経済産業省
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日本の「稼ぐ力」創出研究会(第10回)‐議事要旨

日時:平成27年4月21日(火曜日)9時00分~11時00分
場所:経済産業省本館17階 国際会議室

出席者

伊藤座長、加藤委員、川村委員、國井委員、斉藤委員、土居委員、野坂委員、増田委員、山口委員

議題

グローバル経済圏の稼ぐ力の創出について

議事概要

事務局より、資料3に基づき説明がなされた後、委員間で行われた討議概要については以下のとおり。

  • グローバルベンチマークについて。日本企業は汎用石油化学事業をスクラップ&ビルドできていないという話だが、その際に生じる人の問題も重要。労働者を新たな産業に移動させる際、スキル転換の教育が必要となる。
  • AI・ビッグデータについて。以前は労働人口と資本ストックがあればよかったが、これからはシステムも必要になってくる。効率化のための情報の集約化という側面だけでなく、新たな価値を生み出すことが重要になる。それに対応したプログラミング等の教育が必要になるが、教育者のスキル不足が問題となる。また、こういった技術は、労働力人口の不足を補完する一方で、AI等の新技術に対応できる労働者とそうでない労働者間の格差の拡大ももたらしうると危惧している。
  • グローバルベンチマークについて。分析はよくできているが、政府が規制していたり、政府関与がある産業であればともかく、政府の規制とは関係なく、自由競争の中で陥っている状況。これに対し、今後、政府としてどのように対応し、成長戦略に繋げていくかが重要。
  • AI・ビッグデータについて。次世代の人達が経済社会の変化に対応するためにまず教育を変える必要があるが、上意下達で国の意向を教育現場の末端まで届けるのは難しい。文科省に危機感はなく、変えるとしても緩やかにしか変える気がないように見えるが、学習指導要領を改める等の働きかけをしていくべきではないか。
  • 貿易では、比較優位の原理があるので、絶対優位がなくても生き残れるが、ビッグデータ社会では、絶対優位を確立しないと生き残れない世界。こうした中で、特許権やプラットフォームによって独占力をもって利益を得る「合法的独占」をいかにして確立していくか、それに対して国がどのようなサポートや注意喚起をできるのか、が重要になってくる。
  • グローバルベンチマークでは、課題が山積している4業種を選んだのは有意義。プレイヤーが多すぎるので、集約が必要。さらに、企業経営の実行力とスピードが重要であるところ、政府として背中を押すための工夫が必要ではないか。
  • AI・ビッグデータについては、欧米勢が先行している印象。EUは、グーグルに対して競争政策上の規制を進めているが、日本はどのように対応するのか。また、教育や人材育成は、経産省だけでなく政府一体となってオールジャパンで取り組んでいくべき課題。
  • AI・ビッグデータについて。データバリューチェーンのうち、データの構造化やアルゴリズムのプロセスは合理性に基づくが、アプリケーションによる顧客価値の創出は創造性が必要。いち早く新たな顧客ニーズを発見することが最大の競争力の源泉であり、ここに傾注すべき。インダストリ4.0は、見えなかったヒントをモデル化するための統合的なコンセプトであり、日本は自ら得意とする領域からコンセプトを作るべき。そのためには人材育成・教育が大事だが、ICT教育だけではなく、発想力をいかに育てるかが最も重要。
  • 企業と投資家の対話については、中長期情報の充実やモジュール型開示の促進という点は大賛成。現状、アナリストは足元の短期的な情報に過敏。健全・公正な株主・投資家との対話や彼らとの基本コンセプトの共有が重要。
  • グローバルベンチマークに基づきジャッジするのは、国際的にルールが共有されていればよいが、中国やブラジルのように必ずしも市場原理が妥当せず生産拡大を続ける国の企業との競争もあるので非常に難しいところもある。ただし、そうした中で、アメリカでは、軍事に必要な鉄を外国に依存するという問題がありながらも大手製鉄会社を救済しなかったし、日本では、製鉄は先進国に向かないと言われつつ、新日鉄住金のように成長と収益力を獲得している。また石油化学の事業ポートフォリオの入替りの海外との差も非常に印象的である。最後は、こうした経営判断に至る力を経営者に与え、経営者が実行をしてきた力の源泉が重要。アメリカは市場から利益率や競争力について追い込まれて経営を変えて伸びているが、日本は民間市場ベースだけでは駄目。コーポレートガバナンスは、20年も30年も前から議論してきてほとんど無視されてきたが、官民の協力によってようやく経営者の意識が変わり始めてきたところ。
