経済産業省
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経営者・投資家フォーラム(第2回)‐議事要旨

日時:平成27年11月4日(水曜日)14時00分~16時00分
場所:経済産業省本館17階国際会議室

議題

  1. 企業と投資家の対話、コーポレート・ガバナンスに関する枠組みが整う中、今後、日本企業が向かうべき経営の姿はどのようなものか。
  2. そのために投資家による企業の評価、対話はどうあるべきか。また、投資家自身の経営・ガバナンスのあり方をどう考えるか。
  3. 上記の議論を事実に基づいて深めていくためには、どのような情報や分析が必要か。

議事概要

(1)鈴木経済産業副大臣挨拶

  • アベノミクス第2ステージでは、生産性革命を実現する投資の拡大が鍵となる。先月(10月16日)、官邸で開催された「未来投資に向けた官民対話」においても、将来を見据えた投資の必要性やその課題について意見が交わされた。
  • 企業経営者が中長期的な視野に立って投資を実行していくためには、その資金の出し手である投資家との深い対話、相互理解を通じて、中長期的な企業価値の向上を共に実現する、共創関係を築くことが重要である。
  • 「経営者・投資家フォーラム」には、こうした経営者と投資家との相互理解を実現するためのきっかけとなるような議論、発信を期待している。

(2)自由討議

以下の論点について意見交換を行った。

(1) 企業と投資家の対話、コーポレート・ガバナンスに関する枠組みが整う中、今後、日本企業が向かうべき経営の姿はどのようなものか。

  • 多くの日本企業の課題は、事業ポートフォリオ・マネジメントを適切に行うこと。経営権の取得を伴うM&A、収益性の低い事業の撤退等、成長ストーリーに応じた選択と集中が必要との認識が投資家から示された。
    • 日本企業がよりグローバルな企業になるには、(1) 積極的なM&A、(2) M&Aの反対の要素としてEXIT、(3) Global Operating Platformの3点が重要。まず、M&Aについて、世界的にはM&Aの成功率は、50%超程度である一方、日本では50%未満。この要因としては、日本企業は経営権を100%取得しないマイノリティのM&Aもあり、想定する計画がうまく執行できないことがある。次に、EXITについては、事業ポートフォリオ・マネジメントの問題がある。事業固有のリスクは事業分野の分散で回避するが、事業固有のリスクを気にしすぎるがあまり、事業ポートフォリオが多様化しすぎている。M&Aで新事業を入れるのであれば、成長性のない分野に関しては積極的にEXITすることも重要。
  • ベンチマークは目標でなく課題把握のための指標。競争力を生み出すのは自社ならではの理念や経営戦略との認識が経営者から示された。
    • グローバルなベンチマークを考える場合、それは目標ではなく、自社の課題を把握するための指標だと考える。成功例をベンチマークばかりしている企業は、リスクを小さくして真似をしようとしていることになりがち。「稼ぐ力」やイノベーションは財務諸表やベンチマークからだけでは出てこない。どのような企業理念や経営戦略を持つべきかを徹底的に議論し、自社ならではの軸となる企業理念や経営戦略を作っていくことが重要である。

(2) 持続的な企業価値創造や将来への適切な投資を実現するための前提条件及び対話はどうあるべきか。また、投資家の企業の評価、投資家自身の経営・ガバナンスのあり方をどう考えるか。

