経済産業省
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企業情報開示検討分科会(第1回)‐議事要旨

日時:平成26年10月9日(木曜日)17時00分~19時00分
場所:経済産業省本館17階第一特別会議室

出席者

(企業情報開示検討分科会委員)
伊藤座長、秋葉委員、稲葉委員、内野委員、小野委員、久保委員、熊谷委員、佐藤委員、三瓶委員、関根委員、早川委員、深澤委員、藤田委員、安井委員、弥永委員、山田(俊)委員
(株主総会のあり方検討分科会委員)
岩田委員、鶴岡委員(代理河合氏)、永池委員

議題

本研究会のテーマに関する全般的討議 持続的な企業価値の創造に向けた企業と投資家との対話を促進する観点から、望ましい企業情報開示のあり方について

議事概要

以下の通り。

  • 伊藤座長より、本分科会への参加形態や会議の公開・資料の取扱いについて説明の後、事務局より資料説明。伊藤座長よる資料3に基づく「基本的な問い」の投げかけの後、委員間で議論。その際の概要は以下のとおり。
  • 諸外国では、日本ほど複雑な状況にある先進国は少ないと思う。3つの開示制度を比較すると、会社法上要求しなければならない最低限の開示事項はあるが、他方で多くの部分が重複しているという実態にある。
  • 十分準備して株主総会に臨みたいと考える株主であれば有価証券報告書を見るし、逆にそれらをほとんど見ないで株主総会に臨む株主もいると認識している。そういう意味では、Web開示の活用や株主総会の開催時期を有価証券報告書の提出よりも遅くすることを検討してもよいのではないか。
  • 商法・会社法においては、かつてデジタルディバイドの問題を懸念していたが、それは10年以上前の話であり、状況は変化している。諸外国では、持参式(無記名株式)が前提であり、株主に対して計算書類を送付していないケースも多い。株主にとっては、議案・議題・参考書類については直接紙ベースで早く送付し、財務情報についてはWeb開示とすることの方が、情報利用者、株主、議決権行使者にとってメリットがあるのではないか。
  • 四半期決算短信・四半期報告書については、それぞれ制度導入の経緯があるとはいえ、少し整理する必要がある。時期をずらして、ほとんど同じ情報を開示することの追加的なメリットがどれくらいあるのか。
  • 企業と投資家の対話を促進していく中では、肝心なところに時間をかけられるよう、資源や時間的な余裕を与えるべきであり、作成者に対して不必要に負担をかけるべきではない。
  • 金商法では、非常に細かい開示規制が課されている。会社法と金商法の二重規制の中では、カテゴリー別の法律を設けるべきではないか。かつて、法務省の法制審議会では、公開会社法について検討していた時期があったが、議論がたち消えになったという経緯がある。非上場会社と公開会社のあり方について、再度議論してはどうか。
  • 非上場会社と公開会社において、適材適所の開示をするには、その根本法規まで触れていかなければいけないのではないか。
  • 四半期報告書と四半期決算短信を提出するタイミングは、7日ぐらいのタイムラグがあるが、それは監査に伴う時間であると考える。投資家は開示される資料が正しくなければ、適切な投資判断をすることができないため、監査(レビュー)を不要とすることはできないが、もし監査(レビュー)をなくした場合に、粉飾等々の懸念がどの程度あるのか。この実態を調査するべきではないか。
  • 有価証券報告書は、株主総会前に提出することが可能であるが、実際には数パーセント程度の会社しか提出していない。これは、実務上の問題があるのか、過去の慣習なのかについて、調査が必要ではないか。
  • 有価証券報告書は法定開示書類であるため、アニュアルレポートとは異なり各社横並びの開示がなされており、また多くの情報が開示されているが、機関投資家はともかく、個人投資家にとってはとっつきにくいものになっているのではないか。
  • 株主総会前に有価証券報告書を提出していないのは、株主総会の準備で精根尽き果てているため。これに加え、株主総会で有価証券報告書を提出し、有価証券報告書についても質問を受けることになったらどうなるだろうというのが実感。ただし、(当社は)毎年株主総会日に有価証券報告書を提出していたため、株主総会前に有価証券報告書を提出することは、実務上は可能である。しかし、株主総会の通知に併せて提出するのは、期末決算に伴う一連の実務が集中している中で、手が回らないのが現状である。
  • 企業と投資家の対話の現場は、決算説明会における投資家への説明であり、法定開示資料のエッセンスを抽出し、投資家と対話するための資料(決算説明資料)を、別途作成しているのが実態である。現行の法定開示資料のデータには投資家にとって特に関心がないものも多く含まれているのではないか。
  • 法定開示資料は、今のままでは少なくとも対話促進のための、あるいは対話を有用にするためのものになっておらず、むしろルールをクリアするために作成しているという意味で義務感の方が強いのが実態ではないか。
  • (当社は)少なくとも株主総会の2週間ぐらい前には有価証券報告書を作成済であり、会計士との間で後発事象の検討等を行っているのみであるため、株主総会前に有価証券報告書を提出することは実務上可能である。株主総会前には提出していないのは、株主総会において、取締役の選解任を行い、有価証券報告書に新役員を記載するためにすぎない。
