経済産業省
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日本の「稼ぐ力」創出研究会(第11回)‐議事要旨

日時:平成27年5月20日(水曜日)10時00分~11時30分
場所:経済産業省本館17階 国際会議室

出席者

伊藤座長、加藤委員、川村委員、斉藤委員、土居委員、冨山委員、野坂委員、増田委員、山口委員

議題

とりまとめ(案)について

議事概要

事務局より、資料3-1、3-2に基づき説明がなされた後、委員間で行われた討議概要については以下のとおり。

  • グローバル経済圏について、経営への働きかけや資金提供者からのモニタリングはもちろん重要だが、やはり経営者自身の意識の問題が根底にある。これまで国内でのビジネスに安んじてきた日本の経営者は、グローバルな経営者と比較して、稼ぐことへの意識が低いのではないか。経営者の意識の強化についてもとりまとめに盛り込むべき。経営者への意識づけには、例えば、グローバルベンチマークによる比較が有効ではないか。
  • 人的投資の記述が少ない。研究会では、人工知能やビッグデータの議論でも、人的投資の重要性が多数指摘されていたはず。
  • とりまとめの18ページ以降で、ローカル経済圏の5つの産業類型と、域外市場の各産業の分析が整理されているが、これらの連関がはっきりしない。また、ローカル経済圏の在り方は、地理的な構造にも影響されるはず。とりまとめでは様々な市町村を一色単にしているように見えるが、国土構造を踏まえて地域の問題を捉えていくということがはっきりわかるといい。
  • 言葉の問題ではあるが、22ページで、「東京一極集中による課題の解決」とすると、「東京一極集中によって課題が解決される」ようにも読めてしまうので、「東京一極集中がもたらす課題の解決」のように修文してはどうか。
  • 地域医療について、コストサイドの話が多いようだが、アウトカムの生産性という概念(例えばQOL等)で整理してはどうか。コストサイドの話になると、病床の削減や医療費の切り捨ての議論につながり、非生産的な政治論争に陥りがち。生産性を高めるという本研究会の趣旨からも、アウトカム生産性を如何に高めていくかという整理がよいのではないか。アウトカムを高めるということについて、異を唱える人間はいないはず。
  • 株主総会プロセスの見直しや開示の整理は非常に重要な問題。対話を促進するためにはシンプルな制度で情報が入ってくるという条件がないと対話が進まない。これはインフラストラクチャーとして我々の責任である。
  • fiduciary duty(受託者責任)がインベストメント・チェーンの中で一番重要であり、委託者が資金運用者をしっかり監視しなければならない。アメリカでは、資金運用者の成績が悪かった時に、委託者がその理由を厳しく追求したため、運用者が市場で売らずに株式を保有したまま投資先企業にパフォーマンス向上を迫り、結果として運用者がガバナンスを利かすことにつながった。
  • グローバルベンチマークは、非常にいいデータが明らかになったと思う。私が周囲に宣伝した反応をみると、これまでは、他社のデータを見せられても、自社は自社という経営者が多かった日本でも、なぜ欧米に競争力で負けているのか真剣に議論していこうという流れが現れ始めているのではないか。欧米ではコンサルティング会社が世界のデータを集めて企業側に提示することで経営改革を促している側面があるが、日本でもデータをベースに政策を変えていき、民間の変革につなげる仕組みを深堀する必要がある。
  • 公共性の高い事業に株式会社を参入させて生産性の高さを求めることには批判もあるが、社会保障分野など公のお金を使うところの効率化はこの国にとって本当に必要なことである。公共だからと言って利益度外視では国全体のコストが大きくなる。ある程度圧力かけることでサービスがよくなり、コストが下がるのは事実。
  • 人工知能との絡みでは、金融とIT技術を融合させたFintechは日本が一番遅れている。世界では、金融の流れを細かく分解して、業者が競争している。従来問題があった不動産価格の算出も、取引価格やキャッシュフローに関するデータを世界中でクラウドで蓄積していることが貢献している。