  • 株主還元、ROE、企業価値に関する対話を行う際、多様なステイクホルダーの価値やグローバルな持続可能性(サスティナビリティ)も考慮した企業価値の源泉について株主と共通認識を持つことが必要。投資家にもこうした経営の質、価値創造のプロセスも含む本質的な企業評価、対話が望まれるとの見解が経営者、投資家から示された。
    • 株主還元は、中長期的な企業価値の向上を考える上では非常に難しい問題。コーポレートガバナンス強化が政策で後押しされていること自体は良いが、それを逆手に、一時的な株主還元を強く求める株主が出てくることを懸念。株主還元の前提となる利益・企業価値の創造のためには、株主以外のステイクホルダー(従業員・地域社会・取引先等)との協働とそれらへの貢献が大事である。これは企業理念の発現であって、そのためには企業理念を全従業員まで浸透させ、行動として表すことが必要である。投資家にはそのような、企業が持つ経営の「質」に目を向け、中長期で企業の戦略を見守って欲しい。
    • 日本の全上場企業について、この26年間で計算したところ、年率3%以上のリターンを上げた企業は80社に留まるという事実がある。これを背景として、全てのステイクホルダーをどのようにして満足させるのかを考える上でも、まず、どのようにして株式リターンを改善させられるのか、という議論だったと理解している。「伊藤レポート」、二つの「コード」が出て、新しい対話の時代となり、自社ならではの価値創造をどのようなシナリオで実現しようとしているかを伝えることに一層注力している会社と、形式対応している会社に二分される。東証一部上場であっても後者のような会社は結構ある。
    • 日本において、近年、ROEが着目されつつあるが、ROEはあくまで結果として出てくるもの。製造業等の投資が巨額になる産業でROEのみを目標に掲げ、ROEを上昇させるために資本を意図的に減少させること等は適切ではないのではないか。長期間株式を保有してくれる投資家は、企業の企業理念や経営方針に共感して持ってくれている。対話においては、目先の数字に留まらず、企業の企業理念と投資家の投資理念の共感が重要であり、それが企業にフィードバックされれば成長の源泉になる。企業価値とは、株主のみならず、全てのステイクホルダーのための価値だと考えている。全てのステイクホルダーのための企業価値を考える上で、サスティナビリティを考えなければならない。一企業のサスティナビリティに留まらず、人類のサスティナビリティまで考えると、事業的には採算が合わなくても取り組むべき事も出てくる。人類のサスティナビリティを重視し取り組んだ事業の採算が合わない結果、ROEが下がってしまう中で、単にROEが低いからダメだ、という評価を受けるのは問題であり、投資家とも共通の認識課題として建設的な議論を行うべき。
    • IRではなお過去の延長の話が中心になりがち。分母・分子の関係で決まるROEに留まらず、持続的な企業価値を生み出す競争力の原点は何かといったところに迫って来るような質問はまだ少ないように感じている。企業と投資家の対話に関してもこうした本質的な議論に至ることが重要。
    • 「伊藤レポート」等により状況は変わりつつあるが、ROE8%以上というのはゴールではない。我々は、全てのステイクホルダーと共有の価値を作り上げていこうというCSVの考え方を経営の柱に置いて、企業価値向上、持続的成長に結実させることが経営としての責任だと感じている。そのプロセスがしっかりしていると、ROE目標も出てくるだろう。統合レポートを今回初めて作成したが、アナリスト等からの反響・意見はあまりなかった。投資家にも目標と結果の乖離だけでなく、プロセスに目を向けて評価・批判していただきたい。
  • 短期志向(ショートターミズム)を助長する要因として、決算短信の業績予想開示、アナリストや経済誌の姿勢や報道のあり方、高速取引等が挙げられ、これらを改善し企業価値を適正に反映する市場とすべきとの認識が経営者から示された。
    • (短期志向の要因として)三点考えられる。1つ目が業績予想について、独自の開示フォーマットではなく、証券取引所の決算短信のフォーマットに従った結果、決算短信に記載された業績予想と実績との差異が議論の中心になってしまっている点。2つ目がアナリストがプレビュー取材を行い四半期毎に見通しを公表している点。当社についてはプレビュー取材を中止したが、今のところ非常に歓迎されている。3つ目が経済新聞紙等による業績憶測報道が行われている点。こうした報道により、海外の投資家が不利な立場に陥っているのではないかという声もあり、日本の市場に対する信頼感を失っている可能性がある。
    •  経済紙の憶測に基づく決算情報報道により株価が動くことから、マスコミのあり方についても見直すべき。また、企業理念やROE等をいかに重視しても、高速取引により市場が大きく値動きしており、企業価値が市場に反映されずショートターミズムの要因になっているのではないか。
    • 経営陣と投資家の対話は、企業業績の現状や将来見込みに関する質疑が中心で、経営のあるべき姿や今後の戦略まで至っていない。
  • 企業と投資家の対話では、財務のみならず非財務的な価値も含む企業価値向上のストーリーを考えることが求められる、との認識が経営者、投資家から示された。
    • 「伊藤レポート」や「コーポレートガバナンス・コード」導入により、企業の稼ぐ力、資本効率性等に注目する枠組みが整備された。今後は各々のプレーヤーが個別に取り組むべきことがある。事業会社は、統合報告書等を通じて、非財務的な価値も含めて投資家に伝え、マーケットから評価してもらう仕組みをつくっていくことが重要である。一方、アセットオーナーやアセットマネージャーは、ESGも含めた企業価値の評価に注力すべきである。さらに、セルサイドアナリストが本源的な企業価値評価に資するディープレポートに取り組みやすくするための政策パッケージが必要。そのために、伊藤レポートの「バージョン2.0」のような位置付けの報告書がこの議論の中から出てくることを期待している。
    • ショートターミズムへの警戒心が非常に強かった企業についても、対話を重ねていくことで、投資家側の考え方に理解を示していただいていると感じる。対話において重要なのは目先の業績だけではなく、サステナビリティ・企業理念等の非財務的な価値について建設的に意見交換することである。企業の意識も変わりつつあり、投資家のスタンスも明確になってきており、かみ合ってきていると実感している。