  • 高質な対話という観点では、法定開示資料とは別に作成する決算説明会資料は利用されていると思うが、四半期決算短信・四半期報告書、特に四半期報告書については、あまり読まれていないのではないか。
  • 上場会社については、すべて連結のみでよく、単体は不要ではないか(単体はどれくらい利用されているのか、情報として有用なのか。)。
  • (当社は)株主総会の数日前まで有価証券報告書を作成しているため、株主総会前に有価証券報告書を提出することも可能であるが、短期間で膨大な情報量の有価証券報告書を読み込めるのか。全て読みこなしてきちんと質問しようと思うと、かなりの時間と精力がかかるのではないか。
  • (当社では)四半期ごとにセルサイド、バイサイドのアナリストに説明会を行っており、その際、有価証券報告書について質問があれば答えることはいくらでも出来るが、私の経験では、3年で1回だけ質問があったのみ。
  • 有価証券報告書は様式が決まっているが、様式が統一されていることで、他社との比較がしやすいと考えている。
  • 株主総会は、かつては決算の承認と利益処分という側面があったが、今はもう決算は報告でよく、取締役の任期を1年にすれば取締役会で配当も決議できるので、最終的には株主総会は取締役の選解任だけが目的なのか、という気がしている。そうだとすると、基準日は3月末にこだわる必要はないと思う。
  • (当社は)細かな注記を含め、6月上旬には有価証券報告書作成のための準備が整っている。根幹をなす財務諸表自体は、基本的には決算発表から変更しない方針であり、このために結構余計なエネルギーがかかっている。
  • 膨大かつ細かい情報である有価証券報告書を、株主総会後に提出する意義をあまり感じない。大株主の機関投資家に対しては、決算発表後速やかに別途資料を作成し説明を行っているが、投資家が求めているのは、有価証券報告書のように細かな情報ではない。
  • 業績予想は、投資家が最も注目する情報であるが、規則や法律で縛ることはほとんど不可能ではないか。運用上どうしたらよいか検討すべき。
  • 投資家とのコミュニケーションでは、実績を踏まえて将来の業績をどのように会社は考えるのか、それを実現するために何をするのかということが非常に重要。
  • 四半期決算短信と四半期報告書の提出時期の7日程度のずれは、ほとんど意味のないずれだと思っている。決算について会計士と確認がとれればその時点で開示し、数字も動かすことはないが、その後、レビュー報告書発行の事務手続きに時間がかかる。この点を手続きだからということではなく、もう少しまじめにどう処理すれば良いかと議論していけば、一体化できるのではないかと思っている。
  • 四半期報告書は、四半期決算短信とほとんど同じ内容と認識しているため、四半期決算短信は発表日に徹夜してでも見るが、四半期報告書については、あまり見ていないのが実態である。四半期決算短信と四半期報告書は、一緒にしてもよいのではないか。
  • 連結配当性向の議論をする際に、単体の配当可能利益がないということもあるので、単体の情報はチェックしている。
  • 今の事業はどこに力点を置いていて、今どういう環境であって、競争力はどこにあるのかという話になると、別途企業が作成しているIR資料でやっと理解が出来る状況であり、有価証券報告書や短信などでは、全てをディスカッションできるような内容にはなっていない。
  • Webでもよいので、企業と投資家の対話を促進するためには、中期計画を開示することが有用ではないか。
  • 有価証券報告書は、ボイラープレート型の開示であるが、定型様式であることによって、他社比較や過去との比較が可能となるため意義がある。
  • 開示に積極的な企業は、アニュアルレポート上で投資家にとって有用な情報を開示していることがある。アニュアルレポートで開示する内容を、有価証券報告書上で開示するよう誘導できないか。
  • 投資家の開示資料の使い方には、多様性があることを踏まえる必要がある。決算発表で腑に落ちないことがあり、有価証券報告書の注記を見たら驚くべきことが記載されていたりすることもある。突っ込んだ対話をするための準備として、短信・四半期報告・有価証券報告書、単体・連結をすべてに目を通すことがある。
  • 既に知っている会社については、主にアップデートという意味合いで開示資料を使うが、全く新規に理解する会社については、有報、アニュアルレポート、中計をはじめ、ありとあらゆる資料が必要となる。
  • 有価証券報告書を利用する目的が、株主総会前に過去の事実を詳しく確認する目的なのか、これから投資判断をするという、将来志向の意思決定をするために利用するのかによっても変わる。前者であれば株主総会前に読み込む必要があり、後者の場合には、中期ビジョンの記載が必要となる。
  • 四半期決算短信と四半期報告書について、同じようなものが少しずれて公表されるというのはどういう意味があるのかと思う。先に公表される四半期決算短信の方が見られているとのことだが、後にレビューされた報告書が公表されることを前提として、四半期決算短信が利用されているということでもあるのではないか。第三者として監査人が確認するのであるからそのための一定の時間はかかる。
  • 他方、後で確認されたものが出てくるとしたら、速報として出てくるものはどうあるべきかということを考えることが必要ではないか。
