100年前の人口5,000万~6,000万の時代においては、今は集落とか里山だということになっているものは、もののけ姫の陣地となるような山奥だった。そこが、戦後の人口爆発期に開拓され、人が住み始めただけである。今はむしろ住宅の集積が進むので、昔以上に少ない可住面積で本当は住めるはずである。むしろ、かつての居住地域に均衡していくのは現実的な選択肢であるし、医療や介護の問題を考えても、無理に限界のところに住んでもらうよりは、生活満足度が高いところに移ってもらったほうが良い。生産性との絡みでも、「稼ぐ力」とすごくリンクする話であり、今後是非議論していただきたい。
    LM法人について、株式会社でできるかといわれたら、できるとは思う。ただ、それをやるためには特殊な種類株を用いて、経営者にそれほど利益がいかないというとても特殊なスキームにしなければならないのだろう。
    株式会社アレルギーのある人々がいるのは事実なので、それを乗り越えるための新しい形態というのはありだと思う。
    それに加え、NGO、NPOという主体はディシプリンが働かず新陳代謝が進みにくい仕組みである(志が高い人のみがその意識を継続することが前提となっている)ので、そこにてこ入れしていく必要はあると思う。みんなが正しい志を持ち続けられるのならガバナンスは必要ないが、そのようなわけにはいかない。
    上場企業はむしろ透明性が高くガバナンスが機能していると思われる一方で、地方のオーナー企業は深刻で、極端なケースでは役員報酬を増額する一方で、事業を赤字にして税金を払わず、利益を自らの懐に収めることができてしまう。ガバナンスを機能させる仕組みとしてLM法人が良ければ、それでも良いと思うし、株式会社でできるのであればそれでも良いと思うが、そこはリアリズムの世界。
    地方議会の状況は既得権益にしばられ、一生懸命やっている人が足を引っ張られるのがリアリズムの世界なので、それを乗り越えていけるようなスキームを考えて頂ければ嬉しい。

以上

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最終更新日:2015年4月9日
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