    • 持続的成長に関する対話について考えた場合、forward-lookingが重要。企業の持続的成長のためには、知的資本(intellectual capital)、特許権(patent rights)等が重要な役割を果たすが、こうしたものはM&Aや社内のR&Dにより獲得される。知的財産(intellectual property)の持続可能性こそが他の会社との差別化をもたらす。このような持続的成長をもたらす無形資産について、経営者と投資家の対話が重要。
  • 統合報告書は対話とエンゲージメントを深める方法として期待されるが、内容面ではビジネスモデルや比較可能性について十分でない、との認識が経営者、有識者から示された。
    • 一部の投資家は、長期の話を聞きたいと言ってくる一方で、四半期ごとの業績分析の質問で時間を費やしてしまう投資家もいる。これまで、アニュアルレポートを使って対話をしたことは無かったが、統合報告書を初めて出したので、今後、統合報告書による対話に期待している。
    • 対話のベースとなるものとして2つ考えている。1つは統合報告書の充実、と統合報告に基づいたエンゲージメント。現在の統合報告書の内容については、ビジネスモデルの個性やKPIにおける比較可能性のベンチマークという点では、まだ十分でないと思っている。
  • 対話を充実させるためにも、企業が対話する相手と議決権行使の決定権者が異なるなど投資家の意思決定プロセスについて経営者から問題提起があった。
    • 企業が実際に対話する相手であるファンドマネジャー等と、株主総会での議決権行使内容の決定権者とは違うように思え、機関投資家内でどのような対話(意思決定プロセス)が行われているか知りたい。
  • 大株主である機関投資家の書面投票により株主総会の議決が事前に決まり株主総会の機能が低下しているのではないかと経営者から問題提起があった。
    • 対話の重要な場である株主総会が有効に機能しているだろうか。議決権を多数持っており、議決を左右するような機関投資家や事業会社の株主は株主総会に出席せず、書面投票しており、議決結果は事前に決まっている。株主総会で実際に質疑しているのは個人株主だが、その対話は議決にはほとんど影響しない。いい知恵はないが、機関投資家・主な株主と企業経営陣の対話をルール化できないだろうか。
  • 対話の枠組みが整う中、日本企業の株式リターンを高めるべく、アセットオーナーや投資家自身も企業価値向上に責任を果たすべきとの認識が投資家側から示された。
    • ここ10年、ポートフォリオにおける株式投資の残高を半減させてきたが、その理由は日本株式のリターンが非常に低かったためである。これは、マクロ的には、名目GDPが縮小していたデフレ構造の影響、ミクロ的には企業の資本効率を上げる余地があったことの影響による。今後、いかにリターンを高めるかという視点に立ち機関投資家として事業会社との対話を通じて配当の還元や企業の持続的成長そのものを我々が働きかけて押上げていきたい。現在、スチュワードシップ・コード専属チームをつくって機関投資家としての責務を果たすべく、取組んでいる。
    • 企業のサスティナビリティへの取り組みが短期的なROE改善に直結するとは限らない。我々は、年金という超長期資金であり、ユニバーサルオーナーであるということから、個々の事業会社だけではなく、全体のサスティナビリティも重要だと思っている。先日、国連の責任投資原則に署名し、委託運用機関に対しても同原則についてのComply or Explainを求めている。これにより、運用機関に対してもサスティナビリティや、成長性、非財務的な要素についても意味のある対話をして欲しいと思っている。エンゲージメントの具体的なあり方については、まだ双方が疑心暗鬼になっている様に思う。我々は年に1度、運用機関からスチュワードシップ活動について報告してもらっているが、フェアな評価を行うため、運用機関からだけではなく、事業会社側からもヒアリングしてみようと考えている。折角ミーティングをしても運用機関から有益な提案もなく時間の無駄だと思っている経営者もいるのではないか。また、事業会社にガバナンス強化を迫るのだから、運用機関側のガバナンスについても注視すべきと考えている。
  • 企業の開示内容が充実する一方でセルサイドアナリストの分析が充分でなく、アナリストの分析やレポートは、ガバナンスなど非財務的な要素も盛り込んだもの(ベーシック/ディープレポート)であるべきとの認識が投資家、有識者より示された。
    • スチュワードシップ・コードの導入により、セルサイド・アナリストによるベーシックレポートがどの程度増加したか調査を実施しているが、増加していないという心証を得ている。今のセルサイドアナリストは、四半期決算開始後にアナリスト業務についた人たちであり、ベーシックレポートを書く素地がそもそもないことが背景にあるのではないか。一方で企業側が公表している情報は、質・量の両面で、相当充実してきている。こうした点を考慮すると、対話に関して働きかける方向として(エンゲージメントすべき)は、投資家サイドから企業サイドではなく、企業サイドから投資家サイドを指導することが考えられる。
    • アナリストの短期主義化に対する警鐘として、ディープレポートを重視して欲しい。
    • セルサイドのアナリストが作成するレポートにコーポレートガバナンスの観点からのランク付けをして欲しいという要望を伝えている。厳しいランクを付された場合に、経営者等の市場関係者がこのランク付の結果について、冷静に対応できるような環境が整うのであれば、このランク付を行いやすくなるだろう。
  • 開示制度について、情報が重複しているだけでなく、短期志向の助長要因ともなっているため、見直しが必要との問題提起が経営者、投資家からなされた。
    • 1年の利益目標を開示し、なおかつ四半期毎の細かい業績を開示しているのは日本くらいであり、これにより短期志向に陥る傾向にある。当社は今期から当期利益目標の開示をやめ、3年後のビジョンと大まかな数字を開示し対話することにした。現時点で賛否両論あるが、株価へのインパクトは特にない。四半期決算はやめ、各社がそれぞれ、自社にとってどのような開示、対話の仕方が良いかゼロから考えてはどうか。
    • 対話をより効率的に行うべく開示制度を見直すべき。取引所規則に基づいた決算短信と会社法に基づいた計算書類、会社法に基づく事業報告と金商法に基づく有価証券報告書は内容の重複が多く、一本化できないか。少し整理し事業会社の負担を軽減すれば、より重要な中長期的な事業価値の創造にエネルギーを割く時間がとれる。