  • 四半期に限らず、年度についても、基本は同じだけれども少しずつ違う短信と会社法と金商法を3ヶ月の間に出すというのは、作業としてはかなり苦痛になる。例えば短信が即時性というのであれば、もっとシンプルでもよいのではないか。
  • また、同じ数字が異なるタイミングで開示されると後発事象の問題が生じる。実務上一定の手当はなされているが、この点を考えると、本当は会社法と金商法のタイミングがあうことが望ましく、例えば決算書類としてタイミングを一つにするというのも考えられるのではないか。但し、現在の会社法のタイミングにあわせることは現実的ではないので、もし株主総会を今より後ろにずらすことが可能であれば、会社法と金商法の財務諸表を一元化することも考えられるのではないか。
  • 日本は、財務諸表の開示、注記等に何が必要かという点は、会社法、金商法それぞれで考えているが、包括的に何が必要かということを検討した上で、可能であれば一つにするというのが一番分かりやすいのではないか。開示制度として3つの制度それぞれに何が必要なのか考え、財務諸表の注記、開示は本来どうあるべきかを考え、その上で一元化できるところは一元化し、一部抜粋など必要であれば抜粋するといったことを考えてはどうか。
  • 投資家は監査で担保されていることを前提に短信を利用しているように思う。逆に、多くの場合、データベンダーは、有報を利用している。
  • 日本の開示制度では、金商法、取引所規則、会社法というトロイカ体制の下で非常に似たような資料がたくさんあり、使いきれていないのが現状ではないか。他方、連結情報は諸外国に比べるとプアという面がある。かつては単体の情報が重視されたが、今後は連結の情報をより充実させ、かつ連結の情報についてメリハリをつけて開示するべきではないか。
  • 業績予想については、作成者にとって窮屈な情報となっているが、一方で、アナリストのカバーがないような会社においては、業績予想の開示は、一般の投資家に対して一定の役割を果たしてきたとも考えている。これについては、法や上場規則のようなもので縛っていくことがいいのか議論があるのでないか。
  • 業績予想に限らず、どのような開示が必要かは、セクターごとに変わるのではないか。同じセクターであれば、見るべき情報はある程度同じである。
  • 対話を通じてベストプラクティスを作ることが大事である。
  • 企業の情報開示は、かつては投資にまつわるリスクを軽減させるために存在したが、現在は対話によって新たな価値を創造するために必要とされている。その意味では新たなステージに入ったように思う。
  • 四半期情報開示は将来の企業価値の更新の経過報告であるため、例えば将来の企業価値や業績予想を修正する場合など、四半期決算短信と四半期報告書を一本化してしまうと、必要な情報が開示されているのか、懸念がある。
  • IFRSを導入する会社等が増加すると、開示情報の恣意性が高まることになるが、その場合に決算短信だけで情報として十分なのか。
  • 2年前にIFRS導入に伴って開示情報の恣意性が高まるかなどについて、青山学院大学総合研究所がアナリスト・ファンドマネージャーを対象に調査したところ、無形資産の評価、減損(資本コストに対する意識が希薄であり、減損すべきものが減損されていない)、開発費の資産計上(ルノーでは、過度にIPR&Dを計上している)等が議論となった。それらの開示情報を定期的に議論・検討する際に、必要な情報が開示されているかが重要である。
  • 2010年に日本証券アナリスト協会が実施した会計基準アンケートでは、決算短信を重要視していると回答した割合は58.8%、有価証券報告書を重要視していると回答した割合は62.2%という結果が出ている。
  • 対話の促進を図る上で、そもそも開示が充実していない会社については、短信や有報に頼らざるを得ず、簡素化を導入することは懸念がある。
  • 会社法、金商法、取引所規制の一元化を検討する上では、開示の趣旨や規制・立法趣旨がそれぞれ異なるため、これまでの歴史的な経緯等について十分に把握をした上で議論をしていくことが必要である。
  • 投資家のニーズはタイムリーな情報収集である。他方で、監査をすることにより、情報の提供時期は遅くなるが、監査人による確認価値は大きな役割を果たしているのではないか。確認価値として、四半期報告書・有価証券報告書を提出する意味があるのではないか。
  • 投資家のニーズと四半期報告書・有価証券報告書の開示情報との間には、ミスマッチがあると感じた。
  • 財務情報と非財務情報で、それぞれ投資家として有用な情報は何か、有価証券報告書・四半期報告書として足りない部分は何かを調査する必要があるのではないか。
  • 東証における決算短信・四半期決算短信・業績予想については、現在は、各社の判断で必要な情報を開示するというのが基本的なスキームになっており、例えば四半期決算短信において、サマリーとBS、PLしか開示していない会社もある。上場企業の中でもかなり開示内容に差があるという点を認識し、制度の枠組みや目的も踏まえた上で、議論した方がよいのではないか。
  • 企業情報は、プロの投資家のみではなく、一般投資家に対しても発信されるべきものである。一般投資家が現状どのように情報を受け取っているかも踏まえた上で検討するべきである。

以上

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最終更新日:2014年11月7日
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