  • AI・ビッグデータについては、個別対応が重要になってきたことが肝。モノからシステム作りへの転換を考えたときに、関係府省が一体となって社会全体を作り替えるような対応が必要。日本には自動車産業があるといっても、キャッチアップと改善で少々の強みを持っているだけで、新たな社会のベース作りを主導したことはない。国家戦略・市場戦略を総合的に進めるセンターが必要ではないか。
  • 全てのテーマに通じることだが、データやファクトに基づく分析がなされたのはよいものの、これをどう活用するか、という考え方も必要。
  • 企業と投資家の対話については、経営者の意識も徐々に変わってきた。以前は株主総会は9割が同日開催だったが、最近は4割程度まで減少しており、対話の意識が高まれば今後より分散するのではないか。今回の提言を契機に、更に進むことを期待したい。
  • グローバルベンチマークについては、自動車産業についても知りたい。政策への活用という観点では、科学技術イノベーション総合戦略との連携がありえるのではないか。アメリカでは軍が研究開発をリードし、民間転用するというやり方がありえるが、日本では、これらを活用しながら、より効率的に研究開発投資を行い、応用研究もサポートしていくことが大事。
  • AI・ビッグデータについて。ある介護ロボットは、発売当初、ベッドなのか車椅子なのかで厚労省と国交省が揉めたらしい。省庁間の縦割りを廃して、機動性を高めた制度環境を整備すべき。
  • AIについては、日本も、70~80年代に第五世代コンピュータの開発プロジェクトで多くの投資を行なったが、ハード面に偏り、一部の人材育成などを除き、十分な実績はあげられなかった。画像処理・音声処理などの分野は一時期先行していたが、しかし、システム分野が弱く、個々の技術をうまく活用するシステムの視点が不十分で、強い技術も十分に活用されなかった。日本は産学連携やフレームワーク構築が苦手なので、この度設立される産総研のAIセンターに対しても危惧を抱いている。ドイツはインダストリ4.0という大きなフレームワークに投資を行っているのだから、産総研でも、個別技術は外部から調達することも視野に入れて、システム作りに注力して欲しい。
  • イノベーションのためには人材の多様性が大事。働き方の柔軟性を確保することも、多様な人材が活躍するためには有効。特に、日本には女性技術者が少ないので、人材の育成に取り組んでほしい。
  • グローバルベンチマークについて、成長分野に経営資源を移すポートフォリオマネジメントは経営者の仕事である。国がお膳立てしてというのも結構だが、経営者本人がしっかり取り組まないと根本から変わることは出来ない。
  • 企業と投資家の対話については、現状の株主総会は機関投資家が出ておらず、個人株主の勉強会になってしまっている。この点をもう少し改善したい。また、機関投資家との対話については、個別に対話する機会でないと深い話が出てこないが、他方、情報開示の公正性との兼ね合いもあり、この点は難しい。
    現在の株主の保有傾向は短期的過ぎる。もっと長期保有の株主を選んでいく必要があると思う。欧米では四半期開示をやめる企業もあるとのこと。短期的には株価が下がるだろうが、それに耐えれば、長期株主が残っていくはず。自社においても、こうした取り組みを試みてみたいと考えている。
  • AI・ビッグデータについては、オープンイノベーションが肝。グローバルスケールのプラットフォームを構築するためには、様々なプレイヤーとの協力が必要不可欠。しかし、そのためには、企業を解体しなければならないのではないかという思いもある。
    既に、我が社の家電向けコールセンターではAIを活用している。また、翻訳機が登場すれば、日本人の苦手な英語の問題が解消されるかもしれない。AIがITリテラシーやイングリッシュリテラシーを補完できれば、その部分に弱みを持つ日本へのメリットは特に大きい。
    総合科学技術会議でも、AI・ICT分野への投資が不足しているという問題が提起されているが、複数官庁でAIの活用を大きな動きにしてほしい。

以上

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最終更新日:2015年5月19日
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