(3) コーポレートガバナンスを実質的に機能させるための課題はどのようなものか。

  • 中長期の成長戦略を描く上では、社内における利害対立がない社外取締役の役割が重要。人数の確保など形式的な対応に追われるべきではない、との認識が経営者、投資家から示された。
    • M&Aとガバナンスの観点で、重要になるのは社外取締役。戦略的なM&Aにおいては、株主・投資家にとって重要な情報を公表せずに相当の期間検討・交渉を進めねばならない。社外取締役は、内部にいる一般株主の代表としてこれを監督することができる。また企業内部の事業部の代表ではないため、戦略的なM&Aと併せて検討されることが多い将来のリストラや重複部門の削減等につき、コンフリクトのない立場で見ることができる。以上のような観点から、社外取締役は、中長期的な成長戦略を描く上で非常に重要な役割を果たす。
    • 独立取締役2名を確保するために監査等委員会設置会社を採用するという話があるが目的と手段が混同されているのではないか。
  • 政策保有株式について、安定株主だけで株主総会の議決が確定してしまい株主総会の機能が低下している等の観点から、対応が必要であると、アセットオーナーより問題提起がなされた。
    • 安定(政策保有)株主の比率は、35~45%程度でそれほど下がっておらず、一方、国内年金基金の比率は9%以下であり、影響力は限定的である。その結果、赤字・低収益企業の議案、独立性などに疑問がある社外取締役・社外監査役、買収防衛策などの議案が、安定株主による賛成多数で可決され、機関投資家にとっては議決権の空洞化ともいえる状況が続いている。この情況について、安定的な株主総会の運営、ひいては長期安定的な経営のために必要という考え方もあるだろうが、そうであるならば、影響力のある安定株主が、持続的な企業価値創造のための対話で主導的な役割を担うべきである。一方で、市場機能の回復・改善という観点から政策保有株・安定株主体制の縮減を方針とする場合、政策保有を解消するならば取引を打ち切ると言われるケースもあるような現状、個別の対話だけで政策保有株式の売却を推し進めるのは難しいのではないかと考えている。例えば、ドイツやフランスでは、政策保有株の売却益に対する課税への軽減措置や、上場企業同士の株式持合いに法的制限を加える、などの政策的対応がとられている。株主総会が短期間に集中して開催されることが、議決権行使の形式化を助長しているのではないか。安定株主体制が崩れ、議決権の空洞化がなくなった上で、もう少し分散して開催されれば、より対話を重視した実質的な対応に自然となるだろう。
  • 一方で、経営者より安定株主の存在が企業経営の安定に寄与する局面もあるとの意見があった。
    • 当社について安定株主は現在いないが、ある局面においては外的要因によって株主の行動が一方的に大きく動くこともある。安定株主というのもall or nothingで駄目だということでもないのかもしれない。