  • とりまとめの2ページで、もう少し他人事ではなく我が事のように進めていくべきというニュアンスが醸し出されるとよい。例えば、「他人の努力に依存することなく、一人一人が我が事のように取り組むことが求められる」など。誰かがやってくれればいいという捉え方では、日本経済全体が立ち上がらない。
  • 21ページのローカル・マネジメント法人について、公共性の高い事業を株式会社とすることに対するアレルギーは確かに存在するが、会社法上のガバナンスに非営利法人のガバナンスよりも優れている面があるという内容が入るといい。なお、第三セクターという形で公共性の高い事業でも株式会社形態を取っていた例があるのは事実で、ローカル経済圏で株式会社嫌いが横行しているというわけではないだろう。第三セクターは、最後は自治体が救済してくれるという甘えがあった等の指摘はあり、失敗したもののようになっては欲しくないが、成功・失敗の教訓を踏まえながら、今まで以上に株式会社の形態を活用できるようになるといい。
  • 24ページ、将来の医療需給を見据えながら、地域ごとに地域医療の将来像を形作っていくということが大事。また、患者が減少する地域での医療機関の経営をどうするかという問題。例えば、患者が減少する地域では、病床を減らさなければ固定費がかさんで経営が苦しくなることは明らかだが、病床を減らすとはなかなか病院側からは言いにくい。どこまで書けるかわからないが、「将来、人口推計から患者が減少すると予測される地域では、医療資源の投入が医療需要に比して過剰となる可能性があり、このような事態を前もって予測しながら、医療資源の地域的な配分を考えていくことが重要」など、予見可能性を明らかにするということをもう少し書いてもよいのではないか。
  • グローバル経済圏の整理について、資料3-1と資料3-2で章立ての番号の対応関係が異なっており、混乱を招く。
  • 成長の主役である民間企業がスピード感をもって行動していくことがポイント。グローバルベンチマークは企業に気づきを与える点でインパクトがあったが、まだベンチマークの提示にとどまっているので、具体的な企業行動に結び付けなければならない。そのために、「攻め」の経営を強化していく姿勢を強く打ち出す必要がある。
  • 地方自治体の政策は横並びが問題であったが、ローカルベンチにより地域の特色に基づいた政策立案を期待したい。
  • 企業は政府に頼りがちだったが、政府の役割は、事業環境の整備や、データの提供により気づきを与えること。各企業がどのような取組みをし、どの程度生産性の向上につながったのかということを経年的に見ていき、新たな指摘をすることで、日本全体の生産性向上に努めてほしい。
  • コーポレート・ガバナンスは、形式ではなく中身が重要。委員会設置等の会社形態と業績に有意な相関は認められなかった。外部の視点を如何に社内化して活用できるかが鍵。
  • 同時に企業の自律が重要。事業戦略についていえば、外部の知見を活かせるだけの経営者のリーダーシップや意識がなければならないし、リスクへの対応においても、強力な内部統制の仕組みや組織カルチャーが伴わなければならない。
  • グローバルベンチマークが4業種で策定・公表され、一定の方向感が出てきたのは素晴らしい成果だが、今後どう具体的な行動に結び付けていくかが重要。産業界と国と金融機関等が今後のあるべき姿を共有し、その目標に向け、企業が自らの意思でアクションプランを作り、国と金融機関等がそのサポートを行うという官民一体となったシステムの構築が必要。
  • 人工知能・ビッグデータの活用が、金融分野では特に遅れているという認識を持っている。当社では、ビジネスコンテストを開催しており、いいアイデアには資金を付けながら共同研究したいと思っている。また、昨年からシリコンバレーに小さなラボを立ち上げた。そこで感じることはオープンイノベーションの重要性。シリコンバレーでは、連携先の候補から「あなたたちは何を提供できるのか」とよく問われる。オープンイノベーションは、相手企業とギブアンドテイクの関係であることに留意が必要。人材面では、データサイエンティストの育成が課題。各企業の問題であるが、官の力も大きい領域だと思う。顧客情報保護・セキュリティも重要。過度な規制はビッグデータの活用を妨げるという認識が出てきたのはよいこと。データの活用が社会的ベネフィットをもたらすことを明確にし、特定の要件の下で有効に活用すべきという方向の議論を期待したい。