(4) 今後目指すべき企業経営の姿や、投資家による企業の評価、対話のあり方等に係る議論を今後深めて行く上で、どのような情報や分析が必要か。

  • グローバル経済圏で勝ち残るための経営上、目標・参考とすべき項目、指標、比較の軸(グローバル・ベンチマーク)として、ROEだけでなく、社会的意義や経営理念といった定性的要素も重要との認識が市場関係者や経営者から示された。
    • グローバル・ベンチマークについて、業種・産業によって状況が異なるので共通のベンチマークはできにくいが、突き詰めると財務的な数字や目標、データをどう扱うかということになるのではないか。資本の生産性という点から、ROEが代表される指標だが、重要なのは社会的存在としての企業の意義を保持したうえで資本生産性をいかに上げるか。コーポレートガバナンス・コードで求められていることも、同様の趣旨である。そのためには、企業により高い投資採算があるところに投資を行っていただき、そのような投資が当面ない場合には株主還元を検討してもらいたい。
    • 長期的な企業価値の創造のポイントはビジネスモデルの変革。重要となるのは、我が社ならではの価値の提供、差別化である。一方で、その過程では捨てる経営も必要なのではないか。その理解を踏まえて、グローバル・ベンチマークが何かというのはセクターごとに検討する必要があるが、まずはROEが目安になるだろう。「伊藤レポート」で一つの基準とされた8%に留まらず、より高い目標設定をして欲しい。ただし、ROEだけを目標にせず、自社ならではの基本価値創造にフォーカスして欲しい。具体的なベンチマークについては定性的な要素も多く含める必要があり、どのような定性的な要素が必要かは今後の議論。
    • 多くの企業では事業内容を多角化していることから、ベンチマークを定めにくいのではないか。ベンチマークを定めた場合、数値に偏り企業価値の評価が定量的になってしまうが、企業理念やステイクホルダーとの関係作り等、持続的な価値創造に関する定性要素も重要。
  • グローバル・ベンチマークについて、ROE以外の定量指標として利益額、売上高利益率の重要性が経営者から示された。
    • ROEも指標の一つであるが、我々は従来から絶対的な利益額を重視してきた。利益は、お客様、社会からの一定の評価の積み重なりであり、資本効率、生産性等の評価の前提。
    • 当社としては、差別化し競争優位性を高めているかを計る指標として、同業との売上高営業利益率がわかりやすいと考えている。
  • グローバル・ベンチマークについて、規制や税などの日本特有の事業環境についても考慮すべきとの認識が経営者から示された。
    • 医薬業界における薬価改定、酒類業界における酒税、消費税引き上げといった、日本に特有な事業環境も考慮しなければ、それぞれの産業のベンチマークは作りにくい。また、国際的な競争力をつくる上での産業育成、独禁法的な面からの整備が遅れている産業分野もあるのではないか。
  • 経営者から、今後目指すべき企業経営の姿を議論するベースとなるエビデンスとして、各社のコーポレートガバナンス・コードへの対応状況の分析が有用ではないかとの提言があった。
    • 情報分析については、JPX400が指定され定着してきたように、各社のコーポレートガバナンス・コードに対する対応も出揃うので、対応状況についてエビデンスを収集して分析するのも一つのアイディアではないか。

(3)閉会

柳瀬経済産業政策局長挨拶

  • 成長戦略の中でコーポレートガバナンス・コードの重要性が打ち出され、安倍総理の主導で、未来投資に向けた官民対話も始まった。
  • 今回の話を聞いて、コーポレートガバナンス・コード、スチュワードシップ・コードなどの枠組みができ、企業、投資家、アナリスト等それぞれに求められているものがある一方で、それぞれの取り組みについて認識のギャップがあるのだという問題がよくわかった。
  • 次のステップでは、企業と投資家の建設的な対話によりこのギャップを埋めていくことが求められる。
  • 今後も引き続き活発な議論を行い、裾野までこの問題が解決されることを期待する。

以上

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経済産業政策局 産業資金課

 
 
最終更新日:2016年1月26日
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