  • 金融はあくまでも産業の黒子。地域内外のビジネスマッチング、スタートアップと大企業のマッチング、産学協働の促進といった非金融サービスの提供が近年は強く期待されている。顧客企業のデータベース化を進めており、引き続き、マッチング等により産業育成を図っていきたい。
  • 重要なのはPDCAサイクルをまわすこと。とりまとめの提言をアクションにつなげ、効果の検証をしながら取組みを進めることで、本研究会の成果を実現していくことが重要。
  • 産業競争力の源泉は、如何に効率的な価値創造ができるかであり、効果的なマーケットのセグメンテーションが重要。そのためには、人の洞察力や創造性が大事であり、人工知能・ビッグデータは、人に新たな気づきを与える有効なツール。この気づきをベースにして、その具体化やビジネスモデル構築が行われるので、創造性を持った人材を如何に教育し、個人の気づきを如何に組織化していくかが競争上決定的。ゆえに、創造性を持った人材の教育を国家プロジェクトとして深く検討していくことが必要。
  • 各分野で起き始めている事例を挙げると文章の説得力が増すのではないか。例えば、農業では6次産業化の中、果樹農家によるフルーツカフェ等の統合ビジネスモデルなどが議論されている。
  • 「モノ」から「システム」に付加価値が移行するということは、企業ベースから社会ベースで物事を考える必要が出てくるということ。自動走行システムで考えると、移動速度だけではなく、安全性等の価値観も具現化されねばならない。フィリピンのような島国では、地理的条件から必ずしも自動車が最適なモビリティではない複合的なという考え方も出てきうる。社会ベースの発想について、行政が方向付けをし、その方向を視野に価値創造への議論が大事になる。
  • 人口減少への危機感は随分広がってきたが、ローカル経済圏の生産性向上がもっと意識されるべき。人口が減るからこそ外のマーケットで稼ぐべきと言う人がいるが、地力のない企業は外でも稼げない。企業が生産性向上の努力をする結果として稼げるようになるという因果関係であり、「稼ぐ力」が一定のレベルに満たない企業の新陳代謝をどう図っていくかが急務。
  • ローカルの労働力不足は、量的に満たせばよいという問題ではなく、人材の質をどう確保するかという問題。経営者の自立の気概が必要であるし、特にローカル経済圏の場合は、自治体・首長の問題も大きい。
  • ローカル・マネジメント法人の検討を深める際、現場の人の声をうまく吸い上げてほしい。そうすれば、株式会社形態とNPO法人形態との隙間が明らかになるはず。そこからローカル・マネジメント法人の存在意義や組織論が出てくるだろう。
  • 地域医療の文脈で「東京」とあるのは、「東京都」ではなく「東京圏」を表現しているものと思料。脚注でその旨記載したほうが誤解を生まないと思う。
  • グローバル経済圏のリーダー層にはクリエイティビティが求められるが、ローカル経済圏の現場人材に求められるのは堅実な技能。今の教育はこの点を混在しており、全員に同じ教育を施している。現実を見据え、多様化・複線化した教育が重要ではないか。
  • 先般、安倍総理がハーバード大で行った生産性に関するスピーチは、ハーバード大で非常に評判がいいそうだ。ちょうど日本に世界の目が向いているので、本研究会のとりまとめもスマートな英語版を用意して世界に発信していくべき。
  • カナダがアメリカとNAFTAを結んだ後、比較優位がなく沈んでいくと予想されていたカナダの産業で、生産性が向上した分野があった。なぜかというと、全ての企業が一律に競争力を失うわけではなく、競争力のない企業は淘汰され、競争力の高い企業に人材や資源がシフトするということが起こったからである。こういうことが起こらないと、生産性は向上していかないのだろう。逆に言えば、当事者がある種の危機感を持って取り組めば、生産性の向上は実現できるはず。本研究会では、うまく警鐘を鳴らすことができたのではないか。

以上

関連リンク

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最終更新日:2015年6月12日
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